6月22日のニュース:JDTオーナーのイスマイル殿下が代表チームマネージャーとなるべきでない5つの理由

JDTオーナーが代表チームマネージャーをすべきでない5つの理由
 先日終了したFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選では、マレーシアは予選G組で1位アラブ首長国連邦、2位ベトナムに敗れて3次予選進出を逃した一方で、アジアカップ3次予選への出場権を獲得しています。
 この予選最終戦となったタイ戦前日にMリーグ1部JDTのオーナーでジョホール州皇太子でもあるトゥンク・イスマイル殿下がマレーシアサッカー協会会長FAMに向けて、代表チームに最高の練習環境と最高の指導者を提供する用意があるとして、その条件に自身を代表チームのチームマネージャーにすることを突然、提案しました。
 この提案に対して、国内のメディア、さらにはソーシャルメディア上で様々な意見が交わされる一方、FAMのハミディン・アミン会長は、この提案を検討するために協会にでの手続きに則った話し合いを進めることを明らかにし、慎重に対応する方針をとっています。
 このイスマイル殿下の提案に対し、サッカー専門サイトのスムアニャボラが「イスマイル殿下が代表チームマネージャーとなるべきでない5つの理由」というタイトルで非常に興味深い記事を掲載していますので、拙訳ですがここに書き留めておきたいと思います。
 イスマイル殿下が2013年にオーナーとなって以降、JDTはMリーグ1部で昨季まで7連覇を達成し、東南アジアのクラブとしては初となる2015年のAFCカップ制覇を果たすなど、その手腕は申し分ありませんが、この記事を書いたゲイリー・ルガード氏はイスマイル殿下は代表のチームマネージャーとなるべきではないとしています。

<理由1:FIFAの規定に抵触する可能性がある>
 一般に代表チームはその国のサッカー協会が運営上の責任を負い、マレーシアではマレーシアサッカー協会FAMがこれにあたる。この条件下でイスマイル殿下が代表チームのチームマネージャーになるための方法は二つありその一つは、かつて会長を務めたFAMに復帰することだが、イスマイル殿下は代表チームの運営権を求めているだけで、FAM全体の運営は意図していない。そしてもう一つは代表の民営化という方法だ。民営化された代表チームはFAMから離れて自由に活動ができるが、マレーシアサッカーのトップに位置するFAMが代表チームに何ら責任を追わないという事態はFIFAの規定に抵触しないのだろうか。

<理由2:マレーシアサッカーのロードマップ、F:30との整合性>
 マレーシアサッカー協会FAMは2030年までにアジアのトップ5入りを目指すためのロードマップ(行程表)「F:30」を発表している。このロードマップはFAM、そしてマレーシア国内のサッカーに関係者及びサポーターに対する行動計画でもある。このF:30で掲げられている目標を実現するためには、関係者全員が目的を共有する必要がある。その場合、FAMが代表チームを一個人に任せることはこのF:30と整合性があると言えるのか。ハミディン・アミンFAM会長がこのF:30を発表した際には、このロードマップはFAMの「本気度」を示すものだと述べたが、FAMがうかつに他人に代表チームを任せることによって、このF:30に関わる人々にはFAMの言う「本気度」が薄れたとは映らないだろうか。誰かに任せたからといってFAMは代表チームが短期間で強くなるという幻想を持つべきではない。

<理由3:マレーシアサッカーDNAと整合性>
 イスマイル殿下は自身がチームマナージャーになった暁には、最高のコーチングスタッフを用意すると述べている。ここで疑問が湧くのは、FAMが草の根からトップレベルまで国内サッカー全体に浸透させたいとしているマレーシアサッカーのDNAに沿った指導を果たしてその「最高のコーチングスタッフ」が行うのかどうか、ということである。代表チームのことだけを考えれば、現在の代表が採用しているシステムとJDTが採用しているシステムは似ており、イスマイル殿下もおそらく熟知していると考えられることから、特に問題にはならないだろう。しかし、FAMはジュニア、ユースから代表まで一貫したシステムでプレーすることで、将来の代表選手となるべき選手を養成するためのマレーシアサッカーDNAを導入しており、FAMがこの方針を変更しない限り、代表独自のシステムはマレーシアサッカーDNAと齟齬(そご)をきたす可能性がある。

<理由4:利益相反>
 イスマイル殿下が代表チームを強化する際に最も懸念されるのがこの利害対立である。イスマイル殿下がJDTのオーナーのまま代表チームのチームマネージャーに就任すれば、サッカー関係者やサポーターから否定的なコメントが出る可能性が非常に高い。具体的な例を挙げるとすれば誰をを代表に招集するか、といった問題もその一つである。現在の代表には、マレーシア人の親を持つもののマレーシア国外で生まれ育ったディオン・コールズ、マシュー・デイヴィーズ、ブレンダン・ガン、ドミニク・タン、ラヴェル・コービン=オング、ジュニオール・エルドストール、サミュエル・サマーヴィルらの帰化選手、そしてマレーシア人とは血縁関係持たないギリェルメ・デ・パウラ、リリドン・クラスニキ・モハマドゥ・スマレといった帰化選手がいる。そしてこれらの10名の帰化選手の内、JDTに在籍した経験が全くないのはブレンダン・ガン(スランゴールFC)と今回の予選から代表に加わったディオン・コールズだけである。この状況を理解した上で、もしイスマイル殿下が代表チームのチームマネージャーとして誰を帰化させるかにも関与することになれば、それが果たして代表の利益なのか、JDTの利益なのか、という議論が間違いなく発生する。例えイスマイル殿下が純粋に代表チームのことを考えて行うことだとしても、必ずその目的に対して疑心暗鬼になる者は出る。そしてイスマイル殿下が代表チームのチームマネージャーを続ける限り、これは取りざたされ続け、結果的に代表チームそのものにも影響が出る可能性がある。

<理由5:JDTは今後もイスマイル殿下を必要とする>
 JDTを東南アジアでトップレベルのチームに育て上げたことで、イスマイル殿下は代表チーム自体の強化にも間接的ながら大きく貢献している。
 JDTのサファウィ・ラシド、シャフィク・アフマド、アキヤ・ラシド、アリフ・アイマン、ラマダン・サイフラーといった選手たちは今後10年は代表の中心選手としてプレーできる選手たちである。また今回のW杯予選で代表に加わったディオン・コールズ(デンマーク1部FCミッティラン)に代表でプレーするよう拙宅したのもイスマイル殿下である。また代表でも屈指の帰化選手ラヴェル・コービン= オングがマレーシア代表でプレーするようになったのもイスマイル殿下の説得のおかげである。国内リーグでは敵なしのJDTだが、AFCチャンピオンズリーグというアジア最大の舞台でJDTが成功するためにはイスマイル殿下のリーダーシップが必要である。

<最後に>
 イスマイル殿下は代表が今回のW杯予選で思うような結果を出せなかったのはFAMの指導力不足ではないかと指摘しており、自身の代表チームのチームマネージャー就任を提案したことをFAMの理事会は自分たちへの警鐘だと考えるべきだ。自分たちの努力は十分なのか、現状に甘んじてはいないのか、と。
 イスマイル殿下の提案は考慮に値する者だが、上の5つの理由から、少なくとも現在は代表チームのチームマネージャーに就任するべきときではない。
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 この記事は最後に「この記事はあくまでも筆者の個人的な意見であり、スムアニャボラ全体の意見を反映したものではない」との注意書きも掲載されています。王族へのオープンな意見はなかなか表明しにくこの国で、このような記事を見たのは初めてでした。非常に興味深くまた建設的な意見で説得力もありますが、一部の極端な考えを持つマレー人の中には王室に対する意見を全く認めないものもいるので、この国で王族についての内容を掲載するには、こういった注意書きも必要だということも改めて認識しました。

6月19日のニュース:FAM会長-JDTオーナーによる自身の代表チームマネージャー就任提案は慎重に検討、サファウィ・ラシドがタイ戦ゴール後のパフォーマンスについて謝罪、JDTがACL登録メンバーを発表

FAM会長-JDTオーナーによる自身の代表チームマネージャー就任提案は慎重に検討
 Mリーグ1部JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が自身をマレーシア代表チームのマネージャーとするよう提案した件について、マレーシアサッカー協会FAMが正式に声明を発表しタコとを、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 FAMのハミディン・アミン会長は前FAM会長でもあるイスマイル殿下の提案については、FAMの内規に沿って検討したいという声明を発表しています。イスマイル殿下は代表チームに最善の練習環境と最善のコーチングスタッフをできるとして、自身を代表チームのマネージャーにするよう、ハミディンFAM会長に宛てたメッセージを6月14日に自身のインスタグラムに投稿しています。
 またハミディン会長は、今回のW杯予選で不振を極め各方面から批判的な意見が出ている帰化選手について、FAM内の帰化選手プログラム委員会、技術委員会、そしてテクニカルディレクターのオン・キムスイ氏の間で帰化選手プログラムの効果についての検証を行うよう、事務局長に指示を出したことも明らかにしています。
 ハミディン会長はこの他、代表チーム運営委員会に今回のW杯予選に関する最終報告書と既に出場が決定しているAFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選への準備計画が提出されるのを待って、その詳細をFAMの理事会で検討する予定であると述べています。

サファウィ・ラシドがタイ戦ゴール後のパフォーマンスについて謝罪
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ20223年大会予選G組最終戦となったタイ戦で決勝ゴールを決めたサファウィ・ラシド(JDT)が得点後のパフォーマンスついて謝罪していると、ブルナマが報じています。
 タイを破り予選G組でマレーシアの3位とアジアカップ3次予選進出を確定させたこのゴールの後、サファウィ選手はやはりこの予選でゴールを決めていたギリェルメ・デ・パウラと喜びを爆発させた後、キーボードを打つようなジェスチャーの後に口に人差し指を当てて黙るようなポーズをスタンドに向かってしていました。
 予選通算3得点を挙げたサファウィ選手ですが、アラブ首長国連邦でのW杯予選では不調を極めたことから、一部ファンからはこのパフォーマンスについて「やり過ぎ」という声が上がっていました。
 サファウィ選手は自身のゴールパフォーマンスを不快に思ったサポーター対して、同じようなことは2度と繰り返さないようにすると謝罪しています。
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 今回のW杯アジア2次予選中、この試合で初めて先発を外れたサファウィ選手は、デ・パウラ選手とともに主力選手として期待されていた分だけ、その期待以下のプレーによって他の選手以上に連日、激しい批判にさらされていました。そんなストレスがかかる中でのこの試合でのゴールは喜びも大きかったと思いますし、ゴールパフォーマンスも個人的には理解できます。時には理不尽とも言えるような批判を受けてもで常に結果を出すことがサファウィ選手には求められていくと思いますが、それに応えていけるようになれば名実ともに代表のエースとなれると思います。

JDTがACL登録メンバーを発表
 6月22日からタイのバンコクで開催されるAFCチャンピオンズリーグ予選に出場するMリーグ1部JDTが登録メンバー30名を公式Facebookで発表しています。
 Mリーグ1部は5名の外国籍選手(内1名はAFC枠、1名はアセアン東南アジア枠)が登録可能ですが、ACLでは外国籍選手の登録は4名であることから、守備を強化するためにFWゴンザロ・カブレラが外れたことを、JDTのベンヤミン・モラ監督が別の投稿で説明しています。
 今回のACLでJDTは外国籍選手として現在リーグ得点王でブラジル出身のFWベルグソン・ダ・シルヴァ、同じブラジル出身のDFマウリシオ、アルゼンチン出身のMFレアンドロ・ヴァレスケス、そして新たに獲得したオーストラリア出身のDFシェイン・ローリーの4名を登録しています。またマレーシア人選手では、先日終了したW杯予選に参加したサファウィ・ラシド、ギリェルメ・デ・パウラ、モハマドゥ・スマレ、アキヤ・ラシド、シャフィク・アフマド、アリフ・アイマンのFW陣、シャマー・クティ・アッバ、ナズミ・ファイズのMF陣、そしてラヴェル・コービン=オング、マシュー・デイヴィーズ、アダム・ノー・アズリン、アイディル・ザフアンのDF陣、そしてGKファリザル・マーリアスの13名がアラブ首長国連邦のドバイから直接、バンコク入りした他、に加え、JDT IIからMFチア・ルオハン(20)、DFフィルダウス・ラムリ(19)、DFフェロズ・バハルディン(21)の若手選手も登録されています。
 JDTは予選G組で、名古屋グランパス、浦項スティーラーズ(韓国)、ラーチャブリー・ミトポンFC (タイ)と対戦します。
(以下はJDTのACL登録メンバー-JDTのFacebookより)

6月18日のニュース:代表チームが「マラヤの虎」チャーター便で帰国、FAMはJDTオーナーの代表チームマネージャー就任希望に未だ回答せず

代表チームが「マラヤの虎」チャーター便で帰国
 アラブ首長国連邦UAEで開催されたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場したマレーシア代表は、昨日の午後に無事マレーシアへ帰国したとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 5月20日にマレーシアを出国して以来、ほぼ1ヶ月ぶりの帰国となった代表チームは、出国時と同様にマレーシア航空特別機で帰国しました。
 帰国途中にはバンコクを経由し、タイで6月22日から開催されるAFCチャンピオンズリーグに出場するJDTの選手13名を降ろし、マレーシアに帰国した選手は8名のみとで、マレーシア国外でプレーするディオン・コールズ(デンマーク1部FCミッティラン)、ルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、リリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)、ジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリーFC)、ドミニク・タン(タイ1部ポリステロFC)の各選手は既に別途帰途についたということです。
 今回予選G組では首位UAE(勝点18)、2位ベトナム(同17)に次ぐ3位(同12)となったマレーシアは、来年2022年2月あるいは3月に行われる予定のアジアカップ3次予選出場権を獲得しています。
 (代表カラーに塗装された特別機に登場する代表チーム-FAMのFacebookより)

FAMはJDTオーナーの代表チームマネージャー就任希望に未だ回答せず
 W杯予選G組最終戦のタイ戦を前に、Mリーグ1部JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がマレーシアサッカー協会FAMに対し、代表チームのマネージャー就任を希望していると自身のインスタグラムに投稿しましたが、これに対してFAMは回答を保留していると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。。
 イスマイル殿下は、ハミディン・アミンFAM会長に宛てて「代表チームに対して最高の練習環境と最高のコーチングスタッフを提供することを約束し、代表チームを強化するためには自分をチームマネージャに就任させて欲しい。短期間での成功は約束できないが、現実的な目標を一つ一つ達成し、必ずチームを改善する」と述べる一方で、「一部の選手は代表チームへの招集を夏休みのように考えているようだ。また今後は簡単に帰化選手を生み出すべきではない。」と述べ、代表のプレースタイルにあった選手だけを帰化させるためにその分析を行う技術委員会が管理するべきだとも述べています。
 これは今回のW杯予選に出場したマレーシア代表にはモハマドゥ・スマレ(JDT-ガンビア出身)、ギリェルメ・デ・パウラ(JDT-ブラジル出身)、リリドン・クラスニキ(JDTから期限付き移籍でAリーグのニューカッスルジェッツ-コソボ)の3名の帰化選手がいましたが、3名が3名とも不調であったことから、国内サポーターだけでなく国内サッカー界からも帰化選手と帰化選手プログラムを推し進めるFAM双方に対する批判が高まっています。
 イスマイル殿下は、JDTがMリーグ7連覇を含む多くのトロフィーを獲得している秘訣は、選手をメデイアなど外部から遮断し、ソーシャルメディアの使用も管理した上でサッカーという仕事に集中できる環境を提供している自身のリーダーシップによるものだと話しています。
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 ジョホール州皇太子の略称TMJの愛称でも呼ばれるイスマイル殿下ですが、自身の代表チームマネージャー就任希望を投稿したのは予選G組の最終戦タイ戦の前でしたが、正直なぜこのタイミングで?というのが最初の印象でした。FAM会長はじめとする役員の尻に火をつけるためのなのか、はたまた代表に13名いるJDTの選手に気合いを入れるためなのか。いずれにせよ、大事な最終戦前にマイナスに作用することはあってもプラスには採用しないのでは、というタイミングでした。(もちろんこのハッパが効いて、タイに勝利したのであればそれはそれで効果的だったとも言えますが…。)
 2017年から2018年までは自身がFAMの会長を務めたイスマイル殿下ですが、退任後のFAMはそれまではとは違い、王族も中央政府の政治家もいない組織として機能しており、また代表チームも2019年末まではタイを破り、UAEと接戦を繰り広げるなどここ数年来、最も期待できるチームでした。しかし新型コロナ蔓延後は他国も条件は同じとはいえ、代表合宿は行えず、強豪との練習試合も組めず、正確な日数は調べていないのでわかりませんが、移動制限令が連発されたマレーシアは、2020年以降で見ればおそらく代表合宿開催日数は予選G組では最低ではないかと思います。コロナ禍が落ち着けば、2019年のように代表の強化ができれば、アジアカップ本戦出場も夢ではないような気がします。
 そんな中でのイスマイル殿下の投稿は、Mリーグの優秀な選手を片っ端からJDTが獲得している手腕と合わせた上でうがった見方をすれば、自身の手中に代表チームを納めたいのという思惑があるようにすら思えてしまいます。FAMによる代表強化が手ぬるいから、と言われてしまえばそれまででしょうが、FAMがイスマイル殿下に「預けて」しまった後は、批判的な意見が出にくくなる恐ればあり、また万が一、その強化が失敗と判明した場合に誰が殿下を解任できるのか、という最大の問題が残ります。

  • BERNAMA

6月8日のニュース:W杯予選G組-ベトナムとUAE勝利で順位は変わらずマレーシアは4位のまま、JDTオーナーが自身のクラブ運営方法批判を一蹴

W杯予選-ベトナムとUAE勝利で順位は変わらずマレーシアは4位のまま
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組の試合が行われ、グループ1位のベトナムと2位のアラブ首長国連邦UAEがそれぞれ勝利しています。
 首位ベトナムと最下位インドネシアの対戦は、0-0で前半を折り返したものの、後半のゴールラッシュで順当にベトナムが勝利してグループ首位を堅持しています。
 一方、2019年10月15日のホームでの試合ではUAEを2-1で破っていたタイでしたが、この試合はタイの神童こと18歳のスファナット・ムエアンタがゴールを挙げるも、3−1でUAEがブラジル出身の帰化選手の2ゴールを含む3ゴールで快勝しています。

6月7日@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
ベトナム 4-0 インドネシア
得点者:ベトナム-グエン・ティエン・リン(51分)、グエン・クアン・ハイ(52分)、グエン・コン・フオン(67分)、ヴー・ヴァン・タン (74分)

6月7日@ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
アラブ首長国連邦UAE 3-1 タイ
得点者:UAE-カイオ・カネド (14分)、ファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマ (33分)、ユースィフ・ジャービル(90+4分)、タイ-スファナット・ムエアンタ (54分)

FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選
兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組順位表(2021年6月8日現在)

TeamPWDLGFGAGDPTS
1ベトナム642091814
2UAE64021551012
3タイ72329819
4マレーシア6303810-29
5インドネシア7016522-171

P-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、PTS-勝点

予選G組今後の日程(時間は現地時間、試合はいずれも午後8時45分キックオフ)
6月11日(金)
インドネシア-アラブ首長国連邦@ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
マレーシア-ベトナム@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
6月15日(火)
ベトナム-アラブ首長国連邦ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
タイ-マレーシア@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ

JDTオーナーが自身のクラブ運営方法批判を一蹴
 英字紙スター電子版は、Mリーグ1部7連覇中のJDTがMリーグのトップ選手を独占しているという批判に対するオーナーの反論を紹介しています。
 JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が参加して先日行われたインスタグラムライブ中、一人の参加者がイスマイル殿下に対して国内のトップ選手をJDTが次々と獲得していることによりMリーグ全体に悪影響を及ぼしているのではないのではないか、と問いかけました。そこでイスマイル殿下はMリーグで給料未払いとなっている複数のクラブがあることを挙げて、給料未払いのクラブと自身のどちらがリーグにとって悪影響を及ぼしているのかと問い返し、選手の給料や福利に責任を持たないクラブに苦しめられている選手を救っているだけだと主張したということです。
 さらにイスマイル殿下は「JDTは自らの予算の範囲内でクラブを運営している。他のMリーグクラブも同様にするべきで、それができないのであれば、その失敗の責任は各クラブが負うべきである。JDTのオーナーとしてクラブの成功を目指すのは当然で、選手を獲得する必要があれば獲得し、育成する必要があれば育成する。」と述べています。
 またイスマイル殿下は、ややもすると傲慢(ごうまん)とも言える自身のクラブの運営方法に対して問われると、プロサッカークラブを運営するにはプロとして見栄えが重要であり、自身の自尊心を高揚させるためにあらゆる面で最高のものが必要になり、ライバルとの争いには謙虚さは全く必要でない、という自信の考えも明かしています。
 なおJDTはW杯予選、そしてAFCチャンピオンズリーグ後のMリーグ再開に向けて、期限付きでオーストラリア1部のニューカッスルジェッツに移籍していたシャフリアン・アビマニュを復帰させるほか、英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFCのU23チームでプレーする20歳のナサニエル・シオ・ホング・ワンの獲得も発表しています。

5月21日のニュース:代表が合宿地のアラブ首長国連邦へ出発、MFLはMリーグ各クラブにより厳格なスポーツバブル内での練習を義務付け、JDTはFWダ・シルヴァの完全移籍とDFローリーの加入を発表

代表が合宿地のアラブ首長国連邦へ出発
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場するマレーシア代表の候補選手と監督、コーチ他の関係者を含めた総勢45名が5月20日に代表合宿地のアラブ首長国連邦UAEのドバイへ出発したことを伝えています。
 FAMのハミディン・アミン会長に率いられたマレーシア代表団は、代表の公式エアラインでもあるマレーシア航空が用意したチャーター機。に搭乗し、クアラルンプール国際空港KLIAを午前9時に出発しました。
 代表チームはUAEでの合宿期間中、5月28日にはバーレーンのマナマでバーレーン代表との練習試合が予定されていますが、この際のドバイーマナマ間、マナマードバイ間の移動もマレーシア航空がチャーター便を用意してチームの移動をサポートするということです。
 またW杯予選終了後にはマレーシア航空が用意する、チームの愛称ハリマウ・マラヤ(日本語では「マラヤの虎」)に合わせて黄色と黒色主体に塗装されたチャーター便で帰国する予定ということです
(下は代表がマレーシア帰国時に搭乗予定のハリマウ・マラヤ仕様のマレーシア航空A330-300型機)

MFLはMリーグ各クラブにより厳格なスポーツバブル内での練習を義務付け
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、移動制限令MCOの施行が6月7日までとなったことを受け、Mリーグ各クラブに対してMCO施行地域でのチームトレーニングは合宿形式での実施のみ許可とすることを公式サイトで発表しています。
 MFLは今年2月15日より、チーム全員が一箇所に合宿し、外部との接触を遮断して練習を行う「合宿ベース」型と、選手は自宅から練習に通うことができる一方で、自宅と練習場以外への立ち寄り、さらに家族以外との接触や自宅への訪問者受け入れを禁じる「自宅ベース」型の二つのスポーツバブルを設け、各チームにはいずれかの形式を選択できるようにしていました。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、新型コロナウィルスの新規感染者数が連日記録を更新する状況下で、国家安全保障委員会NSC、国家スポーツ評議会MSN、国内のスポーツを統括する青年スポーツ省、そして保健省との会合を重ねた結果、MCO施行地域での「自宅ベース」型スポーツバブルの有効性が疑わしく、さらに感染拡大に寄与する可能性が高いとして、MCO施行地域での「自宅ベース」型の実施を禁止するとしています。
 さらにアブドル・ガニCEOは各クラブに対して、選手や監督、コーチだけでなく練習に関わる全員がPCR検査を受けること、合宿ベース型実施の際の練習場とチームの宿泊先をMFLに提出することを求め、その申請内容に基づいてMFLが練習を許可する方式とするとしています。
 この他、MCOより規制が緩和されている「条件付き移動制限令」CMCOが施行されているサラワク州とサバ州に本拠地を持つチームのうち、サバ州コタキナバルを本拠地とする1部スーパーリーグのサバFCは今後も自宅ベース型での練習が可能とする一方で、いずれも2部プレミアリーグ所属でサラワク州クチンを本拠地とするサラワク・ユナイテッドFCとクチンシティFCについては、サラワク州政府の危機管理委員会があらゆるスポーツ活動を現在禁止していることから、合宿ベース形式での練習を行うように求めています。
 またMCOよりさらに厳格な「強化移動制限令」TMCOが施行されているクダ州を本拠地とする1部スーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCに対してはクダ州外のMCOあるいはCMCOが施行されている地域での合宿ベース形式で練習を行うよう求めています。

JDTはFWベルグソン・ダ・シルヴァの完全移籍とDFシェーン・ローリーの加入を発表
 1部スーパーリーグ首位のJDTは、期限付きで移籍していたブラジル出身のベルグソン・ダ・シルヴァの完全移籍とオーストラリア出身のDFシェーン・ローリーの加入を公式Facebookで発表しています。
 今季開幕直後にブラジルのフォルタレーザECからJDTに加入したダ・シルヴァ選手は第3節から出場し、第13節までの11試合で11ゴールを挙げていますが、6月30日までの期限付き移籍での加入であったことから、その後の契約が更新されるのかどうかに注目が集まっていました。
 一方、カタール1部カタール・スターズ・リーグのアル・アハリSCから新加入したローリー選手はオーストラリア出身ですが、リーズ・ユナイテッド、シェフィールド・ユナイテッド、ミルウォール、レイトン・オリエントなど英国のクラブでのプレー経験やオーストラリア1部Aリーグのパース・グローリーでのプレー経験もあるということです。
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 1989年生まれのローリー選手は2005年に英国1部のアストン・ヴィラと契約しましたが、その時に一緒に契約したのが、やはり1989年生まれで現在は同じMリーグ1部のトレンガヌFCでプレーするクリス・ハードだったということです。(ハード選手はケガのため長期離脱中です。)
 またJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下はさらなる補強として、英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFCのU23でプレーするMFナサニエル・シオ・ホング・ワンとも契約したことを明かし、後半戦開幕時にはチームに合流予定であるとしています。21歳のシオ選手はJDTを退団したハリス・ハルン選手の抜けた穴を埋める選手だとしており、母親がマレーシア人であることからマレーシア人選手として登録されると述べている他、さらにスペインのラ・リガからも選手が加入すると話しています。



 
 

5月11日のニュース:W杯アジア2次予選へ向けて代表候補25名発表、JDTのハリス主将が退団、JDT得点王のベルグソンの去就に注目が集まる、PJシティはトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手獲得の意思なし

W杯アジア2次予選へ向けて代表候補25名が発表
 マレーシアサッカー協会はFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場する代表候補25名を発表しています。この25名は5月16日から行われる合宿を経て、6月3日のアラブ首長国戦を皮切りに、6月11日はベトナムと、6月15日にはタイと集中開催地となっているアラブ首長国のドバイで対戦します。25名中19名が3月に行われた代表候補合宿に引き続き召集されています。
 3月の合宿に召集されたメンバーからはシャーレル・フィクリ(スランゴール)とシャルル・サアド(JDT)がケガのため外れた一方で、サミュエル・サマーヴィル(ペナン)、帰化選手のリリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)、アリフ・アイマン(JDT)の3名が初招集となった他、3月の合宿にはケガのため参加できなかったサファウィ・ラシド(JDT)や国外でプレーするドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)、ジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリFC)の3名が代表復帰を復帰しています。
 代表チームは5月16日から19日までブキジャリル国立競技場で合宿を行った後、ドバイ入りし5月23日にはクウェート代表と、そして5月28日にはバーレーンのマナマでバーレン代表との練習試合を行う予定です。
 なおマレーシア国外でプレーするクラスニキ、タン、エルドストール各選手とルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)はいずれも滞在国から直接、ドバイ入りし、現地で代表チームに合流するということです。
 マレーシアはアジア2次予選G組でこれまで5試合を戦い3勝0分2敗の勝点8で、グループ首位のベトナム(勝点11)に次ぐ2位となっており、3位タイ(勝点8)、4位UAE(勝点6)、5位インドネシア(勝点0)と続いています。
 なお今回の予選のマレーシアの試合日程は以下の通りです。
6月3日(木)UAE戦@ザビールスタジアム、ドバイ
6月11日(金)ベトナム戦@アール・マクトゥーム・スタジアム、ドバイ
6月15日(火)タイ戦@アール・マクトゥーム・スタジアム、ドバイ
*試合開始はいずれもマレーシア時間深夜12時45分(現地時間午後8時45分)

マレーシア代表候補合宿(5月16日〜)参加メンバー

氏名年齢所属
GKファリザル・マーリアス35JDT
カイルルアズハン・カリド32SEL
サミュエル・サマーヴィル27PNG
DFマシュー・デイヴィーズ26JDT
アイディル・ザフアン34JDT
アダム・ノー・アズリン25JDT
ラヴェル・コービン=オング30JDT
シャマー・クティ・アバ24JDT
シャミー・サファリ23SEL
イルファン・ザカリア26KL
リザル・ガザリ29KDA
ジュニオール・エルドストール30CHO
ドミニク・タン24POL
MFナズミ・ファイズ・マンソル27JDT
モハマドゥ・スマレ27JDT
ブレンダン・ガン33SEL
ノー・アザム・アジー26PHG
リリドン・クラスニキ29NCJ
FWアキヤ・ラシド22JDT
シャフィク・アフマド26JDT
サファウィ・ラシド24JDT
アリフ・アイマン19JDT
ギリェルメ・デ・パウラ35JDT
ルクマン・ハキム19KOR
ノーシャルル・イドラン35SU
所属クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PEN-ペナン、KL-KLシティ、SU-サラワク・ユナイテッド、CHO-チョンブリーFC(タイ)、POL-ポリス・テロFC(タイ)、NCJ-ニューカッスルジェッツ(オーストラリア)、KOR-KVコルトレイク(ベルギー)

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 JDTからは13名が選ばれていますが、リリドン・クラスニキはニューカッスルジェッツへJDTのセカンドチームJDT IIから期限付き移籍しており、クラスニキ選手を含めれば25名中14名がJDTとなります。現在リーグ2位のトレンガヌからは1名も召集されず、3位のクダ・ダルル・アマンと4位のペナンからそれぞれ1名ずつの召集となった一方で、今季はMリーグでのプレー時間が少ないアキヤ・ラシドやシャフィク・アフマド、また国外でプレーしながら十分な出場機会が得られていないルクマン・ハキムやリリドン・クラスニキらも召集したのは、かつて日本が「海外組」を偏重した風潮とも重なりますが、果たしてこのメンバーでどこまでいけるのか。W杯最終予選進出は現実的ではありませんが、アジアカップ出場に少しでも近づけるようグループ3位が目標でしょうか。

JDTのハリス・ハルン主将が退団
 Mリーグ1部スーパーリーグで首位のJDTは公式Facebook上で、主将でシンガポール出身のハリス・ハルンの退団を発表しています。
 シンガポール代表でも史上最年少の16歳で代表デビューしたハリス選手は、2012年からMリーグに参加したシンガポールサッカー協会FASが運営したシンガポールXIIでプレーし、2013年にMリーグで優勝を果たすとその年の11月にはJDTと契約、2014年シーズンのデビュー以来7年間JDT一筋でプレーし、JDTが昨季2020年に成し遂げたMリーグ1部スーパーリーグ7連覇の中心選手として活躍し、2015年のAFCカップ優勝も経験しています。
 守備的MFとして、JDT在籍7年間で197試合出場(試合出場時間は1万5367分)、12ゴール5アシストを記録したハリス選手は、新型コロナウィルス影響もあり家族と時間を過ごすためにシンガポールへ戻ることを退団の理由としています。
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 ハリス選手の退団に際して、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は戻ってくるため喉はいつでも空いている、と述べていますが、ハリス選手の前任者でもあるJDT元主将のサフィク・ラヒムが退団する際にも同じことを述べ、今季そのサフィク選手が33歳でJDTに3年ぶりに復帰していることから、コロナ禍が下火になれば現在30歳のハリス選手の復帰も十分に有り得ます。
(下はJDTの公式Facebookに掲載されたハリス・ハルン首相の獲得トロフィー

JDT得点王のベルグソンの去就に注目が集まる
 今季途中からJDTに加入したもののここまで8ゴールとリーグ2位の得点を挙げているFWベルグソン・ダ・シルヴァの期限付き契約が今月5月末に切れることからその去就に注目が集まっています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、JDTは4ヶ月間の期限付きで移籍してきたベルグソン選手との契約延長についてはまだ何も決定していないと報じる一方、ベンヤミン・モラ監督がなんとしても残留して欲しいと話しているとも報じています。
 「チームの得点王としてほぼ全ての試合でゴールを決めているベルグソン選手はチームにとっても、監督を務める自分にとっても重要だ。彼にはチームに残って欲しいが、その決定権は私ではなく、チームのスポーツダイレクターとオーナーにある。」と述べたモラ監督は、チームにとって貴重な財産であり、残留を希望することを強く望んでいると話しています。

PJシティはトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手獲得の意思なし
 スーパーリーグは第13節を終えましたが、外国籍選手が一人もいないPJシティは現在2位のトレンガヌや4位のペナンに引き分けるなど上位相手とも引き分けるなど、3勝6分4敗の8位と開幕前の下馬評を覆す善戦を繰り広げています。
 PJシティのP・マニアム監督は現在のチームノパファーマンスに満足していると話し、7月初旬まで5月3日から始まっているトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手を獲得する予定はないと話す一方で、ケガから復帰の目処が立っていないエースのダレン・ロックに代わるマレーシア人ストライカーを物色中と話しています。

Mリーグ1部スーパーリーグ第13節結果

 新型コロナ感染者が再び増加しているマレーシア。1日あたりの新規感染者が4000人前後で高止まりする日が続き、国内各地では活動制限令MCOや条件付き活動制限令CMCOが施行され、Mリーグの試合は無観客で開催されています。
 Mリーグに目を向けると5月3日から開いている今年2度目のトランスファーウィンドウ期間に加入した選手たちが今節の試合に出場し、中には早速ゴールを決めるなど活躍する選手も出ています。
 なおスーパーリーグは今節終了後、5月16日から始まる代表候補合宿、そして6月3日から始まるW杯アジア2次予選、さらにアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグやAFCカップが続くことから、2ヶ月の中断期間に入り、次節第14節は7月9日から再開します。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年5月8日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 0-1 クダ・ダルル・アマン
得点者:サバ-、クダ-クパー・シャーマン(79分)
 激しい雨のため1時間近く中断した試合は再開後もボールが水たまりで止まってしまうような状況でしたが、それでも双方が激しくせめぎ合う中、サバ守備陣のミスをついてクパー・シャーマンが貴重なゴールを決めて勝利しています。
 サバは新加入のFWヨシプ・イヴァンチッチを起用するなど本拠地4連勝を目指しましたが、反撃も及びませんでした。

2021年5月8日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM 1-1 KLシティ
得点者:UITM-クォン・ヨンヒョン(84分)、KL-シュコル・アダン(90+4分)
 今季ここまで未勝利のUTIMは終盤に新加入のFWクォン・ヨンヒョンのゴールで先制し、このまま逃げ切ると思われたロスタイムに失点を喫し、今季初勝利を逃しています。
 しかしこのシュコル・アダンの同点ゴールは映像で見るとヘディングに跳びながら手を高く挙げてゴールを決めた「神の手」ゴールに見え(写真下、写真はUITM FCの公式Facebookより、中央で手を挙げているのがシュコル選手)、UTTMの選手もこれに激しく抗議しましたが、主審はそれを認めませんでした。とここまでは手に触れていることを見逃した主審のミスということになりますが、FAMが発表した公式記録でもシュコル選手を得点者としていることから、Mリーグはシュコル選手の手を使ったゴールを認めたことになります。ちなみに41歳のシュコール選手はこのゴールで先日、サバFCのアムリ・ヤハヤ選手が作ったMリーグ最年長ゴール記録を更新しています。

2021年5月8日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 0-3 JDT
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(15分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(43分)、モハマドゥ・スマレ(51分)
 リーグ首位を快走するJDTは前節第12節で脳震盪(のうしんとう)を起こして退場したゴンザロ・カブレラに代わりセカンドチームからフェルナンド・ロドリゲスを昇格させ、またサファウィ・ラシドとアリフ・アイマンを初めてともに先発させるなど布陣を変えて臨んだ試合でしたが、ペナンを一蹴しています。
 DFリュウジ・ウトモをケガで欠くペナンFCはこれまで起用していたDFムハンマド・ファディル・イドリスに代えてベテランのDFアズミ・ムスリムを先発させるなどJDT対策を立てながらの完敗でした。また自身のゴールが認められなかったことに抗議してイエローカードをもらっていたエースのカサグランデがその後の反則で2枚目のイエローで退場、これに抗議したトマス・トゥルチャ監督も退場となるなどペナンFCにとっては後味の悪い敗戦となりました。

2021年5月9日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 0-0 PJシティ
得点者:なし
 本拠地では3連敗中のマラッカが終始、優勢に試合を進めるもPJシティのGKカラムラー・アルハフィズの好セーブなどもあり無得点。スーパーリーグで唯一、外国籍選手がいないPJシティと引き分けています。

2021年5月9日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 2-3 スリ・パハン
得点者:ペラ-レアンドロ・ドス・サントス(68分PK)、カレッカ(90+5分)、パハン-アウン・カウン・マン (35分)、ケニー・アティウ2(58分、88分)
 トランスファーウィンドウ期間中の新加入組の内、検疫隔離により合流が遅れていたミャンマーU22代表のアウン・カウン・マンが先発しデビュー戦で早速ゴールを決めています。また同じ新加入組ののケニー・アティウも2ゴールを決めるなど、新戦力の活躍でパハンが連勝しています。前節に1ゴール1アシストで勝利に講演したマヌエル・イダルゴとともに新戦力の加入で全く別のチームになったパハンは、リーグ再開後の台風の目となりそうです。
 一方のペラは給料未払い問題により退団が噂されているブラジル出身コンビがゴールを決めましたが、これは獲得を狙う他チームへの良いアピールとなったのではないでしょうか。またこの他にも退団の可能性が報道されたケニー・パッラジ・ダバラギやパルティバン・ジャナセカランの両主力選手はこの大事な試合にベンチ入りせず、移籍の可能性が濃厚です。

2021年5月9日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-2 トレンガヌ
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン(50分PK)、トレンガヌ-エンク・ヌル・シャキル(73分)、カルリ・デ・ムルガ(87分)
 トレンガヌが敵地で逆転勝ちし、JDTとの勝点差を3として再び2位に浮上しています。
 引き分けを挟んで3連勝のスランゴールは前節のスリ・パハン戦に続き、終盤にゴールを許すなど勝ちきれない試合が続き、トップ3とは徐々に勝点の差が開き始めました。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第13節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT139312862230
2TFC138322012827
3KDA138232113826
4PEN136431814422
5SEL135442220219
6KL134541714317
7SBH134451717016
8PJ133641014-415
9PHG133371622-612
10PRK133371421-712
10MU133551519-4*11
12UITM130211430-262
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第13節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)11
3クパー・シャーマン(KDH)9
4カサグランデ(PEN)7
パウロ・ジョズエ(KL)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

5月9日のニュース:ペラの代表コンビがJDT加入、ペラFCはクラブ史上初の2部降格危機に、サバとUITMには新外国籍選手加入

ペラの代表コンビがJDT加入
 Mリーグ1部スーパーリーグのJDTは公式Facebook上で、DFシャールル・サアドとFWギリェルメ・デ・パウラの加入を発表しています。シャールル、デ・パウラ両選手は今年3月の代表候補合宿にも参加しており、5月16日から予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選代表候補合宿にも召集が予想されています。
 シャールル選手、そしてブラジル出身ながら帰化選手のデ・パウラ選手の加入で、JDTはチーム内で出場機会を巡っての競争も激化しそうです。またJDTは同じスーパーリーグのサバ、マラッカ・ユナイテッド、スリ・パハン、UITMに期限付きで選手を移籍させる方針を発表しており、チーム内で出場機会がなければ代表候補でも期限付き移籍となる可能性すらあります。
*****
 このブログではシャールル選手がスリ・パハンから獲得オファーを受けていることは取り上げましたが、結局はマレーシア人選手なら誰もがプレーしたいJDTが移籍先に決まりました。
 シャールル、デ・パウラ両選手の加入により、JDTのマレーシア人選手は全員が代表選手という布陣も可能で、国内リーグで代表チームプラス外国籍選手という圧倒的な強さを持つチームがプレーするといういびつな状況にもなります。代表チームの強化という点では良いかもしれませんが、すでにJDTの1強時代が続いているMリーグに対してはJDTのサポーター以外は興味を失ってしまうかも知れません。
 タン・チェンホー代表監督もAFC選手権アジアカップ2019年大会予選の際に14名のJDT選手を召集してサッカーファンからJDTへ贔屓(ひいき)という批判を浴びた結果、そのJDT選手たちを代表から外さざるを得なくなるといった事態も起きています。国内の良い選手を選んだら結果としてJDTの選手ばかりになってしまったということでしょうが、今回の二人の移籍でそういったことが起こる可能性が高まりました。

ペラFCはクラブ史上初の2部降格危機に
 第12節を終え、今季9位のペラFCは1982年のリーグ創設以来、常に1部でプレーしてきたクラブですが、今季は降格の危機に直面していると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 ペラFCは2ヶ月以上の給料未払いが噂されており、上の記事で取り上げたシャールル・サアドとギリェルメ・デ・パウラの退団の原因ともなっているとされていますが、今週金曜日5月7日にはやはり給料未払いに端を発して選手と監督、コーチが練習参加を拒否したことも報じられていました。
 これについてペラFCのリザル・アリ・ナイザリCEOはこの報道を否定し、3月までの給料は支払済身だと主張する一方で、デ・パウラ、カレッカ、レアンドロ・ドス・サントスのブラジル出身3選手にについては資金不足から全額を支払えていないことを認めています。
 経営陣と選手側は昨日5月8日に交渉を行ったということですが、経営陣は選手の練習ボイコットを非難する一方で、クラブの経営状況を説明するのみに止まり、給料未払いについての解決策は明示されなかったということです。
 この結果、カレッカ、レアンドロ両選手に加え、アセアン(東南アジア)枠で加入のシャキル・ハムザ、さらにはアズリ・ガニ、J・パルティバン、D・ケニー・パルラジら主力選手も退団の意向を表明しているということで、このままではペラFCの今季の1部残留は難しいだろうとこの記事は結んでいます。

サバとUITMには新外国籍選手加入
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの公式Facebookでは、Mリーグ1部スーパーリーグのサパFCとUITM FCに加入した選手を告知しています。
 サバFCに加入したのはクロアチア出身のFWヨシプ・イヴァンチッチでボスニア・ヘルツェゴビナ1部ルーグのHŠKズリニスキ・モスタルより加入しています。またこれに伴いサバFCからはFWサム・ジョンソン(リベリア)が退団しています。
 また今季未勝利でリーグ最下位と低迷するUTIM FCには韓国出身のMFクォン・ヨンヒョンが加入しています。クォン選手は韓国2部釜山アイパークより加入し、やはり昨日5月8日の第13節対KLシティ戦に先発出場し、デビュー戦でゴールを挙げています。
 UITM FCにはクォン選手の他、DFヒシャムディン・シャアリとDFアリフ・サムスディンがいずれもKLシティより加入した一方でFWアブー・バクル・アル=ミル(レバノン)が退団しています。

5月8日のニュース:W杯予選-タン代表監督はケガの昨季のリーグ得点王を招集断念、ペラFC主将はスリ・パハンからの獲得オファーを認める、JDTがスーパーリーグ4クラブに選手を期限付き移籍

W杯予選-タン代表監督はケガの昨季のリーグ得点王を招集断念
 5月16日から予定される代表候補合宿を前に、タン・チェンホー代表監督はケガを負ったFWシャーレル・フィクリ(スランゴール)を招集しないことを明らかにしています。シャーレル選手は3月に行われた代表候補合宿にも招集されていました。
 5月5日のMリーグ1部第12節スリ・パハンFC戦の後半から途中出場したシャーレル選手は、ムスリム・アフマッドのタックルを受けて負傷し、プレー時間わずか10分で交代し、タンカで運ばれて退場しましたが、その後、腓骨の骨折が明らかになり、完治まで6ヶ月から8ヶ月と診断されています。
 マレーシアの通信社ブルナマの取材に対して、昨季2020年のスーパーリーグではペラでプレーし、マレーシア人選手として最多の11ゴールを挙げたシャーレル選手が招集できないことはチームに取って痛手であり、W杯予選に向けて別の戦略を立てる必要があると話したタン監督は、ギリェルメ・デ・パウラ(ペラ)、シャフィク・アフマド(JDT)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(サラワク・ユナイテッド)、ルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)らがシャーレル選手に代わるストライカー候補であると述べています。

ペラFC主将はスリ・パハンからの獲得オファーを認める
 Mリーグ1部スーパーリーグで今季は低迷するペラFCの主将で代表DFシャールル・サアドが同じスーパーリーグのスリ・パハンFCから獲得オファーを受けていることを、スポーツ専門サイトスタジアムアストロとのインタビューで明かしています。
 今季はケガで出遅れ、5月5日のスーパーリーグ第12節PJシティ戦が今季2試合目の出場となったシャールル選手ですが、移籍についてはスリ・パハンFCからのオファーを受けていることは認めながらも、今はまだ何も決定していないとして、現在はペラFCの選手として目の前の試合に集中したいとインタビューで答えています。
 ペラFCはシーズン開幕時から給料未払いが噂されており、5月3日から開いているトランスファーウィンドウ期間中に主力選手が流出するのではとソーシャルメディア上では話題になっており、今回のスタジアムアストロのインタビューはそんな中で行われたものです。ちなみに今週末の第13節でペラFCは、新加入のマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)ら新加入の選手らの活躍で前節第12節にスランゴールFCと引き分けたスリ・パハンFCと対戦します。

JDTがスーパーリーグ4クラブに選手を期限付き移籍
 Mリーグ1部スーパーリーグで首位のJDTは公式Facebook上で、同じスーパーリーグの4クラブへ選手を期限付きで移籍させることを発表しています。
 アリスター・エドワーズ テクニカルディレクター名で発表された告知では、サバ(現在リーグ7位)、マラッカ・ユナイテッド(同10位)、スリ・パハン(同11位)、UITM(同12位)が移籍先として明らかにされています。
 Mリーグは5月3日から5月30日までが今年2度目のトランスファーウィンドウ期間となっています。
 突然行われたこの告知の真意は不明で、JDTのどの選手が移籍するのかは発表になっていませんが、代表候補合宿に召集されているJDT所属の選手の中には、シャフィク・アフマドやアキヤ・ラシドなど試合出場時間が十分に確保できていない選手もいるので、この辺りの選手が移籍する可能性があります。また「飼い殺し」状態の選手を移籍させることで、下部組織からさらに若い選手の昇格なども見越しての戦略とも考えられます。

Mリーグ1部スーパーリーグ第12節結果

 今節第12節からいよいよ後半戦が始まりますが、今節の注目カードは何と言っても首位攻防戦のクダ・ダルル・アマン対JDTでした。また5月3日から開いているトランスファーウィンドウ期間に加入した新戦力を早速投入しているクラブもあり、そういった選手たちが、後半戦の局面を大きく変える可能性もあります。
 その一方で、今週半ばは試合が組まれていない2部プレミアリーグのケランタンFCの選手に新型コロナウィルス感染者が見つかり、今週末のペラFC II対ケランタンFCが延期されています。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年5月4日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマン 0-1 JDT
得点者:JDT-ベルクソン・ダ・シルヴァ(90+2分PK)
 新型コロナウィルスの影響で急遽、無観客試合となって行われたこの試合は、両チーム共にチャンスがありながらそれを活かせない展開が続き、このまま引き分けかと思われたロスタイム、クダの守備ラインをかわしてペナルティエリアへボールを持ち込んだJDTのムハマドゥ・スマレをレノン・アルヴェスが倒して万事休す。これで得たPKをベルグソン・ダ・シルヴァが蹴り込み、これが決勝ゴール。この日は活躍したクダGKシャアリル・サアリでも止められませんでした。
 残り数分は明らかな時間稼ぎをするJDTと試合を進めたいクダの選手との間で何度か争いも起き、試合終了後もそれが続く後味の悪い試合となりました。
 クダにとっては本拠地で最低でも勝点1が欲しい試合でしたが、開幕戦に続き、JDTに0封されての敗戦でした。
 またハイライト映像には写っていませんが、56分にはペナルティーエリア手前でドリブルで持ち込んだJDTのゴンザロ・カブレラをレノン・アルヴェスが「ブロック」して衝突。カブレラ選手は脳震盪(のうしんとう)を起こし退場となりましたが、その後の報道で無事に退院したことが伝えられています。

2021年5月4日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 3-1 ペナン
得点者:KL-パウロ・ジョズエ3(35分、52分PK、88分)、ペナン-ダニアル・アシュラフ(64分)
 昨季の2部プレミアリーグ優勝チームのペナンと同2位の対戦となったこの試合は、9戦負けなしでリーグ3位と好調のペナンが有利と目されていましたが、KLシティが主将パウロ・ジョズエのハットトリックで解消して、この日が誕生だったボジャン・ホダック監督に勝利をプレゼントしています。

2021年5月4日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌ 3-0 UITM
得点者:トレンガヌ-デヴィッド・ダ・シルヴァ(8分)、ファイザル・ハリム(10分)、モハマド・ラーマット・マカスフ(77分)
 トレンガヌが最下位のUITMに快勝し、JDTに敗れたクダに代わって再び2位に浮上しています。
 UITMは5月3日に開いたトランスファーウィンドウ期間に加入したMFウスマン・ファネ(フランス)とFWジョアン・ペドロ・フレイタス(東ティモール)の新戦力が先発しましたが、5試合連続無得点となりました。

2021年5月5日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 2-2 スランゴール
得点者:パハン-マヌエル・イダルゴ(48分)、アブドル・マリク・アリフ(90+5分)、スランゴール-ハイン・テット・アウン(76分)、イフェダヨ・オルセグン(87分)
 11位のパハンはトランスファーウィンドウ期間にDFエラルド・グロンを除く4名の外国籍選手を入れ替えましたが、その内、MFアブバカル・ヤクブ(ガーナ)とFWマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)が先発、FWケニー・アティウ(南スーダン/オーストラリア)が途中出場とこの試合でデビューしていますが、早速イダルゴ選手ががスランゴール守備陣のパスミスから作ったチャンスを生かしてゴールを決め、さらに同点ゴールにつながるFKでアシストを上げるなど活躍し、強烈な印象を残しています。ちなみにパハンのドラー・サレー監督はもう1人の新戦力FWアウン・カウン・マン (ミャンマー)も起用する予定だったようですが、国際移籍証明書ITCが試合までに
 スランゴールはエースのイフェダヨ・オルセグンの技ありの逆転ゴールで逃げ切るかと思われましたが、パハンの同点ゴールのきっかけとなったFKを与えたDFシャールル・ナジームが2枚のイエローで退場し、最後のセットプレーで数的不利となったことが悔やまれます。

2021年5月5日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 0-1 ペラ
得点者:セルヒオ・アグエロ(26分)
 引き分けを挟んで3連敗中だったペラが5試合ぶりの勝利で順位を一つ上げ9位となっています。
 ペラは新加入のFWナナ・ポク(前UITM)を獲得して得点力不足に悩む攻撃陣を補強し、この勝利から巻き返しを図りたいところですが、主将で代表DFシャルル・サアドがスリ・パハンからの獲得オファーを受けていることを明らかにしており、もしシャルル選手が移籍となれば、今度は守備陣が大きな痛手となるため、その行方が

2021年5月5日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 3-1 マラッカ・ユナイテッド
得点者:サバ-アムリ・ヤハヤ2(6分、47分)、モハマド・アジザン・ノルディン(16分)、マラッカ-モハマド・ファクルラー・ロスリ(66分)
 40歳のアムリ・ヤハヤの3試合連続ゴールで先制したサバは、その後もアムリ選手のこの日2点目となるダメ押しゴールでマラッカを突き放して勝利し、引き分けを挟んで3連勝を記録しています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第12節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT128312561927
2TFC127321811724
3KDA127232013723
4PEN126421811722
5SEL125432118319
6KL124441613316
7SBH124441716116
8PJ123541016-614
9PRK123361216-412
10MU123451519-4*10
11PHG122371320-79
12UITM120111329-261
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第12節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)10
3クパー・シャーマン(KDH)8
4カサグランデ(PEN)7
パウロ・ジョズエ(KL)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ