4月3日のニュース
MFLは給料未払いのペラに勝点3剥奪処分
アセアンフットサル選手権開幕!-マレーシアはカンボジアに辛勝でスタート
12歳以下の子供の入場やスタジアム内での飲食が可能に

巷ではFIFAワールドカップ2022年カタール大会の組み合わせ決定で盛り上がっているようですが、最新のFIFAランキングが相変わらず154位のマレーシアには別世界のニュースです。

また今日4月3日からはイスラム教の断食月が始まります。1ヶ月間続くこの断食月中は、Mリーグのキックオフが早い試合で午後8時15分から、遅い試合は午後10時からとなります。日中は食事が取れない選手も大変ですが、観戦する方もこの時間のキックオフは結構キツいです。

MFLは給料未払いのペラに勝点3剥奪処分

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは公式サイト上で、Mリーグ2部プレミアリーグのペラが期限までに選手および監督、コーチの給料を支払わなかったことに対して、勝点3剥奪の処分を科したことを発表しています。

MFLの第一審機関FIBは声明を発表し、3月31日を期限としていた93万4729リンギ(およそ2720万円)の未払い給料が支払われなかったことを伝えています。この声明の中でFIBのシーク・ナシル・シーク・シャリ委員長は、次の期限となっている4月21日までにこの未払い給料が支払われなければ、さらに勝点6の剥奪ナ・リーグ分配金削減などの追加処分が科されることも明らかにしています。

昨季2021年シーズンにはMリーグ1部スーパーリーグで11位となり、今季プレミアリーグに降格しているペラですが、開幕前のトランスファーウィンドウ期間中にも、未払い給料を理由に新たな選手の獲得禁止処分を受けていたことから、今季はU21とU19の選手をトップチームに昇格させて、リーグ戦を戦っています。

しかしその実力差は明らかで、開幕からここまでプレミアリーグでは2試合で0勝2敗(得点1、失点6)の最下位となっています。

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別の報道では、自力で未払い給料問題を解決できないペラの経営陣からは、この未払い給料問題を解決してくれる新たなスポンサーがいれば、クラブ自体は1リンギ(およそ29円)で売却しても良い、という話も出ていると報じられています。とは言え、ペラは実際には上記の未払い給料を含めておよそ800万リンギ(およそ2億3300万円)を超える負債を抱えているとされており、例え1リンギでペラを購入しても、結局はこの負債を完済することが新たなオーナーとなるための条件となることから、1リンギというのはギミックしかありません。

またペラのスポンサーが決まらないことにより、このままではペラはリーグ最下位となり3部のM3リーグ降格となりそうですが、そこで浮上してくるのがMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの合併案です。表向きは試合数を増やすためとなっていますが、実際にはMFL主導によるペラの3部降格を救済することが目的では、というのがボラセパマレーシアJPの推測です。

アセアンフットサル選手権開幕!-マレーシアはカンボジアに辛勝でスタート

東南アジアサッカー連盟AFFフットサル選手権が昨日4月1日にタイのバンコクで開幕し、マレーシアは初戦のカンボジア戦に7-6と辛勝でスタートしています。

チュウ・チュンヨン監督率いるマレーシアは、この日対戦したカンボジア、ブルネイに13−0と圧勝したタイ、そしてインドネシアと同組のA組に入っています。

一方のB組はベトナム、ミャンマー、東ティモール、オーストラリアとなっており、グループステージでは各組の上位2チームが準決勝へ進出します。またこのAFFフットサル選手権の上位3チームは、今年9月から10月に掛けてクウェートで開催されるAFCフットサル選手権への出場資格も獲得します。

2017年、2018年と2年連続でタイに敗れて準優勝に終わったマレーシアですが、前回2019年大会はグループステージでインドネシア、ベトナム、オーストラリアに敗れてグループ最下位に終わっています。

マレーシア代表は明日4月4日にはインドネシア、4月5日にはブルネイ、そして4月6日には優勝候補のタイと対戦します。

この大会に出場しているマレーシア代表のメンバーはこちらです。

12歳以下の子供の入場やスタジアム内での飲食の許可が可能に

18歳以上の成人人口に対するワクチン接種率(2回接種)が97%を超え、ブースター(3回目接種)接種率も67%に達しているマレーシアは、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)段階からエンデミック(一定の周期で繰り返される流行)段階への移行を宣言し。4月1日からはこれまでと同様に公共の場でのマスク着用は義務付けられているものの、飲食店の営業時間制限や施設の収容人数上限を撤廃するなど、大幅な規制緩和が始まっています。

また2020年3月以降、外国人観光客の受け入れが原則停止されていましたが、4月1日からは新型コロナのワクチン接種を2回完了していれば、国籍を問わず入国後の隔離が不要となっています。(ただし、出国前2日以内のPCR検査で陰性であることと、マレーシア到着時の抗原検査の受検は引き続き必要)

こういった政府の政策変更を受け、国内のスポーツを統括する青年スポーツ省のファイザル・アズム大臣は、12歳以下の子供のスタジアム入場や、スタジアム内での飲食が4月1日より許可されたことを発表したことを、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

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スタジアム内での飲食許可はホントにありがたいです。観戦中に水すら飲めないのは、夜とは言え蒸し暑くなることもあるマレーシアでのサッカー観戦には結構な負担を強いられていました。日本と違って、スタジアム名物のようなものはありませんが、例えばKLフットボールスタジアムの外にはフードトラックが並んでおり、そこで買ったものを持ち込んで食べながら観戦といった楽しみが復活するのはありがたいです。

3月30日のニュース
日本がベトナムに勝てなかったのはムルデカ大会以来らしいですが、ムルデカ大会をご存知ですか

東南アジアの雄、ベトナムがW杯アジア最終予選で日本と引き分け、中国戦での勝利に続き、勝ち点を上げています。日本がベトナムと引き分け以下に終わったのは、1961年のムルデカ大会で南ベトナムに2-3で敗れて以来、実に61年ぶりと言うことですが、ベトナムの勝利のおかげでムルデカ大会まで引き合いに出されるのは嬉しいですね。

ムルデカ大会は、マレーシアの首都、クアラルンプールにあるムルデカスタジアムを会場に開催されてきた国際大会です。近年のマレーシア代表の弱体化もあり、2013年からは開催されていませんが、この大会はマラヤ連邦(現在のマレーシア)の英国からの独立を記念して1957年から始まった歴史のある国際大会です。(ムルデカはマレーシア語で「独立」の意味です。)

日本代表の戦績アーカイブによると、1959年の第3回大会に初出場した日本は川淵三郎氏や平木隆三氏、宮本征勝氏を擁して予選ラウンドに臨みましたが、香港選抜と1-1で引き分け、その後の再戦では1-4で敗れ、決勝トーナメントには進めませんでした。ちなみにこの年のムルデカ大会は、その香港選抜や南ベトナム(まだベトナムが南北分断されていたため。現在のベトナム社会主義共和国区に統一されるのは1976年)に勝利し、インドと引き分けたマラヤ連邦が優勝を飾っています。

このムルデカ大会での日本の最高成績は1963年と1975年の準優勝で、1963年には台湾に、1976年にはマレーシアにいずれも0-2で敗れています。1963年のチームは長沼健監督以下、杉山隆一氏、松本育夫氏らが、また1975年のチームは二宮寛監督、釜本邦茂主将以下、奥寺康彦氏、清雲栄純氏、田口光久氏、永井良和氏らを要するチームでした。当時のメンバーの中には鬼籍に入った方もいらっしゃるので、まさに歴史が感じられる大会です。

日本がこのムルデカ大会に最後に出場したのは1986年ですが、石井義信監督が率いたこのときのチームには木村和司主将以下、松木安太郎、柱谷幸一、都並敏史の各氏ら錚々たるメンバーを擁しています。準決勝でマレーシアと対戦し、アジアの核弾頭こと原博美氏のゴールで先制した日本に対し、昨季はマラッカ・ユナイテッドの監督を務めたザイナル・アビディン氏のゴールで追いつき、やはり昨季はスリ・パハンの監督を務めたドラー・サレー氏のゴールで逆転勝利を飾っています。

このほか、ムルデカ大会関連では、釜本邦茂氏が大会通算ゴール数2位となる22ゴール(出場18試合)も記録しています。

ムルデカ大会に10年ほど遅れて始まった同様の国際招待大会であるタイのキングズカップはリブランディングに成功して、現在も国際大会として開催されています。現在の154位というマレーシアのFIFAランクでは、招待してもなかなか強豪国は参加してくれないでしょうが、それでも伝統あるこのムルデカ大会を是非、復活させてもらいたいと思います。

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン第3節結果とハイライト

Mリーグ2部プレミアリーグの今季2022年シーズンの第2節が3月25日から3月27日にかけて計5試合が予定されていましたが、その内、3月27日に予定されていたスランゴール2対クチンシティの試合は、前節に続きクチンシティの選手及びコーチ陣が隔離期間中のため延期されています。

*試合のハイライト映像は全てMLFの公式YouTubeチャンネルより。

2022年3月25日(金)@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌII 3-0 ペラ
⚽️トレンガヌ:ペトルス・シテムビ(22分)、ジョーダン・ミンター(58分)、シャフィク・イスマイル(65分)
🟨トレンガヌ(1)-アリフ・ザカリア
🟨ペラ(1)-K・パヴィトラン
MOM:ペトラス・シテムビ(トレンガヌII)
 新型コロナの陽性者がチーム内で見つかったことから、第3節が今季初戦となったトレンガヌIIがペラを3-0で一蹴しています。ほぼ一方的な試合はさらに大差がつく可能性がありましたが、FW陣が好機を生かしきれませんでした。
 一方のペラは開幕戦に続く3失点で2連敗となりました。給料未払い問題に加え、FIFAとマレーシアサッカー協会FAMから今季開幕前のトランスファーウィンドウ期間の新規選手獲得禁止処分を科されたペラは、昨季大量退団した主力の穴が埋まらず、また外国籍選手も獲得できませんでした。その結果、U21とU19の選手をトップチームに昇格させて今季リーグへ臨んでいます。前節は控え選手5名、この試合でもベンチ入りの控え選手がわずか4名、しかもその内GKが2名という布陣は、試合開始前から既にハンデを負った状態でした。
 今季就任したユスリ・チェ・ラー監督は、試合後の記者会見で、新たなオーナーによるクラブ買収などピッチ外で起こっている問題により、本来なら今季ペラでプレーする選手が獲得できていないと説明し、実際に試合に出場できるレベルの選手は20名程度しかいないと述べています。

2022年3月25日(金)@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM 0-3 クランタン
⚽️クランタン:ヌルシャミル・ガニ(28分)、ファルハン・ロスラン(41分)、 ケルヴェンス・ベルフォート(72分)
🟨UTIM(2)-イザック・イズハン、ナジルル・ハシフ
🟨クランタン(3)-ミオル・ダニ・アルミン、ユスリ・ユハスマディ、イクワン・ヤゼキ
🟥UITM(1)-アミル・アドハ・ラティフ
MOM:ファルハン・ロスラン(クランタン)
 クランタンが開幕から3連勝で首位を堅持しています。一方、今季2部に降格したUITMは開幕2連敗となりました。

2022年3月26日(土)@MBPGスタジアム(ジョホール州パシルグダン)
JDT II 2-1 FAM-MSNプロジェクト
⚽️JDT:フェロズ・バハルディン(3分)、ムサ・シディベ(21分)
⚽️FAM:ハイカル・サハル(26分)
🟨JDT(4)-アシャル・ハディ、ウマル・ハキム、ダリル・シャム、ムサ・シディベ
MOM:ウバイドラー・シャムスル(JDTII)
 2連勝のJDT IIが2位に浮上しています。一方のFAM-MSNプロジェクトは開幕から2連敗となりました。

2022年3月27日(日)@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM 0-1 クランタン・ユナイテッド
⚽️クランタン:ンジョク・ジェイコブ(56分PK)
🟨PDRM(1)-サフィー・アフマド
🟨クランタン(2)-フィクリ・チェ・ソー、ハジック・スブリ
MOM:深井脩平(クランタン・ユナイテッド)
 3月23日のFAカップ1回戦ではMリーグ2部プレミアリーグのクラブで唯一、3部M3リーグのプルリス・ユナイテッドに敗れて2回戦進出を果たせなかったPDRMと、今季開幕戦ではJDT IIに敗れてまだ勝ち星がないクランタン・ユナイテッドの試合は、両者とも決め手を欠く中、56分にPDRMのDFサイフル・ハスノルがクランタン・ユナイテッドのシャフィク・チェ・ソーをペナルティエリア内で倒してPKを与えてしまいます。これをンジョク・ジェイコブがパネンカで決め、これが決勝ゴールとなりました。
 クランタン・ユナイテッドはシュートを放つなど攻守で活躍しマンオブザマッチMOMを獲得した深井脩平選手は先発してフル出場しましたが、本山雅志選手はベンチ入りしたものの、出場はありませんでした。

2022年シーズン プレミアリーグ順位表(第3節終了時)

チーム得失差勝点
1KEL33006159
2JDT32015326
3TRG11003033
4PDRM21013213
5SEL11001013
6KLU210112-13
7KCH00000000
8FAM202013-20
9UITM100004-40
10PRK100116-50
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRG-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

3月27日のニュース
シンガポールの壁は厚かった-キム新監督初黒星

シンガポールサッカー協会FASが主催する3カ国対抗戦の第2戦となるシンガポール代表対マレーシア代表の試合が3月28日(土)にシンガポール国立競技場で行われ、マレーシア代表はシンガポール代表に1-2と敗れています。

今回対戦したシンガポール代表は、昨年2021年12月に自国開催となった東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020でベスト4となったチームです。この大会ベスト4を置き土産に退任した吉田達磨前監督に代わり、現在は吉田前監督の元でコーチを務めたナシル・ナズリ監督代行が指揮をとっていますが、このナシル・ナズリ監督代行は2019年3月にマレーシアのブキジャリル国立競技場で開催されたエアマリンカップに出場したシンガポール代表でも監督代行を務め、その大会ではマレーシア代表を1-0で破った実績もあります。(この時は当時のファンディ・アフマド監督が兼職していたU22代表監督してAFC U23選手権予選に出場していたことから監督代行でした。)

ナシル監督はこの3カ国対抗に向けて、キャップ数が0の4選手を初招集していますが、この試合では、今季のシンガポール1部リーグ3試合で3ゴールを挙げているトーフィク・スパルノ(タンピネス・ローヴァーズ)が先発しています。

一方のマレーシアですが、快勝した3月23日のフィリピン代表戦の先発XIからキム・パンゴン監督は、センターバックの1人がクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)からアイディル・ザフアン(JDT)に、右ウィングがアリフ・アイマン(JDT)からサファウィ・ラシド(JDT)に代わり、先発11名中8名がJDT勢で占められる布陣を選択しています。またこの試合では主将もファリザル選手からアイディル選手となっています。

かつては同じ国だったマレーシアとシンガポールは、独立後もシンガポールはマレーシアの国内リーグでプレーしていたこともあります。こう言った経緯もあり、両国の対戦はその間にある陸路コーズウェイにちなんでコーズウェイダービーと呼ばれ、互いに強烈な対抗意識を持った試合になります。

この日の試合は、試合開始からマレーシアが積極に仕掛け、サフィク・ラヒム(JDT)、サファウィ・ラシド、アキヤ・ラシド(JDT)ら次々とシュートを放つも、いずれもゴールを捉えられませんでした。そんな中、15分にはシャフィク・アフマド(クダ)に代わり早々とムハマド・スマレ(JDT)が投入されましたが、これはシャフィク選手のケガによる交代でした。シャフィク選手はハムストリングを痛めたという報道もあり、この大会後に再開されるMリーグ出場も危ぶまれます。

この交代以降もシンガポールサイドでのプレーが続きましたが、シンガポールGKハサン・サニの好手もあり、マレーシアはゴールを割ることができませんでした。そうこうしている内に30分にはカウンターから、帰化選手のソン・イニョンの左からのクロスをエースのイクサン・ファンディが押し込んで、シンガポールが先制しました。ちなみにこの後も、前線に位置することが多かった右サイドバックのディオン・クールズ(ベルギー1部SVズルテ・ワレヘム)は、裏にパスを通される場面が度々ありました。

キム監督は後半開始時にコギレスワラン・ラジ(PJシティ)に代えてリリドン・クラスニキ(インドスーパーリーグ オディシャFC)を起用しました。後半開始早々の46分には、サファウィ選手がペナルティエリア内で倒されPKを得ますが、自身で蹴ったシュートはゴールポスト上に外し、マレーシアは同点機を逃してしまいます。その後もマレーシア優位で試合が進むも得点できない中、57分、ついにマレーシアが同点に追いつきます。相手のパスをカットしたサフィク選手から、アキヤ選手がゴール前のクラスニキ選手にパス、これをクラスニキ選手が落ち着いて決めて同点としました。コソボ出身の帰化選手でもあるクラスニキ選手はこれが代表初ゴールでした。

65分にキム監督ははサファウィ、アキヤ両選手に代えて、アリフ・アイマン(JDT)、ファイサル・ハリム(トレンガヌ)とフォワードの2選手を投入し、一気に逆転をはかりますが、その隙を着いて76分にイクサン・ファンディがDF3人をかわしてこの試合2つ目のゴールを決め、シンガポールが再びリードします。

さらに81分にはMFのサフィク選手に代えてFWルクマン・ハキム(ベルギー1部KVコルトレイク)、DFアイディル選手に代えて同じDFドミニク・タン(サバ)を投入、試合終了間際にはペナルティエリアのすぐ外と絶好の位置でPKを得ましたが、これもゴールには至らずしましたが、試合はこのまま終了。シンガポールが2019年以来のコーズウェイダービーに勝利し、マレーシアは2014年以来の勝利とはなりませんでした。

シンガポールサッカー協会FAS 3カ国対抗戦
2022年3月26日@シンガポール国立競技場
シンガポール 2-1 マレーシア
⚽️シンガポール:イクサン・ファンディ2(30分、76分)
⚽️マレーシア:リリドン・クラスニキ(57分)

試合のハイライト映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより

3月24日のニュース
キム新監督の掴みはOK!今年初の代表戦はフィリピンに快勝

キム新監督の掴みはOK!今年初の代表戦はフィリピンに快勝

シンガポールサッカー連盟FASが主催する3カ国対抗に出場中のマレーシア代表は、初戦となった昨日3月23日にフィリピン代表と対戦して2-0と快勝しています。

同じくシンガポールで開催された昨年2021年12月の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでのグループステージ敗退以来の代表戦となったこの試合は、今年1月に就任した韓国出身のキム・パンゴン新監督が率いる初の試合でもありました。キム監督の初戦ということ試合前から先発XI予想がソーシャルメディアで盛り上がっていましたが、蓋を開けてみると以下の通りでした。

GKはキャップ数48のファリザル・マーリアス(JDT)が順当に先発しました。DF陣はタン・チェンホー前代表監督が、その身長の高さからセンターバックで起用していたディオン・クールズ(ベルギー1部SVズルテ・ワレヘム)は本来の右サイドバックに入り、左サイドバックはスズキカップには出場しなかったラヴェル・コービン=オンが復帰、センターバックはシャールル・サアド(JDT)とクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)が入りました。2016年10月以来の代表復帰、しかも当初の招集メンバー30名ではなく、予備招集メンバーだったクザイミ選手の先発起用は驚きでしたが、右利きのシャールル選手が右センターバック、左利きのクザイミ選手が左センターバックという起用だったのではという分析あり、そういった意味では筋の通ったDF陣の人選だったかも知れません。

中盤はシャマー・クティ・アッバ(JDT)が守備的MFに配置され、こちらも2018年以来の代表招集となった34歳のサフィク・ラヒム(JDT)と昨年のスズキカップで2ゴールを挙げているコギレスラワン・ラジ(PJシティ)が攻撃的MFに入りました。

FW陣は、昨季MリーグMVPを獲得した19歳のアリフ・アイマン(JDT)が右ウイング、スズキカップでもゴールを挙げているアキヤ・ラシド(JDT)が左ウイング、そして昨季まではJDTでプレーし、Mリーグでは好調さを見せるシャフィク・アフマド(クダ)がセンターフォワードという3名でした。

先発した11名中7名がJDTというメンバーでしたが、それが功を奏し1点目はJDTコンビが決めています。左サイドのコービン=オン選手からパスを受けたアキヤ選手がゴール前にボールを持ち込み、そこからフィリピンDFをドリブルでかわしてゴールを決め、わずか3分で先制しました。さらに24分にはカウンターからシャフィク選手のパスをこれまたアキヤ選手が決めて、マレーシアが早々と2点を先行しました。マレーシアはその後も好機を得ながらも得点を奪えず、試合はこのまま2-0で終了。キム新監督は初戦で勝利と幸先の良いスタートとなりました。

全体的に動きが緩慢で、試合へのモチベーションも決して高くなさそうに見えたフィリピンが相手だったとは言え、スズキカップで惨敗したマレーシア代表にとって最も必要だった「自信」を得るには十分な試合でした。また監督としての初戦を制したことで、サポーターのキム新監督への評価も期待も高まりそうです。

3カ国対抗の次戦は明後日3月26日のシンガポール戦ですが、ジョホール海峡を挟んで退治するマレーシアとシンガポール両国はかつては同じ国だったこともあり、サッカーではお互いに強烈なライバルです。両国を結ぶ陸路に因んで「コーズウェイダービー」と呼ばれる対戦で、今回のフィリピン戦同様の精神的強さを発揮し、高いパフォーマンスを維持できるかどうかで、マレーシア代表が本当に「自信」を取り戻せたのかどうかがわかりそうです。

シンガポールサッカー協会FAS 3カ国対抗戦
2022年3月23日@シンガポール国立競技場
マレーシア 2-0 フィリピン
⚽️マレーシア:アキヤ・ラシド2(3分、24分)

3月23日のニュース
スランゴールCEO-JDTオーナーからの「資金援助」は過去のもの
Mリーグの未払い給料文化がフットサルリーグにも「伝染」
代表の守護神争いは三つ巴に

キム・パンゴン新監督率いる代表の初戦となるフィリピン戦はいよいよ今日、開催。誰が先発するのかなど興味が高まる一方で、結果には期待せず、キム監督には時間が必要だろう、と言う声が国内では多いですが、それでもフィリピンに大差で負けることがあれば手のひら返しが起こることもあります。果たして結果はどうなるでしょう。試合はシンガポール時間で午後8時(日本時間午後9時)キックオフです。

かつてのマレーシアならフィリピンに負けようものなら大騒ぎとなりましたが、それも今は昔、最も最近の対戦は2017年3月で、この試合を含む直近の5試合では全て引き分けており、最後にマレーシアがフィリピンに勝ったのは2007年1月のAFF選手権まで遡らなければなりません。なお現在のFIFAランキングはフィリピンが129位、マレーシアが154位となっています。

スランゴールCEO-JDTオーナーからの「資金援助」は過去のもの

JDTオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が、給料未払い問題を抱えるペラFCに資金援助を行なったことが明らかになった後、イスマイル殿下が同様の援助を行ったのはこれまでに複数クラブあったことを明らかにしましたが、その中にはスランゴールFCも入っており、しかもイスマイル殿下は2度にわたる援助を行なったことも明かしています。

これに対してスランゴールFCのジョハン・カマル・ハミドンCEOは、イスマイル殿下の資金援助は、スランゴール州皇太子ののトゥンク・アミル・シャー・スルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下がスランゴール州サッカー協会の会長に就任した2018年7月以前の話であり、アミル殿下の会長就任以降はMリーグの他のクラブから資金援助を受けたことは一度もないと述べています。

イスマイル殿下の発言以降、多くの質問を受けたことから説明が必要だと感じたと説明したジョハンCEOは、アミル殿下の会長就任以降のスランゴールFCの収入は全てスポンサーや商業活動から得たものであると述べていルト、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。 

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イスマイル殿下が2012年2月にジョホール州サッカー協会会長就任し、ジョホール州内に本拠地を持つ複数のクラブを統合し、2013年からJDTとしてMリーグに参加するようになって以降、昨季までMリーグ1部スーパーリーグで8連覇を果たすなど、JDTはまさにマレーシアを代表するクラブとなりました。しかしそれ以前は国内リーグを代表するのはスランゴールFC(当時はスランゴールFA)でした。老舗のスランゴールが新興のJDTに資金援助を受けていた、と言うことにはボラセパマレーシアも驚きましたが、ジョハンCEOにすれば、そんな話を一人歩きさせるわけにはいかなかったところでしょうか。

Mリーグの未払い給料文化がフットサルリーグにも「伝染」

ペラFCやKLシティなどMリーグの給料未払い問題がメディアを賑わしていますが、これがフットサルリーグにも「伝染」しているとマレーシア語紙のハリアンメトロが報じています。

記事で取り上げられているのは、3月8日から23日までの予定で開催されているマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLの女子リーグに出場しているKL(クアラルンプール)チームで、選手への給料が未払いとなっているだけでなく、選手たちは滞在している合宿の家賃が払われないことから、退去を命じられたと報じられています。またリーグ参加のための交通費や食費も選手自身が負担していると言うことです。

さらクラブ経営陣は3月17日に行われたMPFLのマラッカ戦に0-26で敗れたKLについて、チーム内で新型コロナ陽性者が出たことが大敗の理由と説明していましたが、その説明は虚偽であり、真相は未払い給料に抗議して主力選手が出場をボイコットしていたことも明らかになっています。

この真相を発表したマレーシアプロサッカー選手会PFAMのイズハム・イスマイルCEOは既にKLの複数の選手から事情聴取を行なっており、クラブ経営陣の選手への対応は虐待とも言えるもので、PFAMはクラブ経営陣による説明を求めると同時に、MPFLの主催者であるマレーシアサッカー協会FAMはこの事態についての調査を行うことを提言しています。

さらにイズハムCEOは、マレーシアの女子フットサル選手はアマチュア選手ではあるものの、このように扱われ方は選手の権利を蔑ろするものであり、FAMは給料の支払いや厚生面が保証されるよう、より明確で遵守が求められる法的枠組を設ける必要があると指摘しています。

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別の記事では、MPFL開幕の3月8日までに1400リンギ(およそ4万円)がリーグ出場の給料として支払われることになっていたものの、結局、開幕から4試合終了しても100リンギ(およそ2800円)の手当てしか支払われなかったことから、第5戦のマラッカ戦で16名の選手が出場をボイコットしたと報じられています。また、給料未払いを訴えた際には、監督から「俺の知ったことか。どっかへ行け。死ね」と暴言を吐かれたとも報じられており、FAMも静観するわけにはいかないでしょう。

代表の守護神争いは三つ巴に

シンガポールで開催される3カ国対抗に出場するマレーシア代表は、昨日3月22日にシンガポール入りし、本日23日2は初戦のフィリピン戦を迎えますが、キム・パンゴン監督がどのような先発XIを選ぶのかが気になるところです。

注目なのは代表GKのポジション争いで、代表合宿打ち上げ前に新型コロナ検査で陽性となった20歳のラハディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)が脱落したことで、守護神争いはファリザル・マーリアス(JDT)、カイルルアズハン・カリド(スランゴール)、カラムラー・アル=ハフィズ(PJシティ)の3名に絞られています

この3名の中で最も経験が豊富なのはファリザル選手で現在はキャップ数48と、シンガポールでの2試合に出場すれば50キャップ達成となります。一方、キャップ数では14とファリザル選手に遅れをとるカイルルイズハン選手ですが、昨年2021年はタン・チェンホー前監督の元で先発試合数がファリザル選手3試合、カイルルイズハン選手2試合と、その差はわずか1試合でした。またカラムラー選手は昨年初めて代表に召集されましたが、10月の中東遠征、12月の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップとも出場機会はありませんでした。

経験で言えばファリザル選手が一番手でしょうが、今日3月23日のフィリピン戦、26日のシンガポール戦、そして3カ国対抗後に行う3月28日のアルビレックス新潟シンガポールとの練習試合もあり、シンガポールではこの3人全てが起用される可能性も否定できません。

3月22日のニュース
シンガポール、フィリピンとの3カ国対抗戦出場の代表25名が発表
昨年12月就任のオーナーは早くもペラFCの新たな譲渡先と交渉中
ACLプレーオフ-ポートFCを破った蔚山現代FCがJDTと同組に

シンガポール、フィリピンとの3カ国対抗戦出場の代表25名が発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、3月23日にシンガポールで開幕するシンガポール、フィリピンとの3カ国対抗戦に出場するマレーシア代表チームの25名を発表しています。

3月14日から行われていた合宿前には代表候補30名と予備候補10名が召集されていましたが、合宿開始前に夫人の出産を理由にシャーミ・サファリ(JDT)が辞退し、代わりにクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)が予備候補から合流した他、合宿中の新型コロナ検査で陽性となったダレン・ロック(PJシティ)に代わり、やはり予備候補からザフリ・ヤハヤ(KLシティ)が召集されていました。

その後、ナズミ・ファイズ(JDT)が練習中に鼠蹊部(そけいぶ)を痛めて途中離脱した他、ラハディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)も新型コロナ検査で陽性となり隔離となりましたが、キム・パンゴン監督はこの両選手の代わりの選手を招集しませんでした。

この結果28名で行った合宿の結果、ハキミ・アブドラ(トレンガヌ)、シャールル・ナジーム(スランゴール)、ナタニエル・シオ・ホンワン(JDT)が外れ、最終25名が決定しています。代表チームは本日3月22日にシンガポール入りしますが、国外組のディオン・クールズ(ベルギー1部SVズルテ・ワレヘム)とリリドン・クラスニキ(インドスーパーリーグ オディシャFC)はシンガポールで直接チームと合流するということです。

今回発表された25名はこちらです。

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今回発表された28名中、JDT所属選手が11名と最多で、スランゴール、PJシティ、ヌグリスンビランからそれぞれ2名、そしてトレンガヌ、クダ、サバ、パハン、KLシティからはそれぞれ1名、そして海外組はルクマン・ハキム(ベルギー1部KVコルトレイク)、ディオン・クールズ、リリドン・クラスニキの3名となっています。

昨年12月就任のオーナーは早くもペラFCの新たな譲渡先と交渉中

昨年2021年12月にIMC社がその株式100%を取得して新オーナーになったペラFCが新たなオーナーに売却されると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

突如刷新されたクラブの公式Facebookページでも近々、現在進んでいる交渉は1週間ほどでまとまり、来週中にも新たなオーナーが発表できると告知されています。

ブルナマの取材に対して、ペラFCのヤヌス・ザカリア取締役はブルナマの取材に対して、この事実を認めているということです。

「昨年(2021年)12月にIMC社がペラ州サッカー協会が保持していたペラFCの運営会社であるペラFC社の株式100%を取得していたが、IMC社の経営危機が今年1月に発覚したことから、新たなオーナー候補からのオファーを受け入れる用意がある。」とクラブ公式Facebookには発表されており、新たなオーナーが決定した後は、IMC社はペラFCの運営から完全に手を引く予定であることも明らかにされています。

ACLプレーオフ-ポートFCを破った蔚山現代FCがJDTと同組に

ニュースというには少々古いですが、3月15日にAFCチャンピオンズリーグのプレーオフが行われ、蔚山現代FC(韓国)がポートFC(タイ)を破り、グループステージI組の最後の枠を獲得しています。このI組にはMリーグ代表のJDT、川崎フロンターレ、そして中国の広州FCがおり、JDTは日本、韓国、中国各リーグの悠と対戦することになりました。

2020年ACL覇者の蔚山現代FCは、新型コロナの影響で主力選手を欠く中、この試合がプロデビューとなった19歳のギ・ユンチョイが13分にゴールを決めて先制し、前半を1-0とリードして折り返します。後半に入ると、このギ・ユンチョイと交代で入ったオム・ウォンサンが62分にゴールを決めて追加点、さらに83分にはレオナルドがPKを決めてポートFCを3-0で破り、柏でもプレーした洪明甫(ホン・ミョンボ)監督率いる蔚山現代FCがACLグループステージ出場を決めています。

なおACLのグループステージI組はJDTの本拠地スルタン・イブラヒムスタジアムと「ジョホールバルの歓喜」の舞台となったラーキンスタジアムを会場として開催されます。

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン第2節結果とハイライト映像

Mリーグ2部プレミアリーグの今季2022年シーズンの第2節が3月18日から3月20日にかけて計5試合が予定されていましたが、その内、3月19日に予定されていたクチンシティ対トレンガヌIIの試合は、クチンシティの選手及びコーチ陣に18名の陽性反応者が出たため延期されています。

今季のプレミアリーグは今節第2節までの10試合中、5試合が延期となるなど、今後のリーグ日程も大きく変更されています。なおプレミアリーグ第3節は3月25日から27日までの日程で5試合が予定されていますが、クチンシティはチームが隔離となるため、3月27日に予定されていたスランゴール2対クチンシティ戦はすでに延期が決定しています。
*延期されていたスランゴール2対クチンシティの結果とハイライト映像を5/29に追補しました。

*試合のハイライト映像は全てMLFの公式YouTubeチャンネルより。

2022年3月18日(金)@MBPGスタジアム(ジョホール州パシル・グダン)
JDT II 2-0 クランタン・ユナイテッド
⚽️JDT:ダリル・シャム(35分)、フェルナンド・ロドリゲス(74分)
🟨JDT(3):フェルナンド・ロドリゲス、フェロズ・バハルディン、ウマル・ハキム
🟨クランタン(1:-カイルル・リザム
MOM:イズハム・ターミズィ(JDT II)
 第1節の試合が対戦相手のペラFCに新型コロナ陽性者が出たため延期になったクランタン・ユナイテッドはこの試合が今季開幕戦となりました。しかしこの試合前にはハジック・スブリ、アミルル・シャフィク、ニック・アズリ・ニック・アリアが新型コロナ検査で陽性となり、また今季加入の外国籍選手ジェイコブ・ンジョクはハムストリングの負傷でベンチ外となるなど、シーズン初戦ながら、ベストメンバーで臨めなかったのは悔いが残ります。一方JDT IIは今季から就任したエチェヴェリ・ラウル監督に2試合目にして初勝利をプレゼントしています。
 クランタン・ユナイテッドは深井脩平選手は先発してフル出場しましたが、本山雅志選手はベンチ入りしませんでした。

2022年3月18日(金)@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
FAM-MSN プロジェクト 0-1 クランタン
⚽️クランタン:ニクソン・ブリーゾラーラ(47分)
🟨FAM(1):ハズワン・ハザン
🟨クランタン(4):シャミールル・ハズミ、チェ・アリフ・カマルディン、カイルル・ヘルミ、ニクソン・ブリーゾラーラ
MOM:カイルル・ヘルミ(クランタン)
 クランタンがプレミアリーグで唯一の開幕2連勝で首位に浮上しています。

2022年3月19日(土)@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM 0-1 スランゴール2
⚽️スランゴール:S・シャルヴィン(31分)
🟨UITM(1):アズィディン・ロスリ
🟨スランゴール(1):シーク・イズハン
MOM:ハリス・ハイカル(スランゴール2)
 S・シャルヴィンのロングシュートで先制したスランゴール2は、多くの好機を作りながら、外国籍選手のいないUITM相手に結局1点止まりだったものの、今季初戦を勝利で飾っています。現役時代はスーパーマンの愛称で知られていたルスディ・スパルマン監督は就任後初勝利となりました。

2022年3月20日(日)@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 1-3 PDRM
⚽️ペラ:ロイザット・ダウド(13分)
⚽️PDRM:マルティン・アダメッツ(64分)、ミルベク・アクマタリエフ2(74分、79分)
🟨ペラ(1):イドリス・アフマド
🟨PDRM(2):ミルベク・アフマタリーエフ、イザット・ズハイリ
MOM:ミルベク・アフマタリーエフ(PDRM)
 第1節はチームの半数以上が新型コロナ検査で陽性となり、試合が延期となったペラはこの試合が今季初戦でしたが、20名登録可能にもかかわらずペンチ入りしたのはゴールキーパー3名を含む16名と試合前から不安が残りました。それでもこの試合はロイザット・ダウドが13分にゴールを決めてペラが先制しました。しかし、後半に入るとPDRMがほぼ一方的に試合を支配し、64分にマルティン・アダメッツのゴールで同点に追いつくと、74分にはミルベク・アフマタリエフがオフサイドトラップを交わしてゴール、さらにその5分後にはアクマタリエフが個人技で持ち込みシュートを決めてペラを突き放しました。

2022年5月24日(火)@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 1-5 トレンガヌII
⚽️クチンシティ:アリフ・ハサン(34分)
⚽️トレンガヌ:ジョーダン・ミンター2 (16分、90+3分)、ハキミ・アブドラ2(21分、31分)、マズワンディ・ゼケリア(84分)、
🟨クチンシティ(2):アダム・シリーン・タムビ、マズワンディ・ゼケリア
🟨トレンガヌ(0)
MOM:ファイズ・ナシル(トレンガヌII)

2022年シーズン プレミアリーグ順位表(第2節終了時)

チーム得失差勝点
1KEL22003126
2PDRM11003123
3JDT21013213
4SEL11001013
5KCH00000000
6TRE00000000
7FAM101001-10
8UITM100001-10
9PRK100113-20
10KLU100102-20
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

3月21日のニュース
JDTオーナーが複数のMリーグクラブに資金援助を行った経験を暴露
リザル・ガザリの「代表招集拒否」の背景をFAMが明らかに
ブキジャリル国立競技場のピッチの張り替えをいつやるか?今でしょ!-JDTオーナー

JDTオーナーが複数のMリーグクラブに資金援助を行った経験を暴露

Mリーグ1部スーパーリーグのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は良くも悪くもマレーシアのサッカーに絶大な影響力を持つ人物ですが、今回はなんと、これまでに給料未払い問題を抱えるMリーグのクラブに少なくとも5度の資金援助を行ったことを明らかにしています。

マレーシア語紙ブリタハリアンによると、その中にはマレーシアカップ最多優勝を誇る古豪で同じスーパーリーグのスランゴールFCに2度、ペナンFCとスリ・パハンFCに1度、2部プレミアリーグのクランタンFCに1度行った支援も含まれているということです。

現在、給料未払い問題を抱える2部プレミアリーグのペラFCの経営陣から相談を受け、金額は明かさなかったものの、資金援助を行なったことを認めたイスマイル殿下は、メディアの質問に対して今回の資金援助が初めてではないことを明らかにした上で、上記のクラブへの支援をこれまで行なったと話しています。今季2部プレミアリーグに降格したペラFCは、主力選手ほぼ全員が未払い給料を理由に退団しており、今季はU21やU19チームの選手を文字通りかき集めてチームを作っていますが、このチームのコーチや選手たちは昨年2021年8月から7ヶ月間の給料が未払いとなっているとされ、その総額は既に170万リンギ(およそ4830万円)に上るとされています。

マレーシアプロサッカー選手会PFAMの支援者でもあるイスマイル殿下は、これまでこれらの資金援助については公にしなかったため、ほとんど知られていないと話し、疑わしければそれぞれのクラブのオーナーに問い合わせればその事実がわかると話しています。

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個人的にはかなりショッキングなニュースで、イスマイル殿下の発言は爆弾発言では、と思いましたが、マレーシアメディアはイスマイル殿下の発言を淡々と報じているだけです。1クラブのオーナーが同じリーグの他クラブに資金援助を行ったという事実は、いわゆる「利害衝突」とならないのか、という疑問が残りますが、そういった意見は少なくともニュースメディアでは見当たりません。自分の給料を支払ってくれたのがJDTオーナーであることを知った選手が、JDTとの対戦する場合に果たして忖度なしで試合に臨めるのか、また未払い給料で苦しむ選手にとってはありがたい支援であっても、そのような外部の資金に頼らなければクラブを運営できない経営陣の責任は問われないのか、など様々疑問が残りますが、慢性的な未払い給料問題を抱えるマレーシア国内リーグも、またそれを報じるメディアも、問題を解決するという近視眼的な発想のみで、利害衝突について懸念する感覚は麻痺してしまっているのかもしれません。

リザル・ガザリの「代表招集拒否」の背景をFAMが明らかに

3月14日から行われている代表合宿に招集されながら、無断で合宿に参加していないことから代表招集を「拒否」したとして、処分対象となる可能性が取り上げられていたリザル・ガザリ(サバFC)についてはこのブログでも取り上げました。このリザル選手の「代表収集拒否」について、マレーシアサッカー協会FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は、リザル選手本人からの説明を受けたことをマレーシアの通信社ブルナマの取材に対して明らかにしています。

リザル選手からは近しい親類が病に臥せっており、それが理由で代表合宿に参加できないという説明を受けたと述べたサイフディン事務局長は、3月23日からシンガポールで始まる、マレーシア、シンガポール、フィリピンの3カ国対抗戦に出場する代表チームへの合流の可能性は低いことも明らかにしています。なお代表は3月21日に合宿を切り上げ、翌22日にシンガポール入りする予定です。

しかし代表合宿参加辞退の連絡が遅れた件についてサイフディン事務局長は、キム・パンゴン監督の判断を仰ぐとして、処分の有無などは現時点では決定していないと述べています。当初、代表招集拒否とされていたリザル選手についてサイフディン事務局長は、本日3月21日のFIFA国際マッチデー期間までに代表合宿に合流しない場合には、Mリーグ出場停止や罰金などの処分がリザル選手に課される可能性について言及していました。

ブキジャリル国立競技場のピッチ張り替えをいるやるか?今でしょ!-JDTオーナー(ちょっと古かったかな)

ブキジャリル国立競技場はマレーシア代表の本拠地ですが、その芝の張り替えの費用を肩代わりしたJDTオーナーのイスマイル殿下は、競技場視察後の記者会見での質問に答えたのが上のセリフです。

ブキジャリル国立競技場のピッチを当地ではカウグラスと呼ばれる草から、JDTの本拠地スルタン・イブラヒムスタジアムのピッチと同じ高麗芝の一種であるゼオン・ゾイシアに張り替えることで、代表チームのプレースタイルが展開が速い現代のサッカーにマッチする役に立つだろうと話したイスマイル殿下は、質の良いピッチは質の良いサッカーに直結するとして、国内の他のクラブも同様にゼオン・ゾイシアに張り替えることを望んでおり、その先駆けとしてブキジャリル国立競技場の張り替えに資金援助を行うことにしたと述べています。

「国内のカウグラスのピッチでプレーすることに慣れてしまっている(JDT以外の)代表選手は、国外の良いピッチでプレーする際にぎこちなさが見られる。もしMリーグの全てのクラブのピッチが同じようにゼオン・ゾイシアになれば、選手がどのクラブから集まってもその「ぎこちなさ」が解消されるだろう。」と話したイスマイル殿下は、120万リンギから140万リンギ(およそ3410万円から3980万円)が必要とされる芝の張り替えに加えて、必要であれば更なる資金提供も行う用意があることも明かしています。

なお、およそ4ヶ月を要するとされる芝の張り替え作業は、既にブキジャリル国立競技場で複数のイベント開催が決定していることから、来年2023年の1月から始まるということです。

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今回の芝の張り替えのための資金提供の理由として、ブキジャリル国立競技場で開催された昨季のマレーシアカップ決勝でJDTがKLシティに敗れたことも理由の一つかと記者会見の席で問われたイスマイル殿下は、カウグラスのピッチを持つ他のスタジアムでの試合にJDTが全て勝利し、JDTが昨季敗れたのはホームでのトレンガヌFC戦とマレーシアカップ決勝のみであるとして、そのような指摘は当たらないと答えています。


3月18日のニュース
前クランタンFC所属選手が未払い給料支払いを求める
クランタンFCオーナーは未払いはクランタン州サッカー協会の責任と主張
前副首相はクアラルンプールサッカー協会会長職に興味なし

昨日3月17日にはMリーグ1部スーパーリーグのJDTがユニバーサルミュージックとのコラボを発表し、チームのテーマソング「パイオニアーズ」を発表するとともに、ラッパーのスヌープドッグがJDTのユニフォームを着てこれを歌う映像まで発表するなどなかなか派手なことをしています。ただし麻薬所持が死刑に値するこの国で、薬物不法所持の前科があるスヌープドッグ起用は問題ないないのか、と思いましたが、ソーシャルメディア上ではそれを指摘するような投稿には遭遇しなかったので、それはそれ、これはこれということなのでしょう。

前クランタンFC所属選手が未払い給料支払いを求める

2019年にクランタンFCに所属していたファウジ・ロスランが、未だ未払いとなっている給料の支払いを求めているとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。

未払いとなっている6万3600リンギ(およそ180万円)の即時支払いを求めているファウジ氏は、昨年2021年10月30日までに支払われることを条件に、受け取る金額を5万5000リンギ(およそ156万円)に減額することに応じたものの、それ以降は何の連絡も受け取っていないとブリタハリアンの取材で話しています。

2021年10月15日付けの手紙を受け取ったのが最後だと話すファウジ氏は、2019年に在籍したクランタンFC(当時はクランタンFA)での7ヶ月分の給料に当たる金額の減額に応じたにもかかわらず、現在も支払いが行われていないと述べています。

クランタンFCオーナーは未払いはクランタン州サッカー協会の責任と主張

上の報道に対して、クランタンFCのノリザム・トゥキマンオーナーは、クランタンFCが給料未払いだった選手への支払いは全額支払ったと主張し、未払い給料は残っていないと、スタジアムアストロの取材に対して述べています。

2020年9月にかつて当時のクランタンFAを運営していたクランタン州サッカー協会に、当時の報道で680万リンギ(およそ1億9300万円)を支払い、クラブの全株式を取得してオーナーとなったノリザム オーナーは、昨年2021年にマレーシアサッカー協会、クランタン州サッカー協会との3者で行った会談の席上で、クランタンFAの未払い給料を完済したことが確認されていると述べています。

「2020年9月のクラブ株式取得の際に明らかになっていた未払い給料は全て支払っており、それ以外の未払い給料自分の責任ではなく、クランタン州サッカー協会が責任を負うべきものである。このことはFAMも承知済みであり、これ以上の未払い給料を支払うつもりはない。」と自身のFacebookに投稿したノリザムオーナーは、これ以上未払い給料の話題を持ち出さないようにメディアに求めています。

前副首相はクアラルンプールサッカー協会会長職に興味なし

クアラルンプール市庁が資金提供を保留していることによる、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティの選手や監督、コーチへの給料未払いは、マレーシア政権与党による野党への圧力と見られていますが、現在、野党政治家のカリド・サマド会長をトップに据えるクアラルンプール市サッカー協会への辞任圧力が高まる中、その後任に名前が上がっているザヒド・ハミディ元副首相は、サッカー関連の職に復帰するつもりはないと、自身のFacebookに投稿しています。

内務大臣時代には現在はMリーグ2部プレミアリーグのPDRM FC、防衛大臣時代には現在は3部M3リーグの国軍FCの運営に関わり、さらにペラ州サッカー協会会長なども歴任したザヒド氏は、現在は他にやるべきことがあるとしてどのサッカー協会の会長になる気はない、と投稿しています。

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マレーシア国内の市町村のトップは直接選挙で選ばれるのではなく、議会多数派から指名される仕組みになっています。またクアラルンプールは連邦直轄地であることから、マレーシア政府連邦直轄地省と担当大臣が市長を任命する仕組みです。また連邦直轄地相はクアラルンプールサッカー協会に就任することが関連となっており、現在のカリド会長も2018年5月の国政選挙で所属する国民信任党を含む連合が政権を取った後、同年7月に連邦直轄地相に就任し、そのままクアラルンプールサッカー協会会長に就任しています。しかし、2020年2月に当時の与党連合が内部分裂して政権が崩壊し、野党議員となったカリド氏は連邦直轄地相を失職しました。代わって新たに政権の座についた国民戦線構成党の構成党でもある統一マレー国民組織所属の議員で、かつてクランタン州サッカー協会会長も務めたアヌアル・ムサ氏が新たに連邦直轄地相に就任しましたが、カリド氏は会長職にとどまっています。昨年9月には内閣改造によりシャヒダン・カシム氏が連邦直轄地相に就任し、この両氏がクアラルンプールサッカー協会と協会が運営するKLシティを掌握するために、資金提供を保留し、カリドサッカー協会会長、さらにはスタンリー・バーナードCEOの辞任を求めているとされています。

2021年シーズンには、クラブ民営化によってそれまでのクアラルンプールFAからクラブ名変更をしようとした際も、当初決定していたKLユナイテッドFCという名を、シーズン開幕の2日前に突然、現在のKLシティFCに変更させたアヌアル氏は当時の連邦直轄地大臣で、サポーターの多くが不支持を表明していました。