マレーシアカップ2022
準々決勝2ndレグ結果とハイライト映像

 TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のセカンドレグが11月12日と13日に行われ・いよいよベスト4が決定しています。準決勝進出を決めたのは、リーグ優勝、FAカップ優勝に続く三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDT、リーグ2位のトレンガヌ、リーグ3位のサバ、そしてリーグ5位のスランゴールの4チームで、準決勝のカードはJDT対サバ、トレンガヌ対スランゴールと決まりました。なお、マレーシアカップの優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられますが、スーパーリーグ1位として既にACL出場を決めているJDT、そしてスーパーリーグ2位となったことでAFCカップ出場権を獲得しているトレンガヌが優勝した場合には、スーパーリーグ3位のサバがAFCカップ出場権を獲得することが決まっています。
 なお準決勝ファーストレグは11月20日と21日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 1-1 クチンシティ(通算スコア:サバ 2-1 クチンシティ)
⚽️サバ:加賀山泰毅(94分)
⚽️クチンシティ:ウマレン・バチョク(83分OG)
🟨サバ(1):イルファン・ファザイル、アルト・リナス、ハナフィ・トウキョウ
🟨クチンシティ(1):アリフ・ハサン
MOM:加賀山泰毅(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」は、ファーストレグではMリーグ1部スーパーリーグ3位のサバが2部プレミアリーグ3位のクチンシティに1-0で勝利していますが、内容はほぼ互角で、セカンドレグでも接戦が予想されました。サバには加賀山泰毅、クチンシティには1回戦のペナン戦ではMOMにも選ばれている谷川由来選手が在籍しており、日本人選手対決ともなったこの試合は、豪雨で試合開始が30分遅れた上、ピッチに水が浮く最悪のコンディションの中で始まりました。
 試合はアウェイのクチンシティが試合開始からホームのサバを圧倒しましたが、クチンシティのシュートがゴールの枠を捉えることができず、また枠内に飛んだシュートには絶好調のサバGKダミエン・リムが立ちはだかり、得点を挙げることができません。またクチンシティのGKシャイフル・ワジジもこうセーブを見せ、前半は0-0で終了します。
 後半に入っても、クチンシティはサバゴールを破ることができないまま試合が進み、このままサバが逃げ切るかと思われた83分、クチンシティのコーナーキックは直接、シュートにはつながらなかったものの、ゴール前の混戦からサバのウマレン・バチョクに当たったボールがそのままゴールイン!土壇場でクチンシティが通算スコア1-1に追いつきます。
 90分内で決着をつけたいクチンシティはその後も好機を作りますが、またもやGKダミエン・リムの攻守に阻まれ、試合は延長に入ります。そして延長戦開始直後の94分、右サイドからのサディル・ラムダニのクロスに加賀山泰毅が頭で合わせゴール!通算スコア2-1とサバが再び、リードを奪います。クチンシティはその後もジョセフ・カラン・ティー、アイルトン・フェレイラが好機を生かせず、試合はこのまま終了し、加賀山選手の今季通算4ゴール目となるマレーシアカップ初ゴールが決勝点となり、サバが準決勝を決めています。
 クラブ史上初のベスト4進出を逃したクチンシティですが、スーパーリーグ12位のペナンを破り、同3位のサバとも接戦を繰り広げ、来季昇格するスーパーリーグでも堂々と渡り合えることを証明しました。今季限りで退任を発表していたイルファン・バクティ監督は、来季も指揮を取るという報道も出ており、来季のスーパーリーグでのクチンシティの活躍が楽しみです。
  クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 5-0 クランタン(通算スコア:JDT 8-0 クランタン)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(12分、34分、37分)、シャーミ・サファリ(40分)、ナズミ・ファイズ(45+1分)
🟨JDT(1):ナチョ・インサ
🟨クランタン(3):ムハイミン・イズディン・アスリ、シャフィク・アル=ハフィズ、ズルファーミ・アブドル・ハディ
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ファストレグでは、スーパーリーグ覇者のJDTがプレミアリーグ2位のクランタンを3-0で破っており、このセカンドレグではクランタンがホームのJDTを相手に、意地を見せられるかどうかだけが注目でした。
 JDTのエクトル・ビドリオ監督は、マレーシアカップ1回戦のPJシティ戦、そしてクランタンとの準々決勝ファーストレグと1度として同じ先発XIを起用していませんが、この試合でも過去3試合とは異なる先発XIを起用、しかも、この試合も含め4試合全てに先発した選手は1人もいません。しかし誰が先発しても今季のJDTは強い!この試合もJDTのエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが前半だけでハットトリックを達成。ちなみにベルグソン選手はリーグ戦で29ゴール、FAカップで4ゴール、また今季のACLで6ゴールを挙げており、マレーシアカップはここまで5ゴールと今季通算44ゴール挙げ、準決2試合、そして決勝まで進めば年間50ゴールも見えてきます。JDTはさらにシャーミ・サファリ、ファイズ・ナズミもゴールを決めており、前半で5-0としたJDTが、後半は今季出場機会が少なかった選手を起用する余裕を見せ、通算スコア8-0でクランタンを粉砕しています。
 クランタンのリザル・ザムベリ・ヤハヤ監督にとっては、屈辱的な結果となりましたが、ノリザム・トゥキマン オーナーは、来季昇格するスーパーリーグに向けて、新監督を起用することを既に明らかにしており、まだ2年契約が残るリザル・ザムベリ監督は来季もコーチとして残るのかは未定です。
 クランタンの原健太選手は後半から出場して、試合終了までプレーしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月12日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-2 スランゴール
⚽️ヌグリスンビラン:マテウス・アウヴェス(25分)、ザクアン・アドハ(45+1分)
⚽️スランゴール:カイオン(10分)、ヤザン・アル=アラブ(45分)
🟨ヌグリスンビラン(2):マテウス・アウヴェス、クザイミ・ピー、
🟨スランゴール(1):バハー・アブドッラフマーン
🟥ヌグリスンビラン(1):ズカイリ・ズルキプリ
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ4位のヌグリスンビランが、同5位のスランゴールをホームに迎えたセカンドレグは2-2の引き分けに終わったものの、ファーストレグで2-0と勝利していたスランゴールが通算スコアを4-2として、準決勝進出を決めています。
 試合はスランゴールがカイオンのゴールで先制するものの、ヌグリスンビランも相手ペナルティエリア内でザムリ・ラムリが倒されていたPKをマテウス・アウヴェスが決めて、すぐさま同点に追いつきます。その後、スランゴールも45分にゴール前の混戦から出たクリアボールをヤザン・アル=アラブが巧みなボレーシュートでゴールを決めて、再びリードを奪います。しかし、ヌグリスンビランも、サクアン・アドハが前半ロスタイムにゴールを決め、前半は2-2で終了します。
 その後は両チームともゴールがなく、試合は2-2で引き分けに終わり、ファーストレグのとの通算成績を4-2としたスランゴールが準決勝進出を決めています。
 ヌグリスンビランにとって痛かったのは、センターバックとしての守備だけでなく、コーナーキックやゴール付近でのセットプレーではその長身を生かした攻撃参加が脅威となるエロルド・グロンが、ファーストレグで出されたレッドカードによりこの試合は出場停止となっていたこと。ヌグリスンビランのK・デヴァン監督は、点を取らなければならなかったこともあり、ファーストレグの5-3-2から、この試合では3-4-3にシステム変更するなど、苦肉の策でこの試合に臨みました。また、試合終盤の81分にズカイリ・ズルキプリがダニアル・アスリを踏みつけて一発レッドで退場なったことも痛かった!10人になったヌグリスンビランにはスランゴール相手にゴールを挙げる力は残っておらず、ベスト8で敗退しています。またスランゴールはタン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を8に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月12日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 3-1 KLシティ(通算スコア:トレンガヌ 4-1 KLシティ)
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(22分)、チェチェ・キプレ(63分)、クパー・シャーマン(89分)
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム・ロスリ(45+1分)
🟨トレンガヌ(0)
🟨KLシティ(4):ジャンカルロ・ガリフオコ、アクラム・マヒナン、パウロ・ジョズエ
MOM:ファイサル・ハリム(トレンガヌ)
 ファーストレグを1-0で勝利していたスーパーリーグ2位のトレンガヌが、セカンドレグでも同5位で昨季のマレーシアカップ覇者、KLシティを破り、準決勝進出を決めています。
 マヌエル・オットのゴールで先制を許したKLシティは、前半終了間際に体調不良のロメル・モラレスに代わって先発したハキミ・アジム・ロスリのゴールで通算スコアを再び1点差とします。
 しかし、後半に入ると攻撃力の差が明らかになり、エース不在のKLシティに対して、63分にはtyチェ・キプレが、そして89分にはクパー・シャーマンがマレーシアカップ4試合で7ゴール目となるゴールを決めて、KLシティを突き放しています。がホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 準決勝進出を決めたトレンガヌですが、この試合後の記者会見では、今月末に契約が切れるナフジ・ザイン監督が契約延長のオファーレターをクラブの経営陣からではなく、練習の際にキットマン経由で受け取ったことを認めています。クラブが設定した今季のKPI(重要業績評価指標)を達成したにもかかわらず、来季の契約内容についての話し合いの席も持たれなかったことも明らかにし、クラブには契約延長の可否を決める権利も、その伝達方法の選択の権利もあるとしながらも、過去3年間の自身の貢献が評価されているとは感じられないと述べたナフジ監督は、契約延長を受けるかどうかの返答は、近々クラブに対して行うと述べています。なお、ナフジ監督には来季のクダ監督就任の噂も出ており、リーグ2位監督が移籍すれば、スーパーリーグの勢力図が大きく変わる可能性があります。

11月12日のニュース
PJシティがMリーグ撤退を正式に発表、来季の1部リーグは15チーム編成に

PJシティがMリーグ撤退を正式に発表、来季の1部リーグは15チーム編成に

Mリーグ1部スーパーリーグで今季9位のPJシティFCが、来季のスーパーリーグからの撤退を正式に発表しています。このブログでも、SNSだけでなく現地メディアまでもがその撤退の噂を報じていることについて取り上げましたが、いよいよ実現してしまったようです。

マレーシアの通信社ブルナマは、「Mリーグ撤退は、クラブの財政上の問題によるものではなく、来季から改編されるMリーグが目指す方向性が「PJシティが目指す方向性と合致しない」ことが理由である、というPJシティFCのスバハン・カマル会長の発言を伝えています。具体的には(リーグ撤退は)来季からスーパーリーグでは各チームの外国籍選手枠の上限が現在の5名から9名に増えること(ただしフィールド上はこれまで通り5名)が主な理由であると説明し、昨季から外国籍選手を起用せず、マレーシア人選手だけでチームを編成してリーグに参加してきたPJシティFCにとっては、来季のスーパーリーグでは他のチームとの競合が困難になると説明しています。

その一方でスバハン会長は、現在のオーナーであるQI(キューアイ)グループが、来季のスーパーリーグに参加する国内クラブライセンスが交付されているチームを売却する用意があると説明しています。「PJシティFCのリーグ撤退は財政上の問題によるものでなく、新たなオーナーは負債を負うこともなく、新たなチームを手に入れることができる。」と述べて、クラブの売却先候補企業にアピールしています。

さらにスバハン会長は、マレーシアでサッカークラブを運営することは収益性の高いビジネスではないと述べ、この国では州政府からの資金援助を得られるクラブが、サポーターだけでなく、(クラブに関わる州の)政治家の利益を満たすことによって生き残れるとも発言しています。

*****

最後は恨み節にも近い発言で、リーグ撤退発表の記者会見を締めくくったスバハン会長ですが、そこには真理も含まれています。かつてはインド系マレーシア人サッカー協会MIFAが運営し、2014年に当時の3部リーグにあたるFAMカップからスタートしたこのクラブは2017年に2部プレミアリーグに昇格、そして2019年にはスーパーリーグに昇格するとPJシティFCとクラブ名を変更して現在に至ります。伝統的に州政府傘下の州サッカー協会や警察、国軍、公立大学などがプロクラブを運営してきたマレーシアサッカー界で、PJシティは州政府や公的機関の後ろ盾を持たない現存する唯一のプロクラブチーム。言い換えればPJシティFCを「おらがチーム」と呼ぶサポーターが生まれにくいクラブでした。昨季からは”Yakin Lokal”「ローカル(=マレーシア人選手)を信じろ」というチームスローガンの元、マレーシア人選手100%のチーム編成でトップリーグを戦い、GKカラムラー・アル=ハフィズ、MFのV・ルヴェンティラン、FWダレン・ロック、コギレスワラン・ラジらを代表に送り込むなど、マレーシア人選手のみで構成されたチームとして、代表チーム強化に貢献してきましたが、その一方で、ホームの試合を観戦に行けば、いつもアウェイサポーターの方が多く、リーグ戦でも観客が1000名を切ることが珍しくないクラブがトップリーグで4シーズンも生き残ることができたことの方が奇跡なのかもしれません。クラブの愛称であるフェニックス「不死鳥」のように、新たなオーナーを得て復活するのか、それともこのまま消滅してしまうのか。年内にはクラブの運命が明らかになりそうです。

またリーグ撤退表明の記者会見でスバハン会長は、クラブ買収企業に対して、PJシティFCの名前を残すことを売却の条件としています。実はこれより前にいずれも今季1部スーパーリーグでプレーしたサラワク・ユナイテッドFCとマラッカ・ユナイテッドFCが選手へのキュ量未払いなどを理由に国内クラブライセンスが交付されず。来季のスーパーリーグ参加が不可能になっています。マラッカ・ユナイテッドはチームの名称をハリマウ・マラッカFCと変更し、来季はアマチュアリーグの3部でプレーする可能性が出ていますが、サラワク・ユナイテッドについては、来季の方針が発表されておらず、一部ではサラワク・ユナイテッドを運営に関わるサラワク州サッカー協会がPJシティを買収して、サラワク・ユナイテッドに代わるチームとしてスーパーリーグ参加を目論むのでは、という噂が広まっています。

実際、2019年には、サラワク州サッカー協会が運営していた2部プレミアリーグ所属のサラワクFAは、3部M3リーグ所属のクチンFA(現クチンシティFC)に入れ替え戦で敗れて3部降格となったものの、2部プレミアリーグで資金繰りに苦しんでいたスランゴール・ユナイテッドFCを買収し、本拠地をスランゴール州からサラワク週に移してサラワク・ユナイテッドFCと名称を変えて2部に残留するという「力技」を使った過去もあり、今回も1部スーパーリーグ残留のためにPJシティFCを買収するのではという話がまことしやかに流布しています。しかし、PJシティFCがクラブ名称の維持を条件とすれば、サラワク州サッカー協会が買収する利点がなくなってしまいます。

11月10日のニュース
MFLのCEOはPJシティとUITMの来季リーグ撤退の噂を否定も、その可能性は「五分五分」と明かす
マレーシアカップ記念切手をポス・マレーシアが発売-クチンシティの谷川由来選手も登場
松村亮選手所属のプルシス・ソロがJDTと合同練習と練習試合開催

MFLのCEOはPJシティとUITMの来季リーグ撤退の噂を否定も、その可能性は「五分五分」と明かす

来季のMリーグ1部スーパーリーグは、今季のスーパーリーグ所属12クラブと2部プレミアリーグ所属の6クラブを統合し、新たに18クラブによるリーグとなることが発表されたのが、今年7月のことでした。その後、給料未払い問題未解決などを理由に来季の国内クラブライセンスが交付されなかったマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドがリーグ参加を認められず、16クラブ編成となることが明らかになっています。

しかし、この「新スーパーリーグ」からさらにPJシティとUITMが撤退し、結局のところ1部リーグは14クラブとなるのでは、といった話がSNS上で流布され、さらに地元紙など一部メディアもこれを取り上げるなど、その噂の信憑性が高まっています。

これについて、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、PJシティ、UITM両クラブとの会談を持ったことを明らかにし、いずれも来季の新スーパーリーグに参加する意思表示がなされたと述べています。

マレーシアの通信社ブルナマの取材に対してスチュアートCEOは、噂に上がっている両クラブからリーグ撤退に関する連絡をもらっていないと述べていないと説明しています。その一方で両クラブの経営陣と会談を持った際に、先方から来季スーパーリーグ参加の可能性は「五分五分」であるとも伝えられていることも明らかにし、来月12月末までには最終的な回答が得られるだろうと述べています。

マレーシアカップ記念切手をポス・マレーシアが発売-クチンシティの谷川由来選手も登場

今大会で創設101周年となるマレーシアカップは、すでに準々決勝の1STレグが終了しましたが、このマレーシアカップを記念した記念切手の販売を、マレーシアの郵便局ポス・マレーシアが発表しています。なおポス・マレーシアはMリーグを運営するMFLの公式ロジスティックパートナーになっています。

クアラルンプール中央郵便局で行われた記者会見では、今季のマレーシアカップ2022に出場する16クラブがデザインされたシートも公開されおり、各クラブの切手にはチームカラーを背景にした主力選手が描かれています。例えばジョホール・ダルル・タジムJDTは今季得点王のベルグソン・ダ・シルヴァと若きエース、アリフ・アイマン、トレンガヌは今季急成長のファイサル・ハリムとマレーシアカップでゴール量産中のクパー・シャーマン、スランゴールはブレンダン・ガンとムカイリ・アジマル、そしてクチンシティを代表する選手としては谷川由来選手がシャフィジ・イクマル選手とともに描かれています。

1800セット限定で、1セットが45マレーシアリンギ(およそ1390円)となっており、購入はポス・マレーシアの公式サイト およびクアラルンプール中央郵便局で11月9日から可能になっています。また国内の主要13郵便局では11月14日より購入可能です。


松村亮選手所属のプルシス・ソロがJDTと合同練習と練習試合開催

インドネシア1部リガ1のプルシス・ソロが、Mリーグ王者ジョホール・ダルル・タジムJDTと合同練習を行なっています。

JDTが招待する形で行われる今回の合同練習では、中部ジャワの都市スラカルタを本拠地とするプルシス・ソロが11月9日から18日までの予定で、JDTの本拠地があるジョホール州に滞在し、今週末の11月12日にはJDTとの練習試合も行うということです。

なお今回の合同練習にはプルシス・ソロからは松村亮選手を含む26名の選手と、今月6日に就任が発表されたばかりのレオナルド・メディナ監督以下コーチ陣が参加します。

またプルシス・ソロは、ジョコ・ウィドド大統領の三男で実業家のカエサン・パンガレプ氏がクラブのCEOを務めていますが、その経営陣は今回、クラブの運営や施設、アカデミーなどJDTの事業を見学する予定だということです。

10月1日に起こったいわゆる「カンジュンハンの悲劇」により、現在も中断されているインドネシアリーグは、再開の目処が立っていません。そんな中でも今回の合同練習の誘いは、メディナ新監督が過去3年間、JDTでコーチを務めていたことと無縁ではないでしょう。

11月9日のニュース
FAMが年末から来年にかけての各年代チームの活動予定を発表
来季カップ戦でVARの試験的導入とプロ審判採用をFAMが発表
女子代表はヨルダンから監督を招聘
フットサルリーグは外国籍選手枠1増と新たなカップ戦創設を発表

FAMが年末から来年にかけての各年代チームの活動予定を発表

マレーシアサッカー協会FAMは11月7日に定例理事会を開催し、各年代チームの今年年末から来年の活動予定を発表しています。

U16/17代表
オスメラ・オマロ監督率いるU16代表は、先月10月に行われたAFC U17アジアカップ2023年大会予選でアラブ首長国連邦やインドネシアを破り、予選B組1位で本戦出場を決めています。2018年大会依頼5年ぶり6回目の出場となる来年5月の本戦を前に、FAMは大会開催地となるカタールのドーハで来年2月からおよそ1ヶ月の事前合宿を計画しており、現在、カタールサッカー協会と詳細を調整中ということです。

U23代表
2023年には、東南アジアサッカー連盟AFFU23選手権(日程未定)と東南アジア競技大会通称シーゲームズ(カンボジア、5月5日から17日)、AFC U23アジアカップ2024年大会予選(開催地未定、9月4日から12日)が予定されています。

A代表
年末に東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022が控えるA代表は、大会前に国際新全試合2試合を予定しています。

国際親善試合
12月9日(金)マレーシア対カンボジア@ブキ・ジャリル国立競技場(午後9時キックオフ)
12月14日(水)マレーシア対モルジブ@KLフットボールスタジアム(午後9時キックオフ)
*これらの試合の入場料は大人30マレーシアリンギ(およそ930円)、子ども(11歳以下)5リンギとなることも発表されています。

東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022
グループステージ
12月21日(水)ミャンマー対マレーシア(詳細未定)
12月24日(土)マレーシア対ラオス@ブキ・ジャリル国立競技場(午後9時キックオフ) 
12月27日(火)ベトナム対マレーシア(詳細未定) 
2023年1月3日(火)マレーシア対シンガポール@ブキ・ジャリル国立競技場(午後9時キックオフ)
*グループステージの入場料はメインスタンド100マレーシアリンギ(およそ3090円)から子ども(11歳以下)10リンギとなることも発表されています。
準決勝(ホームの試合)
2023年1月7日(土)(グループステージ2位で進出の場合)@ブキ・ジャリル国立競技場
2023年1月9日(月)(グループステージ1位で進出の場合)@ブキ・ジャリル国立競技場
*準決勝の入場料はメインスタンド120マレーシアリンギ(およそ3790円)から子ども(11歳以下)10リンギとなることも発表されています。
決勝(ホームの試合)
2023年1月13日(金)(グループステージ1位で進出の場合、会場未定)
2023年1月16日(月)(グループステージ2位で進出の場合、会場未定)
*決勝の入場料は現時点で未定です。

女子代表はヨルダンから監督を招聘

マレーシアサッカー協会FAMは、11月7日に行われた定例理事会で女子代表の監督にソリーン・アル=ゾウビ氏が就任することを発表しています。ソリーン氏は2014年からヨルダンサッカー協会の女子部門のトップを務めている他、アシスタントTD(テクニカルディレクター)も務めています。なおソリーン氏との契約は来月12月からということです。

女子U16/17代表
2024年にはインドネシアでAFC U17女子アジアカップが開催されますが、来年4月にはタイでこの大会の予選が開催されます。予選A組に入った女子U16/17代表は、4月26日に北マリアナ諸島、同28日にインドネシア、同30日にタイとの対戦が決まっています。

女子U19/20代表
2024年にウズベキスタンで開催されるAFC U20女子アジアカップの予選ではG組となっているマレーシアは来年3月にカンボジアで開催される予選に出場します。日程は3月8日にパキスタン、同10日にカンボジア、そして同12日にミャンマーとの試合が組まれています。

フットサルリーグは外国籍選手枠1増と新たなカップ戦創設を発表

マレーシアンプレミアフットボールリーグ男女
マレーシアサッカー協会FAMが運営するマレーシアンプレミアフットサルリーグMPFLの2023年シーズンは2月に開幕しますが、来季から外国籍選手枠が1つ増えることが発表されています。2月から7月にかけて行われる来季のMPFL男子では、従来の無条件の外国籍選手枠1名に加えて、アジア枠1名が追加されるということです。また5月に開幕する来季のMPFL女子も新たに無条件の外国籍選手枠1名が採用されることも併せて発表になっています。

また新たにマレーシアフットサルカップが創設されています。MPFL終了後に開催されるこのマレーシアフットサルカップは、MPFLの上位8チームが参加して行われるカップ戦です。

来季カップ戦でVARの試験的導入とプロ審判採用をFAMが発表

マレーシアサッカー協会FAMは、11月7日に開かれた理事会で、ビデオアシスタントレフリーVARの導入について、来季のFAカップとマレーシアカップでの試験的導入の予定があることを明らかにしています。

FAMのS・シヴァサンドラム審判委員会委員長は、現在、VARのシステムを提供するホークアイ社とメディアプロ社の2社と協議中であることを明かしています。シヴァサンドラム委員長は、国内でのVARの導入については最大の障壁となるのがその費用面であり、年間300試合でVARを採用すると想定した場合の費用は400から500万リンギ(およそ1億2400万から1億5500万円)がかかるとし、さらに「この費用は企業へ支払う金額であり、機器の設置や移動、担当審判の手当、インターネット環境の整備などは含まれておらず、実際にはこれ以上の費用がかかる。」とも述べています。また、VAR担当審判を養成コースに派遣するなど6ヶ月から8ヶ月の準備期間が必要となることも説明したシヴァサンドラム委員長は、FIFAやAFCの協力を得ながら、来季のカップ戦の準決勝や決勝戦での試験運用を目指したいとしています。

この他、ここ数年のFAM理事会での議題となりながら実現していない審判の「プロ化」については、来年、2名のプロ審判が誕生する予定であることも明らかにしています。審判のプロ化については、FAMは2年前にプロ審判候補6名を選出し、今年2022年には6名から8名のプロ審判がMリーグで笛を吹く計画を立てていましたが、コロナ禍により頓挫しており、その後は何も議論が行われていませんでした。

11月8日のニュース
今季のナショナルフットボールアウォーズ候補選手をMFLが発表

昨日11月7日には、今季のJリーグアウォーズ(年間表彰式)が開催され、横浜FマリノスのDF岩田智輝選手が、DFとしては田中マルクス闘莉王(当時浦和)以来16年ぶりの年間MVP(最優秀選手賞)を受賞していますが、こちらマレーシアでもナショナルフットボールアウォーズの各部門とその候補選手が発表になっています。なお、ナショナルフットボールアウォーズの表彰式はマレーシアカップ終了後の12月にオンラインで開催されます。

今季のナショナルフットボールアウォードの各部門とその候補選手をMFLが発表

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、2022年ナショナルフットボールアウォード(通称ABK22)の各部門とその候補選手を公式サイトで発表しています。

受賞対象となるのは以下の16部門です。(カッコ内は既に受賞決定している選手)
1部スーパーリーグ得点王
(ベルグソン・ダ・シルヴァ-JDT:29ゴール)
1部スーパーリーグ得点王-マレーシア人選手対象
(ダレン・ロック-PJシティ:10ゴール)
2部プレミアリーグ得点王
(アブ・カマラ-クチンシティ:11ゴール)
2部プレミアリーグ得点王-マレーシア人選手対象
(ヌルシャミル・アブドル・ガニ-クランタン:9ゴール)
最優秀ゴールキーパー賞
最優秀ディフェンダー賞
最優秀ミッドフィルダー賞
最優秀フォワード賞
最優秀監督賞
最優秀若手選手賞
最優秀外国籍選手賞
最優秀チーム賞
フェアプレー賞
ファン投票によるベストXI
ファン投票によるベストゴール(今季から採用の新部門)
リーグ最優秀選手賞

また、各ポジションの最優秀選手賞候補は、今季スーパーリーグとプレミアリーグに出場した全667選手が、試合出場時間などを元にまず386名まで絞り込まれ、さらにそこからABK22選考委員会が各ポジションごとに10名を選出しています。なおこのABK22選出委員会は、今季スーパーリーグとプレミアリーグでプレーした22チームの監督と各チームのチームマネージャー、そして22名のメディア関係者で構成されています。

最優秀ゴールキーパー賞候補
シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
ファリザル・マーリアス(JDT)
フィクリ・チェ・ソー(クランタン・ユナイテッド)
イズハム・タミジ(JDT II)
カラムラー・アル=ハフィズ(PJシティ)
カイルル・ファーミ(サバ)
ニック・アミン・アフマド(クランタン)
ラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)
サミュエル・サマヴィル(スランゴール)
スハイミ・フシン(トレンガヌ)


最優秀ディフェンダー賞候補
クザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)
アザム・アズミ(トレンガヌ)
ドミニク・タン(サバ)
イルファン・ザカリア(KLシティ)
カマル・アジジ(KLシティ)
ラヴェル・コービン=オング(JDT)
マシュー・デイヴィーズ(JDT)
ナスルラー・ハニフ(ヌグリスンビラン)
シャールル・ニザム(トレンガヌ)
シャールル・サアド(JDT)


最優秀ミッドフィルダー賞候補
アクラム・マヒナン(KLシティ)
アフィク・ファザイル(JDT)
バドロル・バクティアル(サバ)
ブレンダン・ガン(スランゴール)
デヴィッド・ローリー(スリ・パハン)
ムカイリ・アジマル(スランゴール)
ナチョ・インサ(JDT)
ノー・アザム・アジー(スリ・パハン)
ライアン・ランバート(KLシティ)
ザフリ・ヤハヤ(KLシティ)


最優秀フォワード賞候補
アリフ・アイマン(JDT)
ダレン・ロック(PJシティ)
ファイサル・ハリム(トレンガヌ)
J・パルティバン(KLシティ)
ノル・ハキム・ハサン(スランゴール)
ヌル・シャミ・イスズアン・アミン(サラワク・ユナイテッド)
ヌルシャミル・アブドル・ガニ(クランタン)
S・クマーラン(PJシティ)
シャフィク・アフマド(JDT)
ワン・ファズリ・ワン・ガザリ(トレンガヌII)


最優秀若手選手
アリフ・アイマン(JDT)
アイサル・ハディ・シャプリ(JDT II)
アザム・アズミ(トレンガヌ)
ダリル・シャム(JDT II)
ハキミ・アジム・ロスリ(KLシティ)
ムカイリ・アジマル(スランゴール)
ラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)
ルヴェンティラン(PJシティ)
シャヒル・バシャー(スランゴール)
T・サラヴァナン(ペナン)


最優秀監督
バドルル・アフザン・ラザリ(トレンガヌII)
ボヤン・ホダック(KLシティ)
ドラー・サレー(スリ・パハン)
オン・キムスイ(サバ)
エクトル・ビダリオ(JDT)
K・デヴァン(ヌグリスンビラン)
マリアノ・エチェヴェリア(JDT II)
ナフジ・ザイン(トレンガヌ)
P・マニアム(PJシティ)
リザル・ザムベリ・ヤハヤ(クランタン)

最優秀外国籍選手
ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
カイオン(スランゴール)
フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)
グスタヴォ(ヌグリスンビラン)
エロルド・グロン(ヌグリスンビラン)
ケヴィン・レイ・メンドーザ(KLシティ)
マヌエル・イダルゴ(スリ・パハン)
パク・タエス(サバ)
パウロ・ジョズエ(KLシティ)
チェチェ・キプレ(トレンガヌ)

なお最優秀チームはMFLの技術委員会が、フェアプレー賞はマレーシアサッカー協会FAMが選出する他、いずれもファン投票によるベストXIとベストゴールへの投票は来週から可能となるということです。またリーグ最優秀選手は、最優秀ゴールキーパー、最優秀ディフェンダー、最優秀ミッドフィルダー、最優秀フォワードに選ばれた4選手の中から、マレーシア代表のキム・パンゴン監督によって選出されるということです。

マレーシアカップ2022
準々決勝1STレグ結果とハイライト映像

TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のファーストレグが11月5日と6日に行われています。行われた4試合は、いずれも今季リーグ戦での成績上位チームが勝利する順当な結果ととなりましたが、4試合中3試合でレッドカードが出されるなど、今季最後のタイトルを目指す各チームの試合は激しさを増してきています。なお準々決勝セカンドレグは11月11日と12日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月5日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 0-1 サバ
⚽️サバ:バドロル・バクティアル(69分)
🟨クチンシティ(1):アダム・シリーン
🟨サバ(2):リザル・ガザリ、イルファン・ファザイル
MOM:ダミアン・チェン(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」となったこのカードは、1回戦でMリーグ1部スーパーリーグ12位のペナンを破って準々決勝に進出した2部プレミアリーグ3位のクチンシティが、スーパーリーグ3位のサバをホームに迎えて対戦しました。クラブ史上初となるマレーシアカップ準々決勝進出を祝い、この試合を主催するクチンシティは、この試合が入場無料となることを事前に発表し、公式発表では今季最多の2万154人の観衆がサラワク州立スタジアムに集まりました。
 試合はホームのクチンシティが前半を優勢に進めるものの、マレーシアカップでは先発で起用されているサバのGKダミエン・チェンが相手のセットプレーからのシュートを好セーブし、またクチンシティのGKシャイフル・ワジジも加賀山泰毅選手のロングシュートを止めるなど、前半は0-0で終了しました。後半に入っても両GKの頑張りでしまった試合になりましたが、69分にサバが決勝点を挙げます。クチンシティGKのシャイフル・ワジジがサバのファルハン・ロスランのシュートを反応よく防いだものの、そこに詰めていたキャプテンのバドロル・バクティアルがそのこぼれ球をゴール!サバがついにクチンシティのゴールをこじ開けました。その後クチンシティも反撃しますが、この試合のMOMにも選ばれたダミエン・チェンがサバゴールに立ちはだかり、この1点を守り切って勝利しています。
 クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月5日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 0-3 JDT
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(29分)、シャフィク・アフマド(37分)、レアンドロ・ヴァレスケス(74分)
🟨クランタン(3):アリプ・アミルディン、ジャスミル・メハト、イクワン・ヤゼク
🟨JDT(0):アフィク・ファザイル、レアンドロ・バレスケス、シャールル・サアド、ナサニエル・シオ
🟥クランタン(1):ジャスミル・メハト(試合終了後)
🟥JDT(1):アフィク・ファザイル(🟨x2)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 互いに特徴的なオーナーの両チームの対戦は、今季スーパーリーグ9連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTが、エースのベルグソン・ダ・シルヴァのゴールなどで、プレミアリーグ2位のクランタンに快勝しています。
 マレーシアでも有数のサッカーどころでもあるクランタンは、10年前の2012年にはスーパーリーグ、FAカップ、マレーシアカップの三冠も達成する強豪チームを擁していましたが、2013年のFAカップ優勝を最後にタイトルから遠ざかっています。当時チームを運営していたクランタン州サッカー協会KAFAのミスマネージメントもあり、2019年からは2部プレミアリーグでプレーしています。そんなクラブを実業家のノリザム・トゥキマン氏が2020年9月に買収し、そこからかつての栄華を目指して復活の道を進んできているクランタンが、今季既に二冠を獲得し、このマレーシアカップ優勝で三冠達成をもくろむJDTと対戦しました。
 試合は代表GKファリザル・マーリアスらをベンチスタートさせる余裕を見せたJDTの一方的な試合となり、後半76分にはJDTのアフィク・ファザイルがこの試合2枚目のイエローで退場となるものの、試合の大勢には影響がなく、ホームのクランタンが無得点で敗れています。
 クランタンの原健太選手は先発して、前半終了後に交代しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 2-0 ヌグリスンビラン
⚽️スランゴール:カイオン(56分PK)、アリフ・ハイカル(90+1分)
🟨スランゴール(1):カイオン
🟨ヌグリスンビラン(1):ハリズ・カマルディン
🟥ヌグリスンビラン(1):エロルド・グロン
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ5位のスランゴールが、同4位のヌグリスンビランをホームに迎えた試合は、スランゴールが好機に次ぐ好機を得ながらも、攻撃陣の精度の低さやヌグリスンビランGKのシーハン・ハズミのスーパーセーブもあり、前半は0-0で終わります。
 後半に入っても、好機を得るものの、それを活かせないスランゴールにとっては、嫌な流れのまま進んだ試合は56分に動きました。ヌグリスンビランのペナルティエリアでエロルド・グロンがシャルル・ナジームを倒してPKを与えてしまいます。(実際にはボールに行っているクリーンなタックルにも見えますが)、しかもこの判定に執拗に抗議を続けるグロン選手に対して主審がレッドカードを示し、ヌグリスンビランは10人になってしまいます。
 数的有利を生かしたスランゴールは終了間際にアリフ・アイカルが数少ないDFをかわしてダメ押しのゴールを決めて勝利し、タン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を7に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月6日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 0-1 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン(15分)
🟨KLシティ(3):パウロ・ジョズエ、デクラン・ランバート、アリフ・シャキリン
🟨トレンガヌ(4):クパー・シャーマン、アディブ・ザイヌディン、ハビブ・ハルーン、シャミルザ・ユソフ
🟥トレンガヌ(1):スハイミ・フシン
MOM:シャミルザ・ユソフ(トレンガヌ)
 スーパーリーグ2位のトレンガヌを同5位のKLシティがホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 AFCカップで他のクラブよりも試合数が多いKLシティは、この試合でも疲労蓄積が心配されましたが、前年の覇者として臨むマレーシアカップでは、そのモチベーションは切れておらず、試合開始からパウロ・ジョズエがトレンガヌゴールに迫るなど、試合を優位に運びます。しかし、好調のクパー・シャーマンが、相手ゴール前の混戦からそのこぼれ球を押し込んで、トレンガヌが開始15分でリードを奪います。
 試合はそのまま、一進一退の攻防を繰り返しながら進み、問題の62分を迎えます。自陣からパウロ・ジョズエのロングボールに反応したKLシティのロメル・モラレスが抜け出そうとしたところを、トレンガヌのGKスハイミ・フシンがペナルティエリアのすぐ外で倒し、スハイミ選手は一発レッドで退場、KLシティはFKを得ます。しかし、スハイミ選手に代わって入ったGKシャミルザ・ユソフがパウロ・ジョズエのこのFKを止めると、さらにゴール前に詰めていたロメル・モラレスのシュートも再び止める大活躍で失点を防ぎます。今季トップチーム初出場となったチームの第3GKが勝負どころで大仕事を成し遂げたトレンガヌが準決勝に一歩近づいています。

マレーシアカップ2022
1回戦結果とハイライト映像(2)

今季のマレーシアのフットボールシーズンのフィナーレとなるマレーシアカップ1回戦の残り4カードで勝者が決まり、ベスト8出場チームが出揃いました。Mリーグ1部スーパーリーグの上位11チーム(ただしリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドは給料未払い問題が解決していないことから出場権が剥奪され、12位のペナンが繰り上がり出場)と2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、スーパーリーグ所属クラブのセカンドチームは除く)の合計16チームが出場するこの大会の優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられます。

マレーシアのサッカーファンの間ではリーグ戦以上に盛り上がるのがこのマレーシアカップ。その歴史は1921年まで遡ります。かつての宗主国である英国の海軍艦船HMSマラヤから寄贈を受けたカップ「マラヤカップ」の争奪戦として始まったこの大会は、各州代表チームによる対抗戦で行われた、いわばサッカーの「甲子園」。マレーシア成立に合わせ、大会名はマレーシアカップに代わったものの、州対抗戦の伝統は現代にも引き継がれており、自分の出身地の代表チームを応援するサポーターの熱狂の度合いは、決勝戦では8万5000名を超える観客を集めることからもわかるでしょう。

太平洋戦争による戦果の影響のため中断期間があるものの、昨年の大会が創設100周年起点大会、今年の大会が通算96回大会と、先日のヴァンフォーレ甲府の優勝が記憶に新しい天皇杯サッカーと並ぶ、アジアで最古のカップ戦がこのマレーシアカップです。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ユナイテッド 0-2 スランゴール
⚽️スランゴール:カイオン2(37分、63分)
🟨クランタン(1):ニック・アズリ・アリアス
🟨スランゴール(0)
MOM:カイオン(スランゴール)
セカンドレグ
2022年11月1日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-0 クランタン・ユナイテッド(通算スコア:スランゴール 3-0 クランタン・ユナイテッド)
⚽️スランゴール:ニック・アキフ(90+1分OG)
🟨スランゴール(1):アレクサンダー・アギャルクワ
🟨クランタン(0)
MOM:フィクリ・チェ・ソー(クランタン・ユナイテッド)
 Mリーグ1部スーパーリーグ5位のスランゴールと2部プレミアリーグ5位のクランタン・ユナイテッドが対戦。シーズン途中でのタン・チェンホー前代表監督が就任以来、スーパーリーグを4戦無敗で終えたスランゴールは、マレーシアカップ1回戦でもホーム、アウェイとも勝利で、チームの無敗記録を6に伸ばしています。
 一方、セカンドレグは惜しくもOGで敗れたクランタン・ユナイテッドですが、守備に安定感があるわけではないスランゴール相手に無得点と、来季のスーパーリーグ入りに向けては、攻撃陣の補強が急務となりそうです。
 スランゴールはベスト8でヌグリスンビランと対戦します。
 クランタン・ユナイテッドの深井修平選手は、ファーストレグ、セカンドレグとも先発して、フル出場し、セカンドレグではキャプテンマークをつけての出場でした。また本山雅志選手は両試合もベンチ入りしませんでした。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ 1-2 ヌグリスンビラン
⚽️クダ:ファイヤド・ズルキフリ(7分)
⚽️ヌグリスンビラン:チェ・ラシド(42分)、マテウス・アウヴェス(67分)
🟨クダ(1):サンワット・デーミット
🟨ヌグリスンビラン(2):アナス・ラーマット、ザムリ・ピン・ラムリ
MOM:ヤーセル・ピント(ヌグリスンビラン)
セカンドレグ
2022年11月1日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 0-0 クダ(通算スコア:ヌグリスンビラン 2-1 クダ)
🟨ヌグリスンビラン(1):チェ・ラシド
🟨クダ(2):ヒシャムディン・アフマド、フィクリ・ズルキフリ
🟥クダ(1):シャールル・サムスディン(チームコーディネーター)
MOM:エロルド・グロン(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ4位のヌグリスンビランと同8位のクダが対戦。クダはこのマレーシアカップの前に今年いっぱいの契約が残っていたシンガポール出身のアイディル・シャリン監督との契約を解除しています。契約解除は健康上の問題と家族の問題によるものとはされていますが、監督就任4年目となったアイディル監督にとっては、一昨年、昨年といずれもJDTに次ぐ2位となりながら、今季開幕前に主力選手の半数近くが移籍し、その代わりに獲得した選手が機能せず、苦しいシーズンでした。そのクダは、アイディル前監督に代わり、ヴィクター・アンドラグ コーチを監督代行に指名しましたが、指導者が代わっても今季を象徴するような得点力不足と不安定な守備は代わらず、1回戦で敗退しています。
 ヌグリスンビランは、リーグ戦では1勝1分けと相性の良いクダを相手にしながら、シーズン終盤に調子を落としていた相手に対してファーストレグは1点差勝利、セカンドレグは引き分けと突き放すことができませんでした。ベスト8新種を決めたとはいえ、そこで待ち受けるのは6戦無敗のスランゴール。スランゴール戦ではエース、グスタボが復調するかどうかが鍵になりそうです。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月27日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
PDRM 0-3 KLシティ
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(45+2分、79分)、パウロ・ジョズエ(67分)
🟨PDRM(0)
🟨KLシティ(3):ライアン・ランバート、カマル・アジジ、ケニー・パッラジ
MOM:ジャンカルロ・ガリフオコ(KLシティ)
セカンドレグ
2022年11月1日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティ 1-0 PDRM(通算スコア:KLシティ 4-0 PDRM)
⚽️KLシティ:ザフリ・ヤハヤ(89分)
🟨KLシティ(1):ケニー・パッラジ
🟨PDRM(2):アミルル・ヤアコブ、アミル・サイフル
MOM:ザフリ・ヤハヤ(KLシティ)
 スーパーリーグ6位のKLシティとプレミアリーグ6位のPDRMが対戦。いずれもKLフットボールスタジアムを本拠地とするチームの対戦となり、ファーストレグではKLシティが、セカンドレグではPDRMがアウェイユニフォームを着用して対戦しました。結果は順当にKLシティが2試合連続完封勝ち。2年連続優勝を目指すKLシティが好発進しています。

マレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月27日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 1-5 トレンガヌ
⚽️パハン:スティーヴン・ロドリゲス(43分)
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン3(1分、52分、90+1分)、ニック・シャリフ・ハセフィー(3分)、ファイサル・ハリム(50分)
🟨パハン(1):エセキエル・アグエロ
🟨トレンガヌ(1):マヌエル・オット
MOM:クパー・シャーマン(トレンガヌ)
セカンドレグ
2022年11月1日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 4-2スリ・パハン(通算スコア:トレンガヌ 9-3 スリ・パハン)
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン2(2分、45分)、ファイサル・ハリム(29分)、アザム・アズミ(35分)
⚽️パハン:リー・タック(71分)、スティーヴン・ロドリゲス(84分)
🟨トレンガヌ(2):アザム・アズミ、アリフ・ファジラー
🟨パハン(2):エセキエル・アグエロ、ケヴィン・イングレッソ
🟥トレンガヌ(1):シャールル・ニザム
MOM:クパー・シャーマン(トレンガヌ)
 スーパーリーグ2位のトレンガヌと同7位のスリ・パハンの対戦はいずれもマレー半島東海岸に面した州を本拠地とする両チームの「東海岸ダービー」として白熱した試合が期待されましたが、これがまさかの「クパー・シャーマン祭り」となりました。トレンガヌのクパー・シャーマンは2試合で5ゴール、しかもファーストレグでは開始1分、セカンドレグでも開始2分でゴールをを挙げるなど、1人でスリ・パハンを粉砕しています。
 Mリーグで5年間プレーし、マレーシア国籍を取得したリー・タック(英獄)とエセキエル・アグエロ(アルゼンチン)がマレーシアカップから出場可能となったスリ・パハンは、このマレーシアカップではベンチ入り20名中、外国籍選手5名、帰化選手5名と国外出身者が半数を占めるロースターで臨んだものの、通算スコア3-9で大敗しています。孤軍奮闘したマヌエル・イダルゴからは、マレーシア人選手が自信を持ってプレーできていないとと指摘されるなど、外国籍選手や帰化選手だけが奮起してもどうにもならない現実を突きつけられた格好となりました。

11月3日のニュース
MFLはマラッカとサラワクのクラブライセンス不交付への不服申し立てを却下-来季のスーパーリーグは16クラブでの開催が決定
今月末にジョホールがボルシア・ドルトムントと7年ぶりの親善試合開催
スーパーモクカップ閉幕-U13はブリーラム・ユナイテッドが3年越しの2連覇達成

MFLはマラッカとサラワクのクラブライセンス不交付への不服申し立てを却下-来季のスーパーリーグは16クラブでの開催が決定

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグは、今季1部スーパーリーグで8位のマラッカ・ユナイテッドと同11位のサラワク・ユナイテッドから出されていた国内クラブライセンス不交付に対する不服申し立てが却下されたことを、公式サイトで発表しています。これにより、来季から新たに再編成される1部スーパーリーグは16クラブで編成されることが確定しました。

国内クラブライセンス交付を請け負う第一審期間FIBは、マラッカ・ユナイテッドは未払い給料が完済されたことを証明する書類に不備があるとして、またサラワク・ユナイテッドはかつて在籍した外国籍選手が未払いとなっている給料についてFIFAの紛争解決室DRCの下した裁定が解決されていないとして、申請の出ていた18クラブ中、16クラブにクラブライセンスのは交付したものの、この2クラブについては交付を行いませんでした。

先月10月12日にクラブライセンス不交付となった両クラブに対し、MFLは1週間の不服申し立て期間を設けており、今回の発表はその期間終了後に開催されたMFLのクラブライセンス不服申し立て委員会が両クラブの不服申し立てを却下したと、スチュアート・ラマリンガムCEOは説明していますが、具体的には不交付の理由となった書類不備に対して、今回の不服申し立てでどのような書類が提出されたかどうかについては秘匿が条件であるため、公開はできないとも話しています。またMFLは今回の不服申し立て却下という決定を両クラブに通達したものの、現時点では公式の返事は受け取っていないということです。

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今季のMリーグ1部スーパーリーグ(12クラブ)」と2部プレミアリーグ6クラブを統合した「新スーパーリーグ」が来季から発足することが決まっており、これにより当面はプレミアリーグは開催されず、新スーパーリーグの下はアマチュアフットボールリーグAFLが運営するセミプロリーグのM3リーグとなります。来季の国内クラブライセンスが交付されなかったマラッカとサラワクは新スーパーリーグには参加できないものの、M3リーグへ参加の可能性が残されています。

今月末にジョホールがボルシア・ドルトムントと7年ぶりの親善試合開催

今季のスーパーリーグとFAカップに優勝し、既に二冠を獲得しているジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式Facebookでボルシア・ドルトムントとの国際親善試合を今月11月28日に本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムで開催することを発表しています。

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ボルシア・ドルトムントは、2015年7月9日にもJDTと国際親善試合を行なっています。この2日前の7月7日には等々力陸上競技場で川崎フロンターレを0-6で破っているドルトムントは、JDTがかつて本拠地として使用していたタン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユヌススタジアムで行われた試合でも、6-1とJDTに圧勝しています。この試合では、当時ドルトムントに所属していた香川真司選手がチーム4点目となるゴールを74分に挙げている他、当時セレッソ大阪から期限付き移籍していた丸岡満選手も途中出場し、香川選手のゴールをアシストしています。(以下は2015年のJDT対ドルトムントのハイライト映像。ブンデスリーガの公式YouTubeチャンネルより)

ボルシア・ドルトムントは、FIFAワールドカップ2022年大会によるリーグ中断期間を利用して「BVBアジアツアー2022」と銘打ったアジア遠征を開催し、JDT戦はこのツアーの一環です。ドルトムントのクラブ公式サイトによると、11月24日にシンガポールでライオンシティーセイラーズと対戦し、11月30日にはベトナムのハノイでベトナム代表と対戦します。またドルトムントは当初、インドネシアでの国際親善試合も予定していましたが、先月10月1日に125名以上の死者が出た東ジャワ州カンジュルハンスタジアムでの事故「カンジュルハンの悲劇」により、十分な安全対策が決まるまでサッカーの試合が開催できないため、その代わりとして組まれたのが、今回のJDT戦です。

スーパーモクカップ閉幕-U13はブリーラム・ユナイテッドが3年越しの2連覇達成

ユース国際招待大会のスーパーモクカップ2022年大会は10月30日にU12、U13、U14の各年代の決勝戦が行われ、優勝チームが決定しました。2019年以来3年ぶりの開催となった今大会は、前回に続きマレーシアのパハン州ガンバンにあるモクタル・ダハリアカデミーAMDのユースフットボールセンターを開場して開催されました。

U12は、マレーシアサッカー協会FAMと、マレーシア政府のスポーツ青年省傘下の国家スポーツ評議会が共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDP参加選手から選ばれたNFDPのBチームがNFDPのCチームを決勝で破り優勝、3位にはNFDPのAチームが入っています。また4位以下はて、キム・ヨンフンアカデミー(韓国)、ライオンシティーセイラーズ(シンガポール)と続きます。なおU12の各試合の詳細はこちらから。

U13は、前回2019年の第5回大会でもこのカテゴリーで優勝しているブリーラム・ユナイテッド(タイ)がAMDのチーム、AMDパンサーズU13を1-0で破って3年越しの大会2連覇を達成しています。また3位にはPVFフットボールアカデミー(ベトナム)、以下、アシアナサッカースクール(インドネシア)、NFDP、華城FC U13(韓国)、AMDクーガーズU13、イブラヒム・フィクリ校(マレーシア)と続いています。U13の各試合の詳細はこちらから。

またヨーロッパ勢同士による決勝となったU14は、NKオシエク(クロアチア)がパリ・サンジェルマン(フランス)を2-1で破って大会初優勝を遂げています。また3位にはAMDパンサーズU14を4-1で破ったセレッソ大阪が入り、敗れたAMDパンサーズU14が4位、以下、ファジアーノ岡山、AMDクーガーズU14、チョンブリーFC(タイ)。MFKルジョムベロク(スロバキア)、華城FC U14(韓国)、RFヤング・チャンプス(インド)となっています。U14の各試合の詳細はこちらから。


TMマレーシアカップ2022
1回戦結果とハイライト映像(1)

今季のマレーシアのフットボールシーズンのフィナーレとなるTMマレーシアカップが開幕し、1回戦の4カードで勝者が決まっています。Mリーグ1部スーパーリーグの上位11チーム(ただしリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドは給料未払い問題が解決していないことから出場権が剥奪され、12位のペナンが繰り上がり出場)と2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、スーパーリーグ所属クラブのセカンドチームは除く)の合計16チームが出場するこの大会の優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられます。注目は何と言ってもジョホール・ダルル・タジムJDTがクラブ史上初となる三冠を達成するのかどうか。圧倒的な強さで9連覇を達成したスーパーリーグ、そして6年ぶりの優勝を果たしたFAカップに続き、昨季は優勝候補筆頭ながら決勝でKLシティに敗れたJDTが、3季ぶりにマレーシアカップ優勝を果たすかどうかが最大の関心です。

またTMマレーシアカップ優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられますが、スーパーリーグ王者として既にACLに出場することが決まっているJDTが優勝すれば、スーパーリーグ3位のサバが繰り上げ出場となることも決まっています。
*試合のハイライト映像はいずれもMFLの公式YouTubeチャンネルより

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 2-2 クチンシティ
⚽️ペナン:ルーカス・シルヴァ2(38分、77分)
⚽️クチンシティ:アリフ・ハサン(45分)、アブ・カマラ(73分)
🟨ペナン(1):ファイズ・マズラン
🟨クチンシティ(3):アミル・アムリ・サレー、チェ・アリフ・チェ・カマルディン、アリフ・ハサン
MOM:ルーカス・シルヴァ(ペナン)
セカンドレグ
2022年10月31日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 2-1 ペナン(通算スコア:クチンシティ 4-3 ペナン)
⚽️クチンシティ:アリフ・ハサン(72分)、ワン・ファイズ・スライマン(118分)
⚽️ペナン:ルーカス・シルヴァ(22分)
🟨クチンシティ(3):ラフィザン・ラザリ、ズルアズラン・イブラヒム、アミル・アムリ・サレー
🟨ペナン(4):ジェフリ・フィルダウス・チュウ、ルーカス・シルヴァ、T・サラヴァナン、アリフ・アル=ラシド
MOM:谷川由来(クチンシティ)
 2部プレミアリーグ3位のクチンシティと1部スーパーリーグ12位のペナンが対戦。ファストレグでは、今季プレミアリーグの得点王アブ・カマラのゴールでクチンシティがリードを奪うも、ペナンはエースのルーカス・シルヴァがこの試合2ゴール目を挙げて追いつき引き分けています。
 セカンドレグは、クチンシティはアリフ・ハサン、ペナンはルーカス・シルヴァがいずれも2戦連続のゴールを挙げて1-1としましたが、その後、90分では決着がつかず延長戦に入りました。延長戦も後半に入り、残り時間が5分を切り、いよいよPK戦突入かと思われましたが、ゴール前の混戦からクチンシティに待望の決勝ゴール!残り時間を守り切ってクチンシティがベスト8進出を決めると共に、来季の1部スーパーリーグでも十分通用するチームであることを証明した試合でした。
 ペナンはリーグ最下位でマレーシアカップも1回戦敗退と今季は散々な成績でした。1年前のリーグ3位からは大きく成績を落とし、改めてトマス・トルチャ前監督の解任の代償が大きかったシーズンでした。
 クチンシティの谷川由来選手は、ファストレグ、セカンドレグともに先発してフル出場し、セカンドレグではMOMにも選ばれています。

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
UITM 1-2 サバ
⚽️UITM:ジョージ・アトラム(90+1分)
⚽️サバ:バドロル・バクティアル(44分)、マクシアス・ムサ(70分)
🟨UITM(2):アフザル・アクバル、ファレズ・アイマン
🟨サバ(1):ラウィルソン・バトゥイル
MOM:バドロル・バクティアル(サバ)
セカンドレグ
2022年10月31日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 1-1 UITM(通算スコア:サバ 3-2 UITM)
⚽️サバ;ファルハン・ロスラン(66分PK)
⚽️UITM:ファレズ・アイマン・マルズキ(90+2分)
🟨サバ(1):ラウィルソン・バトゥイル
🟨UITM(1):アフザル・アクバル
MOM:レンディ・リニン(UITM)
 2部プレミアリーグ7位のUITMと1位スーパーリーグ3位のサバが対戦。ファーストレグでは点差以上に安定した試合運びで勝利したサバでしたが、セカンドレグはそうはいきませんでした。豪雨により試合開始が1時間近く遅れ、しかもピッチは水が浮く最悪のコンディションの中、昨季までサバに在籍していたUITMのGKレンディ・リニンの再三の好手もあり、ホームのサバはゴールを挙げることができません。そんな中、UITMのアフザル・アクバルが66分に自陣ペナルティエリア内で痛恨のハンド。これで得たPKをファルハン・ロスランが決めて、サバが試合の主導権を握ります。しかしここからUITMも猛反撃に転じますが、90+2分にファレズ・アイマン・バトゥイルのゴールで1点を返すのみとなり、通算スコア3-2でサバが辛くもベスト8進出を決めています。なお、サバはベスト8で同じ東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つクチンシティとの「ボルネオダービー」を戦うことにもなりました。
 サバの加賀山泰毅選手は、ファストレグでは先発して、66分に交代、セカンドレグでは先発して75分に交代しています。なお次戦のボルネオダービーはクチンシティの谷川由来選手とサバの加賀山選手との日本人選手対決にもなりました。

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 0-4 JDT
⚽️JDT:シャールル・サアド(5分)、サファウィ・ラシド(39分)、アキヤ・ラシド(70分)、フェルナンド・フォレスティエリ(80分)
🟨PJシティ(0)
🟨JDT(0)
MOM:シャールル・サアド(JDT)
セカンドレグ
2022年10月31日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 2-0 PJシティ(通算スコア:JDT 6-0 PJシティ)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(4分)、フェルナンド・フォレスティエリ(73分)
🟨JDT(3)ダリル・シャム、フェロズ・バハルディン、シャールル・サアド
🟨PJシティ(1):D・クガン
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 1部スーパーリーグ9位と同1位の対戦。ファストレグの10日ほど前にPJシティのP・ラジェスが交通事故で亡くなり、この試合はラジェス選手の追悼試合として行われましたが、リーグ王者はそこは容赦なし。今季スーパーリーグ得点王のベルグソン・ダ・シルヴァはベンチ外、ツートップのもう1人、フェルナンド・フォレスティエリもベンチスタートながら、開始5分でCKからシャールル・サアドのヘッディングゴールで先制すると、39分には両外国籍選手欠場で先発の機会が回ってきたサファウィ・ラシドが技ありのゴールを決めて前半を2-0とします。後半に入っても、いずれも途中出場のアキヤ・ラシドとフォレスティエリ選手のゴールでJDTが4-0と快勝しています。
 セカンドレグでは、GKファリザル・マーリアス、両サイドバックのマシュー・デイヴィーズ、ラヴェル・コービン=オングを外し、2部プレミアリーグ、マレーシア人得点王のダリル・シャムが先発し、新加入のジョルディ・アマトがひっそりと国内デビューを果たすなど、ローテーションでこの試合に臨んだJDTでしたが、やはり開始4分でベルグソンのゴールで先制したJDTが、フェルナンド・フォレスティエリの2戦連発ゴールで2-0と快勝。通算スコア6-0でベスト8へ順当に進出しています。

TMマレーシアカップ2022 1回戦
ファーストレグ
2022年10月26日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 0-1 クランタン
⚽️クランタン:原健太(82分)
🟨サラワク(1):ボリス・コック
🟨クランタン(2):アリプ・アミルディン、イクワン・ヤゼク
MOM:ニック・アミン・アフマド(クランタン)
セカンドレグ
2022年10月31日@スルタン・モハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 1-1 サラワク・ユナイテッド(通算スコア:クランタン 2-1 サラワク・ユナイテッド)
⚽️クランタン:ヌルシャミル・アブドル・ガニ(13分) 
⚽️サラワク:ラジャ・イムラン(31分)
🟨クランタン(3):ニック・アミン・アフマド、ジャスミル・メハット、ラティフ・スライミ
🟨サラワク(3):S・ヴィーノッド、ボリス・コック、S・チャントゥル
MOM:ラジャ・イムラ(サラワク・ユナイテッド)
 2部プレミアリーグ2位のクランタンと1部スーパーリーグ11位のサラワク・ユナイテッドが対戦。ファストレグを原健太選手の今季初ゴールで勝利したクランタンが、セカンドレグでは1-1と引き分け、通算スコア2-1としてベスト8へ進出しています。
 クランタンの原健太選手は、ファストレグでは58分に交代出場し、1ゴールを挙げて、試合終了までプレーしています。セカンドレクでは72分から出場し、試合収容までプレーしています。

10月26日のニュース
ベルギーでプレーするルクマン・ハキムが今季リーグ戦初出場
ユースの国際招待大会スーパーモクカップ開幕
MリーグではVAR導入の予定は当面なし

ベルギーでプレーするルクマン・ハキムが今季リーグ戦初出場

ベルギーリーグの第14節が10月22日から24日にかけて行われ、マレーシア代表でもプレーする20歳のルクマン・ハキムが所属するKVコルトレイクは10月22日にホームのKVCウエステルロー対戦し、ルクマン選手がこの試合で今季リーグ戦初出場を果たしています。この試合はベンチスタートとなったルクマン選手は、88分にウルグアイ出身のFWフェリペ・アベナッティと交代出場し、試合終了までプレーしています。

試合は26分にハビブ・ゲイがレッドカードで退場し10人となったKVコルトレイクに対して、48分にニコラス・マドセン、83分にネネ・ドルジュレスがそれぞれゴールを挙げ、KVCウエステルローが2-0で勝利しています。なお、この日の敗戦で3勝2分9敗となったKVコルトレイクは、第14節を終えて18チーム中17位となっています。

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2018年のAFC U16選手権(現U17アジアカップ)の得点王となるなど、マレーシアの希望の星と期待されたルクマン選手は、2019年9月にマレーシア人富豪のヴィンセント・タン氏が所有するKVコルトレイクと6年契約を結び、2020年の10月24日にアンデルレヒト戦でベルギーリーグデビューを果たしたものの、それ以降はトップチームでの出場はなく、この日のKVCウエステルロー戦が移籍後2試合目の出場でした。来季から改編されるMリーグ1部スーパーリーグに合わせて、国内クラブへの移籍の噂なども出ていましたが、この試合出場で今季もベルギーに残りそうな気配です。

ユースの国際招待大会スーパーモクカップ開幕

ユース国際招待大会のスーパーモクカップ2022年大会が、マレーシアのパハン州ガンバンにあるモクタル・ダハリアカデミーAMDのユースフットボールセンターで10月25日に開幕しています。U12、U13、U14の3つのカテゴリーで開催される今大会は今回が第6回大会、2019年以来3年ぶりの開催で、世界各地から集まった17チームが熱戦の火蓋を切っています。今大会は10月25日から27日までは一回戦総当たりのグループステージが行われ、休養日の28日を挟んで、29 日と30日に決勝ラウンドが行われます。

マレーシアサッカー協会FAMと、マレーシア政府のスポーツ青年省傘下の国家スポーツ評議会が共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDPと、その中核をなすエリートアカデミーのAMDがそれぞれチームを編成して参加する他、パリ・サンジェルマン(フランス)、NKオシエク(クロアチア)、MFKルジョムベロク(スロバキア)らのヨーロッパ勢や、セレッソ大阪、ファジアーノ岡山(いずれも日本)、キム・ヨンフンアカデミー、華城FC(いずれも韓国)、RFヤング・チャンプス(インド)のアジア勢、そしてアショップフットボールアカデミー、アシアナサッカースクール(いずれもインドネシア)、ライオンシティー・セイラーズ(シンガポール)、ブリーラム・ユナイテッドFC、チョンブリーFC(いずれもタイ)、PVFフットボールアカデミー(ベトナム)ら東南アジア勢、そしてマレーシア国内からはトレンガヌ州のイブラヒム・フィクリ校(マレーシア)も参加します。

初めてクアラルンプール以外で開催された前回2019年大会では、U14はAMD、U12はNFDPとマレーシアのチームが優勝しましたが、U13はブリーラム・ユナイテッドU13がAMDを破って優勝し、マレーシア勢のタイトル総なめを阻止しています。ブリーラム・ユナイテッドU13は今大会にも出場しており、3年越しの連覇を狙います。

MリーグではVAR導入の予定は当面なし

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、Mリーグ1部スーパーリーグでのVAR(Video Assistant Referee「ビデオ・アシスタント・レフェリー」)運用について、その導入前に徹底的な検討を行う必要があるとし、当面の導入の可能性を否定していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

10月22日にブキ・ジャリル国立競技場で開催されたAFCカップ決勝、KLシティFC対アル・シーブクラブ戦で、マレーシア国内の試合では初めて導入されたVARですが、スーパーリーグでのVAR導入については様々な問題があると、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOが説明しています。

「スーパーリーグへのVAR導入には時間がかかることを理解して欲しい。VARを担当する審判員の養成だけでなく、スーパーリーグの試合が開催される全てのスタジアムの環境整備や機材設置なども必要になるが、スーパーリーグで使用されるスタジアムの大半はクラブの所有ではなく、公共施設であり、VAR導入に必要な改修が直ちに行えない可能性がある。特定のスタジアムにだけVARを導入することは公正を欠くことになる。」と説明し、VARの当面の導入の可能性を否定しています。

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そもそもですが、VARは国際サッカー評議会(IFAB:サッカーの競技規則を唯一、制定・改定できる組織)の承認を受けた組織、スタジアム、審判員でなければ使用できません。今回のAFCカップ決勝も、当初はKLシティの本拠地であるKLフットボールスタジアムでの開催となっていましたが、AFCがVAR導入を決めると、KLフットボールスタジアムの照明がVAR導入に必要な1800ルクスに達していないことが判明し、試合会場がブキ・ジャリル国立競技場へと変更となった経緯があります。

カップ戦などの試行錯誤を経て2021/2022シーズンからVARを導入したタイリーグ、2023年シーズンからのVAR導入が検討されているシンガポールリーグと、近隣諸国のリーグではVARの導入が進んでいます。そうでなくとも審判への信用が低いマレーシアこそVARの導入は優先事項だと思いますが、スチュアートCEOの発言を聞く限りではまだまだ先の話になりそうです。