2月10日のニュース(1)
再契約の約束を反故にされたと主張するサラワクUのブラジル出身FWが失意の帰国
マレーシア国内新規感染者増もFAMはアジアカップ3次予選開催地として立候補の意向は変えず

再契約の約束を反故にされたと主張するサラワクUのブラジル出身FWが失意の帰国

昨季はMリーグ2部プレミアリーグで2位となり、今季は1部スーパーリーグに昇格するサラワク・ユナイテッドは、昨季終了後も選手や監督、コーチへの給料が未払いとなっていましたが、オーナーが「未払いではなく遅配である」と嘯き、またこれをメディアに公開した選手に対しては「事を大袈裟にしてクラブを貶めるような選手はいらない。」などと逆ギレ気味の発言をするなど、その運営姿勢には大いに問題があるクラブですが、今度は再契約をちらつかせられた外国籍選手がマレーシアへ戻ってきたら、クラブからは不要と言われて帰国するという事件が起こっているようです。

スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、昨季サラワク・ユナイテッドに在籍したサンドロ・ダ・シルヴァは再契約を約束されて今年1月22日に母国のブラジルからマレーシアへ入国したそうですが、クラブからはE・エラヴァラサン監督の決定により新たな外国籍選手と契約すると告げられて、サンドロ選手とは再契約しない旨を告げられたと報じられています。

2015年にクダに加入し、その後はスランゴールでのプレーを経て、昨季からはサラワク・ユナイテッドでプレーしていた今年38歳のサンドロ選手は、クラブ関係者からは再契約を前提としていると聞かされており、他のクラブからのオファーを受けていたがそれらを断るようにとも言われていたと話しています。「再契約の意思がないならそれを伝える電話一本で済むことで、わざわざ自分をブラジルからマレーシアまで呼び寄せる必要はなかったはずだ。」と話したサンドロ選手は、再契約をちらつかせたクラブ関係者には失望していると話す一方で、その名を明かすつもりはないとし、さらに現時点ではこのまま引退する可能性が高いとも話しています。

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サンドロ選手について取り上げたスタジアムアストロの記事に対して、サラワク・ユナイテッドは記事の内容を否定する声明をクラブ公式Facebookに投稿しています。これによればクラブはサンドロ選手に対して昨年12月2日に今季2022年シーズンの契約を提示したものの、サンドロ選手が12月6日にこれを拒否した上で新たな再契約オファーの提案があったとしています。サンドロ選手からは「メッセージアプリのWhatsApp」を利用して回答があったことから、クラブはその提案内容を正式に書面で提出するように求めましたが、その期限とした1週間後までに書面での提出がなかったことからクラブはサンドロ選手側に契約の意思がないと判断したと説明しています。この他、サラワク・ユナイテッドはサンドロ選手に交渉のためにマレーシア入国を求めたことも否定し、今回のマレーシア入国はあくまでもサンドロ選手の意思によるものだともしています。

マレーシア国内新規感染者増もFAMはアジアカップ3次予選開催地として立候補の意向は変えず

マレーシアは成人の半数以上が3度目のブースタ-接種を終えていますが、新型コロナの1日当たりの感染者数は連日、今年最高を記録し続け、2月9日は1万7000人を超えています。そんな中でマレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、マレーシアがAFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選の集中開催地として立候補する意向は変わっていないと述べています。

マレーシアの通信社ブルナマによるとハミディンFAM会長は、オミクロン株による国内の新規感染者数急増について、この状況は対応できる範囲内にあり、一定期間後には感染者数が減っていくとするマレーシア政府保健省の主張を信じていると話しています。その上で国内のスポーツを統括する青年スポーツ省に対しては、アジアカップ3次予選開催のための表中作業手順SOPの見直しは特に行わないとも述べています。

「新規感染者数が増加傾向にあることは理解しているが、多くの国民がワクチン接種している現在は、これまでの状況とは異なると考えている。FAMは保健省や国家安全保障委員会が設けた基準に則って、アジアカップ3次予選をマレーシアで開催する意向をAFCに文書で伝えてあり、今はそれ変更する予定はない。実際に開催地に選ばれるかどうかは今月2月24日の組み合わせ抽選以降になり、それを選ぶのはAFCだが、マレーシアだけでなく3次予選に出場する多くの国が開催地として立候補していると聞いている。」と話したハミディンFAM会長は、開催地決定は渡航者に検疫隔離を義務付けていない国などとの競合になるとしながらも、1980年大会以来となるAFCアジアカップ出場を果たすための本拠地開催に意欲を示しています。

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マレーシアは2007年にタイ、ベトナム、インドネシアと共同開催したアジアカップで「開催地枠」での出場はあるものの、予選を突破しての出場となると上記の1980年クウェート大会まで遡らなければなりません。また国外の開催となれば、マレーシア政府が渡航者全員に義務付けている検疫隔離により国内リーグの日程も影響を受ける可能性もあることから、マレーシアは自国での3次予選開催を強く希望しています。昨日2月9日には、マレーシア政府の諮問機関の国家復興評議会NRCが渡航者に義務付けている検疫隔離措置について、3月1日付けで全面的に撤廃し、国境を完全に開放するよう政府に提案するなど、アジアカップ予選を開催する環境も整いつつあります。 とは言え、昨年末のスズキカップ2020の代表のプレーぶりを見る限りでは、自国開催が実現したとしてもキム新監督が何かマジックを使わない限り、3次予選突破は容易ではなさそうです。


2月9日のニュース
クチンシティに4人目の外国籍選手加入
アセアンU23選手権出場のU23代表が練習試合でサバと引き分け
マレーシア代表カラーのエアバスをマレーシア航空が披露-U23代表はこの機体でカンボジアへ

クチンシティに4人目の外国籍選手加入

Mリーグ2部プレミアリーグのクチンシティは、クラブ公式Facebookで4人目の外国籍選手となるキアヌ・マーシュ=ブラウンの加入を発表しています。英国生まれのマシュー=ブラウン選手はアーセナルのユースからフラムのユースを経て、2009年にフラムで初のプロ契約を結びオルダム・アスレチックやスコットランド1部リーグのダンディー・ユナイテッドなどを経てアメリカへ渡り、直近ではバーレーン1部リーグのイースト・リファー・クラブと契約していたようです。

29歳のマシュー= ブラウンは英国とガイアナの国籍を持つストライカーということですが、このマシュー・ブラウン選手の加入で、先日のこのブログでも紹介したリベリア代表FWアブ・リザルド・カマラ、昨季から残留するDFアレモン(ブラジル)、そして2季振りの復帰となるMF谷川由来と4名の外国籍選手枠が埋まりました。

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このマシュー=ブラウン選手がガイアナ代表と聞いて真っ先に思い浮かべたのが「ガイアナの悲劇」だったという事実はさておき、ネットでも指摘されていますが、ウィキペディアのマシュー=ブラウン選手のページには「双方合意の上契約解除」という記述が複数回でてきます。イルファン・バクティ監督が今季いっぱいでの退任を表明している中で1部昇格を手土産に送り出したいクチンシティですが、マシュー=ブラウン選手とクチンシティがシーズン途中での「双方合意の上契約解除」とならないことを祈っています。

アセアンU23選手権出場のU23代表が練習試合でサバと引き分け

今月2月14日から26日までカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するU23代表は、初の練習試合としてMリーグ1部スーパーリーグのサバFCと対戦し、を行い、1-1と引き分けています。シーズンオフの大規模な補強により、昨年末のAFF選手権スズキカップ2020に出場した代表の選手4名が先発に名を連ねたサバFCに対し、76分にT・サラヴァナンのゴールで先制したU23代表でしたが、81分にはサバFCのスチュアート・ウィルキンスに同点ゴールを決められています。

サバFCの本拠地リカススタジアム(サバ州コタキナバル)で行われたこの試合はU23代表が合宿を始めて以来初の実戦となりましたが、代表4名の他、外国籍選手なども先発しほぼベストメンバーのサバに対して前半はむしろ優勢に試合を進める展開となりました。今回のU23代表は、昨年10月に行われたAFC U23アジアカップ予選で主力となったルクマン・ハキム(ベルギー1部KVコルトレイク)、ムカイリ・アジマル、クエンティン・チェン(いずれもスランゴール)ら含まれておらず、U23代表のブラッド・マロニー監督は今回のAFF U23選手権をそういった主力に続く戦力を探すための大会と位置付けています。

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またマレーシアの通信社ブルナマによると、マロニー監督が米国の大学でプレーするワン・クズリについて、今回の代表には参加しないことを明らかにしています。「個人的な問題」を理由に米国を出国できずにいたワン・クズリ選手ですが、マロニー監督はAFF U23選手権前に全選手が顔を揃えることを条件としており、現在マレーシア政府が全ての渡航者に義務付けている最低でも5日間の検疫隔離の時間を考えると、今週月曜日までにマレーシアへ入国できない場合は、今回のU23代表に参加させないことを明らかにしていました。

マレーシア代表カラーのエアバスをマレーシア航空が披露<br>-U23代表はこの機体でカンボジアへ

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、マレーシア代表「ハリマウ・マラヤ(マレーの虎)」のエンブレムがプリントされたエアバス330-300Fを披露しています。FAMの公式エアラインでもあるマレーシア航空が運営するこのエアバスは、「ハリマウ・マラヤ」のシンボルカラーでもある黄色と黒色で塗装されています

ハリマウ・マラヤのエンブレムに加えてマレーシア国旗も描かれているワイドボディーの機体は、FAMのハミディン・アミン会長やマレーシア航空のイズハム・イスマイルCEOらが出席したの披露式典で公開されています。また。この席上ではカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するU23代表は今月12日にこの機体に搭乗してカンボジア入りすることも発表されています。マレーシア航空は2019年からFAMの公式エアラインとなり、昨年のA代表の中東遠征の際にマレーシア航空によって運行されたチャーター便も、ハリマウ・マラヤ仕様の期待となっていました。


2月4日のニュース
アセアンU23選手権-アメリカ在住のワン・クズリの参加は見送りか
KLシティは長身FWが5人目の外国籍選手
クチンシティにはリベリア代表FWが加入

アセアンU23選手権-アメリカ在住のワン・クズリの参加は見送りか

今月2月14日から26日までカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFFU 23選手権に向けてマレーシアU23代表は合宿を行っています。先日は5名が追加招集される一方で、アメリカの大学でプレーするワン・クズリ・ワン・カマルは未だ合流できていません。この状況について、ブラッド・マロニーU23代表監督は、カンボジア出発前に大会に参加する全選手が揃うことを望んでいると話し、合流が遅れているワン・クズリ選手についてはマレーシア入国後の検疫隔離期間が必要なことから、2月6日までに合流が確定しない場合には候補選手名簿から外す方針を明らかにしています。

スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによれば、ワン・クズリ選手と直接、電話で話をし、本人がU23代表参加を望んでいることを確認したと話すブラッド・マロニーU23代表監督は、ワン・クズリ選手のU23代表への合流を望んでいるものの、2月12日と迫ったカンボジア出発前にチームに合流できなければ、戦力として考慮しないと話しています。U23代表は本日2月4日にサバへ出発し、2月5日にMリーグ1部スーパーリーグのサバと練習試合を行い、その後クアラルンプールに戻って2月10日にKLシティと最後の練習試合を行った後、カンボジアへ向けて出発する予定になっています。

マレーシアU23代表は昨年10月にモンゴルで行われたAFC U23アジアカップ予選を1位通過していますが、この時の主力選手は今回のU23代表には招集されておらず、マロニー監督は今回のAFF U23選手権を主力以外のメンバーの底上げと位置付けており、ワン・クズリ選手についても合流しても自動的にボジションが与えられるわけではないと話しています。また今回のU23代表合宿には、MFアシャル・ハディ(JDT II)、FWカイリ・スフィアン、DFファイズ・アメル(スランゴール2)、アズハド・ハラズ(サバ)、GKアイザット・アイマン、DFウバイドラー・シャムスル(FAM-MSNプロジェクト)の6名のU19代表も招集されています。

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タイはU19代表が参加、開催国カンボジアは本田圭佑氏が指揮を取る、またリーグ戦中にも関わらず主力5名の選手をU23代表に招集されたバンバン・パムンガス監督(ブルシジャ・ジャカルタ)が怒っている、などと大会が近づくにつれ、さまざまなニュースが入ってきていますが、U23代表はこのAFF U23選手権後には5月に東南アジア競技大会通称シーゲームズ(ベトナム)、6月にはAFC U23アジアカップ(ウズベキスタン)、そして9月にはアジア競技大会(中国)と大会が目白押し。しかもA代表と掛け持ちの選手はAFCアジアカップ2023大会予選が6月に、AFF選手権スズキカップ2022が12月にも控えており、FAMがしっかりと優先順位をつけて選手を招集して欲しいです。

KLシティは長身FWが5人目の外国籍選手

5つ目の外国籍選手枠が埋まっていなかったKLシティは、元コンゴ代表でフランス生まれのFWケヴィン・クベンバの加入をクラブ公式Facebookで発表しています。192cmと長身のクベンバ選手は28歳で、フランス1部のLOSCリール、ブルガリア1部CSKAソフィアなどでもプレーし、昨季はいずれもアゼルバイジャン1部のサバフFKとKSテウタ・ドゥラスに所属していました。

昨季のKLシティはFWドミニク・ダ・シルヴァが開幕直後のケガで離脱、2度目のトランスファーウィンドウ期間に獲得したFWキリアン・ヌワブエズはチーム合流後の初戦でケガを負うなど、シーズンを通して攻撃力不足に苦しみました。窮余の策としてMFロメル・モラレス(コロンビア)をシーズン途中でフォワードにコンバートしたところ、シーズン後半にはこの起用が実を結んだものの、年間を通しての得点力不足に悩んだボヤン・ホダック監督にとってクベンバ選手は喉から手が出るほど欲しかったストライカーの獲得となりました。シーズン終盤のマレーシアカップでは8試合で10ゴールを挙げた188cmと長身のモラレス選手とクベンバ選手の「ツインタワー」はスーパーリーグのライバルにとって脅威となりそうです。

クチンシティにはリベリア代表FWが加入

Mリーグ2部プレミアリーグのクチンシティは、リベリア代表FWアブ・リザルド・カマラの加入をクラブ公式Facebookで発表しています。北マケドニア1部リーグのFKマケドニヤ・ジョルチェ・ペトロフから加入するカマラ選手はKFドゥカジニ(コソボ)、NKルダル・ヴェレニエ(スロベニア)などでもプレー経験があります。またFIFAの公式サイトによると、昨年9月から11月にかけて行われたFIFAワールドカップ2022年大会アフリカ2次予選でリベリア代表として5試合に出場し(FIFAの記録では登録選手名がAbu KamaraではなくAbu Rizardとなっています)、1部スーパーリーグのトレンガヌでプレーする同じリベリア代表のクパー・シャーマンとチームメートでもあります。25歳のカマラ選手の加入で、クチンシティは昨季から残留するDFアレモン(ブラジル)、2季振りの復帰となるMF谷川由来と3名の外国籍選手枠が埋まっています。また残る1人については英国出身ということをイルファン・バクティ監督自身がメディアに明らかにしています。

2月3日のニュース
今季1部昇格のヌグリスンビランも外国籍枠5名が決定
マラッカUの補強は止まらず-今度は元代表FWマットヨーを獲得

W杯アジア最終予選ではベトナムが中国を撃破し、女子W杯につながるAFC女子アジアカップではフィリピンがW杯出場を決めるなど、今週は東南アジアのサッカー界に良いニュースが溢れています。昨年末のスズキカップ2020に優勝したタイや準優勝のインドネシアなど周辺国のレベルが上がる中、マレーシアは完全に取り残されている状況です。(涙)キム・パンゴン監督が主任したマレーシア代表ですが、周辺国においていかれないためには、国内リーグのレベルアップが必須ですが、今季開幕まであと1ヶ月ほどとなったMリーグ各クラブの補強も完了してきています。

今季1部昇格のヌグリスンビランも外国籍枠5名が決定

昨季はMリーグ2部プレミアリーグで優勝し、4季振りの1部復帰を果たしたヌグリスンビランFC(以下ヌグリスンビラン)が新外国籍選手2名との契約したことを発表しています。いずれもストライカーの28歳のマテウス・アウヴェス(ブラジル)と26歳のコッシ・アデトゥ(トーゴ)で、英字紙スターによれば、アウヴェス選手はタイ1部のチョンブリーFCやプラチュワップFC、ポリス・テロなどでプレーした後、昨季は韓国2部の牙山ムグンファFCでプレーしています。なおこのアウヴェス選手は、かつてMリーグで一度プレーしており、2017年シーズンにはパハンFA(当時、現在のスリ・パハンFC)に在籍し、リーグ戦とカップ戦合わせてシーズン24ゴールを挙げて、チームをFAカップ決勝へ導く活躍をしており、5年ぶりのMリーグ復帰となります。ヌグリスンビランのK・デヴァン監督は、アウヴェス選手がパハンFAを退団した以降はタイ、韓国とMリーグより高いレベルのリーグでプレーしたきたことに触れ、その経験を踏まえればパハンFA在籍時よりも良い選手になっていることを期待していると話しています。

一方のアデトゥ選手は2013年以来ガーナ、リベリア、エジプトなどプレーした経験がありますが、今回のヌグリスンビランとの契約がアジアのクラブとの初契約となるということです。デヴァン監督は、アデトゥ選手についてはいわゆるターゲットマンとして期待していると話し、チーム練習に参加したばかりながら、そのシュート能力の高さも評価していると話しています。

ヌグリスンビランはこの他、昨季までスリ・パハンで3季プレーしたDFエラルド・グロン(フランス)を獲得している他、フィリピン1部のセレス・ネグロス(現ユナイテッドシティ)やインドネシア1部のプルシブ・バンドンでのプレー経験がある攻撃的MFオミド・ナザリ(フィリピン/イラン)をアセアン東南アジア枠で、MFデヴィッド・マウーター(タジキスタン/ガーナ)をAFC枠で獲得しています。

マラッカUの補強は止まらず-今度は元代表FWマットヨーを獲得

Mリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドは昨季は26ゴール(22試合)を挙げてリーグ得点王となったFWイフェダヨ・オルセグンが4季振りに復帰し、昨季はJリーグのベガルタ仙台でプレーしたMFエマヌエル・オッティ(ガーナ)、フィリピンの悪童DFジャスティン・バースらが加入する一方、今季のクラブの目標として掲げている「最低1つのタイトル」のためにザイナル・アビディン・ハサン監督を解任し、リスト・ヴィダコヴィッチ新監督を迎え入れるなど、5勝9分8敗の8位からチームを立て直すために積極的な補強を進めています。そんな中で今度は、昨季は2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドでプレーした代表FWのノーシャールル・イドラン・タラハと契約を結んだことをがクラブ公式Twitterに投稿されています。

マットヨーの愛称で知られる35歳のノーシャールル選手の加入は、前述のイフェダヨ選手や昨季から残留するソニー・ノルデ(ハイチ)、アドリアーノ(ブラジル)らマラッカ・ユナイテッドの強力FW陣にさらに厚みを加えることになりそうです。またMリーグではケランタン、JDT、ヌグリスンビラン、トレンガヌ、パハンなどでプレーし、リーグ優勝3回、マレーシアカップ優勝2回、FAカップ優勝2回とまさに「タイトル」を知る選手でもあり、代表では80試合以上に出場し14ゴールを挙げています。経験豊富なGKカイルル・ファーミ・チェ・マットがチームを去り、経験のあるベテランがいなくなったマラッカ・ユナイテッドにとっては、マットヨーの経験は貴重な財産となりそうです。

2月2日のニュース
スランゴールは5人目の外国籍選手ユーリ・エンリケとの契約を発表
パハンは2名の外国籍選手の帰化手続きに着手

スランゴールは5人目の外国籍選手ユーリ・エンリケとの契約を発表

Mリーグ1部スーパーリーグで昨季5位のスランゴールFC(以下スランゴール)は、新たな外国籍選手としてブラジル出身のFWユーリ・エンリケ・ジ・オリヴェイラ・コスタとの契約を発表し、これにより今季の5名の外国籍選手枠の全てが埋まりました。アラブ首長国連邦UAE1部リーグのハッタ・クラブから加入する30歳のエンリケ選手は、既に加入が発表になっているブラジル出身で31歳のFWカイオン(タイ2部ムアンカン・ユナイテッドから加入)、 ヨルダン代表として133試合に出場している35歳のMFバハー・アブドッラフマーン(ヨルダン1部サハブSCから加入)、26歳のDFヤザン・アル=アラブ(ヨルダン1部のアル・ワフダート・クラブから加入)、そしてスランゴールの外国籍選手では唯一昨季から残留し、今季が3季目となるシンガポール代表DFサフアン・バハルディン(30)に加わります。なおエンリケ選手加入を取り上げた英字紙スターの取材に対して、スランゴールのミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督は、 ウィングやセカンドストライカー、さらには中盤の司令塔などをこなすエンリケ選手の加入により、戦術面での選択肢が広がると話しています。

パハンは2名の外国籍選手の帰化手続きに着手

昨季のスーパーリーグでは9位に終わったスリ・パハン(以下パハン)は、今季に向けて新たに4名の外国籍選手を獲得していますが、この結果、昨季から残留する3名を加えると合計7名の外国籍選手と契約したことになります。Mリーグを運営するMFLは、1部スーパーリーグのクラブにはAFC枠1名とアセアン東南アジア枠1名を含めた5名の外国籍選手の登録を、2部プレミアリーグのクラブはアセアン枠を除く4名の外国籍選手の登録を認めています。また先日のこのブログでも取り上げたようにJDT、トレンガヌ、スランゴールの3クラブはセカンドチームが2部ブレミアリーグに所属していることから合計で9名の外国籍選手を登録しています。しかしパハンはセカンドチームがMリーグに所属していないことから5名の枠を超えての外国籍選手登録は不可能です。そんな中でマレーシア語紙のブリタハリアンはMリーグで既に5季連続してプレーし、今季は6季目となるリー・タック(英国)とエセキエル・アグエロ(アルゼンチン)の両選手について、パハンが帰化選手の手続きに着手したと報じています。

ブリタハリアンは、いずれも2017年からMリーグでプレーするタック、アグエロ両選手をMリーグで帰化選手(=マレーシア人選手)として登録するための手続きはここまで順調に進んでおり、リーグが開幕する3月にはマレーシア人選手として出場できるだろうというパハン関係者の話も紹介しています。昨季はタック選手はトレンガヌへ、アグエロ選手はペラへそれぞれ期限付き移籍していましたが、シーズン終了後には今季はパハンでプレーすることをクラブが発表しており、両選手はパハンのプレシーズン練習に参加しています。。

パハンは昨季途中に加入しチームを降格の危機から救ったMFマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)に加えて、シーズンオフにGKママドゥ・サマサ、DFジョアン・マルシアル (いずれもフランス)FWマフムード・ザアタラ(ヨルダン)、FWビリー・ケトケオポムポン(ラオス/フランス)の4選手を新たに獲得しており、タック、アグエロ両選手がマレーシアン人選手として登録されればスーパーリーグでも屈指の布陣となり、今季から指揮を取るクリストフ・ギャメル新監督にとっても心強いでしょう。

昨年末のスズキカップではマレーシアサッカー協会主導で大縄れた代表強化を目的として帰化選手支援プログラムによってマレーシアのパスポートを得たギリェルメ・デ・パウラが不発、リリドン・クラスニキに至っては代表招集すらされず、帰化選手育成の効果が疑問視されるとともに、それを主導したFAMに対する風当たりも強くなった結果、FAMは帰化選手支援プログラムの一時凍結を発表する事態に追い込まれました。その一方でFAMは各クラブが独自に外国籍選手の帰化を支援することについてはこれを妨げないことも発表しています。なおパハンは現在はJDTでプレーするモハマドゥ・スマレの帰化を支援してマレーシア人選手として登録を果たした実績もあります。

2月1日のニュース
エリートアカデミー3期生44名全員がMリーグ1部クラブと契約
加賀山泰毅選手を含む3名の新外国籍選手加入をサバが発表
アンドラ代表加入で2季連続2位のクダも外国籍選手の補強完了

今日2月1日は旧暦の1月1日。マレーシア風にいうとチャイニーズニューイヤー(中国正月)で、イスラム色の強い東海岸のいくつかの州を除くと今日と明日の2日間が祝日になっています。このブログを書いている時点でも、外からは爆竹の派手な爆音が聞こえてきます。当日は互いに「恭喜發財 ゴンシファチョイ」と新年の挨拶を交わして、日本のお年玉同様の紅包アンパオを配りますが、その相手は未婚であれば年齢は関係ないのが特徴です。

エリートアカデミー3期生44名全員がMリーグ1部クラブと契約

国家サッカー選手育成プログラムNFPDは、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会が共同で運営するユース育成のプログラムですが、このプログラムの中核となるエリートアカデミー、モクタル・ダハリアカデミーの卒業式が行われ、2021年度生徒して卒業する第3期生の44名全員がMリーグ1部スーパーリーグのクラブと契約を結んだことがNFPDの公式Facebookで発表されています。2004年生まれの44名が契約したクラブの内訳はスランゴール20名、スリ・パハン10名、JDT6名、KLシティとトレンガヌがそれぞれ4名ずつとなっており、既に先月からクラブの練習に参加している卒業生もいるということです。。国費を投入してサッカー選手を育成するこのプログラムからはこれまでに第1期生34名、第2期生40名、そして今回の第3期生44名の合計108名が卒業しています。

加賀山泰毅選手を含む3名の新外国籍選手加入をサバが発表

昨季はMリーグ1部スーパーリーグで4勝7分11敗で9位に終わったサバは、昨年9月に元U23代表監督のオン・キムスイ氏をマレーシアサッカー協会FAMのテクニカルディレクター職から引き抜くとともに、このシーズンオフには非常に積極的な補強を行い、「ボルネオのJDT」とも呼ばれています。そのサバが、新たに外国籍選手3名の加入を発表しています。

まずはボラセパマレーシア注目のFW加賀山泰毅選手です。 フィンランド1部のFCインテル・トゥルクから加入する25歳の加賀山選手は過去3季はFCインテル・トゥルクの他、フィンランド2部のムサン・サラマやコッコラン・パロヴェイコトKPVでプレーし、トランスマルクトによれば昨季創設されたUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ予選の2試合を含めてフィンランド時代の3シーズンで80試合に出場し18ゴール15アシストを記録しています。なお加賀山選手は今季のMリーグ1部スーパーリーグでプレーする唯一の日本人選手です。

またサバには加賀山選手に加えてDFジャクソン・デ・ソウザとFWネト・ペソアのブラジル出身コンビも加入しています。31歳でセンターバックのデ・ソウザ選手は2008年から2010年にはブラジルの名門サンパウロで、またインテルナシオナルやパルメイラスなどでもプレー経験があるということです。一方27歳のブラジル3部のクルーベ・ド・レモから加入するネト選手は昨季は40試合で16ゴールを挙げています。なお、サバはDFパク・タエスー(韓国)とFWサディル・ラムダニ(インドネシア)の両選手が昨季から残留しており、今回の3名の新戦力加入で外国籍選手枠が埋まりました。

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サバは、MFバドロル・バクティアルとDFリザル・ガザリ両選手をクダから、GKカイルル・ファーミ・チェ・マットをマラッカから、そしてDFドミニク・タンをタイ1部のポリス・テロからと、昨年末のスズキカップ2020に出場した代表選手4名を新たに獲得しています。JDTから期限付き移籍するMFイルファン・ファザイルに加えバドロル、カイルル両選手は当時U23代表監督だったオン監督とともに2011年の東南アジア競技大会通称シーゲームズで優勝を飾っており、その絆で集まってきた選手たちと外国籍選手との意気が合えば、台風の眼どころか、上位進出を狙う他のチームの脅威にもなりそうです。

アンドラ代表加入で2季連続2位のクダも外国籍選手の補強完了

Mリーグ1部スーパーリーグで2季連続で2位となっているクダですが、昨季在籍した外国籍選手5名が退団した他、クダのレジェンドとも言えるバドロル・バクティアルや同じく代表のリザル・ガザリが退団するなど過去2シーズンとは大幅に布陣が変わりますが、その最後のピースとなるDFマルク・バレスの加入がクラブ公式Facebookで発表されています。31歳のゴンザレス選手はレアルマドリーのユースチームに在籍していたこともあり、母国アンドラのほか、スペイン、フィンランド、ノルウェイなどでもプレー経験やアンドラ代表としてこれまで78試合に出場しています。

クダは既に昨季は同じ1部スーパーリーグのトレンガヌでプレーしたMFデチ・マルセル(コートジボアール)、ヨルダン1部のアル・サルトSCから加入のFWロナルド・ンガ(カメルーン)、昨季2021年シーズンはUITM、2020年シーズンはサバでもプレーしたFWデニス・ブシェニング(タイ/ドイツ)、そして昨季まで3シーズンの間マラッカでプレーしたDFチャン ソグォン(韓国)と契約しており、また地元クダ出身の代表FWシャフィク・アフマドをJDTから期限付き移籍ながら獲得しています。なおゴンザレス選手の加入で、今季のクダのトップチーム30名全員が決定しています。



1月31日のニュース
マラッカUのCEOがザイナル監督解任の理由を説明
タイ1部リーグ第18節-エルドストールがスズキカップ後初の先発フル出場
タイ1部リーグ第24節-エルドストールは終了間際に途中出場もチームは2位浮上

マラッカUのCEOがザイナル監督解任の理由を説明

昨季はMリーグ1部スーパーリーグで5勝9分8敗の8位に終わったマラッカ・ユナイテッドは2019年から監督を務めていたザイナル・アビディン・ハサン氏を解任し、今季はボスニア・ヘルツェゴビナ出身のリスト・ヴィダコヴィッチ監督を就任させていますが、この監督交代について、マラッカ・ユナイテッドのジャスティン・リムCEOは、今季クラブが目指す「最低でも一つのタイトル」という目標達成が理由であると説明しています。

スポーツ専門チャンネルのナディ・アリーナのインタビューに対してリムCEOは、ザイナル前監督への過去3年間の指導への感謝の気持ちを表した上で、タイトル獲得のためには監督交代が必要だと判断し、ヴィダコヴィッチ監督は期待に応えてくれると信じていると話しています。「クラブとしては当初はザイナル前監督に今季も続投を依頼する予定でいたが、タイトル獲得という今季の目標を達成するためにはこれまでの方針とは異なる抜本的な変革が必要だと考えた末に監督交代を決めた。」と話したリムCEOはヴィダコヴィッチ監督の人選について、ザイナル監督の元では過去3季はタイトル争いとは縁がなかったが、ヴィダコヴィッチ監督はフィリピン1部リーグで3連覇(当時のセレス・ネグロスFC、現ユナイテッドシティFCで2017年から2019年まで3連覇達成)している実績を評価したと話しています。

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監督を務めた過去3季はいずれも給料未払い問題が発生し、2020年と2021年の両シーズンにはこの給料未払いを理由に勝点3を剥奪されるなど、自身の能力が問題ではなく、経営陣に足を引っ張られた中で「タイトルが取れなかった」ことを理由に解任されるのはザイナル前監督にとっても笑福しかねる部分があるでしょう。以前のこのブログでも触れましたが、今季残留した選手の中にはザイナル監督残留を理由に残った選手たちもいます。マラッカ・ユナイテッドはヴィダコヴィッチ新監督に加え、昨季はスランゴールでリーグ得点王を獲得したイフェダヨ・オルセグンを獲得するなど補強に余念がありませんが、開幕まで1ヶ月と迫った中でのザイナル監督解任が選手たちに動揺をもたらしかねず、タイトルどころか昨季から残る選手と新加入選手間の不協和音に発展する可能性すらあります。

タイ1部リーグ第18節-エルドストールがスズキカップ後初の先発フル出場

タイ1部リーグ第18節が1月22日と23日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCは今季から1部に昇格したコーンケン・ユナイテッドFCを相手に3試合ぶりの勝利を挙げ、リーグ3位を維持しています。

2022年1月23日@チョンブリースタジアム
チョンブリーFC 2-0 コーンケン・ユナイテッドFC
前節第17節に続いて先発したジュニオール・エルドストールは、スズキカップ2020後は初となるフル出場し、勝利に貢献しています。
(試合のハイライト映像はタイリーグの公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ順位表(第18節終了時)

順位チーム得失差勝点
1ブリーラムU1712232038
2バンコクU1710341433
3チョンブリーFC189541532
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFCのみ表示しています。
タイ1部リーグ第24節-エルドストールは終了間際に途中出場もチームは2位浮上

変則日程となったタイ1部リーグ第24節が1月29日と30日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCは、第10節では1-2と敗れていたポートFCを相手に一度は追いつかれながらもデニス・ムリーリョのゴールで3-2と勝利し、リーグ2位に浮上しています。

2022年1月30日@チョンブリースタジアム
チョンブリーFC 3-2 ポートFC
前節第18節では先発してフル出場したジュニオール・エルドストールですが、この試合では後半ロスタイム90+5分からの出場となりましたが、そのわずかな時間にイエローカードをもらっています。
(試合のハイライト映像はタイリーグの公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ順位表(第24節終了時-第19節から23節は未消化のため暫定)

順位チーム得失差勝点
1ブリーラムU1813232142
2チョンブリーFC1910541635
3バンコクU1910351333
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFCのみ表示しています。

1月30日のニュース
マレーシアが2030年までにアジアトップ5入りするための指針F:30は見直しが必要
スズキカップ惨敗はFAMの意思疎通や計画性の欠如と監督の指導力不足が原因-JDTオーナー

マレーシアがアジアトップ5入りするための指針F:30は見直しが必要

マレーシア代表が2030年までにアジアのトップ5入するための指針「F:30」を作成したマレーシアサッカー協会FAMですが、FAMのハミディン・アミン会長は、新型コロナの影響によりこの指針の修正が必要となっていることを認める発言をしていると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。なお、ハミディンFAM会長は今月就任したスコット・オドネル テクニカルディレクターTDがこの修正を担当するとも話しています。

2018年10月にFAMが発表して指針「F:30」は、12年後の2030年までにマレーシア代表をアジアでのトップ5入りを実現するという何とも無謀な計画を進めるための指針です。2019年から今年2022年までの第一段階では、目標実現のためにマレーシアサッカーの基礎を固めるために、運営、競技レベル、人材育成および設備の各分野を向上させ、2023年から2026年までの第二段階では、これをアジアの上位国並みの水準まで引き上げ、第三段階となる2027年から2030年にはアジアはもとより世界と戦えるマレーシア代表チームを作り上げるという内容がこの指針では示されています。

ハミディン会長は新型コロナによる影響で過去2年間は指針で示された計画が進んでいないことを認めた上で、オドネルTDに対して2ヶ月程度を期限に必要に応じた指針の修正案を作成するよう指示したということです。「F:30」は単に代表チーム強化についてだけの指針ではなく、ユースや女子、フットサル、ビーチサッカー、さらには指導者や審判、また運営や財務などといった内容までを含むマレーシアサッカー再興のためのものであることを常に意識しておく必要がある。」と述べたハミディンFAM会長は、代表チームの成績は上がり下がりするもので、AFC選手権アジアカップ2023 出場という目標が達成できれば、東南アジアサッカー連盟AFF選手権ススキカップ2020でのグループステージ敗退により指針から遅れた分は取り戻すことができると話しています。

スズキカップ惨敗はFAMの意思疎通や計画性の欠如と監督の指導力不足が原因-JDTオーナー

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーで、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、意思疎通や計画性の欠如と監督の指導力不足がスズキカップ2020でのグループステージ敗退の原因だと指摘し、大会後にマレーシアサッカー協会FAMが依頼した独立委員会による敗因分析すら時間の無駄だったと酷評しています。

JDTがプレシーズン合宿中のアラブ首長国連邦のドバイで、スポーツ専門チャンネルのアストロアリーナのインタビューに答えたイスマイル殿下は「何の見通しもないまま計画を立てることは夢を見るのと同じことだ。JDTでは、自分のところに報告が上がって来れば、それをもとに判断し、必要なことを直ちに実行する。判断にはスピードが必要で、形式的な手続きにこだわり過ぎると物事は前に進めなくなる。JDTではミーティングを何度も行うことはなしない。」と述べています。

また代表チームの選手選考に影響を及ぼした「見えない手」の存在や、さらにその「見えない手」がイスマイル殿下自身なのではないかという疑惑について問われると、それを一笑に付した上で、マレーシアサッカー協会FAMと代表監督だけが代表チームに関する決定権を持っていると指摘した上で、スズキカップグループステージ敗退については、そのFAMとタン・チェンホー前代表監督がその責任を負うべきであると個人的には考えていると述べています。「まず第一に意思疎通が不十分だった。FAMは当初、スズキカップ2020にはU23代表を派遣する予定でいたが、突如それがA代表派遣に変わった。またタン前代表監督には指導力が欠けていた。大会前から明確な計画が示されておらず、それが今回の惨敗につながった。またFAMは代表選手招集の際に、JDTの複数の選手がスズキカップに出場できない理由をメディアに説明しなかった。マシュー・デイヴィーズはスポーツヘルニアの手術を受け、ラヴェル・コービン=オングとシャマー・クティ・アッバはいずれも鼠蹊部の痛み、ナチョ・インサは心臓検査のためスペインへ帰国していたが、FAMはなぜこの事実をメディアを通じてファンに知らせなかったのか。その結果、JDTの選手がマレーシア代表でプレーすることを自分が望んでいなかった印象をファンに与えてしまった。」「また代表チームでは戦術に対する理解を監督と話し合って確認するのではなく、コーチングボード上で指示されただけだったと聞いている。その結果の戦術理解不足がスズキカップ敗退の原因であれば、監督がその責任を負うべきである。」

さらにイスマイル殿下はJDTの選手がそもそも代表チームでプレーすることに興味がないのではないかと指摘されると、代表チームでプレーすることは選手の履歴において重要であり、マレーシア人選手なら誰でも代表チームでプレーすることを望んでいるとし、「代表チームが勝てば誰もJDTについて言及しないが、代表チームが敗れるとなぜかJDTが非難される。スズキカップでも(JDTの)サファウィ・ラシドやアキヤ・ラシド、シャールル・サアドがゴールを決めているにもかかわらず、誰もそれを話題にしない理由が自分にはわからない。」とも述べ、指導力不足の監督と意思疎通能力が欠如しているFAMとは無関係にも関わらず、自分が諸悪の根源のように批判されていると話す一方で、誰かを避難することは簡単だが、それでは問題解決にはつながらないとして、問題の解決方法を模索することが重要だとしています。

またマレーシア代表の監督に就任したキム・パンゴン氏については、FAMはキム監督にチームマネージャの権限も与えた上で、その手腕を評価する前に一定の時間を与えるべきだとも述べています。自身の戦術や戦略、そしてその元になる哲学を代表チームに浸透させるには時間が必要だとして、今年6月のAFC選手権アジアカップ2023大会最終予選での成功を期待するべきではなく、また代表選手の選考についてはキム監督を全面的に支え、それに介入するべきではないとも提言しています。

1月28日のニュース
クチンシティのイルファン監督は今季終了後に勇退へ
AFF選手権に向けてU23代表が始動
ヤクルトがチャリティーマッチの収益で聴覚障害者スポーツ支援

クチンシティのイルファン監督は今季終了後に勇退へ

英字紙ニューストレイトタイムズはMリーグ2部プレミアリーグのクチンシティを率いるイルファン・バクティ・アブ・サリム監督が今季終了後に勇退すると報じています。Mリーグ監督としては最年長となる73歳のイルファン監督は今季終了後に26年に渡る指導者としての生活を終えることを決めており、クチンシティの1部スーパーリーグ昇格を実現し、それ置き土産として勇退したいと考えていると言うことです。

2011年にはトレンガヌを率いてFAカップ優勝を果たしているイルファン監督は、Mリーグではヌグリスンビラン、スランゴール、ペナンなどを含む10のクラブで監督経験がある他、2007年にはインドネシア1部のプルシプラ・ジャヤプラでの指導経験もあります。

イルファン監督最後のシーズンとなるクチンシティは、昨季からプレーするセンターバックのアイルトンと、同じプレミアリーグのクランタン・ユナイテッドから2年ぶりに復帰する谷川由来の両外国籍選手は決まっており、残る2名の外国籍選手枠には今月末にリームに合流する予定の、いずれもストライカーの英国とリベリア出身選手が加わると言うことです。

AFF選手権に向けてU23代表が始動

先日参加メンバーが発表されたU23代表の第一次合宿が昨日1月27日よりスタンゴール州プタリンジャヤのPKNSグラウンドで始まっています。来月2月にカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に向けての代表合宿初日には、母国オーストラリアで休暇を過ごし、マレーシア入国後の検疫隔離中のブラッド・マロニー監督とアメリカから参加予定のワン・クズリを含めた8名の選手が参加しなかったものの23名の選手が参加し、マロニー監督がチームに合流する2月3日までカン・ハンメン コーチが指揮を取ると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

取材に対応したカン コーチは合流が遅れている選手について、Mリーグでプレーする7選手については所属クラブのプレシーズン練習などで合流が2月6日になると話す一方で、ワン・クズリについては「個人的な事情」から合流が遅れているとして、現在も交渉を続けていることを明らかにしています。なお、U23代表は2月3日にサバFCと、2月8日にはクダあるいはFAM-MSNプロジェクトと、そして2月10日にはKLシティと練習試合を行った後、2月12日にはカンボジアへ向けて出発し、2月15日には予選B組の初戦となるミャンマー、2月18日にはラオスといずれもビサカスタジアムで、また2月21日にはインドネシアとモロドクテコ国立競技場で対戦し、予選A、B、C各組の首位と最も良い成績を収めた2位が出場する準決勝進出を目指します。

ヤクルトがチャリティーマッチで集めた寄付をデフサッカー支援に寄付

4年に1度、世界規模で行われる聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会デフリンピックが今年5月にブラジルで開催されますが、この大会に選手を派遣するマレーシア聴覚障害者スポーツ協会MSDeafは記者会見を開き、ヤクルトマレーシア社が24万3700リンギ(およそ670万円)の支援を行ったことを発表しています。

ブルナマの報道によれば、これはヤクルトマレーシア社が昨年12月11日に主催したチャリティーマッチで集めた31万5000リンギから経費を引いた金額ということです。なお、このチャリティーマッチでは、デフサッカー(聴覚障害者サッカー)マレーシア代表と元日本代表の本山雅志(クランタン・ユナイテッド)らMリーグでプレーする日本人選手とマレーシア代表のノーシャルル・イドラン・タラハ(サラワク・ユナイテッド)らマレーシア人選手で構成されたチームが試合を行いました。

MSDeafのオン会長はヤクルトマレーシア社からの支援について、マレーシアからはバドミントン、陸上、マウンテンバイク、空手、ボーリングの5つの競技に24選手が出場する今年5月のデフリンピックの準備の他、今年10月に韓国で行われるアジア太平洋地区デフサッカー予選の準備などにも使われる予定であると説明しています。



1月24日のニュース
マラッカUの新監督起用は吉と出るか凶と出るか
マラッカUは昨季のMリーグ得点王を含む新加入の外国籍選手を発表

Mリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドはクラブ公式Twitterでリスト・ヴィダコヴィッチ監督の就任を発表しています。 ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のヴィダコヴィッチ監督は過去3季監督を務めたザイナル・アビディン・ハサンに代わっての就任です。53歳のヴィダコヴィッチ監督は、今季開幕後わずか5試合で辞任した元JDT監督のマリオ・ゴメス氏に代わって昨年10月にインドネシア1部リーグのボルネオFCの監督に就任していましたが、それからわずか2ヶ月で自身も辞任し、マラッカ・ユナイテッドの監督に就任しています。

2006年から2007年にかけてはセルビア代表チームのアシスタントコーチの経験があるヴィダコヴィッチ監督は、スペインではムルシア、エシハ、カディスといったクラブでの指導経験がある他、フィリピン1部のセレス・ネグロスFC(現ユナイテッドシティFC)では2017年から2019年までの3連覇を、またモルディブ1部リーグでは2020/2021年シーズンのマジヤS&RCでリーグを制しています。

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過去3季連続で給料未払い問題が明らかになったマラッカ・ユナイテッドは、2020年と2021年の両シーズンはいずれも勝点3を剥奪される状況下で指揮を取ったザイナル・アビディン監督への選手の信頼は厚く、給料が支払われていなかった中、昨季は38年ぶりとなるマレーシアカップ準決勝進出を決めたのも、ザイナル・アビディン監督がいたからだと話す選手がいる一方で、給料未払いが続いたにも関わらず今季もクラブに在留した選手の多くが、ザイナル・アビディン監督が今季も指揮を取るとクラブから説明されたからだとしている選手もいることから、こういった「ザイナル・アビディ監督派」とヴィダコヴィッチ監督あるいは経営陣との間で確執が生じる可能性も秘めています。

マラッカUは昨季のMリーグ得点王を含む新加入の外国籍選手を発表

マラッカ・ユナイテッドは昨季は同じ1部スーパーリーグのスランゴールFCで26ゴール(22試合)を挙げてリーグ得点王に輝いたFWイフェダヨ・オルセグンの加入をクラブ公式Twitterで発表しています。マラッカ・ユナイテッドには4季ぶりの復帰となるイフェダヨ選手は、前回在籍した201年にはリーグ戦とカップ戦合わせて21試合で20ゴールを挙げています。

またマラッカ・ユナイテッドはガーナ出身の左ウイングのエマヌエル・オッティとフィリピン代表のセンターバック、ジャスティン・バースの加入も発表しています。昨季はJリーグのベガルタ仙台に在籍し、リーグ戦7試合出場にとどまったオッティ選手は仙台移籍前はポルトガル2部リーグのFCヴィゼラやデンマーク2部リーグのエスビャウfB、インドネシア1部リーグのマドゥラ・ユナイテッドFCでもプレー経験があります。またオランダ人の父を持つ21歳のバース選手はオランダ1部リーグのAZアルクマールのユースを経て、オランダ2部リーグでAZアルクマールのセカンドチームであるヨングAZでプレーした後、タイ1部リーグのラーチャブリーFCを経て、昨季はフィリピン1部リーグのユナイテッドシティFCでプレーしています。

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昨季からMFソニー・ノルデとFWアドリアーノが残留し、今回発表になった3選手と合わせて、外国籍選手枠5名が埋まったマラッカは、アルジェリアとカタールの両国籍を持つイフェダヨ選手がアジア枠、フィリピン代表のバース選手がアセアン東南アジア枠での登録となりそうです。ところでバース選手は昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップにもフィリピン代表として出場していますが、年代別代表でもプレーしています。フィリピンで開催された2019年の東南アジア競技大会通称シーゲームズでは、19歳ながらフィリピンU23代表のメンバーとしてマレーシアU23代表と対戦していますが、このときに試合後のあいさつで礼を欠く行為を働き一悶着を起こしたことがあり、これを覚えているサポーターからは開幕後に激しくヤジられる可能性もあります。