Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第15節と第18節結果とハイライト(2)

2022年9月14日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ 3-1 スランゴール
⚽️クダ:ロナルド・ンガ(23分)、マルク・ヴァレス(33分)、ファイヤド・ズルキフリ(90+5分)
⚽️スランゴール:カイオン(33分)
🟨クダ(2):シャーリル・サアリ、マフムード・アル=マルディ
🟨スランゴール(3):ブレンダン・ガン、ジクリ・カリリ、シャヒル・バシャー
🟥スランゴール(1):アルールチェルヴァン・イレングー(フィットネスコーチ)
MOM:ロナルド・ンガ(クダ)
 延期されていた第15節のこの試合は、マルク・ヴァレスの今季初ゴールなどでクダが3連勝。順位を5位まで上げています。過去2季はいずれも2位だったクダは、前半戦を5勝2分4敗と上位を狙うには苦しい成績で折り返しましたが、この日の勝利でトップ3とAFCカップ出場の可能性が残りました。
 一方のスランゴールは、エースのカイオンが得点王争い2位となる今季13ゴール目をあげるも、相変わらず試合運びが安定せず、借金3の8位に低迷しています。

2022年9月14日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 3-0 ペナン
⚽️トレンガヌ:ファイサル・ハリム(37分)、チェチェ・キプレ2(45+2分、90+1分)
🟨トレンガヌ(0)
🟨ペナン(2):アディブ・アブドル・ラオプ、ファイズ・マズラン
MOM:ペトルス・シテンビ(トレンガヌ)
 この日の勝利で5連勝となったトレンガヌですが、試合後にはナフジ・ザイン監督が契約延長のオファーを受けていないことから、シーズン終了後の退団を示唆するなど、昨季はあと一歩で逃したAFCカップ出場が見えてきた中で、不穏な空気も漂っています。ナフジ監督には来季はクダの監督就任といった噂もあり、その去就は今後も注目です。
 なお今季のAFCカップ出場権はリーグ2位と3位に与えられる可能性があり、今季残り4試合を残して勝点差4の中でひしめく2位サバ、3位ヌグリスンビラン、4位トレンガヌの2位、3位争いも最終節までも連れ込みそうです。
 

2022年9月15日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 0-0 KLシティ
🟨マラッカ(1):ノラズラン・ラザリ
🟨KLシティ(1):ロメル・モラレス
MOM:ノラズラン・ラザリ(マラッカ・ユナイテッド)
 延期されていた第15節の試合は、ホームのマラッカがスコアレスドローで連敗を3で止めています。過去3試合で12失点と崩壊していた守備陣でしたが、4月9日の第4節以来の先発となったベテランGKノラズラン・ラザリの好守などもあり、8試合ぶりのクリーンシートを達成しています。しかし攻撃陣は唯一の外国籍選手としてFWイフェダヨ・オルセグンが出場したものの、直近3試合を2失点というKLシティの守備陣を崩せず、無得点に終わっています。

2022年9月15日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ2-2 JDT
⚽️PJシティ:ダレン・ロック(73分)、コギレスワラン・ラジ(90+1分)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(48分PK)、アキヤ・ラシド(86分)
🟨PJシティ(1):マハリ・ジャスリ
🟨JDT(3):フェルナンド・フォレスティエリ、マシュー・デイヴィーズ、ファリザル・マーリアス
MOM:カラムラー・アル=ハフィズ(PJシティ)
 リードされながらも2度にわたって追いついたPJシティが、ジョホール・ダルル・タジムJDTを相手にホームで引き分けに持ち込んでいます。高い位置からプレスをかけ続け、守勢に回るとゴール前に全員が戻るスタイルでこの試合に臨んだPJシティ。最後まで運動量が持続できるかが疑問でしたが、効果的な選手交代もあり、JDTに絶対的な好機を作らせない試合運びで前半は0-0で終了。後半の失点はいずれもミスからでしたが、エースで代表のストライカーでもあるダレンロック、そしてスーパーサブのコギレスワラン・ラジがそれぞれ数少ない機会を逃さずゴールを決めて、貴重な勝ち点1を獲得しています。
 JDTはPJシティの選手に比べると、明らかに動きが悪く、ここにきて連戦の疲れが出てきたのかもしれません。チームとしては前節のスランゴール戦に続く引き分けで、サポーターからはエクトル・ビドリオ監督への批判の声も上がりそうですが、残り5試合で2勝すればリーグ9連覇という絶対的優位は動きません。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第18節終了時)

チーム勝点
1JDT17134046103643
2SAB18113430191136
3NSE18105327161135
4TRE18102628161232
5KDA178362626027
6KLC187562427-326
7SRP186392628-221
8SEL185583132-120
9MEL184682031-1118
10PJC183871829-1117
11SWU1842121740-2314
12PEN1814131938-197
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第18節終了時)

ゴール数選手名所属
121ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
213フェルナンド・フォレスティエリJDT
13カイオンSEL
411ロナルド・ンガKDA
8ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第18節結果とハイライト(1)

2022年9月9日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ 0-3 クダ
⚽️クダ:マフムード・アル=マルディ2(13分、89分)、ファイヤド・ズルキフリ(83分)
🟨マラッカ(0)
🟨クダ(2):カイルル・アズリン・カザリ、マフムード・アル=マルディ
MOM:ロナルド・ンガ(クダ)

2022年9月9日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 3-2 サラワク
⚽️ヌグリスンビラン:グスタヴォ・アルメイダ2(17分、67分)、マテウス・アルヴェス(80分)
⚽️サラワク:ラジャ・イムラン・シャー(30分)、ヌル・シャミー(86分)
🟨ヌグリスンビラン(0)
🟨サラワク(2):ゴンザロ・ソト、ラジャ・イムラン・シャー
MOM:グスタヴォ・アルメイダ(ヌグリスンビラン)

2022年9月10日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 2-3 スランゴール
⚽️サバ:バドロル・バクティアル(30分)、ジョゼ・エンバロ(41分)
⚽️スランゴール:ムカイリ・アジマル(24分)、ブレンダン・ガン(25分)、ハイン・テット・アウン(75分)
🟨サバ(1):リザル・ガザリ
🟨スランゴール(4):クエンティン・チェン、ハイン・テット・アウン、ハリス・ハイカル、アリフ・ハイカル
MOM:ハイン・テット・アウン(スランゴール)
サバの加賀山泰毅選手は先発して、フル出場しています。

2022年9月11日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
パハン 0-2 KLシティ
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム・ロスリ(31分)、ザフリ・ヤハヤ(72分)
🟨パハン(2):ノー・アザム・アジー、マヌエル・イダルゴ
🟨KLシティ(1):モハマド・ファウジ
MOM:ザフリ・ヤハヤ(KLシティ)

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第18節途中)

チーム勝点
1JDT1613304483644
2SAB18113430191136
3NSE18105324141032
4TRE179262516929
5KLC177462427-325
6KDA167362325-224
7SRP186392628-221
8SEL175573029120
9MEL174582031-1117
10PJC173771627-1116
11SWU1842121740-2314
12PEN1714121935-267
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第18節途中)

ゴール数選手名所属
121ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
213フェルナンド・フォレスティエリJDT
312カイオンSEL
410ロナルド・ンガKDA
58グスタヴォ・アルメイダNSE
8ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

9月14日のニュース
来季のペラ新監督にリム・ティオンキム氏の就任が決定
ディオン・クールズの来季JDT入りは既定路線?

来季のペラ新監督にリム・ティオンキム氏の就任が決定

Mリーグ2部プレミアリーグのペラFC(以下ペラ)は、クラブ公式Facebookで、ユスリ・チェ・ラー監督の今季終了後の退任と、リム・ティオンキム新監督の就任を発表しています。リム新監督との契約期間は2年間で、1年の延長オプションがついているということです。また、ユスリ現監督は、来季新たに開設されるリザーブリーグ(U23チームのリーグ)に出場するU23チームを担当するということです。

リム氏は、現役時代はクアラルンプールFA(現KLシティ)やブンデスリーガのヘルタ・ベルリンでプレーした後、2001年から12年間はバイエルンミュンヘンのU19チームのコーチを務めました。その後、2013年にはマレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSN.が共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDPのダイレクターとして5年契約という破格の契約で、当時の青年スポーツ大臣が三顧の礼をもって迎え入れました。

さらに2016年にはNFDPの中核となるエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDのダイレクターに就任したリム氏でしたが、同時に就任したU17代表監督として、マレーシア国内開催となった2018年のAFC U16選手権のグループステージで最下位と惨敗すると、青年スポーツ省は手取りで17万5000リンギ(現在のレートではおよそ560万円)とされた給与を公開し、2020年まで残っていたとされる契約も解除しました。

Mリーグクラブの指導経験は全くないリム氏については、今回のペラ以外にも同じプレミアリーグのクランタンFC(以下クランタン)もノリザム・トゥキマン オーナーが来季の監督候補の1人と公言していましたが、未払い給料問題で主力選手が次々とチームを去り、クラブ創設100年目の昨季プレミアリーグに降格したペラが、チームの再建をこのリム氏に託すことになりました。

ディオン・クールズの来季JDT入りは既定路線?

先日発表されたタイのチェンマイで開催されるキングズカップ出場の代表候補メンバー25名中、唯一の国外組がディオン・クールズです。2021/2022年シーズンは、デンマーク1部FCミッティラン所属も、期限付き移籍でベルギー1部のSVズルテ・ワレヘムでプレーしたクールズ選手ですが、期限付き移籍期間終了後は、FCミッティランの登録メンバーにその名前がないなど、その去就に注目が集まっていました。しかしマレーシアサッカー協会FAMが発表した代表候補リストでは、クールズ選手の所属がチェコ1部のFKヤブロネツとなっていたことから、一部で噂になっていたジョホール・ダルル・タジムJDT入りではなく、ヨーロッパでプレーを続けることが明らかになっています。

UEFAチャンピオンズリーグ最終予選に出場したFCミッティランを退団し、チェコのクラブへの遺跡を選んだクールズ選手は、FCミッティランがプレースタイルを変更し、これにより自身のプレー時間が減ってしまう可能性が高くなったことが、今回の退団の理由だと説明し、26歳という自身の年齢を考えた際には、自分のプレーの質を高めるためには移籍が必要だったと述べています。

すでにFKヤブロネツのデヴィッド・ホレイス監督とも話をしたと言うクールズ選手は、開幕から8試合で16チーム中13位というチームは自分にとっても厳しい環境だが、チームの成績を自身のプレーで改善したいと話しています。

しかし、この話はここで終わりではありません。というのも、Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナー、トゥンク・イスマイル殿下が、自身のインスタグラムに意味深な投稿を行ったからです。

クールズ選手のFKヤブロネツ移籍を祝う内容に加えて、「クールズ、4ヶ月間の滞在を楽しみなさい。そして来年1月にジョホールで会おう。」と投稿したのです。なおMリーグの次のトランスファーウィンドウは、今年12月1日から来年2023年2月22日が1回目、2023年5月28日から同年6月24日までが2回目となっており、現在はJDTに加入できないことから、今回のFKヤブロネツ移籍は、JDT加入前の「腰掛け」の可能性が濃厚ということです。

FAカップ2022決勝-トレンガヌを振り切ってJDTがまず今季一冠

2年ぶりの開催となったマレーシアFAカップの決勝が、9月10日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場に公式発表8万4321人を集めて開催され、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)がトレンガヌを3-1で破って、2016年以来6年ぶり2度目の優勝を果たしています。

今季途中の7月にJDTの監督に就任したエクトル・ビドリオ監督にとっては、初タイトルがかかるこの試合で、いつもの通り、ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェルナンド・フォレスティエリの2トップを中心とした強力な攻撃陣を中心とした布陣を起用しましたが、トレンガヌのナフジ・ザイン監督は、エースのクパー・シャーマンをベンチ外とし、チェチェ・キプレのワントップという中盤以降を厚くした布陣を選択し、カウンター狙いで11年ぶりの優勝を狙いました。

JDTの最初のチャンスは10分。20歳のウィング、アリフ・アイマンに右サイドを突破されて放たれたシュートは、トレンガヌGKラーディアズリ・ラハリムが止められなかったもののゴールポストに救われます。その後も、JDTは右サイドにボールを集めますが、トレンガヌは190cm越えの長身パペ・ディアキテ、シャールル・ニザム、アザム・アズミらDF陣がJDTのエース、ベルグソン・ダ・シルヴァには仕事をする機会を与えず、守って機会を待つ戦術は少なくとも前半は功を奏しました。

逆に24分には、トレンガヌゴール前から出たボールに反応したファイズ・ナズミがカウンターから左サイドを上がり、JDTのラヴェル・コービン=オングがファウルで止めるも、主審が流しそこからチェチェ・キプレがJDTのGKファリザル・マーリアスと一対一になりながら、ゴールを止められるなど、トレンガヌは好機を作り、JDTには徐々にラフプレーが目立ち始めます。

そんな中、JDTに先制ゴールが生まれます。それまでもJDTは、相手スローインには、ボールをすぐに渡さないなど時間をかける一方で、自らのスローインは相手の選手が戻り切る前に素早く行うなどしていましたが、ここでもラインを割ったボールを素早くゴール前へ展開したJDTは、ベルグソン・ダ・シルヴァからレアンドロ・ヴェラスケスを経て出たパスをアリフ・アイマンがゴールし、JDTが1-0とリードします。

ただし、ハイライト映像を見てもわかりますが、このゴールの起点となったスローインがボールがラインを割った地点の遥か先で行われています。スローインをしようとしたラヴェル・コービン=オンがボールの出た地点にいますが、そこから数メートル離れた地点からのスローインが果たして有効なのかどうかには、正直、疑問が残るほどで、これを認めた審判のJDT贔屓(びいき)という声が上がる可能性があります。

ともかくカウンター狙いだったトレンガヌは、先に失点したことでラインを上げざるを得なくなり、その結果、JDTがリードを広げます。トレンガヌDFラインの裏に抜け出したベルグソン・ダ・シルヴァをGKラーディアズリ・ラハリムが倒してPKを与え、ベルグソン自身がこのPKを決めて、63分にJDTが2-0としました。

76分にはチェチェ・キプレのゴールでトレンガヌは1点様で迫ったものの、78分には再びトレンガヌの守備陣の間隙をついてベルグソン・ダ・シルヴァが再びゴールを決めて、再びリードを広げ、試合はこのままJDTが2点のリードを守り切って、今季一冠目となるFAカップを制しました。

2022年9月10日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
トレンガヌ 1-3 JDT
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(76分)
⚽️JDT:アリフ・アイマン(34分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ2(63分PK、78分)
🟨トレンガヌ(1):マヌエル・オット
🟨JDT(5):マシュー・デイヴィーズ、シェーン・ローリー、ベルグソン・ダ・シルヴァ、レアンドロ・ヴェラスケス、ラヴェル・コービン=オング
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)

以下は試合のハイライト映像(映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより

Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第9節および第16節結果とハイライト(2)

2022年9月2日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ 1-0 ペナン
⚽️クダ:ロナルド・ンガ(56分)
🟨クダ(2):シャーリル・サアリ、サンワット・デーミット
🟨ペナン(2):ラファエル・ヴィトール、エンドリック
MOM:ロナルド・ンガ(クダ)

2022年9月3日@MPBJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-1 JDT
⚽️スランゴール:カイオン(65分)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(32分)
🟨スランゴール(4):アリフ・ハイカル、アレクサンダー・アギャルクワ、ノー・ハキム・ハサン、アシマウィ・ヤキン
🟨JDT(3):シェーン・ローリー、シャールル・サアド、ナタニエル・シオ
MOM:ムカイリ・アジマル(スランゴール)

2022年9月3日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 5-0 マラッカ
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン(16分)、ニック・シャリフ・ハセフィ(62分)、チェチェ・キプレ3(67分、75分、81分)
🟨トレンガヌ(1):マヌエル・オット
🟨マラッカ(0)
MOM:チェチェ・キプレ(トレンガヌ)

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第17節終了時)

チーム勝点
1JDT1613204483644
2SAB17113328161236
3NSE1795324141032
4TRE179262516929
5KLC166462227-522
6SRP176382727021
7KDA156361925-621
8SEL164572727017
9MEL164572028-817
10PJC173771627-1116
11SWU1742111537-2214
12PEN1714121935-267
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第17節終了時)

ゴール数選手名所属
121ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
213フェルナンド・フォレスティエリJDT
312カイオンSEL
410ロナルド・ンガKDA
58グスタヴォ・アルメイダNSE
8ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

9月10日のニュース
MFLはマラッカに給料未払い問題の解決を指示
MFLが規則改定:一転してリー・タックら帰化選手のマレーシア人選手登録を認める

国内2大カップ戦の一つ、FAカップの決勝戦ジョホール・ダルル・タジム(JDT)対トレンガヌはいよいよ今日の午後午後9時(マレーシア時間)にキックオフ。昨季最後の試合となった2021年マレーシアカップ決勝以来、国内では無敗を誇るJDTは6年ぶり2度目の、トレンガヌは11年ぶり3度目の優勝を目指します。マレーシアサッカーではあるあるですが、ジョホール州とトレンガヌ州とも、自州を本拠地とするチームがFAカップに優勝すれば翌日を週の公休日とし、州政府としてチームに褒賞を与えることも発表しています。8万5000人分のチケットが既に売り切れており、2年ぶりの開催となったFAカップ決勝は大いに盛り上がりそうです。

MFLはマラッカに給料未払い問題の解決を指示

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFLは、給料未払い問題が明らかになっているマラッカ・ユナイテッドFC(以下マラッカ)に対して、9月20日まで全ての未払い給料を完済するか、分割による支払い方法などで選手や監督、コーチらとの合意を得ることを求め、それが達成されない場合には今季のマレーシアカップ出場権を剥奪すると発表しています。

サラワクに対して既に文書での通告は9月6日に行われているということですが、過去2シーズンにわたり給料未払い問題を起こし、その度に勝点剥奪処分まで受けているチームに対して寛大すぎる猶予だとは思いますが、この記事では、期限までに完済、或いは分割支払いの合意を選手との間で得られない場合には、今季のマレーシアカップ出場権剥奪に加え、来季のクラブライセンス申請が認められない、つまり来季の新スーパーリーグに参加できなくなる可能性にまで言及しています。

MFLが規則改定:一転してリー・タックら帰化選手のマレーシア人選手登録を認める

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、Mリーグ1部スリ・パハンFC(以下パハン)から出されていた、帰化選手のマレー人選手登録不許可に対する異議申し立てを受け入れるとともに、直ちに規則を改定し、マレーシア国籍を取得したリー・タック、エセキエル・アグエロの両選手をマレーシア人として登録することを認めることを、公式サイト上で発表しています。

パハンは今季2度目のトランスファーウィンドウ期間(5月28日から6月24日)に、タック、アグエロ両選手をマレーシア人選手として登録しようとしましたが、MFLはその登録を受け付けていませんでした。

MFLの競技規定では、外国籍選手がマレーシア国籍を取得した場合でも、Mリーグでマレーシア人選手として登録できるのは、さらに5年間のプレー期間を経ることが必要としていましたが、これがマレーシア国憲法が規定する「すべてのマレーシア人は同等の権利を有する」ことに抵触するとして、パハンはMFLに対して両選手のマレーシアンジ選手としての登録拒否の再考と規定の改定を求めていました。

今回の規定変更により、タック、アグエロ両選手は、マレーシアカップグループステージからマレーシア人選手としての出場が可能になっています。

*****

パハンには既にレガシー帰化選手(マレーシア人の両親または祖父母を持つ帰化選手)として英国生まれのDFニコラス・スウィラッド、オーストラリア生まれのMFデヴィッド・ロウリー、マレーシア生まれながらイタリア育ちのMFショーン・ジャンネッリがおり、タック、アグエロ両選手が加わわることで帰化選手が合計5名となります。これに外国籍選手5名が加わることで、リーグ戦ではここまで6勝3分8敗の7位という成績のパハンは、マレーシアカップでは一転してダークホースとして浮上しそうです。

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン第17節結果とハイライト

Mリーグ2部プレミアリーグは今季残り2節となりました。来季から1部スーパーリーグとの統合が決まっているため、「1部昇格争い」は無くなり、3部に当たるM3リーグとの入れ替え戦に臨む2チームを除き、全てのチームが来季は1部でプレーすることなっています。

今節を終了し、本来なら1部昇格となる2チームが決定しています。1つは「金は出すが物も言う」オーナーとして知られているノリザム・トゥキマン オーナー所有のクランタンFCです。2012年には国内三冠(リーグ戦、FAカップ、マレーシアカップ)を達成、通算でもスーパーリーグ優勝2回、FAカップ優勝2回、マレーシアカップ優勝2回といった実績があるクランタンFCは、その後、放漫経営で運営危機に陥ります。選手や監督、コーチへの給料未払いが続き、それと共にチーム成績も急降下、2019年にプレミアリーグに降格していました。しかし2020年オフにノリザム氏がオーナーとなって以降、2年でスーパーリーグ復帰を果たしています。

従来の仕組みであれば昇格となっていたもう1チームは、谷川由来選手が所属するクチンシティFCです。クタンタンFCとは異なり、来季がクラブ史上初のスーパーリーグ昇格となるクチンシティFCは、2019年にはクチンFAとしてM3リーグでプレーするチームでした。この年、リーグ2位で入れ替え戦に臨むと、プレミアリーグ11位のサラワクFA(当時、現サラワク・ユナイテッドFC)を破ってプレミアリーグに昇格しました。サラワクFAはサラワク州サッカー協会が運営するチームであるのに対し、クチンFAはサラワク州サッカー協会傘下のクチン市サッカー協会運営のチームという関係で、いわば「だらしない親」を「しっかり者の子」が制した格好です。
 次々にチームの歴史を更新してきたクチンシティFCですが、昨季就任したイルファン・バクティ監督の手腕も大きく影響を与えています。71歳のイルファン監督は、トレンガヌなどで監督を務め、FAカップ優勝の経験もあります。監督就任初年度となった昨季のクチンシティFCは7勝6分7敗、得点22失点22の5位で昇格を逃したものの、今季はここまで10勝3分4敗、得点29失点19の3位と、スーパーリーグ昇格に恥ずかしくない成績を挙げています。リーグ改変の影響ではなく、従来の規定に従っても来季スーパーリーグ昇格を決めたことで、クチンシティFCは、今季終了後に引退を発表したイルファン監督の花道を飾ることにもなりました。

2022年9月3日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
FAM-MSNプロジェクト1-0 PDRM
⚽️FAM:ハズワン・ハサン(10分)
🟨FAM(0)
🟨PDRM(5):ムアズ・ザイナル・アビディン、シャフィク・アズミ、イザット・ズハイリ・ザカリア、ミロシュ・ラチャニー、アズリ・レザ・ザムリ
MOM:ハズワン・ハサン(FAM-MSNプロジェクト)

2022年9月3日@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
UITM 2-1 ペラ
⚽️UITM:ファリス・ハフィズ・アザル2(15分、24分)
⚽️ペラ:ワン・ザック・ハイカル(35分)
🟨UITM(2):アフザル・アクバル、ファーミ・サブリ
🟨ペラ(2):アフィフ・アシュラフ、カイルル・アシュラフ・ラムリ
🟥ペラ(1):カイルル・アシュラフ・ラムリ(🟨x2)
MOM:レンディ・リニン(UITM)

2022年9月4日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 1-2 スランゴール2
⚽️クランタン:ガファル・アブドル・ラーマン(76分)
⚽️スランゴール:アリフ・イズワン(29分)、シャルヴィン・セルヴァクマラン(34分)
🟨クランタン(3):フェリペ・エレダ、カイルル・ヘルミ・ジョハリ、イクワン・ヤゼク
🟨スランゴール(2):イズル・アダム・スハイミ、シャズワン・サルヒン
MOM:シャルル・ナジーム(スランゴール)
クランタンの原健太選手は、81分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

2022年9月4日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 2-1 クランタン・ユナイテッド
⚽️クチンシティ:アブ・カマラ(63分)、アミル・アムリ・サレー(68分)
⚽️クランタン:アスラフ・アリフディン(90+3分)
🟨クチンシティ(1):シャフィジ・イクマル
🟨クランタン(0)
MOM:アミル・アムリ・サレー(クチンシティ)
 クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。
 クランタン・ユナイテッドの深井脩平、本山雅志の両選手はいずれも先発してフル出場しています。

2022年9月4日@MBPGスタジアム(ジョホール州パシル・グダン)
JDT II 3-0 トレンガヌII
⚽️JDT:ダリル・シャム(6分)、ウマル・ハキム(82分)、ムサ・シディベ(85分)
🟨JDT(2):ムサ・シディベ、ゲイブリエル・ニステルローイ
🟨トレンガヌ(3):ルーク・ウッドワード、アルグジム・レゾヴィッチ、リズアン・ラザリ
MOM:レヴィ・マディンダ(トレンガヌ)

2022年シーズン プレミアリーグ順位表(第17節終了時)

チーム得失差勝点
1JDT17123237132439
2KEL17113326131336
3KCH17103429191033
4TRE179352718930
5KLU176652218424
6PDRM176382027-721
7UITM1752101725-817
8SEL174491424-1016
9FAM1722131031-218
10PRK1751111529-14*7
ペラ(PRK)は給料未払い問題の解決が遅れたことにより、勝点9の剥奪処分を受けています。
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

2022年シーズン プレミアリーグ 得点ランキング(第17節終了時)

ゴール数選手名所属
111アブ・カマラKCH
28フェルナンド・ロドリゲスJDT
8ンジョク・ジェイコブKLU
8マルティン・アダメックPDRM
8ダリル・シャムJDT
67ジョーダン・ミンターTRE
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

9月8日のニュース
AFCカップ-KLシティが地区間プレーオフ決勝進出、優勝まであと2勝

AFCカップ-KLシティが地区間プレーオフ決勝進出、優勝まであと2勝

昨日9月7日にAFCカップ地区間プレーオフ準決勝が行われ、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティがATKモフン・バガン(インド)を3-1で破り、地区間プレーオフ決勝進出を決めています。

相手ホームのソルトレイク・スタジアム(西ベンガル州コルカタ)での対戦となったこの試合は、試合開始前から一筋縄では行きませんでした。インドサッカー協会(AIFF)に対するFIFAの処分により、一時はこの試合を不戦勝で勝ち抜ける可能性があったKLシティは、8月26日に処分が解除され試合開催が決まると、 一旦はホームのKLフットボールスタジアムでの開催をAFCに求めるも、会場変更に伴う手続きを行うには時間がないとして却下されました。

コルカタでの試合が決まると、今度はビザ取得でも問題が起こります。直行便ならクアラ・ルンプールから5時間で到着するところが、ビザ発給の遅れにより直行便に乗れなかったチームは乗り継ぎを含む12時間の長旅を経て、コルカタに到着したのは試合前日の夜でした。

そうした状況を経て行われた試合は、フランス代表MFポール・ポグバの兄フロランタン・ポグバが主将を務めるATKモフン・バガンに対し、KLシティのボジャン・ホダック監督は、自陣に引いて守備に数をかける戦術を選択すると、相手はそれに対応できず前半0-0で終了します。しかし、先制点を挙げたのはKLシティでした。60分に主将のパウロ・ジョズエがペナルティエリアの外から自身今大会の5得点目(今大会最多)となるゴールを決めて、KLシティが1~0と先行します。

このゴールでATKモフン・バガンは積極的にゴールを狙い始めますが、KL守備陣の好守もあり時計は90分に近づき、6分のアディショナルタイムが告げられます。このままKLシティが逃げ切るかと思われましたが、90分にATKモフン・バガンは途中出場のファルディン・アリ・モラがKLシティGKアズリ・アブドル・ガニが防いだシュートのこぼれ球を押し込んで土壇場で同点に追いつきます。

スタンドを埋め尽くしたATKモフン・バガンが熱狂しますが、それも長続きはしませんでした。その2分後。途中出場のファクルル・アイマンがパウロ・ジョズエの右サイドからのフリーキックに頭で合わせてゴール!KLシティが再びリード!。さらにその3分後には、全員を挙げて攻撃に転じるATKモフン・バガンサイドに飛んだゴールキックの処理に相手DFがもたつく間に、やはり途中出場のロメル・モラレスがそのルースボールをカットするとそのままペナルティエリアに持ち込みシュート。決定的な3点目を挙げたKLシティが2点差を守ったまま試合が終了しました。

大会初出場ながらここまで勝ち上がってきたKLシティは、もう一つの地区間プレーオフ準決勝でイースタンFC(香港)を破ったPFCソグディアナ・ジザフ(ウズベキスタン)と相手ホームのソグディアナスタジアムで10月5日に決勝進出をかけて対戦します。

AFCカップ2022 地区間プレーオフ準決勝
ATKモフン・バガン 1-3 KLシティ
⚽️ATKモフン・バガン:ファルディン・アリ・モラ(90分)
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ(60分)、ファクルル・アイマン(90+2分)、ロメル・モラレス(90+5分)
🟨ATKモフン・バガン(2):スバシシュ・ボーズ、フロランタン・ポグバ
🟨KLシティ(3):カマル・アジジ・ザブリ、ジャンカルロ・ガリフオッコ、ジョーダン・ミンター

以下は、この試合の両チームの先発XIとハイライト映像。(ハイライト映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより)

9月4日のニュース
パハンのリー・タックがマレーシア国籍取得
エリートアカデミーの2選手が欧州クラブのトライアルに参加
ケランタンの来季の監督候補に元U16代表監督らの名前が上がる
プロ選手会がマラッカの給料未払いを公表

パハンのリー・タックがマレーシア国籍取得も一部からは疑問の声が

英国出身でスリ・パハン(以下パハン)の契約中のリー・タックがマレーシア国籍を取得したと、英字紙スターが報じています。34歳のタック選手が自身のインスタグラムで国籍取得を明らかにしたということです。

2017年にヌグリスンビランと契約してたタック選手は、2018年から2020年まではトレンガヌ、2021年からはパハンと契約しています。

パハンは、このタック選手とセルヒオ・アグエロことエセキエル・アグエロのいずれも2017年からMリーグでプレーする両選手のマレーシア国籍を取得を支援する方針を明らかにしていました。なお、スターはアグエロ選手のマレーシア国籍取得については明らかにされていないと報じています。

マレーシア人の父母や祖父母を持たない帰化選手は、いずれもMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジム(以下JDT)に所属するモハマドゥ・スマレ(ガンビア出身)、ギリエルメ・デ・パウラ(ブラジル出身)、リリドン・クラスニキ(コソボ出身)の3選手がいます。(クラスニキ選手は、今季はタイ1部のコーンケン・ユナイテッドFCに期限付き移籍中)

*****

マレーシアサッカー協会FAMは、2018年に代表チーム強化を目的とした「帰化支援プログラム」を設け、FIFAの規定に従い、国内で5年以上継続してプレーした外国籍選手を対象にマレーシア国籍取得申請を支援していました。上記のデ・パウラ、クラスニキの両選手はこのプログラムによって、マレーシア国籍を取得した選手です。しかし、この両選手が2020年に行われたFIFAワールドカップ2022年大会予選で活躍できなかっただけでなく、最終的には先発メンバーから外れるなど、代表チームへの貢献がほとんどなかったことから、「代表チームの役に立たない帰化選手を生み出すことは、利点がないどころか、マレーシア人選手の出場機会を奪う欠陥プログラムである。」として、国内のサッカーファンや選手OBがFAMと帰化支援プログラムを激しく非難し、その結果、FAMは帰化支援プログラムの一時凍結を打ち出す事態に追い込まれています。
 今回マレーシア国籍を取得してタック選手は当初、祖母がマレーシア人であると主張し、それを理由にFAMの支援を得て、マレーシア国籍取得の申請を行おうとしていましたが、それを証明する書類が提出できなかったことから、一部ではその主張に疑惑の声が上がっただけでなく、非難すら受けていました。
 また様々な理由から、現在でも西マレーシア(マレー半島部)では10000万人以上、東マレーシア(ボルネオ島)ではそれ以上とも言われるマレーシア国籍を持たない子供たちがお李、義務教育を受けられないなどの不利益を被っており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からは状況の改善勧告を受け、国内のNGOが彼らの国籍申請を支援する一方で、その多くがマレー系ではないことから、マレーシア政府がその申請を却下するケースが多く発生しています。このため、パハンのオーナーであるパハン州王族の支援を受け、申請からわずか数ヶ月でタック選手が国籍を取得できたことから、NGOや複数の国会議員からはマレーシア政府の「ダブルスタンダード」についても激しい非難が集まっています。

エリートアカデミーの2選手が欧州クラブのトライアルに参加

モクタル・ダハリアカデミーAMDは、マレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNとマレーシアサッカー協会FAMが共同で運営する「国家サッカー養成プログラム」NFDPの中核をなす国内トップのエリートサッカーアカデミーです。このアカデミーに所属するいずれも17歳の2選手が欧州クラブのトライアルに参加すると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

ハイカル・ダニシュとロヒシャム・ハイカルの2選手は、やはりAMD所属のアブ・カリリとともに今年6月にフランス2部のアヌシーFCとルクセンブルグ1部のラシンFCユニオン・ルクセンブルクへおよそ2週間野「留学」を行いましたが、その際にハイカル、ロヒシャム両選手に対してラシンFCが興味を示した結果、今回、契約を前提としたトライアル参加を求められたと、ティ・リアンカー青年スポーツ省副大臣が説明しています。

今月9月14日から始まるAFC U20アジアカップ予選(モンゴル)に出場するマレーシアU19代表にも選出されているハイカル、ロヒシャム両選手は、契約となれば、ベルギー1部KVコルトレイクに所属するルクマン・ハキムに続いてヨーロッパのクラブに所属するAMDの卒業生となります。

さらにティ・リアンカー青年スポーツ省副大臣は、2002年生まれ2019年卒業の1期生から2004年生まれ2021年卒業の3期生までの卒業生117名中、前述のルクマン選手を除く残り116名全員がMリーグクラブとプロ契約を結んだことを明らかにし、マレーシア政府とFAMが運営するAMDの実績を強調しています。

ケランタンの来季の監督候補に元U16代表監督らの名前が上がる

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、来季2023年シーズンは現在の1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを統合して、18チームによる1部スーパーリーグとする第改革案を発表しており、今季の順位にかかわらず、プレミアリーグの全クラブが、MFLの設ける規定を満たせば、来季はスーパーリーグでプレーすることになります。

この結果、1部スーパーリーグへの昇格争いがなくなってしまい、やや迫力に欠けるMリーグ2部プレミアリーグですが、10チームで構成される今季は今週末に開催されている第17節を含めて残り2節となりました。そんな中でJDTのセカンドチームJDT IIと激しく首位争いを繰り広げているのが、クランタンFC(以下クランタン)です。

そのクランタンが来季の候補をリストアップし、その中には元U16代表監督で、この前の記事でも取り上げた、マレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNとマレーシアサッカー協会FAMが共同で運営する「国家サッカー選手養成プログラム」NFDPの責任者も務めたリム・ティオンキム氏も含まれていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

この記事では、クランタンの「物言う」オーナー、ノリザム・トゥキマン氏の話として、このリム氏のテクニカルディレクター就任の可能性もあるとしています。

「来季の1部昇格に向けて、現在はヨーロッパや韓国、日本出身の候補者10名をリストアップしている。リム氏とは電話で話をしただけで、直接、面会はしていないことから、現時点では監督となるのか、テクニカルディレクターとなるのかは決まっていない。チームはできる限り最善の監督を見つけたいと思っており、リム氏はあくまでも候補者の1人である。」と話したノリザムオーナーは、新たな監督には実績だけでなく、クランタンの今後のビジョンを自分と共有できる人物であることも求めたいとも話しています。

リム・ティオンキム氏は、現役時代はヨーロッパでプレー経験がある数少ないマレーシア人で、引退後はドイツ1部バイエルンミュンヘンのユースチームコーチを務めていました。2013年にNFDPが立ち上げられるとそのテクニカルディルクターとして、招聘され、その後2016年にはNFDPのエリートアカデミーAMDの責任者に就任しました。しかし同時に就任したU16代表が、自国開催となった2018年のAFC U16選手権のグループステージを最下位で敗退すると、U16代表監督とAMD責任者としての月給が手取りで17万5000リンギ(現在のレートでおよそ550万円)と明らかになるなど逆風が吹く中、当時の青年スポーツ大臣の一存で、2020年までとなっていた契約が解除されています。

プロ選手会がマラッカの給料未払いを公表

マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、Mリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッド(以下マラッカ)で2ヶ月分の給料未払い問題について、報告を受けたことを明らかにしています。

PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、6月と7月の給料が未払い、さらに1月分の給料でも一部で未払いが起こっているとして、マラッカの運営に勧告を発するとともに、マレーシアサッカー協会FAMの紛争解決室NDRCへ申立を行なったことも発表しています。

「FAMのNDRCには問題解決のため、直ちに、選手から事情聴取するための日程を作成することを求めたい。」と述べたイズハムCEOは、他のクラブの選手でも給料未払いが起こっている場合には直ちにPFAMに報告するするよう、呼びかけています。

*****

またか、と言ったマラッカの給料未払い問題です。一昨季、昨季といずれも同様の問題から3点の勝点剥奪などの厳しい処分を受けていますが、来季のリーグ再編に向けて2部への降格が行われないため、現在8位のマラッカですが、これまで以上に問題意識が低いのかもしれません。FAMはマレーシアカップの出場権剥奪などの処分を検討しているようですが、どれほどの効果があるのかは不明です。


Mリーグ1部スーパーリーグ 2022年シーズン第9節結果とハイライト(3)

8月29日に、これまで延期されていたMリーグ1部スーパーリーグ第9節の1試合が行われています。

2022年8月29日(月)@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 4-0 マラッカ・ユナイテッド
⚽️JDT:フェルナンド・フォレスティエリ(13分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ3(33分、42分、85分)、
🟨JDT(3):レアンドロ・ヴァレスケス、シェーン・ローリー、ダニアル・アミル
🟨マラッカ(0)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ACL出場により、リーグ戦の延期が多いJDTはこの日から11日間に3試合を行う厳しい日程ですが、ACL浦和戦後、初の国内試合となったこの試合では、浦和戦大敗の鬱憤を晴らすかのような快勝で首位を堅持、試合数が1試合多い2位のサバとの勝点差を6に広げて、史上初のリーグ9連覇へまた一歩前進しています。
 ACL浦和戦では出場停止になっていたMFレアンドロ・ヴァレスケスや外国籍選手枠の都合で出番のなかったDFカルリ・デ・ムルガ、さらには今季トップチーム初先発となったGKハジック・ナズリやMFダイアル・アミルなど、JDTのエクトル・ビドリオ監督は、ACL浦和戦とはメンバーを入れ替えて臨みましたが、そんなメンバーでも試合開始から終始マラッカを圧倒し、今季無敗記録を15まで伸ばしています。
 マラッカは、3ヶ月分の給料未払いが明らかになっている他、ジャスティン・リムCEOが辞任の噂を否定するなど、毎年繰り返される運営サイドの問題で現場が混乱する中での試合でした。王者JDT相手に先発した外国籍選手がFWアドリアーノ1人では太刀打ちできるはずもなく、GKブライアン・シーが好セーブを連発したにもかかわらず4失点で敗れています。しかも75分には交代枠5名を使い切った後にカイルル・アンワル・シャールディンがケガで退場し10名となり、さらにその後はシェーン・ローリーのタックルを受けたシャールル・アズワリまで退場となるなど、むしろよく4失点で済んだ試合だったと言えます。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第17節終了時)

チーム勝点
1JDT1513204373641
2SAB16112326141435
3NSE1795324141032
4TRE168262016426
5SRP176382727021
6KLC156362925-521
7KDA145361925-617
8MEL154562023-317
9SEL154462626016
11PJC173771627-1116
11SWU1742111537-2214
12PEN1614111934-257
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第17節終了時)

ゴール数選手名所属
120ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
213フェルナンド・フォレスティエリJDT
311カイオンSEL
49ロナルド・ンガKDA
57ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド