鈴木ブルーノ選手がSNSで引退を表明しました。昨季はペナンでプレーし、今季は古巣のPDRMに加入する報道が出ていましたが、PDRMが運営資金などの問題からスーパーリーグ撤退を表明したことから、鈴木選手の去就については何もニュースがありませんでした。
当地の英字紙ニューストレイツタイムズでも報じられていますが、2017年に当時は2部プレミアリーグのヌグリスンビランに移籍した鈴木選手は、このシーズンはリーグ戦19試合に出場し、リーグ8位タイとなる11ゴールを挙げてチーム得点王(チーム全体では37ゴール)となるとともに、チームの1部昇格の立役者の1人となるセンセーショナルなデビューを果たし、それ以来、途中2022/23シーズンのタイでのプレー期間を挟んで、マレーシアリーグでプレーしてきました。今後はコーチに転向するということですが、日本、マレーシア、タイ、シンガポールと様々な国で得た経験を活かして、マレーシアサッカーに関わって欲しいです。
閑話休題。マレーシアスーパーリーグ第6節の2試合が行われています。第6節が予定されている10月30日から11月1日にかけては、ACLエリートのリーグステージ、そしてACL2のグループステージで第3節と第4節がこの前後に予定されています。このためACLエリートに出場するジョホールと、ACL2に出場するクチンシティのために日程を前倒して行われたのがこの2試合です。(試合のハイライト映像はいずれもマレーシアンフットボールリーグMFLのYouTubeチャンネルより。)
ベンチ入り11名のKLシティはクチンに大敗
開幕戦でジョホールと対戦したクチンシティは、終始圧倒される形で0−3で敗れています。そのクチンをホームに迎えたクアラルンプールシティ(KLシティ)は、今シーズン開幕戦となったヌグリスンビラン戦を0-3の不戦敗としています。
KLシティがスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)に報告を入れたのはキックオフまで5時間を切った8月22日午後12時40分でした。MFLの発表によると、KLシティは選手13名とチーム関係者2名がインフルエンザに感染したしたことをMFLに報告するとともに、試合延期を申請しました。
MFLはこの申請を承認し、一旦は延期が決まりましたが、申請が遅すぎるとして、ホームのヌグリスンビランは、MFLにこの件についての詳細な調査を求め、MFLは特別理事会を開いて対応を協議しました。
8月25日に開催された特別理事会では、KLシティから提出された全ての文書、報告書、情報の検討が行われました。そこでは、KLシティがこの試合に出場選手登録していたのがわずか12名(選手11名、ゴールキーパー1名)だったことが判明。この結果、特別理事会は、KLシティがチームを準備できなかったいう判断を下しました。そして、その根拠としてMFLが挙げたのは、以下の条項でした。
- スーパーリーグ競技規則には、「最低2名のゴールキーパーを含む、最大20名、最低15名の選手を出場選手登録しなければならない」という条項があり、これに違反している。
- 今シーズン開幕前の2026年6月29日に全クラブに配布された2026/27スーパーリーグの役員および選手の登録条件に関するマレーシアリーグ通達では「全てのクラブは、2026/27スーパーリーグ開幕戦までに、最低20名の選手(ゴールキーパー3名を含む)を登録しなければならない」とされており、これに違反しています。
これによりMFLは、KLシティ対ヌグリスンビラン戦の延期措置を撤回するとともに、この試合をヌグリスンビランの3−0の勝利として勝点3を与えること、そして5万リンギ(およそ200万円)の罰金をKLシティに科す処分を発表しています。さらにKLシティに対しては、MFLが決定した全ての損害賠償金および関連費用をヌグリスンビランに支払うことも処分に含まれています。
またこの特別理事会では、KLシティが申請していた8月26日のクチンシティ戦の延期についてもこれを却下することを決定。もしKLシティが試合を予定通り開催しない場合には、クチンシティに3-0の勝利と勝点3が与えられ、KLシティにはさらに5万リンギットの罰金が科せられことも発表しました。
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上の発表があった8月25日の時点では、この日(8月26日)の試合も開催されない可能性が大でしたが、ここでまた事態が急転します。なんとMFLの理事会がKLシティFCに対して、この日のクチンシティ戦に向け、最低12人の選手登録申請を特別承認することを決定したことを発表しました。
KLシティに対しては、これまで複数の元所属選手がFIFAに給料未払いを訴えていることから、FIFAは選手移籍禁止処分を下しており、新たな選手を獲得できなくなっています。そしてこれが今回、選手不足となったそもそもの発端です。
しかし8月26日に総額およそ100万リンギ(およそ4000万円)の未払い給料を支払ったことをクラブが発表しています。支払った選手の中には アドリアン・ルドビッチ(2024-25シーズンに在籍)、ラザル・サイチッチ(同2024)、 ミロスラヴ・クリャナチ前監督(同2023-25)、ヨバン・モティカ(現ヌグリスンビラン、同2024-25)、 パトリック・ライヒェルト(同2023-25)がいると当地のメディアが報じています。
またこの100万リンギにはFIFAが科した罰金も含まれているということで、KLシティは新規選手獲得禁止処分が解除になるということですが、FIFAの正式な承認を待っている段階であり、これをKLシティはMFLに報告。これに伴い、MFLは、この日のキックオフまでに選手移籍禁止処分が解除されない場合、KLシティに対して、最低12人の選手を登録するための特別承認を行うと発表しました。すぐできるなら、なぜシーズン開幕前に支払いを終えておかなかったのか…。
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こう言った事態を受けての試合となったKLシティ対クチンシティの試合ですが、キックオフからいきなり驚かされました。下は筆者がスタンドから撮影した試合前の両チームですが、赤白のユニフォームのKLシティは、よく見るとGKを含めても10名しかいないことがわかります。

そして下がこの試合のメンバー表です。先発メンバーがクチンより1人少ない10名、控え選手が1名の合計11名しかベンチ入りしていないことがわかります。

マレーシアサッカーを見ていると色々と驚かされることはありますが、先発が10名という試合は流石に初めて見ました。しかもこれが下部リーグやアマチュアリーグではなく、マレーシアのトップリーグで起こっているのです。
試合の方はマレーシア代表FWパウロ・ジョズエをワントップに据えた5-3−1(!)という前代未聞の布陣のKLシティに対して、クチンシティのアイディル・シャリン監督は、主力のマレーシア代表FWラマダン・サイフラーや昨シーズンのチーム得点王ロナルド・ンガをベンチスタートとし、ジョホール戦では出番がなかったやはり代表FWサファウィ・ラシド、MFナズミ・ファイズといったジョホールからローン移籍組を先発に起用しています。
この試合は現地観戦しましたが、数的有利なクチンシティが試合開始から優勢に試合を進め、早くも3分にはこちらもジョホールからローン移籍中のアイディン・ムヤギッチが先制ゴールと挙げています。KLシティもカウンターからゴールをねらいますが、キックオフから1人少ないハンデはやはり大きく、シュートまで漕ぎ着けることはできません。24分にはジェローム・ムパコ・エタメが長身を生かしたヘディングシュートを決めて、クチンシティがリードを広げます。
しかし45分にクチンDFラインを抜け出したS・シャルヴィンがゴールへ迫ると、クチンのキャプテン、ジェイムズ・オクゥオサが激しくチャージして、両者がもつれるように倒れると、主審がオクゥオサに1発レッド!。これでピッチ上では両チームとも10名となったところで前半が終了します。ちなみに、FWサファウィ・ラシドがこのとばっちりでCBの選手と交代となったのは個人的に残念でした。
10対10となったところで、KLシティにも勝機があるかと思いきや、クチンは後半開始からの15分で立て続けに3ゴールを決めて、KLシティサポーターの希望を打ち砕きます。その後もクチンのアイディル監督は、ラマダン・サイフラー、ロナルド・ンガを次々と投入し、終わってみればクチンの完勝でした。
試合終了のホイッスルを聴いて思ったのは、KLシティの選手がケガすることなく、無事に試合が終わって良かった、ということ。KLシティサポーターのスローガンは”Sampai mati Kuala Lumpur” 日本語では「死ぬまでクアラルンプール」ですが、この試合では選手たちがまさに死ぬほど頑張った試合でした。
KLシティは、既に元代表FWシャフィク・アフマド、先日のヒュンダイカップにも出場したMFイブラヒム・マヌシらの加入を発表しており、FIFAの制裁処分が解除されれば人数の問題は解消されます。その一方で、2025/26シーズン途中から、キャプテンのパウロ・ジョズエを中心に数ヶ月に及ぶ給料未払い問題があることも明らかになっており、こちらについては完済されたなどの報道がなく、新たな火種となる可能性もあります。
マレーシアスーパーリーグ2026/27 第6節
2026年8月26日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
クアラルンプールシティ 0-6 クチンシティ
⚽️クチン:アイディン・ムヤギッチ2(4分、59分)、ジェローム・ムパコ・エタメ4(25分、48分、56分、90+2分)
MOM:ジェローム・ムパコ・エタメ(クチンシティ)
クチンシティの谷川由来、山崎海舟の両選手はこの試合はベンチ外でした。
ジョホールは昇格組のクランタン相手に9ゴールの勝利
マレーシアスーパーリーグ2026/27 第6節
2026年8月26日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 9-0 クランタン・レッド・ウォリアー
⚽️ジョホール:シャハブ・ザヘディ4(2分、37分、50分、61分)、ジャイロ(49分)、マティアス・ナウエル(78分)、エディ・イスラフィロフ(81分)、アリフ・アイマン(89分)、ムハマド・ファウジ(45+2分OG)
MOM:シャハブ・ザヘディ(ジョホール・ダルル・タジム)
2026/27 マレーシアスーパーリーグ順位表(8月28日現在)
| 順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ジョホール | 2 | 2 | 0 | 0 | 12 | 0 | 12 | 6 |
| 2 | クチンシティ | 2 | 1 | 0 | 1 | 6 | 3 | 3 | 3 |
| 3 | スランゴール | 1 | 1 | 0 | 0 | 4 | 1 | 3 | 3 |
| 4 | ヌグリスンビラン | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 3 |
| 5 | トレンガヌ | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 3 |
| 6 | サバ | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 1 | 2 | 3 |
| 7 | DPMM | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 3 |
| 8 | ペナン | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | -1 | 0 |
| 9 | スターシティ | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 | -2 | 0 |
| 10 | マラッカ | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | -3 | 0 |
| 11 | KLシティ | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 9 | -9 | 0 |
| 12 | クランタン | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 12 | -12 | 0 |
