マレーシアカップ2022
準決勝1STレグ結果とハイライト映像

マレーシアサッカーの今季最後を飾るマレーシアカップはいよいよ準決勝。11月15日と16日にそれぞれ1試合ずつ行われています。各州の対抗戦として始まったマレーシアのサッカーの歴史を受け継ぐマレーシアカップは、リーグ戦とは違う「熱さ」をもっています。この準決勝2試合はいずれも観衆が1万4000人を超え、特にスランゴール対トレンガヌ戦は今季初めてチケットが売り切れるなど、サポーターが退去押し掛ければ、それに呼応するようにピッチ上でも選手が激しくぶつかりあいました。準決勝ファーストレグを見る限りでは、決勝進出がかかるセカンドレグはさらに「暑い」試合になりそうです。なお準決勝セカンドレグは11月20日にJDT対サバが、同21日にトレンガヌ対スランゴールがそれぞれ行われます。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 0-1 JDT
⚽️JDT:アリフ・アイマン(34分)
🟨サバ(7):バドルル・アフェンディ、ファルハン・ロスラン、アムリ・ヤハヤ、ドミニク・タン、ジェラルド・ガディト、ハナフィ・トウキョウ、オン・キムスイ監督
🟨JDT(4):アリフ・アイマン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェロズ・バハルディン、レアンドロ・ヴァレスケス
🟥JDT(1):フェロズ・バハルディン(🟨x2)
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 マレーシアカップに優勝し悲願のAFCカップ出場権獲得を目指す今季リーグ2位のサバと、リーグ、FAカップに続き年間三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTの対戦は、両チーム合わせてイエローカード11枚、レッドカード1枚が出されるほどともに激しい闘志をむき出しにした試合となりました。
 試合はJDTが試合開始から好機を作るものの、マレーシアカップでは連戦、攻守を見せるサバGKデミアン・リムの活躍もあり得点にならない展開が続きました。しかしついに34分、若きエース、アリフ・アイマンがペナルティエリアの外からディフェンダーを交わしてシュート。これが決まってJDTが先制します。そしてここからがJDTの本領が発揮されます。ベルグソン・ダ・シルヴァを中心とした攻撃力が注目されるJDTですが、今季リーグ戦22試合で12失点とその守備力も今季未だ国内無敗を支える原動力でもあります。73分にはフェロズ・バハルディンが2枚目のイエローカード(これは素人目には先にボールに触っているようにも見えましたが)で退場となり10人となるも、この1点を守り切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 トレンガヌ
⚽️スランゴール:リッチモンド・アンクラ(37分)、カイオン(43分)、シャルル・ナジーム(57分)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(19分)
🟨スランゴール(1):ムカイリ・アジマル
🟨トレンガヌ(2):クパー・シャーマン、アザルル・ナザリス
MOM:リッチモンド・アンクラ(スランゴール)
 リーグ5位とはいえタン・チェンホー監督就任以来、リーグ戦からマレーシアカップにかけて8戦無敗と好調が続くスランゴールと、ここ3ヶ月ではFAカップ決勝でJDTに敗れたのが唯一の敗戦と、こちらもやはり好調なリーグ2位トレンガヌの対戦となったこの試合は、スランゴールが3つのゴールを決め、リーグ戦では2敗していたトレンガヌに雪辱を果たしています。
 試合はキャプテン、チェチェ・キプレのフリーキックで19分にトレンガヌが先制しましたが、スランゴールは37分、ムカイリ・アジマルからのコーナーキックをリッチモンド・アンクラが190cmの長身を生かしたヘディングで同点ゴール。さらに43分位は同じムカイリ・アジマルからのコーナーキックにエースのカイオンがダイビングヘッドでゴールを決め逆転します。さらに57分には再びムカイリ・アジマルのコーナーキックにシャルル・ナジームがやはり頭で合わせゴール!全く同じような3つのゴールでスランゴールが快勝し、リーグ最多となる34回目のマレーシアカップ優勝に向けて近づきました。
 一方のトレンガヌは、この日の敗戦で、リーグ戦からマレーシアカップへと続いた連勝が8でストップしています。さらにこの試合前日には、クラブとの関係が悪化したナフジ・ザイン監督がマレーシアカップ後に退任することが発表されましたが、選手の動きを見る限りでは、チームのモラルは低下しておらず、ホームに戻ってのセカンドレグではこのナフジ監督の花道を飾るべく、決勝を目指す戦いが見られそうです。

マレーシアサッカーの今季最後を飾るマレーシアカップはいよいよ準決勝。11月15日と16日にそれぞれ1試合ずつ行われています。各州の対抗戦として始まったマレーシアのサッカーの歴史を受け継ぐマレーシアカップは、リーグ戦とは違う「熱さ」をもっています。この準決勝2試合はいずれも観衆が1万4000人を超え、特にスランゴール対トレンガヌ戦は今季初めてチケットが売り切れるなど、サポーターが退去押し掛ければ、それに呼応するようにピッチ上でも選手が激しくぶつかりあいました。準決勝ファーストレグを見る限りでは、決勝進出がかかるセカンドレグはさらに「暑い」試合になりそうです。なお準決勝セカンドレグは11月20日にJDT対サバが、同21日にトレンガヌ対スランゴールがそれぞれ行われます。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 0-1 JDT
⚽️JDT:アリフ・アイマン(34分)
🟨サバ(7):バドルル・アフェンディ、ファルハン・ロスラン、アムリ・ヤハヤ、ドミニク・タン、ジェラルド・ガディト、ハナフィ・トウキョウ、オン・キムスイ監督
🟨JDT(4):アリフ・アイマン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェロズ・バハルディン、レアンドロ・ヴァレスケス
🟥JDT(1):フェロズ・バハルディン(🟨x2)
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 マレーシアカップに優勝し悲願のAFCカップ出場権獲得を目指す今季リーグ2位のサバと、リーグ、FAカップに続き年間三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTの対戦は、両チーム合わせてイエローカード11枚、レッドカード1枚が出されるほどともに激しい闘志をむき出しにした試合となりました。
 試合はJDTが試合開始から好機を作るものの、マレーシアカップでは連戦、攻守を見せるサバGKデミアン・リムの活躍もあり得点にならない展開が続きました。しかしついに34分、若きエース、アリフ・アイマンがペナルティエリアの外からディフェンダーを交わしてシュート。これが決まってJDTが先制します。そしてここからがJDTの本領が発揮されます。ベルグソン・ダ・シルヴァを中心とした攻撃力が注目されるJDTですが、今季リーグ戦22試合で12失点とその守備力も今季未だ国内無敗を支える原動力でもあります。73分にはフェロズ・バハルディンが2枚目のイエローカード(これは素人目には先にボールに触っているようにも見えましたが)で退場となり10人となるも、この1点を守り切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 トレンガヌ
⚽️スランゴール:リッチモンド・アンクラ(37分)、カイオン(43分)、シャルル・ナジーム(57分)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(19分)
🟨スランゴール(1):ムカイリ・アジマル
🟨トレンガヌ(2):クパー・シャーマン、アザルル・ナザリス
MOM:リッチモンド・アンクラ(スランゴール)
 リーグ5位とはいえタン・チェンホー監督就任以来、リーグ戦からマレーシアカップにかけて8戦無敗と好調が続くスランゴールと、ここ3ヶ月ではFAカップ決勝でJDTに敗れたのが唯一の敗戦と、こちらもやはり好調なリーグ2位トレンガヌの対戦となったこの試合は、スランゴールが3つのゴールを決め、リーグ戦では2敗していたトレンガヌに雪辱を果たしています。
 試合はキャプテン、チェチェ・キプレのフリーキックで19分にトレンガヌが先制しましたが、スランゴールは37分、ムカイリ・アジマルからのコーナーキックをリッチモンド・アンクラが190cmの長身を生かしたヘディングで同点ゴール。さらに43分位は同じムカイリ・アジマルからのコーナーキックにエースのカイオンがダイビングヘッドでゴールを決め逆転します。さらに57分には再びムカイリ・アジマルのコーナーキックにシャルル・ナジームがやはり頭で合わせゴール!全く同じような3つのゴールでスランゴールが快勝し、リーグ最多となる34回目のマレーシアカップ優勝に向けて近づきました。
 一方のトレンガヌは、この日の敗戦で、リーグ戦からマレーシアカップへと続いた連勝が8でストップしています。さらにこの試合前日には、クラブとの関係が悪化したナフジ・ザイン監督がマレーシアカップ後に退任することが発表されましたが、選手の動きを見る限りでは、チームのモラルは低下しておらず、ホームに戻ってのセカンドレグではこのナフジ監督の花道を飾るべく、決勝を目指す戦いが見られそうです。

11月16日のニュース
トレンガヌFCのナフジ監督の退任が確定
スーパーリーグクラブのコーチの月給は30万円!?
来季からフットサルリーグ参加のJDTが今季リーグ王者から7選手を獲得-フットサルでもいきなり無双を狙う

トレンガヌFCのナフジ監督の退任が確定

Mリーグ1部スーパーリーグのトレンガヌFCはナフジ・ザイン監督が来季の監督契約更新オファーを断ったことを発表しています。これにより、ナフジ監督は現在開催中のマレーシアカップ終了をもって退任することが決定しました。

トレンガヌFCを運営するTFC社のアブドル・ラシド・ジュソCEOは、昨日11月15日に記者会見を開き、ナフジ監督から契約更新を希望しない旨の返信を受け取ったことを明らかにしています。またその席上で、ナフジ監督はマレーシアカップ終了までは指揮を取ることも発表しています。またアブドル・ラシドCEOは、退任するナフジ監督への感謝の言葉を述べるとともに、来季2023年シーズンに指揮を取る新監督の候補者にはナフジ監督と同等かそれ以上の実績を求めるとしています。

ナフジ監督は2016年にTチームFC(現トレンガヌII)のU21チームの監督に就任し、翌2017年にはトレンガヌFCのコーチとなりました。2019年に当時のイルファン・バクティ監督(現クチンシティ監督)がチームの成績不振を理由にシーズン途中で辞任すると、コーチから監督代行に昇格しました。2019年はリーグ7位に終わったものの、正式に監督に就任した2020年は3位、2021年は4位、そして今季2022年は2位と、安定した成績を収めています。

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チームがマレーシアカップ準決勝を今日に控える中、その前日に発表となったナフジ監督退任のニュースですが、ナフジ監督がクラブの対応に対する批判をメディアにぶちまけた段階で、両者の関係の修復は不可能でした。上でも書いたように過去3シーズンを3位、4位、2位という成績を収めた監督に対して来季の方針や選手獲得などの相談も全く行わずに1年契約を提示したクラブは、リーグ優勝を目指して監督をサポートする姿勢が感じられないと非難されてもしょうがない対応でした。なお、ナフジ監督は来季は同じスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCの監督就任が噂されています。そのクダも過去2シーズンで連続2位になりながら、今季は外国籍選手を総入れ替えし、さらに主力を放出するなどアイディル・シャリン監督をクラブがサポートせず、その結果、今季8位と低迷し、アイディル監督はマレーシアカップ前に退任する事態になっています。

スーパーリーグクラブのコーチの月給は30万円!?

Mリーグの監督、コーチはの前途は暗いと、マレーシアサッカー指導者協会(PJBM)の会長が語っていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

Mリーグを主催するマレーシアンフットボールMFLは、来季から監督だけでなくコーチにもプロAライセンスの保持を義務付けることになりましたが、前サラワク・ユナイテッドFCのテクニカルディレクターでもあるB・サティアナタンPJBM会長は、今季は1部と2部合わせて22チームあったMリーグが、来季のリーグ再編成により15チームとチーム数が大幅に減少した点を挙げて、最大でも30名のマレーシア人指導者しか仕事につけず、マレーシア人のプロ指導者の供給過多が起きていると説明しています。

そしてこの供給過多により、買い手有利となったMリーグクラブはマレーシア人コーチに対して、従来より安い給料を提示するようになっているということです。

サティアナタンPJBM会長は、現在、国内にはプロAライセンスの保持者がおよそ50名おり、彼らはプロAライセンス取得のために7万マレーシアリンギ(およそ220万円)を支払ってコースを受講する一方で、Mリーグクラブの中にはそういったプロAライセンス保持者に対して月給1万マレーシアリンギ(およそ31万円)の契約を提示するクラブもあると話しています。

国内トップリーグのクラブのコーチに対してそのような給料が提示されていることに失望していると話すサティアナタンPJBM会長は、仕事が欲しいコーチの中にはそのような定額の契約であっても受け入れる者いる一方で、そういった低額で契約しながら、結果を残せず解雇された場合、再びトップリーグの指導者に復帰することは難しくなると述べて、低額での契約は自身の将来を危うくすることになると指摘しています。

またコーチを買い叩くような姿勢を見せるMリーグのクラブに対しては、MFLの基準にそうことだけを考え、この国のサッカーの将来を考えていないと批判しています。「この国のサッカーのレベルを上げるには、レベルアップしたいと考える選手と、その選手が目的を果たせるように指導する資格を持ったコーチの両方が必要であるが、Mリーグクラブは経営が苦しいとはいえ、そういった点を無視して、マレーシア人コーチを搾取している。」と非難するとともに、国内のプロ指導者に対しては威信と自尊心を持って欲しいと話しています。

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サティアナタンPJBM会長は、トレンガヌFCとナフジ・ザイン監督との問題についても言及し、トレンガヌFCは外国籍の監督、コーチであれば、決してこのような対応はしないだろうと述べ、マレーシア人指導者に対する不敬を批判するとともに、このような対応は直ちに改めるべきだとも述べています。

来季からフットサルリーグ参加のJDTが今季リーグ王者から7選手を獲得-フットサルでもいきなり無双を狙う?

今季のMリーグ1部スーパーリーグで9連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムJDTは、来季から国内フットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLへの参加を発表していますが、早速、選手獲得で話題を振りまいています。

このJDTが今季MPFLとマレーシアカップの二冠優勝のスランゴールMACから大量7選手を獲得するという噂がSNSで話題となり、その後スランゴールMACが公式インスタグラムでこの主力7選手が退団することを発表しています。この7選手とはハディ・トーフィク、アズリ・ラーマン、エクマル・シャリン、サアド・サニ、アズワン・イスマイル、ダニアル・アブドル・ダイン、そしてフィルダウス・アムビアです。この内、ハディ・トーフィク、アズワン・イスマイルの両選手は今年ベトナムで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズにマレーシア代表選手として参加しています。また他の選手もダニアル・ダインを除いてそれ以前にいずれも代表経験がある選手です。

JDTフットサルチームはこの他にもMPFLの強豪、パハンレンジャーズからも代表クラスの選手を獲得しようとしているという噂もあり、サッカー専門サイトのスムアニャボラは、スーパーリーグ9連覇中のJDTがそれまでのジョホールFCからチーム名をJDTと変更した2013年によく似ていると指摘しています。

JDTとなった2013年には、チームオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が主どする形で当時のマレーシア代表の主力選手を片っぱしから獲得しています。ちなみにこの2013年にJDTに加入した代表選手はサフィク・ラヒム(スランゴールから加入)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(クランタンから加入)、サフィ・サリー(インドネシア1部プリタ・ジャヤ、現マドゥラ・ユナイテッドから加入)、ザクアン・アドハ、アイディル・ザフアン(いずれもヌグリスンビランから加入)らがおり、JDTは翌2014年から今季に至るまでのスーパーリーグ9連覇の礎を作っています。

11月15日のニュース
トレンガヌ監督の契約更新問題は泥試合に発展
UITMも新スーパーリーグの規定が満たせずリーグ離脱か

トレンガヌ監督の契約更新問題は泥試合に発展-ナフジ監督はクラブのプロ意識の欠如を批判

今季のMリーグ1部スーパーリーグで2位、FAカップでは決勝に敗れて準優勝、そして現在開催中のマレーシアカップでは準決勝に駒を進めているトレンガヌFC。チームを率いるナフジ・ザイン監督とクラブの契約は今月11月末までとなっています。今季、これだけの好成績を収めながら、これまでなかなか契約更新が報じられず、ナフジ監督は今季限りか、といった噂も出回る中で爆弾発言が飛び出しました。

11月12日に行われたマレーシアカップ準々決勝セカンドレグのKLシティ戦後の記者会見で、ナフジ監督は、10月27日付の契約更新のオファーレターをその2日後の10月29日に受け取ったこと、来季、チームが求めるKPI(重要業績評価指標)や来季の給料についての事前の話し合いが全く持たれなかったこと、そして極め付けはそのオファーレターを経営陣からではなく、チームの練習中にクラブのキットマン経由で手渡されたことを暴露しました。

ナフジ監督は、2017年にトレンガヌのコーチに就任し、2019年に当時のイルファン・バクティ監督(現クチンシティ監督)がチームの成績不振を理由にシーズン途中で辞任すると、コーチから監督代行に昇格しました。2019年はリーグ7位に終わったものの、正式に監督に就任した2020年は3位、2021年は4位、そして今季2022年は2位と、安定した成績を収めています。

クラブに対する自身の貢献が評価されていないと述べたナフジ監督は、自身の雇用主であるトレンガヌFCは契約内容について決定する権利があることは理解しているとしながらも、クラブの対応はプロ意識も、監督である自身に対する敬意も欠如しているとして、失望をあらわにするとともに、クラブが自分を必要としているのか疑問であるとも話しています。

「契約更新前に、来季、クラブが目指す方向性やその準備について、監督と経営陣の考える計画を互いに理解することが望ましいと思っていたが、そういった機会は全くなかった。」と述べたナフジ監督は、昨季同様、KPIを示されて、それに同意することが条件の契約オファーであったことも明らかにしています。

クラブ側はナフジ監督の発言はクラブとの信頼関係を損なう上、事前に他のクラブと監督就任交渉を行っていたと批判

ナフジ監督が契約更新に関するクラブの対応をメディアに明らかにした翌日、トレンガヌFCを運営するTFC社が、ナフジ監督のメディアに対する発言に驚くとともに失望し、その発言はクラブのイメージ低下を招くだけでなく、クラブとナフジ監督の関係を損なうものであるという声明をクラブ公式Facebookで発表しています。

契約更新のオファーレターは契約が切れる30日前までに出すことが求められており、10月27日付のレターは同29日にナフジ監督に届けられており、ナフジ監督との契約が切れる11月30日まで30日以上あったことから、声明ではこれが問題視されるべきではないとしています。(ただしTFC社からではなく、レターがキットマンから手渡されたことには触れていません。)

さらにナフジ監督はレターを受け取ってから14日以内に契約を更新するか否か、あるいは契約内容の再交渉を求めるかを回答することになっているにもかかわらず、それをしないまま、メディアに対して契約更新についての不満を明らかにしたことは遺憾であると声明ではナフジ監督を批判しています。

さらにTFC社は今年8月にナフジ監督がトレンガヌFCとの契約期間中にもかかわらず、スーパーリーグの他のクラブと事前に交渉し、来季はそのクラブの監督に就任することにも同意しているという情報を掴んでおり、これが明らかな契約違反およびクラブのイメージを失墜させるものであるとも述べ、ナフジ監督に対する処分を検討中であるとも述べています。

UITMも新スーパーリーグの規定が満たせずリーグ離脱か

来季から改編されるMリーグ1部の「新」スーパーリーグは、当初予定されていた18チームから15チームに縮小していますが、さらにUITM FCも撤退して14チーム編成となる可能性があると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

18チームでスタートする予定だった来季のスーパーリーグが躓いたのは、給料未払い問題が解決していないことから、来季の国内クラブライセンスが交付されなかったマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCが参加不可となったことがその始まりでした。さらに来季のスーパーリーグでは外国籍選手枠が現在の5名から9名(ただしベンチ入りは最大6名)となることから、昨季、今季と外国籍選手不在でリーグに参加していたPJシティFCがこの新規定のもとではリーグ参加は困難であるととして撤退を発表し、来季のスーパーリーグは15チームとなることが決まっています。

そして今回、UITM FCがやはり新規定として導入された「リザーブリーグに出場するセカンドチームの設立」が困難であるとして、リーグ撤退の可能性があるとニューストレイトタイムズが報じています。UITM FCのサザリ・シャヒビ会長は、トップチーム、プレジデントカップ(U21)チーム、ユースカップ(U19)チームといった従来の編成に加えて、U23チームに当たるセカンドチームを新たに設立することで、クラブの年間予算が600万マレーシアリンギ(およそ1億8300万円)が必要となると話しています。UITM FCは、過去2シーズンのクラブ予算は400万マレーシアリンギ(およそ1億2200万円)前後だった一方で、セカンドチームの設立に加え、チーム数増に伴う試合数増もあり、新たに200万マレーシアリンギが必要になるということです。

前述のPJシティFC同様、今季は外国籍選手不在で2部プレミアリーグに参加し、7位となったUITM FCですが、来季に向けては予算不足に加えて、選手全員がUITM(マラ工科大学)の学生であり戦力不足も否めず、セカンドチームは他大学の学生を集めて編成せざるを得ない可能性もあり、こういった点からも、来季のスーパーリーグ参加は未だ確定していません。

マレーシアカップ2022
準々決勝2ndレグ結果とハイライト映像

 TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のセカンドレグが11月12日と13日に行われ・いよいよベスト4が決定しています。準決勝進出を決めたのは、リーグ優勝、FAカップ優勝に続く三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDT、リーグ2位のトレンガヌ、リーグ3位のサバ、そしてリーグ5位のスランゴールの4チームで、準決勝のカードはJDT対サバ、トレンガヌ対スランゴールと決まりました。なお、マレーシアカップの優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられますが、スーパーリーグ1位として既にACL出場を決めているJDT、そしてスーパーリーグ2位となったことでAFCカップ出場権を獲得しているトレンガヌが優勝した場合には、スーパーリーグ3位のサバがAFCカップ出場権を獲得することが決まっています。
 なお準決勝ファーストレグは11月20日と21日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 1-1 クチンシティ(通算スコア:サバ 2-1 クチンシティ)
⚽️サバ:加賀山泰毅(94分)
⚽️クチンシティ:ウマレン・バチョク(83分OG)
🟨サバ(1):イルファン・ファザイル、アルト・リナス、ハナフィ・トウキョウ
🟨クチンシティ(1):アリフ・ハサン
MOM:加賀山泰毅(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」は、ファーストレグではMリーグ1部スーパーリーグ3位のサバが2部プレミアリーグ3位のクチンシティに1-0で勝利していますが、内容はほぼ互角で、セカンドレグでも接戦が予想されました。サバには加賀山泰毅、クチンシティには1回戦のペナン戦ではMOMにも選ばれている谷川由来選手が在籍しており、日本人選手対決ともなったこの試合は、豪雨で試合開始が30分遅れた上、ピッチに水が浮く最悪のコンディションの中で始まりました。
 試合はアウェイのクチンシティが試合開始からホームのサバを圧倒しましたが、クチンシティのシュートがゴールの枠を捉えることができず、また枠内に飛んだシュートには絶好調のサバGKダミエン・リムが立ちはだかり、得点を挙げることができません。またクチンシティのGKシャイフル・ワジジもこうセーブを見せ、前半は0-0で終了します。
 後半に入っても、クチンシティはサバゴールを破ることができないまま試合が進み、このままサバが逃げ切るかと思われた83分、クチンシティのコーナーキックは直接、シュートにはつながらなかったものの、ゴール前の混戦からサバのウマレン・バチョクに当たったボールがそのままゴールイン!土壇場でクチンシティが通算スコア1-1に追いつきます。
 90分内で決着をつけたいクチンシティはその後も好機を作りますが、またもやGKダミエン・リムの攻守に阻まれ、試合は延長に入ります。そして延長戦開始直後の94分、右サイドからのサディル・ラムダニのクロスに加賀山泰毅が頭で合わせゴール!通算スコア2-1とサバが再び、リードを奪います。クチンシティはその後もジョセフ・カラン・ティー、アイルトン・フェレイラが好機を生かせず、試合はこのまま終了し、加賀山選手の今季通算4ゴール目となるマレーシアカップ初ゴールが決勝点となり、サバが準決勝を決めています。
 クラブ史上初のベスト4進出を逃したクチンシティですが、スーパーリーグ12位のペナンを破り、同3位のサバとも接戦を繰り広げ、来季昇格するスーパーリーグでも堂々と渡り合えることを証明しました。今季限りで退任を発表していたイルファン・バクティ監督は、来季も指揮を取るという報道も出ており、来季のスーパーリーグでのクチンシティの活躍が楽しみです。
  クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 5-0 クランタン(通算スコア:JDT 8-0 クランタン)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(12分、34分、37分)、シャーミ・サファリ(40分)、ナズミ・ファイズ(45+1分)
🟨JDT(1):ナチョ・インサ
🟨クランタン(3):ムハイミン・イズディン・アスリ、シャフィク・アル=ハフィズ、ズルファーミ・アブドル・ハディ
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ファストレグでは、スーパーリーグ覇者のJDTがプレミアリーグ2位のクランタンを3-0で破っており、このセカンドレグではクランタンがホームのJDTを相手に、意地を見せられるかどうかだけが注目でした。
 JDTのエクトル・ビドリオ監督は、マレーシアカップ1回戦のPJシティ戦、そしてクランタンとの準々決勝ファーストレグと1度として同じ先発XIを起用していませんが、この試合でも過去3試合とは異なる先発XIを起用、しかも、この試合も含め4試合全てに先発した選手は1人もいません。しかし誰が先発しても今季のJDTは強い!この試合もJDTのエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが前半だけでハットトリックを達成。ちなみにベルグソン選手はリーグ戦で29ゴール、FAカップで4ゴール、また今季のACLで6ゴールを挙げており、マレーシアカップはここまで5ゴールと今季通算44ゴール挙げ、準決2試合、そして決勝まで進めば年間50ゴールも見えてきます。JDTはさらにシャーミ・サファリ、ファイズ・ナズミもゴールを決めており、前半で5-0としたJDTが、後半は今季出場機会が少なかった選手を起用する余裕を見せ、通算スコア8-0でクランタンを粉砕しています。
 クランタンのリザル・ザムベリ・ヤハヤ監督にとっては、屈辱的な結果となりましたが、ノリザム・トゥキマン オーナーは、来季昇格するスーパーリーグに向けて、新監督を起用することを既に明らかにしており、まだ2年契約が残るリザル・ザムベリ監督は来季もコーチとして残るのかは未定です。
 クランタンの原健太選手は後半から出場して、試合終了までプレーしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月12日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-2 スランゴール
⚽️ヌグリスンビラン:マテウス・アウヴェス(25分)、ザクアン・アドハ(45+1分)
⚽️スランゴール:カイオン(10分)、ヤザン・アル=アラブ(45分)
🟨ヌグリスンビラン(2):マテウス・アウヴェス、クザイミ・ピー、
🟨スランゴール(1):バハー・アブドッラフマーン
🟥ヌグリスンビラン(1):ズカイリ・ズルキプリ
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ4位のヌグリスンビランが、同5位のスランゴールをホームに迎えたセカンドレグは2-2の引き分けに終わったものの、ファーストレグで2-0と勝利していたスランゴールが通算スコアを4-2として、準決勝進出を決めています。
 試合はスランゴールがカイオンのゴールで先制するものの、ヌグリスンビランも相手ペナルティエリア内でザムリ・ラムリが倒されていたPKをマテウス・アウヴェスが決めて、すぐさま同点に追いつきます。その後、スランゴールも45分にゴール前の混戦から出たクリアボールをヤザン・アル=アラブが巧みなボレーシュートでゴールを決めて、再びリードを奪います。しかし、ヌグリスンビランも、サクアン・アドハが前半ロスタイムにゴールを決め、前半は2-2で終了します。
 その後は両チームともゴールがなく、試合は2-2で引き分けに終わり、ファーストレグのとの通算成績を4-2としたスランゴールが準決勝進出を決めています。
 ヌグリスンビランにとって痛かったのは、センターバックとしての守備だけでなく、コーナーキックやゴール付近でのセットプレーではその長身を生かした攻撃参加が脅威となるエロルド・グロンが、ファーストレグで出されたレッドカードによりこの試合は出場停止となっていたこと。ヌグリスンビランのK・デヴァン監督は、点を取らなければならなかったこともあり、ファーストレグの5-3-2から、この試合では3-4-3にシステム変更するなど、苦肉の策でこの試合に臨みました。また、試合終盤の81分にズカイリ・ズルキプリがダニアル・アスリを踏みつけて一発レッドで退場なったことも痛かった!10人になったヌグリスンビランにはスランゴール相手にゴールを挙げる力は残っておらず、ベスト8で敗退しています。またスランゴールはタン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を8に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月12日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 3-1 KLシティ(通算スコア:トレンガヌ 4-1 KLシティ)
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(22分)、チェチェ・キプレ(63分)、クパー・シャーマン(89分)
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム・ロスリ(45+1分)
🟨トレンガヌ(0)
🟨KLシティ(4):ジャンカルロ・ガリフオコ、アクラム・マヒナン、パウロ・ジョズエ
MOM:ファイサル・ハリム(トレンガヌ)
 ファーストレグを1-0で勝利していたスーパーリーグ2位のトレンガヌが、セカンドレグでも同5位で昨季のマレーシアカップ覇者、KLシティを破り、準決勝進出を決めています。
 マヌエル・オットのゴールで先制を許したKLシティは、前半終了間際に体調不良のロメル・モラレスに代わって先発したハキミ・アジム・ロスリのゴールで通算スコアを再び1点差とします。
 しかし、後半に入ると攻撃力の差が明らかになり、エース不在のKLシティに対して、63分にはtyチェ・キプレが、そして89分にはクパー・シャーマンがマレーシアカップ4試合で7ゴール目となるゴールを決めて、KLシティを突き放しています。がホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 準決勝進出を決めたトレンガヌですが、この試合後の記者会見では、今月末に契約が切れるナフジ・ザイン監督が契約延長のオファーレターをクラブの経営陣からではなく、練習の際にキットマン経由で受け取ったことを認めています。クラブが設定した今季のKPI(重要業績評価指標)を達成したにもかかわらず、来季の契約内容についての話し合いの席も持たれなかったことも明らかにし、クラブには契約延長の可否を決める権利も、その伝達方法の選択の権利もあるとしながらも、過去3年間の自身の貢献が評価されているとは感じられないと述べたナフジ監督は、契約延長を受けるかどうかの返答は、近々クラブに対して行うと述べています。なお、ナフジ監督には来季のクダ監督就任の噂も出ており、リーグ2位監督が移籍すれば、スーパーリーグの勢力図が大きく変わる可能性があります。

11月12日のニュース
PJシティがMリーグ撤退を正式に発表、来季の1部リーグは15チーム編成に

PJシティがMリーグ撤退を正式に発表、来季の1部リーグは15チーム編成に

Mリーグ1部スーパーリーグで今季9位のPJシティFCが、来季のスーパーリーグからの撤退を正式に発表しています。このブログでも、SNSだけでなく現地メディアまでもがその撤退の噂を報じていることについて取り上げましたが、いよいよ実現してしまったようです。

マレーシアの通信社ブルナマは、「Mリーグ撤退は、クラブの財政上の問題によるものではなく、来季から改編されるMリーグが目指す方向性が「PJシティが目指す方向性と合致しない」ことが理由である、というPJシティFCのスバハン・カマル会長の発言を伝えています。具体的には(リーグ撤退は)来季からスーパーリーグでは各チームの外国籍選手枠の上限が現在の5名から9名に増えること(ただしフィールド上はこれまで通り5名)が主な理由であると説明し、昨季から外国籍選手を起用せず、マレーシア人選手だけでチームを編成してリーグに参加してきたPJシティFCにとっては、来季のスーパーリーグでは他のチームとの競合が困難になると説明しています。

その一方でスバハン会長は、現在のオーナーであるQI(キューアイ)グループが、来季のスーパーリーグに参加する国内クラブライセンスが交付されているチームを売却する用意があると説明しています。「PJシティFCのリーグ撤退は財政上の問題によるものでなく、新たなオーナーは負債を負うこともなく、新たなチームを手に入れることができる。」と述べて、クラブの売却先候補企業にアピールしています。

さらにスバハン会長は、マレーシアでサッカークラブを運営することは収益性の高いビジネスではないと述べ、この国では州政府からの資金援助を得られるクラブが、サポーターだけでなく、(クラブに関わる州の)政治家の利益を満たすことによって生き残れるとも発言しています。

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最後は恨み節にも近い発言で、リーグ撤退発表の記者会見を締めくくったスバハン会長ですが、そこには真理も含まれています。かつてはインド系マレーシア人サッカー協会MIFAが運営し、2014年に当時の3部リーグにあたるFAMカップからスタートしたこのクラブは2017年に2部プレミアリーグに昇格、そして2019年にはスーパーリーグに昇格するとPJシティFCとクラブ名を変更して現在に至ります。伝統的に州政府傘下の州サッカー協会や警察、国軍、公立大学などがプロクラブを運営してきたマレーシアサッカー界で、PJシティは州政府や公的機関の後ろ盾を持たない現存する唯一のプロクラブチーム。言い換えればPJシティFCを「おらがチーム」と呼ぶサポーターが生まれにくいクラブでした。昨季からは”Yakin Lokal”「ローカル(=マレーシア人選手)を信じろ」というチームスローガンの元、マレーシア人選手100%のチーム編成でトップリーグを戦い、GKカラムラー・アル=ハフィズ、MFのV・ルヴェンティラン、FWダレン・ロック、コギレスワラン・ラジらを代表に送り込むなど、マレーシア人選手のみで構成されたチームとして、代表チーム強化に貢献してきましたが、その一方で、ホームの試合を観戦に行けば、いつもアウェイサポーターの方が多く、リーグ戦でも観客が1000名を切ることが珍しくないクラブがトップリーグで4シーズンも生き残ることができたことの方が奇跡なのかもしれません。クラブの愛称であるフェニックス「不死鳥」のように、新たなオーナーを得て復活するのか、それともこのまま消滅してしまうのか。年内にはクラブの運命が明らかになりそうです。

またリーグ撤退表明の記者会見でスバハン会長は、クラブ買収企業に対して、PJシティFCの名前を残すことを売却の条件としています。実はこれより前にいずれも今季1部スーパーリーグでプレーしたサラワク・ユナイテッドFCとマラッカ・ユナイテッドFCが選手へのキュ量未払いなどを理由に国内クラブライセンスが交付されず。来季のスーパーリーグ参加が不可能になっています。マラッカ・ユナイテッドはチームの名称をハリマウ・マラッカFCと変更し、来季はアマチュアリーグの3部でプレーする可能性が出ていますが、サラワク・ユナイテッドについては、来季の方針が発表されておらず、一部ではサラワク・ユナイテッドを運営に関わるサラワク州サッカー協会がPJシティを買収して、サラワク・ユナイテッドに代わるチームとしてスーパーリーグ参加を目論むのでは、という噂が広まっています。

実際、2019年には、サラワク州サッカー協会が運営していた2部プレミアリーグ所属のサラワクFAは、3部M3リーグ所属のクチンFA(現クチンシティFC)に入れ替え戦で敗れて3部降格となったものの、2部プレミアリーグで資金繰りに苦しんでいたスランゴール・ユナイテッドFCを買収し、本拠地をスランゴール州からサラワク週に移してサラワク・ユナイテッドFCと名称を変えて2部に残留するという「力技」を使った過去もあり、今回も1部スーパーリーグ残留のためにPJシティFCを買収するのではという話がまことしやかに流布しています。しかし、PJシティFCがクラブ名称の維持を条件とすれば、サラワク州サッカー協会が買収する利点がなくなってしまいます。

11月3日のニュース
MFLはマラッカとサラワクのクラブライセンス不交付への不服申し立てを却下-来季のスーパーリーグは16クラブでの開催が決定
今月末にジョホールがボルシア・ドルトムントと7年ぶりの親善試合開催
スーパーモクカップ閉幕-U13はブリーラム・ユナイテッドが3年越しの2連覇達成

MFLはマラッカとサラワクのクラブライセンス不交付への不服申し立てを却下-来季のスーパーリーグは16クラブでの開催が決定

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグは、今季1部スーパーリーグで8位のマラッカ・ユナイテッドと同11位のサラワク・ユナイテッドから出されていた国内クラブライセンス不交付に対する不服申し立てが却下されたことを、公式サイトで発表しています。これにより、来季から新たに再編成される1部スーパーリーグは16クラブで編成されることが確定しました。

国内クラブライセンス交付を請け負う第一審期間FIBは、マラッカ・ユナイテッドは未払い給料が完済されたことを証明する書類に不備があるとして、またサラワク・ユナイテッドはかつて在籍した外国籍選手が未払いとなっている給料についてFIFAの紛争解決室DRCの下した裁定が解決されていないとして、申請の出ていた18クラブ中、16クラブにクラブライセンスのは交付したものの、この2クラブについては交付を行いませんでした。

先月10月12日にクラブライセンス不交付となった両クラブに対し、MFLは1週間の不服申し立て期間を設けており、今回の発表はその期間終了後に開催されたMFLのクラブライセンス不服申し立て委員会が両クラブの不服申し立てを却下したと、スチュアート・ラマリンガムCEOは説明していますが、具体的には不交付の理由となった書類不備に対して、今回の不服申し立てでどのような書類が提出されたかどうかについては秘匿が条件であるため、公開はできないとも話しています。またMFLは今回の不服申し立て却下という決定を両クラブに通達したものの、現時点では公式の返事は受け取っていないということです。

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今季のMリーグ1部スーパーリーグ(12クラブ)」と2部プレミアリーグ6クラブを統合した「新スーパーリーグ」が来季から発足することが決まっており、これにより当面はプレミアリーグは開催されず、新スーパーリーグの下はアマチュアフットボールリーグAFLが運営するセミプロリーグのM3リーグとなります。来季の国内クラブライセンスが交付されなかったマラッカとサラワクは新スーパーリーグには参加できないものの、M3リーグへ参加の可能性が残されています。

今月末にジョホールがボルシア・ドルトムントと7年ぶりの親善試合開催

今季のスーパーリーグとFAカップに優勝し、既に二冠を獲得しているジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式Facebookでボルシア・ドルトムントとの国際親善試合を今月11月28日に本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムで開催することを発表しています。

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ボルシア・ドルトムントは、2015年7月9日にもJDTと国際親善試合を行なっています。この2日前の7月7日には等々力陸上競技場で川崎フロンターレを0-6で破っているドルトムントは、JDTがかつて本拠地として使用していたタン・スリ・ダト・ハジ・ハッサン・ユヌススタジアムで行われた試合でも、6-1とJDTに圧勝しています。この試合では、当時ドルトムントに所属していた香川真司選手がチーム4点目となるゴールを74分に挙げている他、当時セレッソ大阪から期限付き移籍していた丸岡満選手も途中出場し、香川選手のゴールをアシストしています。(以下は2015年のJDT対ドルトムントのハイライト映像。ブンデスリーガの公式YouTubeチャンネルより)

ボルシア・ドルトムントは、FIFAワールドカップ2022年大会によるリーグ中断期間を利用して「BVBアジアツアー2022」と銘打ったアジア遠征を開催し、JDT戦はこのツアーの一環です。ドルトムントのクラブ公式サイトによると、11月24日にシンガポールでライオンシティーセイラーズと対戦し、11月30日にはベトナムのハノイでベトナム代表と対戦します。またドルトムントは当初、インドネシアでの国際親善試合も予定していましたが、先月10月1日に125名以上の死者が出た東ジャワ州カンジュルハンスタジアムでの事故「カンジュルハンの悲劇」により、十分な安全対策が決まるまでサッカーの試合が開催できないため、その代わりとして組まれたのが、今回のJDT戦です。

スーパーモクカップ閉幕-U13はブリーラム・ユナイテッドが3年越しの2連覇達成

ユース国際招待大会のスーパーモクカップ2022年大会は10月30日にU12、U13、U14の各年代の決勝戦が行われ、優勝チームが決定しました。2019年以来3年ぶりの開催となった今大会は、前回に続きマレーシアのパハン州ガンバンにあるモクタル・ダハリアカデミーAMDのユースフットボールセンターを開場して開催されました。

U12は、マレーシアサッカー協会FAMと、マレーシア政府のスポーツ青年省傘下の国家スポーツ評議会が共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDP参加選手から選ばれたNFDPのBチームがNFDPのCチームを決勝で破り優勝、3位にはNFDPのAチームが入っています。また4位以下はて、キム・ヨンフンアカデミー(韓国)、ライオンシティーセイラーズ(シンガポール)と続きます。なおU12の各試合の詳細はこちらから。

U13は、前回2019年の第5回大会でもこのカテゴリーで優勝しているブリーラム・ユナイテッド(タイ)がAMDのチーム、AMDパンサーズU13を1-0で破って3年越しの大会2連覇を達成しています。また3位にはPVFフットボールアカデミー(ベトナム)、以下、アシアナサッカースクール(インドネシア)、NFDP、華城FC U13(韓国)、AMDクーガーズU13、イブラヒム・フィクリ校(マレーシア)と続いています。U13の各試合の詳細はこちらから。

またヨーロッパ勢同士による決勝となったU14は、NKオシエク(クロアチア)がパリ・サンジェルマン(フランス)を2-1で破って大会初優勝を遂げています。また3位にはAMDパンサーズU14を4-1で破ったセレッソ大阪が入り、敗れたAMDパンサーズU14が4位、以下、ファジアーノ岡山、AMDクーガーズU14、チョンブリーFC(タイ)。MFKルジョムベロク(スロバキア)、華城FC U14(韓国)、RFヤング・チャンプス(インド)となっています。U14の各試合の詳細はこちらから。


KLシティの冒険が終わる
AFCカップ決勝
KLシティ0-3アル・シーブ

AFCカップ2022年大会決勝が10月22日にマレーシアのクアラルンプールで開催され、オマーンのアル・シーブクラブがMリーグ1部スーパーリーグのKLシティFCを3-0で破り優勝しています。オマーンのクラブとしてはAFCカップ初優勝となりました。

FIFAランキングでは75位のオマーンで、2021/22シーズンには国内リーグ、国内カップ戦、そしてスーパーカップの三冠を獲得したアル・シーブと、同146位のマレーシアでリーグ戦ではなくマレーシアカップ優勝で出場権を獲得したKLシティの対戦となったこの試合は、主力に6名のオマーン代表選手を擁するアル・シーブに対し、KLシティの代表選手はデクラン・ランバートとザフリ・ヤハヤ(マレーシア)、ケヴィン・メンドーザ(フィリピン)の3名と、試合前の下馬評は、アル・シーブ有利でした。

また、2004年から開催されているAFCカップは、過去17回の大会の歴史を見ても中東のチームが15回優勝している大会です。中東のチーム以外では2011年のナサフ・カルシFC(ウズベキスタン)と2015年のMリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTの2チームしか優勝しておらず、KLシティは東南アジアのクラブとしてJDTに続く2チーム目の優勝を目指しました。

またこの試合で注目されたのは、KLシティの外国籍選手の顔ぶれでした。Mリーグの外国籍選手枠はいわゆる3+1+1(無条件の外国籍3名、アジア枠1名、東南アジア枠1名)となっていますが、AFCカップの外国籍枠は3+1(無条件の外国籍3名、アジア枠1名)で、KLシティのボヤン・ホダック監督は、グループステージから地区プレーオフ準決勝までは、FWロメル・モラレス(コロンビア)、FWジョーダン・ミンター(ガーナ)、MFパウロ・ジョズエ(ブラジル)、DFジャンカルロ・ガリフオコ(オーストラリア)の4名を起用しましたが、地区プレーオフ決勝のPFCソグディアナ(ウズベキスタン)との試合では、FWジョーダン・ミンターに代わってGKケヴィン・メンドーザ(フィリピン)を起用しました。準決勝では、このメンドーザ選手が試合中にスーパーセーブを連発、さらに延長戦を経てPK戦に持ち込まれたこの試合では、相手のPKを止めて、チームを勝利に導いています。このため、この決勝戦ではモラレス、ジョズエ、ガリフオコの3選手に加えて、攻撃を重視しジョーダン・ミンターを起用するのか、守備を重視しケヴィン・メンドーザを起用するのかが注目されましたが、ホダック監督は、ケヴィン・メンドーザを起用しています。

この試合はボラセパマレーシアJPも観戦に出かけました。クアラルンプールがあるマレーシア東海岸は雨季に入っており、この日の天気予報も夕方から雨となっていたにも関わらず、試合前にはピッチに水が撒かれるの見て「えっ!」と思いましたが、田んぼのようなピッチでもリーグ戦を行うMリーグのKLシティに有利に、早く短いパス回しを得意とする中東のチームには不利になるようにかと邪推しましたが、その辺りの真相は不明です。

そしていよいよキックオフ。案の定、キックオフ前から激しく雨が降り始めており、ボールが転がりにくいピッチで試合が始まります。慣れないピッチに戸惑うアル・シーブに対して、KLシティはキックオフから一気に相手陣内へ攻め込み、外れてしまったものの開始から1分で早くもパウロ・ジョズエがシュートを放つなど、2万7000人を超える観衆の大半となるKLシティサポーターの期待が高まります。

さらに18分には左サイドのJ・パルティバンからのクロスをパウロ・ジョズエがスルー、これをザフリ・ヤハヤがシュートしますが、アル・シーブのGKアフマド・アル=ラワヒがこのシュートを足で止め、KLシティは先制ゴールを挙げられません。

逆に徐々にピッチに慣れてきたアル・シーブは、22分にCKを得ます。ニアポストに選手が集まる中、右サイドからアリ・アル=ブサイディが蹴ったこのCKは、飛び出したケヴィン・メンドーザの指先を掠めて、誰もいないファーポスト側に直接ゴールインし、アル・シーブが先制します。

これに対しKLシティは34分、再びザフリ・ヤハヤがシュートを放つも、アル・シーブのGKアフマド・アル=ラワヒの正面となり、GKがこれをキャッチします。逆にその直後の37分には、左サイドからのクロスにアブドルアジズ・アル=ムクバリが頭で合わせてゴール!。アル・シーブはリードを2点に拡げます。

この辺りで既に「判断のスピード」、「パスを出すスピード」といった両チームの「スピード」の差が明らかになっていました。Mリーグでは一般的にDFが相手選手に速いプレスをかけることが少なく、攻撃側がパスを受けてから周りを見る時間が十分にありますが、この試合ではアル・シーブの選手の速い寄せに対してKLシティの選手が焦ってとりあえず蹴り出すという場面が何度も見られました。これはACLでJDTが浦和と対戦した時も顕著でしたが、この辺りはMリーグのクラブがアジアの舞台で戦う際の課題になりそうです。

試合に話を戻すと、このまま前半を2-0で折り返しましたが、試合開始直後を除くとKLシティは小劇の決め手を描き、FWジョーダン・ミンターではなくGKケヴィン・メンドーザを選んだことの影響が感じられる前半でした。

後半に入り、点差を詰めたいKLシティに対し。69分にアル・シーブはDFラインの裏へのパスに抜け出したオマーン代表FWムフセン・アリ=アルガッサニが、KLのDFをかわして3点目のゴール。KLシティは72分にペナルティエリアの外で得たFKにロメル・モラレスが頭で合わせるもアル・シーブのGKアフマド・アル=ラワが再び好セーブで防ぎ、KLシティはゴールを破れません。試合はこのまま進み、アル・シーブが3-0のスコア以上に完勝でオマーンのクラブとしてAFCカップ初優勝を飾っています。

試合後の記者会見でKLシティのボヤン・ホダック監督は、この試合のGKケヴィン・メンドーザが触れられずに直接ゴールとなった1点目のコーナーキックがこの試合の分岐点となったと述べています。「試合を通して、相手は決定機が2度しかなかったにもかかわらず、1点目となったGKのミスでこちらは3失点してしまった。アル・シーブのようなアジアのトップクラスのチームは、こう言ったミスを見逃してくれることは決してない。」と述べましています。また、外国籍選手枠でFWジョーダン・ミンターを起用し、GKにはケヴィン・メンドーザの代わりにマレーシア人のアズリ・アブドル・ガニを起用しなかったことを後悔していないかどうかを問われると、ホダック監督は準決勝でのPK戦セーブなどのおかげでチームは決勝に進出できたことから、MリーグのNo. 1GKであるケヴィン・メンドーザは決勝でプレーするのは至極当然なことであり、と答えています。

なお優勝したアル・シーブは優勝賞金として150万米ドル(およそ2億2300万’円)、準優勝のKLシティは75万米ドル(およそ1億1200万円)を獲得しています。またアル・シーブは、来季のACLグループステージの出場権も合わせて獲得しています。

AFCカップ2022決勝
2022年10月22日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
KLシティ(マレーシア) 0-3 アル・シーブ(オマーン
⚽️アル・シーブ:アリ・アル=ブサイディ(22分)、アブドルアジズ・アル=ムクバリ(37分)、ムフセン・アリ=アルガッサニ(69分)
🟨KLシティ(3):アクラム・マヒナン、ジャンカルロ・ガリフオコ、アンワル・イブラヒム
🟨アル・シーブ(3):モハメド・アル=ハブシ、アフメド・アル=シヤビ、モハメド・アル=ムサラミ

(以下はこの試合のスタッツ、先発XIとハイライト映像。スタッツと先発XIはAFCのTwitterから、またハイライト映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルから)


10月19日のニュース
AFCがFIFAと共同でマレーシアにスタジアムを建設
AFCカップ決勝-KLシティサポーターからはキックオフ時間変更を求める声が上がる

AFCがFIFAと共同でマレーシアにスタジアムを建設

アジアサッカー連盟AFCは、マレーシアのプトラジャヤにサッカー専用スタジアムとなるAFCスタジアムを建設すること公式サイト上で発表しています。

15.43エーカー(東京ドームおよそ1.3個分)の敷地に建てられるスタジアムは1万人収容の観客席や地下駐車場を持ち、また同じ敷地内にはAFCの事務局も入るということです。なお、このスタジアムの建設はFIFAがその資金を支援し、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府もこの建設を資金以外の面から支援するということです。

FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長も出席したAFCの執行委員会で発表されたこの計画について、AFCのシャイフ・サルマーン会長は、「これまで技術向上や審判育成のためのコースやワークショップ、セミナーはAFCハウスがその活動の中心だったが、この新たなAFCスタジアムが完成すれば、より多くの活動が行えると期待している」と述べ、今回のスタジアム建設を支援するFIFAとマレーシア政府に感謝の意を表しています。

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このスタジアムが建設されるマレーシアの連邦直轄地プトラジャヤは、各省庁やその関連政府機関が集まる行政の中心地です。現在、AFCの本部であるAFCハウスがあるクアラルンプールからは30kmほど離れており、そこに住んでいるのは政府関係機関の職員とその家族が大半となっている場所です。もともとは何もなかった土地を切り開いて作った人工都市なので、土地は余っているのでしょうし、国外から来る場合にはクアラルンプール国際空港も近く便利なのだと思います。ただこのスタジアムで、マレーシアの標準キックオフ時間の午後9時開始の試合があったら、よほどのことがない限り、見に行く気力はないなぁ。

AFCスタジアムの完成予想シミュレーションなども見られる元記事はこちらです。

AFCカップ決勝-KLシティサポーターからはキックオフ時間変更を求める声が上がる

今週土曜日の10月22日には、マレーシアのクアラ・ルンプールにあるブキ・ジャリル国立競技場で今季のAFCカップ決勝が開催され、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティがオマーンのアル・シーブクラブと対戦します。

2015年のジョホール・ダルル・タジムJDT以来、東南アジアのクラブとしては2チーム目の優勝を狙うKLシティですが、そのサポーターからキックオフ時間の変更を求める声が上がっていると、サッカー専門サイトの ヴォケットFCが伝えています。

10月22日の決勝は、午後7時期キックオフと発表されていますが、実はこの時間、マレーシアの国境でもあるイスラム教の日没後の礼拝時間に近く、国内サッカーファンの大半はイスラム教徒であることから、キックオフ時間の変更を求める声が上がっています。

イスラム教では1日5回の礼拝が義務付けられていますが、その中に日没後の礼拝Maghrib「マグリブ」があります。礼拝の時間は時期や地域によって微妙に変わりますが、ちなみにこの記事を書いている10月19日のクアラ・ルンプールのマグリブの時間は午後7時1分(1日の礼拝時間は、マレーシアで毎日、新聞に掲載されています)

礼拝の時間とあまりに近いキックオフ時間はムスリム(イスラム教徒の別称)の配慮が足りないとして、KLシティのサポーターは、クラブとマレーシアサッカー協会FAMに対し、AFCにキックオフ時間の再考を促すよう求めています。

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実際にSNS上でもこういった投稿は散見され、KLシティのクラブ公式Facebook上でも、8時、いや7時30分で良いのでキックオフ時間を変更して欲しい、といった投稿が複数見られます。

今回の決勝は、VARを導入することを決めたAFCが、VARを使用するには照明の明るさが足りないことを理由に、試合会場をKLシティのホームのKLフットボールスタジアムからブキ・ジャリル国立競技場へと変更しています。従来のホームで試合ができなくなったことで、KLシティサポーターからは不満が出ていたところに今回のキックオフ時間の件が重なり、不満がさらに増幅している印象です。決勝まで後3日ですが、AFCがこれを無視するのか、サポーターの声を聞くのか。なお、決勝のチケットは既に一昨日から販売が始まっています。


10月13日のニュース
来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず
国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も
AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季Mリーグ1部スーパーリーグ所属の10クラブと2部プレミアリーグ所属の6クラブに対して、来季2023年シーズンの国内クラブライセンスが交付されたことを発表しています。またスーパーリーグ所属のマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドの2クラブは、交付条件を満たしていないとして、今回の交付が見送られたことも併せて発表しています。

MFLは、国内リーグ戦の試合数が少ないというFIFAの指導を受け、現在のスーパーリーグとプレミアリーグを統合して、来季は新たにスーパーリーグを再編することを発表しています。今季はスーパーリーグが12チーム、プレミアリーグは10チーム(ただし、統合の対象となるのは6チーム)で編成されており、新スーパーリーグは18チーム編成となる予定でしたが、これでマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドを除いた16チーム編成となる可能性がでてきました。

MFLは、マレーシアフットボール協会FAMからマレーシアにおけるクラブライセンス制度の制定および運用の委任を受けており、マレーシアにおけるライセンス交付機関としてMリーグのクラブライセンス制度を運営し、Mリーグのクラブに対して国内クラブライセンスを交付します。なお、国内クラブライセンスの交付判定については、MFLから独立した第三者機関であるクラブライセンス交付第一審機関FIBが行っていますが、このFIBが今回、国内クラブライセンスが交付されなかった2クラブについて、その理由を説明しています。

マラッカ・ユナイテッドについては、選手や監督、コーチに対して未払いとなっている今年8月分の給料支払い証明が提出されておらず、さらにクラブの経営状況を示す複数の書類も未提出になっているということが、今回、FIBが国内クラブライセンスを交付しなかった理由としています。またサラワク・ユナイテッドについては、書類の不備に加え、FIFAの紛争解決室DRCが決定した、旧所属2選手の延滞債務も完済されていないことが理由としています。(なおこの「かつて所属した2選手」とは、このブログでも取り上げたサンドロ・ダ・シルヴァテイラー・リガンの両選手です。)

なお、今回の交付見送りに対して、マラッカ・ユナイテッド、サラワク・ユナイテッドとも、10月19日までに再度の国内クラブライセンス交付申請が可能となっていることも併せて発表されています。

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今回、国内クラブライセンス交付を見送られた2クラブについて、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、来季は2部プレミアリーグが開催されないことから、両クラブはアマチュアフットボールリーグAFLが統括する3部リーグのM3リーグでのプレーが可能と述べています。ただし、その場合にはM3リーグがMFLの管轄外であるため、最終決定はAFLが行うということです。

国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も

マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は10月10日付で下院解散を発表しました。これに伴う総選挙は、解散後60日以内に開催することが憲法で定められていますが、11月中旬になると各地で洪水を引き起こす北東モンスーンが到来することから、11月上旬の開催が有力視されています。 そしてこの総選挙日程が、10月25日開幕予定のマレーシアカップの開催日程にも影響を及ぼす可能性があると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

Mリーグを運営するMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、Mリーグでのグループステージでは各スタジアムで多くの観衆が足を運ぶと期待されているとして、そのスタジアム警備が総選挙の日程次第では手薄になってしまう懸念があると述べています。

「各スタジアムの警備や安全維持は警察が行っているが、総選挙の開催日程次第では、全国で行われる総選挙の投票会場に多くの警察官が配備されることはもちろん、その前の選挙運動期間中も様々な形で警察が動員される可能性がある。MFLとしては、10月20日に選挙委員会が日程を決定するために行う会議での発表を待ちたい。」と述べています。

AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

ACL決勝を新国立競技場開催の話となんだか似ているなぁ。

10月22日に行われるAFCカップ決勝は、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティとオマーンのアル・シーブクラブが対戦しますが、その試合会場が当初予定されていたKL指定の本拠地、KLフットボールスタジアムからブキ・ジャリル国立競技場へ変更されたと、マレーシア語紙のブリタ・ハリアンが報じています。

AFCカップを主催するアジアサッカー連盟からの公式発表は未だないものの、KLシティのボヤン・ホダック監督によると、「技術的な問題」により試合会場が変更されたと説明しています。

「AFCは、決勝戦ではVARを採用するとしており、そのためにはスタジアム内の照明が1800ルクス以上であることが条件となるが、KLフットボールスタジアムの照明はその条件を満たしていないことから、試合会場が変更となった。」と述べる一方で、「選手たちも自分も慣れ親しんだKLフットボールスタジアムでの試合を望んでいたが、技術的な問題ではどうしようもなく、我々はブキ・ジャリルで試合をせざるを得なくなった。」とも話しています。

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レバノンのアル・アヘドFCと北朝鮮の4.25体育団が対戦した2019年のAFCカップ決勝は、やはりこのKLフットボールスタジアムで開催され、アル・アヘドFCが1-0で勝利していますが、この時はまだ、VARはAFCカップには導入されていなかったのかな。

This is the second time KL City has played at Bukit Jalil National Stadium in the final after winning the Malaysia Cup last year.

Previously, the Cheras Football Stadium hosted the AFC Cup final when the Lebanese club, Al-Ahed defeated the North Korean club, April 25 1-0 in 2019.

10月12日のニュース
AFCカップ決勝進出のKLシティを支えるガリフオッコはMリーグでプレーした12番目のWC出場選手となるか
U17アジアカップ出場権獲得のU16代表監督は中東や日本への遠征を希望

AFCカップ決勝進出のKLシティを支えるガリフオッコはMリーグでプレーした12番目のWC出場選手となるか

10月22日にKLフットボールスタジアムで開催される今季AFCカップ決勝に出場するMリーグ1部スーパーリーグのKLシティは、2度のPK戦勝利を含む5試合に勝利して決勝に進出しています。ここまでの8試合で4失点(12得点)の強固な守備陣の中心となっているのがオーストラリア出身のセンターバック、ジャンカルロ・ガリフオッコです。28歳のガリフオッコ選手は187cmの長身センターバックで、今季はKLシティで2シーズン目となりますが、昨季のマレーシアカップ優勝などにも大きく貢献し、KLシティ守備陣のまさに大黒柱です。

そんなガリフオッコ選手については、サッカーファンのSNS上では、KLシティでの活躍によって、来月にカタールで開催されるFIFAワールドカップのオーストラリア代表にガリフオッコ選手が招集されるのでは、と言った話題が上がっています。ガリフオッコ選手はオーストラリアのU17、U20、U23など年代別代表でのプレー経験はあるものの、まだA代表に招集されたことはありません。

英字紙ニューストレイトタイムズは、このガリフオッコ選手のオーストラリア代表選出について、KLシティのボヤン・ホダック監督にインタビューしていますが、ホダック監督は、ガリフオッコ選手の招集は、かつてJリーグの広島でもプレーしたグラハム・アーノルド監督次第としながらも、オーストラリア代表のトップ選手は欧州など東南アジアより厳しい環境でプレーしており、またセンターバックには多くの有力選手がいることから、代表入りは容易ではないと話す一方で、代表でプレーするだけの技量は備え持っていると話し、可能性が全く無いとは言えないとも話しています。

また同じニューストレイトタイムズの記事では、Mリーグでプレーしたワールドカップ出場選手を紹介しています。これまでMリーグではワールドカップ出場経験のある11名の選手がプレーしているということです。

  1. カレル・ストロムシック(GK、チェコスロバキア)
    プレーしたのがチェコスロバキアという国名からして時代を感じますが、1982年のワールドカップスペイン大会ではイングランド戦とフランス戦に出場しています。Mリーグでは1989年から1991年までスランゴールFA(現スランゴールFC)でプレーしています。
    *ボラセパマレーシアJP:この選手はよく覚えています。外国籍選手のGKは当時は、珍しかったですが、当時のMリーグではダントツNo.1のGKでした。ストロムシック選手が在籍した3年間は、リーグ優勝2回、カップ戦優勝1回、準優勝2回と今は見る影もないスランゴールがとてつもなく強かった時の守護神でした。
  2. エミール・ムボウ(MF、カメルーン)
    ロジャー・ミラを筆頭にIndomitable Lions「不屈のライオン」として有名になったカメルーン代表で1990年イタリアと1994年アメリカと2大会で合計6試合に出場しているムボウ選手は、1996年にプルリスFA、1997年にはクアラルンプールFA(現KLシティ)、そして1999年から2001年まではサバFA(現サバFC)でプレーしています。
    *ボラセパマレーシアJP:Mリーグでプレーするニュースを聞いて、そんな輝かしい経歴の選手がマレーシアでプレーするんだ!と驚いた記憶があります。Mリーグでプレーした選手の中ではWC最多試合出場を誇るムボウ選手はサバでのプレーを終えて引退しています。
  3. ステファン・ケシ(DF、ナイジェリア)
    1994年のワールドカップアメリカ大会では1試合出場ながら、グループステージのギリシャ戦に先発フル出場しているケシ選手は、長身のセンターバックとして1998年にプルリスFAでプレーしましたが、シーズン終了とともに引退し、その後はトーゴ代表監督としてチームを2006年ドイツ大会でWC初出場に導いた後、ナイジェリア代表の監督として2014年ブラジル大会に出場しています。
  4. ペリツァ・オグニェノヴィッチ(FW、ユーゴスラビア)
    こちらも既に存在しないユーゴスラビアという国名も時代を感じさせますが、1998年のワールドカップフランス大会ではイラン、ドイツ、アメリカとのグループステージ3試合にいずれも途中出場しましたが、ノックアウトステージのオランダ戦ではベンチ入りしたものの、出場はありませんでした。このオグニェノヴィッチ選手は、現在は解散したMPPJ FCに2006年のシーズン途中に加入しています。豊富な資金力から当時は「マレーシアのチェルシー」と呼ばれたMPPJ FCは、レアル・マドリードやレッドスター・ベルグラードなどでもプレーしたこのオグニェノヴィッチ選手を獲得しましたが、チームは給料未払い問題などが明るみに出て、オグニェノヴィッチ選手も半年でチームを去っています。
  5. ジョエル・エパル(MF、カメルーン)
    2002年ワールドカップ日韓共催大会に出場したカメルーン代表入りしたエパル選手は、試合には出場する機会がありませんでした。MリーグではサラワクFA(現サラワクFC)に2012年に加入し、出場5試合で2ゴールという記録が残っています。
  6. エル=ハッジ・ディウフ(FW、セネガル)
    2001年と2002年の2年連続アフリカ年間最優秀選手を受賞したディウフ選手は、2002年の日韓共催大会でセネガルをベスト8に立役者。その後はリバプール、ボルトン、サンダーランドなどを経て、2015年にサバFAに加入しています。その実績から、早速キャプテンとなったディウフ選手でしたが、当時のMリーグで存在感を増していたJDTのアカデミーを母国セネガルに開設する希望や、無給でJDTでプレーしたいなど、「問題発言」を繰り返し、シーズン途中の7月にはキャプテンを解任されています。
  7. ボシュコ・バラバン(FW、クロアチア)
    2002年の日韓共催大会、そして2006年のドイツ大会の2大会でいずれもクロアチア代表チームのメンバーだったバラバン選手は、WC予選では13試合で7ゴールを挙げているものの、2大会とも本戦では全く出場がありませんでした。ディナモ・ザグレブ、アストン・ヴィラなどでプレーしたこのバラバン選手は2012年にスランゴールに加入するとデビュー戦でゴールを決め、シーズン通算でも20試合で12得点と活躍したものの、契約を延長せず1シーズンで退団しています。
  8. パブロ・アイマール(MF、アルゼンチン)
    2002年日韓共催大会、2006年ドイツ大会の2大会で合計6試合に出場したアイマール選手は、リバー・プレート(アルゼンチン)、バレンシア(スペイン)などでプレーした後、2014年にベンフィカからジョホール・ダルル・タジムJDTへ加入しています。公表はされなかったもののMリーグ史上最高額と言われた給料で2年契約を結んだアイマール選手でしたが、リーグ開幕から3ヶ月で度重なるケガのため、退団しています。出場8試合で2ゴールという成績でしたが、2022年まで続く9連覇の1年目の優勝メンバーとして、優勝メダルを受け取っています。なお、アイマール氏は現在はアルゼンチンU17代表の監督を務めています。
  9. キム・ドゥヒュン(MF、韓国)
    2006年ドイツ大会でメンバーに選ばれたものの、試合出場がなかったキム選手は、35歳となった2018年にヌグリスンビランFA(現ヌグリスンビランFC)に加入し、キャプテンを勤めるなどして、1シーズンプレーしています。
  10. ジェリー・パラシオス(FW、ホンジュラス)
    2010年南アフリカ大会では、スペイン戦とスイス戦の2試合に出場したパラシオス選手は、2014年ブラジル大会でもメンバー入りしたものの、出場はありませんでした。アジアでは中国や香港のリーグなどでプレーした後、2016年に当時Mリーグ1部にいた国軍FC(ATM)に加入したものの、WC出場選手という期待に応えられず、出場2試合のみにとどまり、ATMはこのシーズンで1部から降格しています。
  11. アンドリュー・ナバウト(FW、オーストラリア)
    2018年ロシア大会でフランス戦とデンマーク戦の2試合に出場したナバウト選手は、ここまでの10名の選手とは異なり、Mリーグでプレーした後にWCに出場した選手です。2016年にヌグリスンビランFAに加入すると、リーグ前半戦の12試合でチーム最多の8ゴールを量産しました。しかし前半戦終了後にシーズン2度目のトランスファーウィンドウが開くと、何を思ったかヌグリスンビランはナバウト選手との契約を解除してしまいます。その後、母国のニューカッスル・ジェッツに加入し、再びチームトップの得点を挙げると、2018年にはJリーグ浦和へ移籍し、またオーストラリア代表としてW杯出場を果たしています。
U17アジアカップ出場権獲得のU16代表監督は中東や日本への遠征を希望

AFC U17アジアカップ2023年大会予選を突破したマレーシアU16代表の監督は、大会前により強い相手との対戦経験を積むために中東あるいは日本への遠征を希望していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

予選が行われたインドネシアから帰国した直後の空港で行われた記者会見の席上、U16代表のオスメラ・オマロ監督は、予選突破は果たしたものの、チームはまだ多くの点で改善の余地があるとして、大会前に中東の国々や日本といった強豪と対戦して、さらに経験を積む必要があると話しています。

オスメラ監督は、来年開催される本戦ではベスト4進出を目指したいと話す一方で、チームマネージャーのクリストファー・ラジ氏は、予大会前にはイラン、日本、韓国などへ遠征して試合を行いたいと述べています。

開催地枠での出場も含め、マレーシアはAFC U17アジアカップ(旧AFC U16選手権)にはこれまで6度出場しており、2014年にコギレスラワン・ラジ(PJシティ)、ハジック・ナズリ(JDT)らを擁してベスト8に進出したのが、マレーシアの最高成績です。