8月29日のDPMM戦で今シーズン3試合目にして初勝利を挙げたクアラルンプールシティ(KLシティ)。そのKLシティの会長が、不戦敗となった第1節ヌグリスンビラン戦について、リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)に処分の再検討を求める書簡を送ると話しています。MFLは、ヌグリスンビラン戦の試合出場登録選手がリーグ規定の20名(GK2名を含む)を下回る12名だったことを理由に、KLシティの不戦敗という処分を下しています。
なおKLシティは試合当時のキックオフおよそ6時間前に、選手やコーチなど関係者15名がインフルエンザに感染したことをMFLに報告し、これを理由に8月22日の試合の延期を申請していました。しかしMFLは、この延期申請がKLシティが選手不足から試合を回避するために出されたと判断し、試合結果をヌグリスンビランの3−0での勝利とすることを発表しています。
その一方でMFLは、7日後の8月29日に行われた第6節のクチンシティ戦では、KLシティから出された特別申請を承認して、ベンチ入り11名での試合開催を許可しています。なお、この試合は先発10名、控え1名で臨んだKLシティがクチンシティに0-6で敗れています。
KLシティのサイド・ヤジド会長は、 MFLが不戦敗としたヌグリスンビラン戦についてインフル感染の証拠はあるとして、不戦敗処分の取り消しと試合のやり直しを求めたいと話しています。
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MFLがベンチ入り11名での試合開催を8月29日に許可している以上、それを上回る12名が試合出場登録されていた8月22日の試合を「選手不足」を理由にして、一方的に不戦敗にすることは筋が通りません。果たしてMFLがどのような結論を下すのか。際試合となっても、処分が変わらなくても、MFLに対するモヤモヤは残りそうです。
皆川佑介選手はデビュー戦ゴールもチームは敗戦
マレーシア語で「9つの国」という意味を表すヌグリスンビラン。これはマラッカ海峡を挟んだスマトラ島からの移ってきたミナンカバウ人が立ち上げた9つの小国の集まりに由来します。その小国の一つナニン(Naning)と、隣接するマラッカを支配していた英国との間で19世紀前半に紛争が起こりました。マレーシアの歴史では「ナニン戦争」と呼ばれる争いは、英国がナニンを鎮圧して終了、ナニンはマラッカに併合され、現在に至ります。
そしてこのような経緯から、マラッカ対ヌグリスンビランの試合は「ナニン・ダービー」と呼ばれるマレーシアのダービーマッチの一つとなっています。今回のナニンダービーでは、第1節では不戦勝により勝利したものの、この試合が実質的な開幕戦となるヌグリスンビランと、初戦はトレンガヌに0-3と完敗したマラッカが対戦しました。
今シーズンのマレーシア1部スーパーリーグの外国籍選手枠は、保有できる選手の上限は15名で、ピッチ上では無条件4名、アジア枠1名、アセアン(東南アジア)枠1名の合計6名が同時に出場可能です。5名の日本人選手を抱えるヌグリスンビランで今シーズンから指揮を取るダニエル・ヒメネス監督が初戦にどのような布陣で臨むのかが気になっていました。この試合では、ケガが伝えられていた佐々木匠選手はベンチ外だったものの、元日本代表の肩書きを引っ提げて加入した皆川佑介(カンボジア1部ナガワールドから加入)、常安澪、平野佑一の3選手は先発XIに名を連ね、昨シーズンチーム得点2位のFWヨヴァン・モティカ(ボスニア)、DFパク・イヨン(カンボジア1部プノンペン・クラウンから加入)がその他の外国籍選手でした。
一方のマラッカにとって今シーズン初のホーム開催となったこの試合ですが、公式発表が終わっていたFC大阪との契約を解除してマラッカへ加入した浅野崇斗選手(前ミャンマー1部ヤンゴン・ユナイテッド)はベンチ外でした。
試合はマラッカが積極的に仕掛け、開始3分にはマラッカがマレーシアリーグでプレーする7クラブ目となるクパー・シャーマンのヘディングシュートが惜しくもポストに阻まれるなど、好機を作ります。
徐々にペースを掴み始めたヌグリスンビランは、20分に平野佑一のサイドチェンジから左サイドのハイリー・ハキミへボールが渡ると、そこからパスを受けた常安澪が相手DFを絶妙のドリブルでかわしてゴール前の皆川佑介へクロス。元日本代表はこれを落ち着いて決めて、ヌグリスンビランが先制します。
しかし33分には右コーナーキックから、フリーにしてしまったノエル・アグブレに簡単にヘディングシュートを決められて、試合は1−1で前半を終了します。
後半の51分には、カウンターから抜け出したクパー・シャーマンを止めようとチャージしたキャプテンのクザイミ・ピーがこの試合2枚目のイエローで退場、ヌグリスンビランは残り40分近くを10人でのプレーを強いられます。
それでもマラッカの攻撃に耐え続けたヌグリスンビランですが、決勝点をアディショナルタイムに許してしまいます。90+3分に中央突破を図るクパー・シャーマンに大城蛍らDF陣が振り切られると、シャーマンからのパスに走り込んできたクリスチャン・デ・ソウザがこれを押し込んでゴール!土壇場の逆転ゴールでマラッカは今シーズン初勝利を挙げています。
試合に敗れましたが、ヌグリスンビランで目についたのは常安澪選手でした。昨シーズンはスーパーサブ的な起用が多く、先発はほとんどありませんでしたが、ヒメネス監督に変わった今シーズンは、豊富な運動量とドリブルでレギュラーに近づいているようです。個人的には注目しているアキヤ・ラシド(ジョホールからローン移籍で加入)との左右ウイングが機能すれば、自ずとチームの得点力もあがでしょう。
マレーシアスーパーリーグ2026/27 第2節
2026年8月30日@ハン・ジェバ・スタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ2-1 ヌグリスンビラン
⚽️マラッカ:ノエル・アグブレ(33分)、クリスチャン・デ・ソウザ(90+3分)
⚽️ヌグリスンビラン:皆川佑介(20分)
MOM:ラマダン・サイフラー(クチンシティ)
第1節では加入後いきなり先発してフル出場したマラッカの浅野崇斗は、この試合はベンチ外でした。
ヌグリスンビランの常安澪、平野佑一、皆川佑介の3選手は先発し、常安、平野両選手は57分に交代、皆川選手は80分に交代しています。大城蛍選手は常安選手と交代して試合終了までプレーしています。佐々木匠選手はケガのためベンチ外でした。
2026/27 マレーシアスーパーリーグ順位表(8月31日現在)
| 順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ジョホール | 3 | 3 | 0 | 0 | 19 | 0 | 19 | 9 |
| 2 | クチンシティ | 3 | 2 | 0 | 1 | 12 | 3 | 9 | 6 |
| 3 | スランゴール | 2 | 2 | 0 | 0 | 7 | 1 | 7 | 6 |
| 4 | サバ | 2 | 2 | 0 | 0 | 5 | 1 | 4 | 6 |
| 5 | ヌグリスンビラン | 2 | 1 | 0 | 1 | 4 | 2 | 2 | 3 |
| 6 | トレンガヌ | 2 | 1 | 0 | 1 | 3 | 3 | 0 | 3 |
| 7 | DPMM | 2 | 1 | 0 | 2 | 1 | 2 | 0 | 3 |
| 8 | マラッカ | 2 | 1 | 0 | 1 | 2 | 4 | -2 | 3 |
| 9 | KLシティ | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 1 | -9 | 3 |
| 10 | ペナン | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | -3 | 0 |
| 11 | スターシティ | 2 | 0 | 0 | 2 | 1 | 10 | -9 | 0 |
| 12 | クランタン | 3 | 0 | 0 | 3 | 1 | 18 | -17 | 0 |
