Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第9節および第16節結果とハイライト(2)

2022年9月2日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ 1-0 ペナン
⚽️クダ:ロナルド・ンガ(56分)
🟨クダ(2):シャーリル・サアリ、サンワット・デーミット
🟨ペナン(2):ラファエル・ヴィトール、エンドリック
MOM:ロナルド・ンガ(クダ)

2022年9月3日@MPBJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-1 JDT
⚽️スランゴール:カイオン(65分)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(32分)
🟨スランゴール(4):アリフ・ハイカル、アレクサンダー・アギャルクワ、ノー・ハキム・ハサン、アシマウィ・ヤキン
🟨JDT(3):シェーン・ローリー、シャールル・サアド、ナタニエル・シオ
MOM:ムカイリ・アジマル(スランゴール)

2022年9月3日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 5-0 マラッカ
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン(16分)、ニック・シャリフ・ハセフィ(62分)、チェチェ・キプレ3(67分、75分、81分)
🟨トレンガヌ(1):マヌエル・オット
🟨マラッカ(0)
MOM:チェチェ・キプレ(トレンガヌ)

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第17節終了時)

チーム勝点
1JDT1613204483644
2SAB17113328161236
3NSE1795324141032
4TRE179262516929
5KLC166462227-522
6SRP176382727021
7KDA156361925-621
8SEL164572727017
9MEL164572028-817
10PJC173771627-1116
11SWU1742111537-2214
12PEN1714121935-267
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第17節終了時)

ゴール数選手名所属
121ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
213フェルナンド・フォレスティエリJDT
312カイオンSEL
410ロナルド・ンガKDA
58グスタヴォ・アルメイダNSE
8ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

9月10日のニュース
MFLはマラッカに給料未払い問題の解決を指示
MFLが規則改定:一転してリー・タックら帰化選手のマレーシア人選手登録を認める

国内2大カップ戦の一つ、FAカップの決勝戦ジョホール・ダルル・タジム(JDT)対トレンガヌはいよいよ今日の午後午後9時(マレーシア時間)にキックオフ。昨季最後の試合となった2021年マレーシアカップ決勝以来、国内では無敗を誇るJDTは6年ぶり2度目の、トレンガヌは11年ぶり3度目の優勝を目指します。マレーシアサッカーではあるあるですが、ジョホール州とトレンガヌ州とも、自州を本拠地とするチームがFAカップに優勝すれば翌日を週の公休日とし、州政府としてチームに褒賞を与えることも発表しています。8万5000人分のチケットが既に売り切れており、2年ぶりの開催となったFAカップ決勝は大いに盛り上がりそうです。

MFLはマラッカに給料未払い問題の解決を指示

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFLは、給料未払い問題が明らかになっているマラッカ・ユナイテッドFC(以下マラッカ)に対して、9月20日まで全ての未払い給料を完済するか、分割による支払い方法などで選手や監督、コーチらとの合意を得ることを求め、それが達成されない場合には今季のマレーシアカップ出場権を剥奪すると発表しています。

サラワクに対して既に文書での通告は9月6日に行われているということですが、過去2シーズンにわたり給料未払い問題を起こし、その度に勝点剥奪処分まで受けているチームに対して寛大すぎる猶予だとは思いますが、この記事では、期限までに完済、或いは分割支払いの合意を選手との間で得られない場合には、今季のマレーシアカップ出場権剥奪に加え、来季のクラブライセンス申請が認められない、つまり来季の新スーパーリーグに参加できなくなる可能性にまで言及しています。

MFLが規則改定:一転してリー・タックら帰化選手のマレーシア人選手登録を認める

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、Mリーグ1部スリ・パハンFC(以下パハン)から出されていた、帰化選手のマレー人選手登録不許可に対する異議申し立てを受け入れるとともに、直ちに規則を改定し、マレーシア国籍を取得したリー・タック、エセキエル・アグエロの両選手をマレーシア人として登録することを認めることを、公式サイト上で発表しています。

パハンは今季2度目のトランスファーウィンドウ期間(5月28日から6月24日)に、タック、アグエロ両選手をマレーシア人選手として登録しようとしましたが、MFLはその登録を受け付けていませんでした。

MFLの競技規定では、外国籍選手がマレーシア国籍を取得した場合でも、Mリーグでマレーシア人選手として登録できるのは、さらに5年間のプレー期間を経ることが必要としていましたが、これがマレーシア国憲法が規定する「すべてのマレーシア人は同等の権利を有する」ことに抵触するとして、パハンはMFLに対して両選手のマレーシアンジ選手としての登録拒否の再考と規定の改定を求めていました。

今回の規定変更により、タック、アグエロ両選手は、マレーシアカップグループステージからマレーシア人選手としての出場が可能になっています。

*****

パハンには既にレガシー帰化選手(マレーシア人の両親または祖父母を持つ帰化選手)として英国生まれのDFニコラス・スウィラッド、オーストラリア生まれのMFデヴィッド・ロウリー、マレーシア生まれながらイタリア育ちのMFショーン・ジャンネッリがおり、タック、アグエロ両選手が加わわることで帰化選手が合計5名となります。これに外国籍選手5名が加わることで、リーグ戦ではここまで6勝3分8敗の7位という成績のパハンは、マレーシアカップでは一転してダークホースとして浮上しそうです。

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン第17節結果とハイライト

Mリーグ2部プレミアリーグは今季残り2節となりました。来季から1部スーパーリーグとの統合が決まっているため、「1部昇格争い」は無くなり、3部に当たるM3リーグとの入れ替え戦に臨む2チームを除き、全てのチームが来季は1部でプレーすることなっています。

今節を終了し、本来なら1部昇格となる2チームが決定しています。1つは「金は出すが物も言う」オーナーとして知られているノリザム・トゥキマン オーナー所有のクランタンFCです。2012年には国内三冠(リーグ戦、FAカップ、マレーシアカップ)を達成、通算でもスーパーリーグ優勝2回、FAカップ優勝2回、マレーシアカップ優勝2回といった実績があるクランタンFCは、その後、放漫経営で運営危機に陥ります。選手や監督、コーチへの給料未払いが続き、それと共にチーム成績も急降下、2019年にプレミアリーグに降格していました。しかし2020年オフにノリザム氏がオーナーとなって以降、2年でスーパーリーグ復帰を果たしています。

従来の仕組みであれば昇格となっていたもう1チームは、谷川由来選手が所属するクチンシティFCです。クタンタンFCとは異なり、来季がクラブ史上初のスーパーリーグ昇格となるクチンシティFCは、2019年にはクチンFAとしてM3リーグでプレーするチームでした。この年、リーグ2位で入れ替え戦に臨むと、プレミアリーグ11位のサラワクFA(当時、現サラワク・ユナイテッドFC)を破ってプレミアリーグに昇格しました。サラワクFAはサラワク州サッカー協会が運営するチームであるのに対し、クチンFAはサラワク州サッカー協会傘下のクチン市サッカー協会運営のチームという関係で、いわば「だらしない親」を「しっかり者の子」が制した格好です。
 次々にチームの歴史を更新してきたクチンシティFCですが、昨季就任したイルファン・バクティ監督の手腕も大きく影響を与えています。71歳のイルファン監督は、トレンガヌなどで監督を務め、FAカップ優勝の経験もあります。監督就任初年度となった昨季のクチンシティFCは7勝6分7敗、得点22失点22の5位で昇格を逃したものの、今季はここまで10勝3分4敗、得点29失点19の3位と、スーパーリーグ昇格に恥ずかしくない成績を挙げています。リーグ改変の影響ではなく、従来の規定に従っても来季スーパーリーグ昇格を決めたことで、クチンシティFCは、今季終了後に引退を発表したイルファン監督の花道を飾ることにもなりました。

2022年9月3日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
FAM-MSNプロジェクト1-0 PDRM
⚽️FAM:ハズワン・ハサン(10分)
🟨FAM(0)
🟨PDRM(5):ムアズ・ザイナル・アビディン、シャフィク・アズミ、イザット・ズハイリ・ザカリア、ミロシュ・ラチャニー、アズリ・レザ・ザムリ
MOM:ハズワン・ハサン(FAM-MSNプロジェクト)

2022年9月3日@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
UITM 2-1 ペラ
⚽️UITM:ファリス・ハフィズ・アザル2(15分、24分)
⚽️ペラ:ワン・ザック・ハイカル(35分)
🟨UITM(2):アフザル・アクバル、ファーミ・サブリ
🟨ペラ(2):アフィフ・アシュラフ、カイルル・アシュラフ・ラムリ
🟥ペラ(1):カイルル・アシュラフ・ラムリ(🟨x2)
MOM:レンディ・リニン(UITM)

2022年9月4日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 1-2 スランゴール2
⚽️クランタン:ガファル・アブドル・ラーマン(76分)
⚽️スランゴール:アリフ・イズワン(29分)、シャルヴィン・セルヴァクマラン(34分)
🟨クランタン(3):フェリペ・エレダ、カイルル・ヘルミ・ジョハリ、イクワン・ヤゼク
🟨スランゴール(2):イズル・アダム・スハイミ、シャズワン・サルヒン
MOM:シャルル・ナジーム(スランゴール)
クランタンの原健太選手は、81分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

2022年9月4日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 2-1 クランタン・ユナイテッド
⚽️クチンシティ:アブ・カマラ(63分)、アミル・アムリ・サレー(68分)
⚽️クランタン:アスラフ・アリフディン(90+3分)
🟨クチンシティ(1):シャフィジ・イクマル
🟨クランタン(0)
MOM:アミル・アムリ・サレー(クチンシティ)
 クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。
 クランタン・ユナイテッドの深井脩平、本山雅志の両選手はいずれも先発してフル出場しています。

2022年9月4日@MBPGスタジアム(ジョホール州パシル・グダン)
JDT II 3-0 トレンガヌII
⚽️JDT:ダリル・シャム(6分)、ウマル・ハキム(82分)、ムサ・シディベ(85分)
🟨JDT(2):ムサ・シディベ、ゲイブリエル・ニステルローイ
🟨トレンガヌ(3):ルーク・ウッドワード、アルグジム・レゾヴィッチ、リズアン・ラザリ
MOM:レヴィ・マディンダ(トレンガヌ)

2022年シーズン プレミアリーグ順位表(第17節終了時)

チーム得失差勝点
1JDT17123237132439
2KEL17113326131336
3KCH17103429191033
4TRE179352718930
5KLU176652218424
6PDRM176382027-721
7UITM1752101725-817
8SEL174491424-1016
9FAM1722131031-218
10PRK1751111529-14*7
ペラ(PRK)は給料未払い問題の解決が遅れたことにより、勝点9の剥奪処分を受けています。
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

2022年シーズン プレミアリーグ 得点ランキング(第17節終了時)

ゴール数選手名所属
111アブ・カマラKCH
28フェルナンド・ロドリゲスJDT
8ンジョク・ジェイコブKLU
8マルティン・アダメックPDRM
8ダリル・シャムJDT
67ジョーダン・ミンターTRE
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

9月8日のニュース
AFCカップ-KLシティが地区間プレーオフ決勝進出、優勝まであと2勝

AFCカップ-KLシティが地区間プレーオフ決勝進出、優勝まであと2勝

昨日9月7日にAFCカップ地区間プレーオフ準決勝が行われ、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティがATKモフン・バガン(インド)を3-1で破り、地区間プレーオフ決勝進出を決めています。

相手ホームのソルトレイク・スタジアム(西ベンガル州コルカタ)での対戦となったこの試合は、試合開始前から一筋縄では行きませんでした。インドサッカー協会(AIFF)に対するFIFAの処分により、一時はこの試合を不戦勝で勝ち抜ける可能性があったKLシティは、8月26日に処分が解除され試合開催が決まると、 一旦はホームのKLフットボールスタジアムでの開催をAFCに求めるも、会場変更に伴う手続きを行うには時間がないとして却下されました。

コルカタでの試合が決まると、今度はビザ取得でも問題が起こります。直行便ならクアラ・ルンプールから5時間で到着するところが、ビザ発給の遅れにより直行便に乗れなかったチームは乗り継ぎを含む12時間の長旅を経て、コルカタに到着したのは試合前日の夜でした。

そうした状況を経て行われた試合は、フランス代表MFポール・ポグバの兄フロランタン・ポグバが主将を務めるATKモフン・バガンに対し、KLシティのボジャン・ホダック監督は、自陣に引いて守備に数をかける戦術を選択すると、相手はそれに対応できず前半0-0で終了します。しかし、先制点を挙げたのはKLシティでした。60分に主将のパウロ・ジョズエがペナルティエリアの外から自身今大会の5得点目(今大会最多)となるゴールを決めて、KLシティが1~0と先行します。

このゴールでATKモフン・バガンは積極的にゴールを狙い始めますが、KL守備陣の好守もあり時計は90分に近づき、6分のアディショナルタイムが告げられます。このままKLシティが逃げ切るかと思われましたが、90分にATKモフン・バガンは途中出場のファルディン・アリ・モラがKLシティGKアズリ・アブドル・ガニが防いだシュートのこぼれ球を押し込んで土壇場で同点に追いつきます。

スタンドを埋め尽くしたATKモフン・バガンが熱狂しますが、それも長続きはしませんでした。その2分後。途中出場のファクルル・アイマンがパウロ・ジョズエの右サイドからのフリーキックに頭で合わせてゴール!KLシティが再びリード!。さらにその3分後には、全員を挙げて攻撃に転じるATKモフン・バガンサイドに飛んだゴールキックの処理に相手DFがもたつく間に、やはり途中出場のロメル・モラレスがそのルースボールをカットするとそのままペナルティエリアに持ち込みシュート。決定的な3点目を挙げたKLシティが2点差を守ったまま試合が終了しました。

大会初出場ながらここまで勝ち上がってきたKLシティは、もう一つの地区間プレーオフ準決勝でイースタンFC(香港)を破ったPFCソグディアナ・ジザフ(ウズベキスタン)と相手ホームのソグディアナスタジアムで10月5日に決勝進出をかけて対戦します。

AFCカップ2022 地区間プレーオフ準決勝
ATKモフン・バガン 1-3 KLシティ
⚽️ATKモフン・バガン:ファルディン・アリ・モラ(90分)
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ(60分)、ファクルル・アイマン(90+2分)、ロメル・モラレス(90+5分)
🟨ATKモフン・バガン(2):スバシシュ・ボーズ、フロランタン・ポグバ
🟨KLシティ(3):カマル・アジジ・ザブリ、ジャンカルロ・ガリフオッコ、ジョーダン・ミンター

以下は、この試合の両チームの先発XIとハイライト映像。(ハイライト映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより)

9月4日のニュース
パハンのリー・タックがマレーシア国籍取得
エリートアカデミーの2選手が欧州クラブのトライアルに参加
ケランタンの来季の監督候補に元U16代表監督らの名前が上がる
プロ選手会がマラッカの給料未払いを公表

パハンのリー・タックがマレーシア国籍取得も一部からは疑問の声が

英国出身でスリ・パハン(以下パハン)の契約中のリー・タックがマレーシア国籍を取得したと、英字紙スターが報じています。34歳のタック選手が自身のインスタグラムで国籍取得を明らかにしたということです。

2017年にヌグリスンビランと契約してたタック選手は、2018年から2020年まではトレンガヌ、2021年からはパハンと契約しています。

パハンは、このタック選手とセルヒオ・アグエロことエセキエル・アグエロのいずれも2017年からMリーグでプレーする両選手のマレーシア国籍を取得を支援する方針を明らかにしていました。なお、スターはアグエロ選手のマレーシア国籍取得については明らかにされていないと報じています。

マレーシア人の父母や祖父母を持たない帰化選手は、いずれもMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジム(以下JDT)に所属するモハマドゥ・スマレ(ガンビア出身)、ギリエルメ・デ・パウラ(ブラジル出身)、リリドン・クラスニキ(コソボ出身)の3選手がいます。(クラスニキ選手は、今季はタイ1部のコーンケン・ユナイテッドFCに期限付き移籍中)

*****

マレーシアサッカー協会FAMは、2018年に代表チーム強化を目的とした「帰化支援プログラム」を設け、FIFAの規定に従い、国内で5年以上継続してプレーした外国籍選手を対象にマレーシア国籍取得申請を支援していました。上記のデ・パウラ、クラスニキの両選手はこのプログラムによって、マレーシア国籍を取得した選手です。しかし、この両選手が2020年に行われたFIFAワールドカップ2022年大会予選で活躍できなかっただけでなく、最終的には先発メンバーから外れるなど、代表チームへの貢献がほとんどなかったことから、「代表チームの役に立たない帰化選手を生み出すことは、利点がないどころか、マレーシア人選手の出場機会を奪う欠陥プログラムである。」として、国内のサッカーファンや選手OBがFAMと帰化支援プログラムを激しく非難し、その結果、FAMは帰化支援プログラムの一時凍結を打ち出す事態に追い込まれています。
 今回マレーシア国籍を取得してタック選手は当初、祖母がマレーシア人であると主張し、それを理由にFAMの支援を得て、マレーシア国籍取得の申請を行おうとしていましたが、それを証明する書類が提出できなかったことから、一部ではその主張に疑惑の声が上がっただけでなく、非難すら受けていました。
 また様々な理由から、現在でも西マレーシア(マレー半島部)では10000万人以上、東マレーシア(ボルネオ島)ではそれ以上とも言われるマレーシア国籍を持たない子供たちがお李、義務教育を受けられないなどの不利益を被っており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からは状況の改善勧告を受け、国内のNGOが彼らの国籍申請を支援する一方で、その多くがマレー系ではないことから、マレーシア政府がその申請を却下するケースが多く発生しています。このため、パハンのオーナーであるパハン州王族の支援を受け、申請からわずか数ヶ月でタック選手が国籍を取得できたことから、NGOや複数の国会議員からはマレーシア政府の「ダブルスタンダード」についても激しい非難が集まっています。

エリートアカデミーの2選手が欧州クラブのトライアルに参加

モクタル・ダハリアカデミーAMDは、マレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNとマレーシアサッカー協会FAMが共同で運営する「国家サッカー養成プログラム」NFDPの中核をなす国内トップのエリートサッカーアカデミーです。このアカデミーに所属するいずれも17歳の2選手が欧州クラブのトライアルに参加すると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

ハイカル・ダニシュとロヒシャム・ハイカルの2選手は、やはりAMD所属のアブ・カリリとともに今年6月にフランス2部のアヌシーFCとルクセンブルグ1部のラシンFCユニオン・ルクセンブルクへおよそ2週間野「留学」を行いましたが、その際にハイカル、ロヒシャム両選手に対してラシンFCが興味を示した結果、今回、契約を前提としたトライアル参加を求められたと、ティ・リアンカー青年スポーツ省副大臣が説明しています。

今月9月14日から始まるAFC U20アジアカップ予選(モンゴル)に出場するマレーシアU19代表にも選出されているハイカル、ロヒシャム両選手は、契約となれば、ベルギー1部KVコルトレイクに所属するルクマン・ハキムに続いてヨーロッパのクラブに所属するAMDの卒業生となります。

さらにティ・リアンカー青年スポーツ省副大臣は、2002年生まれ2019年卒業の1期生から2004年生まれ2021年卒業の3期生までの卒業生117名中、前述のルクマン選手を除く残り116名全員がMリーグクラブとプロ契約を結んだことを明らかにし、マレーシア政府とFAMが運営するAMDの実績を強調しています。

ケランタンの来季の監督候補に元U16代表監督らの名前が上がる

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、来季2023年シーズンは現在の1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを統合して、18チームによる1部スーパーリーグとする第改革案を発表しており、今季の順位にかかわらず、プレミアリーグの全クラブが、MFLの設ける規定を満たせば、来季はスーパーリーグでプレーすることになります。

この結果、1部スーパーリーグへの昇格争いがなくなってしまい、やや迫力に欠けるMリーグ2部プレミアリーグですが、10チームで構成される今季は今週末に開催されている第17節を含めて残り2節となりました。そんな中でJDTのセカンドチームJDT IIと激しく首位争いを繰り広げているのが、クランタンFC(以下クランタン)です。

そのクランタンが来季の候補をリストアップし、その中には元U16代表監督で、この前の記事でも取り上げた、マレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNとマレーシアサッカー協会FAMが共同で運営する「国家サッカー選手養成プログラム」NFDPの責任者も務めたリム・ティオンキム氏も含まれていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

この記事では、クランタンの「物言う」オーナー、ノリザム・トゥキマン氏の話として、このリム氏のテクニカルディレクター就任の可能性もあるとしています。

「来季の1部昇格に向けて、現在はヨーロッパや韓国、日本出身の候補者10名をリストアップしている。リム氏とは電話で話をしただけで、直接、面会はしていないことから、現時点では監督となるのか、テクニカルディレクターとなるのかは決まっていない。チームはできる限り最善の監督を見つけたいと思っており、リム氏はあくまでも候補者の1人である。」と話したノリザムオーナーは、新たな監督には実績だけでなく、クランタンの今後のビジョンを自分と共有できる人物であることも求めたいとも話しています。

リム・ティオンキム氏は、現役時代はヨーロッパでプレー経験がある数少ないマレーシア人で、引退後はドイツ1部バイエルンミュンヘンのユースチームコーチを務めていました。2013年にNFDPが立ち上げられるとそのテクニカルディルクターとして、招聘され、その後2016年にはNFDPのエリートアカデミーAMDの責任者に就任しました。しかし同時に就任したU16代表が、自国開催となった2018年のAFC U16選手権のグループステージを最下位で敗退すると、U16代表監督とAMD責任者としての月給が手取りで17万5000リンギ(現在のレートでおよそ550万円)と明らかになるなど逆風が吹く中、当時の青年スポーツ大臣の一存で、2020年までとなっていた契約が解除されています。

プロ選手会がマラッカの給料未払いを公表

マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、Mリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッド(以下マラッカ)で2ヶ月分の給料未払い問題について、報告を受けたことを明らかにしています。

PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、6月と7月の給料が未払い、さらに1月分の給料でも一部で未払いが起こっているとして、マラッカの運営に勧告を発するとともに、マレーシアサッカー協会FAMの紛争解決室NDRCへ申立を行なったことも発表しています。

「FAMのNDRCには問題解決のため、直ちに、選手から事情聴取するための日程を作成することを求めたい。」と述べたイズハムCEOは、他のクラブの選手でも給料未払いが起こっている場合には直ちにPFAMに報告するするよう、呼びかけています。

*****

またか、と言ったマラッカの給料未払い問題です。一昨季、昨季といずれも同様の問題から3点の勝点剥奪などの厳しい処分を受けていますが、来季のリーグ再編に向けて2部への降格が行われないため、現在8位のマラッカですが、これまで以上に問題意識が低いのかもしれません。FAMはマレーシアカップの出場権剥奪などの処分を検討しているようですが、どれほどの効果があるのかは不明です。


9月2日のニュース
U23代表の首脳陣の顔ぶれが発表-注目の新監督はエラヴァラサンA代表コーチが就任
東南アジアサッカー連盟AFF選手権の組み合わせが決定-マレーシアはベトナムと同組に

U23代表の首脳陣の顔ぶれが発表-注目の新監督はエラヴァラサンA代表コーチが就任

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、U23代表の新たな首脳陣を発表しています。FAMは今年7月にU23代表監督のブラッド・マロニー氏との契約を解除しており、U23代表監督が不在になっていました。

現在は母国オーストラリアのU17代表監督に就任しているマロニー氏は、2014年にマレーシアU23代表のコーチに就任し、当時のU23代表監督だったオン・キムスイ現サバ監督を支え、2018年にはマレーシアをAFC u23アジアカップ初出場に導いています。その後はU19代表監督などを経て、昨年2021年からはU21代表監督に就任し、今年の東南アジア競技大会通称シーゲームズ、AFC U23アジアカップで指揮を取りました。しかし期待が高かったU23代表が、シーゲームズでは4位、U23アジアカップではグループステージで最下位という成績を収めると、FAMとマロニー氏は双方合意の上で、契約を解除していました。

その後、FAMは「A代表のキム・パンゴン監督のサッカーを理解している人物で、マレーシア人と」いう条件で人選を進めていることを明らかにしており、エラヴァラサン代表コーチがその条件に合っているということで、噂レベルではこれまでも名前が上がっていましたが、結局、その通りになりました。60歳のエラヴァラサン氏は、今季開幕前にMリーグ1部スーパーリーグのサラワク・ユナイテッドの監督を辞して、A代表コーチに就任しています。2020年からサラワクの監督を務めたエラヴァラサン氏は、サラワクの他、2019年にはPDRM、2018年にはマラッカ・ユナイテッドの監督を務め、それ以前も他のMリーグクラブで指揮を取ってきた実績もあります。

なお、来年のU23代表カレンダーは、5月にシーゲームズ(カンボジア)、9月にアジア競技大会(中国)がある他、U23アジアカップ2024年大会予選や、パリオリンピック予選などが控えています。

またFAMはエラヴァラサンU23代表監督を支えるコーチ人事も発表しています。ヘッドコーチにはスペイン出身のフアン・トーレス・ガリド氏、フィットネスコーチは韓国出身のパク・ジヒョン氏、パフォーマンス・アナリストには韓国出身のイ・ジェユン氏がそれぞれ新たに就任する一方で、ゴールキーパーコーチはマレーシア人のクリス・ヨン氏が残留しています。

なお、エラヴァラサンU23代表監督は、今後もA代表のコーチを兼任することも併せて発表されています。

東南アジアサッカー連盟AFF選手権の組み合わせが決定-マレーシアはベトナムと同組に

東南アジアサッカー連盟AFFは公式サイトで、今年12月から来年1月にかけて開催されるAFF選手権三菱電機カップ2022のグループステージの組み合わせを発表しています。

直近のFIFAランキングで148位のマレーシアはB組に入り、東南アジア最強のベトナム(同97位)の他、ミャンマー(同158位)、シンガポール(同159位)、ラオス(183位)と同組になっています。ちなみにベトナムとは2016年大会から4大会連続で、グループステージでは同じ組になっており、過去3大会のグループステージでの対戦成績は0勝3敗得点0失点6と完敗です。また2018年大会では決勝でも対戦して1分1敗得点2失点3とやはり勝利できていません。

東南アジア代表チームの韓流ブームに乗ったマレーシアは、今年に入ってキム・パンゴン監督が就任すると、予選を経ての出場は43年ぶりとなるAFCアジアカップ2023年大会出場を決めるなど、チームは上昇傾向にあり、今年のAFF選手権ではベトナム代表を率いるパク・ハンソ監督との韓国指導者対決で、この連敗記録ストップを目指すとともに2018年大会決勝で敗れたリベンジを果たし、2010年大会以来の優勝も狙っています。


8月31日のニュース
今日は独立記念日と言うことでムルデカ大会について書いてみます

今日8月31日は独立記念日、マレーシア語でハリ・ムルデカ(ハリは「日」、ムルデカは「独立」)で、マレーシア国民の祝日になっており、各地で記念パレードなども行われています。ただわかりにくいのは、今日はマレーシアの独立記念日ではないと言うこと。英国の植民地だったマレー半島、いわゆる「英領マラヤ」が1957年8月31日に英国から「マラヤ連邦」として独立したことを記念する日です。しかし現在のマレーシアは、マレー半島に加えてボルネオ島のサバ、サラワクで構成されており、マレーシアが成立するのは1963年9月16日なので、サバ、サラワクにとってこの8月31日は特に意味がある日ではなく、祝賀ムードも半頭部とは温度差があります。(ただし、英領マラヤ同様、英国の直轄地となっていたサバは、1963年のマレーシア成立に合わせて、1963年8月31日に英国から自治権を回復しているので、8月31日はサバの独立記念日として祝われます。)

前置きが長くなってしまいましたが、独立記念日がマレーシア語で「ハリ・ムルデカ」と聞いて、「ん、ムルデカ?どこかで聞いたことがあるぞ。」と思った年配のサッカーファンがいるかも知れません。それが、かつては日本代表も出場していた「ムルデカ大会」です。1957年のマラヤ連邦独立を記念して第1回大会が開かれたこの大会は、マラヤ連邦初代首相でもあり、同時期にマラヤサッカー協会(現マレーシアサッカー協会)FAM会長でもあったトゥンク・アブドル・ラーマンの肝煎りで始まった国際親善サッカー大会です。

そしてムルデカ大会が開催されたのがクアラルンプールにあるムルデカ・スタジアムです。1957年にマラヤ連邦の独立が宣言された、マレーシアの歴史にとっても重要な場所でもあるムルデカ・スタジアムは1998年にブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)ができるまでは、代表チームの本拠地でもありました。ムルデカ大会の他、オリンピック予選などでも使わレ、さまざまなドラマの舞台となったムルデカ・スタジアムですが、残念ながら現在は使用されていません。

話をムルデカ大会に戻しましょう。1957年に始まったこの大会は東南アジア最古の国際親善大会(およそ10年後にはタイでキングスカップが始まっています)として、北米を除く世界各地のクラブチームや代表チームが出場しています。第1回大会(1957年)の出場チームを見ると、マラヤ連邦の他は香港リーグ選抜、カンボジア、南ベトナム、シンガポール、インドネシア、タイ、ビルマとなっています。南ベトナム(現ベトナム)、ビルマ(現ミャンマー)といった国名に歴史を感じます。

日本が初めてムルデカ大会に出場したのは 1959年の第3回大会で、この時は1回戦で香港リーグ選抜と引き分け、再戦では2-5で敗れて2回戦に進めずに終わっています。日本代表の試合結果が掲載されている日本サッカー協会JFAのホームページによれば、敗れた香港戦での2ゴールはいずれも当時早稲田大学2年生だった(!)川淵三郎氏が決めています。

日本の最高成績は1963年に開催された第7回大会と1976年に開催されたでの準優勝です。いずれも7チームの1回戦総当たり方式で開催された両大会で、第7回大会は6試合で4勝1分1敗、優勝した台湾に0-2で敗れ、第20回大会では6試合で2勝4分0敗、決勝戦では優勝したマレーシアに0-2で敗れています。

また日本が最後にムルデカ大会に出場したのは1986年の第30回大会で、グループステージではチェコのSKシグマ・オロモウツに敗れてグループステージB組2位にとなった日本は、準決勝でA組1位のマレーシアと対戦し1-2で敗れています。ちなみにこの試合で日本のゴールを決めたのが「アジアの核弾頭」(ちょっと古いかな)原博美、マレーシアの2ゴールはMリーグ1部スーパーリーグのペナンで監督を務めるザイナル・アビディン・ハサンと同じスーパーリーグのスリ・パハンで監督を務めるドラー・サレーでした。日本はこの後、1985年から名称が変わったキリンカップを使って自国開催大会を使っての代表強化に舵を切りつつあったことから

そして私が始めた観戦したムルデカ大会が1988年の第32回大会でした。先日、本棚を整理していたらこの32回大会の大会プログラムが出てきましたので、まずは表紙の写真をお見せします。タバコブランドのダンヒルが大会のスポンサーと言う、今では考えられない、古き良き時代でした。

この32回大会の日程と出場国は以下の通りでした。

今では考えられませんが、ムルデカ大会やキリンカップなどの当時の国際大会は、ナショナルチームとクラブチームが混在する大会でした。この大会も上の出場国中、オーストリアはFCチロル・インスブルック(この記事を書くために調べたところ、2002年に破産し、解散していました。)、ドイツはハンブルガーSVがその肩書きで出場しています。下がハンブルガーSVの紹介ページですが、マンフレート・カルツ、後にJリーグ浦和でプレーするウーベ・バイン、当時はまだ20歳のオリバー・ビアホフなどの名前が見えるのが興味深いです。


そしてマレーシア代表。なお、チームマネージャは当時のパハン州皇太子、現在はパハン州のスルタンで現在のマレーシア国王でもあります。

そんなムルデカ大会ですが、1990年代に入りアジアの各国代表がFIFAワールドカップやAFCアジアカップの予選などに注力するようになると、1957年の第1回から毎年開れた大会が隔年開催となり、さらに参加するチームも東南アジアの代表チーム、さらにA代表ではなくU23代表の大会になるなど大会の「格」も下がり、2013年にタイ選抜、ミャンマー、シンガポールを招いて行われた第41回大会を最後に開かれていません。

後発のキングスカップやキリンカップが続いている一方で、アジア最古の大会とも言えるムルデカ大会が開催されないのは、大会そのものの魅力の低下による観客減、代表チームやクラブチームの日程の過密化など、様々な要因がありますが、何と言っても代表チームの弱体化が大きな理由でしょう。つまり、直近のFIFAランキングで147位のマレーシアが主催する大会に出場したいナショナルチームがどれだけあるのか、と考えるとムルデカ大会が再び開催されることはもうないのかも知れないと、65回目のハリ・ムルデカに思いました。

Mリーグ1部スーパーリーグ 2022年シーズン第9節結果とハイライト(3)

8月29日に、これまで延期されていたMリーグ1部スーパーリーグ第9節の1試合が行われています。

2022年8月29日(月)@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 4-0 マラッカ・ユナイテッド
⚽️JDT:フェルナンド・フォレスティエリ(13分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ3(33分、42分、85分)、
🟨JDT(3):レアンドロ・ヴァレスケス、シェーン・ローリー、ダニアル・アミル
🟨マラッカ(0)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ACL出場により、リーグ戦の延期が多いJDTはこの日から11日間に3試合を行う厳しい日程ですが、ACL浦和戦後、初の国内試合となったこの試合では、浦和戦大敗の鬱憤を晴らすかのような快勝で首位を堅持、試合数が1試合多い2位のサバとの勝点差を6に広げて、史上初のリーグ9連覇へまた一歩前進しています。
 ACL浦和戦では出場停止になっていたMFレアンドロ・ヴァレスケスや外国籍選手枠の都合で出番のなかったDFカルリ・デ・ムルガ、さらには今季トップチーム初先発となったGKハジック・ナズリやMFダイアル・アミルなど、JDTのエクトル・ビドリオ監督は、ACL浦和戦とはメンバーを入れ替えて臨みましたが、そんなメンバーでも試合開始から終始マラッカを圧倒し、今季無敗記録を15まで伸ばしています。
 マラッカは、3ヶ月分の給料未払いが明らかになっている他、ジャスティン・リムCEOが辞任の噂を否定するなど、毎年繰り返される運営サイドの問題で現場が混乱する中での試合でした。王者JDT相手に先発した外国籍選手がFWアドリアーノ1人では太刀打ちできるはずもなく、GKブライアン・シーが好セーブを連発したにもかかわらず4失点で敗れています。しかも75分には交代枠5名を使い切った後にカイルル・アンワル・シャールディンがケガで退場し10名となり、さらにその後はシェーン・ローリーのタックルを受けたシャールル・アズワリまで退場となるなど、むしろよく4失点で済んだ試合だったと言えます。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第17節終了時)

チーム勝点
1JDT1513204373641
2SAB16112326141435
3NSE1795324141032
4TRE168262016426
5SRP176382727021
6KLC156362925-521
7KDA145361925-617
8MEL154562023-317
9SEL154462626016
11PJC173771627-1116
11SWU1742111537-2214
12PEN1614111934-257
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第17節終了時)

ゴール数選手名所属
120ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
213フェルナンド・フォレスティエリJDT
311カイオンSEL
49ロナルド・ンガKDA
57ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

8月30日のニュース
スランゴールU19がユースカップ優勝
JDT U21がプレジデントカップ優勝
スランゴールは「ドイツ色」一掃へ-しかし問題はそこなのか?

スランゴールU19がユースカップ優勝

MリーグクラブのU19チームが対戦するユースカップの決勝第2戦が8月26日に行われ、スランゴールU19とスリ・パハンU19は1-1で引き分けたものの、第1戦で1-0と勝利していたスランゴールU21が通算成績を2-1として優勝を飾り、賞金6万リンギ(およそ180万円)を獲得しています。

7年ぶり3度目の優勝となったスランゴールは、今回の優勝で2008年から始まったユースカップでの通算優勝回数がトップとなり、2019年に吸収合併PKNSの記録も合わせると通算で4回優勝、2回準優勝と圧倒的な成績となりました。

2022年ユースカップ決勝第2試合
2022年8月26日(金)@MBTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンU19 1-1 スランゴールU19
⚽️パハン:ズルファーミ・ズルキフリ(73分)
⚽️スランゴール:アミルル・ハジック・アリフ・アリフィン(67分)
🟨パハン(4):アリフ・イルファン、カーフィル・アブドル・マジド、ヘズリ・シャム、アリフ・ナジミ
🟨スランゴール(3):ディッキ・ヒダヤト、モハマド・カイリル・ザイン、ニアムラーサン・アリアス
MOM:アミルル・ハジック・アリフ・アリフィン(スランゴール)

JDT U21がプレジデントカップ優勝

MリーグクラブのU21チームが対戦するプレジデントカップの決勝第2戦が行われ、JDT U21のJDT IIIがスリ・パハンU21を2-0で破り、第1戦との通算成績を4-2としたJDT IIIが優勝を飾ると共に、賞金10万リンギ(およそ300万円)を獲得しています。

ホームアンドアウェイ形式で行われる決勝第1戦をホームで2-2と引き分けていたJDT IIIは、決勝第2戦を2-0とスリ・パハンU21を零封し、通算成績を4-2として、前身のジョホールFAやジョホールFC時代から数えると通算4度目、2013年にJDTとなってからは初の優勝となりました。

ハビエル・ジョルダ・リベラ監督率いるJDT IIIは、シュクル・ファリズ・ジャヌリが44分に先制ゴールを決め、86分にナジムディン・アクマル・カマルが追加点を挙げて、スリ・パハンU21を突き放しています。

ユースカップ、プレジデントカップとU19とU21の両チームが決勝に進出していたスリ・パハンでしたが、いずれもホームでの試合となった最終戦に勝利できず、準優勝に終わっています。

2022年プレジデントカップ決勝第2試合
2022年8月28日(日)@MBTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンU21 0-2 JDT III
⚽️JDT:シュクル・ファリズ・ジャヌリ(44分)、ナジムディン・アクマル・カマル
🟨パハン(3):サイフル・ジャマルディン、アイカル・ダニエル、イマン・シャキル・アズマン
🟨JDT(2):アフマド・アシャル・ハディ、アリフ・アブドル・ムタリブ
🟥パハン(1):イマン・シャキル・アズマン(🟨x2)
MOM:アフマド・イルファン(JDT III)

スランゴールは「ドイツ色」一掃へ-しかし問題はそこなのか?

1905年に創設されたスランゴールは、昨季2021年シーズンには100回大会を迎えた国内で最も人気のカップ戦マレーシアカップでは優勝33回、準優勝18回と2位のペラ(優勝8回、準優勝11回)を引き離す圧倒的な成績を収めています。その一方で2004年に再編成されたMリーグ1部スーパーリーグでは2009年、2010年と連覇して以降は優勝はなく、現在リーグ8連覇中のJDTの後塵を拝しています。

本拠地のあるスランゴール州は国内最大の700万人の人口を抱え、2位のジョホール州の400万人を大きく上回っており、サポーターの数も少なくありませんが、マレーシアカップでも2015年を最後に優勝から遠ざかっており、近年の不振にはそのサポーターの不満も頂点に達しています。さらにリーグでは圧倒的な強さを見せているJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下にチームの現状を揶揄(揶揄)されるだけでなく、チーム運営の不始末についてスランゴールサポーターに同情を寄せられてまでされる始末になっています。

そんな中、スランゴールは2019年末にドイツ出身のミヒャエル・ファイヒテンバイナー氏をテクニカルディレクターに据え、2021年にはJリーグ浦和でフォルカー・フィンケ監督時代にアシスタントコーチを務めていた、やはりドイツ出身のカルステン・ナイチェル氏を監督に起用、さらにアジア枠、東南アジア枠以外の外国籍選手をDFティム・ホイバッハ、MFマヌエル・コンラート(共にドイツ)、そしてドイツ語圏スイス出身のMFオリヴァー・バフに入れ替えるなど「ドイツ色」を強く打ち出しました。

しかし、新型コロナの影響で試合数が11試合に半減された2020年シーズンは優勝したJDTから勝点差12の5位、昨季2021年シーズンは王者JDTとは勝点差21の5位となり、ナイチェル監督はシーズン終了を待たずに退任しています。今季はホイバッハ、コンラート、バフをブラジル人FWのカイオンとユーリなどに入れ替えたものの、監督にはファイヒテンバイナー氏をテクニカル・ディレクターから転身させましたが、現在は試合数が1試合少ない首位JDTとは勝点差24の9位となり、ファイヒテンバイナー氏は成績不振から更迭され、現在はコーチから昇格したニザム・ジャミル監督代行が指揮を取っています。

この状況を受けて、スランゴールのジョハン・カマル・ハミドンCEOは、現状打開、そしてかつての影響を取り戻すためには変化が必要だとして、来季の「ドイツ色」を一掃することを明らかにしていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

「サポーターの不満は理解しており、来季に向けてチームを変えていくつもりだ。ミヒャエル・ファイヒテンバイナー前監督は、既にトップチームに関わっておらず、後任が決定するまでの支援を行なっているに過ぎない。」と述べたジョハンCEOは、今年末で切れるファイヒテンバイナー前監督との契約を延長しないことも示唆しています。

トップチームは現在、ニザム・ジャミル監督代行が全権を与えられて指導していることも説明したジョハンCEOは、後任となる監督については、候補者は既にリストアップされていることも明かす一方で、残るリーグ戦でニザム監督代行の手腕も見極めた上で、その後任を決定したいとも話しています。

*****

本来はセカンドチーム以下の若い選手を育成するためにファイヒテンバイナー氏を雇いながら、突如、トップチームの監督に起用し、結果が出なかったことを理由に1年も経たずに更迭と、ここ数年間、迷走し続けているスランゴールの運営方針を如実に表しています。マレーシアサッカー協会FAMなどが運営する国内エリートアカデミーAMDの卒業生の多くを獲得しながら、その後の十分な育成もせず、また必要な経験を積ませないままトップチームに起用する方針も、チームがチームとして機能していない原因でもあります。

さらには、スランゴールでは十分な出場機会が与えられずに他チームへ移籍したニック・シャリフ(トレンガヌへ期限付き移籍)やショーン・セルヴァラジ(ヌグリスンビラン)らがいずれも移籍先のチームで活躍、それぞれのチームの上位進出に貢献するなど皮肉な事態にもなっており、現在のスランゴールに必要なのは新監督ではなく、ジョハンCEOも含めた運営トップの刷新、さらにはサポーターの阿るのではない長期的な強化方針のように思えます。

今季も優勝して9連覇を達成するであろうJDTの一強時代が今後も続けば、娯楽としてのマレーシアサッカーの魅力が低下してしまいます。資金力という点ではJDTに対抗できるのはMリーグを見回してもスランゴール以外にはいないので、ニックネームでもあるRed Giants「赤い巨人」には再び立ち上がってもらいたいです。

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン第12節結果とハイライト(2)

Mリーグ2部プレミアリーグは、延期されていた第12節の2試合が8月24日と25日に行われています。10チームが争うプレミアリーグは、既に16節まで終了しており、優勝争いはJDT II、クランタン、トレンガヌII、クチンシティの4チームに絞られています。
 Mリーグは来季は1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを統合して1部18チームに再編されることが発表されており、今季プレミアリーグ所属のチームはその順位にかかわらず、来季はスーパーリーグでプレーすることが決まっています。このため残る2節はこの4チームがプレミアリーグ優勝というプライドをかけた戦いとなります

2022年8月24日(火)@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 1-0 スランゴール2
⚽️クチンシティ:ラメシュ・ライ(25分)
🟨クチンシティ(2):ズルアズラン・イブラヒム、アダム・シリーン・テムビ、
🟨スランゴール(1):ザーリル・アズリ・ザブリ
MOM:シャイフル・ワジジ・モハマド(クチンシティ)
 クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2022年8月25日(水)@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
FAM-MSNプロジェクト 0-2 JDT II
⚽️JDT II:レヴィ・マディンダ(4分)、ジュニオール・エルドストール(53分)
🟨FAM(0)
🟨JDT(3):アズリフ・ナスルルハク、ダニアル・ハキム、ナフィズディン・ファウジ
🟥JDT(1):ナフィズディン・ファウジ(🟨x2)
MOM:ジュニオール・エルドストール(JDT II)

2022年シーズン プレミアリーグ順位表(第16節終了時)

チーム得失差勝点
1JDT16113234132136
2KEL16113225111436
3TRE1593427151230
4KCH169342718930
5KLU166642116524
6PDRM166372026-621
7UITM1542101524-914
8SEL163491223-1113
9PRK1651101427-137
10FAM161213931-225
ペラ(PRK)は給料未払い問題の解決が遅れたことにより、勝点9の剥奪処分を受けています。
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

2022年シーズン プレミアリーグ 得点ランキング(第16節終了時)

ゴール数選手名所属
110アブ・カマラKCH
28フェルナンド・ロドリゲスJDT
8ンジョク・ジェイコブKLU
8マルティン・アダメックPDRM
57ジョーダン・ミンターTRE
7ダリル・シャムJDT
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII