本日2月1日に開幕するマレーシアフットボールリーグMFL。1部スーパーリーグはトレンガヌFC対PKNS FC、KLFA対パハンFAが開幕カードとなっています。
チーム
マレーシアはマレー半島とボルネオ島の一部で構成されていまが、2019年シーズンはスーパーリーグにはボルネオ島に本拠地を持つチームはいません。マレー半島東海岸に面した州からはトレンガヌFC(トレンガヌ州)、パハンFA、フェルダ・ユナイテッドFC(いずれもパハン州)が参戦し、残りは西海岸に面した州に本拠地を持つチームです。その中でスランゴール州に本拠地を持つのがスランゴールFA、PKNS FC、PJシティFCです。この内、スランゴールFAとPKNS FCはともにシャー・アラム・スタジアムをホームゲームで使用します。
監督
スーパーリーグに参戦する12チームの内、外国人監督はJDTのルシアーノ・フィゲロア(アルゼンチン)、クダFAのアイディル・シャリン・サハック(シンガポール)、ぺらTBGのメメド・デュラコヴィッチ(オーストラリア)の3名です。また、2019年から指揮を執る新監督はフェルダ・ユナイテッドのニザム・ジャミル、クダFAのアイディル・シャリン・サハック、KLFAのユスリ・チェ・ラー、マラッカ・ユナイテッドのザイナル・アビディン・ハサン、そしてスランゴールFAのB・サティアナタンの5名です。
外国人選手
各チーム5名(ただしその内1名はアジアサッカー連盟AFC枠、もう1名はアセアンサッカー連盟AFF枠)が許されている外国人選手ですが、トレンガヌFCは4名の外国人選手が2018年シーズンから引き続きプレーし、KLFAとペラTBGは3名、JDTとPJシティFCは2名、フェルダ・ユナイテッド、パハンFA、PKNS FC、スランゴールFAは1名が引き続きプレーします。クダFA、PKNP FC、マラッカ・ユナイテッドの3チームのみが外国人を完全に入れ替えています。
帰化選手
また帰化選手については、外国生まれながら両親あるいは祖父母がマレーシア人である場合がこれにあたり、JDTにはラヴェル・コービン=オン、キコ・インサ、ナチョ・インサの3選手が、マラッカ・ユナイテッドにはオスカー・ウォン・ツェ・ユン、パハンFAにはマシュー・デイビーズ、KLFAにはハイル・ジョーンズ、ペラTBGにはブレンダン・ガン、PKNS FCにはニック・スウィラッドの各選手がいます。パハンFAにはもう一人帰化選手のモハマドゥ・スマレーがいますが、彼はマレーシアでの生活期間が長いため帰化できた選手です。帰化選手の中では、オスカー・ウォンとニック・スウィラッドの二人以外は全員がマレーシア代表でのプレー経験を持っています。
日: 2019年1月31日
2019年スーパーリーグチーム紹介(3)PKNS FC
2009年から2013年までマレーシア代表の監督を務め、14勝23敗15分という成績を残したラヤゴパル監督1年目のシーズンで3位となったPKNS FC。メンバーは正式発表されてはいないものの、予想される2019年シーズンのチームは、主力選手が交代して20代の選手が大半の若いチーム、という印象です。
30代の選手は2013年からPKNS FCでプレーするベテランDFのP・グナラン(2019年シーズン開幕時で37歳)や2018年は2部プレミアリーグのフェルクラFCのキャプテンを務めたDFシャーロム・カラム(33歳)など数名しかおらず、戦力的にも昨年のチーム得点王であったFWハファエル・ハマゾッチ(ブラジル・シンガポールのホーガン・ユナイテッドへ移籍)やMFブルーノ・マトス(ブラジル・インドネシアのプルシジャ・ジャカルタへ移籍)、MFファリス・ラムリ(シンガポール・プルリスFAへ移籍)、FWサフィー・サリ(プルリスFAへ移籍)などの主力が退団しています。
彼らに代わってチームを担うのは、東京オリンピック出場を目指すU22代表のFWジェフリ・フィルダウス・チュウ、2018年アセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップ準優勝チームのメンバーMFアクラム・マヒナン、代表キャップ数が50を超えるDFマハリ・ジャスリ(JDTより期限付き移籍)、ケランタンFAから移籍したFWシャフィック・シャハルディンといったマレーシア人選手に加え、マレーシアフットボールリーグMFLを経験しているクパー・シャーマン(リベリア・PJシティFCより移籍)、DFニコラス・スウィラッド(マラッカ・ユナイテッドより移籍)、ガブリエル・ゲラ(アルゼンチン)、MFチャン・ワタナカ(カンボジア)、そしてMFL初参戦の2019年アジアサッカー連盟AFC選手権AFCカップでもプレーしたキルギスタン代表DFタミルラン・コズバエフの5人の外国人選手になると予想されます。
若手とベテランを上手に融合させることでは定評があるラヤゴパル監督。2010年のAFF選手権スズキカップでも優勝経験があり、現在のマレーシア人監督の中でもピカイチの実績を誇るラヤゴパル監督の手腕次第では、PKNS FCは2019年シーズンも上位に食い込む可能性が充分あると予想されます。
チーム名 :PKNS FC
ニックネーム:レッド・アンツ(赤アリ)
ホーム :シャー・アラム・スタジアム(スランゴール州シャー・アラム)80000人収容
2018年成績:スーパーリーグ3位(10勝7敗5分:勝ち点35)
2019年監督:ラヤゴパル・クリシュナサミ(マレーシア)
2019年スーパーリーグチーム紹介(2)ペラTBG
ペラがマレーシアサッカーの歴史に登場するのは、アジア最古のカップ戦の一つとされる1921年創設のマラヤカップ(現マレーシアカップ)第1回大会です。ペラはこの第1回大会に参加した6チーム(海峡植民地のペナン、マラッカ、シンガポールとマラヤ連合州のペラ、スランゴール、ヌグリ・スンビラン)の内の1つでした。また1926年創設のマラヤサッカー協会MFA(現マレーシアサッカー協会FAM)の当初の構成メンバーFAでもあります。しかしペラのサッカーを統括するペラ州アマチュアサッカー協会PAFAが正式に設立されたの1951年でした。
マラヤカップからマレーシアカップと名称が変更になり、サバ、サラワクを除く全州のFAが参加するようになった1967年大会で4回目の優勝を果たしたPAFAは、その後も1970年、1998年、2000年そして2018年と計8回優勝していますが、これはスランゴールFA(優勝33回)、シンガポールFA(同24回)に続く優勝回数です。
一方、それまでカップ戦のみであったマレーシアのサッカーにリーグ戦が導入されたのは1979年でしたが、当初はマレーシアカップの予選としてのものでした。その後、1982年から1988年まで開催されたアマチュアリーグと、1989年から1993年まで開催のセミプロリーグ(マレーシア13州と連邦直轄区クアラルンプールの各サッカー協会FAと国軍、警察、そして隣国のシンガポールとブルネイが加わった18チームで構成)では、PAFAは1991年に3位となった以外はトップ3でのフィニッシュはありませんでした。しかし1994年から2003年まで続いたプレミアリーグでは、2000年に3位となったPAFAは、2002年に悲願のリーグ優勝を成し遂げ、続く2003年にも優勝して2連覇を果たしました。しかし現行のスーパーリーグになった2004年以降はまた低空飛行に戻り、2006年に3位、2007年に2位となって以来の2位となったのが昨2018年シーズンでした。2016年にそれまでのPAFAからペラFAとリブランディングを果たした結果が出始めたとも言えるでしょう。
2018年シーズンは、スーパーリーグ2位に終わったとは言え、優勝したJDTに勝ち点で23点も離されたペラ。それでもスーパーリーグ2位となったことで、AFCチャンピオンズリーグACLの予選出場権を得ることができました。その結果、2月12日には2018年シーズンの香港リーグチャンピオンであるキッチーFCと対戦します。しかしこの試合に勝っても本戦出場のためには、さらに2018年シーズンKリーグ3位の蔚山現代FCを破らなければなりません。JDTに続くACL本戦出場チームとなるための高い壁が立ちはだかりますが、ペラはそれを超えることはできるのでしょうか。
チーム名 :Perak The Bos Gaurus FC(ホームページ)
ニックネーム:The Bos Gaurus / Seladang(ガウル=インドヤギュウ)
ホーム :ペラ・スタジアム(ペラ州イポー:42000人収容)
2018年成績:スーパーリーグ2位(10勝6敗6分:勝ち点36)
2019年監督:メメド・デュラコビッチ(オーストラリア)
2019年スーパーリーグチーム紹介(1)JDT
明日2月1日に開幕するマレーシア・スーパーリーグの2019年シーズンを前に、リーグ参加チームを紹介していきます。第1回は2014年からスーパーリーグ5連覇中のジョホール・ダルル・タクジムJDTです。
マレーシアのプロサッカーは、各州のサッカー協会FAがチームを所有する形態が伝統的ですが、マレー半島南端にあるジョホール州も、1955年に創設されたジョホール州サッカー協会PBNJがプロチームを所有していました。その一方で1972年にはジョホール州政府傘下のジョホール州経済開発公社PKENJによるクラブチームPKENJ FCが発足しました。(*州FAのチームとは別に活動している州政府傘下の公社によるサッカークラブには、現在でもPKNS FC(スランゴール州)やPKNP FC(パハン州)などがあります。)
PKENJ FCは1996年にジョホールFCと名称を変更し、同じジョホール州内でライバル関係にあったPBNJに属するジョホールFAチームとのライバル関係が激化しました。そして2010年にはジョホールFAチームが1部リーグから降格となり、マレーシア最古のカップ戦マレーシアカップで予選落ちする一方で、ジョホールFCが1部リーグで4位となり、マレーシアカップの本選に出場する事態になりました。(このときPNNJの会長が、ジョホールFCを排除するために、マレーシアカップ参加チームを州FAのチームだけとする案をマレーシアサッカー協会FAMに提案し、当然のことながら批判されたのは有名な話です。)
2013年シーズン直前にPBNJの会長に就任したジョホール州スルタン皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、この状況を憂慮し、ジョホール州のサッカーチームの改革に乗り出しました。具体的には、州内チームの力を統合するためにジョホールFCとジョホールFAチーム以外の州内チームの国内リーグへの参加を禁止したのです。またその際、ジョホールFCをJDT、ジョホールFAチームをジョホール・ユナイテッドと改名しました(ジョホール・ユナイテッドはその後、さらにJDT IIと改名)。また、それぞれビーズ(Bees)、スコーピオンズとしていた愛称をサザンタイガースに統一しました。また、国内の有力選手を集めただけでなく、2008年のスペイン・リーガエスパニョーラ得点王ダニ・グイサ、さらにはセリエAのラツィオからシモーネ・デル・ネロを獲得し、周囲を驚かせました。
それまでの王族支援者から2016年にはJDTのオーナーに就任したトゥンク・イスマイル殿下のもと、その後も有力選手を国内外から集め続けたJDTは、2014年からスーパーリーグ5連覇を果たし、2019年シーズンも優勝の最有力候補です。国内では既に敵無しとなった現在、その実力がACLでどのくらい通用するかが2019年シーズンの注目となりそうです。
チーム名 :Johor Darul Ta’zim(JDT)FC(ホームページ)
ニックネーム:サザンタイガーズ
ホーム :タン・スリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノス・スタジアム(通称ラーキン・スタジアム、ジョホール州ジョホールバル:30000人収容)
2018年成績:スーパーリーグ1位(19勝1敗2分:勝ち点59)
2019年監督:ルシアーノ・フィゲロア(アルゼンチン)
1月31日のニュース:2019年シーズン開幕前日!どうなってるのKLFA?プレミアリーグはストリーム配信開始
どうなってるのKLFA?
各チームが2019年シーズンに向けて、新ユニフォームの発表や年間パスの告知をはじめていますが、1部スーパーリーグでプレーするクアラルンプールFA(KLFA)はやっと昨日、しかもFacebook上でホーム用だけ公開というなんとも微妙な状況です。自分の地元チームということに加えて、日本人の苅部隆太郎選手が加入したこともあり、2019年シーズンのKLFAにはとても期待しているだけ、出遅れ感が心配です。
この原因は2018年末から続いてるKLフットボール協会内での権力闘争がだと言われています。2019年から22年までの会長選では、現職の会長が当選しましたが、この結果に不満を持ったKLフットボール協会に加盟する複数の組織が、マレーシア国内のスポーツを監督するスポーツコミッショナー(SC)に不満を訴え、これを受けたSCがKLフットボール協会に対して加盟組織との話し合いを求めていました。
このとばっちりを受けるのは現場の選手やスタッフです。他のチームがプレシーズンマッチで隣国を訪れている一方、KLFAのプレシーズンマッチは予算不足からKL周辺のみ。観戦に行く身としては便利ではありますが、シーズン前の準備として2部プレミアリーグのチームとのプレシーズンマッチばかりではやはり心もとないです。
それでも2018年11月と12月の見払い給料が近々払われるという報道(原文はマレー語です)もあり、少しずつは改善してきているのかも知れません。この給料未払い問題のせいで既にシャズワン・アンディックを失ったKLFAですが、明日2月1日にパハンFAを迎えてホームで開幕する2019年シーズン前に選手やスタッフのモチベーションが上がってくれることを祈っています。
プレミアリーグはストリーム配信開始
明日2月1日のPDRM(マレーシア警察)対UITM(マラ工科大学)の試合で開幕する2019年シーズンの2部プレミアリーグの試合がストリーム配信されることになりました。
日本のなでしこリーグやインドネシア、シンガポール、ブータンやマカオなどかなりニッチな各国リーグの試合を配信している、オランダに本社を持つマイクージュー(Mycujoo)が2019年のプレミアリーグの試合のほぼ半数をストリーム配信することになりました。マイクージューに関しては、詳しく書かれたこの記事を読んでいただくと良いのですが、マレーシア国内だけでなく世界中でプレミアリーグの試合が観戦できるようになったことは画期的です。
マレーシアフットボールリーグMFLのケヴィン・ラマリンガムCEO(FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長の兄です)は、2020年にはプレミアリーグ全試合のストリーム配信を目指すとしており、新たなファン獲得だけでなく、スポンサー開拓などでも有効であるとしています。