5月4日のニュース:今季終了後の降格と昇格と3部リーグ再開の詳細については6月に決定、給料削減指針は給料未払い問題を抱えていないクラブにのみ適応されることをFAMが強調

今季終了後の降格と昇格と3部リーグ再開の詳細については6月に決定
 Mリーグ1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグとも12クラブの1回戦総当たりの11試合という変則日程で今季を行う案を発表したマレーシアフットボールリーグMFLは、シーズン終了後の昇格と降格についての詳細を6月に発表するとしています。なお第4節開催後に中断となっているMリーグは9月1日及び2日再開、9月26日および27日終了とする日程案をMFLは発表しています。
 英字紙スター電子版によると、MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、現時点では降格と昇格については何も決定していないと話す一方で、降格と昇格はプロリーグに欠かせないものであり、この仕組みをなくすことによって各クラブ間の競争力が低下することは避けたいとも話し、6月に予定しているMFLの取締役会議で今季の降格と昇格に関する詳細を決定するとしています。
 また9月再開予定のMリーグは、マレーシア政府が求める標準進行手順SOPにより全て無観客試合として行われることになっていますが、入場を制限できる設備のある1部や2部のスタジアムと異なり、観客が集まることが避けられないフィールドも試合会場となるMリーグ3部のM3リーグについては、マレーシア政府のSOPに沿った運営ができない場合には、再開せずにこのまま今季は中止となる可能性があるとも話しています。
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 Mリーグは中断となる前の第4節終了時点で、1部スーパーリーグは、いずれも給料未払い問題により勝点3の剥奪(はくだつ)処分を受けたPDRM FCが12位(勝点-2)、マラッカ・ユナイテッドが11位(同3)、一方2部プレミアリーグは1位からトレンガヌFC II(勝点12)、ケランタン・ユナイテッドFC(同9)、ペナンFA(同8)、クアラルンプールFA(同8)となっています。なお、スーパーリーグ所属のトレンガヌFCのBチームであるトレンガヌFC IIには昇格資格はありません。

給料削減指針は給料未払い問題を抱えていないクラブにのみ適応されることをFAMが強調
 マレーシアサッカー協会FAMは、国内リーグの各クラブの内、選手およびスタッフと給料削減について未だ合意のできていないクラブを対象とした指針を発表していますが、この指針について、未払い給料問題を抱えるクラブを救済する手段ではないことを強調していると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガムは、現時点ではどのMリーグクラブからも3月分の給料未払いが発生しているという報告は受けていないとする一方で、FAMは給料未払い問題を抱えるクラブには発表した指針に沿った給料削減を認めないとしています。
 「FAMの『地位及び法務委員会』への給料未払い問題の報告は上がってきていないが、それがそのまま給料未払い問題が発生していないという意味ではない。新型コロナウィル感染による国内の経済状況悪化によって給料の遅配が起こっている可能性がある。」「その場合、二つの状況が考えられる。一つ目は3月分の未払い給料が発生してはいるが、選手及びスタッフとクラブとの間で、支払い方法や支払い時期についての合意がされている場合で、この場合はFAMの指針を適用して4月以降の給料削減を行なって良い。」「しかし3月の給料が未払いながら、その支払い方法などで選手及びスタッフとクラブが合意していないにも関わらず、4月以降の給料削減を行いたいとするクラブに対しては、FAMは指針に沿った給料削減は認めないだけでなく、そう言った行為を行うクラブに対しては、選手の権利を守るために処罰を行う。」とラマリンガム事務局長は話しています。
 またリーグ再開案として出されている9月の再開に関しては、いつからチーム練習が可能になるのか、またどこで練習や試合を行うのかについては、アジアサッカー連盟AFCからの助言や他国のリーグの状況を見ながらFAMが指針を作成するとしています。

5月2日のニュース:FAMが給料削減についての指針を発表、活動制限令解除後のM3リーグ再開を希望しないクラブも

 マレーシアサッカー協会FAMは4月22日を期限として選手、監督、コーチと給料削減についての合意を求めていましたが、合意に至らなかったクラブに対して適用されるFAMとしての指針を公式サイト上で発表しています。
 スチュアート・ラマリンガム事務局長名で出された発表の中でFAMは、新型コロナウィルスによるリーグ中断によって各クラブが受ける影響は大きいことは理解しているとする一方で、選手及びスタッフの福利についてもこれを守らなければならいとして、マレーシアのサッカー活動を統括する組織として、今回の指針を発表するに至ったと説明しています。
 さらに4月9日から22日までの交渉期間を第1段階とし、国内リーグを運営するマレーシアフットボールMFLとマレーシアプロサッカー選手会PFAMによる交渉を第2段階、そして第3段階として、今回の指針をMリーグのクラブに適用するとしています。
 以下が発表内容です。
I 今回の指針が適用されるクラブについて
1)4月22日までににクラブと選手及びスタッフと給料削減についての合意に達しているクラブには今回の指針は適用されない。
2)今年2020年3月の時点で未払い給料問題を抱えていたクラブは給料削減を選手に求めることはできない(ただし、クラブと選手及びスタッフとの間で事前合意がある場合は除く)
3)選手及びスタッフに対して今季、給料削減を行わないクラブはこの指針に従う必要はない。
注)例えば既に一律10%の給料削減で選手及びスタッフとの間で合意しているクラブは、今回の指針発表後に給料削減額を変更することはできない。
注2)また例えば既に一律40%の給料削減で選手及びスタッフとの間で合意をしているクラブは、今回の指針発表後に給料削減額を変更することはできない。
いずれも4月9日から22日の間に合意されている場合には、その内容を変更することは認められない。

II 給料削減の限度と期間
1)選手及びスタッフの給料額に基づき、削減は最大30%までとする。
2)削減の割合は給料額によって以下の通りとする。
カテゴリー1:4999リンギ(およそ12万4000円)以下−10%
カテゴリー2:5000リンギから9999リンギまで(およそ24万8000円)−15%
カテゴリー3:10000リンギから14999リンギまで(およそ37万2000円)−20%
カテゴリー4:15000リンギ以上−30%
3)30%を超える削減を行う場合は、クラブと選手およびスタッフ双方の同意が必要とする。
4)給料削減を行う期間は2020年4月より今季2020年シーズンのMリーグが再開された月までとする。例えばMリーグが8月に再開になった場合、給料削減は8月まで行えるものとする。
5)カテゴリー4の選手については、4月の削減は25%とし、5月から30%とする。

III その他
1)指針で示された給料削減の割合については、FAMはクラブの経営状況など必要に応じて変更する場合がある。
2)今季2020年シーズンの開催時期が延長される場合には、それに伴って選手及びスタッフとの契約も速やかに延長されるものとする。
 この他、今回の指針発表にあたり、FAMは法務部門、クラブライセンス部門、競技部門、スポーツ科学部門の職員からなるプロジェクトチームを作って、各クラブ、選手及びスタッフに対応するとしており、この発表の最後では、クラブ経営陣、選手、スタッフ及びサポーターが、これらの指針の受け入れを望んでいるとしています。

活動制限令解除後のM3リーグ再開を希望しないクラブも
 マレーシア全土に発令中の活動制限令は5月4日より、飲食店での食事が可能になるなど緩和されることが昨日5月1日に発表されました。しかし3月18日から続く活動制限令下では多くの経済活動が制限され、その影響から上の記事でも取り上げた各クラブが選手及びスタッフの給料を削減せざるを得ない状況となっています。
 この状況はMリーグ1部スーパーリーグや2部プレミアリーグのクラブはもとより、3部M3リーグでも同様で、特に小規模のクラブには大きな影響を及ぼしていると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 同紙が取り上げているのは、今季から高山龍選手も所属するM3リーグのランカウィシティFCですが、クラブのマネージャーを務めるモハマド・ノー・モハマド・アミンは、現在の状況はクラブにとって厳しいものになっていると述べています。
 「新型コロナウィルス感染は予期できないものではあるが、M3リーグのクラブは大半が小規模クラブであり経営危機に直面していることから、選手及びスタッフの給料支払いに悪影響が出ている」と話すモハマド・ノー氏は、「多くのM3クラブは企業スポンサーに依存しているが、その企業の多くが活動制限例により経営難に陥っている。」とも述べ、活動制限令が解除となった場合でも、今季のM3リーグは中止とするべきだと話しています。
 この他、FAMと国内リーグMリーグを統括するマレーシアフットボールMFLが提案している9月のMリーグ再開については、政府がこれを認めたとしても、ランカウィシティFCのような小規模クラブは綿密な運営計画が必要になるとし、事前に再開に向けた準備をせざるを得ないとしています。
 モハマド・ノー氏はFAMとMFLが6月に発表するとしているM3リーグ再開の可否については、M3リーグに関わる全員にとって最善のものであることを期待していると話しています。

5月1日のニュース(2):Mリーグは変則日程で9月1日再開予定と発表も、政府の認可待ち

 マレーシアの国内リーグMリーグを運営するMFLは公式サイト上で今後の計画を発表しています。7月からの各クラブの練習開始と8月からのリーグ再開というMFLの要請はは却下されたとしており、これにより当初の予定を変更し、新たな案として発表されたのは以下の通りです。くどいようですが、これは決定事項ではなく、あくまでもMFL作成案であり、Mリーグ再開については現在もマレーシア政府の認可待ちであることにご注意下さい。

1)今季2020年シーズンのMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは9月1日と2日より再開し、第5節から第11節までを行い、9月26日と27日を持って終了する。
2)マレーシアカップは10月17日と18日に開幕し、11月7日に決勝戦を行う。またフォーマットは従来のグループステージ形式、準々決勝と準決勝のホームアンドアウェイ形式も採用せず、他全試合をトーナメント形式とする。マレーシアカップの出場クラブはスーパーリーグ上位11クラブとプレミアリーグの上位5クラブとする(プレミアリーグ所属のBチームには出場資格なし)
3)FAカップとチャレンジカップは中止。
4)各クラブは、FAMとMFLがFIFAやAFCによる指針とマレーシア政府保健省、青年スポーツ省、国家安全保障委員会の指示に従って発表する活動方針に従って8月から練習開始。
5)すべての試合は無観客試合として実施。
6)Mリーグが9月に再開する場合、リーグ開催期間中の選手移籍は禁止
7)9月中のMリーグ再開が許可されない場合、今季2020年シーズンは中止。
8)Mリーグ3部のM3リーグの再開については、多くの試合会場施設の都合上、無観客試合の実施が難しいことから6月に決定する。

 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、上記の内容については来月6月に見直しを行うとしており、マレーシア国内の新型コロナウィルス感染拡大の状況によっては、さらに変更も考えられると話しています。
 また上記の日程が実施された場合には、スーパーリーグの優勝クラブが2021年のAFCチャンピオンズリーグへの出場権を、マレーシアカップの優勝クラブとスーパーリーグの準優勝クラブが2021年のAFCカップへの出場権が獲得しますが、万が一、9月にMリーグ再開が果たせず、今季中止となった場合には、2019年のスーパーリーグ優勝クラブジョホール・ダルル・タジムJDTがACLへ、2019年スーパーリーグ準優勝クラブのパハンFAと2019年FAカップ優勝のクダFAがAFCカップへ出場するとしています。

 今回の日程発表では、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選や、やはり中断中でJDTが出場中の2020年ACL、そして11月21日から12月15日にかけて予定されているAFF選手権スズキカップを念頭に置いたものだとしています。

4月29日のニュース:FAMはMリーグ再開が8月中に実現しなければ今季中止の方針、2022年までにMリーグ全クラブを民営化、マラッカUは2月分の遅配給料を支払い開始

FAMはリーグ再開が8月中に実現しなければ今季中止の方針
 マレーシアサッカー協会FAMが現在中断中のMリーグが8月中に再開できない場合には、今季の残り試合を中止することを検討していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 FAMのモハマド・ユソフ・マハディ副会長は、3月18日より中断している国内リーグMリーグについて、10月あるいは11月に再開となった場合には年内に全日程を終了することは不可能だとし、8月中にマレーシア政府よりリーグ戦再開が実現しない場合には全日程を中止せざるを得ないだろうと話しています。
 リーグ再開についてはマレーシア政府による許可を待つしかないと話すユソフ副会長のコメントは、昨日4月28日の定例記者会見でのイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相がMリーグ再開についてのコメントに反応したものです。サブリ上級相は活動制限令が解除となった後でも直ちにMリーグの再開許可は出ないだろうとして、例えば6月中に解除となった場合は、10月からの再開になるだろうとコメントしていました。

Mリーグクラブの民営化
 マレーシアの国内リーグMリーグの大半のクラブは、マレーシア各州サッカー協会(州FA)によって運営されています。このブログでもクラブ名が○○FAとなっているクラブは、その○○州FAがそのクラブを運営していることを表しています。
 国内リーグは元は各州対抗の試合だったという歴史的背景もありますが、州FAがMリーグクラブを運営する最大の利点は、州政府から運営資金が提供されることです。ただし政治家が金だけ出して、口を出さないわけはないので、州FAの会長はサッカーについては全く素人で、他にやるべき仕事を大量に抱える各州の州知事が務めています。
 そういったクラブが大口スポンサーとして州政府を抱えながら給料未払い問題を起こす構造は定かではないですが、1989年のセミプロリーグ化、そして1994年の完全プロリーグ化以降も長年、この運営形態が維持されてきました。
 しかし、新型コロナウィルスの影響によってこれまでの「日常」が大きく変わっている現在、州FAが運営するクラブを民営化する時期に来ているのではないか、という記事をマレー語紙ハリアンメトロ電子版が掲載しています。
 新型コロナウィルス感染拡大の影響で、マレーシア各州政府はその対策に新たな州予算を設けて対応していますが、新たな支出を強いられた州政府が当初予定していた多くの予算をこの新型コロナウィルス対策へと回していることから、スポンサー料として州FAへ回る予定だった予算もそちらへ振り分けられ、その結果とし、Mリーグの多くのクラブが運営資金不足から選手、スタッフの給料削減をせざるを得ない状況になっています。
 マレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンスプロジェクトチームのモハマド・フィルダウス・モハメド委員長によると、現在のMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグに所属する24クラブ中、ジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC(以上スーパーリーグ)、サラワク・ユナイテッド(プレミアリーグ)の3クラブが完全に民営化されたクラブということです。言い換えれば、これらのクラブは選手、スタッフへの給料支払いが州政府の財政状況に左右されずに運営されるクラブであるということです。(筆者注:州FAが運営するクラブ以外でも、フェルダ・ユナイテッドはマレーシア政府の機関である連邦土地開発庁が、UKM FCとUITM FCはそれぞれ国立大学が、PDRM FCはマレーシア警察が運営するクラブで、州政府同様、公的機関が運営するクラブです。)
 フィルダウス委員長は「新型コロナウィルス感染拡大後に表面化したクダFAの給料未払い問題から明らかなように、州政府が優先するのは州民の福利であり、州FAのクラブへの対応はその後になる」、「もしクラブのオーナーがサッカーを愛し、十分な資金を持つ企業や個人であれば、対応方法は異なるだろう」と話し、Mリーグのクラブを運営する各州FAはクラブのオーナーとなる企業や個人を見つけて民営化を進めるべきであると述べています。また「クラブのオーナーは1人や2人である必要はなく、最大8人で構成する運営委員会によるクラブ所有も可能である」とも話しています。
 FAMのクラブライセンスプロジェクトチームは、2021年シーズン開幕までにMリーグの全てのクラブが州FAから独立した民営化クラブとなることを支援する目的で昨年2019年5月に設立され、各州FAのクラブは今年9月を期限としてクラブ名からFAを外しFCして登録することになっていました。なお、フィルダウス委員長は新型コロナウィルスの影響から、この期限を延長する予定であることを明言し、各クラブの完全民営化は2022年までに完了したいとしています。
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 このブログでもスランゴールFC、トレンガヌFC、マラッカ・ユナイテッド、ペラTBGなどFAがつかないクラブ名を使ってきましたが、実情はこれらのクラブも州政府からの予算で運営されているクラブであり、名称にFAがついたクラブと何ら変わりはないということです。

マラッカUは2月分の遅配給料を支払い開始
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、Mリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドは遅配となっていた2月分の給料を昨日4月28日より支払い始めたようです。
 マラッカ州サッカー協会MUSAのモハマド・ユソフ・マハディ副会長(筆者注:最初の記事に出てくるFAM副会長と同一人物です。念のため)は、60万リンギ(およそ1470万円)を超える未払い給料をマレーシア人選手と外国籍選手に支払ったということです。
 3月末に起こったマレーシア国会での政変でマラッカ州知事も、それまでの国会与党出身者から政変後に与党となった政党出身者へと交代した結果(筆者注:マレーシアでは州知事を選ぶ地方選挙はなく、州議員による選挙で選ばれます)、2月分の給料遅配問題が解決したと話すMUSAのユソフ副会長は、こちらも遅配となっている3月分の給料についても近いうちに支払いが始まると話しています。

4月23日のニュース:フェルダU主将がクラブが発表した給料削減内容に反論、国内リーグのクラブの半数が選手との給料削減についてさらに時間が必要、プルリス・ユナイテッド主将はクラブに選手の再契約を求める、給料未払い問題があればリーグへ報告を-アマチュアリーグ会長

フェルダU主将がクラブの発表に反論
 昨日のこのブログでは、マレーシアフットボールリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCの選手およびスタッフが5%から20%の給料削減を受け入れたという記事を取り上げましたが、フェルダ・ユナイテッドの主将は給料削減には同意したものの、金額には同意していないようです。
 昨日の記事を報じた英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、フェルダ・ユナイテッドのジャサズリン・ジャマルディン主将は、活動制限令MCOの発令期間中の選手は給料削減には同意したもののその金額については昨日の発表内容に同意していないということです。
 主将としてチームの総意を伝えたいとするジャサズリン主将は「クラブの置かれた状況は理解しており、給料削減については同意しているが、クラブも選手の状況を理解して欲しい。もともと給料が低い選手が多いので20%の削減は多すぎる。」「1万リンギ(およそ24万5000円)以上の給料をもらっている選手にとっては10%の給料削減は受け入れられるかもしれないが、それ以下の給料の選手にとっては5%程度が受け入れられる限度であり、給料削減は一律で行うべきではない。」と話しています。

国内リーグのクラブの半数が選手との給料削減についてさらに時間が必要
 国内リーグ1部と2部のおよそ半数のクラブが選手との同意にさらに時間が必要だと、英字紙スター電子版が伝えています。
 マレーシアサッカー協会FAMは昨日4月22日までに国内リーグの各クラブと選手およびスタッフとの間で給料削減について合意することを求めていましたが、およそ半数のクラブが未だ合意に達していないということです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、クラブと選手およびスタッフとの給料削減交渉について、1部と2部の全24クラブと連絡を取り合っていることを明かし、およそ半数のクラブは両者が同意し、残りの半数は同意はしているものの詳細が確定していないと話しています。その上で、交渉が完了していないクラブには数日の猶予を与える予定であるとしています。
 なお、クラブと選手およびスタッフの間で給料削減が合意に至らない場合には、FAMが仲裁に入ることになっています。

プルリス・ユナイテッド主将はクラブに選手の再契約を求める
 数日前に国内リーグ3部のM3リーグに所属するプルリス・ユナイテッドが選手に契約解除の書類へのサインを強要しているという噂について取り上げましたが、どうもこの話は噂ではなく事実のようです。
 マレー語紙ブリタハリアンによると、プルリス・ユナイテッドのアジジ・マット・ロズ主将はクラブ経営陣に対して、半分しか支払われていない3月分の給料を全額を支払いと、契約解除の取り消しを求めているということです。
 アジジ主将は3月分の給料を全額支払う条件として、クラブ経営陣が用意した「自発的な」契約解除を認める書類に全選手がサインすることを強制され、選手は給料を受け取るためにその書類にサインせざるを得なかったと明かしています。
 さらにアジジ主将は「自分たちはクラブを愛しているので、再びこのクラブでプレーしたいと考えており、特に若い選手たちにはこのクラブに残ってもらいたい。また給料については1月から3月までの3ヶ月分の給料が半分しか支払われておらず、全額の支払いを望んでいる。選手が望んでいるのはこの給料支払いと再契約である」と話しています。

給料未払い問題があればリーグへ報告を-アマチュアリーグ会長
 国内リーグ3部のM3リーグを統括するマレーシアアマチュアフットボールリーグAFLは、給料未払い問題が発生しているクラブの選手に対して、AFLへ報告するよう求めています。
 AFLのウィラ・モハマド・ユソフ・マハディ会長は、現時点では給料未払い問題について何の報告も受けていないとした上で、セミプロリーグであるM3リーグ所属の各クラブに対し、クラブの状況を報告するように求めていると話しています。
 「給料未払い問題が発生した場合には、選手はAFLあるいはマレーシアフットボールリーグMFLに直接、不服申し立てを行って欲しい。また各クラブにはそういった状況に対してどのような対処をしているのかも報告を求める予定である。」と話すユソフ会長は「どのくらいの数のクラブが問題を抱えており、どのくらいの数の選手が影響を受けているのかを把握する必要がある。」とも話しています。
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 同じブリタハリアン電子版上でプルリス・ユナイテッドの「強制」契約解除の記事と、「問題があればリーグへ連絡をするべき」というリーグトップの発言を取り上げた記事が同居しているのを見ると、リーグは選手の権利を積極的に守る意識があるのか疑問に感じてしまいます。指導的立場にあるリーグには、選手の権利を守るために経営問題を抱えるクラブに対しては、報告を待つだけではなく積極的に介入して欲しいと思います。

4月19日のニュース:国内リーグ再開は6月あるいは7月の可能性、3部リーグで選手の同意なしに契約解除を行ったクラブの噂、マレーシアサッカーコーチ協会は給料削減に同意を表明、 6月の代表強化合宿は実施せず

国内リーグ再開は6月あるいは7月の可能性
 マレーシアフットボールリーグMFLは、リーグ再開について慎重な態度で臨んでいると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 インドネシアは5月29日までのリーグ中断と7月1日のリーグ再開を、タイは9月からのリーグ再開をそれぞれ発表していますが、マレーシアの国内リーグを運営するMFLはリーグ再開の時期について何も発表していません。
 これについてMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、MFLは現在発令中の活動制限令解除後のリーグ再開については、マレーシア政府の保健省からの指針が出るのを待っている状況であると説明しています。さらに現在、中断中のリーグについては6月あるいは7月に再開する計画があるとしながらも、活動制限令が(現時点で予定されている)4月28日に解除されれば、リーグ再開の時期が早まる可能性があるとも話しています。
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 スタジアムアストロの別の記事では、国内リーグの再開は保健省からの指針に基づいて国家安全委員会が決定するとされており、実際のところ、MFL自体にはその時期を決定する権利はないようです。

3部リーグで選手の同意なしに契約解除を行ったクラブの噂
 今季2020年シーズンからマレーシアフットボールリーグMFL3部のM3リーグでプレーするプルリス・ユナイテッドは、マレーシア最北端にあるプルリス州カンガーに本拠地を持つクラブですが、マレー語紙ハリアンメトロ電子版では、クラブが所属選手との契約を強制的に解除し、それを拒否した選手には給料支払いを行わないと脅されているという噂があることを報じています。
 記事によると、プルリス・ユナイテッドは、選手への事前通告を行わずに契約を解除した上、選手に対しては自主的に契約解除に応じたとする書類にサインするように求めているということです。
 新型コロナウィルスの影響でM3リーグは3月15日の第2節終了後に中断していますが、プルリス・ユナイテッドの選手たちは4月分の給料が払われないことは問題にしていないとする一方で、クラブのフロントは契約解除を了承するという書類にサインしない選手には3月分の給料も支払わないとしており、選手たちはサインせざるを得ない状況に追い込まれているということです。
 またプルリス・ユナイテッドのフロントは選手たちがサインした契約解除承認の書類をマレーシアサッカー協会FAMとM3リーグを統括するマレーシアアマチュアフットボールリーグAFLに提出して、選手たちが自主的にクラブを離れたことにしようとしているということです。
 ハリアンメトロの記事は、FAMとAFLに実際の状況を調査し、この噂が事実かどうかを確認するべきとしています。
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 プルリス州サッカー協会PFAは、昨季2019年に運営していたMFL2部のプルリスFAが悪質な給料未払いがあったとして、クラブはMFLから出場停止を受け、未払い給料を完済するまで国内でのあらゆるサッカー活動に関わることが禁止されています。このため、FAMはプルリス州を拠点とする全てのクラブに対して、かつてのPFA関係者をクラブのフロントやスタッフとして雇用しないよう通達を出しています。この記事では、PFAとプルリス・ユナイテッドの関連性については何も書かれていませんが、この記事に書かれたことが事実であれば、ずさんな経営で失職した元PFA関係者の関与も考えられるかも知れません。

マレーシアサッカーコーチ協会は給料削減に同意を表明
 ブリタハリアン電子版では、マレーシアサッカーコーチ協会PJBMが各クラブに対し、給料削減に同意をする一方で、過度な削減への反対と各クラブの監督による同意の上での給料削減実施を求めていると伝えています。
 スランゴールFCの監督でもあるPJBMのサティアナタン・バスカラン会長は、各クラブの監督、コーチは給料削減に応じる用意があるとしながらも、クラブ側と監督、コーチのいずれにとっても納得できる条件のもとで行われるべきと話しています。
 「PJBMはクラブが給料削減についての交渉を行うことに同意するが、削減については給料の額に応じて行うこと、またクラブと監督、コーチとの同意に基づいて行うことを求める」と話すサティアナタンPJBM会長は、給料削減を行った後に給料の遅配が起こらないようにすることも求めています。

6月の代表強化合宿は実施せず
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、6月に予定されていた代表強化合宿が行われない見通しであるとしています。
 今年6月1日から9日までは国際サッカー連盟FIFAが設定するインターナショナルウィンドウ期間でしたが、FIFAは既に6月中の公式戦を全て延期することを発表しているだけでなく、各クラブが6月中の代表チーム招集に応じる必要はないこと、またこの期間中に代表に招集された選手は、クラブを優先して招集を拒否することも許されています。マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は予定されていたマレーシア代表強化合宿は実施しないだろうと話しており、現在中断中の国内リーグが再開となれば、国内リーグ日程として使われる可能性があるとしています。
 ラマリンガム事務局長は、現在、FAMは国内リーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLが再開後の日程について話し合いを続けている一方で、アジアサッカー連盟AFC加盟国も国際試合を行う予定がないとして、新型コロナウィルス感染拡大が鎮静化し、リーグが再開できれば、国内リーグ開催を優先したいと話しています。

4月18日のニュース:AFCは無観客試合でも公式戦開催を予定、リーグ公式サイトはMFL3部でプレーする「フロントライナー」を紹介、M3のランカウィシティFCは「フロントライナー」を支援

AFCは無観客試合でも公式戦開催を予定
 フランスの通信社AFPは、アジアサッカー連盟AFCは新型コロナウィルス感染拡大の収束が見えない中、今年予定されている公式戦開催を諦めていないという関係者の話を伝えています。
 AFCのウィンザー・ジョン事務局長は、現在中断中のAFCチャンピオンズリーグACLとAFCカップについて、全日程を開催するのに十分な時間は残されているとして今年中に決勝戦まで行う予定であると話しています。
 ジョン事務局長はAFPの取材に対して、今季の新たなAFC公式戦の日程は4月末までには発表される予定であると話し、医療専門家の意見次第では今後の試合は無観客試合となる可能性も示唆しています。
 わずか数日前にAFCは5月と6月に予定されていた公式戦の中止と、今後の日程の無期限延期を発表したばかりですが、AFCが負っている「『商取引債務』を果たすため」に公式戦の開催意思を明らかにしています。
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 ジョン事務局長の発言は、スポンサーへの義務を果たし、放映権収入などを失わないためにAFCとしては諦めていないことをアピールしたものだと思います。
 なお例年ならば8月からノックアウトステージが始まるACLですが、今年は各グループともグループステージの数試合を消化した時点で中断中で、今後は通常ではあまり試合が組まれない7月の暑い時期にも日程消化が求められる可能性がある他、各国でも再開が予想される国内リーグとの日程調整なども難航することが考えられます。

リーグ公式サイトはMFL3部でプレーする「フロントライナー」を紹介
 マレーシア国内に現在発令中の活動制限令Movement Control Order、通称MCOにによりシーズンが中断中のマレーシアフットボールリーグMFL。各クラブは試合はもちろん、合同練習すらできない状況が続いています。このような状況でMFL1部に所属するマレーシア王立警察の選手が、新型コロナウィルス感染拡大を防ぐ最前線で勤務する、いわゆる「フロントライナー」としてMCO中も勤務していることを取り上げましたが、MFL3部のM3リーグに所属するマレーシア国軍クラブArmed Forces FC(AF FC)の選手の中にも、やはり「フロントライナー」として活躍している選手がいると、MFLの公式サイトが伝えています。
 現在マレーシア各地では前述の活動制限令MCO徹底のため、警察と国軍による検問が行われていますが、AF FCでDFとしてプレーするシャルジジ・アズミ選手は、この警察による検問の補佐役として勤務しているということです。マレーシア国軍の中でも海軍に所属するシャルジジ選手です。
 35歳のシャルジジ選手は奥さんも看護婦としてスランゴール州の病院に勤務する「フロントライナー」ということでほとんど家にいることがなく、家族で過ごす時間が取れないと話す一方で、お互いが果たすべき仕事については理解していると話しています。
 MFL1部と2部から遅れて開幕したM3リーグは、第2節を終了したところでリーグが中断期間に入り、AF FCは2試合を終えて1勝1敗で、高山龍選手が所属するランカウィシティFCとともに勝点4ながら、得失差で上回りグループAの2位につけています。
(”We stand on duty, so you can stay home.”「仕事は自分たちに任せて、そうでない人は家にいて下さい」というメッサージを持つシャルジジ選手(写真左)-MFL公式サイトより)

M3のランカウィシティFCは「フロントライナー」を支援
 上の記事で触れたM3リーグのランカウィシティFCはマレーシア有数の観光地の一つであるクダ州のランカウィ島を拠点とするクラブですが、このランカウィシティFCが民間防衛軍APMに対して2000リンギ(およそ5万円)の寄付を行ったと、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 日本で言えば「地元の消防団」といった役割を果たす民間防衛軍APMは、現在、マレーシア国内に発令中の活動制限令MCOに関わる警察、軍隊などを支援する活動を各地で行なっていますが、ランカウィシティFCはランカウィ島で「フロントライナー」として活動しているAPMが必要な用具を購入できるようにという目的でこの寄付を行ったことをクラブマネージャーのモハマド・ノー・モハマド・アミン氏が明らかにしています。
 昨季2019年からM3リーグに所属するランカウィシティFCは、M3リーグでは1勝1分0敗でリーグ3位となっている他、今季のFAカップでは2回戦に進出し、MFL1部のマラッカ・ユナイテッドと対戦する予定になっていますが、新型コロナウィルス感染拡大によりFAカップの試合も延期となっており、まだ試合は実現していません。

4月10日のニュース:M4のクラブが財務状況を公開、FAMはクラブと選手がFIFAが発表した指針に従うことを求める

M4のクラブが財務状況を公開
 マレーシアフットボールリーグMFL4部にあたるM4リーグに所属するクルテーFCがクラブの公式Facebookで2019年の財務状況を公開しています。
 マレー半島東海岸にあるトレンガヌ州のクルテーを本拠地にするクルテーFCは、トレンガヌ州アマチュアリーグの2019年チャンピオンで、MFLのアマチュアリーグであるM4リーグに所属し、今季2020年シーズンのFAカップでは1回戦から登場し、MFL3部のM3リーグのノーザンライオンズFC-マーサに惜しくも敗れています。
 クラブの公式Facebookに掲載されたインフォグラフィックでは、収入の内訳はビジネス(収入全体の62%)、スポンサーからの支援(同35%)、投資(同3%)が三本柱で、さらにビジネス収入の内訳は石油とガス(ビジネス収入全体の53%)、サッカースクール(同18%)、広告(同11%)、リーグ(同11%)、グッズ売り上げ(同4%)、ライブストリーミング(同3%)となっています。
 クルテーは石油とガス供給を行う企業としてはマレーシア最大の国営企業ペトロナスのトレンガヌ州での事業拠点であり、クルテーFCの「石油とガス」関連の収入もペトロナス関連の人材供給と機材のレンタルから。また「ライブストリーミング」はトレンガヌ州のアマチュアリーグの試合の中継などから得られる収入としています。
 またクルテーFCの支出の内訳は給料及び手当(支出全体の24%)、石油とガス(同22%)、リーグ(同18%)、メディアおよび販促(同8%)、育成プログラム(6%)、トレーニング器具(4%)、その他(同18%)となっています。
 クルテーFCはトレンガヌ州のアマチュアリーグに初めて参加したのは昨季2019年シーズンからで、アマチュアリーグ参加によりクラブの支出は前年2018年と比較する2019年シーズンは164%増加したそうですが、同時期の収入も232.8%と大幅に増加し、利益率は24.1%だったことも公表しています。
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 公開されている情報では、収支の具体的な金額は公表されていませんが、支出の内、手当と給料が占める割合が24%(MFL1部と2部のプロクラブの平均は80%以上)となっている点や、大型スポンサー1社に頼らず、複数の収入源をもつ点などはMFL1部や2部のプロクラブも見習う必要がありそうです。
(以下のインフォグラフィックはクルテーFCのFacebookより)

FAMはクラブと選手がFIFAが発表した指針に従うことを求める
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、国内リーグの利害関係者全員に対し、国際サッカー連盟FIFAが発表した新型コロナウイルスの感染拡大によって生じうる選手との契約に対処するための指針に従うことを求めています。
 FIFAは4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大によって生じうる、選手との契約や移籍全般に関する問題に対処するためのガイドラインを公式HPで発表し、感染拡大が世界各国のクラブの財政にも大きな影響を与えていることから、選手の給与減額に関しても、中断期間中にクラブと選手が解決策を見つけることを強く推奨しています。
 FIFAの指針が出たことで、FAMは強気になったのか、活動制限令が発令されている期間中に以下のことを求めています。
1)契約内容の見直し:契約内容の見直しが必要な場合、適切な労働協約を締結するためにクラブは選手やコーチ、監督と直接、交渉を行わなければならない。また新たな労働協約は4月22日までに合意されなければならない。
2)国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLと、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、4月22日までに合意できるよう関係者全員が同意できる臨時の給与体系について直ちに協議を行うことを求める。
3)選手とクラブの間で円満に解決することができない場合には、FAMに判断を委ねることができる。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、FIFAの指針は現在の膠着状態を解決する助けになると話し、MFLのクラブに対しては透明性の高い方法で選手やコーチ、監督およびスタッフと交渉を行うことも併せて求めています。
 またラマリンガム事務局長は、FIFAの指針は、クラブと選手は活動制限令中の契約内容を見直すために交渉の席につくべきとした、FAMとMFLが共同で発表した3月26日の提言と一致していると述べています。
 しかしその翌日3月27日には、PFAMがクラブは選手との給料など契約内容を遵守することを求める声明を発表しており、これについてラマリンガム事務局長はPFAMの強硬な姿勢は誰の利益にもならず、円満解決に必要となる貴重な時間を無駄にしていると非難し、今後は関係者全員がFIFAの指針に従うべきとしています。
 また選手やコーチ、監督やスタッフが現行の契約通りの給料を受け取る一方で、クラブが経営不安定となり、その結果として経営破綻を起こし・多くの人間が仕事を失う様なことは避けなければならないと話し、FAMの決定はリーグ、クラブ、選手ら全員の複利を考えてのものであると理解を求めています。
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 FAMの宣言を受け、今後各クラブが選手と積極的に交渉を始める可能性がありますが、本日予定されているマレーシア政府からの発表次第ではあるものの、活動制限令MCOがいるまで延長されるかわからない現状で、FAMが4月22日という期限を設ける理由も不明です。
(下はFAM公式サイトより『FAMは関係者全員がFIFAの提案に従うことを求める」というタイトルがつけられた告知

4月8日のニュース:MFL3部の選手は政府チャーター機で自国民退避をアシスト、マレーシアは27年AFC選手権開催地に立候補の予定なし、UAEが1試合も行わずに監督を解任

MFL3部の選手は政府チャーター機で自国民退避をアシスト
 マレーシアフットボールリーグMFL3部にあたるM3リーグのムラワティFCには宮崎崚平選手が所属していますが、このムラワティFCのアフィフ・ナジミ・ムハマド・イズワンがマレーシア政府が用意したチャーター機を操縦して、マレーシア国民の退避に関わった際の話を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が取り上げています。
 29歳のアフィフ選手は元フットサルのマレーシア代表という経歴を持つサッカー選手であると同時に、マレーシアの航空会社エアアジア社のパイロットでもあり、3月21日にイランのテヘランからマレーシア人46人、シンガポール人8人、インドネシア人1人の合計55人を退避させるための政府チャーター機のパイロットを務めました。
 これまでで最も思い出深いフライトだったと話すアフィフ選手によれば、3人の機長と2人の副機長全員は感染予防のため頭から足の先まで防護服で完全に覆われ、55人の乗客は機内に入る前に一人一人検査された上、機内でも乗務員、医療チーム、乗客はそれぞれ別の区域に搭乗したそうです。
 この55人の中から新型コロナウィルスの陽性患者は出なかったということですが、アフィフ選手は14日間の自宅待機を経て、前ヌグリスンビランFA監督のマット・ザン・マット・アリス監督の元、現在は自宅でトレーニングを再開しているということです。
(写真の左手前がアフィフ選手-写真はスムアナニャボラのFacebookより拝借)

マレーシアは27年AFC選手権開催地に立候補の予定なし
 アジアサッカー連盟AFCは、2027年開催予定のAFC選手権アジアカップの開催地立候補の受付期間を6月30日まで延長したことはこのブログでも紹介しましたが、マレーシアサッカー協会FAMはこの延長を利用して開催地立候補を検討することはなさそうなことを英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、「アジアカップのような大規模な大会には政府の協力が必要だが、現在をそういったことを検討するのに適した時期ではない。」と話し、現在の新型コロナウィルス感染拡大が広がっている状況下では、マレーシアがアジアカップ開催に立候補することはないだろうとしています。
 なお現時点では、サウジアラビアが開催国として立候補としている唯一の国ですが、この記事の中では、AFCが開催地立候補の受付を延長したことを受けて、インドが立候補を検討しているとも伝えています。。
 また2034年のFIFAワールドカップ開催地としてタイ、インドネシア、シンガポール、ベトナムと合同で立候補する計画についても、先月予定されていた会合が延期になったことから、こちらについても一時保留とすることも併せて発表されています。
(筆者注:AFCの公式サイトの表記はAsian Cupですが、日本のサッカー関連メディアの多くが「アジアカップ」という表記を使っているので、日本語のこのブログでもこちらを採用します。)
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 マレーシアは2007年にタイ、ベトナム、インドネシアとともにアジアカップを共催した経験があります。このときはイラン、ウズベキスタン、中国と同組となったグループステージでは0勝3敗の最下位となり、共催した他の3カ国の中でグループステージを突破したのはベトナムだけでした。なお、マレーシア代表がアジアカップ本戦に出場したのはこの2007年が最後で、その前の出場は1980年、1976年の2回となっています。

UAEが1試合も行わずに監督を解任
 イギリスの通信社ロイターは、アラブ首長国連邦サッカー協会がイヴァン・ヨヴァノヴィッチ監督を一度も試合をすることなく解任したことを伝えています。
 アラブ首長国連邦UAEはFIFAワールドカップ2022年アジア二次予選ではマレーシアと同じグループGに属しており、これまで4試合を終了して2勝2敗のグループ4位につけています。アジア二次予選開始時に監督を務めていたオランダ人のベルト・ファン・マルワイク氏は、予選でマレーシアとインドネシアに連勝しましたが、タイとベトナム相手に連敗を喫し、さらにその後に開催されたガルフカップでもイラク戦、カタール戦と連敗したことから昨年2019年12月4日に解任されています。昨年12月22日にファン・マルワイク前監督に代わって就任したのがセルビア人のヨヴァノヴィッチ監督でした。
 キプロスの国内リーグでAPOELニコシアを4度優勝させ、2011/12年シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝進出を果たした実績を持つヨヴァノヴィッチ監督は、UAEサッカー協会と6ヶ月契約を結んでいましたが、先日のこのブログでも伝えたように6月中のFIFA主催の試合はすべて延期となったため、契約満了を待たず、UAEを率いて1度も試合に臨むことなく解任されています。

4月7日のニュース:クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付、FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定 、活動制限令違反でサッカー選手を逮捕、MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備

クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付
 東マレーシアのマレー語紙ウトゥサンボルネオ電子版によると、マレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグのクチンFAは、選手が4月分の給料を5パーセント削減することに同意したことに加えて、その削減分を新型コロナウィルスのための基金に寄付すると発表しています。
 クチン地区サッカー協会KDFAのファズルディン・アブドル・ラーマン会長は、選手とスタッフの給料削減分は活動制限令によって影響を受けている家庭を支援するための基金へ寄付されることになっており、クラブとして全ての選手とスタッフの協力に感謝していると話しています。 
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 クラブの経費節約のために給料削減に応じるのではなく、新型コロナウィルス感染拡大による影響で苦しむ人を助ける目的で給料削減を行うのは、単なる給料削減とは全く意味が違います。FAMやMFLも単にクラブと選手の間での給料削減交渉を促すのではなく、クラブを助けるのではなく、より苦しんでいる人を助けることを目的とすべき、といったその使い道にまで言及することで、社会の中でのプロサッカーの存在意義が高められると思うのですが、そういうことは考えないのでしょうか。 

FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定
 フランスの通信社AFPは、国際サッカー連盟FIFAが6月に予定されていた全ての試合の中止を決定したと伝えています。
 新型コロナウィルスの影響に関する専門調査委員会の初会合の席上で決定したということです。ビデオ会議で行われたこの委員会は、現在延期となっているFIFAワールドカップ2022年大会予選の新たな日程を決めることも求めています。
 この他、東京オリンピックの1年延期を受けて、サッカー競技の選手出場資格を「1997年1月1日以前に生まれた者とする」とした現行の資格を維持することもこの委員会で提案されています。

活動制限令違反でサッカー選手を逮捕
 現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令MCO下では、不要不急の外出を避けるように求められていますが、屋外で練習していたプロサッカー選手が逮捕され、有罪判決を受けたとマレー語紙シナルハリアンが報じています。
 自宅のあるクアラルンプール市内のコンドミニアム敷地内で練習をしていたアーマド・ルトゥフィ・アジズル・ラーマンは、自宅に戻ることを命じた警察官の2度に渡るに従わず、さらに反抗的な行動をしたとしてMCO違反および公務執行妨害で逮捕され、アンパン下級裁判所で罰金800リンギ(およそ2万円)あるいは禁固1ヶ月の判決を受けたとしています。22歳のルトゥフィ選手は罪を認めています。
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 なお記事の中では、このルトゥフィ選手が所属するクラブ名が書かれていませんが、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの登録選手リストには名前がありませんので、MFL3部のM3リーグ以下のリーグでプレーする選手ということなのかもしれません。

MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備
 マレーシアフットボールリーグMFLは公式サイトで、4月14日に解除予定の活動制限令MCOが延長された場合、国内リーグを再開するにあたっての選択肢を複数用意していることを発表しています。
 MFLのアブ・ガニ・ハサンCEOは、国内リーグやカップ戦再開そのものが、MCOがいつ解除になるか、また解除後のマレーシア政府の保健省のアドバイスの内容次第としたています。(筆者注:なお、ここで言われている国内リーグやカップ戦とはMFL1部から3部、FAカップ、マレーシアカップ、チャレンジカップを指します。)
 またアブ・ガニ・ハサンCEOは、JDT、クチンFA、UKM FCに倣って、他のクラブも契約内容の見直しを行うように提言している他、マレーシア最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア、、マレーシア第2の金融グループCIMB、オンライン通販大手のショッピーShopeeの各社は契約通りの支援を続けることも発表しています。
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 このブログで何度も取り上げたように、所属選手は給料削減を了承していないと公言しているUKM FCを例にして、活動制限令MCOが延長になった場合に限って職員の給料削減を行うとするMFLのCEOが、MCOの延長が決定されてない現段階でクラブと選手に契約内容の見直しを提言する姿勢はどれだけ選手たちの指示を得られるのかが、甚だ疑問です。JDTやクチンFAに倣うのは、クラブではなくむしろFAMやMFLでは無いのかと思ったりもしてしまいます。