東南アジア各国にはご当地ビールがあります。フィリピンならサンミゲルやレッドホース、タイならチャンやシンハ、インドネシアとベトナムはそれぞれビンタンやサイゴンなどがよく知られています。あいにくマレーシアにはそういったブランドはありませんが、隣国シンガポールで言えば、タイガービールがそれに当たります。
東南アジアのサッカーファンがタイガービールと聞いて連想するのは、1996年に第1回大会が開催された東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権が「タイガーカップ」として始まったことでしょう。今年2026年からアセアン選手権「ヒュンダイカップ」となったこの大会は、これまで30年の歴史がありますが、1996年から2004年の第5回大会までは、タイガービールを製造するアジア・パシフィック・ブルワリーがスポンサーでした。
しかしなぜ唐突にこんなことを書いたかと言うと、私が一昨日に読んだ当地の新聞記事が理由です。その記事によると、タイガービールのシンガポール国内での製造施設が老朽化し、これを改修する場合の費用が新工場建設と変わらないことから、アジア・パシフィック・ブルワリーはシンガポール国内でのタイガービールの製造を2027年で終了し、その後は拠点をマレーシアとベトナムへ移して製造を続けるようです。アルコールを口にしないイスラム教徒が人口の6割近くを占めるマレーシアへ製造拠点を移すと言うのはなかなか興味深い話です。
閑話休題。一昨日8月8日に行われた2026年ヒュンダイカップのグループステージB組最終節では、マレーシアがフィリピンを、またタイがミャンマーをそれぞれ下して準決勝進出を決めています。
以下はこの試合の先発XIです。0-2で破れた8月1日のタイ戦ではパウロ・ジョズエ(クアラルンプールシティ)とシャフィク・アフマド(前DPMM)を前線に起用する4−4−2のシステムでしたが、準決勝進出を確実にするためには勝利が必要なこの試合でマレーシアのタン・チェンホー暫定監督は、初戦のミャンマー戦、第2戦のラオス戦と同じ4−1−2−3に戻すとともに、タイ戦の先発XIから3名を入れ替えています。膝を痛めたジミー・レイモンド(クチンシティ)に代わってアリフ・アフマド(ジョホールU23)がミャンマー戦以来の先発復帰で右SBに入り、ここまでの3試合全てに先発したV・パルティヴァン(マラッカ)に代わり、20歳のファリス・ダニシュ(ジョホールU23)が左SBに入っています。またこの試合ではアメリカ生まれのワン・クザイン(アメリカ2部スポーティング・ジャクソンビル)が中盤の2枚の一人として代表戦初先発を果たしています。


この試合に勝てば2大会連続となる準決勝進出が懸かるフィリピン、そして2大会ぶりの準決勝進出を目指すマレーシアの双方ともに試合の入りは慎重で、なかなかシュートを打つまで至らない中、16分に試合が動きます。アリフ・アフマドのパスに抜け出したパウロ・ジョズエが繋いだボールをワン・クザインがゴール前に上げると、フィリピンDF陣の隙をついて走り込んだG・パヴィトランがフリーでヘディングシュート!これが決まって、マレーシアが貴重な先制点を挙げます。
追加点を奪いたいマレーシアでしたが、後半に入っても決定機を作ることはできません。タン監督は後半開始と同時にシャフィク・アフマドを投入するなど状況の打開を図りますが、パヴィトランとモハマドゥ・スマレ(ジョホール)の左右WGがマークされると攻撃のバリエーションを増やすことができず、結局、1点のリードを守ったマレーシアが逃げ切って準決勝進出を決め、8月16日に同じKLフットボールスタジアムで行われる準決勝1stレグでA組1位のベトナムと対戦します。
ラオス戦に続き、この試合でも代表初ゴールを決めてMOMに選ばれた21歳のG・パヴィトラン、そして23歳のアリフ・アフマドや20歳のファリス・ダニシュ(いずれもジョホールU23)など、国内リーグではトップチームでもプレーしていない若い選手にとっては、試合ごとに自信と経験を得られる良い機会になっています。しかし、そんな話はグループステージまでのこと。準決勝で対戦するベトナムはそんな若い選手たち(もちろん他の主力選手も)が隙を見せれば、そこから一気に畳み掛けてきて大敗に終わる可能性もあります。試合後の会見でタン暫定監督はフィジカルの面では、マレーシアはフィリピンに劣っていたと分析していますが、ベトナムは技術もフィジカルもどうみてもマレーシアより優っています。予選では同組となった2027年アジア杯予選を見ても分かる通り、ベストメンバーで挑んでもベトナムに跳ね返され続けているマレーシアが準決勝までにどこまで仕上げてくるのかに注目したいと思います。
アセアン選手権ヒュンダイカップ2026 グループステージB組第5節
2026年8月8日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール、マレーシア)
マレーシア 1-0 フィリピン
⚽️マレーシア:G・パヴィトラン(15分)
MOM:G・パヴィトラン(マレーシア)
アセアン選手権ヒュンダイカップ2026 B組最終順位表
| 順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 |
| 1 | タイ | 4 | 4 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 12 |
| 2 | マレーシア | 4 | 3 | 0 | 1 | 7 | 3 | 4 | 9 |
| 3 | ミャンマー | 4 | 2 | 0 | 2 | 12 | 7 | 5 | 6 |
| 4 | フィリピン | 4 | 1 | 0 | 3 | 5 | 7 | -2 | 3 |
| 5 | ラオス | 4 | 0 | 0 | 4 | 3 | 20 | -17 | 0 |
なお、グループステージA組の最終順位は以下のとおりです。
アセアン選手権ヒュンダイカップ2026 A組最終順位表
| 順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 |
| 1 | ベトナム | 4 | 3 | 1 | 0 | 13 | 1 | 12 | 10 |
| 2 | シンガポール | 4 | 2 | 2 | 0 | 5 | 2 | 3 | 8 |
| 3 | インドネシア | 4 | 2 | 1 | 1 | 9 | 5 | 4 | 6 |
| 4 | カンボジア | 4 | 1 | 0 | 3 | 6 | 10 | -4 | 3 |
| 5 | 東ティモール | 4 | 0 | 0 | 4 | 0 | 15 | -15 | 0 |
A組、B組ともグループステージが終了し、この結果、ホームアンドアウェイ方式で行われる準決勝の組み合わせはベトナム(A組1位)対マレーシア(B組2位)、タイ(B組1位対シンガポール(A組2位)と言うマッチアップとなりました。準決勝の日程は以下の通りです。
準決勝1stレグ(左側のチームがホーム)
8月15日(土):シンガポール対タイ
8月16日(日):マレーシア対ベトナム
準決勝2ndレグ(左側のチームがホーム)
8月18日(火):タイ対シンガポール
8月19日(水):ベトナム対マレーシア
決勝
8月22日(土):?対?
