マレーシアカップ2022
1回戦結果とハイライト映像(2)

今季のマレーシアのフットボールシーズンのフィナーレとなるマレーシアカップ1回戦の残り4カードで勝者が決まり、ベスト8出場チームが出揃いました。Mリーグ1部スーパーリーグの上位11チーム(ただしリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドは給料未払い問題が解決していないことから出場権が剥奪され、12位のペナンが繰り上がり出場)と2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、スーパーリーグ所属クラブのセカンドチームは除く)の合計16チームが出場するこの大会の優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられます。

マレーシアのサッカーファンの間ではリーグ戦以上に盛り上がるのがこのマレーシアカップ。その歴史は1921年まで遡ります。かつての宗主国である英国の海軍艦船HMSマラヤから寄贈を受けたカップ「マラヤカップ」の争奪戦として始まったこの大会は、各州代表チームによる対抗戦で行われた、いわばサッカーの「甲子園」。マレーシア成立に合わせ、大会名はマレーシアカップに代わったものの、州対抗戦の伝統は現代にも引き継がれており、自分の出身地の代表チームを応援するサポーターの熱狂の度合いは、決勝戦では8万5000名を超える観客を集めることからもわかるでしょう。

太平洋戦争による戦果の影響のため中断期間があるものの、昨年の大会が創設100周年起点大会、今年の大会が通算96回大会と、先日のヴァンフォーレ甲府の優勝が記憶に新しい天皇杯サッカーと並ぶ、アジアで最古のカップ戦がこのマレーシアカップです。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ユナイテッド 0-2 スランゴール
⚽️スランゴール:カイオン2(37分、63分)
🟨クランタン(1):ニック・アズリ・アリアス
🟨スランゴール(0)
MOM:カイオン(スランゴール)
セカンドレグ
2022年11月1日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-0 クランタン・ユナイテッド(通算スコア:スランゴール 3-0 クランタン・ユナイテッド)
⚽️スランゴール:ニック・アキフ(90+1分OG)
🟨スランゴール(1):アレクサンダー・アギャルクワ
🟨クランタン(0)
MOM:フィクリ・チェ・ソー(クランタン・ユナイテッド)
 Mリーグ1部スーパーリーグ5位のスランゴールと2部プレミアリーグ5位のクランタン・ユナイテッドが対戦。シーズン途中でのタン・チェンホー前代表監督が就任以来、スーパーリーグを4戦無敗で終えたスランゴールは、マレーシアカップ1回戦でもホーム、アウェイとも勝利で、チームの無敗記録を6に伸ばしています。
 一方、セカンドレグは惜しくもOGで敗れたクランタン・ユナイテッドですが、守備に安定感があるわけではないスランゴール相手に無得点と、来季のスーパーリーグ入りに向けては、攻撃陣の補強が急務となりそうです。
 スランゴールはベスト8でヌグリスンビランと対戦します。
 クランタン・ユナイテッドの深井修平選手は、ファーストレグ、セカンドレグとも先発して、フル出場し、セカンドレグではキャプテンマークをつけての出場でした。また本山雅志選手は両試合もベンチ入りしませんでした。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ 1-2 ヌグリスンビラン
⚽️クダ:ファイヤド・ズルキフリ(7分)
⚽️ヌグリスンビラン:チェ・ラシド(42分)、マテウス・アウヴェス(67分)
🟨クダ(1):サンワット・デーミット
🟨ヌグリスンビラン(2):アナス・ラーマット、ザムリ・ピン・ラムリ
MOM:ヤーセル・ピント(ヌグリスンビラン)
セカンドレグ
2022年11月1日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 0-0 クダ(通算スコア:ヌグリスンビラン 2-1 クダ)
🟨ヌグリスンビラン(1):チェ・ラシド
🟨クダ(2):ヒシャムディン・アフマド、フィクリ・ズルキフリ
🟥クダ(1):シャールル・サムスディン(チームコーディネーター)
MOM:エロルド・グロン(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ4位のヌグリスンビランと同8位のクダが対戦。クダはこのマレーシアカップの前に今年いっぱいの契約が残っていたシンガポール出身のアイディル・シャリン監督との契約を解除しています。契約解除は健康上の問題と家族の問題によるものとはされていますが、監督就任4年目となったアイディル監督にとっては、一昨年、昨年といずれもJDTに次ぐ2位となりながら、今季開幕前に主力選手の半数近くが移籍し、その代わりに獲得した選手が機能せず、苦しいシーズンでした。そのクダは、アイディル前監督に代わり、ヴィクター・アンドラグ コーチを監督代行に指名しましたが、指導者が代わっても今季を象徴するような得点力不足と不安定な守備は代わらず、1回戦で敗退しています。
 ヌグリスンビランは、リーグ戦では1勝1分けと相性の良いクダを相手にしながら、シーズン終盤に調子を落としていた相手に対してファーストレグは1点差勝利、セカンドレグは引き分けと突き放すことができませんでした。ベスト8新種を決めたとはいえ、そこで待ち受けるのは6戦無敗のスランゴール。スランゴール戦ではエース、グスタボが復調するかどうかが鍵になりそうです。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月27日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
PDRM 0-3 KLシティ
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(45+2分、79分)、パウロ・ジョズエ(67分)
🟨PDRM(0)
🟨KLシティ(3):ライアン・ランバート、カマル・アジジ、ケニー・パッラジ
MOM:ジャンカルロ・ガリフオコ(KLシティ)
セカンドレグ
2022年11月1日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティ 1-0 PDRM(通算スコア:KLシティ 4-0 PDRM)
⚽️KLシティ:ザフリ・ヤハヤ(89分)
🟨KLシティ(1):ケニー・パッラジ
🟨PDRM(2):アミルル・ヤアコブ、アミル・サイフル
MOM:ザフリ・ヤハヤ(KLシティ)
 スーパーリーグ6位のKLシティとプレミアリーグ6位のPDRMが対戦。いずれもKLフットボールスタジアムを本拠地とするチームの対戦となり、ファーストレグではKLシティが、セカンドレグではPDRMがアウェイユニフォームを着用して対戦しました。結果は順当にKLシティが2試合連続完封勝ち。2年連続優勝を目指すKLシティが好発進しています。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月27日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 1-5 トレンガヌ
⚽️パハン:スティーヴン・ロドリゲス(43分)
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン3(1分、52分、90+1分)、ニック・シャリフ・ハセフィー(3分)、ファイサル・ハリム(50分)
🟨パハン(1):エセキエル・アグエロ
🟨トレンガヌ(1):マヌエル・オット
MOM:クパー・シャーマン(トレンガヌ)
セカンドレグ
2022年11月1日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 4-2スリ・パハン(通算スコア:トレンガヌ 9-3 スリ・パハン)
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン2(2分、45分)、ファイサル・ハリム(29分)、アザム・アズミ(35分)
⚽️パハン:リー・タック(71分)、スティーヴン・ロドリゲス(84分)
🟨トレンガヌ(2):アザム・アズミ、アリフ・ファジラー
🟨パハン(2):エセキエル・アグエロ、ケヴィン・イングレッソ
🟥トレンガヌ(1):シャールル・ニザム
MOM:クパー・シャーマン(トレンガヌ)
 スーパーリーグ2位のトレンガヌと同7位のスリ・パハンの対戦はいずれもマレー半島東海岸に面した州を本拠地とする両チームの「東海岸ダービー」として白熱した試合が期待されましたが、これがまさかの「クパー・シャーマン祭り」となりました。トレンガヌのクパー・シャーマンは2試合で5ゴール、しかもファーストレグでは開始1分、セカンドレグでも開始2分でゴールをを挙げるなど、1人でスリ・パハンを粉砕しています。
 Mリーグで5年間プレーし、マレーシア国籍を取得したリー・タック(英獄)とエセキエル・アグエロ(アルゼンチン)がマレーシアカップから出場可能となったスリ・パハンは、このマレーシアカップではベンチ入り20名中、外国籍選手5名、帰化選手5名と国外出身者が半数を占めるロースターで臨んだものの、通算スコア3-9で大敗しています。孤軍奮闘したマヌエル・イダルゴからは、マレーシア人選手が自信を持ってプレーできていないとと指摘されるなど、外国籍選手や帰化選手だけが奮起してもどうにもならない現実を突きつけられた格好となりました。

11月3日のニュース
MFLはマラッカとサラワクのクラブライセンス不交付への不服申し立てを却下-来季のスーパーリーグは16クラブでの開催が決定
今月末にジョホールがボルシア・ドルトムントと7年ぶりの親善試合開催
スーパーモクカップ閉幕-U13はブリーラム・ユナイテッドが3年越しの2連覇達成

MFLはマラッカとサラワクのクラブライセンス不交付への不服申し立てを却下-来季のスーパーリーグは16クラブでの開催が決定

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグは、今季1部スーパーリーグで8位のマラッカ・ユナイテッドと同11位のサラワク・ユナイテッドから出されていた国内クラブライセンス不交付に対する不服申し立てが却下されたことを、公式サイトで発表しています。これにより、来季から新たに再編成される1部スーパーリーグは16クラブで編成されることが確定しました。

国内クラブライセンス交付を請け負う第一審期間FIBは、マラッカ・ユナイテッドは未払い給料が完済されたことを証明する書類に不備があるとして、またサラワク・ユナイテッドはかつて在籍した外国籍選手が未払いとなっている給料についてFIFAの紛争解決室DRCの下した裁定が解決されていないとして、申請の出ていた18クラブ中、16クラブにクラブライセンスのは交付したものの、この2クラブについては交付を行いませんでした。

先月10月12日にクラブライセンス不交付となった両クラブに対し、MFLは1週間の不服申し立て期間を設けており、今回の発表はその期間終了後に開催されたMFLのクラブライセンス不服申し立て委員会が両クラブの不服申し立てを却下したと、スチュアート・ラマリンガムCEOは説明していますが、具体的には不交付の理由となった書類不備に対して、今回の不服申し立てでどのような書類が提出されたかどうかについては秘匿が条件であるため、公開はできないとも話しています。またMFLは今回の不服申し立て却下という決定を両クラブに通達したものの、現時点では公式の返事は受け取っていないということです。

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今季のMリーグ1部スーパーリーグ(12クラブ)」と2部プレミアリーグ6クラブを統合した「新スーパーリーグ」が来季から発足することが決まっており、これにより当面はプレミアリーグは開催されず、新スーパーリーグの下はアマチュアフットボールリーグAFLが運営するセミプロリーグのM3リーグとなります。来季の国内クラブライセンスが交付されなかったマラッカとサラワクは新スーパーリーグには参加できないものの、M3リーグへ参加の可能性が残されています。

今月末にジョホールがボルシア・ドルトムントと7年ぶりの親善試合開催

今季のスーパーリーグとFAカップに優勝し、既に二冠を獲得しているジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式Facebookでボルシア・ドルトムントとの国際親善試合を今月11月28日に本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムで開催することを発表しています。

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ボルシア・ドルトムントは、2015年7月9日にもJDTと国際親善試合を行なっています。この2日前の7月7日には等々力陸上競技場で川崎フロンターレを0-6で破っているドルトムントは、JDTがかつて本拠地として使用していたタン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユヌススタジアムで行われた試合でも、6-1とJDTに圧勝しています。この試合では、当時ドルトムントに所属していた香川真司選手がチーム4点目となるゴールを74分に挙げている他、当時セレッソ大阪から期限付き移籍していた丸岡満選手も途中出場し、香川選手のゴールをアシストしています。(以下は2015年のJDT対ドルトムントのハイライト映像。ブンデスリーガの公式YouTubeチャンネルより)

ボルシア・ドルトムントは、FIFAワールドカップ2022年大会によるリーグ中断期間を利用して「BVBアジアツアー2022」と銘打ったアジア遠征を開催し、JDT戦はこのツアーの一環です。ドルトムントのクラブ公式サイトによると、11月24日にシンガポールでライオンシティーセイラーズと対戦し、11月30日にはベトナムのハノイでベトナム代表と対戦します。またドルトムントは当初、インドネシアでの国際親善試合も予定していましたが、先月10月1日に125名以上の死者が出た東ジャワ州カンジュルハンスタジアムでの事故「カンジュルハンの悲劇」により、十分な安全対策が決まるまでサッカーの試合が開催できないため、その代わりとして組まれたのが、今回のJDT戦です。

スーパーモクカップ閉幕-U13はブリーラム・ユナイテッドが3年越しの2連覇達成

ユース国際招待大会のスーパーモクカップ2022年大会は10月30日にU12、U13、U14の各年代の決勝戦が行われ、優勝チームが決定しました。2019年以来3年ぶりの開催となった今大会は、前回に続きマレーシアのパハン州ガンバンにあるモクタル・ダハリアカデミーAMDのユースフットボールセンターを開場して開催されました。

U12は、マレーシアサッカー協会FAMと、マレーシア政府のスポーツ青年省傘下の国家スポーツ評議会が共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDP参加選手から選ばれたNFDPのBチームがNFDPのCチームを決勝で破り優勝、3位にはNFDPのAチームが入っています。また4位以下はて、キム・ヨンフンアカデミー(韓国)、ライオンシティーセイラーズ(シンガポール)と続きます。なおU12の各試合の詳細はこちらから。

U13は、前回2019年の第5回大会でもこのカテゴリーで優勝しているブリーラム・ユナイテッド(タイ)がAMDのチーム、AMDパンサーズU13を1-0で破って3年越しの大会2連覇を達成しています。また3位にはPVFフットボールアカデミー(ベトナム)、以下、アシアナサッカースクール(インドネシア)、NFDP、華城FC U13(韓国)、AMDクーガーズU13、イブラヒム・フィクリ校(マレーシア)と続いています。U13の各試合の詳細はこちらから。

またヨーロッパ勢同士による決勝となったU14は、NKオシエク(クロアチア)がパリ・サンジェルマン(フランス)を2-1で破って大会初優勝を遂げています。また3位にはAMDパンサーズU14を4-1で破ったセレッソ大阪が入り、敗れたAMDパンサーズU14が4位、以下、ファジアーノ岡山、AMDクーガーズU14、チョンブリーFC(タイ)。MFKルジョムベロク(スロバキア)、華城FC U14(韓国)、RFヤング・チャンプス(インド)となっています。U14の各試合の詳細はこちらから。


TMマレーシアカップ2022
1回戦結果とハイライト映像(1)

今季のマレーシアのフットボールシーズンのフィナーレとなるTMマレーシアカップが開幕し、1回戦の4カードで勝者が決まっています。Mリーグ1部スーパーリーグの上位11チーム(ただしリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドは給料未払い問題が解決していないことから出場権が剥奪され、12位のペナンが繰り上がり出場)と2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、スーパーリーグ所属クラブのセカンドチームは除く)の合計16チームが出場するこの大会の優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられます。注目は何と言ってもジョホール・ダルル・タジムJDTがクラブ史上初となる三冠を達成するのかどうか。圧倒的な強さで9連覇を達成したスーパーリーグ、そして6年ぶりの優勝を果たしたFAカップに続き、昨季は優勝候補筆頭ながら決勝でKLシティに敗れたJDTが、3季ぶりにマレーシアカップ優勝を果たすかどうかが最大の関心です。

またTMマレーシアカップ優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられますが、スーパーリーグ王者として既にACLに出場することが決まっているJDTが優勝すれば、スーパーリーグ3位のサバが繰り上げ出場となることも決まっています。
*試合のハイライト映像はいずれもMFLの公式YouTubeチャンネルより

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 2-2 クチンシティ
⚽️ペナン:ルーカス・シルヴァ2(38分、77分)
⚽️クチンシティ:アリフ・ハサン(45分)、アブ・カマラ(73分)
🟨ペナン(1):ファイズ・マズラン
🟨クチンシティ(3):アミル・アムリ・サレー、チェ・アリフ・チェ・カマルディン、アリフ・ハサン
MOM:ルーカス・シルヴァ(ペナン)
セカンドレグ
2022年10月31日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 2-1 ペナン(通算スコア:クチンシティ 4-3 ペナン)
⚽️クチンシティ:アリフ・ハサン(72分)、ワン・ファイズ・スライマン(118分)
⚽️ペナン:ルーカス・シルヴァ(22分)
🟨クチンシティ(3):ラフィザン・ラザリ、ズルアズラン・イブラヒム、アミル・アムリ・サレー
🟨ペナン(4):ジェフリ・フィルダウス・チュウ、ルーカス・シルヴァ、T・サラヴァナン、アリフ・アル=ラシド
MOM:谷川由来(クチンシティ)
 2部プレミアリーグ3位のクチンシティと1部スーパーリーグ12位のペナンが対戦。ファストレグでは、今季プレミアリーグの得点王アブ・カマラのゴールでクチンシティがリードを奪うも、ペナンはエースのルーカス・シルヴァがこの試合2ゴール目を挙げて追いつき引き分けています。
 セカンドレグは、クチンシティはアリフ・ハサン、ペナンはルーカス・シルヴァがいずれも2戦連続のゴールを挙げて1-1としましたが、その後、90分では決着がつかず延長戦に入りました。延長戦も後半に入り、残り時間が5分を切り、いよいよPK戦突入かと思われましたが、ゴール前の混戦からクチンシティに待望の決勝ゴール!残り時間を守り切ってクチンシティがベスト8進出を決めると共に、来季の1部スーパーリーグでも十分通用するチームであることを証明した試合でした。
 ペナンはリーグ最下位でマレーシアカップも1回戦敗退と今季は散々な成績でした。1年前のリーグ3位からは大きく成績を落とし、改めてトマス・トルチャ前監督の解任の代償が大きかったシーズンでした。
 クチンシティの谷川由来選手は、ファストレグ、セカンドレグともに先発してフル出場し、セカンドレグではMOMにも選ばれています。

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
UITM 1-2 サバ
⚽️UITM:ジョージ・アトラム(90+1分)
⚽️サバ:バドロル・バクティアル(44分)、マクシアス・ムサ(70分)
🟨UITM(2):アフザル・アクバル、ファレズ・アイマン
🟨サバ(1):ラウィルソン・バトゥイル
MOM:バドロル・バクティアル(サバ)
セカンドレグ
2022年10月31日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 1-1 UITM(通算スコア:サバ 3-2 UITM)
⚽️サバ;ファルハン・ロスラン(66分PK)
⚽️UITM:ファレズ・アイマン・マルズキ(90+2分)
🟨サバ(1):ラウィルソン・バトゥイル
🟨UITM(1):アフザル・アクバル
MOM:レンディ・リニン(UITM)
 2部プレミアリーグ7位のUITMと1位スーパーリーグ3位のサバが対戦。ファーストレグでは点差以上に安定した試合運びで勝利したサバでしたが、セカンドレグはそうはいきませんでした。豪雨により試合開始が1時間近く遅れ、しかもピッチは水が浮く最悪のコンディションの中、昨季までサバに在籍していたUITMのGKレンディ・リニンの再三の好手もあり、ホームのサバはゴールを挙げることができません。そんな中、UITMのアフザル・アクバルが66分に自陣ペナルティエリア内で痛恨のハンド。これで得たPKをファルハン・ロスランが決めて、サバが試合の主導権を握ります。しかしここからUITMも猛反撃に転じますが、90+2分にファレズ・アイマン・バトゥイルのゴールで1点を返すのみとなり、通算スコア3-2でサバが辛くもベスト8進出を決めています。なお、サバはベスト8で同じ東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つクチンシティとの「ボルネオダービー」を戦うことにもなりました。
 サバの加賀山泰毅選手は、ファストレグでは先発して、66分に交代、セカンドレグでは先発して75分に交代しています。なお次戦のボルネオダービーはクチンシティの谷川由来選手とサバの加賀山選手との日本人選手対決にもなりました。

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 0-4 JDT
⚽️JDT:シャールル・サアド(5分)、サファウィ・ラシド(39分)、アキヤ・ラシド(70分)、フェルナンド・フォレスティエリ(80分)
🟨PJシティ(0)
🟨JDT(0)
MOM:シャールル・サアド(JDT)
セカンドレグ
2022年10月31日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 2-0 PJシティ(通算スコア:JDT 6-0 PJシティ)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(4分)、フェルナンド・フォレスティエリ(73分)
🟨JDT(3)ダリル・シャム、フェロズ・バハルディン、シャールル・サアド
🟨PJシティ(1):D・クガン
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 1部スーパーリーグ9位と同1位の対戦。ファストレグの10日ほど前にPJシティのP・ラジェスが交通事故で亡くなり、この試合はラジェス選手の追悼試合として行われましたが、リーグ王者はそこは容赦なし。今季スーパーリーグ得点王のベルグソン・ダ・シルヴァはベンチ外、ツートップのもう1人、フェルナンド・フォレスティエリもベンチスタートながら、開始5分でCKからシャールル・サアドのヘッディングゴールで先制すると、39分には両外国籍選手欠場で先発の機会が回ってきたサファウィ・ラシドが技ありのゴールを決めて前半を2-0とします。後半に入っても、いずれも途中出場のアキヤ・ラシドとフォレスティエリ選手のゴールでJDTが4-0と快勝しています。
 セカンドレグでは、GKファリザル・マーリアス、両サイドバックのマシュー・デイヴィーズ、ラヴェル・コービン=オングを外し、2部プレミアリーグ、マレーシア人得点王のダリル・シャムが先発し、新加入のジョルディ・アマトがひっそりと国内デビューを果たすなど、ローテーションでこの試合に臨んだJDTでしたが、やはり開始4分でベルグソンのゴールで先制したJDTが、フェルナンド・フォレスティエリの2戦連発ゴールで2-0と快勝。通算スコア6-0でベスト8へ順当に進出しています。

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 0-1 クランタン
⚽️クランタン:原健太(82分)
🟨サラワク(1):ボリス・コック
🟨クランタン(2):アリプ・アミルディン、イクワン・ヤゼク
MOM:ニック・アミン・アフマド(クランタン)
セカンドレグ
2022年10月31日@スルタン・モハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 1-1 サラワク・ユナイテッド(通算スコア:クランタン 2-1 サラワク・ユナイテッド)
⚽️クランタン:ヌルシャミル・アブドル・ガニ(13分) 
⚽️サラワク:ラジャ・イムラン(31分)
🟨クランタン(3):ニック・アミン・アフマド、ジャスミル・メハット、ラティフ・スライミ
🟨サラワク(3):S・ヴィーノッド、ボリス・コック、S・チャントゥル
MOM:ラジャ・イムラ(サラワク・ユナイテッド)
 2部プレミアリーグ2位のクランタンと1部スーパーリーグ11位のサラワク・ユナイテッドが対戦。ファストレグを原健太選手の今季初ゴールで勝利したクランタンが、セカンドレグでは1-1と引き分け、通算スコア2-1としてベスト8へ進出しています。
 クランタンの原健太選手は、ファストレグでは58分に交代出場し、1ゴールを挙げて、試合終了までプレーしています。セカンドレクでは72分から出場し、試合収容までプレーしています。

10月26日のニュース
ベルギーでプレーするルクマン・ハキムが今季リーグ戦初出場
ユースの国際招待大会スーパーモクカップ開幕
MリーグではVAR導入の予定は当面なし

ベルギーでプレーするルクマン・ハキムが今季リーグ戦初出場

ベルギーリーグの第14節が10月22日から24日にかけて行われ、マレーシア代表でもプレーする20歳のルクマン・ハキムが所属するKVコルトレイクは10月22日にホームのKVCウエステルロー対戦し、ルクマン選手がこの試合で今季リーグ戦初出場を果たしています。この試合はベンチスタートとなったルクマン選手は、88分にウルグアイ出身のFWフェリペ・アベナッティと交代出場し、試合終了までプレーしています。

試合は26分にハビブ・ゲイがレッドカードで退場し10人となったKVコルトレイクに対して、48分にニコラス・マドセン、83分にネネ・ドルジュレスがそれぞれゴールを挙げ、KVCウエステルローが2-0で勝利しています。なお、この日の敗戦で3勝2分9敗となったKVコルトレイクは、第14節を終えて18チーム中17位となっています。

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2018年のAFC U16選手権(現U17アジアカップ)の得点王となるなど、マレーシアの希望の星と期待されたルクマン選手は、2019年9月にマレーシア人富豪のヴィンセント・タン氏が所有するKVコルトレイクと6年契約を結び、2020年の10月24日にアンデルレヒト戦でベルギーリーグデビューを果たしたものの、それ以降はトップチームでの出場はなく、この日のKVCウエステルロー戦が移籍後2試合目の出場でした。来季から改編されるMリーグ1部スーパーリーグに合わせて、国内クラブへの移籍の噂なども出ていましたが、この試合出場で今季もベルギーに残りそうな気配です。

ユースの国際招待大会スーパーモクカップ開幕

ユース国際招待大会のスーパーモクカップ2022年大会が、マレーシアのパハン州ガンバンにあるモクタル・ダハリアカデミーAMDのユースフットボールセンターで10月25日に開幕しています。U12、U13、U14の3つのカテゴリーで開催される今大会は今回が第6回大会、2019年以来3年ぶりの開催で、世界各地から集まった17チームが熱戦の火蓋を切っています。今大会は10月25日から27日までは一回戦総当たりのグループステージが行われ、休養日の28日を挟んで、29 日と30日に決勝ラウンドが行われます。

マレーシアサッカー協会FAMと、マレーシア政府のスポーツ青年省傘下の国家スポーツ評議会が共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDPと、その中核をなすエリートアカデミーのAMDがそれぞれチームを編成して参加する他、パリ・サンジェルマン(フランス)、NKオシエク(クロアチア)、MFKルジョムベロク(スロバキア)らのヨーロッパ勢や、セレッソ大阪、ファジアーノ岡山(いずれも日本)、キム・ヨンフンアカデミー、華城FC(いずれも韓国)、RFヤング・チャンプス(インド)のアジア勢、そしてアショップフットボールアカデミー、アシアナサッカースクール(いずれもインドネシア)、ライオンシティー・セイラーズ(シンガポール)、ブリーラム・ユナイテッドFC、チョンブリーFC(いずれもタイ)、PVFフットボールアカデミー(ベトナム)ら東南アジア勢、そしてマレーシア国内からはトレンガヌ州のイブラヒム・フィクリ校(マレーシア)も参加します。

初めてクアラルンプール以外で開催された前回2019年大会では、U14はAMD、U12はNFDPとマレーシアのチームが優勝しましたが、U13はブリーラム・ユナイテッドU13がAMDを破って優勝し、マレーシア勢のタイトル総なめを阻止しています。ブリーラム・ユナイテッドU13は今大会にも出場しており、3年越しの連覇を狙います。

MリーグではVAR導入の予定は当面なし

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、Mリーグ1部スーパーリーグでのVAR(Video Assistant Referee「ビデオ・アシスタント・レフェリー」)運用について、その導入前に徹底的な検討を行う必要があるとし、当面の導入の可能性を否定していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

10月22日にブキ・ジャリル国立競技場で開催されたAFCカップ決勝、KLシティFC対アル・シーブクラブ戦で、マレーシア国内の試合では初めて導入されたVARですが、スーパーリーグでのVAR導入については様々な問題があると、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOが説明しています。

「スーパーリーグへのVAR導入には時間がかかることを理解して欲しい。VARを担当する審判員の養成だけでなく、スーパーリーグの試合が開催される全てのスタジアムの環境整備や機材設置なども必要になるが、スーパーリーグで使用されるスタジアムの大半はクラブの所有ではなく、公共施設であり、VAR導入に必要な改修が直ちに行えない可能性がある。特定のスタジアムにだけVARを導入することは公正を欠くことになる。」と説明し、VARの当面の導入の可能性を否定しています。

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そもそもですが、VARは国際サッカー評議会(IFAB:サッカーの競技規則を唯一、制定・改定できる組織)の承認を受けた組織、スタジアム、審判員でなければ使用できません。今回のAFCカップ決勝も、当初はKLシティの本拠地であるKLフットボールスタジアムでの開催となっていましたが、AFCがVAR導入を決めると、KLフットボールスタジアムの照明がVAR導入に必要な1800ルクスに達していないことが判明し、試合会場がブキ・ジャリル国立競技場へと変更となった経緯があります。

カップ戦などの試行錯誤を経て2021/2022シーズンからVARを導入したタイリーグ、2023年シーズンからのVAR導入が検討されているシンガポールリーグと、近隣諸国のリーグではVARの導入が進んでいます。そうでなくとも審判への信用が低いマレーシアこそVARの導入は優先事項だと思いますが、スチュアートCEOの発言を聞く限りではまだまだ先の話になりそうです。


KLシティの冒険が終わる
AFCカップ決勝
KLシティ0-3アル・シーブ

AFCカップ2022年大会決勝が10月22日にマレーシアのクアラルンプールで開催され、オマーンのアル・シーブクラブがMリーグ1部スーパーリーグのKLシティFCを3-0で破り優勝しています。オマーンのクラブとしてはAFCカップ初優勝となりました。

FIFAランキングでは75位のオマーンで、2021/22シーズンには国内リーグ、国内カップ戦、そしてスーパーカップの三冠を獲得したアル・シーブと、同146位のマレーシアでリーグ戦ではなくマレーシアカップ優勝で出場権を獲得したKLシティの対戦となったこの試合は、主力に6名のオマーン代表選手を擁するアル・シーブに対し、KLシティの代表選手はデクラン・ランバートとザフリ・ヤハヤ(マレーシア)、ケヴィン・メンドーザ(フィリピン)の3名と、試合前の下馬評は、アル・シーブ有利でした。

また、2004年から開催されているAFCカップは、過去17回の大会の歴史を見ても中東のチームが15回優勝している大会です。中東のチーム以外では2011年のナサフ・カルシFC(ウズベキスタン)と2015年のMリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTの2チームしか優勝しておらず、KLシティは東南アジアのクラブとしてJDTに続く2チーム目の優勝を目指しました。

またこの試合で注目されたのは、KLシティの外国籍選手の顔ぶれでした。Mリーグの外国籍選手枠はいわゆる3+1+1(無条件の外国籍3名、アジア枠1名、東南アジア枠1名)となっていますが、AFCカップの外国籍枠は3+1(無条件の外国籍3名、アジア枠1名)で、KLシティのボヤン・ホダック監督は、グループステージから地区プレーオフ準決勝までは、FWロメル・モラレス(コロンビア)、FWジョーダン・ミンター(ガーナ)、MFパウロ・ジョズエ(ブラジル)、DFジャンカルロ・ガリフオコ(オーストラリア)の4名を起用しましたが、地区プレーオフ決勝のPFCソグディアナ(ウズベキスタン)との試合では、FWジョーダン・ミンターに代わってGKケヴィン・メンドーザ(フィリピン)を起用しました。準決勝では、このメンドーザ選手が試合中にスーパーセーブを連発、さらに延長戦を経てPK戦に持ち込まれたこの試合では、相手のPKを止めて、チームを勝利に導いています。このため、この決勝戦ではモラレス、ジョズエ、ガリフオコの3選手に加えて、攻撃を重視しジョーダン・ミンターを起用するのか、守備を重視しケヴィン・メンドーザを起用するのかが注目されましたが、ホダック監督は、ケヴィン・メンドーザを起用しています。

この試合はボラセパマレーシアJPも観戦に出かけました。クアラルンプールがあるマレーシア東海岸は雨季に入っており、この日の天気予報も夕方から雨となっていたにも関わらず、試合前にはピッチに水が撒かれるの見て「えっ!」と思いましたが、田んぼのようなピッチでもリーグ戦を行うMリーグのKLシティに有利に、早く短いパス回しを得意とする中東のチームには不利になるようにかと邪推しましたが、その辺りの真相は不明です。

そしていよいよキックオフ。案の定、キックオフ前から激しく雨が降り始めており、ボールが転がりにくいピッチで試合が始まります。慣れないピッチに戸惑うアル・シーブに対して、KLシティはキックオフから一気に相手陣内へ攻め込み、外れてしまったものの開始から1分で早くもパウロ・ジョズエがシュートを放つなど、2万7000人を超える観衆の大半となるKLシティサポーターの期待が高まります。

さらに18分には左サイドのJ・パルティバンからのクロスをパウロ・ジョズエがスルー、これをザフリ・ヤハヤがシュートしますが、アル・シーブのGKアフマド・アル=ラワヒがこのシュートを足で止め、KLシティは先制ゴールを挙げられません。

逆に徐々にピッチに慣れてきたアル・シーブは、22分にCKを得ます。ニアポストに選手が集まる中、右サイドからアリ・アル=ブサイディが蹴ったこのCKは、飛び出したケヴィン・メンドーザの指先を掠めて、誰もいないファーポスト側に直接ゴールインし、アル・シーブが先制します。

これに対しKLシティは34分、再びザフリ・ヤハヤがシュートを放つも、アル・シーブのGKアフマド・アル=ラワヒの正面となり、GKがこれをキャッチします。逆にその直後の37分には、左サイドからのクロスにアブドルアジズ・アル=ムクバリが頭で合わせてゴール!。アル・シーブはリードを2点に拡げます。

この辺りで既に「判断のスピード」、「パスを出すスピード」といった両チームの「スピード」の差が明らかになっていました。Mリーグでは一般的にDFが相手選手に速いプレスをかけることが少なく、攻撃側がパスを受けてから周りを見る時間が十分にありますが、この試合ではアル・シーブの選手の速い寄せに対してKLシティの選手が焦ってとりあえず蹴り出すという場面が何度も見られました。これはACLでJDTが浦和と対戦した時も顕著でしたが、この辺りはMリーグのクラブがアジアの舞台で戦う際の課題になりそうです。

試合に話を戻すと、このまま前半を2-0で折り返しましたが、試合開始直後を除くとKLシティは小劇の決め手を描き、FWジョーダン・ミンターではなくGKケヴィン・メンドーザを選んだことの影響が感じられる前半でした。

後半に入り、点差を詰めたいKLシティに対し。69分にアル・シーブはDFラインの裏へのパスに抜け出したオマーン代表FWムフセン・アリ=アルガッサニが、KLのDFをかわして3点目のゴール。KLシティは72分にペナルティエリアの外で得たFKにロメル・モラレスが頭で合わせるもアル・シーブのGKアフマド・アル=ラワが再び好セーブで防ぎ、KLシティはゴールを破れません。試合はこのまま進み、アル・シーブが3-0のスコア以上に完勝でオマーンのクラブとしてAFCカップ初優勝を飾っています。

試合後の記者会見でKLシティのボヤン・ホダック監督は、この試合のGKケヴィン・メンドーザが触れられずに直接ゴールとなった1点目のコーナーキックがこの試合の分岐点となったと述べています。「試合を通して、相手は決定機が2度しかなかったにもかかわらず、1点目となったGKのミスでこちらは3失点してしまった。アル・シーブのようなアジアのトップクラスのチームは、こう言ったミスを見逃してくれることは決してない。」と述べましています。また、外国籍選手枠でFWジョーダン・ミンターを起用し、GKにはケヴィン・メンドーザの代わりにマレーシア人のアズリ・アブドル・ガニを起用しなかったことを後悔していないかどうかを問われると、ホダック監督は準決勝でのPK戦セーブなどのおかげでチームは決勝に進出できたことから、MリーグのNo. 1GKであるケヴィン・メンドーザは決勝でプレーするのは至極当然なことであり、と答えています。

なお優勝したアル・シーブは優勝賞金として150万米ドル(およそ2億2300万’円)、準優勝のKLシティは75万米ドル(およそ1億1200万円)を獲得しています。またアル・シーブは、来季のACLグループステージの出場権も合わせて獲得しています。

AFCカップ2022決勝
2022年10月22日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
KLシティ(マレーシア) 0-3 アル・シーブ(オマーン
⚽️アル・シーブ:アリ・アル=ブサイディ(22分)、アブドルアジズ・アル=ムクバリ(37分)、ムフセン・アリ=アルガッサニ(69分)
🟨KLシティ(3):アクラム・マヒナン、ジャンカルロ・ガリフオコ、アンワル・イブラヒム
🟨アル・シーブ(3):モハメド・アル=ハブシ、アフメド・アル=シヤビ、モハメド・アル=ムサラミ

(以下はこの試合のスタッツ、先発XIとハイライト映像。スタッツと先発XIはAFCのTwitterから、またハイライト映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルから)


10月21日のニュース
MFLがスーパーリーグの今季ペストXIを発表

MFLがスーパーリーグの今季ペストXIを発表

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、元代表選手でMFL公式サイトにも寄稿するシャーロム・カリム氏が選んだ、1部スーパーリーグの今季ベストXIを公式サイトで発表しています。そこでマレーシアで最も好まれる4-3-3に合わせてシャーロム氏の選んだ11名に、ボラセパマレーシアJPの勝手なコメントを書き添えました。

GKシーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)

昨季所属したPJシティではカラムラ・アル=ハフィズの台頭によって出場機会が減り、押し出される形でヌグリスンビランに移籍したシーハン選手。しかしこの移籍が大正解でした。出場機会が増えたことでキム・パンゴン代表監督の目にも止まり、今年初めてA代表に招集されると6月のAFCアジアカップ2023最終予選や9月のキングズカップ(タイ)では、それまでの代表正GKファリザル・マーリアス(JDT)に代わって、代表ゴールを守りました。ここまでの活躍を見るとリーグベストGKという良rも今季のマレーシア人のベストGKと言えるでしょう。
 ちなみに今季のスーパーリーグで全22試合に出場したGKはこのシーハン・ハズミ、カイルル・ファーミ(サバ)、ケヴィン・メンドーザ(KLシティ)の3名ですが、クリーンシートはシーハン・ハズミとケヴィン・メンドーザが7、カイルル・ファーミが5となっています。ボラセパマレーシアJP的にはケヴィン・メンドーザが今季No.1ですが、マレーシア人選手に限ればシーハン選手が間違いなく現在のNo. 1のGKです。

DFラヴェル・コービン=オング(ジョホール・ダルル・タジムJDT)

左サイドバックを務めるラヴェル・コービン=オングは、今季はこれまで以上い安定したプレーをMリーグだけでなくACLや代表戦でも見せ、クラブにも代表にも欠かせない選手となりました。これまでは攻撃への意識が行きすぎて、たびたびオーバーラップした裏側を相手に取られる場面などもありましたが、今季はそういったことがほとんどなく、安心して見ていられるプレーぶりでした。JDTのリーグ9連覇達成に欠かせなかったコービン=オン選手の貢献度が高いことは、ACLなどでチームがローテーションを行う中、今季のスーパーリーグで全試合に先発したチーム唯一の選手であることからも分かります。

DFクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)

GKシーハン・ハズミ同様、ヌグリスンビランへの移籍が転機となったのがこのクザイミ・ピーです。昨季プレーしたUITMが1部で最下位となり2部に降格すると、それを入れ替わる形で昇格したヌグリスンビランへ移籍。そこからはシーハン選手同様、そのプレーぶりがキム代表監督の目に留まって、今年3月のシンガポールサッカー協会FAS主催の3カ国対抗戦で6年ぶりに代表に招集されました。4バックの左センターバックとしてポジションを勝ち取ると、6月のアジアカップ2023最終予選や9月のキングズカップでも主力として活躍しています。1部昇格初年度のヌグリスンビランは今季の失点がリーグ3位タイの26失点でしたが、DF陣の要にこのクザイミ選手がいたことが大きいでしょう。また攻撃の起点にもなれるDFでもあり、代表戦でも低く早いクロスでアシストを記録しています。

DFパぺ・ディアキテ(トレンガヌ)

東南アジアリーグの外国籍選手に多い長身のセンターバックですが。パぺ・ディアキテもそんな選手の1人。今季ベトナムのサイゴンFCから加入した、194cmとリーグ2位の長身を生かし、昨季のトレンガヌに欠けていた頼れるセンターバックとして、22試合中19試合に先発しています。ディアキテ選手は常に冷静なプレーでDF陣のリーダーを務め、チームが今季リーグ2位の失点20(22試合)となった原動力の1人です。

DFマシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジムJDT)

昨季末にヘルニアの手術を受け、今季の出場が危ぶまれていましたが、結局17試合に出場したマシュー・デイヴィーズ。JDTだけでなく、代表の右サイドバックとしてチームになくてはならない存在になっています。クラブと代表のいずれでもチームメイトのラベル・コービン=オング同様。積極的なオーバーラップから精度の高いクロスを上げる能力もあり、攻守のバランスが取れた選手です。

MFパク・タエスー(サバ)

本来のセンターバックあるいは守備的MFから今季途中に攻撃的MF的に起用されると、FW陣を押しのけてチーム最多の8ゴールを挙げています。もともとFKの上手い選手でしたが、過去2シーズンで3ゴールしか挙げていないパク選手のコンバートは大成功だったと言えるでしょう。
 最新のニュースでは、今季終了後に契約が切れる33歳のパク選手に対して、サバが契約を2年延長するオファーを行い、パク選手もこれに同意し、既に契約書にサインしたことが報じられています。2019年からサバでプレーするパク選手は、今回の契約で2024年までサバでプレーすることが決まっています。

MFレアンドロ・ヴァレスケス(JDT)

JDTのセカンドチーム、JDT II時代も合わせると今季が在籍5季目となるレアンドロ・ヴェラスケスはMリーグでもトップクラスの攻撃的MF。FKも良いし、シュート力もあり、33歳という年齢を全く感じさせないエネルギッシュな選手です。あえて今季の残念な点を挙げるとすれば、ACLグループステージの累積警告により、Jリーグ浦和とのノックアウトステージに出場できなかったことでしょう。ヴァレスケス選手がいたら、エクトル・ビダリオ監督もDFジョルディ・アマトのMF起用といった奇策を講じる必要もな句、浦和に冷や汗くらいは欠かせられたのではないかと悔やまれます。

MFペトラス・シテムビ(トレンガヌ)

トレンガヌにとっては欠かすことのできない選手ではありますが、今季のMリーグベストXIに入る選手かと言われれば、ボラセパマレーシア的にはこの人選に異論ありです。攻撃的MFとしては、少々物足りなく、前述のパク、ヴァレスケス両選手と比べると、正直なところ、少々見劣りする印象です。さらにこのポジションにはパウロ・ジョズエ(KLシティ)、マヌエル・イダルゴ(スリ・パハン)らもおり、やはりベストXIには該当しないのではないでしょうか。

FWベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)

今季19試合に出場し、2位のカイオン(スランゴール)に14ゴール差をつけ、リーグ新記録となる29ゴールを挙げたベルグソン・ダ・シルヴァ。ちなみのこの29得点は、8位のPJシティの今季チーム総得点22を上回っている他、マラッカ、サラワク、ペナンといった下位チームの今季チーム総得点をも上回っています。
 その強烈な左足から昨季も23ゴールを挙げながら、26ゴールを挙げたイフェダヨ・オルセグン(当時スランゴール、現マラッカ)にリーグ得点王の座を譲りましたが、今季はおるせ軍選手の作ったリーグ最多得点記録を更新して、得点王となりました。
 韓国のサッカーに詳しい方からは、韓国リーグでは成功しなかったと伺いましたが、フィジカルの強さよりも、スピードとポジション取りの巧みさでゴールを量産するタイプのベルグソン選手はMリーグの水に合っているのかもしれません。

FWアリフ・アイマン(JDT)

昨季はMリーグ史上最年少の19歳でリーグMVPを獲得したアリフ・アイマンも、今季を通じて着実に成長した右ウイング選手です。スピードに乗ったドリブルを武器に、右サイドを駆け上がってのクロスを前述のベルグソン選手が決める「ホットライン」は今季もJDTに多くのゴールをもたらしています。ボラセパマレーシアJP的には、もっと自分でゴールを狙ってもらいたい思いますが、そこはチーム内での役割もあるのかもしれません。また、今年20歳という年齢もあり、Mリーグでのプレーに満足せず、マレーシアを飛び出し、より厳しい環境でプレーしてもらいたい選手でもあります。

FWファイサル・ハリム(トレンガヌ)

絶対的なレギュラーに定着したことで、今季最も成長し選手と言えるファイサル・ハリム。158cmと小柄なことから愛称は「ミッキー」の左ウイングは、一度ピッチに立てば、スピードに加えて巧みなドリブル突破からクロスも上げられれば、自身でも積極的にシュートを打つ選手でもあります。今季の6ゴールも、もっと自己中になり、自身でシュートを打つ選択をしていればもっと増えていたはずです。来季はスランゴール移籍の噂もありますが、どこでプレーするにせよ、来季は2桁ゴールを狙って欲しい選手です。

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今回の11名は終了したばかりのスーパーリーグ上位4チームのみから選ばれており、チームの好成績に貢献した選手という意図があるかもしれません。そう言ったものを払拭してボラセパマレーシアJPが選ぶとすれば、DFはパぺ・ディアキテの代わりにジャンカルロ・ガリフオコ(KLシティ)、MFはペトラス・シテムビの代わりには、前述したパウロ・ジョズエ(KLシティ)やマヌエル・イダルゴ(スリ・パハン)、パク・タエスーの代わりにはブレンダン・ガン(スランゴール)あたりが選ばれても良いのではないかと思います。

10月19日のニュース
AFCがFIFAと共同でマレーシアにスタジアムを建設
AFCカップ決勝-KLシティサポーターからはキックオフ時間変更を求める声が上がる

AFCがFIFAと共同でマレーシアにスタジアムを建設

アジアサッカー連盟AFCは、マレーシアのプトラジャヤにサッカー専用スタジアムとなるAFCスタジアムを建設すること公式サイト上で発表しています。

15.43エーカー(東京ドームおよそ1.3個分)の敷地に建てられるスタジアムは1万人収容の観客席や地下駐車場を持ち、また同じ敷地内にはAFCの事務局も入るということです。なお、このスタジアムの建設はFIFAがその資金を支援し、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府もこの建設を資金以外の面から支援するということです。

FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長も出席したAFCの執行委員会で発表されたこの計画について、AFCのシャイフ・サルマーン会長は、「これまで技術向上や審判育成のためのコースやワークショップ、セミナーはAFCハウスがその活動の中心だったが、この新たなAFCスタジアムが完成すれば、より多くの活動が行えると期待している」と述べ、今回のスタジアム建設を支援するFIFAとマレーシア政府に感謝の意を表しています。

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このスタジアムが建設されるマレーシアの連邦直轄地プトラジャヤは、各省庁やその関連政府機関が集まる行政の中心地です。現在、AFCの本部であるAFCハウスがあるクアラルンプールからは30kmほど離れており、そこに住んでいるのは政府関係機関の職員とその家族が大半となっている場所です。もともとは何もなかった土地を切り開いて作った人工都市なので、土地は余っているのでしょうし、国外から来る場合にはクアラルンプール国際空港も近く便利なのだと思います。ただこのスタジアムで、マレーシアの標準キックオフ時間の午後9時開始の試合があったら、よほどのことがない限り、見に行く気力はないなぁ。

AFCスタジアムの完成予想シミュレーションなども見られる元記事はこちらです。

AFCカップ決勝-KLシティサポーターからはキックオフ時間変更を求める声が上がる

今週土曜日の10月22日には、マレーシアのクアラ・ルンプールにあるブキ・ジャリル国立競技場で今季のAFCカップ決勝が開催され、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティがオマーンのアル・シーブクラブと対戦します。

2015年のジョホール・ダルル・タジムJDT以来、東南アジアのクラブとしては2チーム目の優勝を狙うKLシティですが、そのサポーターからキックオフ時間の変更を求める声が上がっていると、サッカー専門サイトの ヴォケットFCが伝えています。

10月22日の決勝は、午後7時期キックオフと発表されていますが、実はこの時間、マレーシアの国境でもあるイスラム教の日没後の礼拝時間に近く、国内サッカーファンの大半はイスラム教徒であることから、キックオフ時間の変更を求める声が上がっています。

イスラム教では1日5回の礼拝が義務付けられていますが、その中に日没後の礼拝Maghrib「マグリブ」があります。礼拝の時間は時期や地域によって微妙に変わりますが、ちなみにこの記事を書いている10月19日のクアラ・ルンプールのマグリブの時間は午後7時1分(1日の礼拝時間は、マレーシアで毎日、新聞に掲載されています)

礼拝の時間とあまりに近いキックオフ時間はムスリム(イスラム教徒の別称)の配慮が足りないとして、KLシティのサポーターは、クラブとマレーシアサッカー協会FAMに対し、AFCにキックオフ時間の再考を促すよう求めています。

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実際にSNS上でもこういった投稿は散見され、KLシティのクラブ公式Facebook上でも、8時、いや7時30分で良いのでキックオフ時間を変更して欲しい、といった投稿が複数見られます。

今回の決勝は、VARを導入することを決めたAFCが、VARを使用するには照明の明るさが足りないことを理由に、試合会場をKLシティのホームのKLフットボールスタジアムからブキ・ジャリル国立競技場へと変更しています。従来のホームで試合ができなくなったことで、KLシティサポーターからは不満が出ていたところに今回のキックオフ時間の件が重なり、不満がさらに増幅している印象です。決勝まで後3日ですが、AFCがこれを無視するのか、サポーターの声を聞くのか。なお、決勝のチケットは既に一昨日から販売が始まっています。


Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン最終節第22節結果とハイライト

10月15日にMリーグ1部スーパーリーグの今季最終節となる第22節が行われました。ジョホール・ダルル・タジムJDTのリーグ9連覇が既に決まっていますが、来季2023年シーズンのAFCカップ出場権が与えられる2位争いは熾烈で今節までもつれ込んでいました。前節まで2位のサバはJDTに敗れて勝点42のままの一方で、勝点差1で3位に付けていたトレンガヌは7位クダに改称して勝点44、同じ勝点差1でサバを追っていた4位のヌグリスンビランは8位のスリ・パハンに敗れて勝点41のままとなり、トレンガヌが2位となりAFCカップ出場権を獲得しています。
 また今節でスーパーリーグの最終順位が決定したことで、10月25日に開幕するマレーシアカップの対戦カードも確定しています。

2022年10月15日@シティースタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナン 1-1 スランゴール
⚽️ペナン:ラファエル・ヴィトール(31分)
⚽️スランゴール:ノル・ハキム(36分)
🟨ペナン(1):アブドル・アジム・ラヒム
🟨スランゴール(3):ハリス・ハイカル、ジクリ・カリリ、ヤザン・アル=アラブ
🟥スランゴール(1):シャールル・ナジーム
MOM:ラファエル・ヴィトール(ペナン)
 目標は既にマレーシアカップへ
 ボールを蹴るたびに水しぶきが上がる、田んぼのようなピッチでの試合は、10人となったスランゴールが追いつき引き分けに終わっています。
 スランゴールは29分、自陣ペナルティエリア内でハンドの反則を犯したシャールル・ナジームがペナンにPKを与えるとともに退場となり、早々と10人での戦いを強いられます。タン監督が標榜するショートパスを繋ぐサッカーもこのピッチでは機能せず、最下位が確定しているペナンを相手に同点にするのが精一杯。タン監督就任から続いた連勝も3でストップしています。それでも一時は9位まで下がったスランゴールでしたが、今季を5位で終えています。
 この試合でも先発し、ケガのブレンダン・ガンに代わりキャプテンを務めたムカイリ・アジマルは20歳11ヶ月でトップチームでの50試合出場を達成しましたが、これはザイナル・アビディン・ハサン前ペナン監督に続くクラブ史上最年少2位の記録になっています。
 最終節となったこの試合前に、ペナンは途中退任のトマス・トルチェ監督に代わってここまで指揮を取ってきたザイナル・アビディン・ハサン監督の「休養」と、マンズール・アズウィラ コーチの昇格を発表しました。2020年にペナンが2部プレミアリーグで優勝した際には監督として指揮をとりながら、1部スーパーリーグで指揮を取るのに必要なAFCプロライセンスを保持していなかったことから、コーチにとどまっていましたが、現在はライセンスを取得したということかも知れません。いずれにしても、本来なら1部でも指揮を取り続ける予定だったマンズール監督ですので、マレーシアカップではそのお手並み拝見、となりそうです。

2022年10月15日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 1-0 マラッカ・ユナイテッド
⚽️サラワク:ボリス・コック(86分)
🟨サラワク(3):ノル・アジジ・ラムリー、ラジャ・イムラン・シャー、ボリス・コック
🟨マラッカ(1):ワン・アミルル・アフィク
MOM:ボリス・コック(サラワク・ユナイテッド)
 この試合で両チームは見納め?
 スーパーリーグで12チーム中、来季の国内クラブライセンスが交付されないことが発表された2チームが対戦する皮肉なカードとなったこの試合は、既に両チームとも順位が確定している状況でしたが、11位のサラワクが10位のマラッカを破っています。
 マラッカは、給料未払い問題が未解決なことから、リーグ戦後に開幕するマレーシアカップへの出場権剥奪処分をMFLより受けており、この試合で今季の全日程が終了したことになります。

2022年10月15日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 1-0 KLシティ
⚽️PJシティ:ダレン・ロック(40分)
🟨PJシティ(1)):ザイナル・アビディン・ジャミル
🟨KLシティ(2):カマル・アジジ、イルファン・ザカリア
MOM:ダレン・ロック(PJシティ)
 ホームで優秀の美
 PJシティがチーム得点王ダレン・ロックの今季10得点目、マレーシア人選手としてはリーグ最多となるゴールで上げた1点を守り切って、2連勝でリーグ戦を終えています。スーパーリーグ唯一の外国籍選手が1名もいないクラブながら、リーグ戦最後は2連勝で順位も9位と大健闘しました。
 KLシティは来週10月22日にAFCカップ決勝を控えているからか、ここまで全試合に先発してきたキャプテンのパウロ・ジョズエと、守備の要のイルファン・ザカリアがベンチスタート。特にスーパーリーグ屈指のMFパウロ・ジョズエを欠いたチームは単調な攻撃を繰り返しては、PJシティのDF陣に跳ね返される展開が続きました。後半からこの両選手が交代出場したものの、その流れは変えられず、PJシティとは逆に2連敗で今季を終え、最終順位は6位でした。

2022年10月15日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 2-0 ヌグリスンビラン
⚽️スリ・パハン:デヴィッド・ローリー2(28分、47分)
🟨スリ・パハン(4):ノル・アザム・アジー、バキウディン・シャムスディン、シェルゾド・ファイジエフ、ママドゥ・サマサ
🟨ヌグリスンビラン(3):サイフル・リズアン・スラマット、イズディン・ロスラン、ナスルラー・ハニフ
🟥ヌグリスンビラン(1):ナスルラー・ハニフ(🟨x2)
MOM:デヴィッド・ローリー(スリ・パハン)
 逆転2位ならず。
 2位のサバに勝点差1の4位でこの試合を迎えたヌグリスンビランは、この試合に勝てば他力ながら、AFCカップの出場権が懸かる2位の可能性もありましたが、8位のスリ・パハンに敗れ、最終順位は4位と変わりませんでした。
 この勝利で最終順位を一つ挙げて7位としたスリ・パハンは、マレーシアカップからはマレーシア国籍を取得した英国出身のリー・タックとアルゼンチン出身のエセキエル・アグエロ両選手の出場が可能となります。ヌグリスンビランとの試合で2ゴールを挙げたオーストラリア出身のデヴィッド・ローリー、英国出身のニック・スワイラッドとともに帰化選手が4名となり、外国籍選手5名と合わせた布陣はさながら「リトルJDT』とも言えそうで、マレーシアカップの台風の目となりそうです。

2022年10月15日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ 0-3 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:ファイサル・ハリム(4分)、チェチェ・キプレ2(16分、74分)
⚽️クダ:デシ・マルセル(88分)
🟨ヌグリスンビラン(0)
🟨マラッカ(0):
MOM:チェチェ・キプレ(トレンガヌ)
 9連勝でAFCカップ出場権獲得。
 一時はリーグ最下位、前半戦を終えて7位だったトレンガヌは、ナフジ・ザイン監督の解任なども噂れる事態でしたが、最後はリーグ戦破竹の9連勝で逆転2位となり、来季のAFCカップ出場権を獲得しています。今季大成長し、代表でもレギュラー定着が見えてきたファイサル・ハリムのゴールで開始4分に先制したクダは、昨季はクダに在籍したチェチェ・キプレの2ゴールで勝利を確定しています。
 2020年、2021年シーズンはいずれもJDTに次ぐ2位だったクダですが、クダ一筋だったキャプテンのバドロル・バクティアル、代表DFのリザル・ガザリ(いずれもサバへ移籍)、さらに2トップのクパー・シャーマン、チェチェ・キプレ(いずれもトレンガヌへ移籍)を失って、リーダー不在、攻撃力欠如、といった開幕から懸念されてきた不安が最後まで解消されないシーズンでした。さらに年間を通してケガ人も多く、この試合でも今季13ゴールのエース、ロナルド・ンガがケガのため出場できないなど「シンガポールのグラディオラ」ことアイディル・シャリン監督の攻撃的サッカーも、人材を欠いては機能しませんでした。

2022年10月15日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 3-0 サバ
⚽️JDT:ベグルソン・ダ・シルヴァ2(17分、55分)、アリフ・アイマン(39分)
🟨JDT(0)
🟨サバ(1):アルト・リナス
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 堅守してきた2位から最後に陥落
 既に優勝を決めているJDTが、リーグ新記録となる29得点となるゴールを挙げたベルグソン・ダ・シルヴァの活躍などで優秀の美を飾っています。
 後半戦ではこれまで2位を堅持してきたサバは、最終節で敗れ、勝点差1で3位につけていたトレンガヌが勝利したため、逆転されて3位に後退、スーパーリーグ2位に与えられるAFCカップ出場権を逃しています。2位を維持しながらもシーズン終盤の9月、10月で1勝1分4敗と調子を落とし、第20節の直接対決でも敗れたトレンガヌに2位の座を明け渡しています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発し、76分に交代しています。

2022年シーズン スーパーリーグ 最終順位表

チーム勝点
1JDT22175061124956
2TRE22142839201944
3SAB22133636261042
4NSE2212553326741
5SEL228683933630
6KLC228593031-129
7SRP2284103331228
8KDA2283113241-927
9PJC226882230-826
10MEL2246122243-2118
11SWU2252151950-3117
12PEN2225152245-2311
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 最終得点ランキング

ゴール数選手名所属
129ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
214カイオンSEL
313フェルナンド・フォレスティエリJDT
13ロナルド・ンガKDA
13チェチェ・キプレPJC
511グスタヴォNSE
610ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

10月13日のニュース
来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず
国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も
AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季Mリーグ1部スーパーリーグ所属の10クラブと2部プレミアリーグ所属の6クラブに対して、来季2023年シーズンの国内クラブライセンスが交付されたことを発表しています。またスーパーリーグ所属のマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドの2クラブは、交付条件を満たしていないとして、今回の交付が見送られたことも併せて発表しています。

MFLは、国内リーグ戦の試合数が少ないというFIFAの指導を受け、現在のスーパーリーグとプレミアリーグを統合して、来季は新たにスーパーリーグを再編することを発表しています。今季はスーパーリーグが12チーム、プレミアリーグは10チーム(ただし、統合の対象となるのは6チーム)で編成されており、新スーパーリーグは18チーム編成となる予定でしたが、これでマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドを除いた16チーム編成となる可能性がでてきました。

MFLは、マレーシアフットボール協会FAMからマレーシアにおけるクラブライセンス制度の制定および運用の委任を受けており、マレーシアにおけるライセンス交付機関としてMリーグのクラブライセンス制度を運営し、Mリーグのクラブに対して国内クラブライセンスを交付します。なお、国内クラブライセンスの交付判定については、MFLから独立した第三者機関であるクラブライセンス交付第一審機関FIBが行っていますが、このFIBが今回、国内クラブライセンスが交付されなかった2クラブについて、その理由を説明しています。

マラッカ・ユナイテッドについては、選手や監督、コーチに対して未払いとなっている今年8月分の給料支払い証明が提出されておらず、さらにクラブの経営状況を示す複数の書類も未提出になっているということが、今回、FIBが国内クラブライセンスを交付しなかった理由としています。またサラワク・ユナイテッドについては、書類の不備に加え、FIFAの紛争解決室DRCが決定した、旧所属2選手の延滞債務も完済されていないことが理由としています。(なおこの「かつて所属した2選手」とは、このブログでも取り上げたサンドロ・ダ・シルヴァテイラー・リガンの両選手です。)

なお、今回の交付見送りに対して、マラッカ・ユナイテッド、サラワク・ユナイテッドとも、10月19日までに再度の国内クラブライセンス交付申請が可能となっていることも併せて発表されています。

*****

今回、国内クラブライセンス交付を見送られた2クラブについて、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、来季は2部プレミアリーグが開催されないことから、両クラブはアマチュアフットボールリーグAFLが統括する3部リーグのM3リーグでのプレーが可能と述べています。ただし、その場合にはM3リーグがMFLの管轄外であるため、最終決定はAFLが行うということです。

国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も

マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は10月10日付で下院解散を発表しました。これに伴う総選挙は、解散後60日以内に開催することが憲法で定められていますが、11月中旬になると各地で洪水を引き起こす北東モンスーンが到来することから、11月上旬の開催が有力視されています。 そしてこの総選挙日程が、10月25日開幕予定のマレーシアカップの開催日程にも影響を及ぼす可能性があると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

Mリーグを運営するMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、Mリーグでのグループステージでは各スタジアムで多くの観衆が足を運ぶと期待されているとして、そのスタジアム警備が総選挙の日程次第では手薄になってしまう懸念があると述べています。

「各スタジアムの警備や安全維持は警察が行っているが、総選挙の開催日程次第では、全国で行われる総選挙の投票会場に多くの警察官が配備されることはもちろん、その前の選挙運動期間中も様々な形で警察が動員される可能性がある。MFLとしては、10月20日に選挙委員会が日程を決定するために行う会議での発表を待ちたい。」と述べています。

AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

ACL決勝を新国立競技場開催の話となんだか似ているなぁ。

10月22日に行われるAFCカップ決勝は、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティとオマーンのアル・シーブクラブが対戦しますが、その試合会場が当初予定されていたKL指定の本拠地、KLフットボールスタジアムからブキ・ジャリル国立競技場へ変更されたと、マレーシア語紙のブリタ・ハリアンが報じています。

AFCカップを主催するアジアサッカー連盟からの公式発表は未だないものの、KLシティのボヤン・ホダック監督によると、「技術的な問題」により試合会場が変更されたと説明しています。

「AFCは、決勝戦ではVARを採用するとしており、そのためにはスタジアム内の照明が1800ルクス以上であることが条件となるが、KLフットボールスタジアムの照明はその条件を満たしていないことから、試合会場が変更となった。」と述べる一方で、「選手たちも自分も慣れ親しんだKLフットボールスタジアムでの試合を望んでいたが、技術的な問題ではどうしようもなく、我々はブキ・ジャリルで試合をせざるを得なくなった。」とも話しています。

*****

レバノンのアル・アヘドFCと北朝鮮の4.25体育団が対戦した2019年のAFCカップ決勝は、やはりこのKLフットボールスタジアムで開催され、アル・アヘドFCが1-0で勝利していますが、この時はまだ、VARはAFCカップには導入されていなかったのかな。

This is the second time KL City has played at Bukit Jalil National Stadium in the final after winning the Malaysia Cup last year.

Previously, the Cheras Football Stadium hosted the AFC Cup final when the Lebanese club, Al-Ahed defeated the North Korean club, April 25 1-0 in 2019.

Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第21節結果とハイライト

10月11日にMリーグ1部スーパーリーグの第21節が行われています。既にジョホール・ダルル・タジムのリーグ9連覇が決まっているものの、3チームが勝点1差の中にひしめく2位争いは今節でも決着がつかず、最終節第22節に持ち越されています。なお最終節は今週末の10月15日(土)に全試合午後9時キックオフ(マレーシア時間)で開催されます。

2022年10月12日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 0-1 スランゴール
⚽️スランゴール:ハイン・テット・アウン(71分)
🟨スランゴール(1):ファズリ・マズラン
🟨サラワク(3):アブドル・ラーマン・イスマウィ、チャントゥール・スピア、スチュアート・ウォーク
MOM:ムカイリ・アジマル(スランゴール)
 3連勝で今季初の5位浮上。
 タン・チェンホー監督就任後2連勝のスランゴールが、引き分けを挟んで5連敗中のサラワクと対戦。6月19日の第10節の同じカードでは、サラワクに7-0と圧勝しているスランゴールがこの日も試合を優位に進めるも、サラワクもスランゴールのミスに付け込み好機を作るなど、スランゴールにとってはフラストレーションの溜まる展開が続きます。試合が動いたのは71分、アレクサンダー・アギャルクワがサラワクDFラインの裏に出した絶妙なパスを受けたハイン・テット・アウンが相手GKを交わしてこの試合唯一のゴール!3試合連続完封勝ちのスランゴールが、順位を今季最高位となる5位に上げています。一方のサラワクは、今季11試合目の完封負けで、今季の最終順位が11位に確定しました。

2022年10月12日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 1-2 サバ
⚽️スリ・パハン:スティーヴン・ロドリゲス(85分)
⚽️サバ:ドミニク・タン(89分)、パク・タエス(90+2分)
🟨スリ・パハン(5):ムスリム・アフマド、アズワン・アリピン、シェルゾド・ファイジェフ、スティーヴン・ロドリゲス、ズハイル・アイザット
🟨サバ(4):N・タナバラン、パク・タエスー、ゲイリー・スティーヴン・ロバト、ラウィルソン・バトゥイル
MOM:カイルル・ファーミ(サバ)
 土壇場の決勝ゴールで2位死守。
 現在2位のサバは、トレンガヌとヌグリスンビランの猛追を受け、勝点差1まで迫られています。しかも、10月15日の最終節では既に今季のリーグ優勝を決めているJDTとの対戦が残っており、2位死守のためには下位のチーム相手の試合では勝点3を積み上げたいところです。そのサバは敵地で8位のスリ・パハンと対戦しています。
 8位とは言えタレント揃いのスリ・パハンは、守備では197cmの長身GKママドゥ・サマサが立ちはだかり、攻撃ではリーグNo.1の攻撃的MFマヌエル・イダルゴ、そして今季途中加入ながら8ゴールを挙げているFWスティーヴン・ロドリゲスらをサバDFがかろうじて防ぐ展開で試合が進みます。
 そしてこのまま引き分けかと思われた85分、ホームのスリ・パハンがスティーヴン・ロドリゲスが2試合連続となる今季9ゴール目を決めて、リードを奪います。負ければ一気に4位転落の可能性もあるサバは、ここから反撃に出て、89分には右サイドのサディル・ラムダニからのクロスをゴール左で加賀山泰毅選手が折り返したところを、ドミニク・タンが押し込んで同点とします。
 この試合では引き分けではなく勝利が必要なサバは、さらにゴールを目指し、ロスタイムとなった90+3分には、加賀山泰毅選手の左サイドからのクロスをゴール前でドミニク・タンが後ろへ流し、そのボールをパク・タエスーがゴール右隅に蹴り込んで逆転し、そのまま逃げ切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は62分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

2022年10月12日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 2-0 ペナン
⚽️PJシティ:フィレモン・スタンドリ(18分)、マハリ・ジュスリ(86分)
🟨PJシティ(0)
🟨ペナン(3):カイルル・アクマル、アディプ・ラオプ、スクリ・ハミド
MOM:マハリ・ジュスリ(PJシティ)
 ペナンは今季の最下位が確定。
 PJシティがマハリ・ジュスリの活躍で最下位のペナンに勝利しています。18分にこの試合1点目となるフィレモン・スタンドリのゴールをアシストしたマハリ・ジュスリは、試合終了間際の86分には、ゴール前の混戦からのこぼれ球を押し込んで、今季2点目を挙げています。
 エンドリックら主力の外国籍選手をケガで欠いたペナンは、ヒラル・アルヘルウェが一人気を吐いたものの、サポートが得られず無得点で敗れ、今季の最下位が確定しています。

2022年10月12日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティ 1-2 トレンガヌ
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(64分)
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(39分)、チェチェ・キプレ(45+2分)
🟨KLシティ(4):ライアン・ランバート、ハディン・アズマン、イルファン・ザカリア、アリフ・シャキラン
🟨トレンガヌ(2):ニック・シャリフ・ハセフィ、ズアシュラフ・ズルキフリ
MOM:ケヴィン・メンドーザ(KLシティ)
 2位争いに猛追。
 およそ10日後にAFCカップ決勝を控えるKLシティが、2位のサバを勝点差1で追うトレンガヌをホームに迎えての一戦は、この試合前まで7連勝と2位のサバを猛追するトレンガヌが前半で挙げたリードを守りきって勝利しています。
 39分にマヌエル・オットのゴールで先制したトレンガヌは、前半終了間際の45+2分にチェチェ・キプレがヘディングシュートを決めてリードを広げます。KLシティも得意のセットプレーからトレンガヌゴールを狙いますが、ここまでの20試合で18失点のトレンガヌDF陣がことごとくクリア、またゴールポストに嫌われる場面もあり、64分にロメル・モラレスのゴールで1点を返すのが精一杯でした。

2022年10月12日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-0 マラッカ・ユナイテッド
⚽️ヌグリスンビラン:ナスルラー・ハニフ(28分)、グスタヴォ(84分)
🟨ヌグリスンビラン(0)
🟨マラッカ(3):ファウザン・ファウジ
MOM:グスタヴォ(ヌグリスンビラン)
 こちらも負けじと2位争いに残る。
 2位のサバとは勝点差1、また3位のトレンガヌと勝点差なし、得失差で4位となっているヌグリスンビランは、給料未払い問題未解決のため、リーグ戦後のマレーシアカップ出場権を剥奪されているマラッカを本拠地に迎えた試合は、終始優位を保ったヌグリスンビランが危なげなく勝利し、2位争いに残っています。

2022年10月12日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 4-1 クダ
⚽️JDT:ベグルソン・ダ・シルヴァ2(50PK分、89分)、シャフィク・アフマド2(63分、67分)
⚽️クダ:ロナルド・ンガ(45分)
🟨JDT(1):ベルグソン・ダ・シルヴァ
🟨クダ(4):へシャムディン・アフマド、マフムード・アル=マルディ、カイル・アズリン、ロナルド・ンガ
MOM:シャフィク・アフマド(JDT)
 再生映像を見ているよう。
 1週間前の10月4日にクダの本拠地で行われたこのカードは、クダがロナルド・ンガのゴールで先制するも、JDTがベルグソン・ダ・シルヴァのゴールで追いつと、さらに追加点を挙げてクダに勝利しています。
 JDTの本拠地に舞台を移して行われたこのカードは既視感のあるような展開でした。前半終了間際の45分にマフムード・アル=マルディのパスに抜け出したエースのロナルド・ンガが技ありのチップキックでゴールを決め、でクダが先制し、前半を折り返します。しかし50分に自陣ペナルティエリア内でクダのロクマン・ハキムが痛恨のハンド。これで得たPKをエース、ペルグソン・ダ・シルヴァが決め、JDTが後半早々に同点に追いつきます。あれ?ここまでの展開は先週と同じ?
 前回の対戦では、同点に追いつかれたクダがプレッシャーに押しつぶされるようにミスを繰り返しましたが、この試合では、63分にはFKを得たJDTが素早いリスタートで、クダDF陣の反応が遅れる中、シャフィク・アフマドが逆転ゴールを決め、さらにその3分後にもシャフィク・アフマドがいわゆるボールウォッチング状態のクダDFのマークを外して連続ゴールを決め、クダを突き放します。さらに試合終了前の89分にはベルグソン・ダ・シルヴァがヘディングシュートが決まり、JDTが4-1で勝利しています。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第21節終了時)

チーム勝点
1JDT21165058124653
2SAB21133536231342
3TRE21132636191741
4NSE2112543424941
5SEL218583832629
6KLC218583030029
7KDA2183103138-727
8SRP2174103131025
9PJC215882130-923
10MEL2146112242-2018
11SWU2142151850-3214
12PEN2124152144-2310
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第21節終了時)

ゴール数選手名所属
127ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
214カイオンSEL
313フェルナンド・フォレスティエリJDT
13ロナルド・ンガKDA
511チェチェ・キプレPJC
11グスタヴォNSE
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド