3月26日のニュース:PJシティFCのホームも改修工事完了、クダFAのフロントがリーグ中断の影響を明かす、元代表監督はマレーシアカップの開催を希望

PJシティFCのホームも改修工事完了
 昨日はスランゴールFCがホームのシャーアラムスタジアムの公式戦開催許可をマレーシアフットボールリーグMFLに申請したことを取り上げましたが、PJシティFCのホーム、スランゴール州プタリンジャヤにあるMBPJスタジアムも改修工事が終了したと、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 リーグ戦中断前の第4節に「ホームゲームを開催できる試合会場がない」という前代未聞の理由でトレンガヌFCとの試合を延期したPJシティFCですが、MBPJスタジアムでの公式戦開催に向け、現在はマレーシアフットボールリーグMFLによる施設検査が行われるのを待っている状況であると、チームマネージャーであるK・ラジャン氏は話しています。
 第4節の前にMFLによって行われた施設検査で不合格となり、ホームゲームが開催できなくなり、結局試合延期という対応をせざるを得なかったPJシティFCですが、4月14日までの延長が発表された活動制限令MCOが解除された段階で、MFLによる再検査を受けて合格となった後に公式戦開催が可能となります。

クダFAのフロントがリーグ中断の影響を明かす
 ここ数日にわたって、新型コロナウィルスの影響を受けたマレーシアフットボールリーグMFL中断による給料削減の話題を取り上げていますが、リーグ戦が中断中のスペインでも世界でも有数の金満クラブ、バルセロナでも選手が給料削減に応じる可能性が報じられるなど、この話題は世界的なものになりつつあります。
 この状況について、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLは各クラブに対し給料削減を行わないよう求め、それに従わないクラブについては罰則を科すとしています。
 しかし新型コロナウィルスの影響は、入場料収入への依存度が高いクラブを直撃しているだけではなく、各クラブを支援するスポンサー企業にも打撃を与えており、クラブへの支援に影響が出ていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 この記事ではクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アリス名誉事務局長の発言として、第4節のスランゴールFC戦がジョホール・ダルル・タジムJDTやパハンFA戦などと並ぶいわゆるドル箱カードであり、それが無観客試合となったことで多額の入場料収入を失ったこと、また活動制限令によって収入減となったスポンサー企業の中には契約通りの支援を取りやめる企業がでてきていることなどを取り上げています。
 アスミルル事務長は、新型コロナウィルスによる影響下では、州政府に対して運営資金への支援を求める他、スポンサー企業と契約の見直しを行った上で支援の継続を求める、高給を取る選手には給与の削減を依頼する、などの方針も検討中だと話しています。

元代表監督はマレーシアカップの開催を希望
 新型コロナウィルスの影響で中断中のマレーシアフットボールリーグMFLは、既に発令中の活動制限令MCOが4月14日まで延長されたことにより、当初予定されていた第5節(4月3日から4日開催予定)と第6節(4月10日から13日に開催予定)の延期が決まりました。また、3月17日と18日に予定されていたFAカップの2回戦は既に延期されています。
 新型コロナウィルスの感染被害が収束した場合、延期されている国内日程だけでなく、やはり延期されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選の再開、さらには今年開催予定の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ開催も控えており、再開後の日程はかなりのハードスケジュールが予想されます。
 そこで取り沙汰されているのが、もう一つのカップ戦、マレーシアカップを中止て日程緩和を図るという方針です。MFL1部と2部の16クラブのみが出場するこの大会は、通常は8月にグループステージが始まりますが、国内リーグ戦とFAカップの勝者にはそれぞれ、アジアサッカー連盟AFCのAFCチャンピオンズリーグとAFCカップへの出場権が与えられる一方で、マレーシアカップは国内で完結してしまう大会であることから、今後、日程調整が難航した場合の「犠牲」となる可能性が一番高いというのが大半の見方です。
 しかし前PKNS FC監督で元代表監督でもあるラヤゴパル・クリシュナサミー氏は、異なる意見を持っているとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。ラヤゴパル氏はマレーシアカップの持つ歴史的価値を重じ、必要とあらばFAカップを中止し、マレーシアカップを開催することを提案しています。
 1921年(大正10年)にマラヤカップとして始まったこのカップ戦は、1942年から47年までは第二次大戦や日本軍による英領マラヤ占領などで中断されたものの、今年開催されれば94回目となるアジア最古の大会の一つです。(ちなみに日本のサッカー天皇杯も1921年より開催)
 もちろんマレーシアカップとFAカップの両カップ戦が開催されることが理想と話すラヤゴパル氏は、例えば、準々決勝からはホームアンドアウェイ方式となるFAカップを一発勝負のノックアウト形式とすれば試合数を減らすことができるとし、主催者のMFLとマレーシアサッカー協会FAMに試合形式を変更してでも、すべての大会を維持して欲しいとも述べています。
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 トップリーグは各州のサッカー協会が運営するクラブが大半を占めるマレーシアの国内リーグは、クラブ同士の試合以上に、サポーターが自分の出身州のクラブを応援する言わば州対抗戦の色合いが強いのが特徴で、その頂点にあるのがマレーシアカップの決勝戦でしょう。その熱狂度合いは1990年に始まったFAカップとは明らかに違い、スタジアムはおらがチームを応援するサポーターで一杯になります。
 FAカップの勝者がAFCカップに出場できるといった実利的な面以上に、ラヤゴパル氏と同様にマレーシアカップの持つ「伝統」を重視し、大会開催を支持する意見も決して少なくないでしょう。

3月21日のニュース:選手会は給料削減を検討しているクラブを非難、リーグ中断が続けばマレーシアカップは中止の可能性も、ルクマンはリーグ再開後はスランゴール2でプレー

選手会は給料削減を検討しているクラブを非難
 昨日のこのブログでは、マレーシアフットボールリーグMFL2部のケランタンFAがリーグ中断による収入源を理由に選手やスタッフと給料削減についての交渉を行うことを計画していることを取り上げました。
 このような動きに対して、マレーシアプロサッカー選手会PFAMのサフィー・サリー会長は各クラブが直面している窮状は理解できるものの、選手の生活に直結する給料削減には同意できないと表明していることを、英字紙スター電子版が報じています。
 PFAMも加盟している国際プロサッカー選手会FIFProが、選手はリーグ中断に伴う給料削減に従う必要はないとしていることを指摘した上で、サフィー会長は、政府の新型コロナウィルス封じ込め政策に便乗するような形で、選手との契約書に記載されていない不公平で唐突な給料削減をMFLのクラブが選手に求めないことを望んでいると話しています。
 またサフィー会長は、各クラブとも今季開幕前に運営資金を確保しておくべきであり、開幕からわずか2ヶ月しか経っていない現時点で経営難を訴えるべきでないとし、さらに選手の給料を入場料収入に依存する経営方針を非難した上で、選手が被害を被るような経営方法を改めることも各クラブのフロントに求めています。
 この他、自身もMFL1部のPJシティFCでプレーするサフィー会長は、フロントやクラブと問題が生じた場合はPFAMに連絡するよう、選手に呼びかけています。

リーグ中断が続けばマレーシアカップは中止の可能性も
 マレーシア国内の新型コロナウィルス感染者数は東南アジアで最大の1000人超えとなった一方で、未だに活動制限令MCOに従わない外出者がいることがメディアで取り上げられています。マレーシア政府もMCOを徹底するため、明日3月22日からはマレーシア国軍も投入されることが発表されています。
 3月18日より執行されているMCOは3月31日に解除になる予定ですが、状況が改善せず、万が一このMCOが継続して執行される場合、100年近い歴史を誇る国内カップ戦のマレーシアカップの開催時期あるいは開催形式が変更、さらに最悪の場合には中止になる可能性があると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 なお記事の中でマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、組み合わせが決まっているものの順延となっているFAカップ2回戦の予定日として4月1日、5月1日、6月1日が候補に上げています。
 FAカップは、優勝したクラブにAFCカップの出場権が与えられることから、マレーシアカップより優先されることが予想されます。また並行してMFLも再開されること、FIFAワールドカップ予選アジア二次予選なども今年後半にずれ込む可能性が高いことからも、FAカップやリーグ戦の再開が遅れれば、MFLの上位16クラブで争われるマレーシアカップは今季は中止になる可能性が高いと考えられます。
 アジア最古のカップ戦とも言われるマレーシアカップ中止はあくまでも最後の手段と話すアブドル・ガニCEOですが、ペラTBGのメフメト・ドゥラコビッチ監督やスランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督はFAカップとリーグ戦を優先するべきであると記事の中で語っています。

ルクマンはリーグ再開後はスランゴール2でプレー
 マレーシア国内リーグの今年1回目の移籍期間(トランスファーウィンドウ期間)は3月15日に閉じましたが、その3月15日にスランゴール州サッカー協会FASがルクマン・ハキム・シャムスディンをスランゴールFCのBチーム、MFL2部のスランゴール2に登録したことを、スポーツ専門サイトのフォックススポーツが報じています。
 次世代のエースと目される18歳のルクマン選手はマレーシアのエリート選手養成アカデミーであるAMDの出身で、英国の新聞ガーディアンが選ぶ2002年生まれの注目選手60人に選ばれた他、昨年2019年末の東南アジア競技大会、通称シーゲームズではU22代表の主力選手としてプレーしました。
 3月5日生まれのルクマン選手は、18歳となった時点でマレーシアの大富豪ヴィンセント・タン氏が所有するベルギー1部リーグのKVコルトレイクに加入する予定でした。しかし、新型コロナウィルスの影響でヨーロッパへの移動ができなくなったことから、ヨーロッパへの移動前まで練習環境を提供していたスランゴール2と6ヶ月契約を結んだと、マレー語紙ハリアンメトロが報じています。
 KVコルトレイクと5年契約を結んだルクマン選手は、KVコルトレイク合流前に英国に渡り、やはりタン氏が所有する英国2部リーグのカーディフシティFCでの練習に参加する予定になっていましたが、ビザの問題などがあり実現せず、スランゴール2の練習に参加していました。

2月8日のニュース:TMが正式にMFLのスポンサーに-試合のストリーミング配信も実施、マレーシアよりインドネシアで有名なマレーシア人コーチ、Jクラブへお勧めのCB3名

TMが正式にMFLのスポンサーに-試合のストリーミング配信も実施
 マレーシア最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア(TM社)は子会社のTMマルチメディア社TMMを通じて、マレーシアフットボールリーグMFLのメインスポンサーとなったことを、MFLの公式サイトが公表しています。
 今回のスポンサー契約期間は3年間で、TM社はマレーシアカップの冠スポンサーとなり、今季2020年シーズンからその名称がTMマレーシアカップとなることも併せて発表されています
 さらにTM社のインターネット接続事業部門Unifi(ユニファイ)のストリーミングチャンネルUnifi TVが、MFL1部スーパーリーグとマレーシアカップは全試合を、またFAカップは一部の試合をストリーム配信することも併せて発表されています。(MFL2部プレミアリーグのストリーム配信はないようです。)
 なお配信を観戦するには、Unifiと契約すればテレビはもちろん、携帯のアプリなどでも感染が可能なようです。またUnifiと契約しなくとも、試合観戦パックを購入することも可能で、価格は以下の通りとなっています。
・1試合観戦パス – 3リンギ(およそ80円)
・1ヶ月観戦パス – 15リンギ
・スーパーリーグ年間パス – 100リンギ
・FAカップ年間パス – 100リンギ
・マレーシアカップ年間パス – 50リンギ
・チームVVIPチームマレーシアパス – 120リンギ
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 最後の「チームVVIPチームマレーシアパス」の内容がどのようになっているのかは記事からはわかりませんが、スタジアムに足を運べば入場料が最低でも15リンギはするので、多くの試合を見たいサポーターにはお得な価格設定だと言えるでしょう。
 ちなみに昨季はNetflixの廉価版ともいえるiFlixがスーパーリーグやマレーシアカップの試合を無料で配信していたのですが、MFLの発表では「独占」放映権という表現も見られたので、今季の配信は行われない可能性が高そうです。
 なお別のメディアの報道では、TM社とのスポンサー契約発表会見に集まった報道陣からスポンサー金額についての質問が出た際、MFLのダト・ハミディン・モハマド・アミン会長はその金額についてMFL1部と2部の各クラブには伝えると話す一方で、メディアに伝える必要はないと公表を拒否したとのことです。以前このブログでも取り上げたTM社とMFLの大型スポンサー契約が頓挫(とんざ)したことから、MFLは少々神経質になっているのかも知れません。(ネット上では3年間で3000万リンギ(およそ8億円)といった噂もみられます。)
 またTM社に加えて、マレーシア第2の銀行グループCIMB社がカップ戦スポンサーに参入する噂も出ていますので、こちらも確定次第、取り上げたいと思います。

マレーシアよりインドネシアで有名なマレーシア人コーチ
 フル代表監督としてアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップで優勝経験もある元PKNS FC監督のラヤゴパル・クリシュナサミ氏が海外での指導を希望している、という話を取り上げた際、既に海外で指導しているマレーシア人コーチとして紹介したラジャ・イサ・ラジャ・アクラム氏を、サッカー専門サイトヴォケットFCがちょうど取り上げています。
 ラジャ・イサ氏がインドネシアへ来たきっかけは、前回も書いた通り元トレンガヌFCのイルファン・バクティ・アブ・サリム氏がインドネシアのパプア州にあるプルシプラ・ジャヤプラ監督として招聘(しょうへい)された際のアシスタントコーチを務めたことでした。
 ヴォケットFCのインタビューでは、2007年、プルシプラ・ジャヤプラは当時の監督だったブルガリア人のイヴァン・コレフがインドネシア代表監督に就任したことによって監督不在となり、招聘されたラジャ・イサ氏が自分の代わりにイルファン・バクティ氏を推薦し、自分がアシスタントコーチになったと話しています。
 「当時、自分はペルシス・ソロ(中央ジャワにあるクラブ)の監督に就任するつもりだったが、イルファン・バクティ氏に招かれて、共にプルシプラ・ジャヤプラを指導することになった」と話すラジャ・イサ氏ですが、イルファン・バクティ氏がマレーシアのプルリスFAの監督に就任することとなり、その半年後には、プルシプラ・ジャヤプラの監督に就任し、2007年のコパインドネシア(当時、現インドネシアンカップ)では、当時絶頂期だったスリウィジャヤFCにPK戦で敗れるも準優勝を果たします。
 その後は下のインフォグラフィックにもある通り、その後もラジャ・イサ氏は2015年から2016年までUITM FCの監督を務めた以外は、インドネシア1部から3部リーグまでの様々なクラブで指導を続けてきました。(インフォグラジックはヴォケットFCのサイトより)

 そんなラジャ・イサ氏によると、サッカーに対する関心はマレーシアとは比較にならないほど高いようで、例え3部リーグの試合であっても数千人の熱狂的なサポーターが集まるということで、毎試合スタジアムが満員になるクラブが数えるほどしかないマレーシアリーグと比べると、観客動員という点では、インドネシアに軍配が上がるようです。しかしその一方で練習施設や競技場といったインフラの面ではマレーシアに遅れをとっているということです。
 54歳のラジャ・イサ氏は、将来は代表チームの監督を目指したいと話しており、実際に2010年には東ティモール代表の監督就任の話もあったようですが、そのときは残念ながら実現しなかったようです。

Jクラブへお勧めのCB3名
 昨日取り上げた、日本のクラブがマレーシア人センターバックを探している、という記事を掲載したサッカー専門サイトのヴォケットFCが続報として、Jクラブへお勧めのセンターバック3選手を紹介する記事を掲載しています。
 東南アジアの選手にとって日本でプレーすることは競技レベルの高い環境でプレーできることだけでなく、ヨーロッパでプレーする飛び石にもなる、という書き出しで書かれた記事で紹介されているのは以下の3選手です。
1. アダム・ノー・アズリン(JDT、24歳)
 昨年の東南アジア競技大会シーゲームズでは、オーバーエイジ選手としてU22代表にも加わったアダム選手は、代表でも完全なセンターバックというよりも守備的ミッドフィールダーです。フル代表では準レギュラーと言った位置付けですが、JDTでは主力選手として活躍し、AFCチャンピオンズリーグACLで対戦したアウェイの鹿島戦でもフル出場し、日本のサッカーを体験している選手です。
2. シャルル・サアド(ペラTBG、26歳)
 現代表のセンターバックを務めるシャルル選手は、準優勝した2018年のスズキカップでも活躍し、今回のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選全てに出場しています。
3. ハリス・ハイカル(スランゴールFC II、18歳)
 マレーシアサッカー協会FAMが運営するエリート選手アカデミーのAMDを卒業し、スランゴールFCのBチーム、スランゴールFC IIに加入したばかりのハリス選手は、昨年2019年のAFF U18選手権準優勝に貢献しただけでなく、飛び級でU22代表に招集され東南アジア競技大会にも参加するなど最も期待されているディフェンダーで、守備だけでなく積極的な攻撃参加も魅力的な選手です。
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 日本のクラブ(探しているのはJ2のクラブらしいです)が求めるのが即戦力なのか、育成枠扱いなのかにもよりますが、個人的にはハリス選手にチャンスが巡ってくると良いですね。この年代は東南アジアでは良い成績を残している年代なので、高みを目指してほしいです。そしてフル代表になったときに、国内ではなく日本のクラブから招集される、なんてことになるとフル代表も強くなりそうです。

11月3日のニュース:JDTのマレーシアカップ優勝でジョホール州政府は11月3日を州の祝日とする発表、マラッカ州サッカー協会会長が交代、AFC U19選手権予選でマレーシアは退場者を出す冷や汗スタート

JDTのマレーシアカップ優勝でジョホール州政府は11月3日を州の祝日とすると発表
 11月2日(土)のマレーシアカップ決勝でクダFAを3-0で破って優勝したジョホール・ダルル・タクジムJDTの本拠地があるジョホール州政府は、JDTの優勝を祝って11月3日(日)を州の祝日とすることを発表しています。
 英字紙マレーメイル電子版によると、ジョホール州政府のダト・アズミ・ロハニ書記長によると、JDTサポーターを含めた全ジョホール州民とともにJDTの勝利を祝い、またジョホール州へ栄誉をもたらしたJDTへの支持に対する感謝を示すものとしています。
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 マレーシアのプロサッカーチームは各州のサッカー協会(州FA)が統括していることが多く、このブログでもパハンFAやスランゴールFA、クダFAなど◯◯FAという表記を使っているクラブがそれにあたります。しかしJDTはTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下がオーナーの完全なクラブチームと思っていましたが、まだ州のクラブということなのでしょう。
 またジョホール州はイスラム教の礼拝日が金曜日であることから、ムスリム(イスラム教徒)が余裕のある寛容で礼拝ができるようにと、金曜日と土曜日が週末になっています。このため11月3日(日)が祝日になることで、ジョホール州は週末が3連休となります。このように金曜日と土曜日が週末になっているのはジョホール州の他、イスラム色の強い東海岸のケランタン州とトレンガヌ州があります。

マラッカ州サッカー協会会長が交代
 同じマレーメイル電子版によると、マラッカ州サッカー協会MUSAのアドリ・ザハリ会長が会長職を退任しました。マラッカ州の州知事でもあるアドリ会長は1年以上会長職を務めましたが、その後任にはマラッカ州政府議員でマラッカ州政府の適正・報告責任・透明性委員会の会長でもあるダミアン・ヨー・シェンリー氏が11月1日付けで就任しています。
 アドリ会長は州法である「マラッカ州知事になった者は自動的にMUSAの会長となり、同時にその職に適した人物に会長に任命できる」に基づいてヨー新会長を任命し、その理由としてヨー新会長が今季2019年シーズンにはMUSAが統括するマラッカ・ユナイテッドの運営に関わってきたことを挙げています。またアドリ会長は「MUSA会長は州サッカー運営に注力すべきであり、自分には州知事としてより注力する必要がある仕事がある」と述べています。
 またヨー新会長は、今季マラッカ・ユナイテッドが直面した給料未払い問題は2度と起こさないと記者会見で述べ、経営状況改善を約束しています。またマラッカ・ユナイテッドのザイナル・アビディン・ハサン監督には、来季に向けてチームの補強内容の提案書の提出を求めたことも記者会見で明かしています。
 さらにヨー新会長は、条件付きの交付となっている来季2020年のクラブライセンスについても11月末までに完全交付となるよう全ての未払い給料についてシア払いを完了する予定であるとも述べています。
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 これは非常に興味深いニュースです。マレーシアでは各州のサッカー協会(州FA)の会長は州知事が兼任することが一般的ですが、マラッカ州知事でもあるアドリ会長が述べている通り、州知事には州知事の仕事が、州FA会長には州FA会長としての仕事があるはずで、その職が形式なものであったとしても州FA会長には、それに注力できる人材が就任することで、各州FAの統括するクラブはより緻密で厳格な経営ができるようになり、蔓延する給料未払い問題の発生を防ぐことができるようになるのではないかと思います。

AFC U19選手権予選でマレーシアは退場者を出す冷や汗スタート
 11月2日よりカンボジアの首都プノンペンで始まったアジアサッカー連盟AFC U19選手権予選グループGで、マレーシアは第1戦となるカンボジア戦に5-4と辛勝して予選をスタートしました。
 前半終了時点でムハマド・シャフィ・アズスワダ・サパリ(30分)、ムハマド・ファクルル・イマン・ナスザリ(40分)、ムハマド・アズリン・アフィク・ラスミニ(42分)のゴールで3-0とリードしたマレーシアでしたが、そこから日本人の行徳浩二監督率いるカンボジア相手に思わぬドラマが待っており、最終的には1点差の冷や汗勝利でした。
 その理由は57分にMFムハマド・ムカイリ・アジマル・ビン・マハディとDFのアーマド・ジクリ・ビン・モハマド・カイリリが退場となったこと。ことの発端はアーマド・ジクリ選手とカンボジアの選手が交錯し、クルバノワ主審(トルクメニスタン)はペナルティーエリア近くでカンボジアにフリーキックを与えましたこと。これにムカイリ・アジマル選手が激しく抗議し、主審はこの日2枚目のイエローを与えてムカイリ・アジマル選手を退場に、しかも交錯したアーマド・ジクリ選手にも一発でレッドカードが出しました。
 この時点で3−0とリードしていたマレーシアでしたが、9人対11人の対戦となってしまいました。カンボジアは61分と65分に得点し3-2とせまられましたが、ルクマン・ハキム・シャムスデインが67分に、またムハマド・ムスリフディン・アティク・マット・ザヒドが73分にゴールを決め、その後のカンボジアの得点を2点に抑えてなんとか逃げ切っています。
 マレーシアの次戦は、この日、北マリアナ諸島を4-3で破ったブルネイと11月6日に対戦します。
(写真は両チームのスターティングXI。マレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

マレーシアカップ2019決勝の結果まとめ

今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFL1部で優勝し、リーグ6連覇を果たしたジョホール・ダルル・タクジムJDTと今季のマレーシアFAカップ優勝のクダFAが激突したマレーシアカップ決勝戦が11月2日にブキ・ジャリル国立競技場で82,420名の観衆を集めて行われました。

JDT3−0クダFA
得点者:JDT-レアンドロ・ヴァレスケス(27分)、サファウィ・ラシド(35分)、シャフィク・アーマド(58分)
 試合は開始から3分過ぎにサファウィ・ラシドのFKにアイディル・ザフアンが頭で合わせるも、ゴールポーストを叩き、その直後にはゴンザロ・カブレラがゴールエリアまでドリブルで持ち込むもクダDFがクリアして難を逃れるなど、JDTが積極的に攻める展開となりました。
 そして試合が動いたのは27分、途中退場のエース、ジオゴと交代で入ったシャフィク・アーマドからペナルティエリア内のゴンザロ・カブレラへパス、そしてカブレラ選手にクダDF陣が詰めたところで出したマイナスのパスへ走り込んできたレアンドロ・ヴェラスケスがこれを決めてJDTが先制します。
 さらに35分には左サイドで得たFKを左利きのサファウィ・ラシドが難しい角度ながらニアポストのコーナーへ決める絶妙のゴールでJDTがリードを2点に広げました。
 そして58分には先日の発表で代表初招集となったアフィク・ファザイルが左サイドからからのクロスをシャフィク・アーマドがヘディングで叩き込み3点目のゴール。クダFAのDF陣はクロスボールにも、シャフィク選手に詰めず、まさにフリーヘッダーのゴールでした。
 試合はクダFAに反撃に機会がないまま終了し、今季のマレーシア国内サッカー最後のイベントは、JDTが3-0でクダFAに点差以上に圧勝し、2017年以来2度目の優勝を遂げると同時に、今季国内二冠を達成しています。また前回2017年は決勝ではベンチ入りできなかったサファウィ・ラシドがこの試合のマンオブザマッチMOMに選ばれています。
 クダFAは準決勝をアウェイゴールルールで勝ち上がったものの、その準決勝では第2戦の延長も含めて8失点を喫していた上、守備の要となるレノン・アルヴェスとリザル・ガザリの両DFを累積警告による出場停止で欠いていたため、苦戦が予想されていました、また試合前には今季チーム最多得点のFWフェルナンド・ロドリゲズのケガが明らかになり、ベンチ入りしたものの出場できないなど、飛車角落ちでは国内最強クラブにはなす術がありませんでした。
(写真はJDTのFacebookより)

10月31日のニュース:双子のラザク兄弟がマレーシアカップ決勝で対決、マレーシアカップには1500名超の警察官を動員、マレーシアカップ決勝の主審候補者は8名

双子のラザク兄弟がマレーシアカップ決勝で対決
 11月2日に開催される今季2019年のマレーシアサッカー界のフィナーレ、マレーシアカップ決勝では、双子のラザク兄弟が両チームに分かれて対戦します。ジョホール・ダルル・タクジムJDTのDFで兄のアイディル・ザフアン・ラザクと、クダFAのFWで弟のザクアン・アドハ・ラザクはヌグリ・スンビラン州セレンバンの出身で、二人が一緒にプレーしていたヌグリ・スンビランFAでは2006年にはMFL1部スーパーリーグの優勝を、2009年と2011年にはマレーシアカップ 優勝を経験しています。二人は2012年にマレーシア国軍ATM FCで、2013年にはJDTで一緒にプレーした後、アイディル選手はそのままJDTに残りましたが、ザクアン選手はその後、ペラTBG、クアラルンプールFAでプレーし、今季からクダFAの選手となっています。
 英字紙スター電子版でアイディル選手は、通常であれば二人ともに試合前に母親に電話を入れてモチベーションをもらうが、二人が対決する今回に関しては、母親も困っていると話しています。

マレーシアカップには1500名超の警察官を動員
 マレーシアカップ決勝当日は不測の事態に備えて、1500名超の警察官が動員されることが、試合会場となるブキ・ジャリル競技場があるクアラルンプールの警察長官から発表されています。
 クアラルンプール警察のダト・スリ・マズラン・ラジム長官によると、マレーシアカップ当日は午前8時よりスタジアム周辺で交通規制が行われ、暴動鎮圧部隊を含む1,560名の警察官が動員されるということです。決勝で対戦するJDTとクダFAのサポーターはそれぞれ別の入場口へ誘導され、入場口では厳しいセキュリティーチェックが行われるようです。
 スター電子版によれば、マズラン長官は当日は隣接する屋内競技場でもイベントがあることから渋滞が予想されるだけでなく、駐車スペースに限りもあることから、サポーターには早めの来場と、公共交通機関を使っての来場を提言しています。

マレーシアカップ決勝の主審候補者は8名
 マレー語紙ブリタハリアンによると、マレーシアカップ決勝を担当する審判の最終候補が8名に絞られたようです。
 マレーシアサッカー協会審判委員会のモハマド・ダリ・ワヒド委員長は、この中の6名が決勝戦を担当すると述べています。モハマド・ダリ委員長は、最終決定の要件としては今季のMFLやマレーシアカップでの審判状況をもとにする一方で、これまで議論が起こるような判定をしてこなかったか、そして出身地や居住地、審判としての登録地がJDTの本拠があるジョホール州やクダFAの本拠があるクダ州ではないことなどを挙げています。
 マレーシアのもう一つのカップ戦、マレーシアFAカップの今季の決勝では、日本人の岡部拓人主審、八木あかね、野村修両副審で行われ、クダFAのアイディル・シャリン監督らの反応は良く、マレーシア人審判の質を疑問視する一部ファンからは、マレーシアカップ決勝でも外国人審判を、という声は上がっていましたが、はマレーシアカップ決勝はマレーシア人審判が笛を吹くことを、モハマド・ダリ委員長は明言していました。
 今回の記事の中でも、マレーシア人審判の育成は急務であり、AFC新パインの資格を持っているようなマレーシア人審判に(マレーシアカップ決勝のような)重要な試合で笛を吹かせない理由はないとしています。

10月30日のニュース:クダFAは守備の要がマレーシアカップ決勝出場停止、JDTとスランゴールFAがAMDから選手獲得、イルファン監督はMFLに復帰か

クダFAは守備の要がマレーシアカップ決勝出場停止
 両チーム合わせて計16ゴールと壮絶な準決勝でパハンFAを破りマレーシアカップ決勝へ進出したクダFAですが、守備の要2人が決勝に出場できない状況になっています。
 今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFLでは、チーム最多出場のブラジル出身DFラノン・アルヴェスと、アルヴェス選手に次ぐ出場数のDFリザル・ガザリが、先日行われたパハンFAとのマレーシアカップ準決勝第2戦でいずれもイエローカードをもらい、累積警告で次戦となるマレーシアカップ決勝は出場停止処分を受けることになりました。
 しかしこの状況でも、かつてGoal. comによってシンガポールのグラディオラと評されたクダFAのアイディル・シャリンク監督が、強豪ジョホール・ダルル・タクジム相手に効果的な策略を立ててくれことをクダFAのサポーターは期待していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 あるサポーターは、アイディル監督はこの状況で最も効果的な戦略を立ててJDT戦に臨んでくれると期待し、別のサポーターは今季のクダFAの実績から、アイディル監督がどんな戦術を取ってもそれを支持すると述べています。
 なお今季から就任したアイディル監督の下、クダFAは今季のMFLで4位(昨季は6位)、FAカップは優勝と好成績を上げ、マレーシアカップ でも2017年以来2年ぶりの決勝進出を果たしています。

JDTとスランゴールFAがAMDから選手獲得
 マレーシア政府肝煎の国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中の「エリート」、モクタル・ダハリアカデミーAMDの1期生となる34名が間も無くこのプログラムを卒業します。2002年生まれのこの世代の出世頭はベルギー1部リーグのクラブと契約したルクマン・ハキム・シャムスディンですが、彼だけでなくこの世代は東南アジアサッカー連盟AFF U18選手権で昨年2018は優勝、今年2019年は準優勝とアセアンでは周りの国に負けないタレント揃いです。
 ただし、この1期生たちはどのクラブにも所属しておらず、プログラム終了後の所属先がどうなるかに関心が集まっていますが、マレーシアフットボールリーグMFL1部のジョホール・ダルル・タクジムJDTと、スランゴールFAを統括するスランゴール州サッカー協会FASが早速、選手獲得に動いたことをマレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 U19代表でもプレーする左ウィングのウマル・ハキーム・スハル・レズアンはJDTとの契約の可能性が高まっています。FASも彼に興味を示していたということですが、JDTを選んだ理由としてウマル選手はチーム力に加えて設備や練習環境、そしてサッカーに情熱を持つオーナーのTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下を挙げています。
 また左サイドバックのアーマド・ジクリ・モハマド・カリリはJDTとパハンFAも関心を示したようですが、FASを選んだようで、その理由としてFASが最も熱心にアプローチされたと明かしています。

イルファン監督はMFLに復帰か
 今年2019年5月にチームの成績不振の責任を取りMFL1部トレンガヌFCの監督を辞任したイルファン・バクティ氏は来年2020年にMFLで指揮を取る可能性がありそうだとマレー語紙ハリアンメトロ電子版が伝えています。
 既に複数のクラブから監督のオファーを受けているものの、まだ現時点では何も決めていないというイルファン氏ですが、届いているオファーがクアラルンプールやスランゴールといった首都圏以外のクラブからということで、首都圏のクラブでの指導を望んでいるイルファン氏の希望に沿うクラブからのオファーははまだないようです。
 首都圏のクラブには、MFL1部スーパーリーグではスランゴールFA、プタリンジャヤシティFC、PKNS FC、PDRM FC、MFL2部プレミアリーグではクアラルンプールFA、UITM FC、UKM FC、スランゴール・ユナイテッドがありますが、1部スーパーリーグのクラブはどこもおそらく監督の更迭はなさそうなので、イルファン氏がMFLに復帰するとすれば2部プレミアリーグの監督としての可能性が高そうです。

10月29日のニュース:マレーシアカップ準決勝の勝敗決定方法についてMFLが説明、マレーシアカップ決勝は両チームにおよそ3万枚のチケットが割り当てられる、マレーシアカップ決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催

マレーシアカップ準決勝の勝敗決定方法についてMFLが説明
 第1戦3-3、第2戦は延長も含めて5-5と2試合で16ゴールと壮絶な試合となったマレーシアカップ準決勝のクダFA対パハンFAの試合。この試合はアウェイゴールルールによってクダFAが決勝進出を決めましたが、延長の120分に同点ゴールを決めたパハンFAのディクソン・ヌワカエメがPK戦に持ち込んだと思いガッツポーズを取るなど選手はもちろん、パハンFAのホーム、ダルル・マクムール・スタジアムに詰めかけた29,275名の観衆の多くも、ぜクダFAが決勝進出が理解できなかったようです。
 これを受けて、マレーシアカップ を主催するマレーシアフットボールリーグMFLが公式ホームページで声明を発表し、今回適用されたアウェイゴールルールは新たに設けられたものではなく、2010年からマレーシアカップ 、マレーシアFAカップ、チャレンジカップなど国内のカップ戦で既に採用されていることを説明する事態になっています。
 欧州サッカー連盟UEFA主催のチャンピオンズリーグなどでは、延長戦でのゴールも含めてアウェイゴールが適用されますが、アジアサッカー連盟AFC主催の試合では、延長戦でのゴールはアウェイゴールルールの適用外となっています。第1戦は3-3、そして第2戦は90分の試合時間内ではやはり3-3でしたので、AFCの規則に照らせば、両チームともそれぞれアウェイゴールは3となり、試合の決着はPK戦により決定となります。しかし国際サッカー連盟FIFAは、加盟国の国内試合に関しては所轄の連盟にアウェイゴールールの詳細決定を委ねています。マレーシアの場合は延長も含めてのアウェイゴールルール採用となっていることから、延長での2-2も加えるとパハンFAのアウェイゴールは3、クダFAのアウェイゴールは5となり、クダFAが勝利チームになったわけです。

マレーシアカップ決勝は両チームにおよそ3万枚のチケットが割り当てられる
 クダFA対JDTの対戦が決まったマレーシアカップの決勝戦ですが、クダFAを倒閣するクダ州サッカー協会KFAとジョホール州サッカー協会PBNJには、それぞれ31,610枚のチケットが割り当てられると、マレーシアの通信社ベルナマ が報じています。
 KFAによると、チケットは10月31日よりクダFAの本拠地であるダルル・アマンスタジアムで26,610枚が売り出され、残る5,000枚はクダFAのサポーターを対象にネット販売されるということです。
 一方PBNJは、ジョホール州内全10地区で26,610枚のチケットが販売され、残りはJDTのホームであるタン・スリ・ハサン・ユノススタジアム(通称ラーキンスタジアム)とオンラインでやはり10月31日から販売されるということです。

マレーシアカップ決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催
 過去4年間のマレーシアカップ決勝は、スランゴールFAのホームでもあるシャーアラムスタジアムで開催されてきましたが、今季2019年決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催されることになりました。
 このブログでも何度か取り上げてきましたが、ブキ・ジャリル国立競技場は、そのピッチの状況の悪さから、マレーシア国内はもとより海外のチームからも評判が悪く、バルセロナが直前になって試合の会場変更を求めたり、先日のFIFAワールドカップ予選ではUAEのベルト・ファン・マルワイク監督が不満を述べるなど、酷評されています。
 しかし今年8月にブキ・ジャリル国立競技場はマレーシア代表の公式戦全ての開催会場、つまりマレーシア代表のホームとなったことで、コンサートなどの他の用途での使用が限られるようになり、ピッチ管理などにより多くの費用が注ぎ込まれるようにもなっています。
 また今回の決勝では、マレーシア史上初となるスタンドの座席番号の導入も行われるようです。マレーシアのスタジアムは一般的に座席の範囲は決まっているものの、座席そのものの指定はなく、皆が好きなところに早い者勝ちで座るようになっています。今回は試験的な導入となるようですが、この結果で完全な指定席制度が普及していくかもしれません。


 

10月20日のニュース:マレーシアカップ準決勝で偽造チケットが見つかる、ケランタン州サッカー協会のアドバイザーに現職国防大臣が就任

マレーシアカップ準決勝で偽造チケットが見つかる
 10月19日にクダ州アロースターで行われたマレーシアカップ 準決勝のクダFA対パハンFAの試合前に偽造チケットが見つかったこと英字ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 偽造チケットは、本物のチケットと比べると紙質が違っているものの、セキュリティー用のホログラムやチケット裏側にマレーシアフットボールリーグMFLのロゴが印刷されている一方で、ロゴ自体はMFLの古いロゴが使われていたようです。
 試合前日にファンによってクダ州サッカー協会に持ち込まれた偽造チケットは、オープンスタンドへの入場が可能なチケットで15リンギ(およそ390円)で売られていたということですが、準決勝のオープンスタンチケットは売り出しから数時間で売り切れとなっていたということで、準決勝当日には入場口で厳格なチケットのチェックが行われ、またクダFAは警察に被害届を出したことなどが記事では述べられています。

ケランタン州サッカー協会のアドバイザーに現職国防大臣が就任
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、現職のモハマド・サブ国防大臣がクランタン州サッカー協会KAFAのアドバイザーに就任したことが報道されています。
 現在は与党連合の希望同盟所属構成党の国民信任党党首を務めているサブ氏ですが、1990年代にはケランタン州選出の全マレーシア・イスラム党PAS所属の国会議員として2期務めた経験を持っており、クランタン州では知名度もある人物です。
 外国籍選手のシーズン途中での全員解雇や給料未払い問題など、このブログでも何度か取り上げてきたKAFAの厳しい財政状況は、その運営資金を州政府頼りとすることが限界に来ていることによります。現政権の閣僚がアドバイザーになることで、KAFAへの信用が増し、スポンサーが獲得へ繋がる可能性が高くなるだろうとこの記事はまとめています。
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 全マレーシア・イスラム党PASは、クルアーンやスンナといったイスラム法源に基づく「マレーシア・イスラム国家」を設立を党是とし、クランタン州やトレンガヌ州といったマレー半島東海岸の保守的な地域から大きな支持を得ている超イスラム政党です。このPASが州政府与党のクランタン州では、イスラム教に基づき金曜日が公休日であり、その前日の木曜日も多くの学校、企業が全休となっているなど、マレーシアの他の地域と一線を画している地域でもあります。

マレーシアカップ準決勝第1戦の結果まとめ

今季2019年最後のカップ戦マレーシアカップはいよいよ準決勝。その第1戦が、10月19日にジョホール・ダルル・タクジムJDTとクダFAのホームで行われました。なお、準決勝第2戦は、10月26日にスランゴールFAとパハンFAのホームで開催されます。

JDT2-1スランゴールFA
得点者:JDT-シャフィク・アーマド(15分)、レアンドロ・ヴァレスケス(49分)、スランゴールFA-イフェダヨ・オルセグン(17分)
 代表でも絶好調のシャフィク・アーマドがこの試合でもゴールを決めてJDTが先制しましたが、スランゴールもイフェダヨ・オルセグンがゴール前でDFをかわして巧みなシュートで同点ゴールを決め、前半を終了した試合はレアンドロが決勝ゴールを決めています。
 この試合はJDTのエース、ジオゴが負傷のため先発どころかベンチ入りもできない状況でしたが、FWの位置に入ったシャフィック選手がジオゴ不在を感じさせない活躍でチームを引っ張りました。個人的には、代表でもこのポジションを試してもらいたいのですが、代表のタン・チェンホー監督はこの試合をどう見たでしょうか。
 またスランゴールFAもエンドリックを欠くなど、ベストの布陣ではありませんでしたが、鼠蹊部(そけいぶ)負傷で出場のなかったサンドロ・ダ・シルバが2ヶ月半ぶりの復帰して75分プレーするなど朗報もありました。スランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督も1点を取れたことで第2戦に希望がつながったと述べるなど、悲壮感というよりもむしろ余裕が感じられるコメントがメディア上で見られました。
 ちなみに今季までMFL6連覇中のJDTですが、カップ戦に関してはこの6年間で2016年のFAカップ、2017年のマレーシアカップと2度の優勝にとどまっています。
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 ちなみに来季2020年から新たに建設されたスルタン・イブラヒムスタジアムがホームとなるJDTにとって、この日の試合がタン・スリ・ハサン・ユノススタジアムでの最後の試合となりました。マレーシアフットボールMFL6連覇が始まる前年の2013年からホームとして使われているこのスタジアムは、日本人にとっては、1997年11月16日に日本代表がイラン代表を破ってFIFAワールドカップ初出場を決めたラーキンスタジアムと言えばピンと来る方もいるかもしれませんね。

クダFA3−3パハンFA
得点者:クダFA-フェルナンド・ロドリゲス2(33分、40分PK)、ザクアン・アドハ(90分)パハンFA-ワン・ザハルニザム(14分)、ディクソン・ヌワカエメ(26分)、ノー・アザム・アジー(73分)
 前半で2-0とパハンFAがリードする展開となった試合は、クダFAが2-2と追いつきましたが、ケガのためFIFAワールドカップアジア予選のベトナム戦を欠場した代表MFのノー・アザム・アジーがゴールを決めパハンFAが3-2としました。このままパハンFAが逃げ切るかと思われましたが、途中出場のザクアン・アドハが試合終了直前にゴールを決め、クダFAが辛くも追いついて引き分けとなりました。