MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(6):パハンFA、JDT

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで前回に続き、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいてた順位予想を行います。今回は最後となる第6回です。(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

パハンFA(ホーム:ダルル・マクムールスタジアム-パハン州クアンタン)
(昨季結果:MFL1部2位 / 今季予想:4位)
<監督>
ドラー・サレー(パハンFA監督4季目)
<外国籍選手>
FWディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア、昨季より移籍)
DFエラルド・グロン(フランス、昨季より残留)
FWイヴァン・カルロス・フランサ・コエーリョ(ブラジル、キプロス1部リーグのAELリマソールより移籍)
DFカリル・カミス(レバノン、レバノン1部リーグのアル・アヘドFCから移籍-アジア枠)
DFアダム・マイケル・リード(フィリピン、タイ1部リーグのチャイナート・ホーンビルFCより加入ASEAN東南アジア枠)
<主力選手>
GKヘルミ・エリザ
DFファイザル・ロスリ
MFアザム・アジー
FWモハマド・スマレ
<クラブ概要>
 パハン州サッカー協会PFAが運営するクラブで、2017年のドラー・サレー監督就任後はリーグ戦では2位、4位、2位、マレーシアFAカップは準優勝、優勝、ベスト4と、マレーシアカップ準優勝とカップ戦では好成績を収めました。
 しかし、昨季終了後はエラルド・グロン以外の外国籍選手との契約を延長せず、サフアン・バハルディン(シンガポール、スランゴールFCへ移籍)、サディル・ラムダニ(インドネシア、バヤンガラFCに移籍)らを放出、さらにノーシャルル・イドラン・タラハ(タイ1部BGパトゥム・ユナイテッドに移籍)も退団する一方で、新戦力獲得のニュースもないままでしたが、ここに来てパハンFAサポーターからの支持も多かったディクソン・ヌワカエメが今季も残留することが決まり、今季の布陣も整ったかと思ったところで飛び込んできた代表でもプレーするマシュー・ディヴィーズ退団のニュースは衝撃的でした。しかも移籍先はライバルのJDTとなれば、パハンFAサポーターにとっては二重のショックです。ということで、予想はクダFAやスランゴールFCより下位の4位としました。

ジョホール・ダルル・タジムJDT(ホーム:スルタン・イスマイルスタジアム-ジョホール州イスカンダル・プトゥリ)
(昨季結果:MFL1部1位 / 今季予想:1位)
<監督>
ベンジャミン・モラ(メキシコ、JDT監督2季目)
<外国籍選手>
FWジオゴ(ブラジル・昨季から残留)
MFレアンドロ・ヴァレスケス(アルゼンチン・昨季から残留)
FWゴンザロ・カブレラ(イラク、昨季から残留-アジア枠)
MFハリス・ハルン(シンガポール、昨季から残留-ASEAN東南アジア枠)
DFマウリシオ(ブラジル、昨季から残留)
<主力選手>
GKファリザル・マーリアス
DFマシュー・デイヴィーズ(パハンFAより移籍)
DFラヴェル・コービン=オング
MFナズミ・ファイズ
MFリリドン・クラスニキ(マラッカ・ユナイテッドより移籍)
FWサファウィ・ラシド
<クラブ概要>
 ジョホール州皇太子トゥンク・イブラヒム殿下がオーナーのクラブで、MFL1部を6連覇中です。昨季は初出場となったACLで鹿島を破るなど、現在、マレーシアのトップクラブです。
 主力選手の欄には書ききれなかったアイディル・ザフアン、シャフィク・アーマド、アキヤ・ラシド、アダム・ノー・アズリン、アフィック・ファザイル、シャマー・クティ・アッバなど、昨季は代表でプレーした選手たちがいますが、帰化選手となったリリドン・クラスニキやマシュー・デイヴィーズを補強したことで、彼らがベンチを温める可能性があるほどの選手層の厚さを誇るクラブになりました。
 主力選手の代表招集やACL本戦に備えて、いわゆる「ローテーション」が可能になるよう、BチームのJDT IIには昨季はクダFAで活躍したFWフェルナンド・ロドリゲス(スペイン)や廣瀬慧(インドネシア1部リーグのプルセラ・ラモンガンから移籍)も在籍し、いつでも外国籍選手の入れ替えを可能にする用意周到ぶりです。
 昨季の16勝5分1敗も素晴らしい成績でしたが、今季は無敗で終える可能性すらあり、そんな中であえて心配な点を探すとすれば、代表招集やACL出場による選手の疲弊やシーズン中のケガくらいしかなく、むしろそういった外因がない限りはMFL7連覇が濃厚ということでもあります。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(5):クダFA、スランゴールFC

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで前回に続き、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいてた順位予想を行います。今回はその第5回です。
(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

クダFA(ホーム:ダルル・アマンスタジアム-クダ州アロースター)
(昨季結果:MFL1部4位 / 今季予想:2位)
<監督>
アイディル・シャリン・サハック(シンガポール、クダFA監督2季目)
<外国籍選手>
FWチェチェ・キプレ(コートジボアール、トレンガヌFCより移籍)
FWクパ・シャーマン(リベリア、PKNS FCより移籍)
MFアミン・ナザリ(フィリピン、タイ1部リーグのラーチャブリーFCより移籍-アジア枠)
DFシャキル・ハムザ(シンガポール、昨季から残留-ASEAN東南アジア枠)
DFレナン・アウヴェス(ブラジル、昨季から残留)
<主力選手>
GKイフワット・アクマル
MFデイビット・ロウリー
MFバドロル・バクティアル
FWハディン・アズマン(フェルダ・ユナイテッドから移籍)
<クラブ概要>
 クダ州サッカー協会KFAが運営するクラブで、昨季のマレーシアFAカップ優勝、マレーシアカップ準優勝とカップ戦では好成績を収めました。FAカップチャンピオンということで、今季は既にアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグのプレーオフを戦っています。(結果は韓国KリーグのFCソウルに1−4と敗れ、ACL本戦出場はなりませんでした。)
 外国籍選手、マレーシア人選手とも今季開幕前に最も積極的に戦力補強を行ったクラブで、スランゴールFCとともにJDTの連覇を止める可能性があるクラブです。昨季のチーム得点王フェルナンド・ロドリゲズ(スペイン。JDT IIに移籍)とチーム2位のゴールを記録したジョナサン・バウマン(アルゼンチン、インドネシア1部リーグのアレマFCに移籍)を放出したものの、昨季のMFL1部得点王のクパ・シャーマンと、トレンガヌFCでの過去3シーズンで29ゴール(50試合)を挙げているチェチェ・キプレを加入させています。また前述のACLプレーオフでは、昨季はフル代表候補にもなったGKイルファット・アクマルに代わってPDRMから加入したGKシャアリル・サアリを先発で起用するなど、選手層も厚みを増しています。
 クダFAを率いて2年目のアイディル・シャリン監督の目指すパスサッカーも浸透しつつあるので、昨季の4位よりも上の順位を狙えるクラブになってきています。

スランゴールFC(ホーム:シャーアラムスタジアム-スランゴール州シャーアラム)
(昨季結果:MFL1部3位 / 今季予想:3位)
<監督>
サティアナタン・バスカラン(スランゴールFC監督2季目)
<外国籍選手>
MFサンドロ・ダ・シルバ(ブラジル・昨季から残留)
FWルフィノ・セゴヴィア(スペイン・昨季から残留)
FWイフェダヨ・オルセグン(ナイジェリア、昨季から残留)
DFサフアン・バハルディン(シンガポール、パハンFAより移籍-ASEAN東南アジア枠)
DFテイラー・リガン(オーストラリア、昨季から残留-アジア枠)
<主力選手>
MFブレンダン・ガン(ペラTBGより移籍)
DFニコラス・スウィラッド(PKNS FCより移籍)
GKカイルルアズハン・カリド
MFシャズワン・ザイノン
MFワン・ザック・ハイカル
MFシャミ・サファリ
<クラブ概要>
 スランゴール州サッカー協会FASが運営するクラブで、ここ数年はJDTの後塵を拝しているものの、マレーシアで最も多くのサポーターを抱えるクラブの一つです。
 JDTの対抗馬として臨む今季の補強の目玉は何といってもブレンダン・ガンでしょう。中盤の司令塔が固定されなかったスランゴールFCがまさに必要としていた人材です。昨季途中に加入しリーグ戦10試合で12ゴールを挙げたイフェダヨ・オルセグンとのホットラインは他のクラブの脅威となるでしょう。昨季途中に負ったケガからの回復が遅れているルフィアノ・セゴヴィアは開幕には間に合わないようですが、シャズワン・ザイノン、ワン・ザック・ハイカルと攻撃陣は昨季2位の得点力がさらに向上する可能性があります。
 昨季22試合で35失点を喫した守備陣も、2季目となる主将のDFテイラー・リガンに加え、守備的MFサフアン・バハルディンをパハンFAから、DFニコラス・スウィラッド、DFロドニー・セルヴィンといった選手たちを獲得したことで安定感が増しそうです。
 あえて心配な点を挙げるとすれば、プレシーズンで質の高い練習試合を組めていないことでしょうか。コロナウィルスの影響で中国遠征を中止、さらにインドネシアへの遠征も見送るなど、ドバイで合宿を張ったJDTやカンボジア遠征を行ったクダFAと比べると十分な試合が組めていないような気がします。昨季はスタートダッシュに失敗した結果、開幕5試合目には10位に低迷し、一部サポーターによるサティアナタン監督の解任運動にまで発展したこともあり、同じ轍は踏みたくないところです。

2月24日のニュース:マレーシアのFIFAランキングは154位と変わらず、PJシティFCは内紛が勃発か、ケガ人続出でシャミ・サファリはポジション変更も

マレーシアのFIFAランキングは154位と変わらず
 国際サッカー連盟FIFAの最新ランキングが発表になり、マレーシアは154位、東南アジアでは5位と前回と変わりませんでした。ワールドカップ予選など国際試合がなかったため、ベトナム1位(世界94位)、タイ2位(同113位)、フィリピン3位(同124位)と東南アジアランキングの上位国とも順位の変動はありません。
 来月3月からはW杯予選が再開されますので、次のランキング発表では大きな変動があるかも知れません。

PJシティFCは内紛が勃発か
 今季のマレーシアフットボールリーグMFLはいよいよ今週末に開幕します。各クラブは最終調整に余念がないところだと思いますが、マレーシア語紙ハリアンメトロは、PJシティFCで監督と選手の確執が起こっているようだと報じています。
 記事によると、選手の大半がプレシーズンの練習試合でデヴァン・クップサミー監督が採用する戦術に不満を持っており、一部選手の話として戦術への不満に加えて、デヴァン監督の新加入の選手への対応にも問題があるとされています。なお、この事態はすでにフロントまで伝わっているようで、記事の中では、開幕からの5試合の結果をもとにデヴァン監督の今後の去就が決まる可能性があると伝えています。ハリアンメトロの取材に対して、デヴァン監督はチーム内は良いムードであると確執については否定していますが、ハリアンメトロの記事はMFLで今季最初に還任される監督となる可能性があると結んでいます。
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 この騒動については、ネット上の噂というだけでなく、当地の複数の新聞にも取り上げられており、根も葉もない話ではなさそうです。昨季のチームからは残留したのは8名のみとメンバーを大幅に変えたPJシティFCについて、オーナーは昨季の8位から今季はトップ5入りを厳命しており、開幕でつまずけば5試合を待たずにフロントが監督交代を決める可能性もありえそうです。

ケガ人続出でシャミ・サファリはポジション変更も
 スランゴールFCは、いわゆるウイングの選手にケガ人が続出しています。
 ペラTBGから加入したばかりのノー・ハキム・ハサンが膝前十字靭帯の損傷で今季の出場が絶望となり、シャズワン・ザイノンも足首のケガが回復していません。また、昨季、やはろ膝前十字靭帯を損傷し、今季復帰のワン・ザック・ハイカルも完調には程遠い状況です。このポジションには、ベテランのカイリル・ムヒミーンがいますが、年間を通しての出場となると不安が残ることから、サティアナタン・バスカラン監督はサイドバックのシャミ・サファリをウイングとして起用する可能性を英字紙スター電子版が報じています。
 スランゴールFCとマレーシア代表では右サイドバックとしてプレーするシャミ・サファリは、スターのインタビューに対し、自分がスランゴールFA(当時)でプレーし始めた2017年のポジションはウィングだったと述べ、現在のポジションに定借したのはこの2年ぐらいであること、またサイドバックからウイングに戻るためには修正が必要なものの、ウイングとしてプレーしてみたい気持ちはあるとも話しています。
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 サイドバックながら、積極的なオーバーラップが持ち味のシャミ選手は、前回の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでも素晴らしいゴールを決めており、ウイングの資質ありそうなことは下の映像からもわかるかと思います。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(4):マラッカ・ユナイテッド、ペラTBG

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで前回に続き、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいてた順位予想を行います。今回はその第4回です。
(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

マラッカ・ユナイテッドFC(ホーム:ハントゥアスタジアム-マラッカ州マラッカ)
(昨季結果:MFL1部6位 / 今季予想:7位)
<監督>
ザイナル・アビディン・ハサン(マラッカ・ユナイテッド監督2季目)
<外国籍選手>
MFロメル・モラレズ(コロンビア、PKNS FCより移籍)
FWウチェ・アグバ(ナイジェリア、PDRM FCより移籍)
MFソニー・ノルデ(ハイチ、アゼルバイジャン1部リーグのジラFKより移籍)
DFチャン・ソグゥオン(韓国、昨季から残留-アジア枠)
DFナルポン・ワイルド・プッソーン(タイ、タイ1部リーグのナコーンラーチャシーマーFCより移籍-ASEAN東南アジア枠)
<主力選手>
GKカイルル・ファミ・チェ・マット
MFサフィク・ラヒム
MFサイフル・リズアン
DFラズマン・ロスラン
<クラブ概要>
 マラッカ州サッカー協会MUSAが運営するクラブで、2017年にMFL1部に昇格後は8位、7位、6位と確実に順位を上げてきています。
 JDTとフル代表で主将を務めたMFサフィク・ラヒムや2012年スズキカップ優勝時のGKカイルル・ファミなどベテランの活躍もあり、リーグでは6位となりましたが、このクラブもやはり給料未払い問題が昨季途中で発覚し、マレーシアカップ準々決勝直前には主将のシュコール・アダン(現クアラルンプールFA)が試合出場を拒否するなどして敗戦、そのままシーズン終了を迎えました。
 気になるのは昨季のチーム1位と2位のゴールを挙げたMFパトリック・ライヒェルト(フィリピン、タイ1部のスパンブリーFCへ移籍)とMFルカ・ミルノヴィッチ(セルビア、ハンガリーのデブレツェニVSCに移籍)との契約を延長せず、新たな外国籍選手と契約した点です。特にミルノヴィッチ選手は、期限付き移籍していたサバFAから2度目のトランスファーウィンドウの際に呼び戻され、シーズン後半の10試合で7ゴールを挙げる活躍を見せていただけに、代わって加入したモラレズ選手とウチェ選手がMFL経験を生かして退団した2人並の成績を残せるのかどうかが、マラッカ・ユナイテッドの今季の成績に直結しそうです。

ペラTBG(ホーム:ペラスタジアム-ペラ州イポー)
(昨季結果:MFL1部7位 / 今季予想:6位)
<監督>
メフメト・ドゥラコビッチ(オーストラリア、ペラTBG監督4季目)
<外国籍選手>
FWギリェルメ・デ・パウラ(ブラジル、クアラルンプールFAより移籍)
DFチエリー・チャンタ・ビン(カンボジア、トレンガヌFCより移籍-アセアン東南アジア枠)
MFレアンドロ・ドス・サントス(ブラジル、ペラTBG3季目)
FWカレッカ(ブラジル、昨季から残留)
DFアントニー・ゴレック(オーストラリア、インドネシア1部リーグのバダック・ランプンFC より移籍)
<主力選手>
GKハフィズル・ハキム
DFシャルル・サアド
DFナジルル・ナイム
<クラブ概要>
 ペラ州サッカー協会PFAが運営するクラブで、2018年にはMFL1部で2位、マレーシアカップ優勝という成績を残しましたが、昨季はマレーシアFAカップは準優勝に終わったものの、MFLでは7位と順位を大きく下げました。
 代表でも主力として活躍する、いわゆる「ボックストゥボックス」タイプのMFブレンダン・ガンとFWノー・ハキム・ハッサンが共にスランゴールへ移籍した一方で、外国籍選手以外には目立った補強がないペラTBGですが、BチームとなったPKNP FCに在籍していた選手たちや、プレジデントカップ(U21)、ユースカップ(U19)の選手たちを昇格させて今季に臨むようです。
 新加入のデ・パウラ選手を含めたブラジルトリオの活躍次第ではリーグ中位から上位を狙えそうです。また、デ・パウラ選手が行っている帰化申請が承認されてマレーシア人選手としての登録が可能になれば、さらに外国籍選手の加入も可能になるので、そうなれば確実に上位を狙えるチームへと変貌する可能性もあります。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(3):PJシティFC、トレンガヌFC

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで今回も、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第3回です。
(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

PJシティFC(ホーム:MBPJスタジアム-スランゴール州プタリンジャヤ)
(昨季結果:MFL1部8位 / 今季予想:8位)
<監督>
デヴァン・クップサミー(PJシティFC監督3季目)
<外国籍選手>
FWデンバ・カマラ(ギニア共和国、イスラエル1部リーグのハポエル・テルアビブFCより移籍)
MFキム・ボングジン(韓国、ベトナム1部リーグのホアンアイン・ザライFCより移籍)
FWワシントン・ブランドン(ブラジル、昨季から残留)
DFエリゼウ・アラウージョ・デ・メロ・バティスタ(ブラジル、昨季から残留)
<主力選手>
GKムハイミン・モハマド
MFラジェシュ・プルマル
FWサフィ・サリー
<クラブ概要>
 MFL1部では唯一の私企業が運営するクラブですが、運営企業のQNet社は連鎖販売取引(日本ではいわゆる「マルチ商法」と呼ばれる販売形態)で成長した企業です。2018年シーズンはMFL2部では3位でしたが、上位のクラブが給料未払い問題により解散したため、棚ぼた式に昨季初めてMFL1部に昇格したクラブです。その前身はMalaysia Indian Football Association, MIFA(インド系マレーシア人サッカー協会)だったことから、インド系マレーシア人の選手の割合が他のクラブに比べると高いのも特徴です。
 昨季の8位という成績は、初昇格のクラブとしては上出来だと思いますが、昨季終了後、主力のマレーシア人選手が大量に流出しており、メンバーが大きくかわていることから、選手間の連携に不安があります。シーズン開幕後も連携に問題があるようだと、昨日のブログで9位と予想したフェルダ・ユナイテッドと入れ替わって9位になる可能性もあります。ヌグリスンビランFAやスランゴールFAを率いてMFL1部優勝経験もあるデヴァン・クップサミー監督の手腕が問われるシーズンとも言えます。

トレンガヌFC(ホーム:スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム-トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
(昨季結果:MFL1部7位 / 今季予想:5位)
<監督>
モハマド・ナフジ・ザイン(トレンガヌFC監督2年目)
<外国籍選手>
MFファリス・ラムリ(シンガポール、シンガポールリーグのホウガン・ユナイテッドより移籍-ASEAN東南アジア枠)
FWドミニク・ダ・シルヴァ(アルゼンチン、ベトナム1部リーグのサイゴンFCより移籍)
DFババカル・ディアロ(セネガル、フィンランド1部リーグのクオピオン・パロセウラより移籍)
MFリー・タック(イングランド、在籍3年目)
MFサンジャル・シャアフメドフ(ウズベキスタン、昨季より残留)
<主力選手>
DFナスルラー・ハニフ
DFカマル・アジザ
MFファイズ・ナシル(スランゴールFCより移籍)
<クラブ概要>
 トレンガヌ州サッカー協会PBSNTFが運営するクラブ。昨季途中にイルファン・バクティ前監督が辞任し、コーチから昇格したナフジ・ザイン監督は、今季は「暫定」がとれて正式に監督になりました。
 今季はJDTの連覇に待ったをかけるクラブの一つと目されていますが、ここに来て昨季の給料未払い問題が浮上し、場合によってはMFLより勝点剥奪(はくだつ)処分を受ける可能性もでてきています。在籍する選手の中にも給料の受け取りが数ヶ月遅れている選手もいるという報道もあり、開幕前にこの問題が解決しないと、果たしてそういった選手たちがチームのためにプレーできるのかというモラル面に不安があります。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(2):サバFA、フェルダ・ユナイテッド

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで前回に続き、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第2回です。
(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

サバFA(ホーム:リカススタジアム-サバ州コタキナバル)
(昨季結果:MFL2部1位 / 今季予想:10位)
<監督>
クルニアワン・ドゥイ・ユリアント(インドネシア、前インドネシアU22代表コーチ)
<外国籍選手>
MFペトルス・シテンビ(ナミビア、ザンビアリーグのルサカ・ダイナモFC移籍)
FWエクトル・オマー・ラモス(プエルトリコ、エルサルバドールリーグのアリアンザFCより移籍)
FWデニス・ブシェニング(タイ、タイ1部リーグのチャイナート・ホーンビルFCより移籍-ASEAN東南アジア枠)
FWロドルリュブ・パウノビッチ(セルビア、昨季から残留)
DFパク・タエスー(韓国、昨季から残留)
<主力選手>
GKロザイミ・ロヒム
DFラウィルソン・バトゥイル
DFモハマド・ズビル・モハマド・アズミ(パハンFAから移籍)
MFアジザン・ノーディン
FWアルト・リナス
FWマクシアス・ムサ
<クラブ概要>
 サバ州サッカー協会SAFAが運営するクラブで、1996年には1部リーグでの優勝経験もありますが、その後は低迷が続き、MFL1部は2012年以来8年振りの復帰となります。
 昨季のMFL2部では、2位のJDT IIに勝点10の差をつけて優勝していますが、昨季、指揮を取ったジュリアス・アティン監督は、MFL1部の監督となるのに必要なAFCプロライセンスを保持していないことから、今季はコーチとしてベンチ入りし、インドネシアのレジェンドでもあり、サバFAでもプレー経験のあるユリアント監督を招聘(しょうへい)しました。ただしユリアント監督はこれまでコーチ経験しかないため、その経験不足が不安要素となる可能性があります。
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 1990年代にはイングランド代表との試合で2ゴールを決めたマトラン・マンジャン(この試合は当時のムルデカ・スタジアムで観戦しましたが、スタジアム全体が興奮状態で鳥肌が立ちました)などを輩出したサバFAですが、近年はMFL2部が定位置でした。久しぶりのMFL1部では、UITM FCとPDRM FCがいるので1シーズンで2部に逆戻りという心配はないものの、戦力的にも得点力不足の心配があり上位のクラブにどこまで(いつまで)付いていけるかは不明です。開幕戦のPDRM FC、第2節のフェルダ・ユナイテッドと比較的楽な相手が続くので、この2試合でどれだけ勝点を積み重ねられるかどうかが鍵になりそうです。

フェルダ・ユナイテッドFC(ホーム:トゥン・アブドル・ラザクスタジアム-パハン州ジェンカ)
(昨季結果:MFL1部10位 / 今季予想:9位)
<監督>
モハマド・ニザム・ジャミル(フェルダ・ユナイテッド監督3年目)
<外国籍選手>
MF恵龍太郎(日本、シンガポールリーグのタンピネスローバーズより移籍-アジア枠)
FWカイルル・アムリ(シンガポール、昨季から残留-ASEAN東南アジア枠)
FWニコラス・ヴェレズ(アルゼンチン、ポルトガルリーグのベレネンセスより移籍)
DFニコラ・ラスポポヴィッチ(セルビア、チェコ2部リーグのドゥキア・プラハより移籍)
MFフレデリック・ビュロ(ガボン、J2のFC岐阜より移籍)
<主力選手>
MFダニエル・アミール
MFジャサズリン・ジャマルディン
<クラブ概要>
 マレーシアの政府機関Federal Land Development Authority(連邦土地開発庁)が運営するクラブで、ホームのトゥン・アブドル・ラザクスタジアムはMFL1部と2部で使用されるスタジアムでは唯一、人工芝のピッチを持つスタジアムです。
 昨季は何度も降格圏ギリギリまで行きながら、最終戦でクダFAにまさかの勝利を収めて1部に踏みとどまったフェルダ・ユナイテッドですが、クラブ運営予算の削減によって、代表にも選ばれたエースFWハディン・アワンや渡邉将基、池田圭といった主力を失っています。
 当初はフェルダが運営する農村出身の若い選手を鍛えて、、、という話も出ましたが、むしろ昨季以上に積極的な補強を行い、最終的に外国籍選手5人は埋まっています。
 ただし期待されていた将来のエース、ダニエル・アミールが開幕前に中足骨骨折で手術を受け開幕には間に合わなくなっています。フェルダ・ユナイテッドからフル代表へ選出された唯一の選手の回復状況が気になります。
 また新加入の恵選手は、かつてタンピネスローバーズでカイルル・アムリと一緒にプレーしており、2017年から2019年には2人合わせて57ゴールを決めたということなので、このコンビが機能すれば、ゴール量産が期待できるかも知れません。
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 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督がフェルダ・ユナイテッドの監督を務めていた2017年にアシスタントコーチに就任し、サティアナタン監督退任後の2018年にフェルダ・ユナイテッドを率いてから3年目となるニザム・ジャミル監督は、MFLでは個人的に好きな監督の1人です。昨季在籍した渡邉将基、池田圭選手を試合のたびごとに高く評価していたのが印象的ですが、そのニザム監督が獲得した恵選手には是非、活躍してもらいたいです。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(1):UITM FC、PDRM FC

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで今回から数回に渡って、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第1回です。

UITM FC(ホーム:UITMスタジアム-スランゴール州シャーアラム)
(昨季結果:MFL2部5位 / 今季予想:11位)
<監督>
フランク・バーンハート(ドイツ、元マレーシアU22代表監督)
<外国籍選手>
FWラビ・アタヤ(レバノン、レバノンリーグのアル・アヘドFCより期限付き移籍-アジア枠)
FWグスタボ・アルメイダ・ドス・サントス(ブラジル、ベトナムリーグのナムディンFCより移籍)
MFウスマン・ファネ(フランス、イングランド3部リーグのシュルーズベリー・タウンFCより移籍)
DFヴィクター・ニレノルド(フランス、ベトナムリーグのダナンFCより移籍)
*MFL1部スーパーリーグは5人の外国籍選手(内1人はアジア枠、1人はASEAN東南アジア枠)の登録が可能ですが、UITM FCは4人のみの登録です。
<クラブ概要>
 Universiti Teknologi Mara(マラ工科大学)が運営するクラブで、大学が運営母体のクラブがMFL1部でプレーするのは初めてです。
 昨季のMFL2部では、2位のJDT IIと4位のトレンガヌFC IIがそれぞれMFL1部のクラブのBチームのためMFL1部への昇格権がなく、またMFL1部9位のPKNS FCがスランゴールFCのBチームとなりMFL2部に降格となったことから、棚ぼたでMFL1部に昇格しています。
 外国籍選手、マレーシア人プロ選手、UITMの学生による混成チームですが、当初はUITMの学生だけで今季のチーム編成を行う予定だったことから、これに納得できない昨季まで監督を務めたイスマイル・ザカリア氏が監督を辞任、後任に就任したのがバーンハート監督です。
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 UITM FCの今季はMFL1部残留が目標となると思いますが、PDRM FCとともに他のMFL1部のクラブと比べると、戦力が劣ります。キーになるのはマレーシア人プロ選手ですが、メディアなどでは具体的な名前が上がっておらず、外国籍選手と大学生とのチーム編成では、1部残留は厳しいでしょう。

PDRM FC(ホーム:KLFAスタジアム-クアラルンプール)
(昨季結果:MFL2部3位 / 今季予想:12位)
<監督>
イシャク・クンジュ・モハメド(前M3マルセラ・ユナイテッド監督)
<外国籍選手>
FWアントニオ・ジャーマン(グレナダ、昨季はスランゴールFCで3試合出場)
MFセルダール・ゲルディエフ(トルクメニスタン、トルクメニスタンリーグのFKアルティン・アシルより移籍)
DFショフラト・ソユノフ(トルクメニスタン、トルクメニスタンリーグのFKアハルより移籍)
*MFL1部スーパーリーグは5人の外国籍選手(内1人はアジア枠、1人はASEAN東南アジア枠)の登録が可能ですが、PDRM FCは3人のみの登録です。
<主力選手>
FWスレンドラン・ラシア(PKNS FCより移籍)
FWサティシュ・クリシュナン(PJシティFCより期限付き移籍)
DFモハマド・アスリ・マルズキ(クダFAより期限付き移籍)
FWディルガ・スルディ(M3マンジュンシティFCより移籍)
<クラブ概要>
 Polis Di Raja Malaysia(マレーシア王立警察)が運営するクラブです。
 昨季のMFL2部では、2位のJDT IIがMFL1部のクラブのBチームのためMFL1部への昇格権がなかったことから、MFL1部に昇格しています。
 昨季は開幕4試合で1分3敗の11位となった時点で「休養」したモハマド・ファウジ・ピルウス監督と交代で就任したエラヴァラサン・エランゴワン監督がそこからチームを立て直し、昇格まで達成しました。しかし、シーズン終了後、エラヴァラサン監督がクラブの補強姿勢に納得せず辞任し、イシャク・クンジュ・モハメド監督が就任しています。(エラヴァラサン前監督はその後、MFL2部のサラワク・ユナイテッドの監督に就任しています。)
 外国籍選手、マレーシア人プロ選手以外は全員が現職警察官によるチーム編成もさることながら、PDRM FCは昨季の未払い給料問題が解決していないことから、今季リーグ戦での勝点3の剥奪(はくだつ)が既に決定しています。なお、この問題が2月29日までに解決しない場合には、さらに勝点6が剥奪されることになっています。
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 昨季のMFL1部では勝点16が1部残留のラインでしたが、PDRM FCは当初、今季22試合で勝点22を獲得して残留を目指すとしていました。しかし上記で述べたように勝点がマイナスからのスタートとなってしまったため、勝点22とするためには実質で勝点25を獲得する必要があります。昨季はPJシティFCが勝点26で8位でしたが、他のクラブとの戦力差を考えると、PDRM FCは8位どころか降格候補の一番手です。

2月18日のニュース:TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か、ディヴィーズはやはりJDTへ、FAカップ1回戦の組み合わせ決定

TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か
 先月1月31日までに未払い給料問題の解決、あるいは支払い方法を選手やスタッフと同意することをMFLが求め、それを遂行できなかったPDRM FCは今季開幕前にもかかわらず既に勝点3を剥奪(はくだつ)されていますが、トレンガヌFC(TFC)でも同様の問題が発生しているとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 記事によるとトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTは、選手やスタッフと同意していた今月2月10日に支払い予定の未払い給料を支払われず、それについての連絡が何もないということです。なおこの未払い給料は2018年シーズンと昨季2019年分の一部で、アーマド・シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッドへ移籍)、アディブ・アイズディン・アブドル・ラティフ、カイルル・アズリン・カザリ(ペナンFAへ移籍)や前監督のイルファン・バクティ・アブ・サリム氏らが未払いとなっている他、外国籍選手の中にはこの事態を国際サッカー連盟FIFAへ報告した者もいるということで、トレンガヌFCはこの公約違反により、PDRM FC同様、開幕前に勝点3を剥奪される可能性が出てきました。
 この件に関して、ブリタハリアンがPBSNTに問い合わせを行ったようですが、返事がもらえていないということも併せて報道されています。
 またスポーツ専門サイトのスタジアムアストロでは、給料の支払いを受けていない選手の中で現在もトレンガヌFCに在籍している選手はこの問題をあえて口にしていないということです。
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 MFLの根深い問題である給料未払い問題が、開幕まで2週間を切ったこの時期にまた頭をもたげてきました。今季のMFLでジョホール・ダルル・タジムJDT優位を脅かす可能性があるクラブの一つとして挙げられていたトレンガヌFCですが、いきなり勝点3の剥奪となれば、優勝争いどころか上位進出すら怪しくなります。

ディヴィーズはやはりJDTへ
 JDTのFacebookでは、パハンFAを電撃退団したDFマシュー・デイヴィーズと3年契約を結んだことが発表されています。
 2015年、20歳のときにオーストラリアのパース・グローリーU23からパハンFAに加入したデイヴィーズ選手は、オーストラリアで生まれ育つもマレーシアのサバ州出身の母親を持つことからマレーシア代表としてプレーする資格があり、マレーシアU23代表、フル代表とキャリアアップし、昨季は代表戦12試合に出場しています。
 昨季は主将を務めたパハンFAとの契約はあと1年残っていたことから、JDTへの移籍は来季ではないかとされていましたが、JDTがヴィッセル神戸に1ー5と大敗したことから、守備陣強化の要として急遽、JDTが獲得に動いたとされています。なお一部では移籍金が1600万リンギ(およそ4億2400万円)という報道もありますが、デイヴィーズ選手自身はこれを否定しており、実際には100万から200万リンギとされています。
(写真は入団記者会見でベンヤミン・モラ監督(左)、チームマネージャーのルシアーノ・フィゲロア氏と写真に収まるデイヴィーズ選手-JDTのFacebookより)

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 デイヴィーズ選手の加入で代表の4バックのうち3名がJDTの選手となりましたが、これより気になるのは、JDTのオーナーでTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が昨年のクリスマスにツイートした以下の内容です。

@jjmi_kei_と@rodriguez9roは、それぞれ今季からJDTのBチームJDT IIでプレーする新加入のMF廣瀬慧(前インドネシアリーグ1部プルセラ・ラモンガン)と昨季のMFL1部の得点王FWフェルナンド・ロドリゲス(前クダFA)のこと。また@matttdaviesは今回加入のデイヴィーズ選手のことなので、残るのはデイヴィーズ選手と同僚だったパハンFAの帰化選手モハマドゥ・スマレ(@sumareh_inr26)とスランゴールFCから今季はペナンFAに移籍したエンドリック(@endricksantos14)となるのですが、果たして残る二人もJDT入りとなるのでしょうか。

FAカップ1回戦の組み合わせ決定
 先週末にMFL3部と4部にあたるM3リーグとM4リーグのクラブが出場した予選ラウンドが終了し、FAカップはいよいよ1回戦が始まりますが、この1回戦の組み合わせ抽選が昨日2月17日に行われ、2月22日と23日に行われる1回戦24試合のカードが決まっています。(以下はMFLのFacebookより)

1回戦注目のカードは、予選ラウンドを6-1と大勝したサラワク・ユナイテッドII(M3)対M3のムラワティFCを破ったリアル・チュカイFC(M4)、かつてはMFL1部スーパーリーグに所属していたこともあるマレーシア国軍のクラブAFFC(M3)対SAユナイテッドFC(M4)、デービー・クロード・アンガン(MFL1部マラッカ・ユナイテッドより加入)、セルヒオ・アグエロ(MFL2部ペナンFAから加入)とMFLでプレー経験のある外国籍選手を揃えたクアラルンプール・ローバーズ(M3)対M3のマンジュンシティFCを破ったサザンFC(M4)などがあります。
 その中でも最も注目されるのは、M3同士の戦いとなるハリニKSFC対ノーザンライオンズFCマーサです。昨季は同じM3のプロタップFCの監督を務め、今季はハリニKSFCの指揮を取るドゥサン・モムチロヴィッチ監督がMFアジダン・サルディン、代表経験もあるFWアブドゥル・マナフ・ママト、MFファクルラジ・ムサなど経験豊富な選手を揃える一方で、アザムリ・アリ監督率いるノーザンライオンズFCマーサには、国際サッカー連盟FIFAの2016年プシュカス賞を受賞したFWファイズ・サブリがおり、2回戦へ向けて白熱した試合が期待されています。

2月17日のニュース:タイリーグが開幕-代表コンビは揃って勝利に貢献、クラスニキのWC予選出場が可能に、スランゴールFCはMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性も

タイリーグが開幕-代表コンビは揃って勝利に貢献
 マレーシアフットボールリーグMFLは今季は2月28日に開幕しますが、隣国タイのリーグは一足早く先週末に開幕しました。ボラセパマレーシアJP的に注目したいのは、今季、タイ1部リーグへ移籍した代表コンビの動向です。
 昨季は2部で優勝し、今季は1部に昇格したBGパトゥム・ユナイテッドには、MFLパハンFAからノーシャルル・イドラン・タラハが、また昨季2部準優勝でやはり今季1部に昇格したポリス・テロFCにはJDTからドミニク・タンが加入しました。
 ノーシャルル選手は、昨季5位のムアントン・ユナイテッド戦に先発しました。ちなみにBGパトゥム・ユナイテッドのFacebookでは、先発メンバーを告知するページにタイ語、英語に加えてマレーシア語の表記も登場するなど、マレーシア人サポーターにも親切な作りになっていました。なお、タイ代表の西野朗監督も視察に訪れたこの試合では、背番号99番のノーシャルル選手は前半終了と同時に交代しています。(写真はBGパトゥム・ユナイテッドのFacebookより)

 一方、タン選手が所属するポリス・テロFCは昨季2位のブリーラム・ユナイテッドと対戦、タン選手はチームが1−0とリードした74分に交代出場し、そのまま試合終了まで出場しました。(写真はポリス・テロFCのFacdbookより)

この他、タイ3部上部(北側)リーグのアーントーンFCにもやはりマレーシア人のMFザフアン・アゼマンが在籍していますが、背番号9のザフアン選手もチャチューンサオFCとの試合に先発出場し、前半終了と同時に交代しています。なおこの試合ではアーントーンFCは0−4と敗れています。(写真はアーントーンFCのFacebookより)

クラスニキのWC予選出場が可能に
 今季、MFLのジョホール・ダルル・タジムに加入したコソボ出身のリリドン・クラスニキはマレーシアサッカー協会FAMによる帰化プログラムを経て、マレーシア国籍を取得しました。これによって、国内リーグMFLではマレーシア人選手としての登録が可能となりましたが、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、国際サッカー連盟FIFAからもマレーシア代表として試合に出場する許可が出たようです。
 FAMの帰化プログラム委員会の委員長を務めるダト・モハマド・ユソフ・マハディFAM副会長によれば、クラスニキ選手のマレーシア代表選手としての登録を許可する旨の連絡をFIFAより受け取ったとのことで、来月3月26日に予定されているFIFAワールドカップアジア二次予選のアラブ首長国連邦UAE戦に代表選手として出場するかどうかはタン・チェンホー監督に委ねると話しています。
 またもう一人の帰化選手候補であるペラTBGのギリェルメ・デ・パウラ(ブラジル)については、まずマレーシア国籍を取得した上で、FIFAの判断を仰ぐとしています。
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 クラスニキ選手がMFLで初めてプレーしたクダFAの当時の監督が、現在のタン・チェンホー代表監督ということもあり、一部では「問題児」とも言われているクラスニキ選手ですが、ケガや体調不良などの問題がなければ、フル代表に招集されるでしょう。
 3月26日対戦するUAEもFWセバスティアン・ルーカス・タグリアブエ(アルゼンチン)、FWカイオ・カネド・コレア、MFファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマ(いずれもブラジル)と3人の帰化選手を擁するチームですので、クラスニキ選手の加入は大きな補強になりそうです。

スランゴールFCはMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性も
 スランゴールFCのホームは8万人収容のシャー・アラムスタジアムですが、MFLの今季開幕前の施設検査で改修が必要との判断が出されています。英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、予定されているMFLによる2度目の施設検査でシャー・アラムスタジアムのMFLでの使用許可が下りない場合には、同じスランゴール州のクラナジャヤにあるMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性が浮上しています。
 1994年開場のシャー・アラムスタジアムは、施設検査後にピッチや更衣室の状況がMFLの規定する条件に合わない上、観客席を覆う屋根の部分についても改修を求める要望が出ていました。
 これについてスランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、改修作業が行われている原序を踏まえ、2度目の施設検査で使用許可は下りるだろうと述べています。
 なおスランゴールFCの今季最初のホームゲームはMFL第2節の3月7日にペラTBGとの試合が予定されています。
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 この記事では観客席を覆う屋根の部分についての言及がありませんでしたが、この改修についてはハミドンFAS事務局長はすぐには対処できないことを明言しており、ここが使用許可の争点になれば、今季のシャー・アラムスタジアムの使用は難しいとされています。
 個人的には家から近いMBPJスタジアムでスランゴールFCの試合が観戦できるようになると嬉しいのですが、こちらは収容人数が2万5000人程度で、スランゴールFCにとっては入場料収入などで大きな損失を負う可能性もあります。

2月16日のニュース:パハンFAの外国籍選手5名が確定も主力の流出は続く、FAカップ予選ラウンド結果

パハンFAの外国籍選手5名が確定も主力の流出は続く
 マレーシアフットボールリーグMFL1部に所属するパハンFAの今季の外国籍選手5名が確定したことを英字紙スター電子版が報じています。
 昨季はMFL2位ながら他のMFLクラブに比べやや出遅れ感がありましたが、2月28日に迫ったMFL開幕を前にようやく布陣が整ったようです。
 昨季もパハンFAでプレーしたDFエラルド・グロン(フランス)は契約を2021年まで延長して残留、そして今季新加入のFWイヴァン・カルロス・フランサ・コエーリョ(ブラジル)とMFアダム・マイケル・リード(フィリピン)がこれまで確定していた外国籍選手でしたが、さらに昨季のアジアサッカー連盟AFCカップで4.25体育団(北朝鮮)を破って優勝したアル・アヘドFC(レバノン)から期限付き移籍で加入するレバノン代表DFカリル・カミス(レバノン)と、今年1月から水面下で残留交渉が行われていたというFWディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)の二人が加わりました。
 25歳のカリル選手は190cmと長身のDFですが、レバノンリーグではその体躯だけでなくボール使いの上手い選手として知られているそうです。また33歳のヌワカエメ選手は、パハンFAに4年ぶりに復帰した昨季は鼠蹊(そけい)部のケガなどで18試合で10ゴールという成績に終わりましたが、パハンFAに前回所属した2014年と2015年の2シーズンは69試合で100ゴールという実績があります。
 新戦力獲得のニュースの一方で、マレーシア代表でもプレーするDFマシュー・デイヴィーズの退団が本人のツイッターで告知されています。今月初めからJDT移籍の噂は出ていましたが、これを執筆している時点では移籍先は不明です。なおパハンFAは、MFL2位となった昨季のメンバーから代表でもプレーするFWノーシャルル・イドラン・タラハ(タイ1部リーグBGパトゥム・ユナイテッドへ移籍)、インドネシア代表のMFサディル・ラマダニ(インドネシア1部リーグのバヤンカラFCへ移籍)、シンガポール代表MFサフアン・バハルディン(スランゴールFCへ移籍)ら主力選手を既に失っています。

FAカップ予選ラウンド結果
 マレーシア最大のカップ戦であるFAカップの予選ラウンドが2月15日と16日に行われ、以下のような結果になっています。この予選ラウンドは今季MFL3部と4部にそれぞれあたるM3リーグとM4リーグのクラブが出場します。
*(3)はMFL3部、(4)はMFL4部所属のクラブです。
<2月15日の結果>
サラワク・ユナイテッドII(元サラワクFA)(3)6-1レッドスペイド・ユナイテッドFC(4)
小ネタ:サラワクFA時代の1992年にはFAカップ優勝経験があるサラワク・ユナイテッドIIは、ウガンダ人のサム・ティムべ監督が就任したばかりですが、この試合ではアズリザン・アーマドが4ゴールを決めています。
マラッカ・ユナイテッドFC(3)2-1イクラム・ヤングFC(3)
KTローバーズ(元BTK FC)(3)3-0アルティメイトFC(3)

小ネタ:アルティメイトFCは元代表のアズマン・アドナンがプレーイングマネジャーです。
リアル・チュカイFC(4)1-0ムラワティFC(元DDM FC)(3)
ランカウィ・シティFC(元ランカウィ・グローリー・ユナイテッドFC)(3)1-0パンダン・ユナイテッドFC(4)
プロタップFC(3)4-1KBイスマ・シャーアラム(4)
SAユナイテッドFC(4)2-2(PK10-9)アンダーソニアンFC(4)
マークレスST(4)2-1スピリトFC(4)

<2月16日の結果>
KLローバーズ3-0クラシコFC
ノーザンライオンズFCマーサ(3)2-0クルテーFC(4)
AFFC (前ATM FC)(3)3-1デリマ・ウォリアーズFC(4)

小ネタ:AFFCはマレーシア国軍のクラブチームで、イギリス人のケヴィン・クーパー監督が2019年から指揮を取る、外国籍選手不在のクラブです。
ハリニFC(元バトゥ・ドゥアFC)(3)5-2クアラプルリスFC(4)
サザンFC(4)1-1(PK3-2)マンジュンシティFC(前プチョンフェルザFC)(3)
ゲームストップFC(4)1-0セマラクFC(3)
SSFC(4)3-0PIB FC(3)

小ネタ:この試合はPIB FCの選手登録が試合までに完了しなかったことから、SSFCの不戦勝、PIB FCの不戦敗、記録上はSSFC 3-0PIB FCとなります。
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予選ラウンドで勝利した15のクラブとこの予選ラウンドはくじ引きにより予選ラウンドが免除となった残りのM3/M4所属の7クラブの合計22クラブが1回戦へ進出しましていす。なお1回戦の組み合わせは後日発表となります。
 昨季はMFL4部にあたるM4リーグのアマチュアクラブ、ジェラントゥトFAが3回戦まで進出する快進撃をみせましたが、今季もジャイアントキリングは起こるのでしょうか。