5月29日のニュース:代表はW杯予選前最後の練習試合でミス連発、タイ1部クラブ退団のニコラス・スウィラッドはパハンに加入、ヤクルトマレーシアはデフサッカーへの支援を継続

 1日の新規感染者数がついに8000人を超えたマレーシア。マレーシア政府は6月1日から2週間のロックダウンを行うことを発表し、6月19日から再開予定のMリーグ2部プレミアリーグ、7月9日から再開予定のMリーグ1部スーパーリーグとも試合日程の変更を迫られそうです。シンガポールの開催権返上で宙に浮いたAFCカップも含め、新型コロナウィルの影響はまだまだ続きそうです。

代表はW杯予選前最後の練習試合でミス連発
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の再開を6月3日に控えるマレーシア代表は予選前最後の練習試合となるバーレーン戦を行い、0-2で敗れています。
 試合前にはベストメンバーで臨むと話していたタン・チェンホー監督は、予選初戦は警告累積により出場停止となるMFブレンダン・ガンを先発から外し、代わりにリリドン・クラスニキを中盤に配置、さらに予選では先発が予想されるFWギリェルメ・デ・パウラがFIFAの帰化選手規定を満たしていないことから国際Aマッチとなったこの試合には出場できず、FWシャフィク・アフマッドがワントップに入る布陣で臨みました。
 試合開始から積極的に相手ゴールへ迫るマレーシアは9分にはDFマシュー・デイヴィーズが、先制された後も46分にはシャフィク・アフマドがいずれもシュートを放ちますが得点に至らず、前半を0-1で折り返しました。後半に入るとタン監督はイルファン選手に代えてDFジュニオール・エルドストールを投入、その後もノーシャルル・イドラン・タラハ、アリフ・アイマン、ルクマン・ハキム・シャムスディンと次々にFWを投入しましたが、結局無得点に終わっています。
 一方、バーレーンの1点目は41分に自陣ペナルティーエリア内でDFイルファン・ザカリアがバーレーンFWマフディー・アブドルジャバルを倒して与えたPKをマフディー選手自身がゴールを決め、2点目は41分にMFリリドン・クラスニキからのバックパスの処理にもたついたGKファリザル・マーリアスがバーレーンMFモハメド・マルフーンにボールを奪われルトそのままゴールを決められるなど、いずれもミスによる失点でした。
 FIFAランキングでは50位以上上のバーレーンを相手にしながら、中盤でシャマー・クティー・アッバと組んだクラスニキ選手が機能した反面、クウェートとの練習試合と合わせて2試合で6失点の守備陣、そして2試合で1得点の攻撃陣と予選に向けては不安要素も多かった試合でした。

タイ1部クラブ退団のニコラス・スウィラッドはパハンに加入
 昨季途中にタイ2部ノーンブワ・ピッチャヤFCに加入し、チームの2部で優勝と1部昇格に貢献、来季の契約も結びながら、退団となったDFニコラス・スウィラッドがMリーグ1部スーパーリーグのスリ・パハンFCに加入しことをマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 タイ1部で外国籍選手がプレーするには自国代表選手として最低3試合のプレー経験が必要ということですが、母親がマレーシア人のスウィラッド選手はマレーシア代表としてプレーしたことがないことから、契約を更新していたにも関わらず、ノーンブワ・ピッチャヤFCを退団していました。
 開幕から不振に苦しんだスリ・パハンFCはトランスファーウィンドウ期間に5人中4人の外国籍選手を入れ替える大ナタを振るい、そこからはマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)、アウン・カウン・マン (ミャンマー)ら新加入攻撃陣の活躍で1勝1分と復調の気配が見え始めています。今回、そこにスウィラッド選手が加わることで守備陣が補強され、後半戦ではスリ・パハンFCがリーグの台風の目になりそうです。
 

ヤクルトマレーシアはデフサッカーを含めたマレーシアデフスポーツ連盟への支援を継続
 マレーシアの通信社ブルナマは、ヤクルトマレーシア社が昨年に続き、今年2021年もマレーシアのデフ(聴覚障害者)スポーツ連盟への支援を継続することを発表したと報じています。なお支援は活動資金援助とヤクルト製品やスポーツ用具提供の形で行われ、その総額は4万リンギ(およそ106万円)ということです。
 ヤクルトマレーシア社は、昨年2020年にはデフサッカーワールドカップ初出場を目指すデフサッカーマレーシア代表の支援も行いましたが、韓国で開催予定だった大会は、新型コロナウィルスの影響で中止になっています。
 世界ランキング24位、アジアランキング6位のデフサッカーマレーシア代表は、来年2022年5月にブラジルで開催される聴覚障害者のための総合スポーツ大会、デフリンピック予選場が現在の目標ということで、ヤクルトマレーシア社はその支援を今後も行っていくということです。

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The former Kuala Lumpur City FC (KL City) midfielder, who has been playing in the Malaysia League (M-League) for 12 years, explained that UiTM FC were only lacking in experience, adding that this was evident from their match against KL City FC on May 8, which ended in a 1-1 draw.

“The coaches here (UiTM FC) saw some weaknesses in their midfield and asked me to join them to help the youngsters in the team.

“I noticed that the youngsters lack an experienced leader to give them instructions on the field,” he said in a statement issued by the Malaysian Football League (MFL) today. 

The 32-year-old Mohd Alif stressed that one of the weaknesses of the UiTM players was their lack of positional play, thus failing to close down space for their opponents to launch attacks.

UiTM FC are currently last in the 12-team Super League standings, having collected just two points from 13 matches.  

Mohd Alif, who is nicknamed ‘Elneny UiTM’ for having the same hairstyle as Mohamed Elneny, who is a midfielder with English Premier League giants Arsenal, is thankful that he could still continue his career as a professional footballer.

He was a household name among Negeri Sembilan fans and was one of the main pillars of the Hoben Jang Hoben’s glorious era during the 2009-2001 seasons.

Mohd Alif, who is known as a midfield hardman, played for Negeri Sembilan until 2014 and also featured for Sime Darby FC, Melaka, Felcra FC and Kuala Lumpur.

5月28日のニュース(2):北朝鮮予選辞退の影響でマレーシアの順位が2位から4位へ、デ・パウラは本番前最後の練習試合は出場資格なし

 W杯予選前の最後の練習試合となるバーレーン戦が本日5月28日午後7時30分(現地時間、マレーシア時間では5月29日深夜12時30分)から行われますが、その前に衝撃的なニュースが飛び込んできました。

北朝鮮予選辞退の影響でマレーシアの順位が2位から4位へ
 アジアサッカー連盟AFCは公式サイト上で、今月5月16日に北朝鮮がW杯予選の出場辞退を発表したことを受け、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の順位決定要件の変更を発表しています。
 アジア2次予選では、各組1位の8チームと各組2位の上位4チームの合計12チームが3次予選に進みますが、北朝鮮がいた予選H組がそれまでの5カ国から4カ国となった一方で、残る7組は5カ国のままであることから、各組2位と5位の対戦成績は順位決定の際に考慮しないことが正式に発表されました。
 このブログでもこうなる可能性があり、その結果としてマレーシアの予選順位に大きな影響が出ることを北朝鮮出場辞退発表直後の5月18日のニュースで取り上げましたが、その懸念が現実のものとなりました。
 この発表が出る前までのマレーシアが所属する予選G組の順位は以下の通りでした。

TeamPWDLGDPts
1ベトナム5320411
2マレーシア530229
3タイ522138
4UAE420246
5インドネシア5005-130
P-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GD-得失差、Pts-勝点

 マレーシアを除くG組の各チームはいずれも最下位のインドネシアとは1試合対戦しており、来月6月3日からアラブ首長国連邦UAEで再開されるW杯予選で残る1試合を戦います、マレーシアは既にインドネシアとはホームとアウェイで対戦し2勝しています。このため、今回のAFCによる措置により、マレーシアはそこで得た勝点6を失う一方で、他のチームは1勝分の勝点3を失い、その結果、インドネシアを除く予選G組の順位は以下のように変動します。

TeamPWDLGDPts
1ベトナム422028
2タイ412105
3UAE3102-13
4マレーシア3102-13
*P-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GD-得失差、Pts-勝点

 

 2019年末にインドネシア代表監督に就任した韓国出身のシン・テヨン監督は、今回のW杯予選では若い選手を多く招集していることから、インドネシアは予選を通して最下位のままの可能性が高く、ベトナム、タイ、UAEは対戦成績が予選順位に関係しないインドネシア戦では、主力選手を休ませるなど余裕を持った日程となるのに対し、インドネシア戦が残っていないマレーシアは上位進出のためには気を抜ける試合が1試合もない状況での予選となります。

デ・パウラは本番前最後の練習試合は出場資格なし
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の初戦ととなるアラブ首長国連邦UAE戦(6月3日)まで残り1週間となった本日、マレーシア代表はバーレーンのリファーにあるナショナルスタジアムでバーレーン代表と本番前の最後の練習試合を行いますが、英字紙ニューストレイトタイムズは、国際Aマッチとして行われるこの試合にはブラジル出身で帰化選手のギリェルメ・デ・パウラは出場資格がないと報じています。
 5月25日に行われたクウェート代表との練習試合ではチーム唯一のゴールを決めたデ・パウラ選手ですが、FIFAが規定する「新しい国籍を取得」した選手が代表チームでプレーする資格として「当該協会の管轄区域において、18歳以降に少なくとも5年の居住歴がある選手」の条件を満たしていないことがその理由です。この記事によれば、デ・パウラ選手は来月6月1日にはFIFAが求める条件を満たすことになり、W杯予選にはギリギリのところで出場可能ということです。また5月25日に行われたクウェート代表との試合は国際Aマッチではなかったことから、デ・パウラ選手の出場には支障がなかったようです。
 なお、5月24日に行ったウクライナ(FIFAランキング24位)との練習試合で、バーレーン(同99位)は1-1と引き分けており、マレーシア(同153位)にとっては本番前の最後の練習試合ながら厳しい戦いになりそうです。

5月28日のニュース:W杯予選に臨む代表に「秘密兵器」?、移籍情報3題、トレンガヌのコナテがマリ代表招集

W杯予選に臨む代表に「秘密兵器」?
 6月3日から始まるFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会に向けてアラブ首長国連邦のドバイで合宿中のマレーシア代表に「秘密兵器」が投入されるのでは、とマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 ブルナマによればこの秘密兵器とは、今季はデンマーク1部で2位のFCミッティランで21試合に出場したDFディオン・コールズです。ベルギー人の父親とマレーシア人の母親を持ち、これまでも何度か代表入りの話が出ては消えていたコールズ選手ですが、所属するFCミッティランの公式ソーシャルメディアでコールズ選手が初の代表招集を受けたことを明らかにしたことから、俄然、信ぴょう性が高まっています。
 サラワク州クチン生まれのコールズ選手は慎重185cmの右サイドバックで、U19やU21ベルギー代表の経験もあるほか、ベルギー1部クラブ・ブルッヘ在籍時にはUEFAチャンピオンズリーグでのプレー経験もあります。
 左サイドバックやセンターバックのプレー経験もある185cmのコールズ選手が代表に加われば、代表の守備陣はマシュー・デイヴィーズ、ジュニオール・エルドストール、ラヴェル・コービン=オングと外国育ちながらいずれもマレーシア人の血を引く帰化選手による強力な布陣となりそうです。
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 さらにその後、FCミッティランの所属選手名簿からコールズ選手の名前が消えたことで、コールズ選手は代表入りだけでなく、そのままMリーグ1部JDTへの加入も噂されています。
 本日5月28日にはバーレーンのマナマで予選前最後の練習試合となるバーレーン戦が行われます。流石にぶっつけ本番ということはなさそうですので、この試合がコールズ選手の代表デビュー戦となるかもしれません。

移籍情報-マラッカUはブラジル出身FW2名の新加入を発表
 Mリーグ1部スーパーリーグで11位のマラッカ・ユナイテッドFCは公式Facebook上で新加入となるブラジル出身FW2選手を紹介しています。
 今季はここまで13試合で15ゴールと得点力不足に苦しむマラッカ・ユナイテッドですが、ブラジル4部のSERカシアス・ド・スルから加入するジョヴァンニ・ゴメス・ダ・シルヴァ(26)と、同じくブラジル4部のガウヴェスECから加入するアドリアーノ・アパレシド・ナルシソ(26)には1部残留に向けての活躍が期待されています。
 なお、マラッカ・ユナイテッドFCはこれに先立ち、FWステファン・ニコリッチ(モンテネグロ、今季4ゴール)とFWアレックス・ドス・サントス・コンカウヴェス(ブラジル、同3ゴール)との契約を解除しています。

移籍情報-ペラFC退団のナジルル・ナイムはサバFCへ移籍
 給料未払い問題で主力選手が次々と退団しているMリーグ1部のペラFCから新たな退団者です。同じ1部スーパーリーグのサバFCは、ペラFCを退団したDFナジルル・ナイム(28)の加入を公式Facebookで発表しています。
 ペラ州出身で2016年からペラFCでプレーするナジルル選手は、今季13試合中10試合に出場(内7試合は先発出場)しており、サバFCでも主力として活躍することが期待されています。
 各年代や代表でもプレー経験があるナジルル選手は、2013年には当時JFLのFC琉球のトライアルを受けた後に1年契約を交わしましたが、ケガのためJFLには1試合も出場することなく契約を解除しています。

移籍情報-ザフアン・アゼマンらがケランタンUに加入
 Mリーグ2部プレミアリーグのケランタン・ユナイテッドFCは、1部スーパーリーグのペナンFCよりFWザフアン・アゼマンを獲得したことをクラブの公式Facebookで告知しています。
 来月21歳になるザフアン選手は今季ここまでペナンFCに所属していたものの出場はわずか1試合にとどまっていました。マレーシアU19代表では、フル代表のアキヤ・ラシド(JDT)やニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マット(トレンガヌFC)らと共にプレーしたザフアン選手は、昨季はタイ3部のアーントーンFCに所属していましたが、新型コロナウィルスの影響などもあり契約が更新されず、今季開幕前にペナンFCに加入していました。
 またケランタン・ユナイテッドにはMリーグ1部のサバFCからMFアリアスディアス・ジャイスとDFエバン・ウェンズリー・ヴェンツェルも今シーズン終了までの期限付き移籍で獲得しています。
 両選手とも、開幕当初はチーム合流が遅れていた外国籍選手に代わってベンチ入りし、途中出場ながらも数試合にプレーしましたが、第3節に5名の外国籍選手全員が合流した後はベンチ入りもできていませんでした。

トレンガヌのコナテがマリ代表招集
 Mリーグ1部トレンガヌFCは、今季加入したMFマカン・コナテが母国マリの代表に招集されたことをクラブの公式Facebookで発表しています。コナテ選手はこれが代表初招集ということです。
 プロとしてプレーし始めて以来、ずっとこれを目標とし、待ち望んできたと話すコンテ選手は、自身がトレンガヌFCでプレーする映像を見た代表のコーチから直接、連絡を受け、6月1日から始まる代表合宿に参加するために直ちにマレーシアを出国するということです。
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 現在Mリーグ1部で2位のトレンガヌの快進撃の原動力となっているコナテ選手ですが、マリ代表の練習試合は6月15日まで組まれているということで、コナテ選手がこの最終戦まで代表チームに残れば、トレンガヌが出場し6月30日に初戦を迎えるAFCカップのグループステージへの出場が危ぶまれるなー、と思っていた矢先、国内で新規感染者数が増え始めたシンガポールサッカー協会FASがトレンガヌを含むグループI、そしてクダ・ダルル・アマンFCを含むグループHの両グループステージ開催を返上してしまいました。

5月25日のニュース:代表は2年ぶりの実戦でクウェートに惨敗、Mリーグ各クラブは第3次ワクチン接種プログラムで接種対象に、シャキル・ハムザも給料未払い問題のペラFC退団へ

代表は2年ぶりの実戦でクウェートに惨敗
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選に向けて、アラブ首長国連邦UAEのドバイで合宿中のマレーシア代表は、5月23日に現地でクウェート代表と練習試合を行い1-4と敗れています。
 2019年11月19日のW杯アジア2次予選インドネシア戦以来551日ぶりの試合となったマレーシアは、ブラジル出身で帰化選手のギリェルメ・デ・パウラをワントップに据えたフォーメーションでこの試合に臨み、21分にアフマド・アルデフィリイがペナルティーエリアの外から放ったシュートでクウェートに先制されたものの、28分にはラヴェル・コービン=オングのクロスをデ・パウラが決めて代表初ゴールで同点とし、前半を1-1で折り返しました。
 マレーシアのタン・チェンホー監督はデ・パウラとMFシャマー・クティ・アッバを除く全員を入れ替える布陣で後半に臨みました。マレーシアはこちらも初招集となった19歳のルクマン・ハキム・シャムスディンがチャンスを作るものの得点には至らず、逆に55分のファハド・アル・ハジリのゴールから13分間で3ゴールを決め、FIFAランキング148位のクウェートが同153位のマレーシアにランキング以上の差を見せつけて圧勝した試合となりました。
 マレーシアは今週金曜日5月28日にFIFAランキング99位のバーレーンとアジア2次予選ベトナム戦(6月3日)前の最後の練習試合を行います。
 
2021年5月23日
練習試合:クウェート対マレーシア@セブンズスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
クウェート 4-1 マレーシア
得点者:クウェート-アフマド・アルデフィリイ(21分)、ファハド・アル・ハジリ(55分)、シャバイブ・アルカルディ(61分)、ファハド・アル・アンサリ(68分)、マレーシア-ギリェルメ・デ・パウラ(28分)
(下は両チームの先発XI。写真はマレーシアサッカー協会FAMとクウェートサッカー協会の公式Facebookより)

Mリーグ各クラブは第3次ワクチン接種プログラムで接種対象に
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、マレーシア政府が実施するワクチン接種プログラムの第3次プログラムでMリーグ1部と2部が接種対象となると述べたと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 現在、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に向けてアラブ首長国連邦で合宿中の代表チームに加えて、6月22日に開幕する今季のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLに出場するJDTや、同じく6月29日に開幕するAFCカップに出場するクダ・ダルル・アマンFCとトレンガヌFCはクラブ主導で既に新型コロナウィルスのワクチン接種を終えていますが、マレーシア政府は「より相応しい」個人や団体を優先してワクチン接種を行なっていることから、Mリーグ各クラブは第3次プログラム実施の際にワクチン接種の対象となる見込みであると述べています。
 またこれとは別件で、アブドル・ガニCEOは、Mリーグの日程変更についても言及しています。現在、マレーシア政府は全ての渡航者に対し14日間の検疫隔離を求めていますが、W杯アジア2次予選6月15日まで、JDTが出場しタイで開催されるACLは7月7日まで、クダとトレンガヌが出場しシンガポールで開催されるAFCカップは7月6日までとなっています。このW杯予選、ACLそしてAFCカップに合わせて現在中断中の1部スーパーリーグの再開予定日は7月9日、2部プレミアリーグの再開予定日は6月18日となっていることから、14日の検疫隔離期間後に各選手やクラブが練習の時間が取れるよう新たな日程を今週中に発表するとアブドル・ガニCEOは述べています。

シャキル・ハムザも給料未払い問題のペラFC退団へ
 給料未払い問題が発覚後、既に主力選手4名が退団したMリーグ1部スーパーリーグのペラFCからさらに退団者が出そうです。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、シンガポール出身のDFシャキル・ハムザが既にクラブと退団で合意し、シンガポール1部Sリーグのタンジョン・パガーかライオンシティセイラーズに加入が予想されているということです。
 5月30日までがMリーグのトランスファーウィンドウ期間ですが、この期間中にペラFCからは代表でもプレーするギリェルメ・デ・パウラとシャールル・サアドがJDTへ、ケニー・パッラジとJ・パルティバンがKLシティへ既に移籍しています。
 また、この記事を取り上げたサッカー専門サイトのヴォケットFCは、DFナジルル・ナイムやFWフィルダウス・サイヤディもスーパーリーグの他のクラブが獲得を目指しているとし、ペラFCからの選手の流失はまだまだ止まりそうにありません。

5月23日のニュース:ペラ州FAは新オーナーがペラFCのユニフォームをピンク色にすることを容認、海外組がドバイの代表候補合宿に合流

ペラ州FAは新オーナーがペラFCのユニフォームをピンク色にすることを容認
 Mリーグ1部ペラFCの新オーナー候補にコスメ会社社長のハスミザ・オスマン氏が挙がっていることに関連し、ペラ州サッカー協会(ペラ州FA)はペラFCの再生のためにはユニフォームをピンク色にすることも厭わないと話しています。
 給料未払い問題により主力選手が次々に退団しているペラFCは、現在新たなオーナーを探している最中ですが、その候補に新オーナー候補に資産家でコスメ会社社長のドクター・ヴィダことハスミザ・オスマン氏が挙がっています。かつてケランタンFCのメインスポンサーとして2016年から2017年にかけて1600万リンギ(およそ4億2000万円)を支援したハスミザ氏は、本拠地のスルタン・モハマド4世スタジアムをピンク色に塗装し、またピンク色のユニフォームを採用するなどしたことがあることから、ハスミザ氏のインスタグラムにはペラFCサポーターからは新オーナーとしてチームの救済を求める声が上がる一方で、ユニフォームをピンク色にはしないで欲しいとコメントが見られました。
 この件についてペラ州FAのヤザン・モハマド会長代理は、現時点ではハスミザ氏からはペラFC買収について正式な交渉を開始する依頼は受け取っていないとする一方で、このハスミザ氏を含め複数の個人や企業と買収に関する話し合いを行っていることを認め、その際には伝統的な黄色と黒のユニフォームが維持されれば、それ以外にはピンク色をユニフォームに採用することは厭わないとしています。

海外組がドバイの代表候補合宿に合流
 マレーシアの通信社ブルナマは、海外組の1人のルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)が合流し、アラブ首長国UAEのドバイで行われている代表候補合宿に参加する全選手が揃ったと報じています。今回の代表候補合宿の海外組は、ルクマン選手のほか、リリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスル・ジェッツ)、ドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)、ジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリーFC)の総勢4名です。
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場するマレーシア代表は、集中開催地となっているUAEで代表候補合宿を行っていますが、タン・チェンホー代表監督にとっては、自身が招集したい選手全員を集めることができた代表候補合宿は2019年11月以来となります。
 今回の代表候補合宿ではいずれも帰化選手のギリェルメ・デ・パウラ(JDT)とリリドン・クラスニキが代表初招集となっていますが、タン監督はこの両選手も含め全員を5月23日に行うクウェート戦、5月28日に行うバーレーン戦の練習試合2試合で精査し、予選で起用する選手を決めたいとタン監督はメディアとのオンライン記者会見で話しています。
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 国内メディアでは海外組への期待が高まっていますが、3月に閉幕したタイ1部リーグレギュラーとして試合に出続けたジュニオール・エルドストールを除けば、ケガでシーズン後半を棒に振ったドミンク・タン、今季のベルギー1部リーグでは2試合の出場のみのルクマン・ハキム・シャムスディン、そして今季は全て途中出場で最長でも45分しかプレーしていないリリドン・クラスニキと、海外にいるだけで出場機会がない選手に過度な期待をかけるのは、試合に出ない事実には目を向けず海外にいるだけ組をもてはやしたどこかの国のメディアと似ています。

5月21日のニュース:代表が合宿地のアラブ首長国連邦へ出発、MFLはMリーグ各クラブにより厳格なスポーツバブル内での練習を義務付け、JDTはFWダ・シルヴァの完全移籍とDFローリーの加入を発表

代表が合宿地のアラブ首長国連邦へ出発
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場するマレーシア代表の候補選手と監督、コーチ他の関係者を含めた総勢45名が5月20日に代表合宿地のアラブ首長国連邦UAEのドバイへ出発したことを伝えています。
 FAMのハミディン・アミン会長に率いられたマレーシア代表団は、代表の公式エアラインでもあるマレーシア航空が用意したチャーター機。に搭乗し、クアラルンプール国際空港KLIAを午前9時に出発しました。
 代表チームはUAEでの合宿期間中、5月28日にはバーレーンのマナマでバーレーン代表との練習試合が予定されていますが、この際のドバイーマナマ間、マナマードバイ間の移動もマレーシア航空がチャーター便を用意してチームの移動をサポートするということです。
 またW杯予選終了後にはマレーシア航空が用意する、チームの愛称ハリマウ・マラヤ(日本語では「マラヤの虎」)に合わせて黄色と黒色主体に塗装されたチャーター便で帰国する予定ということです
(下は代表がマレーシア帰国時に搭乗予定のハリマウ・マラヤ仕様のマレーシア航空A330-300型機)

MFLはMリーグ各クラブにより厳格なスポーツバブル内での練習を義務付け
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、移動制限令MCOの施行が6月7日までとなったことを受け、Mリーグ各クラブに対してMCO施行地域でのチームトレーニングは合宿形式での実施のみ許可とすることを公式サイトで発表しています。
 MFLは今年2月15日より、チーム全員が一箇所に合宿し、外部との接触を遮断して練習を行う「合宿ベース」型と、選手は自宅から練習に通うことができる一方で、自宅と練習場以外への立ち寄り、さらに家族以外との接触や自宅への訪問者受け入れを禁じる「自宅ベース」型の二つのスポーツバブルを設け、各チームにはいずれかの形式を選択できるようにしていました。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、新型コロナウィルスの新規感染者数が連日記録を更新する状況下で、国家安全保障委員会NSC、国家スポーツ評議会MSN、国内のスポーツを統括する青年スポーツ省、そして保健省との会合を重ねた結果、MCO施行地域での「自宅ベース」型スポーツバブルの有効性が疑わしく、さらに感染拡大に寄与する可能性が高いとして、MCO施行地域での「自宅ベース」型の実施を禁止するとしています。
 さらにアブドル・ガニCEOは各クラブに対して、選手や監督、コーチだけでなく練習に関わる全員がPCR検査を受けること、合宿ベース型実施の際の練習場とチームの宿泊先をMFLに提出することを求め、その申請内容に基づいてMFLが練習を許可する方式とするとしています。
 この他、MCOより規制が緩和されている「条件付き移動制限令」CMCOが施行されているサラワク州とサバ州に本拠地を持つチームのうち、サバ州コタキナバルを本拠地とする1部スーパーリーグのサバFCは今後も自宅ベース型での練習が可能とする一方で、いずれも2部プレミアリーグ所属でサラワク州クチンを本拠地とするサラワク・ユナイテッドFCとクチンシティFCについては、サラワク州政府の危機管理委員会があらゆるスポーツ活動を現在禁止していることから、合宿ベース形式での練習を行うように求めています。
 またMCOよりさらに厳格な「強化移動制限令」TMCOが施行されているクダ州を本拠地とする1部スーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCに対してはクダ州外のMCOあるいはCMCOが施行されている地域での合宿ベース形式で練習を行うよう求めています。

JDTはFWベルグソン・ダ・シルヴァの完全移籍とDFシェーン・ローリーの加入を発表
 1部スーパーリーグ首位のJDTは、期限付きで移籍していたブラジル出身のベルグソン・ダ・シルヴァの完全移籍とオーストラリア出身のDFシェーン・ローリーの加入を公式Facebookで発表しています。
 今季開幕直後にブラジルのフォルタレーザECからJDTに加入したダ・シルヴァ選手は第3節から出場し、第13節までの11試合で11ゴールを挙げていますが、6月30日までの期限付き移籍での加入であったことから、その後の契約が更新されるのかどうかに注目が集まっていました。
 一方、カタール1部カタール・スターズ・リーグのアル・アハリSCから新加入したローリー選手はオーストラリア出身ですが、リーズ・ユナイテッド、シェフィールド・ユナイテッド、ミルウォール、レイトン・オリエントなど英国のクラブでのプレー経験やオーストラリア1部Aリーグのパース・グローリーでのプレー経験もあるということです。
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 1989年生まれのローリー選手は2005年に英国1部のアストン・ヴィラと契約しましたが、その時に一緒に契約したのが、やはり1989年生まれで現在は同じMリーグ1部のトレンガヌFCでプレーするクリス・ハードだったということです。(ハード選手はケガのため長期離脱中です。)
 またJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下はさらなる補強として、英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFCのU23でプレーするMFナサニエル・シオ・ホング・ワンとも契約したことを明かし、後半戦開幕時にはチームに合流予定であるとしています。21歳のシオ選手はJDTを退団したハリス・ハルン選手の抜けた穴を埋める選手だとしており、母親がマレーシア人であることからマレーシア人選手として登録されると述べている他、さらにスペインのラ・リガからも選手が加入すると話しています。



 
 

5月14日のニュース:タン代表監督の選手選考への批判を前代表監督が擁護、サラワク・ユナイテッドでも給料未払い問題発覚

タン代表監督の選手選考への批判を前代表監督が擁護
 5月16日から始まる合宿を前に代表候補25名が先日発表されましたが、その顔ぶれが明らかになると所属しているクラブでのリーグ出場時間が少ない選手が複数選考されたことにソーシャルメディアなどで疑問の声が上がりました。
 こういった声に対して、2007年から2009年まで代表監督を務めたB・サティアナタン現サラワク・ユナイテッドテクニカルディレクター(TD)は、同様の状況なら自分も同じような選手選考を行うだろうと擁護する発言をしています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版の取材に対し、サティアナタンTDは代表に招集する選手の選考は代表チームでプレーすることに向いているかどうかに基づいて行われると話し、例え今季のリーグで活躍していても、タン監督が代表チームで求めていることができなければ召集する意味がないとし、国際試合と国内リーグは全く別物であること、そして特に今回は新型コロナウィルスの影響で準備期間が短いことなどから、タン監督は自分が信用でき、かつ自身の戦術や戦略を十分に理解している選手を招集したのだろうと述べています。
 この件は代表候補25名の中にアキヤ・ラシドとシャフィク・アフマッド(いずれもJDT)が含まれていたことが事の発端です。今季第13節終了時点でアキヤ選手は出場4試合(出場時間合計30分)、シャフィク選手に至っては出場が1試合でその試合も90分からの出場だったことから、一部サポーターからはこの両選手を代表に召集する価値があるのかと疑問の声が上がっていました。

サラワク・ユナイテッドでも給料未払い問題発覚
 Mリーグ1部スーパーリーグのペラFCの給料未払い問題についてこのブログでもここ数日間、取り上げていますが、2部プレミアリーグで首位のサラワク・ユナイテッドでも同様の問題が起こっていると、マレーシア語紙ハリアン・メトロ電子版が報じています。
 昨季はスランゴールでプレーし、今季からサラワクでプレーするサンドロ・ダ・シルヴァは今年1月と2月の給料については全額の70%しか受け取っておらず、3月以降の給料については全く支払われていないという事です。また住居や自家用車の手当ても3月以降は支払われておらず、その総額は数10万リンギにということです。
 サンドロ選手の弁護士はサラワク・ユナイテッドに対して5月22日を期限として、未払い給料の支払いを求めるとしており、その期限が守られない場合にはFIFAへの提訴を行うという事です。
 またスポーツサイトのチャカップスカンでは、サンドロ選手以外の選手についても給料未払いが起こっていると報じられており、イスラム教の断食月明け休み後には選手の退団の可能性があるという事です。


 

5月11日のニュース:W杯アジア2次予選へ向けて代表候補25名発表、JDTのハリス主将が退団、JDT得点王のベルグソンの去就に注目が集まる、PJシティはトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手獲得の意思なし

W杯アジア2次予選へ向けて代表候補25名が発表
 マレーシアサッカー協会はFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場する代表候補25名を発表しています。この25名は5月16日から行われる合宿を経て、6月3日のアラブ首長国戦を皮切りに、6月11日はベトナムと、6月15日にはタイと集中開催地となっているアラブ首長国のドバイで対戦します。25名中19名が3月に行われた代表候補合宿に引き続き召集されています。
 3月の合宿に召集されたメンバーからはシャーレル・フィクリ(スランゴール)とシャルル・サアド(JDT)がケガのため外れた一方で、サミュエル・サマーヴィル(ペナン)、帰化選手のリリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)、アリフ・アイマン(JDT)の3名が初招集となった他、3月の合宿にはケガのため参加できなかったサファウィ・ラシド(JDT)や国外でプレーするドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)、ジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリFC)の3名が代表復帰を復帰しています。
 代表チームは5月16日から19日までブキジャリル国立競技場で合宿を行った後、ドバイ入りし5月23日にはクウェート代表と、そして5月28日にはバーレーンのマナマでバーレン代表との練習試合を行う予定です。
 なおマレーシア国外でプレーするクラスニキ、タン、エルドストール各選手とルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)はいずれも滞在国から直接、ドバイ入りし、現地で代表チームに合流するということです。
 マレーシアはアジア2次予選G組でこれまで5試合を戦い3勝0分2敗の勝点8で、グループ首位のベトナム(勝点11)に次ぐ2位となっており、3位タイ(勝点8)、4位UAE(勝点6)、5位インドネシア(勝点0)と続いています。
 なお今回の予選のマレーシアの試合日程は以下の通りです。
6月3日(木)UAE戦@ザビールスタジアム、ドバイ
6月11日(金)ベトナム戦@アール・マクトゥーム・スタジアム、ドバイ
6月15日(火)タイ戦@アール・マクトゥーム・スタジアム、ドバイ
*試合開始はいずれもマレーシア時間深夜12時45分(現地時間午後8時45分)

マレーシア代表候補合宿(5月16日〜)参加メンバー

氏名年齢所属
GKファリザル・マーリアス35JDT
カイルルアズハン・カリド32SEL
サミュエル・サマーヴィル27PNG
DFマシュー・デイヴィーズ26JDT
アイディル・ザフアン34JDT
アダム・ノー・アズリン25JDT
ラヴェル・コービン=オング30JDT
シャマー・クティ・アバ24JDT
シャミー・サファリ23SEL
イルファン・ザカリア26KL
リザル・ガザリ29KDA
ジュニオール・エルドストール30CHO
ドミニク・タン24POL
MFナズミ・ファイズ・マンソル27JDT
モハマドゥ・スマレ27JDT
ブレンダン・ガン33SEL
ノー・アザム・アジー26PHG
リリドン・クラスニキ29NCJ
FWアキヤ・ラシド22JDT
シャフィク・アフマド26JDT
サファウィ・ラシド24JDT
アリフ・アイマン19JDT
ギリェルメ・デ・パウラ35JDT
ルクマン・ハキム19KOR
ノーシャルル・イドラン35SU
所属クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PEN-ペナン、KL-KLシティ、SU-サラワク・ユナイテッド、CHO-チョンブリーFC(タイ)、POL-ポリス・テロFC(タイ)、NCJ-ニューカッスルジェッツ(オーストラリア)、KOR-KVコルトレイク(ベルギー)

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 JDTからは13名が選ばれていますが、リリドン・クラスニキはニューカッスルジェッツへJDTのセカンドチームJDT IIから期限付き移籍しており、クラスニキ選手を含めれば25名中14名がJDTとなります。現在リーグ2位のトレンガヌからは1名も召集されず、3位のクダ・ダルル・アマンと4位のペナンからそれぞれ1名ずつの召集となった一方で、今季はMリーグでのプレー時間が少ないアキヤ・ラシドやシャフィク・アフマド、また国外でプレーしながら十分な出場機会が得られていないルクマン・ハキムやリリドン・クラスニキらも召集したのは、かつて日本が「海外組」を偏重した風潮とも重なりますが、果たしてこのメンバーでどこまでいけるのか。W杯最終予選進出は現実的ではありませんが、アジアカップ出場に少しでも近づけるようグループ3位が目標でしょうか。

JDTのハリス・ハルン主将が退団
 Mリーグ1部スーパーリーグで首位のJDTは公式Facebook上で、主将でシンガポール出身のハリス・ハルンの退団を発表しています。
 シンガポール代表でも史上最年少の16歳で代表デビューしたハリス選手は、2012年からMリーグに参加したシンガポールサッカー協会FASが運営したシンガポールXIIでプレーし、2013年にMリーグで優勝を果たすとその年の11月にはJDTと契約、2014年シーズンのデビュー以来7年間JDT一筋でプレーし、JDTが昨季2020年に成し遂げたMリーグ1部スーパーリーグ7連覇の中心選手として活躍し、2015年のAFCカップ優勝も経験しています。
 守備的MFとして、JDT在籍7年間で197試合出場(試合出場時間は1万5367分)、12ゴール5アシストを記録したハリス選手は、新型コロナウィルス影響もあり家族と時間を過ごすためにシンガポールへ戻ることを退団の理由としています。
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 ハリス選手の退団に際して、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は戻ってくるため喉はいつでも空いている、と述べていますが、ハリス選手の前任者でもあるJDT元主将のサフィク・ラヒムが退団する際にも同じことを述べ、今季そのサフィク選手が33歳でJDTに3年ぶりに復帰していることから、コロナ禍が下火になれば現在30歳のハリス選手の復帰も十分に有り得ます。
(下はJDTの公式Facebookに掲載されたハリス・ハルン首相の獲得トロフィー

JDT得点王のベルグソンの去就に注目が集まる
 今季途中からJDTに加入したもののここまで8ゴールとリーグ2位の得点を挙げているFWベルグソン・ダ・シルヴァの期限付き契約が今月5月末に切れることからその去就に注目が集まっています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、JDTは4ヶ月間の期限付きで移籍してきたベルグソン選手との契約延長についてはまだ何も決定していないと報じる一方、ベンヤミン・モラ監督がなんとしても残留して欲しいと話しているとも報じています。
 「チームの得点王としてほぼ全ての試合でゴールを決めているベルグソン選手はチームにとっても、監督を務める自分にとっても重要だ。彼にはチームに残って欲しいが、その決定権は私ではなく、チームのスポーツダイレクターとオーナーにある。」と述べたモラ監督は、チームにとって貴重な財産であり、残留を希望することを強く望んでいると話しています。

PJシティはトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手獲得の意思なし
 スーパーリーグは第13節を終えましたが、外国籍選手が一人もいないPJシティは現在2位のトレンガヌや4位のペナンに引き分けるなど上位相手とも引き分けるなど、3勝6分4敗の8位と開幕前の下馬評を覆す善戦を繰り広げています。
 PJシティのP・マニアム監督は現在のチームノパファーマンスに満足していると話し、7月初旬まで5月3日から始まっているトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手を獲得する予定はないと話す一方で、ケガから復帰の目処が立っていないエースのダレン・ロックに代わるマレーシア人ストライカーを物色中と話しています。

5月8日のニュース:W杯予選-タン代表監督はケガの昨季のリーグ得点王を招集断念、ペラFC主将はスリ・パハンからの獲得オファーを認める、JDTがスーパーリーグ4クラブに選手を期限付き移籍

W杯予選-タン代表監督はケガの昨季のリーグ得点王を招集断念
 5月16日から予定される代表候補合宿を前に、タン・チェンホー代表監督はケガを負ったFWシャーレル・フィクリ(スランゴール)を招集しないことを明らかにしています。シャーレル選手は3月に行われた代表候補合宿にも招集されていました。
 5月5日のMリーグ1部第12節スリ・パハンFC戦の後半から途中出場したシャーレル選手は、ムスリム・アフマッドのタックルを受けて負傷し、プレー時間わずか10分で交代し、タンカで運ばれて退場しましたが、その後、腓骨の骨折が明らかになり、完治まで6ヶ月から8ヶ月と診断されています。
 マレーシアの通信社ブルナマの取材に対して、昨季2020年のスーパーリーグではペラでプレーし、マレーシア人選手として最多の11ゴールを挙げたシャーレル選手が招集できないことはチームに取って痛手であり、W杯予選に向けて別の戦略を立てる必要があると話したタン監督は、ギリェルメ・デ・パウラ(ペラ)、シャフィク・アフマド(JDT)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(サラワク・ユナイテッド)、ルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)らがシャーレル選手に代わるストライカー候補であると述べています。

ペラFC主将はスリ・パハンからの獲得オファーを認める
 Mリーグ1部スーパーリーグで今季は低迷するペラFCの主将で代表DFシャールル・サアドが同じスーパーリーグのスリ・パハンFCから獲得オファーを受けていることを、スポーツ専門サイトスタジアムアストロとのインタビューで明かしています。
 今季はケガで出遅れ、5月5日のスーパーリーグ第12節PJシティ戦が今季2試合目の出場となったシャールル選手ですが、移籍についてはスリ・パハンFCからのオファーを受けていることは認めながらも、今はまだ何も決定していないとして、現在はペラFCの選手として目の前の試合に集中したいとインタビューで答えています。
 ペラFCはシーズン開幕時から給料未払いが噂されており、5月3日から開いているトランスファーウィンドウ期間中に主力選手が流出するのではとソーシャルメディア上では話題になっており、今回のスタジアムアストロのインタビューはそんな中で行われたものです。ちなみに今週末の第13節でペラFCは、新加入のマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)ら新加入の選手らの活躍で前節第12節にスランゴールFCと引き分けたスリ・パハンFCと対戦します。

JDTがスーパーリーグ4クラブに選手を期限付き移籍
 Mリーグ1部スーパーリーグで首位のJDTは公式Facebook上で、同じスーパーリーグの4クラブへ選手を期限付きで移籍させることを発表しています。
 アリスター・エドワーズ テクニカルディレクター名で発表された告知では、サバ(現在リーグ7位)、マラッカ・ユナイテッド(同10位)、スリ・パハン(同11位)、UITM(同12位)が移籍先として明らかにされています。
 Mリーグは5月3日から5月30日までが今年2度目のトランスファーウィンドウ期間となっています。
 突然行われたこの告知の真意は不明で、JDTのどの選手が移籍するのかは発表になっていませんが、代表候補合宿に召集されているJDT所属の選手の中には、シャフィク・アフマドやアキヤ・ラシドなど試合出場時間が十分に確保できていない選手もいるので、この辺りの選手が移籍する可能性があります。また「飼い殺し」状態の選手を移籍させることで、下部組織からさらに若い選手の昇格なども見越しての戦略とも考えられます。

4月24日のニュース:Mリーグ1部各クラブの高額プレーヤーランキング、エルドストールとスウィラッドは来季もタイ1部でプレーが決定、サッカー協会は国外でプレーする代表候補のワクチン接種費用負担へ

Mリーグ1部各クラブの高額プレーヤーランキング
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、今季のMリーグでプレーする高額プレーヤーランキングを掲載しています。
 ドイツの移籍情報サイトであるトランスファーマルクトに掲載された選手の「市場価値」データをもとに書かれた記事によると、今季のMリーグ1部スーパーリーグ各クラブで最も市場価値の高い選手12人の市場価値総額は2200万リンギ(およそ5億7700万円)ということです。では高額順に選手を見ていきましょう。(カッコ)内はポジション、年齢、、国籍、所属クラブです。

  1. サム・ジョンソン(FW、27歳、リベリア、サバ)330万リンギ(およそ8660万円)
  2. ゴンザロ・カブレラ(FW、32歳、アルゼンチン/イラク、JDT)300万リンギ
  3. ナナ・ポク(FW、28歳、ガーナ、UITM)200万リンギ
  4. マカン・コナテ(攻撃的MF、29歳、マリ、トレンガヌ)190万リンギ
  5. オリヴァー・バフ(DF、28歳、スイス、スランゴール)170万リンギ
  6. イェウヘン・ボハシュヴィリ(FW、28歳、ウクライナ、スリ・パハン)160万リンギ
  7. バドロル・バクティアル(MF、33歳、マレーシア、クダ・ダルル・アマン)150万リンギ
    ラビー・アタヤ(MF、31歳、レバノン、クダ・ダルル・アマン)150万リンギ
    クパー・シャーマン(FW、29歳、リベリア、クダ・ダルル・アマン)150万リンギ
    レナン・アルヴェス(DF、28歳、ブラジル、クダ・ダルル・アマン)150万リンギ
  8. カレッカ(MF、25歳、ブラジル、ペラ)150万リンギ
    ギリェルメ・デ・パウラ(FW、マレーシア/ブラジル、ペラ)150万リンギ
    シャルル・サアド(DF、27歳、マレーシア、ペラ)150万リンギ
  9. ドミニク・ダ・シルヴァ(FW、31歳、モーリタニア、KLシティ)150万リンギ
    ロメル・モラレス(MF、23歳、コロンビア、KLシティ)150万リンギ
  10. アレックス・ドス・サントス・ゴンサウヴェス(FW、30歳、ブラジル、マラッカ・ユナイテッド)
  11. シェリディン・ボボエフ(FW、22歳、タジキスタン、ペナン)120万リンギ
  12. K・バラトクマル(MF、29歳、マレーシア、PJシティ)76万6000リンギ

 リベリア代表でもあり、昨季はアメリカMLSのレアル・ソルトレークでプレーしたサム・ジョンソンがMリーグでも最も市場価値の高い選手でした。
 外国籍選手が1人もいないPJシティはマレーシア人のK・バラトクマルがチームで最も市場価値が高いの当然ですが、クダのバドロル・バクティアルやペラのシャルル・サアドの名前が含まれているのは驚きです。

エルドストールとスウィラッドは来季もタイ1部でプレーが決定
 先日終了したタイリーグ2020/2021年シーズンでは12位となったチョンブリーFCで主力選手として活躍したもとマレーシア代表のジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)が契約を延長したことがクラブの公式Facebookで告知されています。
 今季途中から加入したエルドストール選手はそのレギュラーポジションを獲得するとほぼ毎試合で先発出場し、FAカップ準決勝では決勝ゴールを挙げて、チームの決勝進出にも貢献しました。(ただしチェンライ・ユナイテッドFCとの対戦となったFAカップ決勝は累積警告による出場停止処分で出場できませんでした。)
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 父親がスウェーデン出身、母親がマレーシアのサバ州出身のエルドストール選手は2018年を最後にマレーシアを離れて、英国7部リーグでプレーしていましたが、今年2月にチョンブリーFCに加入し、東南アジアに戻ってきました。今季のタイでの活躍で、6月から再開するFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に出場する代表チームでも主力としてプレーすることが期待されています。

 また、今季途中からタイ2部リーグのノーンブワ・ピッチャヤFCに加入したニック・スウィラッドも契約が延長されたようだと、英字紙スターのT・アヴィネシワラン記者がツイートしています。スウィラッド選手が加入したノーンブワ・ピッチャヤFCは今季2部で21勝12分1敗の成績で2位のチェンマイ・ユナイテッドFCに勝点差6をつけて優勝し、来季は1部へ昇格します。
 昨季はMリーグ1部のスランゴールでプレーしたスウィラッド選手は、シーズン終了後に退団し、KLシティ入りの噂などがあったものの結局は実膳せず、今季途中からタイリーグ2部のノーンブワ・ピッチャヤFCに加入し、今季最終戦では移籍後初ゴールを決めていました。
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 エルドストール、スウィラッド両選手はDFですが、タイリーグ1部にはもう1人のマレーシア人DFがプレーしています。そのドミニク・タン(ポリス・テロFC)は、今季終盤はケガによる手術を受け、出場がありませんでしたが、来季はタイ移籍3年目となることから、その去就に注目したいです。

サッカー協会は国外でプレーする代表候補のワクチン接種費用負担へ
 マレーシアサッカー協会FAMはマレーシア国外でプレーする代表候補選手のワクチン接種費用を負担する用意があると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、マレーシア国内同様他国でもワクチンの供給量が少ないことから自国民を優先してワクチン接種が行われているとして、費用を払うことで摂取を受けやすくなるのであれば、FAMがその費用を負担する用意があると話しています。
 「どのメーカーのワクチンかは選手が滞在する国の政府が決めることであり、そこにはFAMは完治しないが、国外でプレーする選手がW杯予選に出場する代表チームに招集された場合には、ドバイで行われる合宿に直接参加することが望ましく、そのためにはチーム合流前にワクチン接種を完了している必要がある。」とスチュアート事務局長は話しています。
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 いわゆる「国内組」は大半の選手が既に1回目の接種を終えており、ドバイで予定されているW杯予選前の合宿に出発する前には監督やコーチを含めた合宿参加者全員が2回目の接種も終える予定になっています。「海外組」がワクチン接種が終わっていないままドバイで国内組に合流することは考えられないことから、FAMは合流前のワクチン接種に拘っています。
 ここで言う海外組とはこの前のニュースでも取り上げたジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリーFC)、ドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)、リリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)そしてルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)を指しています。