マレーシアカップ2019決勝の結果まとめ

今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFL1部で優勝し、リーグ6連覇を果たしたジョホール・ダルル・タクジムJDTと今季のマレーシアFAカップ優勝のクダFAが激突したマレーシアカップ決勝戦が11月2日にブキ・ジャリル国立競技場で82,420名の観衆を集めて行われました。

JDT3−0クダFA
得点者:JDT-レアンドロ・ヴァレスケス(27分)、サファウィ・ラシド(35分)、シャフィク・アーマド(58分)
 試合は開始から3分過ぎにサファウィ・ラシドのFKにアイディル・ザフアンが頭で合わせるも、ゴールポーストを叩き、その直後にはゴンザロ・カブレラがゴールエリアまでドリブルで持ち込むもクダDFがクリアして難を逃れるなど、JDTが積極的に攻める展開となりました。
 そして試合が動いたのは27分、途中退場のエース、ジオゴと交代で入ったシャフィク・アーマドからペナルティエリア内のゴンザロ・カブレラへパス、そしてカブレラ選手にクダDF陣が詰めたところで出したマイナスのパスへ走り込んできたレアンドロ・ヴェラスケスがこれを決めてJDTが先制します。
 さらに35分には左サイドで得たFKを左利きのサファウィ・ラシドが難しい角度ながらニアポストのコーナーへ決める絶妙のゴールでJDTがリードを2点に広げました。
 そして58分には先日の発表で代表初招集となったアフィク・ファザイルが左サイドからからのクロスをシャフィク・アーマドがヘディングで叩き込み3点目のゴール。クダFAのDF陣はクロスボールにも、シャフィク選手に詰めず、まさにフリーヘッダーのゴールでした。
 試合はクダFAに反撃に機会がないまま終了し、今季のマレーシア国内サッカー最後のイベントは、JDTが3-0でクダFAに点差以上に圧勝し、2017年以来2度目の優勝を遂げると同時に、今季国内二冠を達成しています。また前回2017年は決勝ではベンチ入りできなかったサファウィ・ラシドがこの試合のマンオブザマッチMOMに選ばれています。
 クダFAは準決勝をアウェイゴールルールで勝ち上がったものの、その準決勝では第2戦の延長も含めて8失点を喫していた上、守備の要となるレノン・アルヴェスとリザル・ガザリの両DFを累積警告による出場停止で欠いていたため、苦戦が予想されていました、また試合前には今季チーム最多得点のFWフェルナンド・ロドリゲズのケガが明らかになり、ベンチ入りしたものの出場できないなど、飛車角落ちでは国内最強クラブにはなす術がありませんでした。
(写真はJDTのFacebookより)

10月31日のニュース:双子のラザク兄弟がマレーシアカップ決勝で対決、マレーシアカップには1500名超の警察官を動員、マレーシアカップ決勝の主審候補者は8名

双子のラザク兄弟がマレーシアカップ決勝で対決
 11月2日に開催される今季2019年のマレーシアサッカー界のフィナーレ、マレーシアカップ決勝では、双子のラザク兄弟が両チームに分かれて対戦します。ジョホール・ダルル・タクジムJDTのDFで兄のアイディル・ザフアン・ラザクと、クダFAのFWで弟のザクアン・アドハ・ラザクはヌグリ・スンビラン州セレンバンの出身で、二人が一緒にプレーしていたヌグリ・スンビランFAでは2006年にはMFL1部スーパーリーグの優勝を、2009年と2011年にはマレーシアカップ 優勝を経験しています。二人は2012年にマレーシア国軍ATM FCで、2013年にはJDTで一緒にプレーした後、アイディル選手はそのままJDTに残りましたが、ザクアン選手はその後、ペラTBG、クアラルンプールFAでプレーし、今季からクダFAの選手となっています。
 英字紙スター電子版でアイディル選手は、通常であれば二人ともに試合前に母親に電話を入れてモチベーションをもらうが、二人が対決する今回に関しては、母親も困っていると話しています。

マレーシアカップには1500名超の警察官を動員
 マレーシアカップ決勝当日は不測の事態に備えて、1500名超の警察官が動員されることが、試合会場となるブキ・ジャリル競技場があるクアラルンプールの警察長官から発表されています。
 クアラルンプール警察のダト・スリ・マズラン・ラジム長官によると、マレーシアカップ当日は午前8時よりスタジアム周辺で交通規制が行われ、暴動鎮圧部隊を含む1,560名の警察官が動員されるということです。決勝で対戦するJDTとクダFAのサポーターはそれぞれ別の入場口へ誘導され、入場口では厳しいセキュリティーチェックが行われるようです。
 スター電子版によれば、マズラン長官は当日は隣接する屋内競技場でもイベントがあることから渋滞が予想されるだけでなく、駐車スペースに限りもあることから、サポーターには早めの来場と、公共交通機関を使っての来場を提言しています。

マレーシアカップ決勝の主審候補者は8名
 マレー語紙ブリタハリアンによると、マレーシアカップ決勝を担当する審判の最終候補が8名に絞られたようです。
 マレーシアサッカー協会審判委員会のモハマド・ダリ・ワヒド委員長は、この中の6名が決勝戦を担当すると述べています。モハマド・ダリ委員長は、最終決定の要件としては今季のMFLやマレーシアカップでの審判状況をもとにする一方で、これまで議論が起こるような判定をしてこなかったか、そして出身地や居住地、審判としての登録地がJDTの本拠があるジョホール州やクダFAの本拠があるクダ州ではないことなどを挙げています。
 マレーシアのもう一つのカップ戦、マレーシアFAカップの今季の決勝では、日本人の岡部拓人主審、八木あかね、野村修両副審で行われ、クダFAのアイディル・シャリン監督らの反応は良く、マレーシア人審判の質を疑問視する一部ファンからは、マレーシアカップ決勝でも外国人審判を、という声は上がっていましたが、はマレーシアカップ決勝はマレーシア人審判が笛を吹くことを、モハマド・ダリ委員長は明言していました。
 今回の記事の中でも、マレーシア人審判の育成は急務であり、AFC新パインの資格を持っているようなマレーシア人審判に(マレーシアカップ決勝のような)重要な試合で笛を吹かせない理由はないとしています。

10月30日のニュース:クダFAは守備の要がマレーシアカップ決勝出場停止、JDTとスランゴールFAがAMDから選手獲得、イルファン監督はMFLに復帰か

クダFAは守備の要がマレーシアカップ決勝出場停止
 両チーム合わせて計16ゴールと壮絶な準決勝でパハンFAを破りマレーシアカップ決勝へ進出したクダFAですが、守備の要2人が決勝に出場できない状況になっています。
 今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFLでは、チーム最多出場のブラジル出身DFラノン・アルヴェスと、アルヴェス選手に次ぐ出場数のDFリザル・ガザリが、先日行われたパハンFAとのマレーシアカップ準決勝第2戦でいずれもイエローカードをもらい、累積警告で次戦となるマレーシアカップ決勝は出場停止処分を受けることになりました。
 しかしこの状況でも、かつてGoal. comによってシンガポールのグラディオラと評されたクダFAのアイディル・シャリンク監督が、強豪ジョホール・ダルル・タクジム相手に効果的な策略を立ててくれことをクダFAのサポーターは期待していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 あるサポーターは、アイディル監督はこの状況で最も効果的な戦略を立ててJDT戦に臨んでくれると期待し、別のサポーターは今季のクダFAの実績から、アイディル監督がどんな戦術を取ってもそれを支持すると述べています。
 なお今季から就任したアイディル監督の下、クダFAは今季のMFLで4位(昨季は6位)、FAカップは優勝と好成績を上げ、マレーシアカップ でも2017年以来2年ぶりの決勝進出を果たしています。

JDTとスランゴールFAがAMDから選手獲得
 マレーシア政府肝煎の国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中の「エリート」、モクタル・ダハリアカデミーAMDの1期生となる34名が間も無くこのプログラムを卒業します。2002年生まれのこの世代の出世頭はベルギー1部リーグのクラブと契約したルクマン・ハキム・シャムスディンですが、彼だけでなくこの世代は東南アジアサッカー連盟AFF U18選手権で昨年2018は優勝、今年2019年は準優勝とアセアンでは周りの国に負けないタレント揃いです。
 ただし、この1期生たちはどのクラブにも所属しておらず、プログラム終了後の所属先がどうなるかに関心が集まっていますが、マレーシアフットボールリーグMFL1部のジョホール・ダルル・タクジムJDTと、スランゴールFAを統括するスランゴール州サッカー協会FASが早速、選手獲得に動いたことをマレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 U19代表でもプレーする左ウィングのウマル・ハキーム・スハル・レズアンはJDTとの契約の可能性が高まっています。FASも彼に興味を示していたということですが、JDTを選んだ理由としてウマル選手はチーム力に加えて設備や練習環境、そしてサッカーに情熱を持つオーナーのTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下を挙げています。
 また左サイドバックのアーマド・ジクリ・モハマド・カリリはJDTとパハンFAも関心を示したようですが、FASを選んだようで、その理由としてFASが最も熱心にアプローチされたと明かしています。

イルファン監督はMFLに復帰か
 今年2019年5月にチームの成績不振の責任を取りMFL1部トレンガヌFCの監督を辞任したイルファン・バクティ氏は来年2020年にMFLで指揮を取る可能性がありそうだとマレー語紙ハリアンメトロ電子版が伝えています。
 既に複数のクラブから監督のオファーを受けているものの、まだ現時点では何も決めていないというイルファン氏ですが、届いているオファーがクアラルンプールやスランゴールといった首都圏以外のクラブからということで、首都圏のクラブでの指導を望んでいるイルファン氏の希望に沿うクラブからのオファーははまだないようです。
 首都圏のクラブには、MFL1部スーパーリーグではスランゴールFA、プタリンジャヤシティFC、PKNS FC、PDRM FC、MFL2部プレミアリーグではクアラルンプールFA、UITM FC、UKM FC、スランゴール・ユナイテッドがありますが、1部スーパーリーグのクラブはどこもおそらく監督の更迭はなさそうなので、イルファン氏がMFLに復帰するとすれば2部プレミアリーグの監督としての可能性が高そうです。

10月29日のニュース:マレーシアカップ準決勝の勝敗決定方法についてMFLが説明、マレーシアカップ決勝は両チームにおよそ3万枚のチケットが割り当てられる、マレーシアカップ決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催

マレーシアカップ準決勝の勝敗決定方法についてMFLが説明
 第1戦3-3、第2戦は延長も含めて5-5と2試合で16ゴールと壮絶な試合となったマレーシアカップ準決勝のクダFA対パハンFAの試合。この試合はアウェイゴールルールによってクダFAが決勝進出を決めましたが、延長の120分に同点ゴールを決めたパハンFAのディクソン・ヌワカエメがPK戦に持ち込んだと思いガッツポーズを取るなど選手はもちろん、パハンFAのホーム、ダルル・マクムール・スタジアムに詰めかけた29,275名の観衆の多くも、ぜクダFAが決勝進出が理解できなかったようです。
 これを受けて、マレーシアカップ を主催するマレーシアフットボールリーグMFLが公式ホームページで声明を発表し、今回適用されたアウェイゴールルールは新たに設けられたものではなく、2010年からマレーシアカップ 、マレーシアFAカップ、チャレンジカップなど国内のカップ戦で既に採用されていることを説明する事態になっています。
 欧州サッカー連盟UEFA主催のチャンピオンズリーグなどでは、延長戦でのゴールも含めてアウェイゴールが適用されますが、アジアサッカー連盟AFC主催の試合では、延長戦でのゴールはアウェイゴールルールの適用外となっています。第1戦は3-3、そして第2戦は90分の試合時間内ではやはり3-3でしたので、AFCの規則に照らせば、両チームともそれぞれアウェイゴールは3となり、試合の決着はPK戦により決定となります。しかし国際サッカー連盟FIFAは、加盟国の国内試合に関しては所轄の連盟にアウェイゴールールの詳細決定を委ねています。マレーシアの場合は延長も含めてのアウェイゴールルール採用となっていることから、延長での2-2も加えるとパハンFAのアウェイゴールは3、クダFAのアウェイゴールは5となり、クダFAが勝利チームになったわけです。

マレーシアカップ決勝は両チームにおよそ3万枚のチケットが割り当てられる
 クダFA対JDTの対戦が決まったマレーシアカップの決勝戦ですが、クダFAを倒閣するクダ州サッカー協会KFAとジョホール州サッカー協会PBNJには、それぞれ31,610枚のチケットが割り当てられると、マレーシアの通信社ベルナマ が報じています。
 KFAによると、チケットは10月31日よりクダFAの本拠地であるダルル・アマンスタジアムで26,610枚が売り出され、残る5,000枚はクダFAのサポーターを対象にネット販売されるということです。
 一方PBNJは、ジョホール州内全10地区で26,610枚のチケットが販売され、残りはJDTのホームであるタン・スリ・ハサン・ユノススタジアム(通称ラーキンスタジアム)とオンラインでやはり10月31日から販売されるということです。

マレーシアカップ決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催
 過去4年間のマレーシアカップ決勝は、スランゴールFAのホームでもあるシャーアラムスタジアムで開催されてきましたが、今季2019年決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催されることになりました。
 このブログでも何度か取り上げてきましたが、ブキ・ジャリル国立競技場は、そのピッチの状況の悪さから、マレーシア国内はもとより海外のチームからも評判が悪く、バルセロナが直前になって試合の会場変更を求めたり、先日のFIFAワールドカップ予選ではUAEのベルト・ファン・マルワイク監督が不満を述べるなど、酷評されています。
 しかし今年8月にブキ・ジャリル国立競技場はマレーシア代表の公式戦全ての開催会場、つまりマレーシア代表のホームとなったことで、コンサートなどの他の用途での使用が限られるようになり、ピッチ管理などにより多くの費用が注ぎ込まれるようにもなっています。
 また今回の決勝では、マレーシア史上初となるスタンドの座席番号の導入も行われるようです。マレーシアのスタジアムは一般的に座席の範囲は決まっているものの、座席そのものの指定はなく、皆が好きなところに早い者勝ちで座るようになっています。今回は試験的な導入となるようですが、この結果で完全な指定席制度が普及していくかもしれません。


 

マレーシアカップ準決勝第2戦の結果まとめ

10月26日(土)にマレーシアカップ準決勝第2戦の2試合が行われました。カードはスランゴールFA(マレーシアフットボールリーグMFL今季3位)対ジョホール・ダルル・タクジムJDT(同1位)、パハンFA(同2位)対クダFA(同4位)でしたが、それぞれJDTとクダFAが勝ち抜け、11月2日の決勝に駒を進めています。

スランゴールFA3-0JDT(第1戦と第2戦の合計はスランゴールFA1-5JDT)
得点者:JDT-サファウィ・ラシド3(25分、46分、51分)
 準決勝第1戦に2ー1と勝利したものの、エースのジオゴを欠き、第2戦に不安を残したJDTでしたが、そんな不安を払拭したのは復帰したジオゴではなく、時世代のエースとされながら代表では結果が出ず苦しむ、サファウィ・ラシドでした。
 スランゴールのDFをかわして先制ゴールを決めると、2点目は前に出ていたGKの頭の上を越える左足からの美しいループシュート、そしてGKの足の間を抜いて決めた3点目でスランゴールFAを粉砕し、2014年(準優勝)、2017 年(優勝)に続く3度目のマレーシアカップ 決勝進出を果たしています。

パハンFA5-5クダFA(第1戦と第2戦の合計はパハンFA8-8クダFA)
得点者:パハンFA-ディクソン・ヌワカエメ2(33分、120分)、ラザラス・カイムビ2(71分、76分)、エラルド・グロン(114分)、クダFA-フェルナンド・ロドリゲス2(9分、118分)、ジョナサン・ボウマン(56分)、バドロル・バクティアル(86分)、レノン・アルヴェス(93分)
 第1戦と第2戦の合計が8-8という壮絶な試合は、アウェイゴールルールにより、クダFAがパハンFAを振り切って、決勝進出を決めています。
 両チームとも積極的にゴールを狙って始まった試合でしたが、第1戦ではクダFA相手に3点のアウェイゴールを挙げていたパハンFAは、試合前の段階ではクダFAに対して心理的に優位に立っていたはずでした。試合はスペイン出身FWフェルナンド・ロドリゲスのゴールでクダFAが先制しましたが、パハンFAはすかさずエースのFWディクソン・ヌワカエメのゴールで追いつきます。
 後半に入ると、ジョナサン・ボウマンのゴールで再びクダFAがリードを奪いましたが、ラザラス・カイムビが71分に同点の、そして76分に逆転のゴールを決めて3-2とリードした時点で、勝負あったかに思えた試合は、85分にクダFAのキャプテンバドロル・バクティアルが同点ゴールを決め、この時点で両チームにアウェイゴールのアドバンテージがなくなりました。
 3-3のまま試合は延長戦に入ります。延長前半にはレノン・アルヴェスのゴールで再びクダFAがリードし、今度はクダFAにアウェイゴールのアドバンテージとなりました。すかさずパハンFAもヌワカエメ選手が得たPKをエラルド・グロンが決めて同点としますが、クダFAのロドリゲス選手がこの日2点目となるゴールを118分に決めて再度リードを奪いました。その後120分には、ヌワカエメ選手が同点ゴールを決めるも、試合はそこで終了しクダFAが決勝へ進出しました。
******
 JDTとクダFAの対戦は2017年のマレーシアカップ決勝と同じ顔合わせとなりました。シャーアラムスタジアムで行われた決勝は、アイディル・ザフアンとゴンザロ・カブレラのゴールでJDTがクダFAを2-0で下し、初タイトルを獲得しています。

10月20日のニュース:マレーシアカップ準決勝で偽造チケットが見つかる、ケランタン州サッカー協会のアドバイザーに現職国防大臣が就任

マレーシアカップ準決勝で偽造チケットが見つかる
 10月19日にクダ州アロースターで行われたマレーシアカップ 準決勝のクダFA対パハンFAの試合前に偽造チケットが見つかったこと英字ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 偽造チケットは、本物のチケットと比べると紙質が違っているものの、セキュリティー用のホログラムやチケット裏側にマレーシアフットボールリーグMFLのロゴが印刷されている一方で、ロゴ自体はMFLの古いロゴが使われていたようです。
 試合前日にファンによってクダ州サッカー協会に持ち込まれた偽造チケットは、オープンスタンドへの入場が可能なチケットで15リンギ(およそ390円)で売られていたということですが、準決勝のオープンスタンチケットは売り出しから数時間で売り切れとなっていたということで、準決勝当日には入場口で厳格なチケットのチェックが行われ、またクダFAは警察に被害届を出したことなどが記事では述べられています。

ケランタン州サッカー協会のアドバイザーに現職国防大臣が就任
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、現職のモハマド・サブ国防大臣がクランタン州サッカー協会KAFAのアドバイザーに就任したことが報道されています。
 現在は与党連合の希望同盟所属構成党の国民信任党党首を務めているサブ氏ですが、1990年代にはケランタン州選出の全マレーシア・イスラム党PAS所属の国会議員として2期務めた経験を持っており、クランタン州では知名度もある人物です。
 外国籍選手のシーズン途中での全員解雇や給料未払い問題など、このブログでも何度か取り上げてきたKAFAの厳しい財政状況は、その運営資金を州政府頼りとすることが限界に来ていることによります。現政権の閣僚がアドバイザーになることで、KAFAへの信用が増し、スポンサーが獲得へ繋がる可能性が高くなるだろうとこの記事はまとめています。
****** 
 全マレーシア・イスラム党PASは、クルアーンやスンナといったイスラム法源に基づく「マレーシア・イスラム国家」を設立を党是とし、クランタン州やトレンガヌ州といったマレー半島東海岸の保守的な地域から大きな支持を得ている超イスラム政党です。このPASが州政府与党のクランタン州では、イスラム教に基づき金曜日が公休日であり、その前日の木曜日も多くの学校、企業が全休となっているなど、マレーシアの他の地域と一線を画している地域でもあります。

マレーシアカップ準決勝第1戦の結果まとめ

今季2019年最後のカップ戦マレーシアカップはいよいよ準決勝。その第1戦が、10月19日にジョホール・ダルル・タクジムJDTとクダFAのホームで行われました。なお、準決勝第2戦は、10月26日にスランゴールFAとパハンFAのホームで開催されます。

JDT2-1スランゴールFA
得点者:JDT-シャフィク・アーマド(15分)、レアンドロ・ヴァレスケス(49分)、スランゴールFA-イフェダヨ・オルセグン(17分)
 代表でも絶好調のシャフィク・アーマドがこの試合でもゴールを決めてJDTが先制しましたが、スランゴールもイフェダヨ・オルセグンがゴール前でDFをかわして巧みなシュートで同点ゴールを決め、前半を終了した試合はレアンドロが決勝ゴールを決めています。
 この試合はJDTのエース、ジオゴが負傷のため先発どころかベンチ入りもできない状況でしたが、FWの位置に入ったシャフィック選手がジオゴ不在を感じさせない活躍でチームを引っ張りました。個人的には、代表でもこのポジションを試してもらいたいのですが、代表のタン・チェンホー監督はこの試合をどう見たでしょうか。
 またスランゴールFAもエンドリックを欠くなど、ベストの布陣ではありませんでしたが、鼠蹊部(そけいぶ)負傷で出場のなかったサンドロ・ダ・シルバが2ヶ月半ぶりの復帰して75分プレーするなど朗報もありました。スランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督も1点を取れたことで第2戦に希望がつながったと述べるなど、悲壮感というよりもむしろ余裕が感じられるコメントがメディア上で見られました。
 ちなみに今季までMFL6連覇中のJDTですが、カップ戦に関してはこの6年間で2016年のFAカップ、2017年のマレーシアカップと2度の優勝にとどまっています。
******
 ちなみに来季2020年から新たに建設されたスルタン・イブラヒムスタジアムがホームとなるJDTにとって、この日の試合がタン・スリ・ハサン・ユノススタジアムでの最後の試合となりました。マレーシアフットボールMFL6連覇が始まる前年の2013年からホームとして使われているこのスタジアムは、日本人にとっては、1997年11月16日に日本代表がイラン代表を破ってFIFAワールドカップ初出場を決めたラーキンスタジアムと言えばピンと来る方もいるかもしれませんね。

クダFA3−3パハンFA
得点者:クダFA-フェルナンド・ロドリゲス2(33分、40分PK)、ザクアン・アドハ(90分)パハンFA-ワン・ザハルニザム(14分)、ディクソン・ヌワカエメ(26分)、ノー・アザム・アジー(73分)
 前半で2-0とパハンFAがリードする展開となった試合は、クダFAが2-2と追いつきましたが、ケガのためFIFAワールドカップアジア予選のベトナム戦を欠場した代表MFのノー・アザム・アジーがゴールを決めパハンFAが3-2としました。このままパハンFAが逃げ切るかと思われましたが、途中出場のザクアン・アドハが試合終了直前にゴールを決め、クダFAが辛くも追いついて引き分けとなりました。

10月9日のニュース:リーガン「MFLはAリーグよりやりがいがある」、ローリー「ブレンダン・ガンのようになりたい」、キプレ「来季の話は聞いていない」

今回は外国籍選手関連の話題です。

リーガン「MFLはAリーグよりやりがいがある」
 マレーシアフットボールリーグMFL1部のスランゴールFAでプレーするオーストラリア出身のDFテイラー・リーガンが母国のサッカー専門ラジオ「フットボールネイションラジオFNR」のホームページで、マレーシアサッカーとMFLについて語っています。
 「多くのオーストラリア人はMFLは(オーストラリアのプロサッカーリーグ)のAリーグより劣ると考えているが、それは選手のレベルが理由ではなく、天候や環境が原因だろう。マレーシアでは試合開始前に4時間連続して雨が降ることがあり、その結果としてピッチの状態は悪くなり、サッカーの試合というよりはただの蹴り合いになってしまうことがある。マレーシア人選手の能力は決して低くない。」
 2016年シーズンにAリーグのニューカッスルからMFLのヌグリ・スンビランFAに移籍し、1シーズンでまたAリーグのアデレード・ユナイテッドに復帰した際にはサッカー選手としてレベルアップをしている驚かれたと話すリーガン選手は、その理由として、MFLではAリーグの選手以上の年棒を稼いでいる各チームの外国籍FWを相手に続けたことを挙げています。
 「今季のマレーシアカップ準決勝で対戦するJDTのFWはヨーロッパやブラジルのトップクラブでプレーした経験があり、Aリーグの大半のFWよりも対戦しがいがある。」と語るリーガン選手が話題にしているのは、ギリシャのオリンピアコスFC時代にはチェルシー、リバプールと言ったチームからも注目され、その後移籍したタイリーグでは105試合出場で101ゴールを挙げ、今季2019年にJDTへ移籍したジオゴ選手です。
 その後、リーガン選手はアデレード・ユナイテッドに2年契約を提示されますが、「自分が求められるのは(高額の移籍金を払える)中東や日本、中国のリーグではなく、東南アジアのリーグであり、東南アジアのクラブは高額の移籍金は払えない」と考え、30万オーストラリアドル(およそ2170万円)に設定された移籍金を、給料を下げることを条件に、5万オーストラリアドル(およそ360万円)に下げてもらうことを申し出たそうです。
 しかし契約満了前にスランゴールFAから獲得オファーを受けたリーガン選手は、なんとこの5万オーストラリアドルの移籍金を自ら支払った上で移籍したそうです。
 スランゴールFAとの1年契約は11月末に切れるとのことですが、リーガン選手はおそらく来季2020年もMFLでプレーするだろうとFNRに語っています。

ローリー「ブレンダン・ガンのようになりたい」
 マレーシアカップ準決勝に進出したクダFAのMFデイヴィッド・ローリーは、マレーシアフットボールMFLのインタビューの中で、同じオーストラリア出身のマレーシア代表MFブレンダン・ガン(ペラTBG)は自分のアイドルであり、彼のような選手になりたいと述べています。
 マレーシア人の父親を持つガン選手は、帰化選手としてサバFAやケランタンFAでプレーした後、昨季2018年にペラTBGへ移籍、そして現在は代表チームの主力として活躍していますが、2015年には右足の、2016年には左足の膝前十字靱帯(ひざぜんじゅうじじんたい:ACL)の重傷を負いながら復活した選手です。
 ガン選手同様、オーストラリア生まれのローリー選手は、母親がマレーシア人であることから外国籍選手としてではなく、マレーシア人選手として昨季2018年にはPDRM FCとヌグリ・スンビランFAでプレーし、今季2019年はMFL2部のケランタンFAと契約しましたが、トランスファーウインドウ期間にクダFAへ移籍しています。
 29歳のローリー選手は、いつかガン選手と代表で一緒にプレーすることが夢だと語り、同じ帰化選手のDFマシュー・デイヴィーズ(パハンFA、オーストラリア出身で母親がマレーシア人)、DFラヴェル・コービン=オング(JDT、ロンドン生まれカナダ育ち、母親がマレーシア人)といった代表選手も尊敬していると話しています。
 ドイツやルクセンブルグ、タイなどでもプレー経験のあるローリー選手ですが、今季の開幕を迎えたケランタンFAでは、クラブ財政不安の問題からシーズン途中で外国籍選手全員が契約解除となり、ローリー選手も9試合の出場にとどまりました。
 しかしケランタンFA在籍中にマルコ・クラリェヴィッチ監督(当時)にそれまでのFWから守備的MFへの転向を勧められ、退任したクラリェヴィッチ監督を引き継いだユスリ・チェ・ラー監督もそれを支持し、さらに移籍したクダFAのアイディル・シャリン監督自身がかつては守備的MFだったことで才能が開花し、現在はクダFAのマレーシアカップ 準決勝進出に大きく貢献しています。

キプレ「来季の話は聞いていない」
 トレンガヌFCのFWチェチェ・キプレは、来月末に満了となる契約について、クラブとは今後についての公式の話し合いを持っていないとする一方で、契約満了前には他クラブへの移籍などについては考えていないと、オンラインサイトのスタジアムアストロに語っています。
 2017年にトレンガヌFCに加入したコートジボアール出身のキプレ選手は、リーグ戦、カップ戦合わせて15試合で12ゴールを決め、チームの1部昇格へ貢献しています。さらに昨季2018年は32試合で24ゴールを挙げ、チームをマレーシアカップ 準優勝へ導くなど素晴らしいと活躍しましたが、今季2019年は開幕から極度の不調に苦しみました。MFL21試合で6ゴール、準決勝で敗退したFAカップでは4試合で2ゴール、準々決勝で敗れたマレーシアカップ ではグループステージ6試合で5ゴールを挙げるも、準々決勝のJDT戦では第1戦、第2戦とも不発でした。
 トレンガヌFCは5月16日に、チームの成績不振の責任を取ってたイルファン・バクティ監督が辞任しましたが、期待されていたキプレ選手の絶不調もチームの成績不振の一因でした。

10月8日のニュース:マレーシアカップ準決勝クダFAのホームゲームオンライン販売分は既に売り切れ、ベトナム戦試合会場は30以上の防犯カメラで監視

マレーシアカップ準決勝クダFAのオンライン販売分は既に売り切れ
 マレーシアカップ準決勝第1戦となる10月19日のクダFA対パハンFAは、クダFAのホーム、クダ州アロースターのダルル・アマンスタジアムで開催されますが、オンライン販売分はすでに売り切れたことが、クダFAのFacebookで告知されています。
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式スポンサーでもあり、もう一つのカップ戦FAカップの冠スポンサーでもあるシンガポールのネット通販サイトShopee(ショッピー)は、MFLやFAカップ、マレーシアカップのチケットを販売していますが、今季は開幕当初から「チケット1枚購入につき1枚無料」キャンペーンを行なっていますが、今回はその結果2000枚プラス2000枚の計4000枚があっという間に売れてしまったようです。絶対に売れるチケットなのにこんなキャンペーンを継続するとは太っ腹なのか、商売下手なのかはわかりませんが…。
 なお残りのチケットは試合前日の10月18日に試合会場となるダルル・アマンスタジアムのカウンターで販売が行われるようです。
 ちなみに、英語では飛ぶように売れることを”like a hot cake”「パンケーキのように」(売れる)と言いますが、このチケット騒動を取り上げた記事を読んで、マレーシア語では同様のことを”macam goreng pisang panas”と言うのを初めて知りました。macam(マチャム)は「〜のように」、goreng(ゴレン)はナシゴレンのゴレンで「炒める、揚げる」、pisang(ピサン)は「バナナ」、panas(パナス)は「熱い・暑い」なので「熱々のバナナフリッターのように」(売れる)となりますが、確かに揚げたてのゴレンピサンは外側がカリッ、中がトロリと美味しいので納得です。(オンライン販売終了を伝えるクダFAのFacebookでの告知)

ベトナム戦試合会場は30以上の防犯カメラで監視
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選グループGのベトナム対マレーシアは10月10日に行われますが、その会場となるハノイのミーディン国立競技場には30代以上の防犯カメラが設置されているとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 スタジアム管理会社の話として、2017年から設置されているこれらの防犯カメラは、サポーター同士のトラブルなどの問題が発生する前に対応できるようになっており、挙動不審者や、発煙筒や爆竹の投げ込みなどをカメラが捉えた場合には保安要員が現場に直行できる体制を取っているとしています。
 また入場前には警察によるボディチェックを行なわれ、来場者の安全確保に最大の注意を払っている点をスタジアム管理会社は強調しています。
 3-2と勝利したジャカルタでのインドネシア戦では、マレーシアサポーターはインドネシアサポーターの投石などでケガ人を出し、マレーシア代表自体も警察の装甲車両でスタジアムから宿舎まで移動せざるを得なくなるなどの事態を経験しています。特に今回はFIFAランキング99位のベトナム対158位のマレーシアながら、接戦が予想されるだけに、万が一マレーシアが敵地で勝つようなことがあれば、試合後は大荒れになることも予想されます。

マレーシアカップ準々決勝第2戦の結果まとめ

マレーシアカップの準々決勝第2戦が9月28日(金)と29日(土)に行われ、準決勝に進出する4チームが決定しています。*左側がホーム、(カッコ)内は第1戦と第2戦の合計成績です。
 順当と言えば順当ですが、勝ち上がったのは今季のマレーシアフットボールリーグMFLの上位4チーム。準決勝のカードはMFL優勝チームJDT対同3位スランゴールFA、MFL2位パハンFA対同4位クダFAと決まり、第1戦は10月18日(金)から20日(日)のいずれか、第2戦は10月25日(金)あるいは26日(土)に予定されています。

ジョホール・ダルル・タクジムJDT4-0トレンガヌFC(5-1)
得点者:JDT-ゴンザロ・カブレラ2(16分PK、39分)、サファウィ・ラシド2(22分、36分)、トレンガヌFC-リー・タック(45分)
 昨季2018年シーズンのマレーシアカップ 準決勝で対戦した両チームは、第1戦がトレンガヌFCのホームで1−0、JDTのホームで開催された第2戦は2-2でトレンガヌFCが決勝に進みましたが、今季はJDTがトレンガヌFCに圧勝しています。

スランゴールFA3−1ペラTBG(3-2)
得点者:スタンゴールFA-シャズワン・ザイノン(34分)、カイリル・ムヒミーン2(45分、69分)、ペラTBG- ブレンダン・ガン(83分)
 通算で33回優勝(2位のペラは8回、但しかつてマレーシア国内リーグに参加していたシンガポールは24回優勝)とマレーシアカップ では圧倒的な強さを誇るスランゴールFAが昨季の覇者ペラTBGを破り、2015年以来4年ぶりの優勝を目指して準決勝に進出しました

クダFA4−1PKNP FC(6-2)
得点者:クダFA-ファルハン・ロスラン(24分)、ジョナサン・バウマン(25分)、ディヴィッド・ロウリー(72分)、ファアド・ズルキフリ(90分)、PKNP FC-ムクハイリ・アジュマル(80分)
 

パハンFA3−1マラッカ・ユナイテッド(6-1)
得点者:パハンFA-ラザラス・カイムビ(42分)、ディクソン・ヌワカエメ2(65分、76分)、マラッカ・ユナイテッド-ナズリン・ナウィ(55分)