7月23日のニュース:MFLは地域リーグにもSOPの遵守を要望、第一子の出産に立ち会えなかったUITM FCのフランス人DFは一時帰国を希望、ケランタンFAの監督はチームの現状をポジティブに受け止める、ワン・クズリは次回のU19代表合宿に不参加の可能性も

MFLは地域リーグにもSOPの遵守を要望
 新型コロナウィルスの新たな感染者数が連日一桁だった先週とは打って変わって二桁代となっているマレーシアでは、感染の第二波が心配されています。公共の場でのマスクの着用を義務化とそれを破った場合には罰金あるいは禁固刑が検討されるなど、マレーシア政府は必死の対応で感染拡大を防ごうとしています。
 3月半ばから続く活動制限令も当初のいわゆるロックダウン状態から、現在ではそれが大幅に緩和され、徐々に日常が取り戻されつつありますが、その一方で、商業施設などでは現在も義務化されている入店の際の検温や追跡アプリの入力のチェックが行われず、店側も客側も対応がおざなりになっているのを目にすることも多くなっています。
 そういった雰囲気の中、7月15日よりサッカーなど身体接触を含むスポーツを行うことが可能になっていますが、ここで感染者が多発する様なことがあれば、Mリーグの再開に支障があるのではという懸念が広がっています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、このサッカー解禁に伴い、地域のアマチュアリーグなどが再開され、 マレーシアサッカー協会FAMや青年スポーツ省による標準作業手順SOPが守られずにそこでクラスターが形成されることがあれば、Mリーグの再開許可が取り消される可能性もあると報じています。
 これについてMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、「各地域のアマチュアリーグの運営者に対してSOPの遵守を徹底することを強く求めたい。試合を実施する際に感染予防対策が撮れているとは正直思えない。MFLが身体接触を含めた練習の解禁直後に練習試合を許可していないのは、予防対策に万全を期すことが理由だが、各地域のアマチュアリーグもそういった対策を講じた上で運営されることを強く望んでいる。」と話しています。

第一子の出産に立ち会えなかったUITM FCのフランス人DFは一時帰国を希望
 Mリーグ1部UITM FCのフランス出身のMFウスマン・ファネは、活動制限令発令後も帰国せずマレーシア国内に残っていましたが、そのために第一子のしゅっさに立ち会うことができなかったと英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 「数ヶ月もサッカーをせず、しかも家族が一緒にいなければ多くの人は影響を受けるだろうが、自分は強い意志を持っており、サッカーが自分の仕事であるので、そういったことでサッカーへの集中が妨げられることはない。」と話すファネ選手のリーグ再開前に一時帰国して家族と再会したいという希望に対して、UITM FCもそれを許可する方向で話が進んでいるということです。
 残り7試合は全て出場したいと話すファネ選手は、クラブの目標であるリーグ8位以内を実現できるよう、リーグ再開後はできるだけ多くの勝ち点を詰みあげたいと話しています。

ケランタンFAの監督はチームの現状をポジティブに受け止める
 Mリーグの多くのクラブは身体接触を含まない練習が解禁された6月15日を皮切りにに練習を再開していましたが、練習再開に必要な書類がMリーグを運営するMFLに提出されていなかったとされるMリーグ2部ケランタンFAは、一昨日7月21日から練習を再開しています。
 このブログでもケランタンFAについて取り上げるときは未払い給料問題に関連する話題ばかりですが、ニューストレイトタイムズ電子版によると、ユスリ・チェ・ラー監督はポジティブな気持ちで練習再開を迎えているということです。
 「シーズン再開に向けての準備の時間が多くないことは理解しているが、試合までに選手全員が試合をするだけの体力を取り戻しているだろう。」と話していいます。
 ケランタンFAは今季第2節のUKM FCとの試合が激しい雷雨で中止になっており、その再戦のため他のクラブに先駆けて7月22日に再開後の初戦を迎えます。これについてユスリ監督は「UKM FCも(練習再開に必要な書類がMリーグを運営するMFLに提出されていなかった)問題から練習を再開したの数日前であり、この初戦はどちらにも勝つチャンスがあると思っている。活動制限令MCO中に(韓国出身の)カン・サンジョが退団しており、残っている選手でやりくりするしかないが、リーグ再開までにこれ以上退団する選手がでないことを祈っている。」と話しています。
 渡邉将基選手も在籍するケランタンFAは新型コロナウィルスによるリーグ中断までの3試合で1勝1分1敗の7位となっています。

ワン・クズリは次回のU19代表合宿に不参加の可能性も
 アメリカ出身で現在開催中のU19代表候補合宿に参加中のワン・クズリ・ワン・カマルは8月3日から始まる二次合宿には参加しないと、マレー語紙ハリアンメトロが報じています。
 U19代表のブラッド・マロニー監督は、ワン・クズリ選手が所属するアメリカ2部リーグUSLチャンピオンシップに所属するセントルイスFCのアカデミーとの最初の取り決め通り、この第一次合宿が終了後直ちに、アメリカへ帰国することを明かしています。
 新型コロナウィルスの新たな感染者が増える傾向にあることから、マレーシア政府は自国民、外国人を問わず入国の際には政府指定のホテルで2週間の検疫期間を過ごすことを再び義務化しており、再び合宿に参加する場合でも入国から2週間は合流することができません。
 マロニー監督は「ワン・クズリ選手はこの合宿では良いプレーを見せており、周りともうまくやっているようである。二次合宿に参加してくれれば、さらに良くなるだろうと期待している。」と話し、ワン・クズリ選手の二次合宿参加については問題なく参加できる方法を模索していると話しています。
 今週末に一時合宿を終了するU19代表は10月14日から31日までウズベキスタンのタシケントで開催されるAFC U19選手権に出場することになっています。

7月21日のニュース:Mリーグは感染者急増のサラワク州の状況を憂慮、ACL出場のJDTには試合日程の配慮も-MFL、ワン・クザリも他の選手もU19代表メンバー入りは実力次第

Mリーグは感染者急増のサラワク州の状況を憂慮
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、サラワク州での新型コロナウィルス感染者が急増した事態を受け、国内リーグのMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは今後の状況を監視していく予定であると伝えています。
 3月半ばから中断中のMリーグは8月26日の再開が発表されていますが、Mリーグには2部プレミアリーグにサラワク州に本拠地を持つクチン FAとサラワク・ユナイテッドがあることから、サラワク州政府が今後、感染拡大を防ぐ処置を発動するかどうかを注視していくと、MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは話しています。
 「クチンFAとサラワク・ユナイテッドはいずれも綿棒テストの結果をMFLに提出しており、再開後のリーグ参加は許可されているが、万が一、サラワク州の観戦状況が悪化することがあれば、MFLは両クラブのホームゲームを共有しているサラワクスタジアムではなく中立地で行うことも検討している。」と話しています。
 またガニ・ハサンCEOは、MFLがリーグ再開後の標準作業手順SOPのマニュアルを作成中で、1週間程度で完成し、Mリーグの各クラブに配布される予定であることも明かしています。これにはボールボーイからメディア関係者まで無観客試合で再開されるスタジアムに入場を許可されている全員を対象とした物となっていると言うことです。
 この他、観客の入場については、少なくとも最初の2試合は無観客で開催することは決定しているものの、その後は青年スポーツ省や保健省、国家安全保障委員会から許可が出れば、可能になると話しています。しかしその場合でもスタジアムの収容人数の1割程度の入場者受け入れとなるだろうとガニ・ハサンCEOは話しています。

ACL出場のJDTには試合日程の配慮も-MFL
 Mリーグの再開が、マレーシア政府がサッカーの試合実施許可日とする8月15日ではなく8月26日と決まったことで、Mリーグで暫定の首位となっているジョホール・ダルル・タジムJDTは、ACLを控えていることから過密日程の心配が出ていると、ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 現在国内リーグ7連覇中で、今季2020年シーズンも4試合を終えた時点で勝点10と2位のペラTBGに勝点差2をつけて首位のJDTですが、8月26日に再開するリーグは9月中に終了する予定ですが、その後はこちらも連覇がかかるマレーシアカップが10月17日から開幕する一方で、再開されるアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグも10月17日に広州恒大淘宝FCとの試合が組まれています。
 この過密日程について、マレーシアカップを運営するMFLのガニ・ハサンCEOは「マレーシアを代表してACLに出場するJDTが不利にならないよう、マレーシアカップの試合日程については考慮したい。」と述べ、MFLとしてサポートする姿勢を明らかにしています。
 今季のACLは新型コロナウィルスによる大幅な日程変更を迫られた上、試合も各予選グループごとの1ヶ所開催で行うことが発表されています。JDTは初戦の広州恒大淘宝FC戦後は、10月23日の水原三星戦、10月29日のヴィッセル神戸戦、そして11月1日には再び広州恒大淘宝FCの予定が組まれており、11月4日に決勝が予定されているマレーシアカップとほぼ同時期の試合となっています。

ワン・クザリも他の選手もU19代表メンバー入りは実力次第
 現在行われているU19代表候補合宿に参加しているアメリカ出身のワン・クズリ・ワン・アーマド・カマルは、アメリカ2部リーグにあたるUSLチャンピオンシップUSLCのセントルイスFCのアカデミー所属ということや、実の兄がマレーシア国内のサッカーを統括するマレーシアサッカー協会を監督する青年スポーツ省の大臣代理であることなどから注目を浴びています。
 このワン・クズリ選手についてU19代表のブラッド・マロニー監督は、チームにとって有用な戦力だが、23名のメンバー入りが保証されているわけではないとマレーシアの通信社ブルナマとのインタビューに答えています。
 国外からの入国者に義務付けられている14日の隔離措置が終了し、先週から10月のAFC U19選手権に出場するU19代表候補合宿に合流したワン・クザリ選手は、合宿合流前から多くのファンの期待や注目を集めている一方で、一部のファンからはその前評判ほどの選手ではないのではないかという疑念が出ています。
 これらの意見についてマロニー監督は、ワン・クズリ選手の代表合宿合流後の進捗状況には満足していると話しています。
 「外国出身ということを踏まえずとも、一人の選手が周りと違っているのは全く普通のことである。またこれまで数日間見た限りでは、ワン・クズリ選手はとても良い選手であり、チームにとって戦力となりうる。」と話しています。しかしその一方で、代表候補合宿に参加しているどの選手もメンバー入りを確約されている選手はおらず、誰もが実力でメンバー入りを勝ち取らなければならないと話しています。
 さらに今週土曜日7月25日に合宿が終了する前に練習試合を組みたいと話すマロニー監督は、実戦の中でワン・クザリ選手だけでなく、現在のチームの実力を見てみたいと話しています。
 なお、招集された35名から既に31名まで絞り込まれているチームは、次回の合宿を8月3日から行うということです。

7月17日のニュース:ペナン州協会は民営化手続きをほぼ完了、チーム最年少の18歳はリーグ再開後のスタメンを目指して奮闘中、一方U19代表主将は経験を武器にスタメンを狙う

ペナン州協会は民営化手続きをほぼ完了
 ペナン州サッカー協会FAPは民営化手続きがほぼ完了していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 FAPのアマル・プリトパル・アブドラ会長は、民営化手続きを前にFAPが運営するMリーグ2部のクラブであるペナンFAをFAPから切り離す民営化の結果、クラブが独自で運営を行えるのかどうかを検証する必要があったと話しています。しかし、民営化はマレーシアサッカー協会FAM、アジアサッカー連盟AFC、そして国際サッカー連盟FIFAによって求められている他、9月30日までに民営化手続きを完了しなければ来季2020年のMリーグ参加が危うくなることから、民営化を決定したと話しています。
 FAPの臨時総会開催後の記者会見に応じたアマル・プリトパル会長は、民営化は選手の給料などの資金提供を受けていた州政府の財政負担を減らすことにもなるだけでなく、クラブ運営を健全化する機会でもあると話す一方、過去3ヶ月間未払いとなってペナンFAの選手の給料については、今週中に解決する見通しであると述べています。
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 最後にサラッと書きましたが、このペナンFAも給料未払い問題を抱えるクラブだったようです。FAMが押し進める民営化の結果、州政府からの支援がなくなるクラブが増えると、東南アジア各国の中では、比較的高給が支払われているとされるMリーグは選手にとっては魅力のないリーグになってしまう可能性もありそうです。

チーム最年少の18歳はリーグ再開後のスタメンを目指して奮闘中
 Mリーグ1部スランゴールFCのハリス・ハイカル・アダム・アフタルはチーム最年少ながら、スタメン入りを目指して奮闘中であると、スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロが報じています。
 今季2020年シーズンが開幕した2月の時点では、スランゴールFCのBチームであるMリーグ2部のスランゴール2に登録されていたハリス・ハイカル選手はそのプレーぶりが評価され、現在はスランゴールFCの練習に参加しています。
 リーグ再開後はスランゴールFCの主力選手として試合に出たいと話すハリス・ハイカル選手は「自分はチーム最年少だが、サティアナタン監督に自分はAチームの同じポジションの選手よりも優れていることを示すために常に全力で練習に取り組んでいる。それを見て監督が出場機会を与えてくれれば、自分が1部でもプレーできることを示す自信はある。」と話し、さらにスランゴールFCで優勝してかつての栄光を取り戻し、マレーシアやアジアでスランゴールFCの名を知らしめたいとも話しています。
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 10月に開催予定のAFC U19選手権に出場するU19代表でも主力選手として期待されるハリス・ハイカル選手ですが、3月1日のMリーグ2部の試合で私もプレーを見ています。サッカーの素人の私にもわかるくらい突出して見えたハリス・ハイカル選手のAチーム昇格は当然であり必然という印象です。ハリス・ハイカル選手のセンターバックと言うポジションは、スランゴールFCの主将でもある外国籍選手のテイラー・リーガンとポジションがかぶりますが、サティアナタン監督がハリス・ハイカル選手をどう使うのが見ものです。

一方U19代表主将は経験を武器にスタメンを狙う
 スタジアムアストロは、上の記事で取り上げたハリス・ハイカルとともにスランゴール2からスランゴールFCへ昇格したムカイリ・アジマル・マハディについても取り上げていますが、こちらはMリーグ1部でのプレー経験を武器に、スランゴールFCのスタメン取りを狙う決意のようです。
 昨季はMリーグ1部のPKNP FC(現ペラII)に所属したムカイリ・アジマル選手は、Mリーグ1部初出場が17歳3ヶ月16日と衝撃的なデビューを果たしています。この時は67分からの途中出場でしたが、わずかな時間でも国内のトップレベルでの試合を経験したことで、試合の流れを読み、判断の速度を上げなければならないことを学んだと語っています。
 このムカイリ・アジマン選手に昨季終了前に獲得に興味を示したスランゴールFCがフェルダ・ユナイテッド、クダFA、ペナンFAとの争奪戦に勝ち、今年2020年からの3年契約を結んでいます。
 「スランゴールFCの練習に初めて参加した際は、サティアナタン監督が少し怖かったが、練習中には多くの励ましの言葉をかけられ、レギュラーを目指して努力するように言われて自信がついてきた。」と話すムカイリ・アジマル選手はU19代表でも主将を務めており、上記のハリス・ハイカル選手とともに代表でも次世代の主力として期待されています。

7月11日のニュース:Mリーグは8月15日から再開か、カリド選手のゴールデンブーツに125万円の値が つく、スランゴールFC監督はカリド選手に同情も引退後の準備不足も指摘

Mリーグは8月15日から再開か
 マレーシア政府による新型コロナウィルス関連の定例記者会見の席上で、身体接触を含むスポーツの練習が7月15日より、そしてサッカーなどの試合の実施が8月15日より許可されることが発表されています。
 英字紙スター電子版によると、イスマイル・ヤアコブ上級相は昨日7月10日に行われた定例会見の席上でサッカー、ラグビー、ホッケー、セパタクロー、バスケットボール、スカッシュなどの身体接触を含む球技と空手やテコンドー、シラットなどの格闘系競技の身体接触を含む練習が可能になることを発表しています。これに伴いフットサル場などの商業運動施設も営業が可能になるということです。
 また身体接触を含まないバドミントンなどの競技やモータースポーツはこの7月15日より試合実施が許可される一方、身体接触を含むサッカーやラグビーなどの競技の試合実施については、1ヶ月遅れて8月15日から可能になるということです。
 なお身体接触を含む競技か否かにかかわらず、どの競技も観客を入れた上での試合開催については許可されていません。
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 8月15日からの試合実施許可が出たことで、Mリーグの再開時期も当初予定されていた9月1日から前倒しになりそうです。当初はMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは9月中の4週間に各クラブが毎週2試合を実施してリーグ戦の残り8試合を消化する過密日程を発表していましたが、8月中旬のリーグ再開が可能となれば、日程に余裕が生まれ、各クラブも歓迎することでしょう。

カリド選手のゴールデンブーツに125万円の値がつく
 ペラFA(現ペラTBG)や代表でプレーしたストライカーのカリド・ジャムルスがMリーグ得点王を記念するゴールデンブーツやメダル、ユニフォームなどをオークションにかけたことはマレーシアのサッカーファンに様々な反応を引き起こしましたが、英字紙ニューストレイトタイムズによれば、そのゴールデンブーツに5万リンギ(およそ125万円)の値がつけられたということです。
 2002年のペラFA時代に22ゴールを挙げて獲得した記念の品に対して、サバ州からのオークション参加者によってつけられた5万リンギという値段は、カリド選手が最低落札価格として設定した1万500リンギ(およそ26万2000円)を大きく上回っています。
 カリド選手はゴールデンブーツの状態はとても良いわけではないが、他のクラブの外国籍フォワードと競った結果の品には尊重されるべき価値があるだろうと話しています。
 2児の父ながら過去3年間は無職というカリド選手は、同情は不要だが、今後は人生で意味のある仕事につきたいと話す一方で、支援を申し出たペラ州政府がこの5万リンギより高い値をつけるかどうかを1週間ほど待つと話しています。
 またカリド選手の苦境を知った青年スポーツ省のワン・アーマド・ファイサル・ワン・アーマド・カマル大臣代行とも面会したカリド選手は「自分は貴重な経験を持っているので、これを分かち合いたいと持っているが、コーチの職を与えられなければそれも無理で、(パハンFA監督の)ドラー・サレーや(マラッカ・ユナイテッド監督の)ザイナル・アビディン・ハサンのように選手から指導者へと転身することもできない。自分のような元選手は、そういった機会がなければ消え去るのみである。」と話しています。
 B級コーチライセンスを持っているというカリド選手は、ファイサル大臣代行との面会の内容は明かしていないということですが、ファイサル大臣代行はカリド選手はサッカー界の財産であるとして、青年スポーツ省として支援したいと話しています。
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 かつての名選手ということで同情する声も少ないくないですが、無職だった過去3年間に、Mリーグ1部や2部では無理でも、下部リーグやアマチュアリーグで指導経験を積むくらいの時間も余裕もあったと思うのですが、それもせずに泣きを入れる辺りは今後の指導者としての資質に疑問符がつきそうな気もします。

スランゴールFC監督はカリド選手に同情も引退後の準備不足も指摘
 Mリーグ1部スタンゴールFCの監督でもあるマレーシアサッカーコーチ協会MFCAのサティアナタン・バスカラン会長は、Mリーグ1部と2部を併せて24クラブしかない現状は、マレーシア人指導者にとってプロコーチの職に就くには厳しい環境であると述べています。
 現在のMリーグではある程度の実績を持つ指導者しか監督、コーチになることは難しいとした上で、いったんコーチとしての仕事を失えば、また実績を積むまでは次のクラブを見つけることは難しいと話しています。
 (マンCの)ペップ・グアルディオラや(リバプールFCの)ユルゲン・クロップなら、こちらがクラブを探さずともクラブの方から自分を見つけてくれるが、過去の名選手という程度で指導者としての実績がなければ、他のマレーシア人指導者や外国籍指導者との勝負に勝つ必要があると話しています。
 「マレーシア国内にはA級あるいはB級コーチライセンスを持つ指導者が何千人といる。元代表選手というだけでコーチの職に着けると考えているのであれば、アドバンストA級のコーチライセンスを持ちながら仕事がない元代表選手の名を何名でも挙げることができる。」と述べるサティアナタン会長は、上記のカリド選手の苦境について、自分がケランタンFA監督時代の選手であったこともあり、記念の品を手放さなければならないのは残念だと話しています。
 しかし誰もがコーチになれるわけではないという現実を認識するべきだとも話すサティアナタン会長は、選手の多くが現役引退後の生活についての計画がないことが問題だと指摘しています。その上で、マレーシア国軍が除隊後の生活のための教育プログラムを用意していることを指摘し、サッカー選手にも同様のプログラムを導入するべきかもしれないと述べています。

7月10日のニュース:ACLの日程発表-JDTの初戦は10月17日の広州恒大淘宝戦、ケランタン州協会は来季のクラブのMリーグ残留に楽観的、今度は元スランゴールFCのGKが優勝メダルをオークションに

ACLの日程発表-JDTの初戦は10月17日の広州恒大淘宝戦
 アジアサッカー連盟AFCの公式サイトでは、10月から再開予定のAFCチャンピオンズリーグACLAFCカップの新たな日程が発表になっています。
 ACLのグループGに入るMリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTの再開初戦は10月17日の広州恒大淘宝戦となっています。またその6日後の10月23日には水原三星戦、さらに10月29日にはヴィッセル神戸戦、そしてグループスタージ最終戦となる広州恒大淘宝戦は11月1日に予定されています。
 なお試合会場については、これまでのホームアンドアウェイ開催から一か所集中開催となることが発表になっていますが、具体的な場所はまだ発表されていません。
 またグループステージ終了後のノックアウトステージも、今季は12月5日に予定されている決勝戦までの全ての対戦がホームアンドアウェイ形式から一発勝負の形式となることも併せて発表されています。
 今季のACLでJDTは初戦のヴィッセル神戸戦(アウェイ)に1−5と大敗したものの、次戦の水原三星戦(ホーム)では2-1と快勝しましたが、その後、ACLは新型コロナウィルスの影響で中断されていました。
 この他、AFC主催の各大会の日程も以下の通り発表になっています。
AFC U19選手権:10月14日から31日までウズベキスタンで開催。
AFC U16選手権:11月25日から12月12日までバーレーンで開催。
AFC フットサル選手権:11月4日から15日までトルクメニスタンで開催。
AFC フットサルクラブ選手権:12月2日から13日までアラブ首長国連邦で開催。

ケランタン州協会は来季のクラブのMリーグ残留に楽観的
 Mリーグ2部ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、複数の給料未払い問題を抱えるものの、来季もMリーグに残留できると楽観的な予測を持っていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 マレーシアサッカー協会FAMは、KAFAは要求に応じる形で未払い給料問題解決の期限を6月30日から8月31日まで延長していますが、KAFAのフシン・デラマン事務局長はこの2ヶ月間の間に未払い給料の支払いを分割で行うとしています。
 その一方で、KAFAのスポンサー委員会のアーマド・ムザッキル・ハミド委員長は青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣を表敬訪問し、未払い給料問題解決のため青年スポーツ省によるKAFAへの支援を依頼したとされています。
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 同じ記事の中では、ケランタンFAの練習再開が8月1日となることも明らかにされており、その理由として監督がリーグ開幕までの練習期間は1ヶ月で十分だとしたことが理由にされています。
 Mリーグの各クラブが次々と練習を再開する中、7月も自宅練習を選手に求める姿勢を見ると、ケランタンFAは練習再開に必要とされる標準作業手順SOPに必要とされる余分な費用など負担を避けることが目的ではないかと勘ぐってしまいます。

今度は元スランゴールFCのGKが優勝メダルをオークションに
 MリーグのペラFAや代表で活躍したカリド・ジャムルスが、経済的な困窮を理由に自身が獲得したMリーグ得点王のトロフィーであるゴールデンブーツやユニフォームなどをオークションに出した話は先日取り上げましたが、今度はかつてのスランゴールFA、現在のスランゴールFCでプレーしたGKが優勝メダルをやはりオークションにかけています。
 2005年にスランゴールFAでプレーしたジャムサリ・サビアンは、この年獲得したMリーグ2部プレミアリーグの優勝メダル、FAカップの優勝メダル、そしてマレーシアカップの優勝メダルの写真を自身のFacebookに挙げ、購入希望者を募っています。
 2003年に当時の1部リーグだったプレミアリーグ1(現在のスーパーリーグ)で13チーム中12位となり、2部リーグプレミアリーグへ降格となったスランゴールFAは、2005年には2部で優勝しただけなく、2部のクラブとしては初となる国内の二つのカップ戦を制覇していますが、ジャムサリ・サビアン選手はその3つの優勝記念メダルを手放すとしています。
 Facebook上では特に理由は述べられていませんが、これだけのものを手放すというのにはそれなりの理由があるのでしょう。
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 この2005年のスランゴールFAは現在はパハンFAの監督を務めるドラー・サレー監督と、やはり現在はクアラルンプールFAでプレーするシュコル・アダン主将が率い、マレーシアカップ決勝では9万3569人の観衆を記録したブキジャリル国立競技場でプルリスFAを3-0で破り、FAカップ決勝はペラFA(現ペラTBG)をやはりブキジャリル国立競技場で4-2で破っています。いずれの決勝戦もインドネシア代表で活躍し、インドネシアサッカー界のレジェンドであるバンバン・パムンカスが2得点を決めて勝利に貢献しています。
(写真はいずれもジャムサリ・サビアン選手のFacebookより。写真左は2部プレミアリーグ(Liga Premier)、FAカップ(Piala FA)、マレーシアカップ(Piala Malaysia)のメダル。写真右はGKユニのジャムサリ・サビアン選手とスランゴールFAのメンバー)

7月3日のニュース:今度はクランタン州FAの副会長が辞任、青年スポーツ相-身体接触を含む競技の再開は時間の問題、AFC選手権出場のU19代表候補合宿参加者35名が発表

今度はクランタン州FAの副会長が辞任
 わずか数日前に、現職の会長と会長補佐が「休職」となったケランタン州サッカー協会KAFAで、今度は副会長が辞任したことを、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 ワン・アブドル・ラヒム・ワン・アブドラ会長とアファンディ・ハムザ会長補佐の休職を発表したKAFAですが、後を追うようにモハマド・ロウィ・ドラー副会長が辞表を提出して退職しています。モハマド・ロウィ副会長は2019年に現職に就任し、副会長の任期は2023年まとなっていました。
 「自分はビジネスマンであり時間的な制約もあることから、KAFAの仕事に全力で取り組むことが難しくなっている。副会長としてKAFAのスポンサー獲得にも知って牌していることから辞職を申し出た。」と話すモハマド・ロウィ副会長からの辞職願について、KAFA事務局は受け取ったことを認めているということです。
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 このブログで何度も取り上げているように給料未払い問題の解決も見えない中、会長、会長補佐に続いて副会長までいなくなってしまったケランタン州FAの迷走はまだしばらくは続きそうです。

青年スポーツ相-身体接触を含む競技の再開は時間の問題
 国内のスポーツを監督する青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣は、国家安全保障委員会と保健省による正式発表は来週行われるとした上で、サッカーやセパタクローなどの競技再開が近いと語っていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 身体接触を含む練習再開については、7月9日に行われる閣議で議論されることは、昨日のこのブログでも取り上げましたが、これについてリーザル青年スポーツ相は、このようなスポーツを再開することで、国民に対してこれまでの日常に戻っていることが実感できるものとされることから、閣議では前向きに検討される可能性が高いと述べています。

AFC選手権出場のU19代表候補合宿参加者35名が発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上でアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場するマレーシアU19代表候補合宿参加選手35名を発表しています。
 代表候補合宿は7月6日から26日までスランゴール州プタリンジャヤPJのFAM施設で行われます。
 昨年2019年11月にカンボジアで開催された予選の最終戦では、優勝候補だった同組のタイに1ー0で勝利し本戦出場資格を獲得していますが、その時のU18代表からは14名が残っています。
 この他、今回の招集メンバーで注目を集めるのは、マレーシア人の両親を持つアメリカ出身のワン・アーマド・クズリ・ワン・アーマド・カマルと、FAMとマレーシア青年スポーツ省が共同で運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDPのチームで主将経験があり現在はタイのプーケットにあるブリティッシュインターナショナルスクールプケットBISPクルゼイロサッカーアカデミー所属のムハマド・アダム・ナズミ・ザムリです。クズリ選手は、兄のワン・クザイン・ワン・カマルが昨年末の東南アジア競技大会シーゲームズ出場のU23代表候補合宿に参加しています。
 また今回招集された35人以外には、U19選手権予選突破に貢献した主力選手のルクマン・ハキム・シャムスディン(KVコルトレイク-ベルギー)、ムカイリ・アジュマル・マハディ、ハリス・ハイカル・アダム・アフカル(いずれもスランゴール2)ら7人は、次の代表候補合宿からの参加が予想されています。
 10月14日から30日までウズベキスタンで開催されるAFC U19選手権では、マレーシアはグループDに回り、カタール、タジキスタン、イエメンと同組になっています。

7月2日のニュース:身体接触を含む練習許可などスポーツ関連閣議をマレーシア政府が来週開催、給料未払い問題の解決期限を過ぎたクラブの状況、アジアカップ2027年大会に5カ国が開催国に立候補

身体接触を含む練習許可などスポーツ関連閣議をマレーシア政府が来週開催
 マレー語紙ブリタハリアンによると、3月半ばから中断中のMリーグはリーグ再開に向けて着実に近づいているようです。
 国内のスポーツを統括する青年スポーツ省は7月9日に開かれるマレーシア政府内の活動制限令関連閣議の席上でMリーグ各クラブの身体接触を含む練習の許可申請が話し合われるということです。
 このことを明らかにしたリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン青年スポーツ相は、申請についてはあくまでも議題に上がることが決まっているだけで、国家安全保障委員会と保健省による承認が必要であるとする一方で、身体接触を含む練習許可申請が認められれば、サッカーだけでなく、他のスポーツにとっても試合や大会などの開催実現に近づくことになると話しています。
 現在、マレーシア国内では、身体接触を含まないバドミントンや陸上競技などの練習は許可されている一方で、サッカーやラクビー、ホッケーなど身体接触を含むスポーツや格闘技系競技については、身体接触を含まない練習のみが許可されています。

給料未払い問題の解決期限を過ぎたクラブの状況
 6月30日はマレーシアサッカー協会FAMが給料未払い問題を抱えるクラブに対して問題解決の期限としていた日でした。ここでいう問題解決とは、未払い給料を完済する以外に、一括で未払い給料の支払いができない場合にはその方法や支払い期限などについて該当する選手や監督、コーチとの間で合意を得ることも含まれています。
 ブリタハリアンは、かつてはケランタンFAの主将で現在はMリーグ2部ケランタン・ユナイテッドFCでプレーするピヤことモハマド・バダリ・ラジにインタビューを行なっています。このバダリ選手はケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAから支払われるべき未払い給料が25万リンギ(およそ626万円)以上あることを公言していますが、ブリタハリアンとのインタビューでは、「KAFAからは今年3月以降全く支払いを受け取っていない。KAFAが自分を含めたかつての選手たちに未払い給料を支払わないことにより、ケランタンFAが勝点剥奪などの処分を受けるのは残念だが、KAFAはFAMとの取り決めを守れなかった結果なので受け入れるしかないだろう。」と話しています。
 勝点剥奪など最終的な判断はFAMのクラブライセンス交付第一審期間FIBによって決定されますが、FIBの監視リストにはKAFAの他、いずれも同様の理由から既に勝点3を剥奪されているPDRM FCを運営するマレーシア王立警察サッカー協会PDRM FAとマラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAも含まれています。PDRM FAについては、未払い給料は既に完済済みとされていますが、MUSAについては特に報道もなく、もし、FIBによる処分が下される場合には今季2度目の勝点剥奪となり、勝点6が剥奪される可能性もあります。

アジアカップ2027年大会に5カ国が開催国に立候補
 アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2027年大会の開催地の立候補締め切り日は6月30日でしたが、この期限までにインド、イラン、カタール、サウジアラビア、ウズベキスタンの5カ国が名乗りをあげていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 AFCのシャイク・サルマン・エブラヒム・アル・カリファ会長は、「アジアのトップチームを決める大会に開催地として立候補している5カ国を歓迎する。アラブ首長国連邦UAEで開催した2019年大会では大会出場国数を16から24に拡大し、大成功を収めた。中国で開催予定の2023年大会も我々の期待を超えるものになるだろう。」と述べています。
 1956年に第1回大会が開催されたAFC選手権ですが、今回立候補した5カ国の内、現在のタイトルホルダーであるカタールは1988年と2011年に、またイランは1968年と1976年に主催地としてAFC選手権を開催しています。

6月29日のニュース:スランゴールFC監督は数週間以内に接触プレーを含む練習許可が出ることを期待、FAMはサラリーキャップ制度導入に否定的、ケランタン州FAは会長と会長補佐の「休職」を発表

スランゴールFC監督は数週間以内に接触プレーを含む練習許可が出ることを期待
 現在中断中のMリーグが再開される際は無観客試合となることはリーグ主催者のマレーシアフットボールリーグMFLによって発表されていますが、先日、人数制限をした上で、観客を入れることを提案したスランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、身体接触を禁じることを条件に6月15日から許可されているMリーグ各クラブの第一段階練習について、数週間後には身体接触が可能となる第二段階練習へ移れるのではないかという期待を述べていルト、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 「ここ数日間で標準作業手順SOPを守り、身体接触を含まない練習を行うことが可能であることが実証できた。このまま全てのMリーグクラブがSOPを守って練習を続ければ、2、3週間後には身体接触を含む練習も可能になるのではないかと期待している。そうすれば、現在の持久力アップのための練習から実践的な練習が可能になる。」とサティアナタン監督は話しています。

FAMはサラリーキャップ制度導入に否定的
 マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・モハマド・アミン会長は、各方面から提案されているサラリーキャップ制度の導入について、否定的であるという見解を明らかにしています。
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、このサラリーキャップ制度の導入についてはこれまでもFAM内で議論されていたということですが、Mリーグがプロリーグであるという見地からその導入には否定的だということです。
 Mリーグクラブを運営する各州FAなどの運営組織が組織内で規定することには反対しないと述べるハミディン会長は、各クラブが予算の範囲内で選手に給料を支払い、クラブを運営することが重要であると述べ、それができないクラブは経営困難に陥ると述べています。
 「MFLは既に経済コントロールプログラムECPを今季から導入しており、来季にはこのECPが完全実施される予定である。Mリーグ各クラブはこのECPを理解し、従う必要がある。」とハミディン会長は述べています。
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 このブログでも繰り返し取り上げていますが、Mリーグでは複数のクラブが給料未払い問題を抱え、それも今季以前から続いているものもあります。またMリーグでは2部や3部のクラブが給料未払いでリーグから除名処分を受けたり、自ら解散を選ぶなどして、結局、選手は1円も受け取れないという事態も過去には起こっています。
 今季の開幕は例年より数週間遅れたのですが、その理由は今季から導入されるECPを各クラブに周知するためであると発表されていましたが、今季の給料未払い問題を見る限りでは、その効果は来季に完全実施となっても、今季開幕後に給料未払い問題が次々と発覚して露呈したMFLの審査能力の低さからあまり期待できそうもありません。
 サラリーキャップ制度は、資金力に余裕のあるジョホール・ダルル・タジムJDTは絶対に反対するでしょうが、解決策がない給料未払い問題解消のために、数年程度に限定してサラリーキャップ制度をMリーグに導入するのは個人的にはアリだと思います。

ケランタン州FAは会長と会長補佐の「休職」を発表
 給料未払い問題で揺れるケランタン州サッカー協会KAFAは、アブドル・ラヒム・ワン・アブドラ会長とアファンディ・ハムザ会長補佐の「休職」とシャアリ・マット・フシンKAFA上級職員の暫定会長代行就任を発表しています。
 ブリタハリアンによると、シャアリ会長代行の任期は決まっていないということですが、未払い給料を含めたKAFAの負債総額690万リンギ(およそ1億7200万円)のうち、既に240万リンギ(およそ5990万円)はシャアリ会長代行率いる新執行部が資金調達済みということです。
 国家安全保障委員会からKAFAが運営するケランタンFAに練習再開許が出流のを待っているというシャアリ会長代行は、2006年からKAFAの職員を務めている経験を生かして、リーグ再開に向けてチームを政権に望みたいと話しているということです。
*7/2にアファンディ・ハムザ氏の肩書きを「副会長」から「会長補佐」に訂正しました。

6月18日のニュース:マラッカ州FA会長が給料未払い問題の解決を約束、MFLは練習再開の第一段階でのSOP遵守を改めて要請、ケランタン州出身のアヌアル大臣はケランタン州FAの現状を悲しむ

マラッカ州FA会長が給料未払い問題の解決を約束
 Mリーグ1部マラッカ・ユナイテッドFCを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAのスライマン・モハマド・アリ会長は、Mリーグ再開に向けてのクラブ運営に十分な資本注入を行うことを表明し、選手に対してクラブに残ることを求めていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 マラッカ州首相でもあるスライマン会長は、MUSA本部で選手やクラブ役員と面会した席上で、MUSAが直面している休養未払い問題について、近いうちに解決できるとも話しています。
 またMUSAは、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLが義務付けている綿棒検査をマラッカ・ユナイテッドFCの選手、監督およびコーチが既に受けていることも発表し、国家安全保障委員会による標準作業手順SOPに従って、6月22日からのチーム練習開始を予定しているとしています。

MFLは練習再開の第一段階でのSOP遵守を改めて要請
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、今週からMリーグの各クラブに許可されたチーム練習の第一段階において標準作業手順SOPを遵守できるかどうかが、身体接触を含むプレーが可能となる練習の第二段階再開の要件になると話しています。
 ブルナマによれば、アブドル・ガニCEOは「第一段階は各クラブがSOPを守った上で練習を行うかどうかのいわばテストであり、もしこのテストにパスすることができれば、練習の第二段階に進むことができる。最も重要なことは、マレーシア政府に対してMFLの指導のもとでSOPに従って問題なく練習を行うことができることを示すことで、それを示すことができれば、MFLは練習の第二段階の許可を申請することができる。」と話しているということです。
 またMFLは6月17日の時点で、Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDT、スランゴールFC、UITM FC、Mリーグ2部のヌグリスンビランFA、スランゴール2に対して練習再開を許可しているということです。

ケランタン州出身のアヌアル大臣はケランタン州FAの現状を悲しむ
 連邦直轄地担当大臣はクアラルンプールやプトラジャヤなどマレーシア連邦が直轄する地域を担当する大臣ですが、現職のアヌアル・ムサ連邦直轄地担当大臣は、自身の出身地でもあるケランタン州に本拠地を持つケランタンFAの窮状をを悲しんでいると、マレー語紙ハリアンメトロ電子版が伝えています。
 昨日は連邦直轄地担当大臣としてプトラジャヤに建設予定の総合スポーツ施設にパハン州スルタンであった故スルタン・アーマド・シャー殿下の名を捧げるべきだと話しているという記事をこのブログでも取り上げましたが、このアヌアル・ムサ大臣はケランタン州サッカー協会KAFAの会長を2008年から2016年まで勤めており、現在もKAFAを支援しているということです。
 「連邦直轄地担当大臣としては(連邦直轄地である)クアラルンプールサッカー協会のことを気にかけるべきなのだろうが、ケランタン州出身者としてKAFAの窮状を見て見ぬふりをすることはできない。今年は何もしていないが、昨年と一昨年は(KAFAが支払うべき)選手の従業員積立基金(公的退職金積立)の支払いを肩代わりした。」と話すアヌアル・ムサ大臣ですが、KAFA会長在職中は2012年の国内三冠を含めてリーグ優勝2回、FAカップ優勝2回、マレーシアカップ優勝2回などケランタンFAの黄金期を作り上げた立役者でもあります。
 しかし現在のKAFAは、かつて在籍した複数の外国籍選手への90万リンギ(およそ2250万円)を超える給料未払い問題の解決の目処がついていません。
 この現状について、アヌアル・ムサ大臣はサラリーキャップ制度の導入も検討するべきではないかとしており、持続可能なリーグ運営の一つの選択肢となりうるものだと述べています。

6月17日のニュース:130億円超のサッカー都市プロジェクトは前FAM会長に捧げる、トレンガヌFCとトレンガヌFCは綿棒検査終了、スランゴールFC監督は来月予定の代表候補合宿への選手派遣に難色

130億円超のサッカー都市プロジェクトは前FAM会長に捧げる
 マレーシア政府がプトラジャヤに建設を計画している予算5億リンギ(およそ130億円)を超えるスポーツ施設について、アヌアル・ムサ連邦直轄地担当大臣は、この施設を元FAM会長の故スルタン・アーマド・シャー殿下に捧げたいと話していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 1984年から2014年までFAMの会長を務めたスルタン・アーマド殿下は、1994年から2002年までAFCの会長を、2011年から2019年まではAFFの会長も務めており、2000年には、クアラルンプールのブキジャリルにAFC本部となるAFCハウスを建設する際にも尽力しています。
 アヌアル連邦直轄地担当相は、かつて自身がFAM副会長を務めた時代に会長であったスルタン・アーマド殿下がFAM、ASEANサッカー連盟AFF、そしてアジアサッカー連盟AFCの本部をプトラジャヤに移すことを発案し、そのための土地の提供を申し出ことを明かした上で、「スルタン・アーマド殿下による貢献を考えると、新たなスポーツ施設は『スルタン・アーマド・シャーサッカー都市』あるいは『スルタン・アーマド・シャーサッカーおよびスポーツ都市』とするのが至極当然である。」と話しています。
 またアヌアル大臣は近々、スルタン・アーマド殿下の子息でもある現在のマレーシア国王のスルタン・アブドラ国王に謁見し、この施設にスルタン・アーマド殿下の名を使う許可を求める予定であると話しています。
 この日、アヌアル大臣はプトラジャヤ開発公社とハミディン・モハマド・アミンFAM会長、ウィンザー・ジョン・ポールAFC事務局長との間での行われた覚書交換式典に参加しています。
 プトラジャヤサッカー都市計画は、連邦直轄地プトラジャヤの42.43エーカー(東京ドームのおよそ3.6倍)の土地にAFCが管理する10000人収容規模のスタジアムとFAM、AFC、AFFの本部、そしてマレーシア代表チーム専用の練習施設が建設される巨大プロジェクトで、AFCはおよそ1億米ドルの建設費用を負担し、マレーシア代表の練習施設はマレーシア政府が負担します。この他、プトラジャヤをスポーツに優しい街とするために、この施設の周辺にも地域住民のためのサッカー場が4面建設されるということです。

トレンガヌFCとトレンガヌFCは綿棒検査終了
 Mリーグ1部のトレンガヌFCと、トレンガヌFCのBチームで鈴木ブルーノ選手が在籍するMリーグ2部のトレンガヌFC IIは、これまで禁止されていたチーム練習を再開する条件となる綿棒検査を終了したと、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 ホームとなるスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで行われた綿棒検査は両チームの選手の他、監督、コーチおよび関係者を対象に行われましたが、まだ自国にいるシンガポール出身のファリス・ラムリはマレーシア政府移民局によるシンガポールからの入国許可が出るのを待っているため、検査は受けていないということです。
 この後、査結果をMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLに提出し、MFLから練習再開の許可が出れば、ナフジ・ザイン監督率いるトレンガヌFCとロシャディ・ワハブ監督率いるトレンガヌFC IIは晴れて練習再開となります。
 トレンガヌFCのアーマド・シャリザル・ヤハヤ チームマネージャーによれば、検査結果が出るまでには2日ほどかかり、その結果をMFLに送ることから、実際の練習再開までには数日かかるとしています。
 練習再開許可が出た場合は、クラブとして国家安全委員会、マレーシア政府保健省、MFLによる標準作業手順SOPに沿った練習を行うとしています。

Football: Selangor prefer own Super League training

スランゴールFC監督は来月予定の代表候補合宿への選手派遣に難色
 Mリーグ1部スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、来月予定されている代表候補合宿へ選手を派遣するよりも自チームで練習することを望んでいると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版に語っています。
 先日、タン・チェンホー監督は10月から再開となるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に向けて、来月7月に短期の代表候補合宿を検討していると話しましたが、これに対してMリーグのクラブの中には難色を示しているとされていました。
 9月に再開予定のMリーグに備えて、今週から来週にかけて各クラブは約3ヶ月ぶりとなるチーム練習を始める予定ですが、多くのクラブが所属選手を試合ができるレベルの状況まで仕上げることを優先したいとしています。また、FIFAの国際マッチデー期間外に行われる7月の代表候補合宿には招集に応じる義務も発生しないことも、各クラブが難色を示している理由の一つとされています。
 スランゴールFCのサティアナタン監督は、スランゴールFCの選手2度のようなトレー人が必要かは自分が一番理解しているとして、代表候補合宿に派遣するよりは自チームで練習を続けることが選手にとっても最善であると話しています。
 自身も元代表監督の経験もあるサティアナタン監督は、5日間ほどの代表候補合宿での練習が身体接触を避けるもののであれば、体力トレーニングが中心となり、それならばわざわざ代表の練習に参加しなくとも、スランゴールFCでの練習で十分であると話しています。
 しかしその一方で、代表候補合宿での練習が身体接触を含んだり、クラブレベルでは現在も禁じられている練習試合などが行われるのであれば、喜んで選手を参加させたいとしており、来月7月に合宿を行うのであれば、各クラブの声も聞くべきではないかとも話しています。
 なお、新型コロナウィルス感染に伴う臨時措置として、FIFAは代表に招集された選手が招集を拒否して、自クラブで練習することも認めています。
 また同じMリーグ1部ペラTBGのメフメト・ドゥラコビッチ監督は、自チームの選手が7月の代表候補合宿に招集されることがあれば、喜んで参加させたいと話しています。
 「我々が選手を育てているのは代表チームのためであり、自分のチームの選手が代表に招集されるのは喜ばしいことである。代表のタン監督がペラTBGの選手が欲しいと言えば、全面的に協力したい。」と話しています。