1月15日のニュース
Mリーグ新加入・移籍情報一覧 2023年1月15日版

マレーシア国内の2023年第1回のトランスファーウィンドウは、昨年12月2日から今年2月23日までとなっています。ここでは2023年1月15日現在までに発表されているMリーグの移籍、新加入、引退情報をまとめました。国名があるのは外国籍選手、国名がないのはマレーシア人選手です。なお今季はスーパーリーグに参加したものの、来季はスーパーリーグに参加しないマラッカ・ユナイテッドFC、サラワク・ユナイテッドFC、参加が未確定のPJシティFCとUITM FCの4チームについては、チームの新加入・移籍情報を掲載していません。
 なお今季のスーパーリーグは外国籍選手については9名(内アジア枠1名、東南アジア枠1名)が登録可能で、当日のベンチ入りはアジア枠、東南アジア枠を含めた6名を上限とし、同時にピッチ上煮立てるのは5名となっています。

ジョホール・ダルル・タジム
▽来季加入
監督エステバン・ソラリ(アルゼンチンU23代表コーチ)
FWジオゴ(ブラジル、前BGパトゥム・ユナイテッドFC)
MFオスカル・アリバス(スペイン、スペイン2部FCカルタヘナから移籍)
MFフアン・ムニス(スペイン、ギリシャ1部アトロミトスFCから移籍)
MFエンドリック(ブラジル、ペナンFCから移籍)
GKシーハン・ハズミ(ヌグリスンビランFCから移籍)
▼契約満了、移籍
監督エクトル・ビドリオ➡︎テクニカルディレクター就任
FWサファウィ・ラシド➡︎タイ1部ラーチャブリーFCに期限付き移籍
FWムサ・シディベ(マリ)➡︎タイ1部ラーチャブリーFCに期限付き移籍
DFダニエル・ティング➡︎サバFCに期限付き移籍
GKイルハム・タルミジ➡︎スリ・パハンFCに期限付き移籍
DFアズリフ・ナスハルク➡︎スリ・パハンFCに期限付き移籍
DFファドリ・シャス➡︎スリ・パハンFCに期限付き移籍
DFシャズワン・アンディック➡︎スリ・パハンFCに期限付き移籍
MFスチュアート・ウィルキン➡︎サバFCから復帰し、その後完全移籍
DFジュニオール・エルドストール➡︎タイ1部PTプラチュワップFCに移籍

トレンガヌFC
▽来季加入
監督トミスラフ・スタインブリュックナー(テクニカル・ディレクター)
FWソニー・ノルデ(ハイチ、マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)

FWジョーダン・ミンター(ガーナ、KLシティへの期限付き移籍から復帰)
FWイヴァン・マムート(クロアチア、ルーマニア1部FCSBから加入)
MFアディサック・クライソーン(タイ、タイ1部ムアントン・ユナイテッドFCから移籍)
DFサルドル・クルマトフ(ウズベキスタン、ウズベキスタン1部PFCソグディアナ・ジザフから移籍)
DFドマゴイ・プシッチ(クロアチア、クロアチア2部NK BSKビイェロ・ブルドから移籍)
▼契約満了、移籍
監督ナフジ・ザイン(契約満了)➡︎クダFC監督
FWクパー・シャーマン(リベリア)➡︎スリ・パハンFCに移籍
FWチェチェ・キプレ(コートジボアール)➡︎KLシティFCに移籍
MFマヌエル・オット(フィリピン)➡︎クダ・ダルル・アマンFCに移籍
FWファイサル・ハリム➡︎スランゴールFCに移籍

サバFC
▽来季加入
FWジェィコブ・ンジョク(ナイジェリア、クランタン・ユナイテッドFCから移籍)
MFテルモ・カスタニェイラ(ポルトガル、アイスランド1部ÍBヴェストマンナエイヤ から移籍)
DFガブリエル・ペレス(ブラジル、ブラジル3部GEブラジウから移籍)
FWダレン・ロック(PJシティFCから移籍)
FW S・クマーラン(PJシティFCから移籍)
FWジャフリ・フィルダウス・チュウ(ペナンFCから移籍)
MFスチュアート・ウィルキン(JDTへ復帰、その後完全移籍)
DF R・ディネシュ(スランゴールFCから移籍)
DFイルファン・ザカリア(KLシティFCから移籍)
DFダニエル・ティン(JDTから期限付き移籍)
▼契約満了、移籍
FW加賀山泰毅(契約満了)
FWジョゼ・エンバロ(ギニアビサウ)➡︎ヌグリスンビランFCに移籍
FW N・タナバラン➡︎3部ハリニFCに移籍
MFトミー・マワト➡︎ヌグリスンビランFCに移籍
MFナアイム・フィルダウス➡︎3部イミグレーションFCに期限付き移籍
MFジェラルド・ガディット➡︎クランタンFCに期限付き移籍
DFナジルル・ナイム➡︎KLシティFCに移籍
DFバドルル・アフェンディ(契約満了)
DFアルト・リノス(契約満了)

ヌグリスンビランFC
▽来季加入
FWジョゼ・エンバロ(ギニアビサウ、サバFCから移籍)
FWシャーレル・フィクリ(スランゴールFCから移籍)
MF R・バラトクマル(PJシティFCから移籍)
MFトミー・マワト(サバFCから移籍)
MFマハリ・ジュスリ(PJシティFCから移籍)
DFアルーン・クマル(PJシティFCから移籍)
DFザイナル・アビディン(PJシティFCから移籍)
DFハスブラー・アブ・バカル(JDTから移籍)
GKトフィク・アル=ラシド(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
▼契約満了、移籍
FWマテウス・アウヴェス(ブラジル、契約満了)
MFオミド・ナザリ(フィリピン、契約満了)
FWリドゥアン・ドゥルファカル(契約満了)
MF K・サルクナン➡︎スランゴールFCに復帰
MFアリブ・ファリズ(契約満了)
DFクザイミ・ピー➡︎スランゴールFCに移籍
DFカイル・ジョーンズ(契約満了)
GKシーハン・ハズミ➡︎JDTに移籍

スランゴールFC
▽来季加入
MFヌール・アル=ラワブデ(ヨルダン、ヨルダン1部アル・ファイサリーFCから移籍)
FWファイサル・ハリム(トレンガヌFCから移籍)
MF K・サルクナン(ヌグリスンビランFCから復帰)
MF V・ルヴェンティラン(PJシティFCから移籍)
DFクザイミ・ピー(ヌグリスンビランFCから移籍)
▼契約満了、移籍
FWカイオン(ブラジル)➡︎KLシティFCに移籍
FWユーリ(ブラジル)➡︎ブラジル2部ヴィラ・ノヴァFCに移籍
MFバハー・アブドッラフマーン(ヨルダン、契約満了)
DFサフアン・バハルディン(シンガポール、契約満了)
FWシャーレル・フィクリ➡︎ヌグリスンビランFCに移籍
MFニック・シャリフ(トレンガヌへの期限付き移籍終了➡︎復帰)➡︎トレンガヌFCへ完全移籍
MFハリム・サアリ(契約満了)
DF R・ディネシュ➡︎サバFCに移籍

KLシティFC
▽来季加入
FWチェチェ・キプレ(コートジボアール、トレンガヌFCから移籍)
FWパトリック・ライヒェルト(フィリピン、タイ1部PTプラチュワップFCから移籍)
FWカイオン(ブラジル、スランゴールFCから移籍)
MFセバスチャン・アヴァンジニ(イタリア、デンマーク1部ホブロIKから移籍)
DFマッコ・ジルダム(クロアチア、クロアチア1部NKスラヴェン・ベルポから移籍
MFフィルダウス・サイヤディ(ペラFCから期限付き移籍)
DFナジルル・ナイム(サバFCから移籍)
▼契約満了、移籍
DFイルファン・ザカリア➡︎サバFCへ移籍

スリ・パハンFC
▽来季加入
監督ファンディ・アフマド(シンガポール、テクニカル・ディレクター)
FWクパー・シャーマン(リベリア、トレンガヌFCから移籍)
FWルーカス・シルヴァ(ブラジル、ペナンFCから移籍)
DFステファノ・ブルンド(アルゼンチン、アルゼンチン2部エストゥディアンテス・ブエノスアイレスから移籍)
DFマイケル・グラソック(オーストラリア、オーストラリア1部シドニー・オリンピックFCから移籍)
DFアズリフ・ナスルハク(JDTから移籍)
DFファドリ・シャス(JDTから移籍)
DFシャズワン・アンディック(JDTから移籍)
GKイルハム・タルミジ(JDTから移籍)
▼契約満了、移籍
監督ドラー・サレ(契約満了)
MFマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)➡︎クダ・ダルル・アマンFCへ移籍
GKママドゥ・サマサ(マリ、契約満了)
MFリー・タック➡︎クダ・ダルル・アマンFCへ移籍
MFハスヌル・ザイム➡︎ペラFCへ移籍

クダ・ダルル・アマンFC
▽来季加入
監督ナフジ・ザイン(トレンガヌFC)
FWウィリアン・リラ・ソウザ(ブラジル、ヴァンフォーレ甲府から移籍)
FWエベネゼル・アシフアー(ガーナ、フランス2部ポーFCから移籍)
MFマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン、スリ・パハンFCから移籍)
MFマヌエル・オット(フィリピン、トレンガヌFCから移籍)
DFアミルベック・ズラボエフ(タジキスタン、フィリピン1部ユナイテッド・シティFCから移籍)
DFアラン・ロバートソン(南アフリカ、フィリピン1部ユナイテッド・シティFCから移籍)
DFボヤン・シガル(セルビア、ウズベキスタン1部PFCナフバホール・ナマンガンから移籍)
MFリー・タック(スリ・パハンから移籍)
GKカラムラー・アル=ハフィズ(PJシティから移籍)
▼契約満了、移籍
監督アイディル・シャリン・サハク(シンガポール)➡︎インドネシア1部プルシカボ1973監督就任
GKシャーリル・サアリ(契約満了)
FWロナルド・ンガ・ワンジャ(カメルーン)➡︎クランタンFCに移籍
MFデシ・マルセル(コートジボワール、契約満了)
MFサンワット・デーミット(タイ)➡︎タイ1部バンコク・ユナイテッドFCに復帰
MFマフムード・アル=マルディ(ヨルダン)➡︎ヌグリスンビランFCに移籍
DFマルク・バレス(アンドラ、契約満了)
FWシャズワン・ザイノン➡︎クランタン・ユナイテッドFCに移籍
MFアザムディン・アキル(契約満了)

ペナンFC
▽来季加入
監督マンズール・アズウィラ(監督代行から昇格)
FWアドリアーノ(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
FWジオバネ・ゴメス(ブラジル、SERカシアス・ド・スルから移籍)
FWスーニー・サアド(レバノン、タイ1部PTプラチュワプFCから移籍)
FWカート・ディゾン(フィリピン、フィリピン1部ユナイテッドFCから移籍)
MFウスマン・ファネ(フランス、英国3部モアカムFCから移籍)
DFゾー・ミン・トゥン(ミャンマー、タイ1部チョンブリーFCから移籍
DFフセイン・エル・ドール(レバノン、レバノン1部シャバブアルサヘルFCから移籍)
DFアン・セヒ(韓国、ベトナム1部ホアンアイン・ザライFCから移籍)
FWヌル・イザット(スリ・パハンから移籍)
MFニック・アキフ(トレンガヌFCから移籍)
DFアズミール・アリフ(クダ・ダルル・アマンFCから移籍)
DFダニッシュ・ハジック(ペラFCから期限付き移籍)
DFリュウ・ヤマグチ(FCマラガシティアカデミーから移籍)
▼契約満了、移籍
GKハフィズル・ハキム➡︎ヌグリスンビランFCに移籍
DFラフィウディン・ロディン➡︎クチンシティFCに移籍
MF K・ティヴェンダラン(契約満了)
FWゴピ・リジキ(契約満了)
MFタム・シェンツン(契約満了)
FWアジム・ラヒム(契約満了)
DFラティフ・スハイミ➡︎クランタン・ユナイテッドFCに移籍
FWジャフリ・フィルダウス・チュウ➡︎サバFCに移籍
FWファイザル・タリブ(契約満了)
MFシュクリ・ハミド(契約満了)
MFアジザン・ノルディン(契約満了)
MFアリフ・アル=ラシド(契約満了)
DFシャズワン・ザイポル➡︎クランタン・ユナイテッドFCに移籍
MFダニエル・アシュラフ(契約満了)
MFエンドリック(ブラジル)➡︎JDTに移籍
FWルーカス・シルヴァ(ブラジル)➡︎スリ・パハンFCに移籍
DFクリスチャン・ロンティニ(フィリピン、契約満了)
FWカサグランデ(ブラジル、契約満了)

クランタンFC
▽来季加入
監督チェ・ムンシク(韓国、中国1部延辺富徳FC前監督)
FWロナルド・ンガ・ワンジャ(カメルーン、クダ・ダルル・アマンFCから移籍)
MFオミド・パパルザイ(アフガニスタン、バングラデシュ1部チッタゴン・アバハニ・リミテッドFCから移籍)
MFアンドレアス・エスヴァイン(フィリピン、フィリピン1部ユナイテッド・シティFCから移籍)
FWカイリル・アヌアル(サラワク・ユナイテッドから移籍)
MFジェラルド・ガディット(サバFCから期限付き移籍)
▼契約満了、移籍
監督ザムブリ・ヤハヤ(トップチームコーチ就任)
MFフェリペ・エレダ(ブラジル、双方合意の上契約解除)
FWニクソン・ギリェルメ(ブラジル、双方合意の上契約解除)

クチンシティFC
▽来季加入
DFミハイロ・ヨヴァノヴィッチ(セルビア、ウズベキスタン1部ディナモ・サマルカンドから移籍)
MFシロジディン・クジエフ(ウズベキスタン、ウズベキスタン1部ネフチ・フェルガナから移籍)
DFセリオ フェレイラ ドス サントス(ブラジル、タイ2部カセサートFCから移籍)
GKジュリアン・シュワルツァー(フィリピン、フィリピン1部ADTから移籍)
FWスディ・アブダラ(ブルンジ、イラク1部アル・ナフトFCから移籍)
MFアルハム・クッシャイリ(UITM FCから移籍)
DFバドルル・アフェンディ(サバFCから移籍)
DFカイヨム・マルジョニ(クランタン・ユナイテッドFCから移籍)
DFアルハム・クッシャイリ(UITM FCから移籍)
GK
▼契約満了、移籍

クランタン・ユナイテッドFC
▽来季加入
監督トマス・トルチャ(チェコ、元ペナンFC)
MFモルガロ・ゴミス(セネガル、スコットランド3部クライドFCから移籍)
FWシャズワン・ザイノン(クダ・ダルル・アマンFCから移籍)
FWインドラ・プトラ・マハユディン(ペラFCから移籍)
FWアキル・ヒルマン(ペラFCから移籍)DFシャズワン・ザイポル(ペナンFCから移籍)
FW S・シャルヴィン(スランゴールFC2から移籍)
FWディルガ・スルディ(サバFCから移籍)
DFラティフ・スハイミ(ペナンFCから移籍)
DFアフマド・タスニム・フィトリ(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
GKアシラフ・オマル(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
▼契約満了、移籍

PDRM FC
▽来季加入
FW鈴木ブルーノ(日本、タイ3部バンコクFCから移籍)
GKラマダン・ハミド(UITM FCから移籍)
▼契約満了、移籍
GKフィルダウス・イルマン➡︎ペラFCに移籍

ペラFC
▽来季加入
監督リム・ティオンキム(前マレーシアU16代表監督)
FWクリスチャン・オビオゾール(ナイジェリア、レバノン1部タダモン・スルから移籍)
FWハディ・ファイヤッド(J2岡山から移籍)
FWスニル・チャンドラン(PJシティFC から移籍)
FWアミルル・アクマル(FAM-MSNプロジェクトから移籍)
FWシャフィジ・イクマル(クチンシティFCから移籍)
FWファーミ・ダニエル(スランゴールFC2から移籍)
MFオズウィン・リム(PJシティFC から移籍)
MFハスヌル・ザイム(スリ・パハンFCから移籍)
MFファディル・イドリス(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
DFファーミ・ダニエル(スランゴール2から移籍)
DFシヴァン・ピレイ(PJシティFCから移籍)
DFファリス・ズディハム(FAM-MSNプロジェクトから移籍)
DFフェリックス・アドリアーノ(FAM-MSNプロジェクトから移籍)
DFハジック・プアド(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
DFラジャ・イムラン(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
DFハフィザル・モハマド(トレンガヌFCから移籍)
GKブライアン・シー(マラッカ・ユナイテッドFCから移籍)
GKフィルダウス・イルマン(PDRM FCから移籍)
GKトーフィク・アル=ラシド(サラワク・ユナイテッドFCから移籍)
▼契約満了、移籍
監督ユスリ・チェ・ラー(ペラFC U23監督)
FWインドラ・プトラ・マハユディン➡︎クランタン・ユナイテッドFCに移籍
MFスティッペ・プラジバット(クロアチア、契約満了)

1月14日のニュース
マレーシア人初のKリーガーが誕生-コギレスラワン・ラジがKリーグ2部の忠北清州FCと契約
ハディ・ファイヤッドがマレーシア復帰-ファジアーノ岡山からペラFCへ完全移籍
Mリーグにも韓流ブーム到来か-韓国出身のチェ・ムンシクがクランタンFCの監督に就任
JDTの代表選手コレクションが止まらない-代表GKシーハン・ハズミは噂通りジョホール加入

昨日の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022の決勝ファーストレグは、大会2連覇を目指すタイと、今大会終了後に退任するパク・ハンソの花道を飾りたいベトナムが最後までスリリングな試合を見せてくれました。セカンドレグでホームに戻るタイはこの試合で欠場したティーラシン・デーンダーが復帰するのか、そしてこの試合でもゴールを決め、ティーラシン選手と6ゴールで並んだグエン・ティエン・リンとの大会得点王争いにも注目の、来週月曜日のセカンドレグが今から楽しみです。
 一方、準決勝で敗退したマレーシアでは、サポーターの関心は既に来月2月24日に開幕する2023年スーパーリーグへと移っています。各チームの陣容が整いつつある中、移籍、加入のニュースをいくつか紹介します。

マレーシア人初のKリーガーが誕生-コギレスラワン・ラジがKリーグ2部の忠北清州FCと契約

マレーシアの年代別代表やA代表でもプレー経験があるコギレスワラン・ラジがKリーグ2部の忠北清洲FCと契約したことを、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。「コギ」の愛称で呼ばれる24歳のコギレスワランは攻撃的MFで、昨季はMリーグ1部スーパーリーグのPJシティでプレーしていましたが、PJシティが今季のスーパーリーグから撤退する方針を発表したため、移籍先を探していました

昨季はセミプロリーグのKリーグ3部で14位だった清洲FCは、クラブ名を忠北清州FCとして今季からKリーグ2部に参加しますが、攻撃的MFのコギレスラワン選手はこの忠北清洲FCと1年契約を結んだということです。

今季のKリーグ2部にはインドネシア代表で今回の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022にも出場したDFのアスナウィ・マンクアラムが安山グリナースFCへ加入することも発表されており、コギレスワラン選手が東南アジアからKリーグ2部に参加する今季2人目の選手となります。

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一時はシンガポール1部プレミアリーグのタンピネス・ローヴァーズへの移籍なども噂されていたコギレスワラン選手ですが、居心地良い東南アジアを飛び出した彼のチャレンジを応援するとともに、今後も続く選手が出るよう、まずはポジションを勝ち取って欲しいです。

Kリーグへ移籍したコギレスワラン選手だけでなく、今季は多くのマレーシア人選手がタイリーグへも移籍していることも注目です。1部リーグではディオン・コールズ(ブリーラム・ユナイテッド)、ジュニオール・エルドストール(PTプラチュワップFC)、サファウィ・ラシド(ラーチャブリーFC)、リリドン・クラスニキ(コーンケン・ユナイテッド)、2部リーグではザフアン・アゼマン(ウタイターニーFC)、スチュアート・ウォーク(カセサートFC)の合計6名がプレーします。近年では、タイリーグに移籍したノーシャルル・イドラン・タラハ(元BGパトゥム・ユナイテッド)、ドミニク・タン、モハマドゥ・スマレ(いずれも元ポリス・テロFC)らが全く活躍できなかっただけに、マレーシア人選手の評価を高めるような活躍を期待したいです。

ハディ・ファイヤッドがマレーシア復帰-ファジアーノ岡山からペラFCへ完全移籍

去る者もいれば戻って来る者もいる。

スーパーリーグのペラFCはクラブ公式SNSで、マレーシアの年代別代表でプレー経験があるハディ・ファイヤッドの加入を発表しています。ハディ選手はJDTのセカンドチームJDT IIを退団後、2019年に2月にJ2のファジアーノ岡山へ加入しており、Mリーグ復帰は5年ぶりとなります。

今月22日に23歳となるハディ選手は、マレーシア人選手として初めてJ2のクラブに移籍しましたが、岡山では出場機会を得ることができず、2021年には出場機会を求めてJ3のアスルクラロ沼津に期限付き移籍しました。しかし沼津へ移籍からわずか1ヶ月で右膝前十字靭帯(ACL)断裂の重傷を負い、このシーズンを棒に振りました。このケガから復帰した昨季は4月21日のヴァンラーレ八戸戦に84分から出場し、待望のJリーグデビューを果たしていました。その後も8月21日にはY.S.C.C.横浜で60分から、9月17日にはカターレ富山戦で83分から途中出場し、昨季の出場時間は合計43分、また出場した試合も含めベンチ入りは5試合でした。

ペラ州出身のハディ選手にとっては地元クラブでもあるペラFCは、一昨年に給料未払い問題により主力選手の大半が退団、移籍した結果、クラブ創設100周年となった年にクラブ史上初となる2部降格となっていました。またこの給料未払いの他、かつて在籍した外国籍選手への給料未払いもあったことから、FIFAは昨年1回目のトランスファーウィンドウ期間での新規選手の獲得を禁止する処分を課し、昨季のペラはシーズン前半はU23やU21の選手をやりくりして戦わなければならず、その結果、リーグ10チーム中で5勝2分11敗の9位に終わりました。しかし昨季終了後には携帯電話会社のXOX社がメインスポンサーとなり、元マレーシアU16代表監督で、バイエルン・ミュンヘンのユースチームコーチの経験もあるリム・ティオンキム氏が監督が就任すると、ベテラン選手を放出し、若い選手を多く獲得するなど、クラブの建て直しの過程にあり、その目玉の一つが今回のハディ選手獲得と言えそうです。

Mリーグにも韓流ブーム到来か-韓国出身のチェ・ムンシクがクランタンFCの監督に就任

来週月曜日1月16日に決勝戦セカンドレグが開催されフィナーレを迎える東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022では、準決勝に進んだ4チームの内、マレーシア、インドネシア、そしてベトナムの各代表チームは韓国人監督が指揮しており、東南アジアの代表チームには「韓流ブーム」がおとづれていますが、今季からスーパーリーグに加わるクランタンFCは、クラブ公式SNSで韓国出身のチェ・ムンシク(崔文植)監督の就任を発表しています。

元韓国代表のチェ氏は52歳で、韓国U16代表監督や、韓国の仁川で開催された2014年のアジア競技大会に出場したU23代表コーチなどを歴任している他、クラブレベルでは大田ハナシチズンFC(韓国)や延辺富徳FC(中国、2019年に解散)で監督経験があります。またMFだった現役選手時代の2001年にはJリーグの大分トリニータでもプレーしています。

なお昨季の監督を務めたザムベリ・ヤハヤはチェ監督のもとでコーチとして残留することも発表されています。

JDTの代表選手コレクションが止まらない-代表GKシーハン・ハズミは噂通りジョホール加入

三菱電機カップ2022準決勝で敗退したマレーシア代表のメンバーは、所属チームへ戻って2月24日に迫った今季の開幕に備えますが、昨季在籍したヌグリスンビランを退団することを表明し、三菱電機カップでは「無所属」となっていたGKシーハン・ハズミが噂通りジョホール・ダルル・タジム(JDT)に加入しています。

JDTのクラブ公式フェイスブックでは、新加入選手が本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムへリムジンで乗りつけるお約束の画像で加入が紹介されたシーハン選手は、背番号が33となることも明らかになっています。JDTオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下はこれまでも、マレーシア人選手はトップクラスの選手しか獲得しないと明言していた通り、三菱電機カップでは代表の正GKとして6試合中5試合に出場したシーハン選手が、JDTがこのオフに獲得した唯一のマレーシア人選手です。

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昨季は大ブレークを果たし、Mリーグアウォーズで2022年シーズンの最優秀GK賞を受賞した26歳のシーハン選手は、2021年まで4年連続で同賞を獲得してきた37歳のファイルズ・マーリアスとチームメートとなったことで、昨季リーグ9連覇を達成したJDTには代表GKが2人揃いました。これによりJDT内での正GK争いは激しいものになりそうですが、それと同時にまさかの同一チームから2人のGKが代表に選出、といった事態が起こるかも知れません。

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1月11日のニュース
AFF選手権準決勝2ndレグ-タイに完敗のマレーシアは2大会ぶりの決勝進出を逃す

1月10日に行われた東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ準決勝セカンドレグで、マレーシア代表はタイ代表に0-3で敗れ、ファーストレグとの通算成績でも1-3と敗れた結果、2大会ぶりの準決勝進出を逃しています。一方、決勝進出を決めたタイ代表は、もう一つの準決勝でインドネシア代表を破って決勝進出を決めているベトナム代表と大会2連覇を賭けて対戦します。

マレーシアのキム・パンゴン監督は、1-0で勝利していたファーストレグの先発から、4名を入れ替えています。ベトナム戦でレッドカードをもらい2試合の出場停止処分を受けていたアザム・アズミがクェンティン・チェンに代わって右サイドバックに戻り、左サイドバックにはファーストレグで唯一の得点を演出したV・ルヴェンティランに代わり、スランゴールでチームメートとなるファズリ・マズランが入りました。またリー・タックとサファウィ・ラシドに代わり、それぞれムカイリ・アジマルとノー・ハキム・ハサンを起用して前回大会チャンピオンに挑みました。

試合開始直後は高い位置でのプレスをかけていたマレーシアでしたが、それも開始から10分を過ぎた頃には徐々にラインが下がり始め、その後は防戦一辺倒になる場面が続く、ファーストレグとほぼ同じ展開となりました。それでもタイFW陣が好機をことごとく逸する展開に助けられたマレーシアの集中力が切れたのは19分でした。左サイドでフリーとなったティーラトン・ブンマタンからのクロスにティーラシン・デーンダーがシャルル・ナジームとドミニク・タンに挟まれながらも頭で合わせゴール!今大会の得点王争いのトップとなる6得点目を決めたタイのエースの活躍で、ホームのタイが先制します。

ファーストレグでは1-0で勝利しているマレーシアは、このゴールで通算成績が1-1となっただけでしたが、試合開始時と比べると意気消沈したようなプレーが出始めます。チームを鼓舞しようとしたキム・パンゴン監督がタイのアレクサンダー・「マノ」・ポルキン監督とともに、この試合の主審を務めたヨルダンのアドハム・マハドメ主審からイエローカードをもらう場面もありました。これに応えるようにマレーシアは左サイドのノー・ハキム・ハサンからクロスにダレン・ロックが頭で合わせ、この試合最初のシュートは放ちますが、これはタイGKカンポン・ファントムアカックルの正面となり、ゴールを破ることはできませんた。また41分には右サイドでFKを得たマレーシアですが、ムカイリ・アジマルのキックはやはりGKカンポン・ファントムアカックルが難なくキャッチ。その後、両チームとも激しいプレーが続くもスコアは変わらず、前半は1-0とタイのリードで折り返します。

後半に入ると、マレーシアのキム監督はファーストレグで先発したリー・タック、V・ルヴェンティランを投入しますが、この交代では状況は打開できず、むしろ守備に不安のあるV・ルヴェンティランのサイドから崩される展開となりました。55分には右サイドでパスを受けたエカニット・パンヤがペナルティエリア内から出たマイナスのクロスをマレーシアDF陣が完全にフリーにしてしまったボーディン・ファラがゴールして2点目を献上、通算スコアでもついにタイにリードを許しました。さらに71分にはやはりウィーラテップポンファンに右サイドから待ち込まれ、そこからのクロスを今季からMリーグのトレンガヌでプレーするアディサク・クライソーンがシュートするもポストにはじかれますが、そのルースボールに再び詰めてゴール!決定的なタイの3点目が決まるとともに、マレーシアの決勝進出の夢はつい得ました。

9(3)対39(11)。これはマレーシア代表とタイ代表の準決勝2試合を合計したシュート数(枠内へのシュート数)です。マレーシアは枠内シュート3本で1ゴール、タイは枠内シュート11本で3ゴールなので、シュート数に対するゴール数の割合はマレーシアガタイを上回っていますが、2試合で1ゴールでは勝てるはずもありません。また大会通算では6試合で11得点7失点を記録したマレーシアですが、ベトナム、タイといった強豪相手には3試合で1得点6失点と得点力不足が露呈し、この問題の克服がAFC選手権アジアカップ2023への最大の課題となります。

準決勝敗退は残念な結果ではありましたが、見方を変えれば、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)所属選手の大量辞退によって、今回の大会はこれまで出場機会が与えられなかった選手を起用する機会にもなりましたし、また本来ならば代表合宿に呼ばれるかどうかのボーダーの選手を招集し、実戦で試してみる機会でもあったとも言えます。具体的に言えば、ラヴェル・コービン=オングがいないことでV・ルヴェンティランが、マシュー・デイヴィーズがいないことでアザム・アズミやクェンティン・チェンは出場機会を得ることができましたし、ファイズ・ナズミやアフィク・ファザイルが不在なことからスチュアート・ウィルキンやムカイリ・アジマルにフル出場の機会が回ってきたのは事実です。またキム監督も選手をやりくりする中で、ブレンダン・ガンをセンターバックで起用するとそれがはまるなど、選手の新たな可能性も探ることができたのは、選手たちにとって自信になったはずし、JDTの選手たちが代表に戻ってきても、キム監督にとっては今後の選手招集の選択肢を増やすことができた大会となったと言えるでしょう。

また今回の大会は、連日メディアでの注目を浴びたことで、EPLは見てもマレーシア国内リーグは見ない、といったマレーシアサッカーに無関心な層にもアピールしたようで、当初はBチームと呼ばれたメンバーが必死で戦う姿勢は、多くのマレーシア人の興味や関心を集めています。これも今大会はFIFA国際マッチデー期間外であることから、「選手は機械ではないので、休息が必要だ」というど直球の正論で自チームの選手を三菱電機カップに出場させなかったJDTのオーナー、トゥンク・イスマイル殿下がいたからで、殿下にはむしろ感謝しても良いくらいです。

準決勝敗退で2020年シーズンが終了したマレーシアサッカーですが、来月2月24日は2023年シーズンが開幕し、すでに多くのクラブがプレシーズンのトレーニングを始めています。今回代表としてプレーした選手たちにはまずは休息を取り、ケガを治療してもらい、それから来季に向けて準備を始めてもらいたいです。ハリマウ・マラヤ、お疲れ様でした。

AFF選手権三菱電機カップ2022 準決勝2ndレグ
2022年1月10日@タマサード・スタジアム(パトゥムターニー、タイ)
タイ 3-0 マレーシア(通算成績 タイ 3-1 マレーシア)
⚽️タイ:ティーラシン・デーンダー(19分)、ボーディン・ファラ(55分)、アディサク・クライソーン(71分)
🟨タイ(3):エカニット・パンヤ、サーラット・ユーイェン、ウィーラテップ・ポンファン
🟨マレーシア(4):ファイサル・ハリム、ドミニク・タン、エセキエル・アグエロ、サファウィ・ラシド
MOM:アディサク・クライソーン(タイ)

試合のハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより

1月10日のニュース
マレーシア政府はAFF選手権準決勝セカンドレグ観戦用に国内全州にPV用スクリーンを設置
FAM会長が今季のMリーグにVAR導入の可能性を示唆
トレンガヌが今季の外国籍選手を発表

アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022の準決勝セカンドレグ、ベトナム対インドネシアが行われ、ベトナムは2-0で勝利して2大会連続となる決勝進出を決めています。そしてもう一方の準決勝はいよいよ今日1月10日にタイのバンコク郊外にあるタマサートスタジアムでタイ対マレーシアのセカンドレグが開催されます。クアラルンプールで行われたファーストレグではホームのマレーシアが1−0でタイを破っており、このまま逃げ切って2大会ぶりの決勝出場を果たすのか、あるいはタイが勝利して2大会連続優勝に王手をかけるのか。試合は現地時間午後7時30分(日本時間午後9時30分)キックオフです。

マレーシア政府はAFF選手権準決勝セカンドレグ観戦用に国内全州にPV用スクリーンを設置

マレーシア政府の青年スポーツ省は、5万9000人分のチケットがわずか24時間で売り切れた1月7日のAFF選手権三菱電機カップ準決勝ファーストレグ、マレーシア対タイ戦を多くのマレーシア人が観戦できるようにと国内の14カ所に巨大スクリーンを設置しましたが、本日行われる準決勝セカンドレグではさらに11カ所増えた25ヶ所にスクリーンを設定することを明らかにしています。

ハンナ・ヨー青年スポーツ相が自身のツイッターで明らかにしたところによると、連邦直轄地のラブアンやマレー半島最北端のプルリス州や東海岸のクランタン州やトレンガヌ州など国内全13州と、3つある連邦直轄地全てで観戦が可能になるという事です。

FAM会長が今季のMリーグにVAR導入の可能性を示唆

マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、今季からのビデオアシスタントレフリーVARのマレーシアリーグ(Mリーグ)への導入について、近いうちにFAMの審判委員会が発表を行う予定があると話しています。

マレーシア語紙ハリアンメトロが選ぶスポーツリーダーシップ賞を受賞したハミディン会長は、この表彰式の席上で、FAMはMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLとの間でおよそ3ヶ月前からVAR導入について話し合いを続けいることを明らかにしています。

「順調に事が運べば、FAMの審判委員会は今季からVARを導入する予定である。ただしMリーグ全試合への導入ではなく、まずは例としてFAカップやマレーシアカップの準々決勝以降といった部分的導入になるだろう。FAMは既にVAR審判養成のために海外での研修に派遣している。」と説明したハミディン会長はファンにはVAR導入までもうしばらく待って欲しいと話しています。

トレンガヌが今季の外国籍選手を発表

昨季はスーパーリーグ2位に終わったトレンガヌFC(以下トレンガヌ)は、来月2月に開幕する2023年シーズンに向けての外国籍選手を発表しています。昨季、テクニカル・ディレクターを務めたトミスラフ・スタインブリュックナー氏が新監督に就任しましたが、今季は監督の母国であるクロアチアからDFドマゴイ・プシッチとFWイヴァン・マムートが加入しています。

ナフジ・ザイン前監督のクダ・ダルル・アマンFC(以下クダ)監督就任に合わせてクダへ移籍したMFマヌエル・オット(フィリピン)に代わる32歳のブシッチ選手はクロアチアU18代表でもプレー経験がある190cmのセンターバックで、クロアチア2部のNK BSKビイェロ・ブルドから加入し、背番号は8をつけるということです。またスリ・パハンFC(以下パハン)へ移籍したFWクパー・シャーマン(リベリア)に代わる26歳のマムート選手は192cmのセンターフォワードで昨季途中まではFCSB(かつてのFCステアウア・ブカレスト)でプレーしており、トレンガヌでの背番号は7ということです。なお、トレンガヌのアブドル・ラシド・ジュソーCEOによると、いずれもアジアでプレーするのは初めてという両選手とは1年契約を結んだということです。

なおトレンガヌは昨季から続けてプレーするMFハビブ・ハルーン(バーレーン)の他、東南アジア枠でタイ代表の攻撃的MFアディサック・クライソーン(タイ1部ムアントン・ユナイテッドFCから加入)、アジア枠でウズベキスタン出身のセンターバック、サルドル・クルマトフ(ウズベキスタン1部PFCソグディアナ・ジザフから加入)、そして昨季はマラッカ・ユナイテッドでプレーした元ハイチ代表のウィング、ソニー・ノルデと既に来季の契約を結んでいます。

1月9日のニュース
エアアジアがマレーシア代表サポーター向けにバンコク往復航空券を特別料金で提供
AFF選手権準決勝出場の代表はJDT所属選手ゼロもJDTが発掘した選手が活躍
マダム・ペンがマレーシア代表選手獲得に関心?

エアアジアがマレーシア代表サポーター向けにバンコク往復航空券を特別料金で提供

1月7日に行われた東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022準決勝ファーストレグでタイに先勝したマレーシア代表は、明日1月10日にバンコク郊外のタマサートスタジアムでタイ代表との準決勝セカンドレグに臨みますが、タイまで応援に駆けつけるマレーシア代表サポーターのためにマレーシアの格安航空会社エアアジアが期間限定でクアラルンプール・バンコク間の往復貢献を特別価格で販売することを発表しています。
 エアアジアの公式発表によるとクアラルンプール・バンコク間の航空券が500マレーシアリンギ(およそ1万5000円)で提供されるということです。なおこの500マレーシアリンギには空港税や燃料サーチャージなど諸々の諸経費が含まれた料金になっており、1月10日と11日の2日間で往復することが条件になっています。
 エアアジアは既にタイ代表サポーターのためにも1月7日と8日の2日間でバンコク・クアラルンプールを往復することが条件となる航空券を5000タイバーツ(およそ1万9500円)で販売していました。

AFF選手権準決勝出場の代表はJDT所属選手ゼロもJDTが発掘した選手が活躍

東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022準決勝ファーストレグでタイに先勝したマレーシア代表は、大会前の代表候補合宿でジョホール・ダルル・タジムJDTから招集された選手13名中、11名が合宿参加を辞退、残った2名もラマダン・サイフラーは最終メンバーに残れず、サファウィ・ラシドはタイ1部ラーチャブリーFCへの期限付き移籍が発表されたことから、国内リーグ9連覇を達成したJDT所属の選手が1人もいない代表チームとなっています。
 しかし2大会ぶりにグループステージを突破した今回の代表チームもJDTと全く無関係ではないという記事を英字紙ニューストレイトタイムズが掲載しています。
 1月10日に三菱電機カップ準決勝セカンドレグを控えるマレーシア代表には、国外で生まれ育った後に帰化したマレーシア人選手が招集されています。ここでいう帰化したマレーシア人選手は大きく二つに大別され、一つは父母や祖父母がマレーシア人である「ハイブリッド」マレーシア人選手、そしてもう一つはそういったマレーシア人との血縁関係を持たない帰化マレーシア人選手です。前者で言えば、ダレン・ロック、スチュアート・ウィルキン、ブレンダン・ガン、ドミニク・タン、クェンティン・チェン、デヴィッド・ローリー、後者で言えばリー・タック、エセキエル・アグエロが該当します。
 英国で生まれ育ったスチュアート・ウィルキンとダレン・ロックは、いずれもJDTの才能発掘部門担当者の目に留まり、マレーシアへやってきました。英国人の父親とマレーシア人の母親を持つスチュアート・ウィルキンは英国プレミアリーグのサウサンプトンFCのアカデミーから、アメリカのミズーリ州立大学サッカー部へ進学、卒業後の2021年1月にJDTのセカンドチームJDT IIと契約したのがマレーシアへ来るきっかけとなりました。昨季はJDT IIから同じスーパーリーグのサバへ期限付き移籍し、今季は完全移籍でサバで2シーズン目を迎えます。
 また英国で生まれ育ち、マレーシア人の父親と英国人の母親を持つダレン・ロックは、英国6部リーグに当たるセミプロリーグのナショナルリーグ・サウスに所属するイーストボーン・バラFCで2012年から2016年までプレーした後、2016年7月にやはりJDT IIと契約してマレーシアへやってきました。翌2017年にはトップチームのJDTに昇格しましたが、2020年にはトレンガヌへ移籍、そして2021年にPJシティへ移籍したことで出場機会が増え、現在は代表チームの主力選手として活躍しています。
 今回の三菱電機カップでは、スチュアート・ウィルキンはシンガポール戦の2ゴールを含めた3ゴールを挙げ、ダレン・ロックもシンガポール戦で1ゴール1アシストを記録しています。

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 今回の代表チームには参加していないものの、JDTにはハイブリッドマレーシア人選手がマシュー・デイヴィーズ、ラヴェル・コービン=オングの両サイドバックやダニエル・ティン、ナチョ・インサ、ナサニエル・シオ、ダリル・シャム、帰化マレーシア人選手もギリェルメ・デ・パウラ、モハマドゥ・スマレ、リリドン・クラスニキがおり、さらに今季Mリーグで6年目を迎えるブラジル出身のエンドリックのマレーシア国籍取得支援を前提に獲得しています。またJDTに続けとばかり、昨季スリ・パハンはリー・タックとエセキエル・アグエロのマレーシア国籍取得支援し、KLシティはブラジル出身のパウロ・ジョズエとコロンビア出身のロメル・モラレスのマレーシア国籍取得支援を明言しています。
 一昨日のニュースでは、スペイン1部のレアル・マドリードが120年を超えるクラブの歴史の中で初めて公式戦先発メンバー全員が外国籍選手となったことがニュースとなっていましたが、この帰化選手やハイブリッドマレーシア人選手増加の流れが続くと、マレーシア代表にマレーシアで生まれ育った選手が1人もいない、全員が外国生まれのマレーシア人選手というニュースが報じられる日が来るかも知れません。

マダム・ペンがマレーシア代表選手獲得に関心?

東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022準決勝でマレーシア代表と対戦するタイ代表のチームマネージャーのヌアルファン・ラムサム氏は「マダム・ペン」として知られていますが、このマダム・ペンがマレーシア代表の複数の選手に関心を示していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 ブルナマの報道によると、タイ1部リーグのポートFCの会長でもあるマダム・ペンは興味を引いた選手としてMFスチュアート・ウィルキン、FWダレン・ロックといった名前を挙げているということです。
 この他には三菱電機カップ終了後にタイ1部ラーチャブリーFCへの期限付き移籍が決まっているFWサファウィ・ラシド、同じくタイ1部のブリーラム・ユナイテッドFC移籍が発表されたDFディオン・コールズにも関心を示しているということです。
 今回の大会を通じて自身が会長を務めるポートFCに適する選手を探していると話すマダム・ペンは、マレーシアには多くの良い選手がいると話し、「マレーシア代表対タイ代表の試合では、8番(スチュアート・ウィルキン)と9番(ダレン・ロック)に注目したと述べているということです。
 三菱電機カップ開催により現在中断しているタイ1部リーグでは、ポートFCは首位で勝点39を挙げているブリーラム・ユナイテッドFCとは勝点差17離れた7位(16チーム中)となっています。

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マレーシアのメディアに向けた社交辞令だとも思いますが、それでも今季は上記のサファウィ・ラシド、ディオン・コールズの他にもPTプラチュワップFCに加入するDFジュニオール・エルドストール(以前チョンブリーFCでプレーした際の登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナ)、既にコーンケン・ユナイテッドFCでプレーしているMFリリドン・クラスニキと1部だけでも代表経験のある4名のマレーシア人選手がおり、今回の三菱電機カップでマレーシア代表がさらに躍進すれば、ポートFCも含め、タイのクラブがさらに獲得に動く可能性もありそうです。

1月8日のニュース
AFF選手権準決勝1stレグ-マレーシアがタイに辛勝でホーム無敗記録を守る

昨日1月7日に東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022の準決勝ファーストレグがブキ・ジャリル国立競技場で行われ、ホームのマレーシアがタイに2-0と解消しています。この勝利でマレーシアはタイ戦7戦無敗、またブキ・ジャリル国立競技場でのタイ戦は6戦無敗の記録を守っています。

前回2020年大会優勝のタイは、今回はFWチャナティップ・ソングラシン(川崎)、MFスパチョーク・サラチャート(札幌)ら主力を欠きながらも、グループステージA組ではインドネシアと1-1と引き分けた以外はフィリピンに4-0、ブルネイに5-0、カンボジアに3-1と、無敗のままmA組首位として準決勝に進出しています。一方のB組マレーシアは、初戦のミャンマー戦は1-0の僅差で勝利し、ラオス戦は5-0と快勝したものの、ベトナム戦では0-3と完封負け、そして準決勝進出には勝利が必要だったシンガポール戦を4-1で制して、B組2位で準決勝に進出しました。

相性の良いタイを相手に、マレーシアのキム・パンゴン監督は必勝で臨んだシンガポール戦からMFのムカイリ・アジマルに代えてMFリー・タックを起用した以外は変更なしというスターティングXIでした。(下はこの試合の両チームのスターティングXI)

しかし試合開始と同時に積極的な姿勢を見せたのはアウェイのタイでした。キックオフから防戦一方となったマレーシアは、クリアしたセカンドボールもことごとくタイに奪われ、自陣に釘付けになります。

そんな嫌な流れの中、先制したのはマレーシアでした。シャルル・ナジームが自陣からハーフラインを超えて左サイドからペナルティエリアに走り込んだV・ルヴェンティランへロングパス、これをV・ルヴェンティランがヘディングでゴール前に送ると、ファイサル・ハリムがダイレクトで押し込み、今大会4得点目となるゴール!今季からチームメートとなる3選手のプレーでマレーシアが先制しました。また27分にはファイサル・ハリムのパスを受けたクェンティン・チェンがタイGKと一対一になる場面がありましたが、シュートはゴールポストの上に外れるなど少ないチャンス生かすことができませんでした。一方、タイはボーディン・ファラ、ティーラシン・デーンダーらゴールを狙いますが、マレーシアは全員がペナルティエリアまで戻って守備をする必死のプレーで、前半はなんとか1-0で持ち堪えました。

後半に入ってもタイの猛攻が続く中、54分にマレーシアはフリーキックを得ました。リー・タックの蹴ったフリーキックがゴール前に上がると、タイDFと競り合いながらもドミニク・タンが頭で合わせたゴール!しかし、韓国のキム・デヨン主審はマレーシア側にファールがあったとして、ノーゴールの判定を下します。中継のスロー再生映像を見る限りではどこがファール?というプレーでしたが、VARが採用されていない今大会では判定が覆ることはありませんでした。グループステージ初戦のミャンマー戦での不可解なPK判定、ベトナム戦でフォールを見逃した佐藤隆治主審、そしてこの日のキム・デヨン主審と、今大会はなぜかマレーシアに不利な判定が相次いでいます。

最小得点差を守る展開はこの後も続きますが、この試合でもセンターバックに入ったブレンダン・ガンとシャルル・ナジームのスランゴールコンビ、そしてドミニク・タンの3バックを中心に再三のピンチを防いだマレーシアが逃げ切って、準決勝初戦で勝利するとともにタイ戦での無敗記録を7に伸ばしています。なお準決勝セカンドレグは来週火曜日1月10日にタイのタンマサート・スタジアムで行われます。

この試合は下のデータを見てもわかるようにボールの支配率、シュート数(枠内シュート数)、パスの数など数字的にはタイが圧倒しています。この他、コーナーキックもマレーシアの2に対してタイは7となっています。しかもマレーシアは枠内シュート数はわずか1ですが、その1本のシュートがこの試合の唯一のゴールだったというわけです。


AFF選手権三菱電機カップ2022 準決勝1STレグ
2022年1月7日@ブキ・ジャリル国立競技場
マレーシア 1-0 タイ
⚽️マレーシア:ファイサル・ハリム(11分)
🟨マレーシア(1):ファズリ・マズラン
🟨タイ(2):パンサ・ヘーミポーン、スパナン・ブリーラット
MOM:V・ルヴェンティラン(マレーシア)

ハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。


1月7日のニュース
マレーシアサッカーファンの筋違いな非難にジェイ・チョウが対応
青年スポーツ省が国内14ヶ所に特設スクリーンを設置-本日の準決勝が視聴可能に
ブキ・ジャリルのピッチ改修期間中はJDTのスタジアムがマレーシア代表の本拠地に

本日1月7日は東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ準決勝のファーストレグがマレーシアのホーム、ブキ・ジャリル競技場で午後8時30分(マレーシア時間、日本時間午後9時30分)から開催されます。5万9000人分のチケットは24時間も経たずに完売するなど、マレーシアサッカーファンの期待も高まっています。最新のFIFAランキングでは、145位のマレーシアに対して、タイは111位と劣勢ですが、マレーシアとタイの対戦成績は直近6試合では昨年9月のキングズカップPK戦勝利の1勝を含むマレーシアの3勝3分、特にブキ・ジャリル国立競技場での対戦は全5試合でマレーシアの3勝2分とタイにとっては鬼門となる試合会場です。マレーシアはこの記録を伸ばすのでしょうか、それともタイが不名誉な記録をストップするのでしょうか。

マレーシアサッカーファンの筋違いな非難にジェイ・チョウが対応

最大収容人数8万7000人のブキ・ジャリル国立競技場ですが、今日の試合のために販売されたチケットは5万9000人分でした。これは1月15日に同じブキ・ジャリル国立競技場で開催される台湾のスーパースター、ジェイ・チョウのコンサートのためのステージ設営の準備と仮設状態のステージからではピッチを見ることができない2万1000人分にあたる座席が販売されなかったことが理由です。マレーシアサッカー協会にはこの不手際について非難が集まっただけでなく、一部のファンはジェイ・チョウのSNSに人種差別的な内容を含んだ罵詈雑言などを投稿する辞退となっており、これに対してジェイ・チョウ自身が冷静になるよう求めていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 「マレーシアのサッカーファンの皆さん。私はあなたたちがサッカーに真剣なのは理解しています。(1月15日の)コンサートを延期することには何も問題はありませんが、皆さんはそれを私にではなく、マレーシアサッカー協会やブキ・ジャリル国立競技場の管理者に依頼するべきです。コンサート延期するか否かは問題ではありません。私は自分のファンの前で歌わせて欲しいだけです。」と自身のSNSに投稿したジェイ・チョウですが、ハンナ・ヨー青年スポーツ相はコンサート開催のための会場予約は2019年に行われた一方で、三菱電機カップ開催のための予約が行われたのは昨年2022年であることを明らかにしており、マレーシア政府が介入し、代表戦を優先する形でコンサートを延期あるいは中止を求めれば、国際社会でマレーシアに対する否定的な評価につながりかねないと述べ、延期や中止の可能性を否定しています。

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昨年12月に就任したばかりのヨー青年スポーツ相では、この問題を知らされた時点はほぼ打つ手がなかったでしょう。またこの記事の中では、ブキ・ジャリル国立競技場を運営するマレーシアスタジアム社とFAMは既に座席数を減らすことで合意していたことも明らかになっています。こちらもこれまでのAFF選手権の日程を見る限りでは、年を超えて決勝が行われたのは前回2020年大会が初めてで、それも1月1日が決勝でしたので、まさか1月8日に準決勝がブキ・ジャリル国立競技場で開催することになるとは思っていなかった可能性もあります。あるいは、ここまで代表戦が観客を集められるとは思っておらず、5万9000人分を確保しておけば十分と考えていたのかも知れません。
 準決勝ファーストレグ前の記者会見では、タイ代表

青年スポーツ省が国内14ヶ所に特設スクリーンを設置-本日の準決勝が視聴可能に

青年スポーツ省は国家統一省と協力し、本日行われるAFF選手権三菱電機カップ2022準決勝ファーストレグのマレーシア対タイの試合が観戦できるように、マレーシア国内の14ヶ所に特設スクリーンを設置することを発表しています。
 「強力な応援でハリマウ・マラヤ(マレーシア語で「マレーの虎」ーマレーシア代表の愛称)を決勝へ連れて行こう!」というツイートと共にスクリーン設置を発表した青年スポーツ省のハンナ・ヨー大臣は、既に試合のチケットが売り切れている中で、試合会場に足を運べない多くのマレーシアサポーターのために、KL市内にあるムルデカ広場を初めてマレー半島各地や東マレーシアのサバ、サラワクにもスクリーンを設置するとして、観戦会場となる場所のリストも発表しています。

ブキ・ジャリルのピッチ改修期間中はJDTのスタジアムがマレーシア代表の本拠地に

本日の準決勝が行われるクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場は、今年3月に芝の張り替えを含めた大規模なピッチ改修が予定されています。その一方で3月20日から28日まではFIFAの国際マッチデー期間になっており、マレーシア代表のホームでもあるブキ・ジャリル国立競技場が使用できない状況の中、Mリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が代表が試合を行う代替地としてJDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムの提供を申し出たと、英字紙ニュースとレイトタイムズが報じています。
 またこれを受けたハンナ・ヨー青年スポーツ相は、「TMJ(Tunku Mahkota Johor「ジョホール州皇太子」の意)は青年スポーツ省を何度も手助けしてくれているが、今回もこの申し出に感謝するとともに、喜んでこの申し出を受けたい。」と述べて、イスマイル殿下のマレーシアサッカーへの貢献は計り知れないものだと賛辞を送ったということです。
 上で取り上げたジェイ・チョウのコンサートのように、ブキ・ジャリル国立競技場はサッカー以外のイベントでも使用されるため、今年3月は施設を完全に閉鎖して、カウグラスと呼ばれているマレーシアのサッカー場で一般的な草から、いわゆる高麗芝の一種で、マレーシアの環境にも適したゼオン・ゾイシアと呼ばれる芝への張り替えが計画されています。

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ちなみのこのゼオン・ゾイシアはJDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムやJDTの練習場に貼られている芝で、しかも今回のブキ・ジャリル国立競技場の芝の張り替えは140万マレーシアリンギ(およそ4200万円)かかるということですが、トゥンク・イスマイル殿下がその費用を支援することになっています。

1月6日のニュース
帰化選手リー・タックがクダと契約もスリ・パハンサポーターの怒りを買う
ムルデカ大会の10年ぶり開催が決定

東南アジアサッカー連盟選手権三菱電機カップ2022では、シンガポールに快勝し、2大会ぶりの準決勝進出を決めたマレーシア。今週土曜日1月9日にブキ・ジャリル競技場で行われる準決勝ファーストレグのチケットが完売したことをマレーシアサッカー協会FAMが公式SNSで告知しています。東南アジアでも最大級の観客収容数を誇るブキ・ジャリル国立競技場の収容人数は8万7000名ですが、FAMのSNSでは5万9000枚の時点で札止めとなっています。
 タイ戦の6日後の1月15日には、台湾出身でいわゆるマンドポップのスーパースター、ジェイ・チョウがこのブキ・ジャリル国立競技場でコンサートを行いますが、そのためのステージ設営におよそ2万1000人分の座席があるエリアが必要であることから、今週末のタイ戦のチケットは5万9000枚飲み販売となっているとFAMは説明しています。
 これを受けてチケットが入手できなかったファンの中には、ジェイ・チュウのSNSに否定的なコメントを投稿するといった全く筋違いな行動に出る者もいるようです。

帰化選手リー・タックがクダと契約もスリ・パハンサポーターの怒りを買う

英国出身のリー・タックは、マレーシア国内で5年以上継続してプレーし、FIFAの帰化選手としての登録要件を満たしたことから、所属するMリーグ1部スーパーリーグのスリ・パハンの支援もあり、昨年マレーシア国籍を取得しています。
 タック選手は帰化申請中だった昨季のリーグ戦ではスリ・パハンの外国籍選手枠が埋まっていたこともあり、出場機会がありませんでしたが、マレーシア国籍取得と同時にマレーシア人選手としての登録が可能となったリーグ戦終了後のマレーシアカップでは一回戦のトレンガヌ戦でゴールを挙げるなど活躍しています。
 さらにマレーシア国籍取得によりマレーシア代表でのプレーが可能になると、キム・パンゴン監督は早速、東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップに出場する代表に招集しています。
 国籍取得からは順風満帆に見えるタック選手ですが、現在、スリ・パハンサポーターの怒りを買っていると、英字紙スターが報じています。
 その理由はタック選手がスリ・パハンではなく、同じスーパーリーグのクダと契約をしたことにあります。スリ・パハンに在籍していた際には、クラブの支援によりマレーシア国籍を取得したにもかかわらず、クダと契約したことはスリ・パハンに対して後足で砂をかけるような行為であるというのが非難の内容です。
 この非難に対してタック選手は、スリ・パハンで今季もプレーしたかったものの、下交渉で同意できず、結局はクラブからの契約オファーがなかったことが、移籍を決断した理由だったと話しています。給料の削減を自ら申し出たにもかかわらず、正式なオファーがなく、将来が不安になったと話す話すタック選手は、今ではクダへの移籍は正しい決断だったとスターの取材に答えています。
 スリ・パハンは以前にもマレーシア国籍取得を支援したガンビア出身のムハマドゥ・スマレー(現JDT)にも「逃げられて」います。

ムルデカ大会の10年ぶり開催が決定

英字紙ニューストレイトタイムズは、今年2023年がマレーシアサッカー協会FAMの設立90周年となることから、この記念行事の一つとして、今年10月にムルデカ大会が10年ぶりに開催されるというFAMのノー・アズマン事務局長の発言を報じています。
 マレーシアの独立(マレーシア語でムルデカ)を記念し、1957年に始まったこのムルデカ大会は、これまでに41回開催されていますが、近年はマレーシア代表が弱くなったこともあり、2014年大会を最後に開催されていませんでした。
 ノー・アズマン事務局長は、このムルデカ大会を今年年末あるいは来年初頭に開催されるAFC選手権アジアカップ2023(カタール)に向けた準備の一環として開催する予定であると話しています。

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1957年に始まったこの大会は東南アジア最古の国際親善大会(およそ10年後にはタイでキングスカップが始まっています)として、北米を除く世界各地のクラブチームや代表チームが出場しています。第1回大会(1957年)の出場チームを見ると、マラヤ連邦の他は香港リーグ選抜、カンボジア、南ベトナム、シンガポール、インドネシア、タイ、ビルマとなっています。南ベトナム(現ベトナム)、ビルマ(現ミャンマー)といった国名に歴史を感じます。
 ちなみに日本もこのムルデカ大会に何度も出場しており、初めてムルデカ大会に出場したのは 1959年の第3回大会で、この時は1回戦で香港リーグ選抜と引き分け、再戦では2-5で敗れて2回戦に進めずに終わっています。日本代表の試合結果が掲載されている日本サッカー協会JFAのホームページによれば、敗れた香港戦での2ゴールはいずれも当時早稲田大学2年生だった(!)川淵三郎初代Jリーグチェアマンが決めています。
 ムルデカ大会での日本の最高成績は1963年に開催された第7回大会と1976年に開催されたでの準優勝です。いずれも7チームの1回戦総当たり方式で開催された両大会で、第7回大会は6試合で4勝1分1敗、優勝した台湾に0-2で敗れ、第20回大会では6試合で2勝4分0敗、決勝戦では優勝したマレーシアに0-2で敗れています。
 また日本が最後にムルデカ大会に出場したのは1986年の第30回大会でした。グループステージではチェコのSKシグマ・オロモウツに敗れてグループステージB組2位にとなった日本は、準決勝でA組1位のマレーシアと対戦し1-2で敗れています。ちなみにこの試合で日本のゴールを決めたのが「アジアの核弾頭」(ちょっと古いか)原博美選手で、マレーシアの2ゴールはMリーグ1部スーパーリーグで昨季ペナンの監督を務めたザイナル・アビディン・ハサンと同じスーパーリーグのスリ・パハンで監督を務めたドラー・サレーでした。日本は1985年から名称が変わったキリンカップを使って自国開催大会での代表強化に舵を切りつつあったことから、この大会を最後にムルデカ大会には出場していません。
 前述の川淵三郎氏や原博美氏の他、奥寺康彦選手らも出場しているこの大会は、車範根(チャ・ブンクン、韓国)やフセイン・サイード(イラク)などアジアのスーパースターも多く出場した大会でもありました。

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ちなみに私が初めて観戦したムルデカ大会が1988年の第32回大会でした。この32回大会の大会プログラムの表紙の写真をお見せしますが、タバコブランドのダンヒルが大会のスポンサーという、今では考えられない、古き良き時代だったことがわかります。


この32回大会の日程と出場国は以下の通りでした。

今では考えられませんが、ムルデカ大会やキリンカップなどの当時の国際大会は、ナショナルチームとクラブチームが混在する大会でした。この第32回大会も上の出場国中、オーストリアはFCチロル・インスブルック(この記事を書くために調べたところ、2002年に破産し、解散していました。)、ドイツはハンブルガーSVが出場しています。下がハンブルガーSVの紹介ページですが、マンフレート・カルツや、後にJリーグ浦和でプレーするウーベ・バイン、当時はまだ20歳のオリバー・ビアホフなどの名前が見えるのが興味深いです。

そしてこの大会のマレーシア代表のメンバー。なお、チームマネージャは当時のパハン州皇太子、現在はパハン州のスルタン(州王)で現在のマレーシア国王でもあるアブドラ国王です。


そんなムルデカ大会ですが、1990年代に入りアジアの各国代表がFIFAワールドカップやAFCアジアカップの予選などに注力するようになると、1957年の第1回から毎年開れた大会が隔年開催となり、またホストのマレーシア代表が弱くなったこともあり、参加するチームも東南アジアの代表チーム、さらにA代表ではなくU23代表の大会になるなど大会の「格」も下がり、2013年にタイ選抜、ミャンマー、シンガポールを招いて行われた第41回大会を最後に開かれていませんでした。(この記事は昨年8月31日の記事を一部再構成して使っています。)

 

1月5日のニュース
AFF選手権-「B代表」が前回大会で「A代表」が達成できなかった準決勝進出を果たす

いやぁ久しぶりにスカッとする試合でした。
 昨日1月3日にクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催された東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022のグループステージ最終節で、マレーシア代表はシンガポール代表を4-1で破り、2大会ぶりとなる準決勝進出を決めています。
 12月24日に行われたラオス戦の公式発表された観客数が2万9661名だったのに対し、この試合の観客数は2倍以上の6万5147名と、マレーシア代表のホームには久しぶりに6万人越えの観客が集まりました。
 マレーシアが入ったB組は、この試合前までは、1位ベトナム(2勝1分0敗)、2位シンガポール(2勝1分0敗)、3位マレーシア(2勝0分1敗)、4位ミャンマー(0勝1分2敗)、5位ラオス(0勝1分3敗)となっており、最終節ではベトナムはミャンマーと、シンガポールはマレーシアとのカードが組まれており、ベトナムとシンガポールは引き分け以上で準決勝進出が決まるのに対し、マレーシアはこの日の試合に勝利した場合のみ、準決勝に進出できるという状況でした。
 しかもここまで、マレーシアはミャンマーを相手に1-0と辛勝し、ベトナムには0-3と敗れていたのに対し、シンガポールはミャンマーを3-2で破り、ベトナムとは0-0で引き分けるなど、試合前の下馬評はシンガポール有利となっていただけでなく、シンガポールのスターFWイクサン・ファンディが自身のSNSに「ゴールを決めてブキ・ジャリルのピッチで踊りたい」と戯言を投稿するなど、選手にもそういった気持ちがあったようです。
 しかもマレーシアは初戦のミャンマー戦でケガをしたセンダーバックのクザイミ・ピーの回復が遅れている上、ベトナム戦での「疑惑の判定」でレッドカードをもらった右サイドバックのアザム・アズミが結局はAFFから2試合の出場停止処分を受けるなど、キム監督がこの重要な試合でどんな11名を起用するのかにも注目が集まりました。この試合では初戦のミャンマー戦の先発XIから上記のアザム・アズミに代わりDFクェンティン・チェンが入り、クザイミ・ピーに代わって先発したMFムカイリ・アジマルは、ラオス戦からセンターバックに入ってプレーしている本来はMFのブレンダン・ガンのポジションに入る布陣をキム監督は選択しています。
 試合は6万人を超える大観衆を背に、開始から5分でV・ルヴェンティン、そしてファイサル・ハリムが次々にゴールを狙いますが、いずれもシンガポールGKハサン・サニの攻守に阻まれます。それでも攻撃の手を休めないマレーシアに対して、前述の試合前記者会見では引き分け狙いではなく攻撃的にプレーしたいと話した西ケ谷隆之監督の言葉とは裏腹に、シンガポールの選手は守備の時間が長くなっていきます。そして35分、ついにマレーシアが先制します。右サイドでシンガポールDFのパスをカットしたサファウィ・ラシドが得意の左足ではなく、右足で速いクロスを挙げると、ダレン・ロックがこれを頭で合わせてゴール!先制点が欲しかったマレーシアにとっては願ってもないゴールとなりました。この後もシンガポールにはほとんどチャンスを与えず、マレーシアは試合を支配しながらも結局、前半は1-0のままで終了します。
 後半に入ってもマレーシアは攻撃の手を緩めず、50分にはシンガポールのキャプテン、ハリス・ハルンが自陣ゴール近くでクリアしたボールを受け取ったシャワル・アヌアルがもたつくところを、詰めていたスチュアート・ウィルキンがボールを奪います。そのままペナルティエリアの外から放たれた低い弾道のシュートが決まり、マレーシアはリードを2点に広げます。その4分後には、マレーシアの速いプレスからシンガポールDFが苦し紛れに出したルーズボールを奪ったマレーシアはサファウィ・ラシドのマイナスからのクロスに再びスチュアート・ウィルキンがシンガポールDFをかわしてゴールを決めて3-0とします。
 しかしこの試合はこれでは終わりませんでした。シンガポールは今季、ペナン入りが噂されているファリス・ラムリのシュートで1点を返ます。再び点差が2点となり、さらにゴールを狙ってシンガポールが前掛かりになったところで、マレーシアは88分、カウンターからハキミ・アジム、リー・タックと渡ったボールをセルヒオ・アグエロがゴール右隅に突き刺し4-1としています。キム監督は準決勝の対戦に備えて、ドミニク・タン、シャルル・ナジームのDFコンビを交代させるよゆうをみせながらも、その後のシンガポールの反撃を防ぎ、2大会ぶりの準決勝進出を果たしています。

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昨季のリーグ戦では2ゴールだったスチュアート・ウィルキンがこの試合だけで2ゴール(今大会通算3ゴール)を挙げ、MOMに選ばれた試合は、マレーシアにとっては準決勝進出を決めただけでなく、2014年のAFF選手権以来、1分2敗と苦手にしていたシンガポールからの勝利でした。スタンドには「俺たちは機械が好きだ(11名が代表辞退したJDTのオーナー、トゥンク・イスマイル殿下が『選手は機械ではなく、シーズン終了後には休息が必要であり』として、JDTの選手11名が代表招集を辞退したエピソードを指す)」「代表チームより重要なクラブなどない」といった横断幕も見られましたが、JDTの選手も参加した前回2020年大会で、マレーシアはグループステージで敗退しており、JDTの選手がいないことから「Bチーム」などと揶揄された今回の代表が準決勝を果たしたのは皮肉な結果です。

2023年1月3日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
マレーシア 4-1 シンガポール
⚽️マレーシア:ダレン・ロック(35分)、スチュアート・ウィルキン(50分、54分)、セルヒオ・アグエロ(88分)
⚽️シンガポール:ファリス・ラムリ(85分)
🟨マレーシア(0)
🟨シンガポール(1)

この試合のハイライト映像はアストロ・アリーナの公式YouTubeより。

1月3日のニュース ボラセパマレーシアJPが選ぶマレーシアサッカー2022年重大ニュース-代表チーム編とAFCクラブコンペティション編

いよいよ今日は東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップのグループステージB組最終節。首位のベトナムはホームで4位のミャンマーと、また西ヶ谷隆之監督率いる2位のシンガポールはアウェイで3位のマレーシアと対戦します。ベトナムとシンガポールはそれぞれ引き分け以上で準決勝進出が決まり、3位のマレーシアはシンガポール戦に勝利することが準決勝進出の条件となります。この記事の執筆時点では既に3万9000枚近いチケットが売れているようで、今大会ここまでのどの試合よりも多くの多くの観客が集まりそうです。ジョホール水道を挟むマレーシアとシンガポールの対戦は、両国を繋ぐ陸橋にちなんでコーズウェイダービー(Causeway derby)と呼ばれ、熱戦が繰り返されてきましたが、今年初の対戦はどちらに軍配が上がるのでしょうか。。

マレーシア代表はアジアカップ2023年大会出場権獲得-予選を突破しての出場は1980年以来43年振り

2022年の代表チーム関連の最大のニュースはこれでしょう。正確に言えば、マレーシアは16年前の2007年にベトナム、タイ、インドネシアと東南アジア4カ国共同開催の形でアジアカップを開催しており、その際に開催国枠でアジアカップに出場しています。しかし、予選を突破しての出場となると、1980年のクウェート大会以来となります。本戦出場国がわずか10カ国だったこの大会で、マレーシアはアラブ首長国連邦に勝利し、韓国、カタールと引き分け、クウェートに敗れて勝点差1で準決勝進出を逃しています。
 昔話はさており、昨年の6月に行われたアジアカップ最終予選では開催国となった地の利もあり、バーレーンに1-2で敗れたもののトルクメニスタンには3-1、そして5万3000人近い観衆を集めたバングラデシュ戦では4-1で勝利して、バーレーンに次ぐグループ2位となったものの、最終予選各組の2位のうち上位5チームに入り、43年振り4度目の本戦出場を決めています。

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ちなみにこの時の代表チームは、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)から12名、PJシティとヌグリスンビランから2名、トレンガヌ、スランゴール、サバ、スリ・パハン、チョンブリー(タイ1部)、SVズルテ・ワレヘム(ベルギー1部)から各1名という構成でした。これを知れば、現在開催中の三菱電機カップ出場中の代表チームにJDTの選手が1人もいないことが、どのくらい尋常ではないかがわかるでしょう。さらに、このアジアカップ最終予選に出場し、今回の三菱電機カップにも出場しているのはFWダレン・ロック(サバ、アジアカップ最終予選時はPJシティ)FWファイサル・ハリム(スランゴール、同トレンガヌ)MF V・ルヴェンティラン(スランゴール、同PJシティ)、DFクザイミ・ピー(スランゴール、同ヌグリスンビラン)、DFドミニク・タン(サバ)、GKシーハン・ハズミ(無所属、同ヌグリスンビラン)のわずか6名です。

タン前代表監督が5年振りに交代-東南アジアの韓流ブームの影響かキム・パンゴン新監督就任

2017年に当時の代表監督だったポルトガル出身のネロ・ヴィンガダ氏が就任7試合を1分6敗としてわずか7ヶ月で辞任したことを受け、コーチから昇格したのがタン・チェンホー前監督でした。2018年のAFF選手権スズキカップ(当時)では決勝でベトナムに敗れたものの、優勝した2014年以来となる決勝進出を果たしただけでなく、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選でも、コロナ禍前まではベトナムに次ぐ2位につけるなど、最終予選へ期待が高まり、同時にタン監督の手腕も評価されていました
 しかしコロナ禍が下火になり、中断されていたアジア2次予選が再開されると1勝2敗とそれまでの勢いが衰え、さらに2021年末のスズキカップ2020年大会ではベトナムやインドネシアに敗れるなどして、準決勝進出を果たすことができなかった責任を取り、タン監督が辞任し、その後任となったのが韓国出身のキム・パンゴン監督です。
 香港代表監督の経験もあるキム新監督は、ベトナムのパク・ハンソ、インドネシアのシン・テヨン両監督に続く、東南アジアの代表チーム3人目の韓国出身監督となりました。就任直後に行われたシンガポールでのフィリピン、マレーシアが出場した3カ国対抗でのフィリピン戦では就任初戦で初勝利を挙げると、前述のAFCアジアカップ2023年大会最終予選では43年振りの予選突破、そして27年振りの出場となったタイのキングズカップでは、PK戦にまでもつれこんだタイとの試合に勝利すると、決勝ではタジキスタンにPK戦で敗れたものの、いずれも格上の相手に善戦し、FIFAランキングも2022年1月の154位から12月には145位まで上昇しています。

U23代表は出場した各大会で苦戦し、監督は事実上の更迭

A代表の躍進に比べると残念な結果に終わったのがU23代表でした。2月にカンボジアで開催されたAFF U23選手権ではラオスにまさかの2連敗を喫してグループステージで敗退すると、5月にベトナムで開催された「東南アジアのオリンピック」東南アジア競技大会では準決勝に進出したものの、延長でベトナムに敗れて決勝進出できず、また3位決定戦ではインドネシアにPK戦で敗れ、前回2019年フィリピン大会に続き、2大会連続でメダルを逃しています。
 東南アジアの大会でこの結果であれば、期待するのも酷ですが、翌6月にはウズベキスタンで開催されたAFC U23アジアカップでも散々な成績でした。2大会振り2度目の出場となったマレーシアは、グループステージでは図らずもベトナム、タイの東南アジア組、そして韓国と同組になっています。そしてここでは韓国に1-4、タイに0-3、そしてベトナムには0-2と惨敗し、大会終了後の7月には2019年からはU19代表、そして2021年からはU23代表の指揮を取ってきたオーストラリア出身のブラッド・マロニー監督との契約期間を残しながら、契約を解除しています。なお、その後は代表チームのコーチでもあるE・エラヴァラサン氏がU23代表監督に就任しています。

東南アジアの覇者U19代表はアジアの壁を実感

これに対し、戦前は全く期待されていなかったハサン・サザリ監督率いるU19代表が7月にインドネシアで開催されたAFF U19選手権決勝でラオスを2-0で破り優勝しています。しかし9月に行われたAFC U19アジアカップ2023年大会予選では、韓国に敗れ、モンゴルと引き分けるなど予選3位となり、出場を逃し、アジアの壁の高さを実感させられています。

女子代表は監督を初の外部招聘

また2022年は女子代表にとっては静かな1年でした。マレーシアサッカー協会はなぜか、女子代表を5月の東南アジア競技大会へ派遣せず、貴重な実践経験の機会を無駄にする一方で、同じ東南アジアのライバルと対戦する7月のAFF女子選手権に派遣し、そこでは2分3敗の成績でグループステージ敗退するなど、男子に比べると方針がなんなのかが全く見えませんでした。
 しかしそこで起こったサッカーファンからの非難に応えるように、昨年末にはヨルダンサッカー協会のアシスタントテクニカルディレクターを務めていたソリーン・アル=ズービ氏を招聘し、ジェイコブ・ジョセフ監督に変わる新しい女子代表監督に就任させています。

アジアチャンピオンズリーグACL-ジョホールがマレーシアのクラブとして初のノックアウトステージ進出

リーグ9連覇を果たしジョホール・ダルル・タジムJDTは、今季もマレーシアリーグの覇者としてACLのグループステージに出場しています。新型コロナウィルス感染拡大防止措置から、昨季に続き、今季もグループステージは集中開催となりましたが、JDTが入ったI組はマレーシアが集中開催地に選ばれています。そしてこれを最大限に活かしたJDTは、このグループステージがイスラム教徒にとっては厳しい断食月中の開催であったこともあり、試合は全て午後10時キックオフ、しかも試合会場は国内でも有数の手入れが行き届いたピッチを持つスルタン・イブラヒムスタジアムで行っています。
 川崎フロンターレ、蔚山現代、広州と同じI組で、JDTは前半の3試合で広州に5~0、蔚山現代に2-1、そして川崎とは0-0と2勝1分で折り返すと、ターンオーバーで選手を入れ替えた川崎戦では0-5と敗れたものの、広州とは2-0、蔚山現代とは2-1と連勝し、通算成績を6試合で4勝1分1敗、勝点13とするとI組では川崎や蔚山現代を抑えてグループ1位としてノックアウトステージへ進出しています。
 2019年のACL初出場以来、これまでグループステージの壁を越えられなかったJDTは血糊の最大限に活かし、マレーシアのクラブとしては初めてとなるノックアウトステージに進出しています。
 ノックアウトステージでは、浦和レッズと埼玉スタジアムで対戦し、国内リーグでは見られない0-5というスコアで完膚なきまでに叩きのめされています。しかしこの厳しさを経験できたのもノックアウトステージに出場した結果であり、その苦い経験は今年もACLに出場が決まっているJDTをさらに高みへと連れて行ってくれることでしょう。

KLシティはAFCカップ決勝進出もJDT以来東南アジアクラブ史上2チーム目の優勝を逃す

ACLに出場できない国や枠が少ない国のクラブを対象としているのがAFCカップ。UEFAチャンピオンズリーグに対するUEFAヨーロッパリーグのような位置付けです。マレーシアからは2022年大会には前年の2021年にマレーシアカップで優勝を果たしたKLシティ、そして2021年シーズンに国内リーグ2位のクダ・ダルル・アマンの2チームが出場しました。
 グループステージを突破した両チームは、東南アジア地区プレーオフに進み、クダはPSMマカッサル(インドネシア)に敗れたものの、KLシティはPK戦の末、ベトテルFC(ベトナム)に勝利すると東南アジア地区代表決定戦ではクダを破ったPSMマカッサルを5-2で撃破しています。地区間プレーオフに駒を進めたKLシティは、準決勝ではATKモフン・バガンAC(インド)を3-1、決勝ではPFCソグディアナ・ジザフ(ウズベキスタン)をPK戦5-3といずれもアウェイの厳しい試合で勝利し、2015年にこのAFCカップで優勝したJDT以来となる東南アジアクラブとしては2チーム目のAFCカップの決勝に進出しました。
 10月22日にクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催された決勝では、オマーンのアル・シーブに0-3で敗れましたが、こちらもマレーシアのクラブがAFCカップでは十分通用することを示してくれました。今季のAFCカップには、リーグ2位のトレンガヌと3位のサバが揃って出場しますが、この両チームにアジアの舞台での活躍を期待したいです。