5月25日のニュース
東南アジア競技大会-PK戦敗退のマレーシアはメダルを逃す
JDTがクダに期限付き移籍中のシャフィク・アフマドの復帰を発表
アセアン選手権のスポンサーがスズキ自動車から三菱電機へ-今年末の大会から大会名称も三菱電機カップに

来月、クアラルンプールで開催されるAFC選手権アジアカップ最終予選を前に、2試合の国際親善試合が予定されていますが、初戦の相手がミャンマーからブルネイとなることが発表されています。最新のFIFAランキングで154位のマレーシアにとって、同152位のミャンマーはちょうど良い相手だったのですが、それが同166位のブルネイに代わった背景には、マレーシア政府がミャンマーの軍事政権に反対する「国家統一政府(NUG)」の外相と会談したことが背景にあるかも知れません。

マレーシア、ミャンマーの両国も加盟する東南アジア諸国連合ASEAN加盟国の閣僚として初めて、マレーシアのサイフディン・アブドラ外相がNUGのジン・マー・アウン外相とアメリカのワシントンD.C閣僚と会談し、人道支援やミャンマー難民の支援などについて協議したことが報じられています。当時、ワシントンD.C.では、米国とASEANのサミットが開催されており、ASEANはミャンマーの軍事政権代表者のサミット出席を拒否していました。

NUGをテロ組織としている軍事政権にとって、国際社会では承認を得られていないNUGとのみ協議を行うことを表明しているマレーシアとは代表戦は行えない、といったところかも知れません。

ちなみにマレーシア代表とブルネイ代表が最後に対戦したのは、U23代表の対戦になる前の東南アジア競技大会通称シーゲームズ1999年大会と20年以上も前のことでした。隣国ながらこれほど長い間対戦がなかったのも驚きですが、ブルネイで開催されたこの1999年のシーゲームズでは、マレーシア代表はブルネイ代表を2-0で破っています。

東南アジア競技大会-PK戦敗退のマレーシアはメダルを逃す

5月22日に開催された東南アジア競技大会シーゲームズの3位決定戦で、マレーシアU23代表はインドネシアU23代表と対戦しました。

この日の先発XIは、準決勝で負傷したGKアズリ・アブドル・ガニ(KLシティ)に代わり、ラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)が今大会初先発し、またFWルクマン・ハキム(KVコルトレイク-ベルギー1部)に代わり、本来はDFながらこの大会では中盤で起用されているサフワン・マズラン(トレンガヌII)が起用されました。

準決勝ではいずれも延長120分を戦っていた両チームですが、強烈なライバル関係もあってか、試合は疲労の後も見せず開始直後から激しくぶつかり合います。しかしマレーシアのラーディアズリ・ラハリム、インドネシアのエルナンド・アリの両GKの好セーブやゴールポストなどに阻まれ、前半は0-0で終了します。

後半に入ってもゴールシーンがないまま試合が進んだ70分、A代表でもプレーする、シン・テヨン監督の「秘蔵っ子」17歳のFWロナルド・クワテのゴールでインドネシアが先制しました。しかし、マレーシアも80分にハディ・ファイヤッド(アスルクラロ沼津-J3)が今大会3得点目となるゴールを決めてすぐに同点に追いつきます。

その後は両チームとも得点できないまま90分を終え、1-1と決着がつきませんでした。今大会では3位決定戦は延長戦はなく、PK戦が採用されており、銅メダルを賭けてのPK戦が始まりました。先攻のマレーシアは1人目のハディ・ファイヤッドがGKに止められたものの、インドネシアも1人目のアスナウィ・マンクアラムがゴールポストに当てて外しタイ、しかしマレーシアは3人目のルクマン・ハキムが枠を捉えられず、インドネシアは残る3選手が全員決めて、結局、3-4でインドネシアに敗れて、2017年のクアラルンプール大会以来となる2大会ぶりのメダル獲得はなりませんでした。

東南アジア競技大会2021年大会
3位決定戦
5月22日(日)
ミーディン国立競技場(ハノイ-ベトナム)
インドネシア 1-1 マレーシア(PK戦 4-3)
⚽️インドネシア:ロナルド・クワテ (70分)
⚽️マレーシア:ハディ・ファイヤッド(80分)
🟨インドネシア(0)
🟨マレーシア(0)
(下はマレーシアU23代表とインドネシアU23代表の先発XIとこの試合のハイライト映像。今回はマレーシア視点、インドネシア視点、そしてシンガポールのメディアによる中立視点で見て下さい。マレーシア視点の映像はアストロアリーナ、インドネシア視点の映像はインドネシアのTV局RCTI、そして中立視点はシンガポールのメディアコープの各公式YouTubeより)

https://youtu.be/PGNhJDq2IpU

東南アジア競技大会2021年大会
決勝
5月22日(日)
ミーディン国立競技場(ハノイ-ベトナム)
ベトナム 1-0 タイ
⚽️ベトナム:マン・ドゥン・ニャム (83分)
🟨タイ(0)
🟨インドネシア(0)

インドネシア対マレーシアの3位決定戦の後に行われた決勝では、地元ベトナムがタイを破り金メダルを獲得し、前回2019年フィリピン大会に続く2連覇を達成しています。
(映像はシンガポールのメディアコープの公式YouTubeより)

https://youtu.be/-r2WIWdBH6c
JDTがクダに期限付き移籍中のシャフィク・アフマドの復帰を発表

Mリーグ1部スーパーリーグのJDTは、クラブ公式Facebook上で、同じスーパーリーグのクダに期限付き移籍してた代表FWのシャフィク・アフマドが、5月28日からのトランスファーウィンドウ期間にJDTに復帰することを発表しています。

2019年のFIFAワールドカップ2022年大会アジア予選から代表に招集されながら、新型コロナ禍の中でJDTではセカンドチームでもベンチ入りできなくなっていたシャフィク選手は、出場機会を得るために当初は1年間の期限付きでクダへ移籍と発表されていました。しかし、5月20日に発表された突然すぎるこの期限付き移籍終了については多くの憶測が飛び交っています。

ソーシャルメディアで話題になっているのは、クダ州首相でもあるムハマド・サヌシKFA(クダ州サッカー協会)会長のJDTのオーナーでジョホール州皇太子でもあるトゥンク・イスマイル殿下に対する発言が今回の移籍期限の短縮の原因ではないか、という憶測です。

これまでもJDTやトゥンク・イスマイル殿下に批判的なコメントをすることが少なくなかったモハマド・サヌシKFA会長ですが、今回は「サッカーは皆のものであり、特定の個人のものではない。ましてや特定の個人を「崇拝」するべきではない。この国のサッカー界では非常に奇妙なことが何度も起こっており、マレーシアサッカー協会FAMがこれにどう対処するかに皆の関心が集まっている。」とソーシャルメディアに投稿し、さらにその一例としてヌグリスンビラン対JDT戦で試合が0-0の中、主審がロスタイムを10分間とったことを挙げています。

ソーシャルメディア上では、MリーグがJDTに有利になるように操作されているかのようなモハマド・サヌシKFA会長の発言に対して、イスマイル殿下が報復した結果がシャフィク選手の期限付き移籍終了だという指摘です。

クダのクラブ公式Facebookには、「JDTには有り余るほど選手がおり、今、シャフィク選手を呼び戻す必要はない。モハマド・サヌシKFA会長が余計なことを言わなければ、JDTは移籍期間を突然終了させることはなかっただろう。」といった類の投稿が見られる一方で、「JDTはまさに真実を指摘されたために傷ついた。モハマド・サヌシKFA会長の発言は間違っておらず、他のクラブも同様な考えを持ちながら、それを口にする勇気がないだけの話である。それを明らかにしたモハマド・サヌシKFA会長こそが正しい。」といった意見も見られます。

しかし今回の期限短縮は誰にとってもマイナスでしかないように思えるのも事実です。当初の希望通り出場機会を得ていたシャフィク選手は、JDTに戻れば、またベンチを温めることになりそうです。またAFCカップをおよそ1ヶ月後に控えるクダにとっては、引退を決めたDFチャン ソグォン、アキレス腱を痛めて今季絶望のFWデニス・ブシェニングと既に戦力ダウンとなる中、今季は2ゴールながら主力として第9節までのクダの試合全てに出場していたシャフィク選手を失うのは、アイディル・シャリン監督とクダにとって大打撃です。その原因はともかく、誰も得をしない今回の期限付き移籍終了の最大の被害者はシャフィク選手かも知れません。

アセアン選手権のスポンサーがスズキ自動車から三菱電機へ-今年末の大会から大会名称も三菱電機カップに

東南アジアサッカー連盟AFFは公式サイト上で、AFF選手権の冠スポンサーが三菱電機となることを発表しています。これにより今年2022年に開催が予定されている第14回AFF選手権の名称も「AFF三菱電機カップ」と変更になるということです。

1996年に始まったAFF選手権は、ブルネイ、マレーシア、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピンのAFF創設メンバー6ヵ国とカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの招待国4ヵ国の計10ヵ国が参加して第1回大会が開かれています。なおこの第1回大会から2004年の第5回大会までは、タイガービールを製造販売するシンガポールのアジアパシフィックブルワリーがスポンサーとなり、「タイガーカップ」の名称で開催されています。

アジアパシフィックブルワリーズ社がスポンサーを降りた後の2007年の第6回大会はAFF選手権のみの名称で開催されたものの、2008年の第7回からはスズキ自動車がスポンサーとなり「スズキカップ」として昨年2021年末の第13回まで開催されています。

Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第9節結果とハイライト映像

Mリーグ1部スーパーリーグは5月17日から18日にかけて第9節の4試合が行われています。前節同様、現在ベトナムで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズ出場中のマレーシアU23代表に多くの選手が招集されているスランゴールとトレンガヌの今節の試合は、8月に延期されています。

また5月30日から6月14日までのFIFA国際マッチデー期間に、A代表が出場するAFC選手権アジアカップ2023年大会の最終予選E組がクアラルンプールで、またU23代表が出場するAFC U23アジアカップがウズベキスタンでそれぞれ開催され、各代表は大会に向けた代表候補合宿を行うため、スーパーリーグは1ヶ月ほど中断期間に入ります。リーグ再開となる第10節は6月18日と6月19日に開催されますが、今季2度目のトランスファーウィンドウ期間が5月28日から6月24日まで設定されており、この期間に大型補強を行い、第10節には顔ぶれが大きく変わっているチームがあるかも知れません。。
(各試合のハイライト映像は、MFLの公式YouTubeチャンネルより)

2022年5月17日(火)@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 2-4 サバ
⚽️ペナン:T・サラヴァナン(51分)、ヒラル・エル=ヘルウェ(76分)
⚽️サバ:バドロル・バクティアル2(23分、60分)、ジャクソン・デ・ソウザ(57分)、スチュアート・ウィルキン(66分)
🟨ペナン(2):T・サラヴァナン、ラティフ・スライミ
🟨サバ(2):サディル・ラムダニ、アムリ・ヤハヤ、アズハド・ハラズ
MOM:バドロル・バクティアル(サバ)

 サバが今季未勝利のペナンを下して2位に浮上、首位のJDTとは勝点差1に肉薄しています。
 マンズール・アズウィラ監督代行となってから2試合目のペナンは、ホームのサポーターの後押しもあってか、積極果敢にサバゴールを狙いますが、GKカイルル・ファーミの好セーブもあり、得点することができません。
 先制したのはサバでした。23分にサディル・ラムダニの右からのクロスにバドロル・バクティアルが珍しく頭で合わせてゴールを決め、サバが1-0とリードし、そのまま前半が終了します。
 しかしこの日のペナンはリードを許しても、攻め続けます。それが功を奏し、前半もサバゴールに迫っていたT・サラヴァナンが51分にエンドリックからのクロスに合わせて同点ゴール! 
 1-1となったことでサバはギアが上がり、57分のジャクソン・デ・ソウザのゴールを皮切りに10分間で3ゴールを決め、試合を決定づけました。
 サバの加賀山泰毅選手は先発してフル出場しています。

2022年5月17日(火)@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 1-2 KLシティ
⚽️サラワク:S・チャントゥル(15分)
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ(36分)、J・パルティバン(89分)
🟨サラワク(2):ボリス・コック、スチュアート・ウォーク
🟨KL(1):カマル・アジジ
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティ)

 S・チャントゥルがペナルティエリアの外から放った豪快なゴールで先制したサラワク・ユナイテッドでしたが、その後の好機を生かせず追加点が奪えないうちに、KLがパウロ・ジョズエのゴールで追いつき、前半は1-1で終了しました。
 後半に入ってもサラワク優勢で進んだ試合でしたが、FW陣がことごくゴールを外す間にKLがJ・パルティバンのゴールで逆転し、そのまま逃げ切っています。
 この試合までの3試合で6失点のKLは課題の守備は修正されていなかったものの、サラワクFW陣のシュートの精度の低さに助けられた試合でした。

2022年5月17日(火)@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ 0-0 ヌグリスンビラン
🟨クダ(0)
🟨ヌグリスンビラン(2):エラルド・グロン、ザムリ・ピン・ラムリ
MOM:カイル・アズリン・カザリ(クダ)

 ここ3試合で勝ちがないクダと、前節はロスタイムの失点でJDTに敗れたヌグリスンビランの一戦は、司令塔デシ・マルセルをケガで欠くクダが、好調のヌグリスンビランを0封して引き分けに持ち込んでいます。
 なお、今季開幕前にマラッカ・ユナイテッドから移籍したDFチャン・ソグォンがこの試合を最後に引退を発表しています。2017年にはJ2のファジアーノ岡山でも2試合に出場しているチャン選手は今季開幕からクダのキャプテンを務めていました。
 アキレス腱を痛めて今季の出場が絶望となっているFWデニス・ブシェニングに加えてチャン選手が引退と、外国籍選手2名を失うクダがリーグ中断後も上位に残るためには、トランスファーウィンドウで新戦力獲得は必至となりそうです。

2022年5月18日(水)@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 2-2 スリ・パハン
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ2(17分、88分PK)
⚽️スリ・パハン:サイフル・ジャマルディン(38分)、マヌエル・イダルゴ(42分PK)
🟨JDT(1):シャールル・サアド
🟨スリ・パハン(3):サイフル・ジャマルディン、バキウディン・シャムスディン、ママドゥ・サマサ
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)

 開幕5連勝中でリーグ首位を走るJDTがホームでリーグ8位のスリ・パハンと引き分けています。
 開始からスリ・パハンゴールに迫るJDTが、17分にベルグソン・ダ・シルヴァがスリ・パハンの2人のディフェンダーをあっさりと振り切って先制します。しかもスリ・パハンは28分に中盤のキーマン、デヴィッド・ローリーが負傷退場と、この時点では、この試合もJDTのペースで進むかと思われましたが、38分にペナルティエリア外で粘ったマフムード・ザアタラからのパスを受けたサイフル・ジャマルディンがノートラップでシュート。これがゴールポストに当たるもゴール内にはね返ってスリ・パハンが同点に追いつきます。
 さらに全半終了間際の42分には、JDTのシャールル・サアドがマフムード・ザアタラを倒してPKを与えてしまいます。ただし映像を見る限りではファウルをしたのはペナルティエリアの外に見えた「疑惑の判定」でしたが、VARのないMリーグではどうしようもありません。このPKをマヌエル・イダルゴが決めて、スリ・パハンが逆転し、このまま前半が終了しました。ちなみにJDTが相手にリードを許すのはこの試合が初めてです。
 後半に入るとJDTのベンヤミン・モラ監督はサフィク・ラヒム、ラマダン・サイフラーら先日発表された代表候補に招集されている選手を投入しますが、スリ・パハンは全員が文字通り、身体を張って防戦します。このままJDTに今季初黒星が着くかと思われた88分、今度はベルグソン・ダ・ダシルヴァがスリ・パハンのペナルティエリア内で倒されてPKを得ます。こちらも自身で倒れ込んだようにも見えた「疑惑の判定」で、スリ・パハンの選手が猛烈に抗議をしたものの、判定が覆ることはなく、自身でPKを蹴ったベルグソン・ダ・シルヴァが今季8得点目となるゴールを決め、土壇場でJDTが引き分けに持ち込んでいます。

今節予定されていたスランゴール対PJシティ、トレンガヌ対マラッカ・ユナイテッドは、それぞれ8月4日と8月28日に順延されています。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第8節終了時)

チーム勝点
1JDT65101531216
2SAB7502136715
3NSE8431117414
4KDA94141317-414
5KLC94141616013
6SEL522112938
7PJC72231113-28
8SRP8224911-28
9MEL621368-27
10SWU9216817-97
11TRE42025506
12PEN8035916-73
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第9節終了時)

ゴール数選手名所属
18ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
27ロナルド・ンガKDA
36カイオンSEL
45エラルド・グロンNSE
5ダレン・ロックPJC
64フェルナンド・フォレスティエリJDT
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

5月18日のニュース
アジアカップ最終予選に向けた代表候補29名が発表-そのうち14名はJDTから
トランスファーウィンドウ期間に退団しそうな選手をMリーグが名指し

アジアカップ最終予選に向けた代表候補29名が発表-その内14名はJDTから

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトなどで、AFC選手権アジアカップ2023年大会最終予選に向けた代表候補合宿参加選手29名と予備候補選手11名を発表しています。

今週金曜日5月19日から始まる合宿は、6月8日から始まるアジアカップ最終予選、そしてその前哨戦として予定されている、キム・パンゴン監督国内デビューとなる5月27日のブルネイ戦(注:ミャンマー戦から変更されたようです)、そして6月1日の香港戦に向けて開催されます。

開幕まで1年に迫りながら、新型コロナ蔓延を理由に中国が開催権を返上し、現時点ではどこで行われるのかが決まっていないアジアカップですが、このアジアカップ最終予選でE組に入っているマレーシアは、6月8日にトルクメニスタン、6月11日にバーレーン、そして6月14日にはバングラディシュと対戦し、このE組1位がアジアカップ本戦に出場します。

今年3月にシンガポールで開催された3カ国対抗で初めてマレーシア代表の指揮を取ったキム監督ですが、今回発表された代表候補は、その時のメンバー25名中20名が招集されています。外れた5名はDFアイディル・ザフアン(JDT)、FWラマダン・サイフラー(JDT)、FWザフリ・ヤハヤ(KLシティ)と、現在、ベトナムで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場中のFWルクマン・ハキム(KVコルトレイク- ベルギー1部)とDFクェンティン・チェン(スランゴール)です。

なおアイディル、ラマダン、ザフリの3選手は今回、同時に発表された予備候補選手11名のリストに含まれています。またルクマンとチェン両選手は、6月1日に開幕するAFC U23アジアカップに出場が予想されることから、今回のメンバーから外れていると思われます。

また、今回キム監督が就任後に初めて招集した9名は、DFマシュー・デイヴィーズ、MFアフィク・ファザイル、FWギリェルメ・デ・パウラ、MFナズミ・ファイズ(以上JDT)、GKシャイハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)、DFジュニオール・エルドストール(チョンブリーFC-タイ1部)、FWノーシャルル・イドラン・タラハ(マラッカ・ユナイテッド)の他、3カ国対抗出場の代表候補に選ばれながら、新型コロナ感染で辞退したダレン・ロック(PJシティ)、妻の出産で辞退したシャーミ・サファリ(JDT)となっています。

なお今回の代表候補合宿参加の29名はブルネイ、香港との国際親善試合後に、アジアカップ最終予選出場の23名に絞り込まれる予定になっています。

*****

今回のメンバーは、昨年末のスズキカップグループステージ敗退の責任を取って辞任したタン・チェンホー前監督時代の顔ぶれと大きく変わらず、キム監督のカラーが見えない顔ぶれで、新戦力を期待するサポーターの中からは失望の声も一部では上がりました。特に所属するJDTではほとんど出番がないギリェルメ・デ・パウラや、そのJDTでも出番がないことから期限付き移籍を続けるリリドン・クラスニキの両帰化選手(マレーシア国内リーグで5年連続してプレーしたことでマレーシア国籍を取得した選手)を選んでいる点については、このメンバーが発表になった際には疑問の声もネット上で散見されました。

U23代表のクェンティン・チェンやMFムカイリ・アジマル(スランゴール)、FWルクマン・ハキムらは、アジアカップ最終予選が、U23アジアカップの開催時期と重なっていなければ、キム監督が代表に呼びたかった選手かも知れません。いずれにせよ、アジアカップ本戦出場は期待は高まっているものの、容易ではないことはサポーターも理解しているのでこの最終予選を突破できなくとも、直ちにキム監督解任の声は上がらないでしょう。それでもベトナム、タイに大きく差をつけられた現状の中、今後に希望を持たせるような戦いぶりは見せてもらいたいものです。

代表候補合宿参加者リスト

ポジション氏名年齢所属
GKファリザル・マーリアス36JDT
DFシャーミ・サファリ24JDT
DFシャールル・サアド29JDT
DFラヴェル・コービン=オン31JDT
MFシャマー・クティ・アバ 25JDT
MFナズミ・ファイズ28JDT
MFサフィク・ラヒム35JDT
FWアリフ・アイマン20JDT
FWサファウィ・ラシド25JDT
FWアキヤ・ラシド23JDT
FWモハマドゥ・スマレ28JDT
DFマシュー・デイヴィーズ27JDT
MF アフィク・ファザイル28JDT
FWギリェルメ・デ・パウラ36JDT
GKカラムラー・アル=ハフィズ27PJC
FWコギレスワラン・ラジ24PJC
FWダレン・ロック32PJC
DFカイル・ジョーンズ33NSE
DF クザイミ・ピー29NSE
GKシャイハン・ハズミ26NSE
FWファイサル・ハリム24TER
GK.カイルルアズハン・カリド33SEL
FWシャフィク・アフマド27KDA
DFドミニク・タン25SAB
MFアザム・アジー27SRP
DFディオン・クールズ26ズルテ・ワレヘム
MF リリドン・クラスニキ30オディシャ
DFジュニオール・エルドストール31チョンブリー
FW. ノーシャルル・36MEL
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TER-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド またズルテ・ワレヘムはベルギー1部、オディシャはインドスーパーリーグ、チョンブリーはタイ1部のクラブ

予備候補選手リスト

ポジション氏名年齢所属
DFアイディル・ザフアン35JDT
FWラマダン・サイフラー22JDT
MFナチョ・インサ36JDT
DF シャルル・ナジーム23SEL
FWシャーレル・フィクリ28SEL
FWザフリ・ヤハヤ28KUALA LUMPUR CITY FC
MFセルヴァン・アンブアラガン22NSE
GKカトゥル・アヌアル25PEN
DF リザル・ガザリ30SAB
FWシャミー・イスズハン27SWU
DFアリフ・ファジラー26TER
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TER-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド
トランスファーウィンドウ期間に退団しそうな選手をMリーグが名指し

アジアカップ予選やU23アジアカップなどがあることから、Mリーグ1部スーパーリーグは5月17日と18日の第9節が終わるとおよそ1ヶ月ほどの中断期間に入ります。これに合わせてMリーグの今年2度目の移籍期間トランスファーウィンドウも今月5月28日から6月24日まで設定されています。リーグ前半は不調であったクラブの中には、新戦力を獲得して後半の巻き返しを図るチームもあるでしょう。そんなとき、手っ取り早いのは外国籍選手の入れ替えです。現在、在籍している外国籍選手が期待通りの働きをしない、あるいはチームの戦術に合わない、あるいはチーム不振の原因を外国籍選手に責任転嫁、など理由は色々あるでしょうが、このトランスファーウィンドウ期間中にMリーグを去る選手も1人、2人ではないはず。

そんな中、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの公式アプリであるShoot!が「トランスファーウィンドウで退団しそうな外国籍選手5名」という見出しの記事を掲載しています。こんな記事をリーグ運営者が公式アプリに掲載するのはどうなの?とは思いますが、分析は至って客観的に行われているので、その記事の内容をかいつまんで紹介します。

「トランスファーウィンドウで退団しそうな外国籍選手5名」
1. コッシ・アデトゥ(ヌグリスンビラン)-26歳/FW/ガーナ
 この選手は今季ここまでわずか1ゴールしか挙げておらず、快進撃を続けるヌグリスンビランは、アタッカーのこの選手ではなく、ディフェンダーながらチームの得点王エラルド・グロンを中心とするチームになっている。
 チームサポーターからこの選手の名が挙げることも少なくなっている。さらに、直近のJDT戦でも、キーパーと1対1となった得点機を逃すなど、この選手がチームに必要かどうかの議論は止まらない。
*ボラセパマレーシアJP評
JDT戦では0-0で試合終盤まで粘ったヌグリスンビランが、このコッシ選手が試合終了間際に訪れた絶好の得点機を逃した後、ロスタイムに失点してJDTに敗れています。王者JDTとの引き分けていれば、無敗記録が続くだけでなく、リーグ上位も狙える可能性が高くなっただけにその失望も大きかったといえます。開幕前は北キプロスリーグでは28試合で26ゴールを挙げたストライカーという触れ込みでしたが、その片鱗を見せることなく、チームを去る可能性があります)

2. デニス・ブシェニング(クダ)-31歳/FW/タイ
 この選手は開幕から2試合出場した後、アキレス腱負傷による手術を受け、完治6ヶ月の診断を受けている。現在の苦しいチーム事情を考えると、この選手をクダが契約し続ける利点はない。さらに昨季はMリーグ2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドでプレーし、かつてはクダでもプレー経験があるたサンドロ・ダ・シルヴァの獲得が噂され、またアイディル・シャリン監督もこのブシェニングの処遇について経営陣と話し合う予定があることを明らかにしていることから、2季連続リーグ2位のチームにこの選手が戻ることはなさそうだ。
*ボラセパマレーシアJP評
 Mリーグ3季目のブシェニング選手は、クパー・シャーマン、チェチェ・キプレの両FWが同じMリーグ1部スーパーリーグのトレンガヌに移籍した穴を埋める期待がされていましたが、完治6ヶ月ではリーグも終わってしまいますので、残留は難しそうです。

3. ケヴィン・クベンバ(KLシティ)-29歳/FW/コンゴ共和国
 外国籍FWの獲得に関して言えば、近年のKLシティは最も失敗しているクラブと言える。ボヤン・ホダック監督はこの選手に何度も機会を与え続けているが、それに応えることはできておらず、また今季は未だ1ゴールしか挙げられておらず、チームが他のフォワードに頼らなければならない状況を考えると、今後の残留はKLシティの財政状況次第となるだろう。
*ボラセパマレーシアJP評
 昨季は前年トレンガヌでプレーしたドミニク・ダ・シルヴァを獲得したものの、6試合で3ゴールしか挙げられなかったことからシーズン半ばで契約解除したKLシティでしたが、代わりに獲得したキリアン・ヌワブエズが1試合出場しただけで膝前十字靱帯ACL損傷、その後のシーズンを棒に振るなどフォワード獲得がことごとく失敗しています。また給料遅配が明らかになっているクラブに、クベンバ選手に代わる選手を獲得する資金があるかどうかも不明です。

4. マフムード・ザアタラ(スリ・パハン)-31歳/FW/レバノン
 FAカップのFAM-MSNプロジェクト戦では2ゴールを挙げているものの、リーグ戦はここまでわずか1ゴール、しかもそれがPKでは残留が難しいだろう。
*ボラセパマレーシアJP評
 スーパーリーグは外国籍選手5名(内アジア枠1名、アセアン東南アジア枠1名)の登録が可能な中、GKママドゥ・サマサ(マリ)が在籍するスリ・パハンは、残る4名のフィールドプレーヤーに求められるものは大きく、元ヨルダン代表とは言え、2勝1分4敗という今季のチーム成績を考えると、その期待に応えられていないザアタラ選手は厳しい立場にいます。

5. フランシス・コネ(サラワク・ユナイテッド)-31歳/FW/トーゴ
 外国籍フォワードとしては期待外れに終わっているこの選手は、FAカップも含めると今季は10試合で3ゴールを挙げているものの、その内2ゴールはPKであり、それにはFAカップで3部のクラブを相手にあげたものも含まれている。
 今季Mリーグ3季目ながら、KL、ヌグリスンビランといずれも1シーズンで退団しているだけに、サラワク・ユナイテッドでのプレー期間も残り少なくなっている可能性がある。
*ボラセパマレーシアJP評
 当時2部プレミアリーグにいたKLで2020年シーズンにプレーした際にはチーム最多の7ゴールを挙げ、クラブの1部昇格に貢献し、昨季プレーしたヌグリスンビランでも出場8試合で5ゴールを挙げ、やはりプレミアリーグから1部スーパーリーグへの昇格に貢献しているコネ選手。プレミアリーグの実績は悪くないものの、そこから読み取れるのは、コネ選手はプレミアリーグでは通用しても、スーパーリーグでは通用しない選手ということかも知れません。

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン第7節結果とハイライト映像

Mリーグ2部プレミアリーグ今季2022年シーズン第7節が5月7日から5月11日にかけて開催されました。
(各試合のハイライト映像は、MFLの公式YouTubeチャンネルより)

2022年5月7日(土)@MBPGスタジアム(ジョホール州パシル・グダン)
JDT II 5-1 PDRM
⚽️JDT:ビエンベニード・マラニョン2(47分、89分)、シャマー・クティ・アッバ(55分)、フェルナンド・ロドリゲス(67分)、ガブリエル・ニステルローイ(69分)
⚽️PDRM:マルティン・アダメック(72分)
🟨JDT(1):アイサル・ハディ
🟨PDRM(1):サイフル・ハスノル・ラフィ
MOM:シャマー・クティ・アッバ(JDT II)

2022年5月7日(土)@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
UITM 0-2 クチンシティ
⚽️クチンシティ:ファイズ・ワン・スライマン(24分)、アミル・アムリ・サレー(90+4分)
🟨UITM(2):レンディ・リニン、アフザル・アクバル
🟨クチンシティ(0):アブ・カマラ、イルファン・シャズミン・ワハブ
MOM:マズワンディ・ゼカリア(クチンシティ)
 クチンシティの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。

2022年5月8日(日)@スルタン・イスマイル・ナシルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラ・トレンガヌ)
トレンガヌII 0-1 クランタン
⚽️クランタン:ヌルシャミル・アブドル・ガニ(20分)
🟨トレンガヌ(3):アキル・イルファウディン、フィルダウス・ルスディ、サムスル・イクラン・ダウド
🟨クランタン(1):アリプ・アミルディン
🟥トレンガヌ(1):アルグジム・レゾヴィッチ
MOM:ミオル・ダニ・アルミン・ミオル・アリフェン(クランタン)

2022年5月9日(月)@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
スランゴール2 1-1 クランタン・ユナイテッド
⚽️スランゴール:アブドル・ラーマン・ダウド(8分)
⚽️クランタン:アリフ・ナジミ(78分)
🟨スランゴール(4):アキル・ファドリ、リッチモンド・アンクラ
🟨クランタン(0)アキフ・アフィジ・ラムリ
MOM:アブドル・ラーマン・ダウド(スランゴール2)
 クランタン・ユナイテッドの深井脩平と本山雅志両選手は先発し、深井選手はフル出場、本山選手は79分に途中交代しています。

2022年5月11日(水)@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
FAM-MSNプロジェクト 0-1 ペラ
⚽️ペラ:フィルダウス・サイユディ(63分)
🟨FAM(1):アミルル・アクマル
🟨ペラ(0):ハキミ・マット・イサ、ナズミ・アフマド、フィルダウス・サイユディ
🟥ペラ(1):ナズミ・アフマド(イエロー2枚目)
MOM:フィルダウス・サイユディ(ペラ)

2022年シーズン プレミアリーグ順位表(第7節終了時)

チーム得失差勝点
1JDT76011871118
2KEL7601145918
3KLU741298113
4KCH5311116510
5TRG631273410
6SEL62317439
7PDRM72141017-77
8FAM6015210-81
9UITM6006212-100
10PRK7205816-8*-3
ペラ(PRK)は給料未払い問題の解決が遅れたことにより、勝点9の剥奪処分を受けています。
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRG-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

2022年シーズン プレミアリーグ 得点ランキング(第7節終了時)

ゴール数選手名所属
16ンジョク・ジェイコブKLU
6フェルナンド・ロドリゲスJDT
6マルティン・アダメックPDRM
45ヌルシャミル・アブドル・ガニKEL
53ニクソン・ギリェルメKEL
3ニック・シャリフ・ハセフィSEL
3ムサ・シディベJDT
3ジョーダン・ミンターTRG
3アブ・カマラKCH
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRG-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第8節結果とハイライト映像

Mリーグ1部スーパーリーグは5月10日から11日まで第8節の4試合が行われています。前節同様、現在ベトナムで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場しているマレーシアU23代表に多くの選手が招集されているスランゴールとトレンガヌは、今節から第9節までの試合が6月以降に延期されています。
(各試合のハイライト映像は、MFLの公式YouTubeチャンネルより

2022年5月10日(火)@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 3-2 ペナン
⚽️KLシティ:J・パルティバン(43分)、ロメル・モラレス(55分)、ザフリ・ヤハヤ(78分)
⚽️ペナン:エンドリック(80分PK)、ヒラル・エル=ヘルウェ(87分)
🟨KLシティ(2):ザフリ・ヤハヤ、ジャンカルロ・ガリフオッコ
🟨ペナン(1):ラフィウディン・ロディン
MOM:ザフリ・ヤハヤ(KLシティ)
 3-0とリードし、楽勝かと思われましたが、最後は1点差まで詰め寄られた今日の試合は、不安定な今季のKLシティを象徴するような試合展開でした。
 一方のペナンは、トマス・トゥルチャ監督更迭後の最初の試合でしたが、マンズール・アズウィラ監督代行は今季初勝利を飾れないどころか、降格圏内のさらに深いところまで沈んでしまいました。

2022年5月10日(火)@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 3-3 クダ
⚽️PJシティ:ダレン・ロック(29分)、マハリ・ジャスリ(77分)、カイリル・ムハイミーン(83分)
⚽️クダ:ロナルド・ンガ3(22分、32分、65分)
🟨PJシティ(3):ラフィ・ナグールガニ、ダレン・ロック、サラモン・ラジ
🟨クダ(1):デシ・マルセル
MOM:ロナルド・ンガ(クダ)

 代表FWを争うダレン・ロック(PJシティ)とシャフィク・アフマド(クダ)のマッチアップということで、この試合はスタジムで観戦しました。
 過去3試合でそれぞれ8失点のクダと7失点のPJシティの対戦は、大味な試合が予想されましたが、20分にロナルド・ンガのゴールでクダが先制すると、すかさず29分にはダレン・ロックが同点ゴールを決めるなど派手な試合になりそうな予感は高まります。
 この試合に勝てば単独首位に浮上するクダは、32分、65分とゴールを決めたロナルド・ンガがハットトリックを達成し、流石にこのまま逃げ切るかと思いきや、PJシティのP・マニアム監督の選手起用が当たりました。いずれも途中出場のマハリ・ジャスリとカイリル・ムハイミーンがそれぞれゴールを決め、あわや3連敗というところをベテラン2人の活躍でPJシティが引き分けに持ち込んでいます。
 クダは逆転負けした前節のマラッカ・ユナイテッド戦同様、75分以降に2失点と終盤の失点が響いて痛い引き分けとなりました。なおクダの17失点(8試合)はリーグ最多で、昨季の28失点(22試合)を考えると、DF陣立て直しが急務です。一方のPJシティはベテラン2人の活躍で
 個人的に注目したダレン・ロックは、チームの先制点は決めたものの、試合では孤立する場面が多かったこともあり、見せ場はほとんどなく、運動量が持ち味のシャフィク・アフマドも太ももを痛めているのか動きが悪く、また試合中は足を引き摺る場面もあり、結局、途中交代となっています。

2022年5月11日(水)@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
スリ・パハン 1-2 サラワク・ユナイテッド
⚽️スリ・パハン:マヌエル・イダルゴ(45+3分)
⚽️サラワク:ヌル・シャミー・イズアン(55分)、ウチェ・アグバ(73分PK)
🟨サラワク(3):アスリ・チュチュ、ボリス・コック、ノーマン・アンクン
🟨スリ・パハン(0)
🟥スリ・パハン(1):ムスリム・アフマド
MOM:マヌエル・イダルゴ(スリ・パハン)

 前節でKLシティに勝利し、今節は今季1勝のサラワク・ユナイテッドをホームに迎えたスリ・パハンは、好調を維持したいところでしたが、40分にムスリム・アフマドが一発レッドで退場となり、苦しい展開となりました。それでもMFマヌエル・イダルゴが好機を何度も演出しますが、得点には至りません。そんな中、前半終了間際に自分でシュートを放ってゴールを決めたマヌエル・イダルゴが文字通り、孤軍奮闘し、スリ・パハンが1-0とリードして前半を終えます。
 後半に入るとギアを上げたサラワク・ユナイテッドがゴールに迫り、ついに55分にはヌル・シャミー・イズアンがスリ・パハンのディフェンダーをかわしてゴールを決め同点。さらに73分にはスリ・パハンのアシャル・アル=アフィズが自陣ペナルティエリア内で、サラワク・ユナイテッドのゴピナタン・ラマチャンドラを倒してPKを献上。これをウチェ・アグバが決めて、サラワク・ユナイテッドが逆転します。サラワク・ユナイテッドはその後も何度か追加点チャンスがあったものの、それを生かせず。最小得点差での勝利で今季2勝目を挙げています。

2022年5月11日(水)@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 0-1 JDT
⚽️JDT:フェルナンド・フォレスティエリ(90+10分)
🟨ヌグリスンビラン(3):ザクアン・アドハ、シャイハン・ハズミ、クザイミ・ピー
🟨JDT(4):マシュー・デイヴィーズ、ナタニエル・シオ、シャールル・サアド、アフィク・ファザイル
🟥ヌグリスンビラン:マテウス・アウヴェス*試合終了後に退場
MOM:シャイハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)

 今季開幕前に、第8節のこのカードが首位攻防戦になるとは誰も予想しなかったでしょう。リーグ8連覇中の王者JDTは、ACL出場のため、今季はまだ4試合しかしていませんが、4戦全勝で勝点12を挙げ、一方のヌグリスンビランは1部昇格初年度ながら、ここまでの6試合を4勝2敗と負けなしの快進撃でやはり勝点14を挙げて首位を走っています。リーグ首位のヌグリスンビランが2位JDTをホームに迎えたこの試合は、前半戦の大一番となりました。
 この重要な試合で、DF陣の要でもありチーム得点王でもあるDFエラルド・グロンをケガで欠くヌグリスンビランのK・デヴァン監督がこの試合で選択したのは、ホームにもかかわらず選手を自陣に張り付ける超守備的布陣でした。しかし、この戦術が功を奏し、またこの試合のMOMにも選ばれているヌグリスンビランGKシャイハン・ハズミの好セーブもあり、JDTは得点を挙げることができません。
 さらにはヌグリスンビランのあからさまな時間稼ぎの行為も見られる中、試合はこのまま引き分けかと思われましたが、ロスタイムが10分と異例の長さで表示されました。そしてテレビの画面では明らかに10分以上のロスタイムがとられ、スタジアムもざわつき始めたその時でした。ラヴェル・コービン=オンのスローインを受けたフェルナンド・フォレスティエリがペナルティエリアの外から放ったシュートがシャイハン・ハズミの伸ばした指先をかすめてゴール!文字通り最後のワンプレーでJDTが首位攻防戦を制しています。
 なお、この試合の終了後、主審に激しく抗議したヌグリスンビランのマテウス・アウヴェスがレッドカードを出されています。
 大きな試合中断がなかったにもかかわらず10分のロスタイムが取られてことは異例で、マテウス・アウヴェスはこれについて激しく抗議したようですが、上でも書いたようにヌグリスンビランは、試合中、明らかな遅延行為を繰り返しており、そこは自業自得では、という印象でした。

今節予定されていたマラッカ・ユナイテッド対スランゴール、サバ対トレンガヌの試合は6月下旬に延期されています。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第8節終了時)

チーム勝点
1JDT55001311215
2NSE7421117413
3KDA84041317-413
4SAB640294512
5KLC83141415-110
6SEL522112938
7PJC72231113-28
8PHG7214911-27
9MLU621368-27
10SWU8215715-87
11TRG42025506
12PEN7034712-53
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRG-トレンガヌ、PHG-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MLU-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第8節終了時)

ゴール数選手名所属
17ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
7ロナルド・ンガKDA
36カイオンSEL
45エラルド・グロンNSE
5ダレン・ロックPJC
64フェルナンド・フォレスティエリJDT
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRG-トレンガヌ、PHG-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MLU-マラッカ・ユナイテッド

5月12日のニュース
東南アジア競技大会グループステージ第3節-マレーシアはラオスに快勝でグループ首位に浮上(ハイライト映像あり)
今季未勝利のペナンがトマス・トゥルチャ監督と契約解除

東南アジア競技大会グループステージ第3節-マレーシアはラオスに快勝でグループ首位に浮上(ハイライト映像あり)

ベトナムで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズ、サッカー男子に出場中のマレーシアU23代表は、グループステージB組第3節でラオスに3-1と快勝し、B組の首位に浮上しています。

初戦のタイ戦では、脳震盪の疑いで途中退場したアザム・アズミ(トレンガヌ)に代えてクエンティン・チェン(スランゴール)、負傷退場したハイリー・ハキム(トレンガヌ)に代えてサフアン・マズラン(トレンガヌII)、またアズリン・アフィク(スランゴール)に代えてファイズ・アメル(スランゴール2)とDF陣3名を入れ替えたブラッド・マロニー監督は、タイ戦同様、ルクマン・ハキム(KVコルトレイク)、シャヒル・バシャー、ダニアル・アスリ(いずれもスランゴール)のFW陣でこの試合に臨みました。

今年2月の東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権では、ベストメンバーではなかったとは言え、0-2、1-2とまさかの連敗を喫して準決勝進出を逃しているラオスを相手に、マレーシアはそのリベンジとばかりに、試合開始から自陣に引き気味のラオスに猛攻を仕掛けます。

ここまで5月7日のグループステージ開幕以来、5日間で3試合目となったラオスに対し、第2節は試合がなく、初戦から中3日と休養十分のマレーシアは試合を有利に進めるものの、決定機がないまま試合が進む中、36分に均衡が破れます。ニック・アキフ(トレンガヌ)がラオスDF陣の裏に出したパスを受けたルクマン・ハキムがそのまま持ち込みシュート。これが決まりマレーシアが1-0とリードします。

43分にはシャヒル・バシャーがペナルティエリアの外からシュートを決め、このシャヒル・バシャーの代表初ゴールでリードを2点と広げ、前半は2-0で終了します。

後半に入っても攻撃の手を緩めないマレーシアは68分にルクマン・ハキムがこの日2点目となるゴールを決め、3−0としますが、この辺りから気が緩んだのか、ラオス攻撃陣が徐々にマレーシアゴールに迫ります。GKアズリ・アブドル・ガニの好セーブもあり、ラオスの攻撃を凌いだものの、ついに85分には失点してしまいますが、ラオスの反撃はここまで。AFF U23選手権の借りを返したマレーシアが2連勝でB組首位に浮上しています。

東南アジア競技大会2021年大会
グループステージB組 第3節
5月11日(水)
ティエンチュオン・スタジアム(ナムディン-ベトナム)
マレーシア 3-1 ラオス
⚽️マレーシア:ルクマン・ハキム2(36分、68分)、シャヒル・バシャー(43分)
⚽️ラオス:ヴィシス・ ボーンパサース(85分)
🟨マレーシア(0)
🟨ラオス(4):チャンターウィサイ・クトーンフォン、フォウタウォン・サンウィライ、ケオ=ウドン・スワンナサンソ、フッタサイ・ホージャルーン
(下はマレーシアU23代表の先発XIとハイライト映像。映像はアストロアリーナの公式YouTubeより)

東南アジア競技大会2021年大会
グループステージB組 第3節
5月11日(水)
ティエンチュオン・スタジアム(ナムディン-ベトナム)
カンボジア 0-1 シンガポール
⚽️シンガポール:サイフラー・アクバル(36分)
🟨カンボジア(1):キー・リナ
🟨シンガポール(1):ジャリッド・ギャラガー

東南アジア競技大会2021年大会 グループステージB組 順位表(第3節終了時)

チーム得失差勝点
1マレーシア22005236
2シンガポール311137-44
3タイ21016243
4カンボジア21014223
5ラオス301249-50

東南アジア競技大会2021年大会 グループステージA組 順位表(第3節終了時)

チーム得失差勝点
1ミャンマー22004226
2ベトナム21103034
3フィリピン31116333
4インドネシア21014403
5東ティモール3003311-80

東南アジア競技大会2021年大会 グループステージ日程と結果

5月6日(金)
フィリピン 4-0 東ティモール、ベトナム 3-0 インドネシア
5月7日(土)
ラオス 2-2 シンガポール、タイ 1-2 マレーシア
5月8日(日)
東ティモール 2-3 ミャンマー、ベトナム 0-0 フィリピン
5月9日(月)
ラオス 1-4 カンボジア、シンガポール 5-0 タイ
5月10日(火)
ミャンマー 3-2フィリピン、インドネシア 4-1 東ティモール
5月11日(水)
カンボジア 0-1 シンガポール、マレーシア 3-1 ラオス
5月13日(金)
フィリピン対インドネシア、ミャンマー対ベトナム
5月14日(土)
シンガポール対マレーシア、タイ対カンボジア
5月15日(日)
インドネシア対ミャンマー、東ティモール対ベトナム
5月16日(月)
マレーシア対カンボジア、ラオス対タイ

今季未勝利のペナンがトマス・トゥルチャ監督と契約解除

Mリーグ1部スーパーリーグのペナンは、クラブ公式Facebook上でトマス・トゥルチャ監督の契約を正式に解除したことを発表しています。ペナンは開幕から6試合勝利がなく、クラブは今月に入って「安全上の理由」からトゥルチャ監督を休養させることを発表したばかりでした。

昨季1部スーパーリーグに昇格したペナンは、昇格初年度でJDT、クダに次ぐ3位となり、トゥルチャ監督の手腕は高く評価されていました。

しかし、スーパーリーグ終了のマレーシアカップでは、グループステージで1勝1分4敗のグループ最下位となり、ノックアウトステージへ進めなかった頃から、一部サポーターの間で不満の声が上がっていました。

昨季は12勝6分6敗、勝点41で3位という成績だったことから、さらに上位へと期待が高まった今季でしたが、ペナンは今季ここまで6試合の成績は0勝3分3敗、勝点3で12チーム中、最下位です。

昨季終了後、DF陣の中心だったインドネシア代表DFリュウジ・ウトモは、期限付き移籍期間を終えてインドネシア1部のプルシジャ・ジャカルタに復帰、タジキスタン代表FWのシェリディン・ボボエフも退団、またマレーシア人選手では昨季、いずれもチームの活躍が認められて初めてA代表に招集されたFWアル=ハフィズ・ハルンがクダへ、GKサミュエル・サマーヴィルがスランゴールへ移籍、さらにMFカイルル・アズリンや帰化選手のデヴィッド・ロウリーら主力選手が流出するなど、選手の顔ぶれも変わっていまた。

また今季開幕前には、スリ・パハンとのプレーシーズンマッチでのラフプレーから、FWカサグランデ、MFエンドリックと主力が2試合の出場停止処分を受けて不在となるなど、昨季と全く別のチームと言って良い陣容では、不安材料しかない中で迎えた開幕でしたが、その不安がまさに最悪の形で露呈した形になりました。

新外国籍選手のFWヒラル・エル=ヘルウェ(レバノン)はここまで出場5試合で3ゴールを挙げ、、チーム合流が遅れたDFクリスティアン・ロンティーニもここ4試合は先発でフル出場しているものの、残留したカサグランデ、エンドリックそしてDFラファエル・ヴィトールのブラジルトリオがケガなどから昨季ほどの影響力は見せられておらず、その結果が6試合で得点7、失点12という形になって現れています。

開幕6試合未勝利を理由に、事実上更迭となったトゥルチャ監督ですが、昇格初年度3位という偉業が評価されないまま、チームを去ることになりました。

*****

トゥルチャ監督退団語のスーパーリーグ第7節KLシティ戦では、監督代行として今季残り試合の采配を振るうことになったマンズール・アズウィラコーチが指揮を取りました。ラファエル・ヴィトールとカサグランデがケガ、フィリピンU23代表のクリスティアン・ロンティーニはベトナムで開催中のシーゲームズに出場で不在と、この試合も苦しい布陣でしたが、エンドリック、ヒラル・エル=ヘルウェと点を取るべき選手がゴールを決めたものの。ここまで6試合で12失点と課題の守備がこの試合でも機能せず、3失点した結果、3-2で敗れています

マンズール監督代行は、2020年シーズンには監督として、2部プレミアリーグでクラブを優勝に導きましたが、1部スーパーリーグで監督をするためのAFCプロライセンスを保持しておらず、1部昇格後はコーチに就任、クラブは外部からトゥルチャ監督を招聘した経緯があります。

Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第7節結果とハイライト映像

イスラム教の断食明けの休みも終わり、Mリーグ1部スーパーリーグが再開し、5月6日から8日まで第7節の3試合が行われています。なお5月6日に開幕した東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場しているマレーシアU23代表に多くの選手が招集されているスランゴールとトレンガヌ、そしてACLグループステージI組の試合会場となったスルタン・イブラヒムスタジアムのピッチ改修を行なっているJDTは、今節から第9節までの試合が6月以降に延期されています。
(各試合のハイライト映像は、MFLの公式YouTubeチャンネルより

2022年5月6日(金)@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ 2-3 マラッカ・ユナイテッド
⚽️クダ:ロナルド・ンガ(20分)、シャフィク・アフマド(37分)
⚽️マラッカ:イフェダヨ・オルセグン2(23分、90+2分)、エマヌエル・オティ(78分)
🟨クダ(3):ジャン・スクウォン、アザムディン・アキル、アミルル・アズハン
🟨マラッカ(3):アクマル・ザヒル、ワン・ザハルルニザム・ザカリア、ファドリ・シャス
MOM:イフェダヨ・オルセグン(マラッカ)
 先月4月の4試合を2勝2敗の五分で終えたものの、4得点9失点と勝つときは僅差で、負けるときは大敗と安定しない試合が続いているクダ。3試合ぶりのホームに戻り、今季まだ1勝のマラッカ・ユナイテッドを相手に勝点3を積み上げたい試合でした。今節は首位のJDTの試合がなく、勝てば今季初の首位となる試合でしたが、この試合でもGKイフワット・アクマルの捕球ミスなど守備陣が最後の12分で2失点し、逆転負けを喫しています。その一方で、出場機会ががなかったJDTから期限付き移籍中のシャフィク・アフマッドが1アシスト1ゴールと活躍し(特にゴールはそのテクニックが光るゴールでした)、来月のアジアカップ予選に向けてキム・パンゴン代表監督へのアピールにもなったのではないでしょうか。
 この試合の勝利で2連勝となったマラッカ・ユナイテッドは、エースのイフェダヨ・オルセグンが今季初ゴールを挙げています。スランゴールでプレーした昨季は22試合で26ゴールを量産し、4シーズンぶりにマラッカ・ユナイテッドに復帰したものの、ここまで5試合で無得点でした。チームもこの試合前まで1勝1分3敗でチーム総得点が4と苦しい試合が続き、先月途中にはリスト・ヴィダコヴィッチ監督が辞任していました。この試合のイフェダヨ選手は2ゴールの場面以外でも好調時そのものの動きでしたので、ここから期待できそうですが、マラッカ・ユナイテッドは第8節のスランゴール戦、第9節のトレンガヌ戦がいずれも6月に延期されており、今月はFAカップ2回戦しか試合がありません。イフェダヨ選手もチーム状態も上がってきているだけに、コーチから昇格したアスリ・インガル監督代行にとっても頭の痛いところでしょう。

2022年5月6日(金)@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 1-2 ヌグリスンビラン
⚽️サラワク:ボリス・コック(51分)
⚽️ヌグリスンビラン:エラルド・グロン(64分PK)、マテウス・アウヴェス(69分)
🟨サラワク(1):L・カライハラサン
🟨ヌグリスンビラン(4):サイフル・リズアン、ナスルラー・ハニフ、エラルド・グロン、ハリズ・カマルディン、シーハン・アズミ
🟥サラワク(1):シャルビニー・アラウィー
MOM:マテウス・アウヴェス(ヌグリスンビラン)
 今季ここまでの5試合を3勝2分0敗と無敗で迎えたヌグリスンビランが、昨季は同じ2部で昇格争いを繰り広げた、サラワク・ユナイテッドとの対戦。ヌグリスンビランとは逆に、ここまで1勝1分4敗と1部スーパーリーグで苦しんでいるサラワク・ユナイテッドですが、先手を取ったのはホームのサラワク・ユナイテッドでした。0-0で前半を折り返した後半の51分に、ボリス・コックのヘディングシュートが決まり、サラワクが先制します。しかし、64分にはゴンザロ・ソトが自陣ペナルティエリア内でデヴィッド・マウーターを倒して、ヌグリスンビランにPKを与えてしまいます。これをエラルド・グロンが決めてヌグリスンビランは同点に追いつくと、その5分後には、自らドリブルで持ち込んだマテウス・アウヴェスがゴールを決め、2-1とサラワクをリードしました。その後のチャンスを両チームとも生かせず、試合はこのまま終了しました。
 この試合の勝利で勝点13となったヌグリスンビランは、試合数の少ないJDTなどを抜いて、今季初の首位に浮上した一方、サラワク・ユナイテッドは7試合で勝点4の11位となっています。

2022年5月7日(土)@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 1-2 スリ・パハン
⚽️KL:パウロ・ジョズエ(86分)
⚽️パハン:アザム・アジー(32分)、マヌエル・イダルゴ(78分PK)
🟨KL(1):デクラン・ランバート
🟨パハン(2):アブドル・マリク、ママドゥ・サマサ
MOM:アザム・アジー(スリ・パハン)
 今季はまだ1勝のスリ・パハンは、この試合ではビリー・ケトケオポムポン、マフムード・ザアタラの両FWを欠き、苦しい展開が予想されましたが、38分にアザム・アジーの3試合連続となるゴールでスリ・パハンが先制しました。その後はケビン・メンドーザ(KLシティ)とママドゥ・サマサ(スリ・パハン)の両外国籍GKの好守で、前半はそのまま1ー0で終了します。その後は拮抗した試合が続きますが、78分にドリブルでKLペナルティーエリア内へボールを持ち込んだマヌエル・イダルゴを止めようとしたKLのDFデクラン・ランバートが痛恨のハンドでPKを与えてしまいます。これをイダルゴ選手が自分で決めて、パハンはリードを2点に広げます。試合終了直前にはKLのパウロ・ジョズエのゴールで1点差に迫られたものの、そのまま逃げ切ったパハンが今季2勝目を挙げています。
 昨季はホームで無敗だったKLシティですが、今季ここまでのホームゲームは2勝1分2敗となりました。

今節予定されていたJDT対PJシティ、ペナン対トレンガヌ、スランゴール対サバの試合は6月下旬に延期されています。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第7節終了時)

チーム勝点
1NSE6420116513
2JDT44001211112
3SAB640294512
4KDA74031014-412
5SEL522112937
6PHG52127617
7KLC72131113-27
8PJC6213810-27
9MLU721368-27
10TRG42025506
11SWU7115514-94
12PEN603359-43
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRG-トレンガヌ、PHG-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MLU-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第7節終了時)

ゴール数選手名所属
17ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
26カイオンSEL
35エラルド・グロンNSE
44ダレン・ロックPJC
4ロナルド・ンガNSE
53アムリ・ヤハヤ他5名JDT
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRG-トレンガヌ、PHG-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MLU-マラッカ・ユナイテッド



マレーシアFAカップ2022年シーズン
1回戦結果とハイライト映像および2回戦組み合わせ

やっと1回戦終了。3年ぶりの開催となったマレーシアFAカップの1回戦が4月29日に終了し、2回戦進出の16チームが全て決定しました。

2022年のFAカップは規模を縮小して、Mリーグ1部スーパーリーグの12チーム、2部プレミアリーグの7チーム、そして3部M3リーグの15チームの合計34チームが出場し、M3リーグクラブ同士のプレーオフを2試合を経て、1回戦は16試合からのスタートとなっています。

FAカップ1回戦は、当初は3月11日から13日にかけて開催が予定されていましたが、新型コロナの影響で中止となった過去2シーズン同様、今季も試合前の検査で陽性反応を示す選手や監督、コーチが続出し、1回戦16試合中、7試合が全てMリーグ1部および2部チームから出た陽性反応者が理由に延期されていましたが、昨日のトレンガヌ対ヌグリスンビラン戦で1回戦が全て終了ました。

2022年3月11日(金)@スルタン・イスマイル・ナシルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
クランタン・ユナイテッドFC 4-0 キナバル・ジャガーズ
⚽️クランタン:ハジック・サブリ(35分)、アシラフ・アリフディン・ヤシン(43分)、アミドゥ・サリフ(53分)、ンジョク・ジェイコブ(59分)
🟨クランタン(1):エバン・ウェンズリー
🟨キナバル(1):アイディル・サフィー
MOM:ンジョク・ジェイコブ(クランタン・ユナイテッド)
 クランタン・ユナイテッドの深井脩平選手は先発して、フル出場しましたが、本山雅志選手はベンチ入りしませんでした。

2022年3月11日(金)@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 6-0 ハリニFT
⚽️スランゴール:カイオン3(17分、63分、67分)、ユーリ(29分)、サフアン・バハルディン(42分)、シャヒル・バシャー(47分)
🟨スランゴール(1):サフアン・バハルディン
🟨ハリニ(2):アフィク・アズアン、ティヴァガル・ラジェンドラン
MOM:カイオン(スランゴール)

2022年3月11日(金)@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFC 4-0 ブキット・タンブンFC
⚽️ペナン:ラファエル・ヴィトール(17分PK)、アリフ・ロムリ(21分)、ラフィウディン・ロディン(64分)、ダニアル・アシュラフ(90+2分)
🟨ペナン(1):ファイルズ・ザカリア
🟨ブキット・タンブン(3):コリブ・マット・ジャイー、ハスヌル・アムラン、ロクマン・リザル
MOM:ハフィズ・ロムリ(ブキット・タンブン_

2022年3月12日(土)@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 2-0 レスペクトFC
⚽️サバ:ウマレン・バチョク(50分)、ナジルル・ナイム(87分)
🟨サバ(2):ラウィルソン・バトゥイル、ウマレン・バチョク
🟨レスペクト(2):ユソフ・アブドラ、B・サンジェフ・ディネシュ
MOM:ウマレン・バチョク(サバ)
 サバの加賀山泰毅選手はベンチ入りしましたが、出場はありませんでした。

2022年3月12日(金)@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマンFC 4-0 サインスFC
⚽️クダ:ファイヤド・ズルキフリ2(18分、47分)、アメル・アズハ2(50分、60分)
🟨クダ(0)
🟨サインス(1):イスカンダル・ノーリザム
MOM:ファイヤド・ズルキフリ(クダ)

2022年3月13日(金)@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州州イスカンダルプテリ)
JDT 10-0 BRM FC
⚽️JDT:フェルナンド・フォレスティエリ3(2分、24分、42分PK)、サフィク・ラヒム(7分)、サファウィ・ラシド(20分)、マウリシオ(56分)、ムサ・シディベ(69分PK)、ダリル・シャム(82分)、モハマドゥ・スマレ(89分)、ダニアル・アミル(90+3分)
🟨JDT(0)
🟨BRM(2):ムザイミール・アブドル・ハディ、ハイカル・アフェンディ
🟥BRM(1):ハイカル・アフェンディ(イエロー2枚)
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)

2022年3月13日(金)@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 2-1 クランタンFC
⚽️PJ:ダレン・ロック(24分)、ラジェス・プルマル(79分)
⚽️クランタン:ファデル・アンター(18分)
🟨PJ(3):D・クガン、カラムラー・アル=ハフィズ、マハリ・ジャスリ
🟨クランタン(0)
MOM:ダレン・ロック(PJシティ)

2022年3月13日(金)@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 8-0 ランカウィシティFC
⚽️KL:ファクルル・アイマン2(13分、29分)、J・パルティバン(15分)、ザフリ・ヤハヤ(45分)、ジャンカルロ・ガリフオッコ(73分)、ハディン・アズマン(76分)、パウロ・ジョズエ(86分)、ケヴィン・クベンバ(89分)
🟨KL(0)
🟨ランカウィ(1):カイルディン・サレー
MOM:ザフリ・ヤハヤ(KLシティ)

2022年3月23日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
サラワク・ユナイテッド FC 7-0 アルティメットFC
⚽️サラワク:ボリス・コック(9分)、ウチェ・アグバ2(51分、71分PK)、ヌル・シャミ(58分)、カイリル・アヌアル(73分)、ザールメイン・アシュラフ(81分)、フランシス・コネ(85分)
🟨サラワク(1):ボリス・コック
🟨アルティメット(0)
MOM:ウチェ・アグバ(サラワク・ユナイテッド)

2022年3月15日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
FAM-MSNプロジェクト 5-1トク・ジャングット・ウォリアーズFC
⚽️FAM:ハイカル・サハル3(32分、51分、62分)、シャミル・スライマン(67分)、ウバイドラー・シャムスル(90+1分)
⚽️トク・ジャングット:カイルル・イズアン・ロスリ(18分)
🟨FAM(1):アイクマル・ロスラン
🟨トク・ジャングット(4):ファドヒラー・パウジ、フィクラム・モハマド、ニザド・アユブ、リドワン・デラマン
🟥トク・ジャングット(1):リドワン・デラマン(イエロー2枚)
MOM:ハイカル・サハル(FAM-MSNプロジェクト)

2022年3月23日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 0-2 プルリス・ユナイテッドFC
⚽️プルリス:アズリザン・アフマド(26分)、ファイザル・カディル(90+6分)
🟨PDRM(3):アミル・サイフル、サフワン・ハズマン、アスリ・ムハマド
🟨プルリス(1):ズルヒルミ・ムスタファ
MOM:ハイロル・ファズリーン(プルリス・ユナイテッド)

2022年3月23日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン FC 0-0 マンジュンシティFC(PK5-4)
🟨スリ・パハン(1):アシャル・アル=アフィズ
🟨マンジュンシティ(1):ソブリ・ハスリ
MOM:ママドゥ・サマサ(スリ・パハン)

2022年3月31日(木)@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 2-0 UITM FC
⚽️クチンシティ:シャフィジ・イクマル(56分)、アリフ・ハサン(62分)
🟨クチンシティ(0)
🟨UITM(1):イザック・イズハン
MOM:マズワンディ・ゼケリア(クチンシティ)
 クチンシティの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。

2022年3月31日(木)@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 1-0 キジャン・レンジャーズFC
⚽️ペラ:ハキミ・マット・イサ(101分)
🟨ペラ(5):イドリス・アフマド。アイマン・カイルル・ユスニ、ナズミ・アフマド、ハキミ・マット・イサ、ロイザット・ダウド
🟨キジャン・レンジャーズ:ズルヒルミ・アワン
MOM:アキル・ヒルマン(ペラ)

2022年3月31日(木)@ハンジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 4-0 PIB FC
⚽️マラッカ:エマヌエル・オティ(11分)、アドリアーノ(56分PK)、ノーシャルル・イドラ・タラハ2(60分、76分)
🟨マラッカ・ユナイテッド(0)
🟨PIB(1):イムラン・アリミ
🟥PIB(1):シュクリ・アズマン
MOM:ノーシャルル・イドラ・タラハ(マラッカ・ユナイテッド)

2022年4月29日(金)スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 2-1 ヌグリスンビランFC
⚽️トレンガヌ:エラルド・グロン(28分OG)、ファイサル・ハリム(38分)
⚽️ヌグリスンビラン:オミド・ナザリ(35分)
🟨トレンガヌ(2):シャールル・ニザム、パペ・ディアキテ
🟨ヌグリスンビラン(1):サイフル・リズワン
MOM:クパー・シャーマン(トレンガヌ)

なお、FAカップ2回戦の組み合わせ抽選は4月27日に既に行われており、対戦カードも以下のように決まっています。

マレーシアFAカップ2回戦日程

5月13日(金)
サバ対クランタン・ユナイテッド@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
5月14日(土)
JDT対サラワク・ユナイテッド@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
スリ・パハン対FAM-MSNプロジェクト@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
マラッカ・ユナイテッド対PJシティ@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
ペラ対ペナン@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
5月17日(火)
プルリス・ユナイテッド対クチンシティ@トゥンク・サイド・プトラスタジアム(プルリス州カンガー)
7月2日(土)
スランゴール対KLシティ@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)

なお2回戦のもう一つのカード、トレンガヌ対クダは日程が発表になっていません。

5月2日のニュース
ペナンFCの監督が「安全上の理由」で休養
U23代表監督は代表デビューを目指す新顔選手に期待

ペナンFCの監督が「安全上の理由」で休養

Mリーグ1部スーパーリーグでペナンFCは、クラブ公式Facebook上でトマス・トゥルチャ監督が「安全上の理由」により休養することを発表しています。

当地のメディアでは練習中にその姿が見られないことから、その去就に関心が集まっていたトゥルチャ監督ですが、ペナンFCのFacebookへの投稿によると、「クラブサポーターが暴力的手段に訴えるなど犯罪行為に及ぶ可能性があるという『警察の助言』」により、トゥルチャ監督に休養を命じたとしており、成績不振などを理由とした懲戒的な理由ではないと説明されています。

ただし、その一方では入場料収入やグッズ購入で貢献するサポーターを「投資者」と呼び、この「投資者」を含めた「ステークホルダー」と公正かつ真摯な話し合いを続けているともしており、実際に「休養」がどのくらい続くのかも、現場復帰があるのかも明らかにしていません。

また同じ投稿では、今月5月から「銀行の引き出し限度額上の都合」で給料支払いの遅れが出る可能性についても言及されていたり、クラブの運営にかかる費用についても詳細に説明されており、これを読む限りでは、クラブの経営が苦しくなっているか、そうなる予兆があることを「投資者」に対して仄めかしているように読み取れます。

ペナンFCは昨季2021年に2部プレミアリーグから1部スーパーリーグに昇格し、昇格初年度でリーグ3位と好成績を収めていますが、その後のマレーシアカップではグループステージで敗退し、一部サポーターからは監督交代を含めたチーム批判が吹き出していました。

また今季開幕前には、ペナンFCでのプレーが今季で3シーズン目となるブラジル出身のエンドリックが、2023年には同じ1部スーパーリーグで8連覇中のJDTに移籍することが、当のJDTから発表されるという不可思議なことも起こっていました。

U23代表監督はシーゲームズで代表デビューを目指す新顔選手に期待

今月5月にベトナムのハノイで開幕する東南アジア競技大会通称シーゲームズに向けて合宿中のマレーシアU23代表は、全部で31名を招集したものの、昨日5月1日の時点で20名しか参加していません。マレーシアは今日がイスラム教の断食月明けの休みということで、明日、明後日あたりから合流する選手もいそうです。

そんな中、ブラッド・マロニーU23代表監督は今回のシーゲームズが代表初招集となる選手が最終メンバーに残る可能性があると話していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

数日前の練習試合では東ティモールU23代表に1-2で敗れたマレーシアU23代表ですが、マロニー監督はこれまでの選手に加えて、新たに招集された選手との組み合わせなども試していきたいと話し、5月4日のベトナム出発前の最後の練習試合となった昨日のフィリピンU23代表(2-0で勝利)との試合でも、多くの選手を試したようです。

またマレーシア語紙のウトゥサン・マレーシアは、複数のMリーグクラブがU23代表候補選手の招集に応じていないことが、徐々に影響として出始めていると報じています。記事の中では「弱小国」東ティモールU23代表との練習試合で敗れたことを「恥ずべき事態」と報じ、元U23代表監督の経験もあるアズライ・コー・アブドラ氏がMリーグクラブの非協力的な姿勢についてはマロニー監督に同情するものの、東ティモールという「弱小国」に敗れたことをサポーターは容認できないだろうというコメントを紹介しています。

さらにマロニー監督が今回のシーゲームズに出場するU23代表にはオーバーエイジの選手を招集していないことについてアズライ氏は、それぞれの監督には自身の方針があり、マロニー監督には理由があるはずだが、それは現時点で問われるべきでないと話しています。「シーゲームズは結果が全てであり、監督がその責任を負う代わり、結果が出る前にその理由を問いただすべきではない。」とも話しています。

*****

ブルナマとウトゥサン・マレーシアの記事を読んで感じたのは、この記事を書いた記者も、コメントを寄せているアズライ氏も現実に目を向けているのだろうか、ということです。A代表同士の試合ならまだしもU23代表に関していえば、現時点では、むしろマレーシアの方が「弱小国」かも知れません。

今年2月にカンボジアで開催された東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権で、マレーシアはグループステージでラオスに1-2、0-2と2連敗して0勝2敗で敗退した一方で、東ティモールはフィリピンやカンボジアと同組ながら2勝1分0敗とグループ1位で準決勝に進出し、準決勝では90分間で0-0の後、PK戦で3-5で敗れるという接戦を演じています。ポルトガルの植民地だったこともあり、ブルジルスタイルの個々の技術で相手を圧倒するサッカーを展開する東ティモールU23代表は、少なくとも今回のシーゲームズでは、マレーシアU23代表よりも遥かに注目度が高いチームですが、この記事を見る限りでは、その認識はなさそうです。

かつてフィリピンが弱かった頃にも、同じような発言をする国内サッカー関係者が多くいました。しかし2000年代初頭からヤングハズバンド兄弟に代表される帰化選手を揃えて強化を始めたフィリピンは、今ではFIFAランキングではマレーシアの上を行き、Mリーグのアセアン枠では最多となる8名のフィリピン出身選手が活躍しています。それを考えると、現実を見ず、かつての評価や評判に頼っていると、また痛い目に合うと思うのですが…。まぁ現場のマロニー監督は現状を理解しているでしょうけど。

5月1日のニュース
ACLグループステージI組第6節-JDTは蔚山に勝利しマレーシアクラブ史上初の16強進出決定(ハイライト映像あり)

ACLグループステージI組第6節-JDTは蔚山に勝利しマレーシアクラブ史上初の16強進出決定

悲願のベスト16進出のためには勝利しかない状況下で迎えたグループステージI組最終節の蔚山現代戦は、JDTには「劇的」という言葉さえ陳腐に聞こえてしまうような結末が待っていた試合でした。

過去2試合を休養したナチョ・インサ、また広州戦を欠場したDF陣のシェーン・ローリー、ラヴェル・コービン=オン、マシュー・デイヴィーズの3名が先発に戻ったJDTは考えられる限りのベストメンバーでこの試合に臨みました。JDT、そしてグループステージ突破のためにはこの試合で勝利が必要な2020年ACL王者は共にキックオフから激しくせめぎ合います。

そしてそんな試合は開始からわずか5分で動きました。エースのベルグソン・ダ・シルヴァが倒され、蔚山ペナルティーエリアの外で得たフリーキックをレアンドロ・ヴァレスケスがゴール右上に決めて、2-1で勝利した前回の対戦に続き、早い時間帯にJDTが先制しました。

しかし、この日の蔚山現代は前回対戦時のような動揺もなく、すぐさま反撃に転じ、そのわずか1分後には、ラヴェル・コービン=オンがゴール前で中途半端にクリアしたボールをユン・イルロクが拾います。そこから出たパスを走りこんできた天野純がシュート。歓声が悲鳴に変わる中、試合はすぐに振り出しに戻りました。

さらにその10分後、JDTに誤算が生じました。ナチョ・インサが早々と交代とすることになったのです。川崎フロンターレとの対戦では初戦は引き分けたものの再戦で大敗したのは、中盤をコントロールするこのナチョ・インサを2戦目で欠いたことが大きな要因の1つでした。最終節に備えて休養十分でこの試合に臨んだはずでしたが、ナチョ・インサの予想外の早い交代で一気に窮地へ陥るかと思われましたが、交代出場した21歳のナサニエル・シオ・ホン・ワンがこの日はその穴を感じさせないプレーを見せ、試合は一進一退の攻防を繰り返しながら進んでいきました。

ハーフタイムでは選手を交代させなかったJDTのベンヤミン・モラ監督は「今日の試合が決勝のつもりで戦う」という前日記者会見の言葉通り、思い切った交代カードを切ってきました。MFアフィク・ファザイルに代えてFWサファウィ・ラシドを投入、リーグ戦でも見られないようなフォワード4人を同時に起用して逆転を狙いました。

さらに84分には、サファウィ・ラシドの起用でサイドバックに下がっていたラヴェル・コービン=オンに代えてさらにFWラマダン・サイフラーを投入、モラ監督は残り5分で試合を決めにかかりました。ここからJDTは押し気味に試合を進めますが、、87分にはゴール前にフリーになったレアンドロ・ヴァレスケスがヘディングシュートを放つも、蔚山GKチョ・ヒョヌが容易にキャッチ、また89分にはラマダン・サイフラーのシュートをGKチョが見事なパンチングで防ぐなど、ゴールには至りませんでした。

またロスタイムが3分と発表になった直後の90分にはサファウィ・ラシドがシュートを放ちますが、GKが反応できなかったもののゴールポストに阻まれるなど、運にも見放され、このまま引き分けで終了の雰囲気が漂い始めました。しかしその直後には蔚山のオム・ウォンサングのシュートもゴールポストに当たって外れ、まだJDTにもツキが残っているようでしたが、タイムアップは刻々と迫りました。

映像では既に92分と残り1分を切った状態で、オフサイドからのフリーキックを得たJDTはGKファリサル・マーリサルが全員に上がるように指示し、ゴール前へロングボールを蹴り込みます。そこからつないだボールをアリフ・アイマンがシュートするも、蔚山DF陣がブロックしたボールをGKチョ・ヒョヌがこれをパンチングでクリア。しかしこのボールがフラフラとペナルティエリア内に上がり、蔚山DFに競り勝ったアリフ・アイマンがゴール前のフェルナンド・フォレスティエリにパスするも、このパスをカットしようとした蔚山DFパク・ヨンウがまさかのオウンゴール。この直後に試合終了のホイッスルが吹かれ、まさに土壇場でJDTがベスト16進出を決めました。

JDTのオーナーでジョホール州皇太子でもあるトゥンク・イスマイル殿下は、この試合が行われたスルタン・イブラヒムスタジアム(ちなみにスタジアムの名前はイスマイル殿下の父君でジョホール州スルタンのスルタン・イブラヒム殿下にちなんで名付けられています。)だけでなく、練習施設やスタッフなどにも投資を惜しまず、勝利への熱意は国内他のクラブの比ではありません。

またこの日の先発メンバーでは、生まれも育ちもマレーシア生まれの選手は4名、帰化選手(国外生まれながら、マレーシア人の父親または母親を持つ選手)が3名、外国籍選手4名という顔ぶれでした。昨季までで国内リーグ8連覇中とその強さから国内ではファンも多いクラブですが、帰化選手で補強し、他クラブの有力選手を高給で引き抜くなど、ややもすると強引なJDTの手法に対し、正直、アンチも多いクラブです。

しかし少なくともこの試合に限っては、ファンもアンチも揃ってJDTを応援したのではないでしょうか。そして最後まで諦めずにプレーし続けたJDTの選手たちを後押しした結果がこの日のドラマにつながったような気がします。

今回のACLグループステージI組は、中立地での集中開催というには、「中立性」を欠いていたのは明らかです。JDTの試合は全てスコールのない午後10時から行われる一方で、それ以外の試合は、強い日差しも残ればスコールもある午後5時キックオフ。高麗芝のスルタン・イブラヒムスタジアムに対して、タン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユノスはカウグラスという言わば「野芝」のピッチなど劣悪な環境だったと言われれば、その通りだと思います。

試合前日の記者会見の席上では、スルタン・イブラヒムスタジアムでの練習希望をAFCが却下したことを蔚山現代の洪明甫監督が明らかにしましたが、AFC本部がマレーシアにあり、事務局長がマレーシア人であることを考えると、これがマレーシアのクラブ、JDTを有利にする決定だったことは明らかです。

それでも、この日のJDTの勝利で2024年/2025年シーズンのマレーシアのACL出場枠が2+2(本戦出場2チーム+プレーオフ出場2チーム)となるのであれば、限りなく黒に近いグレーなことをしてでも、JDTにその枠を取りに行ってもらいたい、とマレーシアサッカーファンなら誰でも考えることです。

今回の運営方法が不公平、不公正という批判があることはJDTも(そしてAFCも)重々承知していると思います。しかし、そんな批判を受けても、なりふりに構わずに勝ちたいと思うほどマレーシアサッカーにとってACLの価値は高く、間違ってもそれを「罰ゲーム」と呼ぶファンは1人もいないということも記しておきたいです。

ACLグループステージI組 第6節
4月30日(土)
スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 2-1 蔚山現代
⚽️JDT:レアンドロ・ベラスケス(5分)、パク・ヨンウ(90+4分OG)
⚽️蔚山:天野純(6分)
🟨JDT(4):リ・ジアハオ、ス・ティアンシ、ファン・カイシュウ、ヤン・シン)
🟨蔚山(2):アキヤ・ラシド、シャーミ・サファリ
(下は両チームの先発XIとハイライト映像。映像はアストロアリーナの公式YouTubeより)

4月30日(土)
タン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユノススタジアム(ジョホール州ジョホールバル)
川崎フロンターレ 1-0 広州FC
⚽️川崎:知念慶(14分)
🟨川崎(0)
🟨広州(2):チェン・ジェンフン、チョウ・ティエンチェン
(下は両チームの先発XI)

ACLグループステージI組 最終順位表

チーム得失差勝点
1JDT6411117413
2川崎63211741311
3蔚山6312147710
4広州6006023-230

ACLグループステージI組結果

4月15日(金)
川崎フロンターレ 1-1 蔚山現代JDT 5-0 広州FC
4月18日(月)
広州FC 0-1 川崎フロンターレ蔚山現代 1-2 JDT
4月21日(木)
蔚山現代3-0 広州川崎フロンターレ 0-0 JDT
4月24日(日)
広州FC 0-5 蔚山現代JDT 0-5 川崎フロンターレ
4月27日(火)
蔚山現代 3-2 川崎広州 0-2 JDT
4月30日(土)
川崎 1-0 広州JDT 2-1 蔚山現代