4月27日のニュース:FAMは手当未払い問題を抱える審判に報告を求める、全てのクラブで給料削減の合意ができているわけではない、スランゴールFCは給料削減を5月から11月まで実施

FAMは手当未払い問題を抱える審判に報告を求める
 マレーシアの通信社ブルナマは、マレーシアの国内リーグでの審判への手当て未払い問題について、マレーシアサッカー協会FAMは該当する審判に状況を報告するよう求めていると報じています。
 FAMのスチュアート・ラマインガム事務局長は、正確な状況を把握するために書面にて正式な申し立てが必要であり、そういった申し立てがあれば、FAMの審判委員会が対処すると話しています。その一方で、FAMへの申し立てを行わず、メディアに対して不服を述べるだけでは解決のより時間がかかる可能性も指摘しています。
 「FAMの審判委員会に必要な情報を電子メールあるいは書面で提出してもらえれば、FAMとして問題解決のために必要な手段を講じることができるが、それがなければ何試合で手当の支払いが行われていないのか、カップ戦やリーグ戦のどの試合なのかなどが不明のため、FAMとしては何もできない」とラマリンガム事務局長は話しています。
 また一部のサポーターからこの審判手当未払い問題についてFAMの責任を問う声が出ていることについて、ラマリンガム事務局長は「FAMが責任を負うのは試合を担当する審判の指名と、審判の養成のみであり、審判手当の支払いは国内リーグを運営するマレーシアフットボールMFLの役割である」と説明しています。

全てのクラブで給料削減の合意ができているわけではない
 マレーシアサッカー協会FAMは国内リーグ1部と2部の全てのクラブに対して、選手やスタッフとの給料削減交渉の状況やクラブの経営状況の報告を4月22日を期限として求めていました。
 全てのクラブは既に状況を報告済みであることはFAMが発表していますが、給料削減交渉については合意できていないクラブがあるようだと、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 全てのクラブが選手との交渉を行い、合意に至っているクラブは個々の選手の給料削減額や削減が行われる期間などをFAMに提出済みであるのに対し、複数あるとされる合意に至ってないクラブは、交渉は行われているものの選手側が給料削減額や期間に同意していないということです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、各クラブの報告内容を精査した上で、新型コロナウィルス感染拡大による悪影響がクラブおよび選手、スタッフに及ばないような策を講じたいと話しています。

スランゴールFCは給料削減を5月から11月まで実施
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは、選手およびスタッフとの契約内容を見直し、5月から11月までの給料を削減すると発表しています。
 FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、新型コロナウィルスによるリーグ中断による入場料収入が途絶えている以上に、現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令によって影響を受けている複数のスポンサーからの広告料の支払いが遅れていることが給料削減実施の主な理由であるとしています。
 既に選手、スタッフには詳細を説明済みということですが、総額で290万リンギ(およそ7150万円)程度の損失が発生していることからクラブの運営が難しくなっており、今回の給料削減に踏み切らざるを得なかったとジョハン事務局長は説明しています。
 給料削減は給料の額や既婚か未婚かなどの条件をもとに3%から33%で実施し、25%以上の給料削減対象となるのは選手、スタッフ全体の5%程度になるとしています。
 しかしその一方で、この条件での給料削減に同意しているのは全体の60%程度ということで、残りの40%の選手、スタッフとは給料削減について合意に達していないということです。

4月26日のニュース:次代のエースは当面は国内で練習へ、TFC主将は給料削減の追加を申し出る、国内リーグ主催者は未払いの審判手当の支給を約束か

次代のエースは当面は国内で練習へ
 マレーシアU19代表で活躍したルクマン・ハキム・シャムスディンは、昨年2019年の東南アジア競技大会シーゲームズでは飛び級でU23代表でプレーし、今年2月には英国2部のカーディフシティーでの練習に参加した後、ベルギー1部リーグのKVコルトレイクに加入が予定されていました。しかし就労ビザ発給が遅れ、その後は新型コロナウィルス感染がヨーロッパ各地で拡大したことから、現在はマレーシア国内に留まり、当面はMFL2部のスランゴール2でのプレーを検討中であると英字紙スター電子版が報じています。
 ルクマン選手が今年最初の移籍期間にスランゴール2に登録されたことは既にこのブログでも取り上げていますが、ルクマン選手が移籍予定のベルギーリーグはリーグ打ち切りを決めながらも欧州サッカー連盟UEFAの「圧力」で決定を取り消すなど混乱が続いており、ルクマン選手の渡欧はすぐには実現しそうもありません。
 4月23日にさらに2週間の延期が発表された活動制限令下は自宅で練習中というルクマン選手は、今季のリーグ戦ではスランゴール2ではまだプレーしていませんが、リーグ再開に備えて準備を続けたいとしています。
 カーディフシティー、KVコルトレイクともマレーシア人ビジネスマンのヴィンセント・タン氏が所有するクラブで、ルクマン選手はKVコルトレイクと5年契約を結んでいます。
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 2018年のアジアサッカー連盟AFC U16選手権では、マレーシア代表はグループステージで敗退したものの、5ゴールを挙げたルクマン選手は、優勝した日本代表の西川潤選手(セレッソ大阪)らと大会得点王を分け合っています。
 ところで、このルクマン選手は練習以外の時間に、バイクで食べ物などのデリバーを行なっているという報道もあります。今はサッカーのことだけを考えて生活しても良いのではとも思いますが、とにかく、他のデリバリーの方々同様、新型コロナウィルス感染や運転するバイクの事故などには気をつけて欲しいです。

TFC主将は給料削減の追加を申し出る
 トレンガヌFCのリー・タックはイギリス出身の外国籍選手ながらチームの主将を務めていますが、このタック主将がクラブによる給料削減に加え、さらなる削減を自ら申し出たことをタック選手の代理人が明かしています。
 2018年からトレンガヌFCでプレーしているタック選手の代理人を務めるエフェンディ・ジャガン・アブドラ氏は、タック選手に代わってクラブと給料削減についての交渉を行い、その席で決まった削減額を伝え、タック選手もその額に同意したそうです。しかし、その翌日に、タック選手から連絡があり、自分の給料をさらに削減するようクラブに伝えるよう依頼があったそうで、タック選手は最終的には「かなりの額」を削減することになったということです。タック選手の他、シンガポール出身のファリス・ラムリら複数の外国籍選手の代理人も務めるエフェンディ氏は、他の外国籍選手も給料削減の必要性を理解していると話しています。
 これを報じたマレー語紙ハリアンメトロ電子版は、具体的な金額は明らかにしていないものの、この給料削減は4月分の給料から行われ、チーム練習が再開するまで続くというエフェンディ氏のコメントも紹介しています。

国内リーグ主催者は未払いの審判手当の支給を約束か
 マレーの通信社ブルナマは、国内リーグの運営するマレーシアフットボールリーグMFLが、未払いとなっている審判手当について今月中に支払う予定であるようだと報じています。
 昨季2019年シーズンのマレーシアカップ、国内リーグ3部のM3リーグ、そして今季2020年のFAカップでの試合の審判手当が未払いとなっている件について、審判を手配している複数の州サッカー協会審判部にSNSでメッセージが送られ、MFLは5月前にまでには支給するという連絡が届いたとしてます。
 この情報を得て、ブルナマはMFLとマレーシアサッカー協会FAMに審判の手当未払い問題が存在するかどうかを確認しようとしたそうですが、その問い合わせについてはMFL、FAMとも返事をしなかったとも報じています。
 なお審判手当の未払いについては、MFL、FAMともこれまで公式な発表は行っていません。
 この審判手当未払い問題は、4月21日に地元テレビ局が第一報を報じたことに端を発しますが、その際の報道内容は」審判手当の支給をMFLに拒否されたという話がSNS上で国内サッカーファンの関心を集めている」というものでした。
 ブルナマによれば、審判手当の未払いはMFLクラブとは無関係であること、またこの審判手当未払いは、つい最近の問題ではなく、過去にも起こっていたということです。
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 もしこの報道が事実だとすれば、未払い給料問題を抱えるクラブをMFLが罰するという図式に説得録がなくなるどころか、むしろそれが滑稽に見えてしまいます。しかし果たして実際はどうなのかは、MFLおよびFAMからの公式声明もないということですので、続報を待ちたいと思います。

4月25日のニュース:FAMとMFLは活動制限令解除後リーグ再開希望を公式表明、パハン州協会はリーグ戦を来年まで延期することを提案、FAMがAFCのエリート育成事業計画の正式メンバー入り

FAMとMFLは活動制限令解除後のリーグ再開希望を公式表明
 マレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookでは、FAMが国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLと共同で、政府関係筋に今季2020年シーズンの再開を希望する意思を公式に表明したことを明かしています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長名で出された声明では、昨日4月23日にFAMのラマリンガム事務局長とハミディン・アミンFAM会長、そしてMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOが国内のスポーツを統括するマレーシア政府の青年スポーツ省のトップであるリーサル・メリカン・ビン・ナイナ・メリカン青年スポーツ相を公式訪問し、その席で活動制限令MCO解除後の国内リーグ再開許可を青年スポーツ省を通じて国家安全保障委員会と保健省に申請したとしています。
 なおラマリンガム事務局長は、リーグ再開の可否ににかかわらずFAMとMFLは国家安全保障委員会と保健省の指示に全面的に従う意向を示しています。
 また4月22日を期限にMFL1部と2部に所属するクラブに提出を求めていた選手との給料削減についての交渉状況やクラブの経営状況を、調査検討中であることも発表しています。国際サッカー連盟FIFAやアジアサッカー連盟AFCとも意見交換を行っているとするFAMは、各クラブから提出された報告内容は今後の方針を決める際の判断材料となるとしています。
(以下はFAM、MFLと政府筋との会談について知らせるFAMのFacebookページ)

パハン州協会はリーグ戦を来年まで延期することを提案 
 マレーシアの通信社ブルナマによると、マレーシアフットボールリーグMFL1部のパハンFAを運営するパハン州サッカー協会PBNPは、国内リーグ戦を含めた今季のマレーシア国内の全てのサッカー活動を来年まで延期することを提案しました。
 PBNPのトゥンク・アブドル・ラーマン・スルタン・アーマド・シャー会長は声明を発表し、その声明の中でマレーシアサッカー協会FAMとMFLに対して新型コロナウィルス感染拡大の収束が見通せない現状では、今季のサッカー活動を全て来年まで延期するという判断を直ちに下すことが、国内サッカーに関わる全ての者の不安を解消する手段であるとしています。
 自身もスタジアムで試合を観戦できないのは残念であるとしながらも、パハンFAだけでなく国内の全てのサポーターに対して現在は辛抱が必要であるとも述べています。

FAMがAFCのエリート育成事業の正式メンバー入り
 アジアサッカー連盟AFCの公式サイトは、マレーシアサッカー協会FAMがキルギスタンサッカー協会、ミャンマーサッカー協会とともにAFCのエリートユース育成事業の正式メンバーと認められたことを発表しています。
 またAFCのウインザー・ジョン事務局長は、FAMがマレーシア政府青年スポーツ省とともに運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDP傘下のエリートユースアカデミーであるモクタル・ダハリアカデミーAMDがAFCのユース委員会によって二つ星評価を得たことも合わせて発表しています。
 FAMのハミディン・アミン会長は、マレーシアではユース育成の改善を目指しており、AFCのエリートユース育成事業計画のメンバーとなったことで、今後は育成の適切な組織が構築できることを期待していると話しています。
 FAMは3月初旬にAFCの副テクニカル・ダイレクターであるラースロー・サライ氏らAFCによる審査のための視察団を受け入れていました。
 AFCのエリートユース育成事業計画は、各国のサッカー協会が運営するユース育成プログラムのさらなる発展をAFCが助成する事業で、参加メンバーとなるためには施設、指導者、財政などの計画内容から参加者の教育や福利など20分野での資格審査を通過する必要があります。
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 AMDはこの前の記事で取り上げたルクマン選手が第1期卒業生ですが、このAMDの二つ星評価については、最高で三つ星となる中での二つ星のようです。同時にメンバーとなったキルギスタンサッカー協会のオシにあるアカデミーや、ミャンマーサッカー協会のヤンゴン、マンダレー、バセインにあるアカデミーはいずれも一つ星評価ということなので、
(FAMがAFCエリートユース育成事業計画のメンバーとなったことを伝えるFacebookページ-FAMのFacebookより)


4月24日のニュース:ベルギー代表を目指すクチン生まれの24歳、サポーターの多くはリーグ中止を希望、TFC IIは給料削減に合意

ベルギー代表を目指すクチン生まれの24歳
 このブログでも何度か取り上げたディオン・ヨハン・コールズは、サラワク州クチンで生まれ、マレーシア人の母親とベルギー人の父親を持つ24歳のプロサッカー選手です。そのコールズ選手が、今後ヨーロッパでの活躍の機会がなければ、マレーシアでのプレーも視野に入れているようだと、英字紙ニューストレイトタイムズが伝えています。
 将来はベルギー代表でプレーしたいと話すコールズ選手は、ベルギーU18代表、U19代表、U22代表でプレーし、欧州サッカー連盟UEFA U19選手権出場や、クラブ・ブルッヘでも主力選手としてUEFAチャンピオンズリーグの出場経験もあります。しかしこれまでフル代表への召集はなく、またクラブ・ブルッヘでも出場機会が減ってきたことから、今年1月にベルギー1部リーグのクラブ・ブルッヘからデンマーク1部リーグのFCミッティランに移籍しています。
 FCミッティランとの契約は2023年まで残っているコールズ選手に対して、これまでにマレーシア国内リーグのパハンFAやジョホール・ダルル・タジムJDTが獲得に興味を示したとされていますが、いずれも実現していません。それでもJDTは現在も獲得に興味を持っているとされ、ベルギー代表でのプレーを諦めれば、マレーシア国籍を取得してJDTへ移籍し、さらにマレーシア代表入りという可能性があるようです。
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 このコールズ選手は4月19日に地元のテレビ局の番組に中継で出演し、マレーシアサッカー協会FAMから代表招集について連絡を受けたことがないため、考えたこともないと話す一方で、正式に連絡を受ければ代表参加について検討したとも発言しており、その結果としてこの記事が出たのだと思います。2017年に当時のマレーシア代表監督を務めていたポルトガル人のネロ・ヴィンガダ監督が代表チームに加わる意思があるかどうかの連絡を取ったとされていますが、その時は結局、何も起こりませんでした。
 本来のポジションは右サイドバックながら、185cmの身長を生かしてセンターバックもできるということなので、不用意なミスが見られるシャルル・サアド以外に人材がいないマレーシア代表にとっては、コールズ選手は是非とも欲しい戦力です。

サポーターの多くはリーグ中止を希望
 昨日4月23日にマレーシア全土に発令中の活動制限令MCOのさらに2週間延長が発表されましたが、マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、同紙が行ったアンケート調査によると多くのファンが、MCOが解除後も今季のリーグ中止を望んでいるということです。
 マレーシアサッカー協会FAMと国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは現在、活動制限令MCO解除後のリーグ再開を検討しているとされていますが、多くのサポーターは反対意見を持っているようで、ブリタハリアンが同紙の公式Facebook上で行ったアンケート調査によると、4万891件の回答の中で、およそ90%がリーグ中止を支持するとしたと報じています。また同紙はTwitter上でも同様のアンケートを行い、こちらは1051件の回答中、87%がリーグ中止に賛成を表明したということです。
 Facebook上のアンケートでは、490名が安全上の問題を挙げ、リーグ中止が新型コロナウィルス感染拡大防止に役立つと回答し、その中には「リーグを再開すれば新しいクラスター形成につながる可能性がある」といった意見や「リーグ再開は国にとっての優先事項でない」などの意見が出ています。
 活動制限令解除後も、マレーシア政府は多くの人が集まるイベントは半年から1年の間、禁止する可能性があるとも言われており、ブリタハリアンの記事は少なくとも今季のリーグは中止とするのが最善の選択だろうと結んでいます。

TFC IIは選手が給料削減に合意
 マレーシアフットボールリーグMFL2部のトレンガヌFC IIはクラブと選手およびスタッフとの間で給料削減に合意したとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 MFL1部のトレンガヌFCのBチームであるトレンガヌFC II(TFC II)には鈴木ブルーノ選手が在籍しています。
 ロシャディ・ワハブ監督の談話によると、ワハブ監督とサピアン・ワヒドTFC IIコーチがトレンガヌFC IIを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTと選手たちを仲介し、受け取っている給料の額に応じて5%から30%の給料削減が行われることに選手、監督、コーチが同意したということです。なお給料削減は4月分から行われるということです。
 マレーシアサッカー協会FAMは、MFL1部と2部のクラブに対して、4月22日を起源としてクラブと選手、監督、コーチとの間で給料削減について同意するよう求めていました。

4月22日のニュース:フェルダ・ユナイテッドが給料削減を決定、一方、ケランタン・ユナイテッドはMCO延長の場合に給料削減を検討、インドネシア代表が新ユニフォーム発表

フェルダ・ユナイテッドが給料削減を決定
 マレーシアフットボールリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCは、選手や監督、コーチに対して5%カラ20%の給料削減を行うことを発表したと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 給料削減実施を決定したのは、ジョホール・ダルル・タジムJDT、ケランタンFA、マラッカ・ユナイテッド、ペナンFA、クダFAに次いで6クラブ目となります。
 なお、今季から恵龍太郎選手も所属するフェルダ・ユナイテッドの給料削減は、4月14日にクラブと選手やスタッフとの間で合意されたとしており、現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令MCO期間中のみを対象としているということです。
 ニザム・ジャミル監督は、クラブが2018年分の未払い給料を完済したことも明らかにした上で、現場の選手だけでなく、フロントのスタッフらとともに現状を乗り越えるために給料削減をクラブの全員が受け入れたとしています。
 またフェルダ・ユナイテッドのアフィザル・アブ・オスマン事務局長は、ニザム監督とジャサズリン・ジャマルディン主将との話し合いを経て、クラブ全員の同意が取れたとし、U21のプレジデントカップチーム、U19ユースカップチーム、アカデミーの選手を含めた関係者全員に給料削減を知らせる手紙を送ったことを明らかにしています。
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 この記事では、フェルダ・ユナイテッドを含めて6クラブが給料削減に同意とありますが、クチンFAも給料を削減し、その一部を寄付した記事をこのブログで取り上げましたので、正確には7クラブが給料削減に同意ということになります。

一方、ケランタン・ユナイテッドはMCO延長の場合に給料削減を検討
 今季2020年シーズンからマレーシアフットボールリーグMFL2部でプレーするケランタン・ユナイテッドFCは、現在発令中の活動制限令MCOがさらに延長された場合には、給料削減を検討する予定であると、英字紙マレーメール電子版が報じています。
 ケランタン州選出の国会議員でもあるケランタン・ユナイテッドのチェ・アブドラ・マット・ナウィ会長は、現時点でクラブは選手に対して契約通りの給料を支払っていると話す一方で、現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令が解除を予定されている4月28日以降も延長される場合には、選手や監督、コーチと給料削減に関する話し合いを持たなければならないだろうと話しています。

インドネシア代表が新ユニフォーム発表
 インドネシアサッカー協会PSSIの公式サイトでは、代表の新たなユニフォームが発表されています。
 2007年からナイキ社製のユニフォームを使用していたインドネシア代表ですが、今年2020年1月には、タイのWarrix(ウォリックス)社と契約を結び、新ユニフォームが発表されていました。(1月に発表されたホーム(左)とサード(右)-Warrix社のFacebookより)

 しかし今回、発表された新ユニフォームは地元スポーツメーカーのミルズ社製で、これは多くのサポーターからインドネシアのブランドを使うべき、という声が上がったことからPSSIがWarrix社との契約を取りやめたことによるものであるという報道も見られました。

 ミルズ社はインドネシア最大のスポーツメーカーで、トレーニング用ユニフォームは今年2月から代表チームに供給していたようですが、今月4月に試合用ユニフォームのサプライヤーとなったようです。
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 インドネシア代表の伝統的な赤のホームユニフォームには、左右の肩から前面にかけて「ガルーダ・ハグ」と呼ばれる翼がデザインされています。(筆者注:「ガルーダ」はインドの神話に登場する鳥で、ヒンドゥー教の「維持」の神であるヴィシュヌが乗る神鳥。ガルーダはインドネシア代表の愛称でもあります)アウェイやサードユニフォームは追って発表されるということですが、新型コロナウィルスの影響で当面は国際試合が行われる予定もなく、お披露目はまだ先になりそうです。

4月21日のニュース:協会会長が今季のリーグ続行中止の可能性に言及、スランゴールFC監督はリーグ中止が起きた場合のサッカー界への影響を懸念、元代表選手がフィンランドでUEFFライセンス取得へ

FAM会長が今季のリーグ続行中止の可能性に言及
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版では、マレーシアサッカー協会FAMは今季リーグ戦の中止も選択肢の一つと考えているようだと報じています。
 3月18日にマレーシア全土で発令された活動制限令MCOも既に35日目となり、その効果が現れ始めたのか新たな患者数は本日、4月21日で5日間連続で二桁となりましたが、その一方で、FAMのハミディン・アミン会長は国内リーグのフォーマット変更や開催期間の短縮などについて検討していると話しています。
 国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLの会長も兼ねるハミディンFAM会長は、クラブ、選手、スタッフ、そしてサポーターの安全が第一であるとして、マレーシア政府保健省が作成する指針を遵守するとし、状況次第では今季のリーグ戦およびカップ戦を中止することも選択肢の一つであるとも述べています。
 MCO発令当初、FAMとMFLは5月1日、6月1日、7月1日をリーグ再開の予定日候補としてあげていましたが、4月14日解除の予定だったMCOが2週間延長されたことで、5月1日のリーグ再開は現実的ではなくなっています。
 FAMは国際サッカー連盟FIFAやアジアサッカー連盟AFCとも協議中ということですが、4月28日にMCOが解除となるかどうかも定かではなく、また解除となった場合でも多くの人が集まるサッカーの試合のようなイベントなどは半年程度は禁止されるという報道もあります。
 なお、ハミディン会長は来週、今後の予定や給料削減などについて報道陣向けに声明を発表するとしており、詳細はそこで明らかになりそうです。
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 マレーシアでは4月24日からイスラム教の断食月が始まり、そのおよそ1ヶ月後の5月24日から26日にはハリラヤと呼ばれる断食明けの公休日(祝日)があります。日本で言えば、元旦のような祝日で、都市部に住む地方出身のイスラム教徒が帰省し、大規模な人の移動が発生します。しかし今年はこの大移動に伴う新型コロナウィルス感染拡大も懸念されることから、ハリラヤ公休日の変更について検討しているという報道もあり、国内リーグやカップ戦もその影響を受ける可能性があります。
 なお、世界最大のイスラム教徒を抱える隣国インドネシアでは、マレーシアのハリラヤに相当するレバランの連休を12月に移動させることを既に発表しており、インドネシアの国内リーグはレバラン連休明けの5月29日までの中断と7月1日の再開が予定されています。

スランゴールFC監督はリーグ中止が起きた場合のサッカー界への影響を懸念
 同じニューストレイトタイムズ電子版では、国内リーグが中止となることへの危惧を取り上げています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、国内リーグが中止となれば、サッカー界全体に影響が及ぶだろうと話しています。
 マレーシア政府が現在発令中の活動制限令MCOを延長、あるいは解除となっても多くの人間が集まる教示の開催を禁止する可能性がある中、サティアナタン監督はマレーシアサッカー協会FAMがあらゆる可能性を追求して、リーグを再開することを望んでいると話しています。
 「リーグを中止するとなれば、広告主やスポンサーに対する義務を果たせなくなり、今後はそういったスポンサーがリーグから手を引く可能性もある。国内リーグの多くのクラブ入場料収入が多くないため、そういったスポンサーに依存しており、万が一スポンサーが手を引けば、クラブや選手、スタッフだけでなくサッカー界全体が大打撃を受ける可能性がある。」と話し、国内リーグが再開する場合には、無観客試合として実施、テレビ放映やストリーミングなどで中継するなどの方法もあるとし、多くの失業者を生み出す可能性があるリーグ中止だけは起こらないことを願っていると述べています。

元代表選手がフィンランドでUEFFライセンス取得へ
 新型コロナウィルス関連の暗いニュースが続く中、英字紙スター電子版は、元代表選手がフィンランドで欧州サッカー連盟UEFAのコーチライセンス取得間近であるという記事を掲載しています。
 ペラTBGやフル代表で活躍したサラヴァナン・ヴェル氏は現在、フィンランド在住で今年中にUEFA Aライセンスを取得できる予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で遅れが出ているようです。
 現在はフィンランド1部リーグのHJKヘルシンキでU12チームのコーチを務めているサラヴァナン氏によると、理論などの講義はオンライン形式で行われており予定通りに進んでいるものの、実技に関しては延期となっているということで、Aライセンスの取得は予想より遅れそうだと話しています。
  U21代表、U23代表を経て2000年から2004年までフル代表として43キャップを獲得し、ペラTBGではマレーシアカップで2度優勝を経験したサラヴァナン氏によれば、フィンランドは人々の外出が許されてはいるものの、学校やサッカースクールなどは閉鎖されているということで、現在は、選手たちが送ってくる映像をチェックする毎日を過ごしているそうです。
 マレーシアでフィジオセラピストとして勤務経験がある奥様の出身国フィンランドに移り住んで7年目となるというサラヴァナン氏が取得予定のUEFA Aライセンスは、プロライセンスの1つ下のライセンスで、U18までのチーム、1部リーグのBチーム、2部リーグのクラブなどでの指導が可能になるライセンスだということです。

4月17日のニュース:ケランタンは一律で給料削減を行わないことを約束、クダは未払い給料問題の存在を認める、 TMJは自分を批判したクダ州FA事務局長を非難、マラッカU主将は給料削減に関する州協会の説明に理解を示す

ケランタンFAは一律で給料削減を行わないことを約束
 今季から渡邉将基選手がプレーするケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、全ての選手から一律で減額するような給料削減を行わないことを約束しているとマレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。。
 KAFAのフシン・デラマン事務局長は、若い選手の中には給料が2000リンギから3000リンギ(およそ5万から7万4000リンギ)という選手もおり、そういった選手の給料削減は行わないこと、また公正を期するために各選手の給料額を元に削減額を検討するとしています。
 デラマン事務局長は「選手の中には給料が1万リンギ(およそ24万6000円)以下の者もいれば、数万リンギの者もおり、KAFAとしては20%から30%の給料削減を行う希望があるが、個々の選手と削減額について近いうちに話し合う予定がある」と話し、選手の同意なしに給料削減を行わないことも併せて表明しています。

クダFAは未払い給料問題の存在を認める
 クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アヌアル・アリス名誉事務局長は、3月18日の活動制限令発令以来、クラブのスポンサーによる支援が滞っていることを明らかにしています。
 ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が「暴露」したクダFAの未払い給料問題について、クダ州議会議員でもあるアスミルル名誉事務局長は、活動制限令MCOによる経済停滞の影響からスポンサーによる支援を得られておらず、またKFAのスポンサーであるクダ州政府も州予算をMCOで影響を受けているビジネスの補助や州民の生活支援を優先しているとする一方で、クダ州政府には十分な資金があり、MCO解除後直ちに未払い給料問題解決に取り組む予定であると話しています。
 また国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLとマレーシアサッカー協会FAMが何度も会合を開いておきながらリーグ再開予定の発表が遅れている点を非難し、日程が決まらない状況ではKFAを含めた各州FAは選手との給料削減についての話し合いを行うことが難しいとし、選手との交渉はリーグ再開日程が発表になってからになることを示唆しています。
 さらにアスミルル名誉事務局長は、2018年5月以降は給料が未払いだったことはなく、今回の未払い給料問題とされているのは新型コロナウィルスの影響による給料の遅配であり、クダ州サッカー協会KFAの外部の人間が、KFA内の問題に介入することの合法性や、その問題をメディアに公開するその目的は疑わしいものであるとしています。
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 隣国タイやインドネシアでは暫定的とはいえ、リーグ再開日程が発表になっている一方で、マレーシアではMFL、FAMいずれからも日程については何の発表もないまま、給料削減だけを推奨するという不可解な状況になっているのは事実です。また最期の部分で触れられている、「州協会内の問題に介入し、その問題をメディアに公開する」という表現はJDTのイスマイル殿下に向けられている批判だと思われますが、どう表現しようと給料未払いは事実なので、こちらについては少々お門違いな批判に思えます。

TMJは自分を批判したKFA事務局長を非難
 上で取り上げたクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アヌアル・アリス名誉事務局長による自分への批判に対して、TMJことジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、KFA内の問題に介入するつもりはないとする一方で、クダFAの選手がJDTの選手に伝えた内容を明かしただけであるとしています。
 イスマイル殿下は自らのインスタグラム上で、給料未払い問題についてKFA自身ではなく他人を批判すルべきではなく、また給料未払い問題を隠すことはサポーターを欺く行為である、と述べています。
 自分自身の利益のためにクラブを運営する政治家の口先だけの約束に長い間苦しんでいるマレーシアのサッカー選手全員の声を代弁しているだけである、とするイスマイル殿下は、未払い給料は新型コロナウィルス発生前のものであること、また未払い給料についてはクダFAの外国籍ストライカーがJDTの選手に告げたものであることを明かし、インスタグラムの投稿には、自分を批判したKFAのアスミルル名誉事務局長の写真も添えています。

マラッカU主将は給料削減に関する州協会の説明に理解を示す
 マラッカ・ユナイテッドの主将で、元代表主将のサフィク・ラヒムは、クラブを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAの給料削減についての説明に理解を示していると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 マラッカ・ユナイテッドの選手は、先月3月末のマレーシア国会を中心に起こった政変により全面的に交代したMUSAの会長およびフロントと2ヶ月分の未払い給料問題の解決についての話し合いを行い、サフィク主将は全員が納得のいく説明を受けたとしています。
 サフィク主将は、選手が給料の一部削減を受け入れたことを認める一方で、未払いとなっている2月と3月の給料については、削減対象でないことを明かし、さらに4月分から削減される給料についても、どの程度の削減になるかはまだ確定していないと話しています。
 サフィク主将ら11人の選手やザイナル・アビディン監督と話し合いをおこなったMUSAのウィラ・モハマド・ユソフ・マハディ副会長は、話し合いは建設的で友好的だったと述べ、外国籍選手を含めた残りの選手との話し合いは今後行われるとする一方で、全ての選手が未払い給料問題と給料削減については説明に納得していると話し、未払い給料については、1ヶ月程度で完済する予定であることも明かしています。

4月16日のニュース:選手会がJDTオーナーの支持表明に感謝、クダFAサポーターはクラブに未払い問題があることに驚く 、タイ協会は9月に国内リーグ再開を予定、AFCは6月末までの公式戦を全て延期

選手会がJDTオーナーの支持を感謝
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMは公式Facebook上で、「未払い給料問題を抱えるクラブは給料削減の交渉を始める前に未払い給料を支払うべき」というPFAMの主張への支持を表明したジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下に感謝の意を表明しています。
 イスマイル殿下がJDT公式Facebook上で支持を表明すると、直ちにPRAMはサフィ・サリーPFAM会長(PJシティFC)以下、シャーロム・アブドル・カラム(ヌグリスンビランFA)、ラズマン・ロスラン、カイルル・ファミ・チェ・マット(いずれもマラッカ・ユナイテッド)、ファリザル・マーリアス(JDT)、ザクアン・アドハ・アブドゥル・ラザク(クダFA)、スブラマニアム・スーリャパラド(クアラルンプールFA)、シャルル・サアド(ペラTBG)の連名で、「イスマイル殿下がPFAMの主張への指示表明は、殿下がプロサッカー選手に対して心遣い持つことの証であり、また給料削減交渉を行う前にプロサッカー選手の権利と福利が尊重されるべきであることをはっきりと示したものである」、さらに「未払い給料問題を抱えるクラブは速やかに未払い給料を支払い、その上で公平で透明性が高い方法で各選手と個別に給料削減方法の交渉を行うべきである」という内容をFacebook上に投稿しています。
(下はイスマイル殿下に感謝の意を表すPFAMの投稿-TMJはTunku Mahkota Johor「ジョホール皇太子」の意味)

クダFAサポーターはクラブに未払い問題があることに驚く
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、JDTのオーナーでジョホール皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がクダFAに給料未払い問題が存在することを公表したことで、クダFAのサポーターの間で驚きが広がっていると報じています。イスマイル殿下はJDTの公式Facebook上でクダFAの他、マラッカ・ユナイテッド、ケランタンFA、ペナンFAも未払い給料問題を抱えていることを公表し、この4クラブは未払い給料問題を解消してから新型コロナウィルス感染拡大防止のためのリーグ中断い伴う給料削減交渉を行うべきであると述べています。
 ブリタハリアンの記事では、23団体あるクダFAサポーターグループの代表者であるモハマド・サファリザル・モハマド・ソブリ氏の「クダFAが未払い給料問題を抱えていることは驚きであり、(クダFAを運営する)クダ州サッカー協会KFAがこれを深刻な問題とし、クラブのイメージや評判を維持するためにも迅速に対応してほしい」というコメントを紹介しています。さらにサフィリザル氏は「クダFAのサポーターも知り得なかった内部の情報がどのようにして外部(のトゥンク・イスマイル殿下)に伝わったのか、またその内部情報が正確なのかどうかについて、KFAに公式発表を求めてたいとしています。

タイ協会は9月に国内リーグ再開を予定
 隣国タイの英字紙バンコクポスト電子版では、現在中断中の今季のタイリーグ1部と2部は今年9月にリーグを再開する予定であると報じています。
 タイサッカー協会FATのソムヨット会長は、新型コロナウィルスによる被害が収束すること条件ながら、今季2020年シーズンを9月から再開し、来年2021年5月終了とすることがFAT役員および1部と2部のクラブの代表者の満場一致で決まったと話しています。なおカップ戦は予定通り行われることも合わせて発表しています。
 また、今季のリーグ戦が9月再開となった場合、ヨーロッパ各国のリーグと同様の9月開幕5月閉幕という日程は、来年以降もタイリーグで採用される可能性があるとしています。
 さらにソムヨット会長は、1部と2部のクラブに対して最大で50%の選手給料削減を許可すると話す一方で、影響を受ける選手から訴訟を起こされることを避けるため、国際サッカー連盟FIFAおよびアジアサッカー連盟AFCと協議を行なっていくとしています。
 この他、タイリーグの放映権を持つTrueVisionsは、7月にFATへ今季2度目の放映権料を支払う予定であるとしながらも、リーグは開幕から第4節終了後に中断していることからどのくらいの放映権料が支払われるかは不明であり、これによりFATから各クラブへ助成金が支給されるかどうかは決まっていないこと、またタイ代表の西野朗監督の給料も50%削減されることも明らかにしています。
 ソムヨット会長は、さらにタイリーグ3部と4部クラブとの会談は今後行われるよていであること、そして以前このブログでも取り上げた今年年末に予定されている東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップについては、国内リーグ開催時期と重なることから、若い選手にあるいは「2軍」の代表チームが参加する可能性も示唆しています。

AFCは6月末までの公式戦を全て延期
 アジアサッカー連盟AFCは公式サイトにて、新型コロナウィルス感染拡大防止とアジア各国で実施されている移動制限を考慮して、5月と6月に予定されていたAFC主催試合を期限を設けずに延期すると発表しています。AFCは既に3月と4月に予定されていたAFCチャンピオンズリーグACLグループステージなどのAFC主催試合を全て延期しています。
 本来ならば8月から始まるACLノックアウトステージも、グループステージを7月中に終了しない限り、予定通りには始まらないことになりました。マレーシアからはジョホール・ダルル・タジムJDTが出場しているACLグループステージのグループGは全12試合中、3試合しか終了しておらず、ACLが再開となっても、おそらく同時に再開となる各国の国内リーグとの日程調整が難しい上、やはり順延となっているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選件2023年AFC選手権アジアカップ予選もあり、今年後半のサッカーカレンダーは、アジアのサッカー選手に負担を強いるものになりそうです。
 また今回のAFCの発表により、東京オリンピックの女子サッカー出場権をかけた中国対韓国戦も当初予定されていた6月1日と9日の試合が延期となっています。

4月15日のニュース:選手会は給料削減の前に未払い給料問題を解決することを求める、JDTオーナーも選手会の主張を支持、「八百長」の心配はない-FAM

選手会は給料削減の前に未払い給料問題を解決することを求める
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは未払い給料問題を抱えるクラブに対して、所属選手の給料削減を検討する前に未払い給料を完済するべきであると主張しています。
 活動制限令MCOが4月28日まで延長されたことを受け、国内リーグ各クラブが給料削減交渉を活発化させることが予想されますが、PFAMは契約内容の遵守を原則とした上で、MFLのクラブに対して以下の2つの条件を提示しています。
1. 未払い給料問題を抱えるクラブは、リーグ中断を理由として選手と給料削減交渉を行う前に未払い給料を完済すること。
2. 各クラブが給料削減交渉を行う際は、各選手の給料が異なることを考慮し、全選手に同一の削減案を提示するのではなく、各選手と個別に削減額について話し合うこと。
 MFL1部のPJシティーFCでプレーするPFAMのサフィ・サリー会長は、選手と事前に交渉を行わずに給料削減を行なったクラブが複数あるという情報を得ているとして、マレーシアサッカー協会FAMや国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLに対して、クラブと選手の間の交渉が誠実に行われるよう監視するよう求めています。
 「(新型コロナウィルス発生以前の)給料未払い問題を抱えているクラブは、未払いの給料が完済できない口実として新型コロナウィルスを利用し、その上、さらに給料削減を行おうとしている。しかもそういった給料未払い問題を抱えているクラブが、リーグ中断期間中の給料削減に関して最も声高に主張しているのは皮肉なことである。」と述べるサフィPFAM会長は、さらに「給料が決して高額ではない選手が数ヶ月に渡って給料が支払われていない場合、その選手に対してさらにクラブが給料削減を行ったらどうなるかを想像して欲しい。そういった選手は家や車など生活に必要な多くのものを失うことになるだろう。」と話しています。

JDTオーナーも選手会の主張を支持
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMの主張を支持するように、国内リーグ1部で7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーであるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下も、JDTの公式Facebook上で給料未払い問題を抱えるクラブはまず、その問題を解決してから給料削減を行うべきであると述べています。
 イスマイル殿下は、国内リーグでプレーする大半の選手は新型コロナウィルス感染拡大によって運営が苦しくなったクラブと給料削減について協力する用意があるとする一方で、クダFA、ケランタンFA、マラッカ・ユナイテッド、ペナンFAなど具体的なクラブ名を挙げた上で、未払い給料問題を抱えるクラブは給料削減を行う前に未払い給料を完済するべきであるというコメントをFacebook上で行っています。
 「大半のクラブはその運営資金全額を州政府から配分されているはずで、そういったクラブが給料未払い問題を抱えている理由が理解できない」として、クラブが州政府の重荷になってはいけないと話しています。
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 国内リーグ1部や2部でプレーするクラブの大半が州サッカー協会によって運営され、州サッカー協会(州FA)のトップは州知事、クラブの最大のスポンサーが州政府、という現在の状況が続く限り、今年3月末に起きたような政変で州議会内での与党、野党が変われば州FAのトップも変わり、長期的な視野でのクラブ運営を行うことは今後も難しいでしょう。また今回のようにイスマイル殿下が正論を吐けるのは、自らがオーナーを務めるJDTがその財源を州政府に依存せず、ジョホール王室からの資金で運営されているからです。(写真はイスマイル殿下の投稿-JDTの公式Facebookより)

「八百長」の心配はない-FAM
 先日のこのブログでは、給料未払いに加えて国内リーグ中断による給料削減が行われようとしているマレーシアサッカー界には、「八百長」が起きやすい環境が整いつつある、という記事を取り上げました。
 しかしマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長によれば、昨年以来、「八百長」と疑われる試合は起きていないと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 2018年に就任したラマリンガム事務局長は、自分が就任以来、八百長の疑いがもたれた件が2件あったものの、いずれも八百長ではないと裁定されているそうです。
 かつてマレーシアやシンガポールは八百長試合など不正工作の温床とされていましたが、近年は状況が変わっており、アジアサッカー連盟AFCも過去6年間でアジアでの八百長試合が減少していることを公表しています。
 なおFAMは各州FAの不正防止員会を通じてマレーシア警察やマレーシア政府汚職防止委員会と協力して八百長試合が起こらないよう監視している他、異常な賭け率変動がないかを監視するために国際サッカー連盟FIFAの早期警戒システムEWS社と契約しています。
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 マレーシア国内でのサッカー賭博は非合法ですが、国際的にはオンライン賭博の対象となっており、八百長が起こる可能性は常に存在します。FAMが契約しているEWS社は世界中の賭博事業者と提携し、各国の試合の掛け率などを24時間監視しています。そしてマレーシア国内での試合の掛け率の急激な変動など、不正操作の可能性がある場合には、即座にFAMに警告が通知される仕組みになっています。

4月11日のニュース:MFLの東南アジア枠選手はシンガポール出身が最多、スランゴールFC監督もシンガポール出身選手に高評価

MFLの東南アジア枠選手はシンガポール出身が最多 
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトでは、MFL1部スーパーリーグの東南アジア枠でプレーする選手を取り上げて特集しています。MFL1部のクラブは最大5人の外国籍選手を登録することができ、その中にはアジア枠1人、東南アジア枠1人が含まれています。
 文化的にも言語的にもマレーシアと似通っているいることから、東南アジア枠の選手獲得を考える多くのMFLクラブがまず検討するのがシンガポールである、と話すのは選手のエージェント業務を行なっているアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏です。シンガポールは1965年に離脱し独立するまではマレーシアの一部でしたが、独立後もシンガポールチームは2015年シーズンまではマレーシア国内リーグでプレーしていたことから、両国のサッカーの歴史や文化は似通っており、他の東南アジアの国々出身の選手に比べると、シンガポール出身の選手はマレーシアの環境に適応しやすいだろうとアブドル・ハリム氏は話しています。
 MFL1部スーパーリーグにシンガポール出身の選手はジョホール・ダルル・タジムJDTの主将ハリス・ハルン、クダFAのシャキル・ハムザ、スランゴールFCのサフワン・バハルディン、トレンガヌFCのファリス・ラムリ、そしてフェルダ・ユナイテッドのカイルル・アムリ・カマルの5名が在籍しています。
 スーパーリーグの東南アジア枠選手には、この他にタイ出身のナルポン・ワイルド(マラッカ・ユナイテッド)、アナウィン・ジュジーン(PJシティFC)、デニス・ブシェニング (サバFA)、フィリピン出身のアダム・リード(パハンFA)、マーク・ハートマン(UITM FC)、カンボジア出身のチエリー・チャンタ・ビン(ペラTBG)おり、PDRM FCは東南アジア枠を使っていません。また、クダFAはフィリピン出身のアミン・ナザリをアジア枠で登録しています。
(写真はMFL公式サイトより)

スランゴールFC監督もシンガポール出身選手に高評価 
 上の記事とは別に、マレーシアの通信社ブルナマはスランゴールFC監督がシンガポール出身の選手を高く評価しているという記事を配信しています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、マレーシアフットボールリーグMFLでプレーしているシンガポール出身の選手は、他の東南アジア諸国出身の選手と比べると非常に質が高いと話しています。
 その理由の一つとして、MFLでプレーするシンガポール出身の選手は全員がシンガポール代表の主力、あるいはかつて主力選手だったことを挙げています。「シンガポール出身の選手は、好不調の波がなく安定しており、ベトナムやタイの選手と比べると給料も高くない。またベトナムやタイの選手は様々な条件を出してくることもあり、文化や言語も違うマレーシアでプレーすることをさほど望んでいないのではないか」と話しています。なお、サティアナタン監督が率いるスランゴールFCの東南アジア枠の選手はシンガポール出身のサフアン・バハルデインです。
 サティアナタン監督は、性格、技術、規律の正しさ、そしてファンやメディアとの良好な関係を築く能力などを、シンガポール出身選手を好む理由として挙げています。
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 MFLでプレーするシンガポール出身選手の代表キャップ数(カッコ内)は、カイルル・アムリ・カマル(132)、ハリス・ハルン(101)、サフアン・バハルディン(96)、ファリス・ラムリ(56)、シャキル・ハムザ(51)となっており、サティアナアン監督が指摘するように代表での経験が豊富で、タイ出身のアナウィン・ジュジーン(5)、ナルポン・ワイルド(0)、デニス・ブシェニング(0)、フィリピン出身のマーク・ハートマン(26)、アダム・リード(5)、アミン・ナザリ(2)、そしてカンボジア出身のチエリー・チャンタ・ビン(36)らのキャップ数と比べても明らかに経験が違っています。(キャップ数はウィキペディアを参考にしています)