12月17日のニュース(1)
Mリーグアウォーズ2022各賞の受賞者が発表-アリフ・アイマンが2年連続MVP受賞など今年もJDTの独壇場に

昨日12月15日に2022年ナショナルフットボールアウォーズの表彰式がオンラインで行われ、今季リーグ9連覇に加え、国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTが12部門中9部門を受賞しています。

最優秀ゴールキーパー部門
シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)-初
 2018年から4年連続で受賞していたファリザル・マーリアスが最終ノミネートから外れ、誰が受賞しても初受賞となる3人の候補の中から選ばれたのはシーハン・ハズミでした。先日のこのブログにも書きましたが、代表にも初招集されるなど今年最もその活躍が印象に残った選手で、カラムラー・アル=ハフィズ(PJシティFC)、ラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌFC)両選手を抑えて受賞しています。

最優秀ディフェンダー部門
シャールル・サアド(JDT)-3年ぶり3度目
 ここでも昨年の受賞者、マシュー・デイヴィーズが最終候補に残らなかった中、チームメートのシャールル・サアドが受賞しています。ゴールキーパー部門同様、その活躍が今年最も印象的だったクザイミ・ピー(ヌグリスンビランFC)、クラブだけでなく代表でも常連のラヴェル・コービン=オングを推させて受賞しています。ボラセパマレーシア的にはコービン・オング選手が最有力候補、シャールル選手は候補者3選手中、3番手と思っていたので、予想が大きく外れてしまいました。なお、シャールル選手はペラ在籍時の2018年と2019年にもこの賞を受賞しています。

最優秀ミッドフィルダー部門
アフィク・ファザイル(JDT)-初
 2年連続4階目の受賞を狙うバドロル・バクティアル(サバFC)、初受賞を目指すムカイリ・アジマル(スランゴールFC)を抑えて、この部門でもJDTのアフィク・ファザイルが受賞しています。昨年も最終候補3名に残りながら、バドロル・バクティアルに敗れていたので、昨年の借りを返した形になります。ここもボラセパマレーシアJPはバドロル・バクティアルの2年連続受賞、大穴でムカイリ・アジマルと予想していたので、またしも大きく外れてしまいました。ちなみに2018年からは代表招集がないアフィク・ファザイルですが、これを機に代表復帰も見えてくるでしょうか。

最優秀フォワード部門
アリフ・アイマン(JDT)-2年連続2度目
 昨年の最優秀フォワード部門と全く同じ3選手が最終候補となりましたが、昨年19歳で初受賞したアリフ・アイマンが、ダレン・ロック(PJシティ)、ファイサル・ハリム(トレンガヌ)を抑えて、2年連続受賞しています。今、マレーシアで最も注目され、最も期待されている選手でもあり、この受賞は順当で異論はありません。しかし、自身でゴールを狙うだけでなく、臨機応変にパスも出せるファイサル選手は今年一番成長した選手でもあり、ボラセパマレーシアJPは、ファイサル選手の受賞が見たかったです。

最優秀監督部門
ナフジ・ザイン(トレンガヌFC)-初
 昨年も最終ノミネートされながら、ボヤン・ホダック(KLシティFC)に敗れたナフジ・ザインが雪辱を果たしています。過去2シーズンを3位、そして4位の成績でトレンガヌFCを今季2位に引き上げた実績が評価されたようです。FAカップ準優勝、マレーシアカップではベスト4と、どの大会でも好成績を上げながたナフジ・ザインは、来季はクダの監督に就任することが決まっています。ボラセパマレーシアJPは、AFCカップ決勝にチームを導いたボヤン・ホダック推しでしたが、国内ではリーグ6位を含め、昨季のマレーシアカップ優勝ほどの結果は残せていなかったので、そこが2年連続受賞を逃した原因だったかも知れません。

最優秀外国籍選手部門
ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)-初
今季リーグ新記録となる29ゴール(22試合)を挙げ、カップ戦も合わせれば今季は何と41ゴール(30試合)、さらにACLでも6試合で6ゴールとあわや年間50ゴール達成かとも思われるほどの大活躍をしたベルグソン・ダ・シルヴァが文句なしの受賞。最終ノミネートに残ったパウロ・ジョズエ(KLシティ)、そしてチームメートのフェルナンド・フォレスティエリ(JDT)も、この成績では需要を逃しても納得でしょう。リーグ3位の13ゴールを記録したフェルナンド・フォレスティエリが今季、JDTに加入したことで、自分に集中していたマークが外れたことも、今季の大量ゴール生産に繋がっています。またキャプテンとして所属チームをAFCカップ決勝に導いたパウロ・ジョズエのリーダーシップは素晴らしかったですが、今季に関しては受賞争いの相手が悪かったとしか言いようがありません。

最優秀若手選手部門
アリフ・アイマン(JDT)-2年連続2度目
 若い選手にとって励みになるこの賞を、2年連続で同じ選手に与えるのは少々疑問が残りますが、実績だけを見れば、20歳のアリフ・アイマンは文句なしの最優秀若手選手です。最終候補に残ったアザム・アズミ(トレンガヌFC)、ムカイリ・アジマル(スランゴールFC)も良い選手ではありますが、今季のアリフ・アイマンと比べると、やはりまだまだ差はあります。それでもボラセパマレーシアJPは、この賞は同じ選手に何度も与えるべき章ではないのでは、と思ったりもします。

最優秀選手(MVP)
アリフ・アイマン(JDT)-2年連続2度目
 各賞の受賞者(ただし、最優秀外国籍選手賞受賞者は除く)から選ばれる最優秀選手には、昨年に続きアリフ・アイマンが選ばれています。これも異論のないところですが、昨年は19歳でMVP初受賞、そして20歳の今年はMVP2連覇を果たしているアリフ・アイマンを脅かす選手がいないのは、Mリーグの問題点でもあります。ちなみ過去5年間のMVP受賞者を振り返ると、2018年、2019年とやはり2年連続で受賞したFWサファウィ・ラシド(JDT)は、このアリフ・アイマンとのポジションに敗れて出場機会を減らし、来季はタイ1部ラーチャブリーFCに期限付き移籍、2017年の受賞者、MFバドロル・バクティアルはサバで活躍しているものの、2016年の受賞者、FWハズワン・バクリ(JDT、受賞時はスランゴール所属)はまだ31歳ながら、今季はわずか出場3試合となっています。

この他の各賞の受賞者は以下の通りです。

最多ゴール(1部スーパーリーグ)
ベルグソン・ダ・シルバ(JDT:29ゴール)-初

マレーシア人選手最多ゴール(1部スーパーリーグ)
ダレン・ロック(PJシティ:10ゴール)-初

最多ゴール(2部プレミアリーグ)
アブ・カマラ(クチンシティ:11ゴール)-初

マレーシア人選手最多ゴール(1部スーパーリーグ)
ダリル・シャム(JDT II:9ゴール)-初
ヌルシャミル・アブドル・ガニ(クランタン:9ゴール)-初

最優秀クラブ
ジョホール・ダルル・タジムJDT-4年連続8回目.

フェアプレー賞(最小警告数)
PJシティ-初

年間ベストゴール(サポーターの投票により決定)
ムカイリ・アジマル(スランゴール)-初

以下は、ベストゴールを受賞したムカイリ・アジマルのゴールが生まれた10月1日の第19節スランゴール対マラッカ・ユナイテッドのハイライト映像。受賞したムカイリ・アジマルのゴールは1分55秒あたりから。

年間ベストXI(サポーターの投票により決定)
監督:ナフジ・ザイン(トレンガヌ)
GK:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
DF:アザム・アズミ(トレンガヌ)、シャールル・サアド(JDT)、シェーン・ローリー(JDT)、ラベル・コービン=オング(JDT)
MF:レアンドロ・ヴァレスケス(JDT)、アフィク・ファザイル(JDT)、マヌエル・オット(トレンガヌ)
FW:アリフ・アイマン(JDT)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)、ファイサル・ハリム(トレンガヌ)

12月16日のニュース(1)
「新生」代表がモルジブ戦勝利

「新生」代表がモルジブ戦勝利

当初の招集メンバーからジョホール・ダルル・タジムJDTの選手10名が招集を辞退し、これまでのメンバーとは大きく顔ぶれた変わったマレーシア代表は、今週12月21日(土)のミャンマー戦(ヤンゴン)で幕を開ける東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップに向けての最後の練習試合となった12月14日のモルジブ戦で、FW陣が期待以上(失礼!)の活躍を見せ、3-0で快勝しています。

この日の先発は、GKシーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)、DFはクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)、シャルル・ナジーム(スランゴール)、ドミニク・タン(サバ)の3バック、MFはアザム・アズミ(トレンガヌ)とV・ルヴェンティラン(PJシティ)を左右に配置し、中央はブレンダン・ガンとムカイリ・アジマル(いずれもスランゴール)の4人、FWはサファウィ・ラシド(JDT)、ダレン・ロック(サバ)、ファイサル・ハリム(トレンガヌ)という布陣で、キム・パンゴン監督は4日前のカンボジア戦からは5名を入れ替えています。

試合が行われたKLフットボールスタジアムは最大収容観客数1万8000人と、カンボジア戦が行われたブキ・ジャリル国立競技場の三分の一以下ですが、ブキ・ジャリルでのカンボジア戦では8332人と、スタンドがガラガラに見えたので、この日はさらに少ない公式発表観客数6002人でも、サイズ的にはむしろこちらで良かったかと。またカンボジア戦でナイキ社製の新しいホームユニフォームを披露したハリマウ・マラヤ「マラヤの虎」ことマレーシア代表は、この日は上下黒のアウェイユニフォーをお披露目しています。

試合の方は24分、この日、キャプテンマークをつけたサファウィ・ラシドから出たゴール前のボールへモルジブGKとDFの対応が遅れた隙をついてダレン・ロックがボールを奪いそのままシュート。これが決まって、マレーシアは1-0と先制します。後半に入ると、63分には今度がダレン・ロックが相手DFラインの裏に出したパスを受けたファイサル・ハリムがGKをかわしてゴールを決め2-0、さらに88分には途中出場のリー・タック(スリ・パハン)がゴールをめて3-0として、マレーシアがそのまま逃げ切っています。ファイサル、タック両選手は12月9日のカンボジア戦に続く2試合連続のゴールをとなりました。

またこの試合ではDFアリフ・ハイカル(スランゴール)が代表戦初出場を果たした一方で、今回の代表合宿に招集されたメンバーでは、FWラマダン・サイフラー(JDT)、FWハキミ・アジム(KLシティ)、MF R・コギレスワラン(PJシティ)、GKラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)、GKアズリ・ガニ(KLシティ)はカンボジア戦、そしてこの日のモルジブ戦とも出場機会がありませんでした。

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JDTの主力10人が代表招集を辞退した今回の代表チームは、ネット上では「B代表」などと揶揄されています。それでも代表初招集となった選手たちを含め多くの選手を実戦で起用するできたのは、AFF選手権での結果にかかわらず、選手層を厚くするための良い機会です。
 AFF選手権前に行われた2試合を振り返ると、個人的にはマレーシアの課題である攻撃で、帰化選手のリー・タックが活躍が目を引きました。34歳という年齢もあり、タック選手の帰化、そして代表招集には疑問の声が上がっていました。タック選手同様、FIFAの同一国で5年間プレーという規定に基づいて帰化し、代表選手となったブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラ選手が代表チームでは活躍できなかったことにあります。しかし、それをものともせず、しかも2試合連続ゴールで自分の力を示したタック選手は、AFF選手権でも代表チームにとっては大きな戦力となることが期待されます。
 今回の2試合では前述のアリフ・ハイカルやリー・タックに加えて、GKカラムラー・アル=ハフィズ(クダ)、MFスチュアート・ウィルキン(サバ)、MFデヴィッド・ローリー(スリ・パハン)、シャミー・イスズアン(サラワク・ユナイテッド)、アリフ・イズワン(トレンガヌ)、そしてアルゼンチン出身でやはり今年マレーシア国籍を取得したエセキエル・アグエロ(スリ・パハン)と、8名を代表デビューさせたキム・パンゴン監督が、12月21日のミャンマー戦で開幕するAFF選手権でこの「B代表」をどこまで連れて行けるのかに注目したいと思います。

2022年12月14日
国際親善試合@KLフットボールスタジアム
マレーシア 3-0 モルジブ
⚽️マレーシア:ダレン・ロック(24分)、ファイサル・ハリム(63分)、リー・タック(88分)

下はこの試合のハイライト映像。アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより。

12月15日のニュース
Mリーグアウォーズ各賞の最終候補が発表

今季のマレーシアサッカー界で活躍した選手やチームに送られるナショナルフットボールアウォーズ2022の表彰式は、本日12月15日の午後9時(マレーシア時間)にオンラインで行われますが、その各部門の最終候補が発表されています。なお、このイベントはこちらから視聴可能です。

最優秀ゴールキーパー部門
最終候補に残ったのはシーハン・ハズミ(ヌグリスンビランFC)、カラムラー・アル=ハフィズ(PJシティFC)、ラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌFC)の3名です。この部門でのサプライズは、2018年から4年連続でこの賞を受賞していたファリザル・マーリアスが、所属チームのジョホール・ダルル・タジムJDTがスーパーリーグ9連覇を果たしたにもかかわらず最終候補に残らなかったことでしょう。
 なお今季のスーパーリーグでのクリーンシートはファリザル選手の11回がトップ、次いでカラムラー選手が9回、3位がシーハン選手の7回、ラーディアズリ選手が5回となっており、強固なDF陣を持つとはいえ、出場試合20試合で11試合がクリーンシートのファリザル選手が最終候補に残らなかったのは謎です。
 その一方で今年「最も印象に残った」GKと言えば、シーハン選手です。クラブでは今季1部に昇格したヌグリスンビランFCの正GKとして、昇格初年度4位の好成績に貢献しています。さらに今年2月に就任したキム・パンゴン監督に3月の3カ国対抗(シンガポール)の代表チームに初招集されると、6月のAFCアジアカップ最終予選のバングラデシュ戦では待望のA代表デビューを飾りました。さらに9月のキングズカップ(タイ)では2試合に先発しフル出場するなど代表正GKに近づいています。ちなみにこのシーハン選手は2021年まではPJシティFCに所属しており、その時には今回最優秀GK部門の最終候補3名の内の1人、カラムラー選手の控えでしたが、昨季オフにヌグリスンビランFCへ移籍したことが功を奏しています。
 シーハン選手が最有力、それを追うのがカラムラー選手で、左膝前十字靭帯損傷から復帰した21歳のラーディアズリ選手はこの中では3番手というのがボラセパマレーシアJPの最優秀GK賞争いの予想です。

最優秀ディフェンダー部門
ここでも昨年の受賞者、マシュー・デイヴィーズが最終候補に残らず、今回選出されたのはザイミ・ピー(ヌグリスンビランFC)、ラヴェル・コービン=オング、シャールル・サアド(いずれもジョホール・ダルル・タジムJDT)です。クラブはもちろん、いずれも代表選手の主力選手でもあるこの3選手の中で、やはり今年「最も印象に残った」選手を選ぶとすれば、クザイミ選手でしょう。GK部門のシーハン選手同様、今季のヌグリスンビランFCの躍進に貢献したクザイミ選手は、昨季はUITM FCでプレーしていましたが、チームが2部降格となったことから、昨季終了後にヌグリスンビランFCに移籍しています。
 シーハン選手同様、今年3月の3カ国対抗に出場する代表チームに2016年以来6年振りに招集されると、その後はセンターバックのポジションを、今回も最優秀DF部門候補になっているシャールル・サアドやディオン・コールズ(チェコ1部FKヤブロネツ)と争いながらも、徐々に出場機会を増やし、キム監督の起用に応えています。
 ボラセパマレーシアJP的には印象に残ったクザイミ選手を推したいところですが、と、2018年、2019年と2年連続でこの賞を受賞しているシャールル選手や、国内リーグ、ACL、代表戦と年間を通して安定した力を見せたコービン=オング選手との勝負となると、コービン=オング選手が初受賞に一番近いのではないでしょうか。

最優秀ミッドフィルダー部門
昨年に続き2年連続4階目の受賞を狙うバドロル・バクティアル(サバFC)にいずれも初受賞を目指すアフィク・ファザイル(JDT)とムカイリ・アジマル(スランゴールFC)が候補となっている最優秀ミッドフィルダー部門はベテラン、中堅、若手の争いです。
 ユース時代を含めると実に16年間クダFC一筋だったバドロル選手は、U23代表時代の監督だったオン・キムスイ氏が監督を務めるサバFCに今季から移籍し、昨季はリーグ9位だったチームを今季は3位に躍進させる原動力となりました。一方、ムカイリ選手はシーズン序盤は空回りする場面が目についたもののと、特にタン・チェンホー前代表監督が所属チームのスランゴールFC監督に就任以降は、チームの司令塔としてリーグ戦とカップ戦での9連勝に貢献しています。また2年連続でこの部門の候補に上がったアフィク選手は、リーグ線、カップ戦など合わせて27試合に出場し、いわゆる「汗かき役」の選手として活躍し、チームの国内三冠達成に貢献しました。
 チーム成績に対する貢献度で言えばバドロル選手が2年連続の最有力候補、大穴でムカイリ選手、というのがボラセパマレーシアJPの予想です。

最優秀フォワード部門
今年の最優秀フォワード部門は、アリフ・アイマン(JDT)、ダレン・ロック(PJシティFC)、ファイサル・ハリム(トレンガヌFC)と、昨年の最優秀フォワード部門と全く同じ3選手が候補となっています。昨年19歳で初受賞したアリフ選手が2年連続受賞を狙う一方で、今季、マレーシア人選手として最多ゴールを決めたいわゆるアウトアンドアウトストライカーのロック選手、そしてトレンガヌの今季リーグ2位の原動力となったファイサル選手はいずれも見劣りしない選手です。ゴール数で見ると、ロック選手が12ゴール(24試合)でリードし、以下、ファイサル選手が11ゴール(30試合)、アリフ選手が8ゴール(31試合)となっています。しかしアシスト数はアリフ選手がトップの16、続いてファイサル選手が14アシスト、ロック選手は2アシストとなっています。
 ベルグソン・ダ・シルヴァという絶対的なストライカーがいるJDTでは、前線にボールを運び、ベルグソン選手に供給する役割を担うアリフ選手、1人でも敵陣に残ってとにかくゴールを狙うロック選手、いずれも良い選手ですが、自身のドリブルで相手DFをかわし、自身でゴールを狙うだけでなく、臨機応変にパスも出せるファイサル選手は今年一番成長した選手でもあり、ボラセパマレーシアJPは、ファイサル選手を押したいです。

最優秀監督部門
昨年に続きノミネートされたボヤン・ホダック(KLシティFC)、ナフジ・ザイン(トレンガヌFC)の両氏にオン・キムスイ(サバFC)が加わって争われる最優秀監督部門。昨年の受賞者ホダック監督は、KLシティFCを32年振りに優勝へ導いた功績が大きかったですが、今季もチームをAFCカップ決勝に導いており、その手腕には大会評価が当てられそうです。南アジアや中央アジアのクラブを破り、2015年のJDT以来となる東南アジアのクラブとしては2チーム目となる決勝進出の実績に対し、トレンガヌFCをリーグ2位に導いたナフジ監督、そして昨季9位のサバFCを同じく3位に導いたオン監督の三つ巴の争いです。
 リーグ戦では6位にとどまったものの、ナフジ、オン両監督に比べると潤沢な資金があるとは言えないKLシティFCをAFCカップ決勝に導いたその功績は、今季の最優秀監督に値いし、2年連続受賞となるだろうとボラセパマレーシアJPは考えています。

最優秀外国籍選手部門
昨年この賞を受賞したロメル・モラレス(KLシティFC)は、ケガがちだったこともあり、シーズンを通して調子が上がりませんでした。そんな中、今年はモラレス選手のチームメートのパウロ・ジョズエ、そしていずれもJDTのベルグソン・ダ・シルヴァ、フェルナンド・フォレスティエリの3選手がノミネートされています。
 いずれも今季活躍した選手3名ですが、今季に関してはベルグソン選手一択となるのは明らかでしょう。今季リーグ新記録となる29ゴール(22試合)を挙げ、カップ戦も合わせれば今季は何と41ゴール(30試合)、さらにACLでも6試合で6ゴールとあわや年間50ゴールに迫る勢いでした。リーグ3位のフォレスティエリ選手でも13ゴール、ジョズエ選手は6ゴールと、その差は歴然としています。ジョズエ選手もキャプテンとしてチームをAFCカップ決勝に導いたリーダーシップは素晴らしかったですが、それでもボラセパマレーシアJPが予想する必要もないくらい確実なベルグソン選手の受賞です。

最優秀若手選手部門
今週末から始まる東南アジアサッカー連盟AFF選手権出場のA代表候補にもなっているアザム・アズミ(トレンガヌFC)、ムカイリ・アジマル(スランゴールFC)そして、今回のA代表招集を辞退したアリフ・アイマン(JDT)の3名がノミネートされている最優秀若手選手賞。昨年はアリフ選手が受賞しており、これまで2年連続受賞がないことからも、ここはムカイリ、アザム両選手の一騎打ちが予想されます。(勝手な想像ですが。)今季は所属チームで主力として活躍し、甲乙つけがたい両選手ですが、ここは単純にチームの成績が影響するかも知れません。アザム選手の所属するトレンガヌFCは今季2位、ムカイリ選手が所属するスランゴールは5位でしたので、ここはアザム選手が賞レースでは一歩リートしているのではないかと、というのがボラセパマレーシアJPの予想です。

ナショナルフットボールアウォーズでは、こららの賞のほか、各賞の受賞から選ばれる年間MVPやファンが選ぶベストXIや年間ベストゴールなども合わせて発表されることになっています。

12月12日のニュース 「新生」代表がカンボジアに4-0で勝利-代表初招集の帰化選手が2ゴールと躍動

今月12月20日に開幕する東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップに向けて、出場各チームとも練習試合を精力的に行なっています。昨日12月11日には、三菱電機カップのグループステージでマレーシアと同じB組のミャンマーがタイに0-6で敗れ、ラオスがタイU23代表に1-0で勝利、また西ヶ谷隆之監督率いるシンガポールは12月1日から日本で合宿を行なっており、昨日は流通経大と、その前にはJ3のYSCC横浜とも練習試合を行っています。そしてB組で最も強いベトナムも11月30日には東南アジア遠征中のボルシア・ドルトムントに2-1で勝利するなど、「東南アジアのワールドカップ」に向けて着々と準備を進めています。

「新生」代表がカンボジアに4-0で勝利

そんな中、マレーシアは12月9日にカンボジアと練習試合で対戦しました。AFF選手権はFIFAの酷愛マッチカレンダー期間外ということもあり、今季国内リーグ9連覇を果たし、さらに2つのカップ戦でも優勝して国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTからはケガや家庭の事情などを理由に代表主力選手9名が招集を辞退しており、今季ここまで9試合を戦ってきた代表とは選手の顔ぶれも大きく変わっています。

この日の先発XIはGKカラムラー・アル=ハフィズ(クダ)、クザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)、シャルル・ナジーム(スランゴール)、アザム・アズミ(トレンガヌ)が3バックを構成し、中盤はF V・ルヴェンティラン(PJシティ)、スチュアート・ウィルキン(サバ)、デヴィッド・ローリー(スリ・パハン)、シャミー・イスズアン(サラワク・ユナイテッド)の4選手、そして前線がファイサル・ハリム(トレンガヌ)、ダレン・ロック(サバ)、リー・タック(スリ・パハン)という布陣でした。

この日は試合前からの雨でピッチの一部にも水が浮くコンディションながら、それにうまく対応したマレーシアが、キャプテンマークをつけて先発したファイサル・ハリムが11分に先制ゴールを決めて先制します。38分には英国生まれながら今年、マレーシア国籍を取得し、今回初めて代表に選出されたリー・タックがデビュー戦で代表初ゴールを決めて2-0、さらに前半終了間際にはファイサル・ハリムがこの試合2得点目となるゴールを決めて、前半を3-0で折り返します。後半には、やはり代表初招集となったMFスチュアート・ウィルキン(サバ)が86分に4点目を決めて、FIFAランキング146位のマレーシア代表が廣瀬龍監督率いる同177位のカンボジアに勝利しています。

マレーシアは12月14日にモルジブ代表との練習試合を行った後、12月21日にはAFF選手権グループステージ初戦となるアウェイのミャンマー戦に臨みます。

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前述の通り、JDTの主力が招集を辞退した今回の代表チームでは、本来なら出場機会を得られない多くの選手にチャンスが巡ってきています。これまで代表に召集されながらも、ポジション的な問題もあり出場機会に恵まれなかったカラムラー・アル=ハフィズは初先発を果たした他、スチュアート・ウィルキン、デヴィッド・ローリー、シャミー・イスズアン、リー・タックが代表初招集初先発を果たし、途中出場の18歳MFアリフ・イズワン(トレンガヌ)、アルゼンチン出身でやはり今年マレーシア国籍を取得したエセキエル・アグエロ(スリ・パハン)と、この試合では7名の選手が代表デビューを果たしています。

そんな中、注目を集めているのは34歳のリー・タックと26歳のエセキエル・アグエロの両選手です。いずれもMリーグで5年間プレーし、FIFAの帰化選手登録要件を満たしたことから、今年9月にマレーシア国籍を取得しています。この国籍取得までの期間は、所属するスリ・パハンが既にMリーグで規定される上限となる5名の外国籍選手を登録していたため、2月から11月まで行われたリーグ戦は出場できなかった両選手ですが、マレーシア国籍を取得したことで、マレーシアカップからは国内選手として登録されると、キム・パンゴン監督が早速、代表に招集しています。

現在、マレーシアにはタック、アグエロ選手を含めて5名の帰化選手がいます。ガンビア出身のモハマドゥ・スマレ、ブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラ、コソボ出身のリリドン・クラスニキの3選手は、いずれも所属するJDTでは先発ポジションを獲得できておらず、特にマレーシアフットボール協会FAMが代表チーム強化を目的として帰化支援プログラムを経てマレーシア国籍を取得したデ・パウラ、クラスニキ両選手は代表どころか、所属するJDTのトップチームでも出場機会が得られていません。このことから、代表チームに貢献できない選手の帰化支援には非難の声が上がり、FAMは昨年8月に帰化支援プログラムを一時中断することを発表しています。

しかし、その一方でFAMはMリーグ各クラブが独自に帰化支援を行うことは禁止せず、その結果が今回のタック、アグエロ両代表選手の誕生につながっています。この他、KLシティはコロンビア出身のFWロメル・モラレスとブラジル出身のMFパウロ・ジョズエを、またJDTはブラジル出身で今季はペナンでプレーしたMFエンドリックの帰化支援を行うとしています。この他、マレーシア人の父母あるいは祖父母を持つことで帰化している「ハイブリッド帰化選手」も増えており、この日のカンボジア戦では、オーストラリア出身のデヴィッド・ローリー、いずれも英国出身のスチュアート・ウィルキンとダレン・ロックが先発、ベンチにもブレンダン・ガン、クェンティン・チェン(いずれもセランゴール)、ドミニク・タン(サバ)らがこのハイブリッド帰化選手です。Mリーグまで目を広げれば、このハイブリッド帰化選手はまだまだいるので、将来はマレーシア出身ではないマレーシア人選手によるマレーシア代表チームができるかも知れません。

2022年12月9日
国際親善試合@ブキ・ジャリル国立競技場
マレーシア 4-0 カンボジア
⚽️マレーシア:ファイサル・ハリム2(11分、45分)、リー・タック(38分)、スチュアート・ウィルキン(86分)

下はこの試合のハイライト映像。上の英語版はマレーシアサッカー協会FAM公式YouTubeチャンネルより。下のマレーシア語版はアストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより

12月8日のニュース
クダ新監督にナフジ・ザイン前トレンガヌ監督が就任
来季スーパーリーグ不参加のサラワク・ユナイテッドが3部リーグ加入を申請
体調不良のファイズ・ナシルに代わってU23代表のアリフ・イズワンがA代表合宿に合流

クダ新監督にナフジ・ザイン前トレンガヌ監督が就任

Mリーグ1部スーパーリーグで今季8位に終わったクダ・ダルル・アマンFCは、クラブ公式SNSでナフジ・ザイン前トレンガヌ監督の就任を発表しています。契約期間は2年ということです。

2020年からトレンガヌFCの指揮を取り、今季はチームをリーグ2位、FAカップ準優勝、マレーシアカップベスト4の好成績に導いたナフジ氏でしたが、クラブ運営陣への不信感からオファーされた1年の契約延長を拒否し、契約満了に伴い退団していました。

シンガポール出身のアイディル・シャリン監督の元、2020年、2021年シーズンはいずれも優勝したジョホール・ダルル・タジムJDTに次ぐ2位となったクダは、今季開幕前にMFバドロル・バクティアル、DFリザル・ガザリ(いずれもサバFCへ移籍)ら代表選手が移籍し、FWクパー・シャーマン、FWチェチェ・キプレ(いずれもトレンガヌFCへ移籍)など外国籍選手を全員入れ替えた結果、8位に低迷、リーグ戦終了と同時にアイディル監督は退団していました。

またクダは、今季終了後にはやはり外国籍選手5名全員が契約満了で退団した他、トップチームの12名の選手と契約を更新せず、さらに来季はトップチームの登録を30名から25名に縮小するなど、2季連続でチームの大幅刷新を図ろうとしています。

2007年から2009年までは選手としてクダでプレーし、2007年の国内三冠(スーパーリーグ優勝、FAカップ優勝、マレーシアカップ優勝)も経験しているナフジ新監督は、かつての栄光を取り戻すことは容易ではないとしながらも、地元のクダ州出身の若い選手を成長させて、より強いチームを作りたいと入団会見で話しています。

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大幅にメンバーが変わるクダには、PJシティの正GKで、現在開催中の代表候補合宿にも招集されているカラムラー・アル=ハフィズの加入が発表された他、今季トレンガヌでナフジ監督の元でプレーしたMFマヌエル・オット(フィリピン)も加わるのではと言う噂も出ています。その一方でクダと契約を更新した選手たちはトップチームの経験が少ない若手が中心で、育成に定評があるナフジ監督の手腕が問われる2年となりそうです。

来季スーパーリーグ不参加のサラワク・ユナイテッドが3部リーグ加入を申請

今季、Mリーグ1部スーパーリーグで11位に終わったサラワク・ユナイテッドFCは、選手に対する給料未払いが理由で、来季のMリーグ1部スーパーリーグ参加のための国内クラブライセンスが交付さなませんでした。このサラワク・ユナイテッドが来季はMリーグ3部でセミプロリーグのM3リーグ参加の申請を行ったと、東マレーシア(サバ・サラワク)のサッカーの話題を中心に取り上げているサッカー専門サイトのサラワク・クロックスが報じています。

サラワク・ユナイテッドは、かつて在籍した外国籍選手への15万マレーシアリンギ(およそ4700万円)の給料未払いが滞り、選手がFIFAの紛争解決室に持ち込んだ結果、今後3回のトランスファーウィンドウ期間中の新規選手獲得禁止処分を受けるなど、運営に多くの問題を抱えてい多クラブでした。

M3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグAFLのライミ・フィクリCEOは、サラワク・ユナイテッドからの来季のM3リーグ参加申請を受け取ったことを明らかにする一方で、この申請がM3リーグ参加を確約するものではなく、運営資金などに関する資料の提出を受け、その内容を審査した上で参加の可否を決定するとしています。

またライミCEOはこのサラワク・ユナイテッドの他に、今季スーパーリーグでプレーしながら、やはり給料未払いが理由で国内クラブライセンスが不交付となったマラッカ・ユナイテッドFC、そしてマラッカ州サッカー協会が新たに設立したマラッカFCの3クラブからM3リーグ参加申請が提出されていることを明らかにしています。

サラワク・ユナイテッドを加えると計15チームから出されているM3リーグ参加申請内容の審査は既に80%ほどは終了していると述べたライミCEOは、数週間以内には、来季のM3リーグ参加クラブが決定し、これを発表できるだろうと述べています。

体調不良のファイズ・ナシルに代わってU23代表のアリフ・イズワンがA代表合宿に合流

マレーシアサッカー協会FAMは公式SNSで、A代表候補合宿に参加中のMFファイズ・ナシル(トレンガヌFC)が体調不良のため合宿を離脱し、代わりに12月6日に終了したU23代表合宿に参加していた18歳のFWアリフ・イズワン(スランゴール2)がA代表合宿に参加することを発表しています。

FAMの発表によりと、11月30日と12月1日に行われたA代表とU23代表の合同練習、そして12月2日に行われたA代表対U23代表の練習試合でのアリフ選手のプレーぶりがキム・パンゴンA代表監督の目に止まったと言うことです。またこのアリフ選手については、現在U23代表の監督を務める一方で、A代表でもコーチを務めるE・エラヴァラサン監督からもA代表候補合宿への参加が提案されていたと言うことです。

このアリフ選手は、やはりU23代表合宿にも参加していたGKラーデイアズリ・ラハリム(トレンガヌ)とともにA代表合宿にし、さらにチェコ1部のFKヤブロネツでプレーするDFディオン・コールズが12月16日に合流することで、28名全員が揃うことになります。A代表はAFF選手権前にカンボジア代表戦(12月9日)、モルディブ代表(12月14日)と2試合の練習試合を行い、そこから最終メンバー23名が決定します。

12月5日のニュース
JDTのサファウィ・ラシドがタイ1部ラーチャブリーFCへ移籍
トレンガヌは過去3季マラッカでプレーしたFWソニー・ノルデを獲得
苦しい時の神頼みならぬTMJ頼み-5ヶ月分給料未払いのマラッカ・ユナイテッドの選手がジョホールオーナーに助けを求める

サファウィ・ラシドのタイリーグ移籍は驚くようなニュースですが、マレーシアリーグは今季が終了したばかり。選手の移籍はむしろこれからが本格化しますので、まだまだ驚くようなニュースが出てくる可能性もあります。

JDTのサファウィ・ラシドがタイ1部ラーチャブリーFCへ移籍

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式SNSでFWサファウィ・ラシドがタイ1部のラーチャブリーFCへ期限付き移籍することを発表しています。

マレーシアカップ優勝監督から転身したエクトル・ビドリオ テクニカル・ディレクター名で発表されたこの移籍は、サファウィ選手が現在、東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ出場の代表候補となっていることから、新チームへの合流はこのAFF選手権終了後となるということです。また同じ発表の中でJDTはマリ出身のFWムサ・シディベも同時にラーチャブリーFCへ期限付き移籍することも発表しています。

このJDTによる発表の前には、ラーチャブリーFCの会長がサファウィ選手の獲得がクラブ間で合意に至ったことをフライング気味に表明しており、JDTがこれを後追いする形で発表されています。

現在25歳のサファウィ選手は、2017年に当時のT-Team FC、現在のトレンガヌFC IIからJDTに移籍し、2018年には21歳で当時最年少のリーグMVPに選ばれると、翌年も連続してこの賞を受賞、また先日、このブログでも取り上げた2018年アジア競技大会でも、5得点を挙げるなど、クラブだけでなくマレーシアサッカーを牽引する存在となることが期待されていました。

2018年にはリーグ戦21試合出場で6ゴール、2019年も21試合出場で8ゴール、また新型コロナの影響でシーズンが11試合に短縮された2020年は7試合で7ゴールと活躍したサファウィ選手は、2021年にはポルトガル1部のポルティモネンセへ期限付き移籍しました。しかしトップチームでは出場機会を得られなかっただけでなく、U23チームでもわずか2試合に出場したのみで、1年も経たずにJDTに復帰しています。しかし2021年には同じポジションに彗星のように現れた当時19歳のFWアリフ・アイマンにポジションを奪われ、2021年は16試合、今季2022年は13試合と出場機会が減り、先発では途中出場が多くなり、完全にチームの主力ではなくなっています。

現在、AFF選手権に向けて合宿中のA代表でも、JDTの主力がケガや家庭の事情などの理由から今回の招集を辞退して休養に努める一方で、サファウィ選手が合宿に参加しているのは、疲れがたまるほど試合に出場していないことも意味しています。

かつての輝くを失ったとは言え、25歳のサファウィ選手はここで終わってしまう選手ではありません。移籍先のラーチャブリーFCは、現在リーグ3位とは言え、上位5チームの中では得点数が最低の21点と得点力の補強が必要なチーム。左足からの振り幅の短い強烈なシュートもあれば、ACLでも見せた右サイドからの美しいカーブをかけたシュートも打てるサファウィ選手は、出場機会があれば、必ず結果を残せるはず。この移籍が転期となること期待したいです。

トレンガヌは過去3季マラッカでプレーしたFWソニー・ノルデを獲得

今季スーパーリーグ2位に終わったトレンガヌFCは、数日前にトミスラフ・スタインブリュックナー新新監督の就任を発表しましたが、今度は新たな外国籍選手としてハイチ出身のストライカー、ソニー・ノルデの獲得を発表しています。

33歳のノルデ選手とは1年契約を結び、背番号が11となることも併せて発表されています。19歳でボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)と契約してプロ選手生活をスタートしたノルデ選手は、アトレティコ・サンルイス、アルタミラFC(いずれもメキシコ)でプレーした後、シェイク・ラッセルKC、シェイク・ジャマル・ダンモンディSJDクラブ(いずれもバングラディシュ)、ATKモフン・バガンFC、ムンバイ・シティFC(いずれもインド)、ジラFK(アゼルバイジャン)を経て、2020年から今季までスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしています。

マラッカでは今季17試合に出場し、4ゴール、5アシストを記録している33歳のノルデ選手とトレンガヌの契約期間は1年、また背番号が11となることも併せて発表されています。

苦しい時の神頼みならぬTMJ頼み-5ヶ月分給料未払いのマラッカ・ユナイテッドの選手がジョホールオーナーに助けを求める

今季スーパーリーグで10位に終わったマラッカ・ユナイテッドFCは、選手への給料未払いが理由で来季のクラブライセンスが発給されず、スーパーリーグからの撤退を余儀なくされています。その後、来季はセミプロリーグの3部、M3リーグに参戦することが発表されていますが、給料未払い問題が未だ解決していないことが明らかになっています。

サッカー専門サイトのスムアニャボラによると、給料の未払いは既に終了した2022年シーズンの5ヶ月分あり、その支払いに進展がないことから、一部の選手がソーシャルメディア上で同じスーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムのトゥンク・イスマイル殿下に助けを求める投稿をしているということです。

ジョホール州皇太子でもあるイスマイル殿下は、これまでも同様の問題を起こすクラブに対して厳しい批判を行なった結果、クラブが重い腰を上げる、といったケースがあり、マラッカの選手もこれを期待して、部外者のイスマイル殿下に異例の懇願を行なったとみられています。

自身のインスタグラムに投稿したのはワン・ザハルニザム、シュクリ・バハルン、ハスブラ・バカル他数名の選手で、マラッカ前オーナーのジャスティン・リム氏、そして前マラッカ州サッカー協会のスライマン・モハマド・アリ氏の両氏とも選手からの問い合わせに無視を決め込んでいることから、イスマイル殿下に仲裁を求めています。プロ意識に欠けるクラブには容赦ないイスマイル殿下が仲裁に入ることで、これまで沈黙を守っている旧経営陣も何らかの行動をせざるを得なくなる、とSNSに投稿した選手たちは考えているようです。

来季のクラブライセンスが発給されなかったマラッカ・ユナイテッドFCは、オーナーだったリム氏が所有する株式を売却して辞任し、それに合わせるようにマラッカ州首相でもあるスライマン会長も辞任しており、クラブ名も新たにマラッカFCとするなど組織一新を図ることが発表されています。州サッカー協会の新会長に就任したヌル・アズミ・アフマド氏は、就任の際にはこの給料未払い問題解決に取り組むことを約束しましたが、実際には何も解決していないことが今回の一件で明らかになりました。


12月3日のニュース
AFF選手権出場の代表候補から11名辞退のジョホールオーナーがAFF選手権不要論

Mリーグ1部スーパーリーグ、ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は「物言うオーナー」としても知られていますが、このイスマイル殿下が東南アジアサッカー連盟AFF選手権は「気を散らすもの」だとして、その必要性に疑問を投げかけています。

キム代表監督の選手招集拒否批判に反論

ことの発端は先月11月29日から始まっている代表候補合宿で当初、招集予定だった41名中、JDTから11名の辞退者が出たことでした。今月末に開幕するAFF選手権三菱電機カップは、FIFAの国際マッチカレンダー期間外ということもあり、各クラブは選手招集を拒否できることから、これ自体には何も問題はありませんが、これを受けてキム・パンゴン監督は「自身の監督経験の中で、これほど多くの主力選手が代表招集を拒否したのは初めてだ。」と暗に選手招集を拒否したクラブを批判する発言を行い、これに反応したのがイスマイル殿下でした。

イスマイル殿下は自身のインスタグラムに「選手は動き続ける機械ではなく、シーズン終了後には休養も必要だ。」と投稿し、代表招集辞退の正当性を説明しています。「Mリーグの選手たちは1月から練習と試合を続けてきている。しかもリーグ中断期間には代表合宿が繰り返し行われ、代表選手は全く休養を取ることができない。近隣諸国は試合があれば、その前の1週間に代表合宿を行なっているが、マレーシアは3週間選手を拘束する政界でも類がない長期の代表候補合宿を行う国である。」と代表合宿の方式を批判したイスマイル殿下は、かえす刀でAFF選手権にも言及しています。

AFF選手権重視は大局的見地の欠如

「AFF選手権はMリーグの選手と年間スケジュールをめちゃくちゃにするものものである。今回の大会は決勝が来年の1月15日に予定されているが、(春秋制を採用するMリーグの)各クラブは例年1月から練習を開始する。これで選手にいつ休養を取れと言うのか。」

イスマイル殿下の舌鋒はさらにキム監督にも向けられます。「代表チームの監督は何の考慮もせず、他人の持ち物を借りているだけの存在である。選手に投資し、給料を支払っているのは全てクラブである。その点を無視してクラブを批判するという姿勢はいかがなものか。」

「代表選手たちは(最終予選を突破し)アジアカップ2023年大会の出場権を獲得するなど、既にその義務を果たしている。世界の誰も注目しないAFF選手権にそれほど注力する必要は果たしてあるのか。マレーシアサッカーが成功するためにはもっと大局的に考える必要がある。」と述べています。

代表合宿初日の参加者は30名中17名

最終メンバー30名が発表された今回の代表候補合宿初日は、17名が参加したのみでした。なお11月26日に行われたマレーシアカップ決勝に出場したJDTの2選手とスランゴールの7選手は12月5日から参加することが発表されています。またU23代表候補にもなっているラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)は12月6日に終わるU23代表候補合宿終了後に、またチェコ1部のFKヤブロネツでプレーするディオン・クールズ12月16日日にそれぞれ合流する予定です。

しかし、その後の報道で初日に参加した17名のうち、KLシティのDFデクラン・ランバートとMFアクラム・マヒナンも「個人的な事情」を理由に今回の合宿参加辞退を表明し、最終メンバーは結局、28名になっています。なおKLシティは今季AFCカップに出場し、9試合をアジア各地で戦っています。

強者ゆえに試合数が多くなるJDT

辞退した11名を含め、合計13名が今回の合宿に招集されたJDTは、リーグ戦22試合、いずれも優勝したFAカップとマレーシアカップではそれぞれ5試合と7試合、さらにACLではグループステージ4試合、ノックアウトステージ1試合とクラブとして今季39試合の公式戦を戦っています。さらに先日行われたインドネシア1部プルシス・ソロや、ドイツ1部ボルシア・ドルトムントとの親善試合や、開幕前に行なったMŠKジリナ(スロバキア1部)、スパルタ・モスクワ(ロシア1部)などとの合計6試合のプレシーズンマッチなども合わせれば2022年はクラブとして45試合こなしたことになります。

しかもJDTの選手の多くが代表でも主力選手として、3月にシンガポールで開かれたフィリピンとの3カ国対抗、アジアカップ2023年大会予選など今年の代表戦7試合にも出場しています。もちろん全員が全ての試合に出場しているわけではないですが、1年間にこれだけの試合をプレーした選手を、優勝しても東南アジアでの評価以上のものは得られないAFF選手権に出すよりは、来季のリーグ10連覇やACLのベスト8入などの目標のために十分に休養させたい、とイスマイル殿下が考えるのは理解できなくもありません。しかも来季はアジアカップがあり、年間日程は今季よりもさらに密になることも予想され上、アジアカップではまた選手がほぼクラブごと代表に招集されてしまうJDTにとっては、12月しか選手を休ませられる期間がないということです。.

なお、マレーシア代表は12月9日のカンボジア、そして12月14日のモルジブとの親善試合後に23名の最終メンバーが決定し、FIFAワールドカップカタール大会決勝の3日後、12月21日に開幕するAFF選手権三菱電機カップでは、初戦となるミャンマー戦(ヤンゴン)に臨みます。



12月2日のニュース
Mリーグクラブが来季に向けて次々と新監督就任や選手獲得を発表

スペイン戦勝利おめでとうございます。W杯とは縁がないマレーシアサッカーは、月が変わった昨日12月1日には、多くのクラブが来季へ向けての補強を公表しています。

JDTはエステバン・ソラリ新監督の就任を発表

今季、スーパーリーグ、FAカップ、マレーシアカップの国内三冠を達成したMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式ソーシャルメディアで、エクトル・ビドリオ監督のテクニカルディレクター就任とエステバン・ソラリ新監督の就任を発表しています。

ベネズエラ出身で54歳のビドリオ監督に代わって、来季から指揮を取るソラリ監督はアルゼンチン出身の42歳で、2019年1月からアルゼンチンU23代表のコーチを務めており、今月末まで契約が残っており、この任期を終えての就任となるようです。

ソラリ新監督就任を発表したJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、以前からこのソラリ氏を高く評価しており、アルゼンチン代表のユースやCAリーベル・プレート(アルゼンチン)などからもオファーを受けていた中、なんとか説得してJDTが獲得できたと、クラブの公式Facebookに投稿されたインタビューで説明しています。

ソラリ新監督就任に伴い、今季、クラブをマレーシアカップ優勝に導いたエクトル・ビドリオ監督はクラブのテクニカルディレクターに、そして今季までテクニカルディレクターを務めていたオーストラリア出身のアリスター・エドワーズはクラブCEOにそれぞれ就任することも発表されています。

2013年のクラブ創設以来、史上初の国内三冠に輝いたJDTですが、このソラリ新監督の就任以外にも、シーズン途中にケガで離脱したシェーン・ローリーに代わりに、セカンドチームから急遽起用された22歳のセンターバック、フェロズ・バハルディン、今季2部プレミアリーグでリーグ2位の9ゴールを挙げた20歳のFWダリル・シャムらのトップチーム昇格を発表したイスマイル殿下は、来季からスーパーリーグの外国籍選手枠が9名(ただしベンチ入り6名、ピッチ上5名)となることから、そして新たなブラジル人ストライカーや東南アジア枠での攻撃的MFとDFの獲得など、既に来季に向けての準備が着々と進んでいることも明らかにしています。

ナフジ・ザイン監督退任のトレンガヌはテクニカルディレクターのトミスラフ・スタインブリュックナー新監督就任を発表

トレンガヌFCは、今季、テクニカル・ディレクターを務めたトミスラフ・スタインブリュックナー氏が来季の新監督に就任することを、クラブ公式Facebookで発表しています。スタインブリュックナー氏はクロアチア出身の56歳で、2015年にもトレンガヌ州のサッカークラブで監督を務めており、いわばトレンガヌのサッカーを熟知した人物でもあります。

今季までの過去4シーズンを指揮し、7位、3位、4位、2位と順調にチームを作り上げてきたナフジ・ザイン監督が、クラブ経営陣の対応に不満を表明し、提示されていた来季の契約延長オファーを拒否して監督不在となったトレンガヌですが、その対応は早かった。(というか既定路線だった?)

ナフジ監督に次ぐ、来季の監督候補だったとされるスタインブリュックナー氏は、2015年に当時のT-TeamFC(現トレンガヌII)の監督に就任すると、2014年のMリーグ1部スーパーリーグで11位となり、2部プレミアリーグに降格したチームを率いてプレミアリーグで3位となっており、この時にはサファウィ・ラシド(現JDT)、ノルハキム・ハサン(原スランゴール)らを指導し、その後は自身もプレーしたクロアチア1部リーグのNKオシエクのU17やU19など、クロアチアのクラブで監督を務めたのち、今季からトレンガヌFCのテクニカルディレクターを務めていました。

すタインブリュックナー監督の契約は、昨日12月1日から来年11月30日までに1年であることも発表されています。

サバは代表FWダレン・ロックらの加入を発表

今季のMリーグ1部スーパーリーグでJDTに次ぐ2位に付けながら、最終節に敗れて3位に終わったサバFC。JDTには得点数で25点差をつけられ、リーグ全体でも4位と、優勝を狙うには攻撃力が課題となったシーズンでした。スーパーリーグでのチーム最多ゴールはDF登録のパク・タエスーの8点とストライカー不在に苦しんだサバでしたが、これまで噂に上がっていた通り、代表FWダレン・ロックを獲得したことをクラブ公式ソーシャルメディアで発表しています。

今季はスーパーリーグのPJシティFCのフォワードとして、マレーシア人最多の9ゴールを挙げてたロック選手は、PJシティが来季のスーパーリーグ撤退を発表したことから、その去就が注目されていましたが、来季のAFCカップ出場が決まっているサバが獲得に動いていることはネット上でも噂になっていました。

前述したようにDFのパク選手が8得点、それに続くのがMFバドロル・バクティアルの6点と、今季は獲得した外国籍FWがほとんど機能しなかったサバにとっては大きな戦力アップとなりそうです。

またサバは今季、スーパーリーグのKLシティでプレーしたセンターバックのイルファン・ザカリアの獲得も発表しています。今季は4位のヌグリスンビランと並び、リーグ3位の26失点に終わったサバですが、来季はAFCカップもあることから試合数も増え、代表DFドミニク・タンを中心としたDF陣の選手層を厚くすることもチームの課題でした。なお、27歳のザカリア選手はU23代表、A代表でのプレー経験もあり、今季もKLシティでは21試合に出場しています。

この他、サバは現在行われているマレーシア代表候補合宿に初招集されたMFスチュアート・ウィルキンと新たに2年契約を結んだことも発表しています。

12月1日のニュース
どこでこんなに差がついた?上田綺世とサファウィ・ラシド(アジア大会のハイライト映像あり)

いよいよ今日はグループステージ突破がかかるスペイン戦ですが、このFIFAワールドカップ2022カタール大会に出場中の日本代表の中には、マレーシアでも名前が知られている選手が少なくありません。他の東南アジア諸国同様、マレーシアでも最も人気があるのは英国プレミアリーグEPLということもあり、そこでプレーする冨安健洋選手や三笘薫選手、またかつて在籍した南野拓実選手や吉田麻也選手、浅野拓磨選手らもEPLファンには知られています。

そんな中、今回のワールドカップのコスタリカ戦で先発した上田綺世選手はEPLではプレーしておらず、今季からベルギー1部のサークル・ブルッヘと地味なチームに所属していますが、マレーシアのコアなサッカーファンからは「マレーシアの前に立ちはだかった侍」として記憶されています。

上田選手がU23日本代表のメンバーとしてU23マレーシア代表と対戦したのは、2018年にインドネシアで開催されたアジア競技大会でした。この大会でU23マレーシア代表はグループステージで韓国やバーレーンと同組になりながら、戦前の予想を覆してグループを1位で通過しました。圧巻だったのは、A代表でもプレーするファン・ヒチャンや、当時既にトットナムに在籍していたソン・フンミンを擁する前回2014年の覇者、韓国を2-1で撃破した試合でした。この試合ではサファウィ・ラシド(ジョホール・ダルル・タジムJDT)が2ゴールを決めて活躍しました。そしてベスト16に進出したマレーシアは、グループステージではベトナムに敗れてグループ2位で勝ち上がってきた日本と対戦。ベトナムに敗れていたことで、マレーシアは韓国に続き日本も撃破できるのでは、と期待が高まりました。

今回のW杯カタール大会参加メンバーでは森保一監督を筆頭に、板倉滉、前田大然、そして当時はまだ大学生だった三笘薫などの選手がプレーするU23日本代表がこの対戦では圧倒的な主導権を握る中、U23マレーシア代表は試合終盤まで善戦し、そしてこのまま延長戦かと思われた88分、自陣のペナルティエリア内でマレーシアのドミニク・タン(現サバFC)が上田綺世選手を倒してPKを与えてしまいます。上田選手が自分で蹴ったPKが決まり、このまま日本が1-0で逃げ切り、今大会、ここまで快進撃を続けてきたマレーシアのベスト8進出の夢が潰えました。また日本はこのまま決勝まで勝ち上がったものの、韓国に延長戦で1-2で敗れ、銀メダルに終わっています。

試合終盤にはエース、サファウィ・ラシド(現JDT)のシュートがゴールポストにあたり、シャフィク・アフマド(現JDT)のヘディングシュートが枠を外れるなどチャンスがなかったわけではありませんでしたが、オン・キムスイ監督(当時、現サバFC監督)率いるチームの挑戦は残り数分を持ち堪えられずに終わってしまいました。それでも日本代表相手に冷や汗をかかせるだけのパフォーマンスは示したマレーシア代表でした。ちなみにこの大会では、決勝まで進出した上田綺世選手は大会通算3ゴールだったのに対し、グループステージで敗れたサファウィ・ラシドは、韓国戦の2ゴールを含めて4ゴールを挙げています。

それから4年。上田綺世選手は、クラブレベルではベルギー1部のサークル・ブルッヘへ移籍し、今季17試合全てに先発出場して7ゴールを挙げています。 また、U23代表からA代表へ昇格し、現在開催中のカタールワールドカップに出場し、コスタリカ戦では先発出場を果たしているのはご存知の通りです。その一方で、サファウィ・ラシドは、順調に代表のエースとなることが期待されたものの、所属するJDTでは同じポジションでアリフ・アイマンが台頭してきたこともあり、この2年間は先発機会が激減しています。2018年、2019年と2年続けてリーグMVPとなり、順調にスターへの道を歩んでいたサファウィ選手ですが、2020年にポルティモネンセへ期限付き移籍したものの、トップチームでの出場機会はなく、1年でJDTに戻りましたが、既にアリフ・アイマンがその穴を埋めるどころか、あまり暑活躍をしていたところから、転落が始まりました。今季は試合出場時間が通算631分、先発出場2試合と出場機会が激減し、直近ではクラブ史上初の国内三冠達成となった今季のマレーシアカップ決勝でも先発はおろか、ベンチ外となるなど、歓喜の瞬間に立ち会うことができませんでした。

国外移籍の成功、不成功で2人の間にこんな差がついてしまったのか。

それでも、サファウィ選手の力はキム・パンゴン監督からの評価が高く、多くの選手(噂では11名とも)がケガや家庭の事情などを理由に代表招集を辞退したJDTからはラマダン・サイフラーと共に、今月末に開幕する東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022出場の代表候補30名に選ばれています。2010年大会以来、優勝から遠ざかっているマレーシアにとっては、出場機会が減っているとは言え、今季4ゴール、6アシストを記録したサファウィ・ラシドの左足からの強烈なシュートは大きな武器です。

三菱電機カップでかつての輝きを見せてJDTの主力に返り咲くのか、それとも出場機会を求めて来季は他のMリーグクラブへ移籍するのか。出場機会が得られれば、実力を示すことができる選手なので、まずは東南アジアの各国代表相手に大暴れしてもらいたいです。

マレーシアカップ2022決勝
ジョホールが逆転勝利でクラブ史上初の国内三冠達成

世間はワールドカップで盛り上がる中、マレーシアでは今季最後の公式戦マレーシアカップの決勝が行われています。マレーシアがまだ英領マラヤだった1921年にマラヤカップとして第1回大会が開催されたこの大会は、太平洋戦争中の中断を経て、マレーシアの成立によりマレーシアカップと名を変えて現在に至り、今回は第96回大会。Mリーグ1部スーパーリーグ9連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTに今季5位のスランゴールが挑む図式となりました

戦前の予想では、コロナ禍の影響で中止された2020年大会を挟み、3大会連続で決勝進出となったJDTが有利の声も多かった一方で、2016年以来6年ぶりの決勝に臨むスランゴールは大会最多の33回優勝を誇り、今年9月に前マレーシア代表監督を務めたタン・チェンホー監督が就任以来、9勝1敗と調子を上げてきていることから、接戦が予想されました。

マレーシアカップ2022決勝
2022年11月26日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
スランゴール 2-0 JDT
⚽️スランゴール:カイオン(45分PK)、ムカイリ・アジマル(分)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(45+2分)、フェルナンド・フォレスティエリ(59分)
🟨スランゴール(2):ムカイリ・アジマル、アリフ・ハイカル
🟨JDT(3):ラヴェル・コービン=オング、フェルナンド・ヴェラスケス、マシュー・デイヴィーズ
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)
 準決勝セカンドレグで出場停止となっていたアフィク・ファザイルとフェロズ・バハルディンが先発XIに戻ったJDTのエクトル・ビダリオ監督は、準決勝ファーストレグと同じ4-3-3の布陣を選択、一方のスランゴールは、準決勝セカンドレグで守備の要、センターバックのヤザン・アル=アラブがレッドカードをもらってこの試合出場停止となっており、タン監督は同じヨルダン代表の守備的MFバハ・アブドル・ラーマンを代わりに起用した他、ファーストレグで先発したFWノル・ハキム・ハサンに代えてDFリッチモンド・アンクラを先発させ、やはり4-3-3の布陣を採用しています。
 公式発表では7万9988名の大観衆を集めた決勝の勝者には来季のAFCカップ出場権がかかっており、アジアの舞台を目指すスランゴールが試合開始から怒涛の攻撃を見せ、さらに守備では各選手がJDTのパスコースをしっかりと封じ、両サイドのラヴェル・コービン=オング、アリフ・アイマンを機能させず、リーグ得点王のベルグソン・ダ・シルヴァまでなかなかボールが渡らない展開でした。
 スランゴール攻勢で試合が進む一方で、後期期を活かせない展開が続く中、45分にペナルティエリア内でJDTのマシュー・デイヴィーズがカイオンを倒し、スランゴールがPKを獲得。これをカイオン自身が決めて、スランゴールが1-0とリードします。
 しかしJDTも前半終了間際のロスタイムに、スランゴールのペナルティーエリアのすぐ外でレアンドロ・ヴェレスケスが倒され、PKを得ます。このPKは決まらなかったものの、その流れで得たコーナーキックをエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが頭で合わせてゴール!JDTが前半終了間際に追いつき、試合は1-1で折り返します。
 しかし後半に入ると、前半飛ばしすぎたのか、スランゴール各選手の運動量が目に見えて落ち始め、JDTの選手の動きに遅れだし、スランゴールはJDTの攻撃をクリアするの精一杯という場面が目立ち始めた59分、ハーフラインからドリブルで持ち込んだアリフ・アイマンが、ゴール前のベルグソン・ダ・シルヴァへ素晴らしいパスが通り、GKと1対1となったシュートはスランゴールGKカイルルアズハン・カリドが反応良く止めたものの、そのセカンドボールに詰めていたフェルナンド・フォレスティエリがこれをゴールし、JDTが2-1とリードします。
 この試合で興味深かったのはスランゴールのタン監督の采配です。1-2とリードを許した直後の63分には守備的MFバハ・アブドル・ラーマンに代えてFWノル・ハキムを投入した際には、同時にA代表初招集が発表されたばかりの22歳のDFアリフ・ハイカルも合わせて投入、さらに75分にはエースのカイオンとキャプテンのブレンダン・ガンに代えてU23代表FWコンビのダニアル・アスリとシャヒル・バシャーをピッチに送りこみます。そしてこの若い選手たちはその期待に応えて最後までJDTゴールを脅かすなど、試合には敗れたもの、今季は不安定な戦いを見せたスランゴールに来季への期待を抱かせるプレーを見せてくれました。
 またこの試合の結果、マレーシアカップ優勝チームに与えられる来季のAFCカップ出場権は、JDTが既に来季のACL出場権を持つため、スーパーリーグ3位のサバに与えられることになりました。
 このマレーシアカップ決勝でMリーグは今季の国内日程を全て終了し、その結果はJDTが国内三冠を達成して幕を閉じました。
 以下はマレーシアカップ決勝のハイライト映像、試合後の選手インタビュー、そして試合後の監督の記者会見の様子です。(映像はいずれもMFLのYouTubeチャンネルより)