7月1日のニュース:マレーシアのレジェンド選手が通算ゴール世界第3位、サバFCがラムダニとの契約延長、ペラFCが創立100周年記念ユニを発表

マレーシアのレジェンド選手は通算ゴール世界第3位
 「スーパーモク」の愛称で1970年代から80年代にかけてスランゴールとマレーシア代表でプレーし、マレーシアサッカー界を席巻したレジェンド選手のモクタル・ダハリは、キャップ数131、そして代表では89ゴールを決めながら運動ニューロン疾患を発症してからわずか3年後に享年37という若さで亡くなったレジェンド中のレジェンド選手です。
 マレーシアサッカー協会FAMと国家スポーツ協議会NSCが運営する国内最高峰のユースアカデミー、モクタル・ダハリアカデミーにもその名を残す故モクタル氏が、FIFAが発表した代表チームでの通算ゴール数で世界3位となり再び脚光を浴びています。
 1位を分け合うアリ・ダエイ(イラン)とクリスティアーノ・ロナルド(ポルトガル)の109ゴールに続き、通算89ゴールを挙げた故モクタル氏は、ハンガリーのレジェンド選手フェレンツ・プスカシュ(84ゴール)、ブラジルのペレ(77ゴール)らを抑えて堂々の3位となっています。
 故モクタル氏はスランゴールで10度のマレーシアカップ優勝の他、東南アジア競技大会通称シーゲームズで2度の優勝、そして1974年のアジア大会3位などの成績を収めています。
(以下が代表ゴール数ランキング。日本人では釜本邦茂氏は75ゴールで7位タイ。また6月29日のコパアメリカ、ボリビア戦で2ゴールを挙げたリオネル・メッシも75ゴールとなり7位タイとなりました。-7/1記事を一部修正し、写真を差し替えました。)

サバFCがラムダニとの契約延長
 Mリーグ1部のサバFCはインドネシア出身のFWサディル・ラムダニら3選手との契約を来年2022年11月まで延長したことを公式Facebookで告知しています。
 今回、契約延長となったのはラムダニ選手といずれも地元サバ州出身のアルト・リナス、ランディー・バルーの3選手で、サバFCのマルズキ・ナシル チームマネージャー(TM)は、この3選手が今季ここまで素晴らしいパフォーマンスを見せていることを評価し、1年の延長が決まったと話しています。
 『現在のサバFCの選手は全員が今年11月までの契約となっているが、この3選手とは早めの契約延長交渉を行い、合意に達した。なお契約延長後の給料はそれまでの給料から増額されている。」と語ったマルズキTMは、今後はさらに複数の選手との契約延長の予定もあることを明かしています。
 またこの契約延長を記事にしたマレーシアの通信社ブルナマはラムダニ選手とのインタビューを掲載し、今回の契約延長でチーム内での責任がより大きくなったと話すラムダに選手は、チームメートや首脳陣、そしてクラブ経営陣の信用を裏切らないよう全力でプレーしたいと述べています。

ペラFCが創立100周年記念ユニを発表
 Mリーグ1部のペラFCは創立100周年を記念したサードユニフォームを発表しています。
 1921年に第1回大会が開催されたマラヤカップ(当時、現マレーシアカップ)にペラ州チームが出場したことを記念して作られた100周年記念ユニフォームは、今季のホーム、アウェイ用ユニフォーム同様、マレーシアのブランド、カキジャージ社製で、全体が黒地のユニフォームの胸には今季開幕前にサポーターから応募した新ロゴコンテストでサポーターから最多得票を得たハフィス・イスマイル氏デザインのロゴ、そして大きく100 YEARS、Perak Football Legacyと書かれています。
 価格はXXLサイズまでが109リンギ(およそ2910円)、 4XLから8XLまでが115リンギ(およそ3070円)で、1500着限定ということです。興味のある方はこちらから購入可能です。
(下のサードユニの写真はペラFCの公式Facebookより)

5月28日のニュース:W杯予選に臨む代表に「秘密兵器」?、移籍情報3題、トレンガヌのコナテがマリ代表招集

W杯予選に臨む代表に「秘密兵器」?
 6月3日から始まるFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会に向けてアラブ首長国連邦のドバイで合宿中のマレーシア代表に「秘密兵器」が投入されるのでは、とマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 ブルナマによればこの秘密兵器とは、今季はデンマーク1部で2位のFCミッティランで21試合に出場したDFディオン・コールズです。ベルギー人の父親とマレーシア人の母親を持ち、これまでも何度か代表入りの話が出ては消えていたコールズ選手ですが、所属するFCミッティランの公式ソーシャルメディアでコールズ選手が初の代表招集を受けたことを明らかにしたことから、俄然、信ぴょう性が高まっています。
 サラワク州クチン生まれのコールズ選手は慎重185cmの右サイドバックで、U19やU21ベルギー代表の経験もあるほか、ベルギー1部クラブ・ブルッヘ在籍時にはUEFAチャンピオンズリーグでのプレー経験もあります。
 左サイドバックやセンターバックのプレー経験もある185cmのコールズ選手が代表に加われば、代表の守備陣はマシュー・デイヴィーズ、ジュニオール・エルドストール、ラヴェル・コービン=オングと外国育ちながらいずれもマレーシア人の血を引く帰化選手による強力な布陣となりそうです。
*****
 さらにその後、FCミッティランの所属選手名簿からコールズ選手の名前が消えたことで、コールズ選手は代表入りだけでなく、そのままMリーグ1部JDTへの加入も噂されています。
 本日5月28日にはバーレーンのマナマで予選前最後の練習試合となるバーレーン戦が行われます。流石にぶっつけ本番ということはなさそうですので、この試合がコールズ選手の代表デビュー戦となるかもしれません。

移籍情報-マラッカUはブラジル出身FW2名の新加入を発表
 Mリーグ1部スーパーリーグで11位のマラッカ・ユナイテッドFCは公式Facebook上で新加入となるブラジル出身FW2選手を紹介しています。
 今季はここまで13試合で15ゴールと得点力不足に苦しむマラッカ・ユナイテッドですが、ブラジル4部のSERカシアス・ド・スルから加入するジョヴァンニ・ゴメス・ダ・シルヴァ(26)と、同じくブラジル4部のガウヴェスECから加入するアドリアーノ・アパレシド・ナルシソ(26)には1部残留に向けての活躍が期待されています。
 なお、マラッカ・ユナイテッドFCはこれに先立ち、FWステファン・ニコリッチ(モンテネグロ、今季4ゴール)とFWアレックス・ドス・サントス・コンカウヴェス(ブラジル、同3ゴール)との契約を解除しています。

移籍情報-ペラFC退団のナジルル・ナイムはサバFCへ移籍
 給料未払い問題で主力選手が次々と退団しているMリーグ1部のペラFCから新たな退団者です。同じ1部スーパーリーグのサバFCは、ペラFCを退団したDFナジルル・ナイム(28)の加入を公式Facebookで発表しています。
 ペラ州出身で2016年からペラFCでプレーするナジルル選手は、今季13試合中10試合に出場(内7試合は先発出場)しており、サバFCでも主力として活躍することが期待されています。
 各年代や代表でもプレー経験があるナジルル選手は、2013年には当時JFLのFC琉球のトライアルを受けた後に1年契約を交わしましたが、ケガのためJFLには1試合も出場することなく契約を解除しています。

移籍情報-ザフアン・アゼマンらがケランタンUに加入
 Mリーグ2部プレミアリーグのケランタン・ユナイテッドFCは、1部スーパーリーグのペナンFCよりFWザフアン・アゼマンを獲得したことをクラブの公式Facebookで告知しています。
 来月21歳になるザフアン選手は今季ここまでペナンFCに所属していたものの出場はわずか1試合にとどまっていました。マレーシアU19代表では、フル代表のアキヤ・ラシド(JDT)やニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マット(トレンガヌFC)らと共にプレーしたザフアン選手は、昨季はタイ3部のアーントーンFCに所属していましたが、新型コロナウィルスの影響などもあり契約が更新されず、今季開幕前にペナンFCに加入していました。
 またケランタン・ユナイテッドにはMリーグ1部のサバFCからMFアリアスディアス・ジャイスとDFエバン・ウェンズリー・ヴェンツェルも今シーズン終了までの期限付き移籍で獲得しています。
 両選手とも、開幕当初はチーム合流が遅れていた外国籍選手に代わってベンチ入りし、途中出場ながらも数試合にプレーしましたが、第3節に5名の外国籍選手全員が合流した後はベンチ入りもできていませんでした。

トレンガヌのコナテがマリ代表招集
 Mリーグ1部トレンガヌFCは、今季加入したMFマカン・コナテが母国マリの代表に招集されたことをクラブの公式Facebookで発表しています。コナテ選手はこれが代表初招集ということです。
 プロとしてプレーし始めて以来、ずっとこれを目標とし、待ち望んできたと話すコンテ選手は、自身がトレンガヌFCでプレーする映像を見た代表のコーチから直接、連絡を受け、6月1日から始まる代表合宿に参加するために直ちにマレーシアを出国するということです。
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 現在Mリーグ1部で2位のトレンガヌの快進撃の原動力となっているコナテ選手ですが、マリ代表の練習試合は6月15日まで組まれているということで、コナテ選手がこの最終戦まで代表チームに残れば、トレンガヌが出場し6月30日に初戦を迎えるAFCカップのグループステージへの出場が危ぶまれるなー、と思っていた矢先、国内で新規感染者数が増え始めたシンガポールサッカー協会FASがトレンガヌを含むグループI、そしてクダ・ダルル・アマンFCを含むグループHの両グループステージ開催を返上してしまいました。

Mリーグ1部スーパーリーグ第13節結果

 新型コロナ感染者が再び増加しているマレーシア。1日あたりの新規感染者が4000人前後で高止まりする日が続き、国内各地では活動制限令MCOや条件付き活動制限令CMCOが施行され、Mリーグの試合は無観客で開催されています。
 Mリーグに目を向けると5月3日から開いている今年2度目のトランスファーウィンドウ期間に加入した選手たちが今節の試合に出場し、中には早速ゴールを決めるなど活躍する選手も出ています。
 なおスーパーリーグは今節終了後、5月16日から始まる代表候補合宿、そして6月3日から始まるW杯アジア2次予選、さらにアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグやAFCカップが続くことから、2ヶ月の中断期間に入り、次節第14節は7月9日から再開します。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年5月8日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 0-1 クダ・ダルル・アマン
得点者:サバ-、クダ-クパー・シャーマン(79分)
 激しい雨のため1時間近く中断した試合は再開後もボールが水たまりで止まってしまうような状況でしたが、それでも双方が激しくせめぎ合う中、サバ守備陣のミスをついてクパー・シャーマンが貴重なゴールを決めて勝利しています。
 サバは新加入のFWヨシプ・イヴァンチッチを起用するなど本拠地4連勝を目指しましたが、反撃も及びませんでした。

2021年5月8日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM 1-1 KLシティ
得点者:UITM-クォン・ヨンヒョン(84分)、KL-シュコル・アダン(90+4分)
 今季ここまで未勝利のUTIMは終盤に新加入のFWクォン・ヨンヒョンのゴールで先制し、このまま逃げ切ると思われたロスタイムに失点を喫し、今季初勝利を逃しています。
 しかしこのシュコル・アダンの同点ゴールは映像で見るとヘディングに跳びながら手を高く挙げてゴールを決めた「神の手」ゴールに見え(写真下、写真はUITM FCの公式Facebookより、中央で手を挙げているのがシュコル選手)、UTTMの選手もこれに激しく抗議しましたが、主審はそれを認めませんでした。とここまでは手に触れていることを見逃した主審のミスということになりますが、FAMが発表した公式記録でもシュコル選手を得点者としていることから、Mリーグはシュコル選手の手を使ったゴールを認めたことになります。ちなみに41歳のシュコール選手はこのゴールで先日、サバFCのアムリ・ヤハヤ選手が作ったMリーグ最年長ゴール記録を更新しています。

2021年5月8日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 0-3 JDT
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(15分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(43分)、モハマドゥ・スマレ(51分)
 リーグ首位を快走するJDTは前節第12節で脳震盪(のうしんとう)を起こして退場したゴンザロ・カブレラに代わりセカンドチームからフェルナンド・ロドリゲスを昇格させ、またサファウィ・ラシドとアリフ・アイマンを初めてともに先発させるなど布陣を変えて臨んだ試合でしたが、ペナンを一蹴しています。
 DFリュウジ・ウトモをケガで欠くペナンFCはこれまで起用していたDFムハンマド・ファディル・イドリスに代えてベテランのDFアズミ・ムスリムを先発させるなどJDT対策を立てながらの完敗でした。また自身のゴールが認められなかったことに抗議してイエローカードをもらっていたエースのカサグランデがその後の反則で2枚目のイエローで退場、これに抗議したトマス・トゥルチャ監督も退場となるなどペナンFCにとっては後味の悪い敗戦となりました。

2021年5月9日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 0-0 PJシティ
得点者:なし
 本拠地では3連敗中のマラッカが終始、優勢に試合を進めるもPJシティのGKカラムラー・アルハフィズの好セーブなどもあり無得点。スーパーリーグで唯一、外国籍選手がいないPJシティと引き分けています。

2021年5月9日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 2-3 スリ・パハン
得点者:ペラ-レアンドロ・ドス・サントス(68分PK)、カレッカ(90+5分)、パハン-アウン・カウン・マン (35分)、ケニー・アティウ2(58分、88分)
 トランスファーウィンドウ期間中の新加入組の内、検疫隔離により合流が遅れていたミャンマーU22代表のアウン・カウン・マンが先発しデビュー戦で早速ゴールを決めています。また同じ新加入組ののケニー・アティウも2ゴールを決めるなど、新戦力の活躍でパハンが連勝しています。前節に1ゴール1アシストで勝利に講演したマヌエル・イダルゴとともに新戦力の加入で全く別のチームになったパハンは、リーグ再開後の台風の目となりそうです。
 一方のペラは給料未払い問題により退団が噂されているブラジル出身コンビがゴールを決めましたが、これは獲得を狙う他チームへの良いアピールとなったのではないでしょうか。またこの他にも退団の可能性が報道されたケニー・パッラジ・ダバラギやパルティバン・ジャナセカランの両主力選手はこの大事な試合にベンチ入りせず、移籍の可能性が濃厚です。

2021年5月9日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-2 トレンガヌ
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン(50分PK)、トレンガヌ-エンク・ヌル・シャキル(73分)、カルリ・デ・ムルガ(87分)
 トレンガヌが敵地で逆転勝ちし、JDTとの勝点差を3として再び2位に浮上しています。
 引き分けを挟んで3連勝のスランゴールは前節のスリ・パハン戦に続き、終盤にゴールを許すなど勝ちきれない試合が続き、トップ3とは徐々に勝点の差が開き始めました。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第13節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT139312862230
2TFC138322012827
3KDA138232113826
4PEN136431814422
5SEL135442220219
6KL134541714317
7SBH134451717016
8PJ133641014-415
9PHG133371622-612
10PRK133371421-712
10MU133551519-4*11
12UITM130211430-262
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第13節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)11
3クパー・シャーマン(KDH)9
4カサグランデ(PEN)7
パウロ・ジョズエ(KL)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

5月9日のニュース:ペラの代表コンビがJDT加入、ペラFCはクラブ史上初の2部降格危機に、サバとUITMには新外国籍選手加入

ペラの代表コンビがJDT加入
 Mリーグ1部スーパーリーグのJDTは公式Facebook上で、DFシャールル・サアドとFWギリェルメ・デ・パウラの加入を発表しています。シャールル、デ・パウラ両選手は今年3月の代表候補合宿にも参加しており、5月16日から予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選代表候補合宿にも召集が予想されています。
 シャールル選手、そしてブラジル出身ながら帰化選手のデ・パウラ選手の加入で、JDTはチーム内で出場機会を巡っての競争も激化しそうです。またJDTは同じスーパーリーグのサバ、マラッカ・ユナイテッド、スリ・パハン、UITMに期限付きで選手を移籍させる方針を発表しており、チーム内で出場機会がなければ代表候補でも期限付き移籍となる可能性すらあります。
*****
 このブログではシャールル選手がスリ・パハンから獲得オファーを受けていることは取り上げましたが、結局はマレーシア人選手なら誰もがプレーしたいJDTが移籍先に決まりました。
 シャールル、デ・パウラ両選手の加入により、JDTのマレーシア人選手は全員が代表選手という布陣も可能で、国内リーグで代表チームプラス外国籍選手という圧倒的な強さを持つチームがプレーするといういびつな状況にもなります。代表チームの強化という点では良いかもしれませんが、すでにJDTの1強時代が続いているMリーグに対してはJDTのサポーター以外は興味を失ってしまうかも知れません。
 タン・チェンホー代表監督もAFC選手権アジアカップ2019年大会予選の際に14名のJDT選手を召集してサッカーファンからJDTへ贔屓(ひいき)という批判を浴びた結果、そのJDT選手たちを代表から外さざるを得なくなるといった事態も起きています。国内の良い選手を選んだら結果としてJDTの選手ばかりになってしまったということでしょうが、今回の二人の移籍でそういったことが起こる可能性が高まりました。

ペラFCはクラブ史上初の2部降格危機に
 第12節を終え、今季9位のペラFCは1982年のリーグ創設以来、常に1部でプレーしてきたクラブですが、今季は降格の危機に直面していると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 ペラFCは2ヶ月以上の給料未払いが噂されており、上の記事で取り上げたシャールル・サアドとギリェルメ・デ・パウラの退団の原因ともなっているとされていますが、今週金曜日5月7日にはやはり給料未払いに端を発して選手と監督、コーチが練習参加を拒否したことも報じられていました。
 これについてペラFCのリザル・アリ・ナイザリCEOはこの報道を否定し、3月までの給料は支払済身だと主張する一方で、デ・パウラ、カレッカ、レアンドロ・ドス・サントスのブラジル出身3選手にについては資金不足から全額を支払えていないことを認めています。
 経営陣と選手側は昨日5月8日に交渉を行ったということですが、経営陣は選手の練習ボイコットを非難する一方で、クラブの経営状況を説明するのみに止まり、給料未払いについての解決策は明示されなかったということです。
 この結果、カレッカ、レアンドロ両選手に加え、アセアン(東南アジア)枠で加入のシャキル・ハムザ、さらにはアズリ・ガニ、J・パルティバン、D・ケニー・パルラジら主力選手も退団の意向を表明しているということで、このままではペラFCの今季の1部残留は難しいだろうとこの記事は結んでいます。

サバとUITMには新外国籍選手加入
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの公式Facebookでは、Mリーグ1部スーパーリーグのサパFCとUITM FCに加入した選手を告知しています。
 サバFCに加入したのはクロアチア出身のFWヨシプ・イヴァンチッチでボスニア・ヘルツェゴビナ1部ルーグのHŠKズリニスキ・モスタルより加入しています。またこれに伴いサバFCからはFWサム・ジョンソン(リベリア)が退団しています。
 また今季未勝利でリーグ最下位と低迷するUTIM FCには韓国出身のMFクォン・ヨンヒョンが加入しています。クォン選手は韓国2部釜山アイパークより加入し、やはり昨日5月8日の第13節対KLシティ戦に先発出場し、デビュー戦でゴールを挙げています。
 UITM FCにはクォン選手の他、DFヒシャムディン・シャアリとDFアリフ・サムスディンがいずれもKLシティより加入した一方でFWアブー・バクル・アル=ミル(レバノン)が退団しています。

Mリーグ1部スーパーリーグ第12節結果

 今節第12節からいよいよ後半戦が始まりますが、今節の注目カードは何と言っても首位攻防戦のクダ・ダルル・アマン対JDTでした。また5月3日から開いているトランスファーウィンドウ期間に加入した新戦力を早速投入しているクラブもあり、そういった選手たちが、後半戦の局面を大きく変える可能性もあります。
 その一方で、今週半ばは試合が組まれていない2部プレミアリーグのケランタンFCの選手に新型コロナウィルス感染者が見つかり、今週末のペラFC II対ケランタンFCが延期されています。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年5月4日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマン 0-1 JDT
得点者:JDT-ベルクソン・ダ・シルヴァ(90+2分PK)
 新型コロナウィルスの影響で急遽、無観客試合となって行われたこの試合は、両チーム共にチャンスがありながらそれを活かせない展開が続き、このまま引き分けかと思われたロスタイム、クダの守備ラインをかわしてペナルティエリアへボールを持ち込んだJDTのムハマドゥ・スマレをレノン・アルヴェスが倒して万事休す。これで得たPKをベルグソン・ダ・シルヴァが蹴り込み、これが決勝ゴール。この日は活躍したクダGKシャアリル・サアリでも止められませんでした。
 残り数分は明らかな時間稼ぎをするJDTと試合を進めたいクダの選手との間で何度か争いも起き、試合終了後もそれが続く後味の悪い試合となりました。
 クダにとっては本拠地で最低でも勝点1が欲しい試合でしたが、開幕戦に続き、JDTに0封されての敗戦でした。
 またハイライト映像には写っていませんが、56分にはペナルティーエリア手前でドリブルで持ち込んだJDTのゴンザロ・カブレラをレノン・アルヴェスが「ブロック」して衝突。カブレラ選手は脳震盪(のうしんとう)を起こし退場となりましたが、その後の報道で無事に退院したことが伝えられています。

2021年5月4日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 3-1 ペナン
得点者:KL-パウロ・ジョズエ3(35分、52分PK、88分)、ペナン-ダニアル・アシュラフ(64分)
 昨季の2部プレミアリーグ優勝チームのペナンと同2位の対戦となったこの試合は、9戦負けなしでリーグ3位と好調のペナンが有利と目されていましたが、KLシティが主将パウロ・ジョズエのハットトリックで解消して、この日が誕生だったボジャン・ホダック監督に勝利をプレゼントしています。

2021年5月4日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌ 3-0 UITM
得点者:トレンガヌ-デヴィッド・ダ・シルヴァ(8分)、ファイザル・ハリム(10分)、モハマド・ラーマット・マカスフ(77分)
 トレンガヌが最下位のUITMに快勝し、JDTに敗れたクダに代わって再び2位に浮上しています。
 UITMは5月3日に開いたトランスファーウィンドウ期間に加入したMFウスマン・ファネ(フランス)とFWジョアン・ペドロ・フレイタス(東ティモール)の新戦力が先発しましたが、5試合連続無得点となりました。

2021年5月5日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 2-2 スランゴール
得点者:パハン-マヌエル・イダルゴ(48分)、アブドル・マリク・アリフ(90+5分)、スランゴール-ハイン・テット・アウン(76分)、イフェダヨ・オルセグン(87分)
 11位のパハンはトランスファーウィンドウ期間にDFエラルド・グロンを除く4名の外国籍選手を入れ替えましたが、その内、MFアブバカル・ヤクブ(ガーナ)とFWマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)が先発、FWケニー・アティウ(南スーダン/オーストラリア)が途中出場とこの試合でデビューしていますが、早速イダルゴ選手ががスランゴール守備陣のパスミスから作ったチャンスを生かしてゴールを決め、さらに同点ゴールにつながるFKでアシストを上げるなど活躍し、強烈な印象を残しています。ちなみにパハンのドラー・サレー監督はもう1人の新戦力FWアウン・カウン・マン (ミャンマー)も起用する予定だったようですが、国際移籍証明書ITCが試合までに
 スランゴールはエースのイフェダヨ・オルセグンの技ありの逆転ゴールで逃げ切るかと思われましたが、パハンの同点ゴールのきっかけとなったFKを与えたDFシャールル・ナジームが2枚のイエローで退場し、最後のセットプレーで数的不利となったことが悔やまれます。

2021年5月5日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 0-1 ペラ
得点者:セルヒオ・アグエロ(26分)
 引き分けを挟んで3連敗中だったペラが5試合ぶりの勝利で順位を一つ上げ9位となっています。
 ペラは新加入のFWナナ・ポク(前UITM)を獲得して得点力不足に悩む攻撃陣を補強し、この勝利から巻き返しを図りたいところですが、主将で代表DFシャルル・サアドがスリ・パハンからの獲得オファーを受けていることを明らかにしており、もしシャルル選手が移籍となれば、今度は守備陣が大きな痛手となるため、その行方が

2021年5月5日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 3-1 マラッカ・ユナイテッド
得点者:サバ-アムリ・ヤハヤ2(6分、47分)、モハマド・アジザン・ノルディン(16分)、マラッカ-モハマド・ファクルラー・ロスリ(66分)
 40歳のアムリ・ヤハヤの3試合連続ゴールで先制したサバは、その後もアムリ選手のこの日2点目となるダメ押しゴールでマラッカを突き放して勝利し、引き分けを挟んで3連勝を記録しています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第12節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT128312561927
2TFC127321811724
3KDA127232013723
4PEN126421811722
5SEL125432118319
6KL124441613316
7SBH124441716116
8PJ123541016-614
9PRK123361216-412
10MU123451519-4*10
11PHG122371320-79
12UITM120111329-261
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第12節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)10
3クパー・シャーマン(KDH)8
4カサグランデ(PEN)7
パウロ・ジョズエ(KL)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

Mリーグ1部スーパーリーグ第11節結果

 前半戦最終節となった今節はJDTとKLシティの引き分けやペナンによるトレンガヌ戦勝利などもあり、1位から4位までが勝点差4の中に4チームがひしめく大混戦となっています。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年4月30日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 1-1 JDT
得点者:KL-ロメル・モラレス(45+3分)、ハリス・ハルン(55分)
 試合前の予想通り前半からJDT優位で進んだ試合は、ハーフタイム直前にKLのロメル・モラレスがJDTのオフサイドトラップを交わして先制ゴールを決めKLが先制しましたが、55分にはJDTの主将ハリス・ハルンが今季初ゴールを決め同点に追いつきます。その後もJDTが押し気味に試合を進めますが、結局、KLゴールを割ることはできませんでした。
 KLシティはこの引き分けで、連敗を2で止めています。

2021年4月30日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 1-3 クダ・ダルル・アマン
得点者:マラッカ-ステファン・ニコリッチ(38分)、クダ-クパー・シャーマン2(18分PK、62分)、ボドロル・バクティアル(86分)
 前節は累積警告により出場停止だったクパー・シャーマンが戻り、今季初めて外国籍選手5名全員が先発メンバーに名を連ねたクダがマラッカを圧倒して2位に浮上、首位JDTとの勝点差を1としています。
 前半戦最終節となる次節では、クダはホームにJDTを迎える首位攻防戦が控えていますが、クダ州内で感染者急増を受け、この試合は無観客試合となることがマレーシアフットボールリーグMFLより発表されています。

2021年5月1日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌ 1-4 ペナン
得点者:トレンガヌ-ハキミ・アブドラ(60分)、ペナン-シェリディン・ボボエフ(8分)、エンドリック(21分)、カサグランデ2(66分、68分)
 前節JDTに21試合ぶりに土をつけたトレンガヌが8試合負けなしと好調のペナンをホームに迎えた今節注目のカードでしたが、結果は守備が崩壊したトレンガヌが惨敗に終わっています。
 この試合に勝てば、前日のKLシティとの試合が引き分けに終わったJDTと勝点で並ぶチャンスがあるトレンガヌは試合開始から積極的に攻め続けますが、ペナンのGKブライアン・シーの好守などもあり得点をあげることができません。その一方で守備ではペナン攻撃陣の高さの対応できず。1点目となったシェリディン・ボボエフのヘディングシュート、2点目の起点となったカサグランデのヘディング、3点目と4点目となったカサグランデのヘディングシュートはいずれもフリーで決められています。
 トレンガヌは前節のJDT戦に続いて21歳のハキミ・アブドラが2試合連続ゴールを決めたものの、反撃はこの1点のみ。順位を2位から4位に下げ、一方のペナンは4位から3位に浮上しています。

2021年5月1日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 5-0 UTIM
得点者:パハン-リー・タック(1分)、ペドロ・エンリケ(34分)、ムハマド・バキウディン・シャムスディン(66分)、エラルド・グロン(71分)、ムハンマド・ファーミ・モハマド・サブリ(73分OG)
 11位で今季ここまで1勝のパハンと12位で今季未勝利のUITMの対戦となったこの試合は、11位のパハンが12位のUITMを粉砕して、今季2勝目を挙げています。
 試合開始早々、リー・タックのゴールで先制したパハンはその後も得点を重ねで圧勝しています。一方のUITMはすでに契約解除となったのか、主将のヴィクトル・ニーレノルド以外の外国籍選手がベンチ入りせず、パハンの相手にはなりませんでした。

2021年5月2日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 1-2 スランゴール
得点者:PJ-V・ルヴェンティラン(25分)、スランゴール-イフェダヨ・オルセグン2(89分、90+3分)
 ともにスランゴール州を拠点とするスランゴールダービーでは、残り時間7分の間に一瞬、集中力の切れたPJ守備陣の隙をついてスランゴールのエースのイフェダヨ・オルセグンが同点ゴール、さらにロスタイムには決勝ゴールを決めて逆転勝ちしています。

2021年5月2日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 2-1 ペラ
得点者:サバ-アムリ・ヤハヤ(65分)、レヴィ・マディンダ(79分) 、ペラ-ナジルル・ナイム(27分)
 2勝4分4敗で9位のサバと2勝3分5敗で10位のペラが対戦し、40歳のアムリ・ヤハヤの2試合連続ゴールなどで終盤に得点したサバが逆転勝ちしています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第11節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT117312351824
2KDA117222012823
3PEN11641178922
4TFC116411511421
5SEL115331915418
6PJ1135310113-314
7KL113441412113
8SBH113441415-113
9MU113441416-2*10
10PRK112361116-59
11PHG112271118-78
12UITM110110326-231
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第11節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)11
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)9
3クパー・シャーマン(KDH)8
4カサグランデ(PEN)7
5ジョーダン・ミンター(TFC)他8名4
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ

Mリーグ1部スーパーリーグ第10節結果

 開幕から1週間に2試合のペースで試合が行われてきたMリーグですが、イスラム教の断食月が始まった事により1週間に1試合となっています。そんな中、今節は大波乱が起こりました。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年4月23日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマン 3-2 KLシティ
得点者:クダ:モハマド・ファイヤド・モハマド・ズルキフリ・アミン(71分)、クダ:チェチェ・キプレ2(90+3分PK、90+6分)、KL-パウロ・ジョズエ(49分)、ジャンカルロ・ガリフオコ(79分)
 これ以上首位JDTには離されたくないクダはリードを許したまま終盤を迎えても集中力が切れず、最後は執念の逆転勝ちで3位をキープしています。
 クダはケガから調整が遅れていた守備のキーマン、レナン・アルヴェスが今季初出場を果たしたものの、累積警告による出場停止処分でチーム得点王のクパー・シャーマンを欠く攻撃陣が再三チャンスを作りながらもそれを生かせず、KLにリードを許したままロスタイムに入りました。しかし90+3分には途中出場のロザイミ・ラーマンがゴールエリアで倒されて得たPKをキプレが決めて同点、その3分後にはKLゴール前の混戦からレナン・アルヴェスがヘディングで競って落としたボールをキプレが決めて逆転勝利。1点目のアシストと含めて2ゴール1アシストのチェチェ・キプレがマンオブザマッチとなる活躍でチームを勝利に導きました。

2021年4月23日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 2-2 サバ
得点者:スランゴール:イフェダヨ・オルセグン2(57分、72分)、サバ:アムリ・ヤハヤ(31分)、ボビー・ゴンザレス(88分)
 スランゴール州出身でスランゴールで400試合以上した経験を持つレジェンド選手ながら、首脳陣の起用方法への不満から退団し、昨季は2部プレミアリーグでプレー、今季サバへ移籍したアムリ・ヤハヤが40歳3ヶ月と2日でMリーグ最年長得点者記録となるゴールを決めてサバが先制するも、スランゴールはエースのイフェダヨ・オルセグンの2ゴールで逆転し、このまま試合終了かと思われた88分にもう一人のベテラン37歳のボビー・ゴンザレスが同点ゴールを決め、サバが引き分けに持ち込んでいます。
 スランゴールはセカンドチームから昇格させたミャンマー出身の19歳MFハイン・テット・アウンを試合途中で投入しましたが、この試合では21歳のシャルル・ナジームやダニアル・アスリ、20歳のジョーダン・アイムビラやアリフ・ハイカル、そして19歳のムカイリ・アジマルの6名が先発しています。順位は5位ながら、上位陣との勝点差がすこしずつ開き始めており、今季の優勝は難しくなってきましたが、目先の勝利ではなく若い選手を育てながら勝とうという姿勢は早ければリーグ後半から結果が出てくるかも知れません。

2021年4月23日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
トレンガヌ 1-0 KLシティ
JDT 0-1 トレンガヌ
得点者:トレンガヌ-モハマド・ハキミ・アブドラ(57分)
 昨季2020年から本拠地となったスルタン・イブラヒムスタジアムでは無敗神話を積み重ねてきたJDTがついに敗れる波乱となったこの試合は、3年越しとなるMリーグ22試合目にしてJDTが初めて負けた試合にもなりました。
 試合はJDT優勢で進むものの、現在リーグ得点王のベルグソン・ダ・シルヴァを初めてとする攻撃陣が得点機を生かせないまま、56分にJDTのDFアダム・ノー・アズリンとMFナチョ・インサのミスをついて21歳のモハマド・ハキミ・アブドラのシュートが決まり、トレンガヌが先制しました。それまでもアダム選手は不安定なプレーを見せていたので、そこをトレンガヌのFWデヴィッド・ダ・シルヴァが突き、そのミスを生かしてハキミ・アブドラ選手が得点した形です。JDTはそこからギアを上げて反撃に転じますが、それをトレンガヌが防ぎきり、2018年以来3年ぶりの対JDT戦勝利を挙げています。

2021年4月24日@シティースタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 3-0 スリ・パハン
得点者:エンドリック(11分)、ダニアル・アシャラフ(26分)、ジェフリー・フィルダウス・チュウ(90+1分)
 過去7試合負けなしのペナンと過去6試合勝ちがないパハンの勢いの差が如実に現れた試合はペナンが快勝しています。わずか開幕2試合でトーマス・ドゥーリー監督を「休養」させたもののチームの成績は変わらないどころか悪化しているようにさえ見えますが、ドラー・サレー監督を「休養」させられないスリ・パハン経営陣の責任はますます重くなっています。

2021年4月24日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM 0-1 PJシティー
得点者:PJ-タミルマラン・マニマラン(82分)
 昨季は1部昇格直後のシーズンで6位と大健闘したUITMですが、経営陣はその功労者でもあるフランク・ベルンハルト監督との契約を延長せず、彼に代わる新たな指揮官との契約を模索しましたが結局、ベルンハルト監督の契約を更新。しかし今季は外国籍選手がほぼ入れ替えられたことで成績不振となり、その結果ベルンハルト監督は「休養」となりました。しかしこの試合の後にはベルンハルト監督の「休養」からの復帰が発表される迷走ぶりを見せるUITMがダントツの最下位なのは納得です。
 一方Mリーグ1部スーパ=リーグで唯一、外国籍選手を一人も登録せず全員がマレーシア人選手というチーム構成のPJシティーは開幕前の下馬評を裏切ってこの試合前までは7位という成績でしたが、UITM相手に接戦ながら勝利、現在の成績は外国籍選手云々が理由ではないと証明したような勝利でした。

2021年4月25日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 0-1 マラッカ・ユナイテッド
得点者:ワン・ザハルルニザム・ザカリア(61分)
 9位ペラと10位マラッカ・ユナイテッドの対戦は、現在スランゴールでプレーするワン・ザック・ハイカルとともにFC琉球のトライアウトを受けたこともあるワン・ザハルルニザム・ザカリアの今季初ゴールで勝利し8位に上昇、敗れたペラは順位を一つ下げて10位になっています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第10節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT107212351823
2TFC10631147721
3KDA106221711620
4PEN10541137619
5SEL104331715215
6PJ10352911-214
7KL103331211112
8MU1034313130*10
9SBH102441214-210
10PRK102351016-69
11PHG10127618-125
12UITM9019321-181
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第10節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)9
イフェダヨ・オルセグン(SEL)9
2クパー・シャーマン(KDH)6
3カサグランデ(PEN)5
4ジョーダン・ミンター(TFC)他5名4
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ

Mリーグ1部スーパーリーグ第9節結果

 イスラム教の断食月が始まり、およそ1ヶ月間はMリーグの試合開始時間は午後10時(イスラム教徒の数が少ないサバ州では午後9時15分)からとなります。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年4月16日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
スリ・パハン 0-2 JDT
得点者:JDT-レアンドロ・ヴァレスケス(23分)、ベルクソン・ダ・シルバヴァ(90+4分)
 首位のJDTはリーグ得点王のダ・シルヴァのゴールなどで11位のスリ・パハンに快勝して首位を堅持しています。この試合ではサファウィ・ラシドが膝のケガによる欠場から3月13日のUITM戦以来5試合ぶりとなるリーグ出場を果たし、20分ほどプレーし復調した様子を見せています。好調のアリフ・アイマンと交代させたJDTのベンヤミン・モラ監督は、サファウイ選手とアリフ選手を交代で起用する可能性を試合後の記者会見で明かしています。
 一方のパハンは69分にモハマド・エザニ・マット・サラーがこの試合2枚目のイエローで退場するなど良いところがなく敗れ順位は11位のままです。

2021年4月16日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌ 1-0 KLシティ
得点者:トレンガヌ-マカン・コナテ(88分)
 ホームのトレンガヌがマカン・コナテの今季初ゴールでKLシティを破り、勝点18として首位のJDTとは勝点差5の2位に浮上しています。

2021年4月17日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 4-0 UITM
得点者:サバ-サム・ジョンソン(28分)、サディル・ラムダニ(41分)、パク・タエス(50分)、ボビー・ゴンザレス(87分)
 給料遅配が明らかになったサバが最下位のUITMを相手に4ゴールの大勝で今季2勝目を挙げています。なお今季ここまでのの2勝はいずれも本拠地リカススタジアムで記録しています。
 一方のUITMは第9節を終えて未だ未勝利です。 

2021年4月17日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 1-1 クダ・ダルル・アマン
得点者:ペラ-ギリェルメ・デ・パウラ(58分)、クダ-クパー・シャーマン(79分)
 ペラは代表のDFシャルル・サアドケガをケガで、クダはDFロドニー・セルヴィンを前節のレッドカードによる出場停止処分と守備陣の主力選手を欠いた両チームの対戦は前半を0-0で折り返しました。後半に入ると58分にはカレッカからのクロスを帰化選手のデ・パウラが頭で合わせて自身今季4点目となるゴールを決め、ペラが先制しました。一方のクダは得点機を得るものの、ペラGKハフィズル・ハキムが好守を連発し、相手ゴールを破ることができない中、チェチェ・キプレからのクロスをエースのクパー・シャーマンが押し込み79分に同点とします。
 勝点23で首位を快走するJDTについていくためにも下位チーム相手に確実に勝ち点を積み上げたかったクダですが、この引き分けで勝点17となり、前日にKLシティを破り勝点18としたトレンガヌと入れ替わりで3位となっています。
 

2021年4月18日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 2-3 スランゴール
得点者:マラッカ-ステファン・ニコリッチ(45+3分)、アフマド・シャミン・ヤハヤ(59分)、スランゴール-イフェダヨ・オルセグン2(51分、79分)、シャミ・サファリ(88分)
 代表のレギュラーながら監督交代により、今季はスーバーサブ的な役割に甘んじているシャミ・サファリが途中出場ながら、決勝ゴールを挙げて、スランゴールがマラッカに辛勝しています。

2021年4月18日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 1-1 ペナン
得点者:PJ-V・ルヴェンティラン(39分)、ペナン-カサグランデ(48分)

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第9節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT97202341923
2TFC9531137618
3KDA9522149517
4PEN9441107316
5SEL94231513214
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7PJ9252811-311
8SBH92341012-29
9PRK92341015-59
10MU92431312-1*7
11PHG9126615-95
12UITM9018320-171
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第9節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)8
2イフェダヨ・オルセグン(SEL)7
3クパー・シャーマン(KDH)6
4カサグランデ(PEN)5
5ジョーダン・ミンター(TFC)他3名4
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ

Mリーグ1部スーパーリーグ第8節結果

 来週からイスラム教の断食月が始まり、その前の最後の節となった第8節。今季はまだ3分の1しか経過していませんが、早くもJDTの独走体制が見えてきました。
 なおMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLが昨季同様にハイライト映像をYoutubeで配信し始めたので、今節から試合のハイライト映像は全てMFLの公式チャンネルからお借りしています。

2021年4月9日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマン1-2 トレンガヌ
得点者:クダ-ムハマド・ファウジ(40分OG)、トレンガヌ-デヴィッド・ダ・シルヴァ(45+2分PK)。 ムハマド・アザム・アズミ・ムラド(60分)
 開幕戦でJDTに敗れたものの、その後は引き分けを挟んで5連勝と好調のクダはこの試合に勝てば暫定1位となりましたが、ここ4試合で3分1敗のトレンガヌに本拠地でまさかの敗戦を喫しました。
 一方、開幕から3連勝しながらここ4試合で3得点と得点力不足に苦しむトレンガヌは開幕戦でゴールを決めたもののケガにより欠場が続いてたエースのデヴィッド・ダ・シルヴァが復帰するなど攻撃陣は本来のメンバーが揃い、5試合ぶりに2得点を挙げました。
 両チーム合わせてイエロー6枚、レッド2枚が出されるなど荒れた試合でしたが、特に試合終了間際に審判への猛抗議と意味のないラフプレーといった闘志の空回りによってクダの2選手に出されたレッドカードは、チームにとっては次戦に影響を及ぼす可能性があります。

2021年4月10日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 2-1 スリ・パハン
得点者:KL-パウロ・ジョズエ(18分)、ダニエル・ティング(70分)、パハン-エラルド・グロン(90+2分)
 KLシティは今季3勝全てが本拠地での勝利です。
 パハンはドラー・サレー監督代行が正式に監督に就任しましたが、状況は変わらず引き分けを挟み3連敗です。

2021年4月10日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 3-0 PJシティ
得点者:JDT-ゴンザロ・カブレラ(1分)、ベルクソン・ダ・シルヴァ2(20分、30分) 
 JDTはこの試合もエースのベルグソン・ダ・シルヴァらのゴールで前半で試合を決めて快勝。チームへの合流が遅れ第3節から出場しているベルグソン選手は3試合連続で2ゴールを決め、通算でも6試合で8ゴールと得点王争いでトップに立ちました。
 外国籍選手がいないPJシティは今季ここまで各チームと善戦してきましたが、JDTの牙城は崩せませんでした。

2021年4月10日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UTIM 0-3 マラッカ・ユナイテッド
得点者:マラッカ-ソニー・ノルデ(30分)、ステファン・ニコリッチ(60分)、クマーハン・サタシバン(65分)
 今季ここまで1勝のマラッカと0勝のUITMの対決は今季最多の3ゴールを決めたマラッカに軍配。
 一方のUITMは、1部プレミアリーグではスリ・パハンのトーマス・ドゥーリー監督に続く今季2人目となるフランク・バーンハルト監督の「休養」を発表し、テクニカル・ディレクターのレドゥアン・アブドラ氏が監督代行として臨んだこの試合も今季6試合目となった無得点試合で通算成績も1分7敗となり、1部スーパーリーグで唯一勝ち星がありません。

2021年4月10日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 ペラ
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン3(8分、31分PK、71分)、ペラ-モハマド・ファリド・カザリ(90+3分)
 調整の遅れからセカンドチームのスランゴール2でプレーしていたマニュエル・コンラッドがトップチームに合流したスランゴールは、ジョーダン・アイムビラ、シャルル・ナジーム、ハリス・ハイカル、ダニアル・アスリら若い選手とイフェダヨ・オルセグン、ブレンダン・ガンら主力選手と徐々に融合し始め、育てながら勝つチームができつつあります。

2021年4月11日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 0-1 サバ
得点者:ペナン-カサグランデ(86分)、サバ-サディル・ラムダニ(52分)
 3連勝中のペナンはこの試合に勝てば、単独2位に浮上するチャンスがありましたが、サバに先制を許し、試合終了直前に引き分けに持ち込んでいます。

021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第8節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT86202141720
2KDA8512138516
3TFC8431127515
4PEN843196315
5KL8332107312
6SEL83231210211
7PJ8242710-310
8PRK8224814-68
9MU824210100*7
10SBH7124511-65
11PHG8125613-75
12UITM8017313-101
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第8節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)8
2クパー・シャーマン(KDH)5
イフェダヨ・オルセグン(SEL)5
3ジョーダン・ミンター(TFC)4
オリヴァー・バフ(SEL)4
カサグランデ(PEN)4
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ

4月10日のニュース:サバFCは給料未払いの噂を公式に否定、今年はマレーシアカップ100周年の記念大会、MFLはサラリーキャップ制導入に否定的、「休養」中のパハン前監督とコーチはU21チームの指導へ

サバFCは給料未払いの噂を公式に否定
 昨日のこのブログではサバFCの選手や首脳陣が練習をボイコットし、複数ヶ月分の給料が未払い我流だという噂を取り上げましたが、サバFCは公式声明を発表し、この噂を否定しています。
 サバFCのカイルル・フィルダウス・アクバルCEOは、給料の遅配はあることは認めた一方で、1ヶ月を超える未払いはこれまで一度もなかったこと、さらにその遅配も既に解決済みであるとクラブの公式Facebookで述べています。
 また前日の練習が早目に切り上げられたことについては、翌日にペナンへの移動が控えていたこともあり、休養を取れるようにという配慮だったとしています。
 さらに公式声明の最後には、選手と経営陣との意思の疎通は十分に行われているとして、今後はこのような問題が起こらないと確信しているとまとめています。

今年はマレーシアカップ100周年の記念大会
 1921年にマラヤカップの名称で第1回大会が開催されたマレーシアカップは今年で100周年を迎えます。マレーシアカップを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは今年の記念大会を例年とは比べられないほど盛大に行う計画があるということです。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOがマレーシアの通信社ブルナマに語ったところによると、試合会場はもとより、学校やショッピングモール、またオンライン上でも様々な記念イベントが企画されているということです。
 「大会でプレーしたマレーシアサッカー界のレジェンドなども含め、MFLはマレーシアカップの歴史的価値を再考する機会を社会と共有したい。」と述べるアブドル・ガニCEOは、新型コロナウィルスの感染状況との兼ね合いもあるとしながらも、例年はMFLのスポンサー企業やメディアを通じて行ってきたマレーシアカップの宣伝を、今年はより大規模かつ様々な方法でより広く告知していきたいとしています。

<マレーシアカップメモ>
1921年 
 当時の英領マラヤに寄港した英国海軍軍艦HMSマラヤの艦長から寄贈されたカップを争う大会としてスタート。ペナン、ペラ、スランゴール、ヌグリスンビラン、マラッカ、シンガポールの6チームが出場し、決勝ではシンガポールがスランゴールを破り初代チャンピオンとなる。
 ちなみに日本の天皇杯サッカー選手権大会も1921年に第1回が開催されている。マラヤカップは決勝が同年10月1日、天皇杯の決勝は11月だった。
1942年〜1947年
 日本軍による英領マラヤ占領とその影響で大会は中止。
1948年
 第二次大戦後の初開催となった大会はヌグリスンビランがスランゴールを破り優勝。
1957年
 この年のマラヤ連邦の英国からの独立に合わせて建設されたムルデカスタジアムで初めて決勝戦が開催される。決勝戦ではペラガスランゴールを破り優勝。またこの大会より、パハン、ケランタン、トレンガヌ、プルリスの各州も大会に初参加。
1967年
 HMSマラヤより寄贈されたカップに代わり新たなカップが授与され、大会名称もマレーシアカップとなる。この年の決勝はペラがシンガポール破り優勝。
1979年
 連邦直轄地(現クアラルンプール)とサバ、サラワクそしてブルネイがこの年から大会参加。またこの年から国内リーグ戦が始まるが、当時はマレーシアカップの予選という位置付けだった。
1982年
 国内リーグとマレーシアカップがそれぞれ独立した大会となるが、マレーシアカップは国内リーグ終了後に開催されるようになり、リーグ成績上位チームのみが出場可能となる。
1994年
 この年のMリーグで優勝したシンガポールが決勝でパハンを破り2冠を達成するも、入場料収入の分配でマレーシアサッカー協会FAMとシンガポールサッカー協会FASが対立し、シンガポールはこの年を最後にMリーグとマレーシアカップへの参加を中止。1998年
 この年開場したブキジャリル国立競技場で初の決勝戦が開催され、ペラがトレンガヌを破り優勝。
1999年
 いずれも初めて決勝に進出したブルネイとサラワクが対戦しブルネイが初優勝。
2003年
 MPPJ FC(2008年に解散)が決勝でサバを破り、州サッカー協会運営クラブ以外で初の優勝チームになる。
2007年
 クダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)が決勝でペラを破って優勝し、Mリーグ優勝、FAカップ優勝と合わせて三冠達成。
2008年
 クダFA決勝でスランゴールを破って優勝し、2年連続で三冠達成。
2012年
 ケランタンFA(現ケランタンFC)が決勝でATM(現国軍FC)を破って優勝し、Mリーグ優勝、FAカップ優勝と合わせて三冠達成。また、シンガポールがU23代表を中心としたライオンズXIIを結成し、Mリーグに復帰(ただし2015年に再び撤退)。
<マレーシアカップ通算成績>
優勝回数 1位スランゴール33回
     2位シンガポール24回
     3位ペラ8回
     4位クダ5回
     5位ペナン・パハン各4回

MFLはサラリーキャップ制導入に否定的
 選手への給料未払い問題が明らかになると毎度議論が再燃するサラリーキャップ制導入について、MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは個人的な見解としながらもその導入には否定的な意見を持っていることをブルナマに明らかにしています。
 アブドル・ガニCEOは、Mリーグは自由競争に基づいて運営されており、サラリーキャップ制導入を導入すれば、外国籍選手はもとより、マレーシア人選手もより良い年棒を求めて国外リーグへ移籍してしまうだろうと話し、競争力のあるプロリーグであることを対外的に示すためにも、導入はするべきでないとしています。
 アブドル・ガニCEOの発言は、給料未払いとされるクダ・ダルル・アマンFCのスポンサーでもあるクダ州政府のモハマド・サヌシ・モハマド・ノー州首相がサッカー選手の年棒高騰は国内No.1スポーツでもあるサッカー界を圧迫しているとして、マレーシアサッカー協会FAMとMFLに対して対策を講じることを求める発言をしたことを受けたものです。
 給料未払い問題を抱えるクラブが複数あることは承知していると話すアブドル・ガニCEOは、各クラブの規模に沿った予算内での経営を目指すべきと述べ、その予算を超えるような年棒を提供することが未払い給料問題の原因であると話しています。
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 Mリーグ内での競争を抑えて、各クラブの力を均一化するためにはサラリーキャップ制導入は有効です。この制度を導入しているアメリカンNO.1スポーツのアメリカンフットボールのNFLで、連覇をするチームが出にくくなったのもそれが理由とされています。
 しかしNFLが世界のトップであるアメリカンフットボールと違い、サッカーはマレーシアで言えば国内リーグの上にAFCチャンピオンズリーグやAFCカップ、さらに代表が出場するW杯をはじめとする大会があり、サラリーキャップ制導入によるMリーグクラブの実力の均一化は、一歩マレーシアから踏み出せば、Mリーグクラブは他国のリーグのクラブに歯が立たないという状況に陥る可能性もあります。リーグ7連覇のJDT1強も問題ですが、FIFAランキングにかかわる国外の試合でマレーシアが不利になるようであれば、MFLのCEOの指摘も間違ってはいないでしょう。

「休養」中のパハン監督とコーチはU21チームの指導へ
 開幕からわずか2試合で「休養」となったMリーグ1部スーパーリーグ、スリ・パハンFCのアメリカ人監督トーマス・ドゥリーとイタリア人コーチのクリストファ・ガメルの両氏はクラブから解雇されていないようですが、その代わりにクラブのU21チームを指導者に任命されたと、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 スリ・パハンFCのモハメド・スフィアン・アワンCEOはドゥーリー氏はU21チームのアドバイザーに、またガメル氏はU21チームの監督に任命されたことを明らかにしています。またドゥーリー氏の「休養」後に監督代行とししてチームの指揮を取ってきたドラー・サレー チームマネージャーが正式に監督に就任したことも同時に発表しています。
 今季開幕から2連敗するとスリ・パハンFCはドゥーリー、ガメルの両氏を「休養」させ、昨季は監督を務めながら4勝2分5敗でリーグ順位8位という成績不振から監督を解雇され、今季はチームマネージャーとなっていたドラー氏を担ぎ出して監督代行としていました。
 ドラー監督代行となった後は1勝2分2敗という成績となっています。