11月17日のニュース(2):スズキカップ出場の代表候補28名発表

スズキカップ出場の代表候補28名発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトなどで、12月5日に開幕する東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会に出場するマレーシア代表候補28名と代替追加候補3名を発表しています。
 この代表候補は来週11月22日からスランゴール州プタリンジャヤにあるFAM本部に隣接する施設で始まる合宿に参加しますが、明日11月18日にはマレーシアカップ準々決勝第2戦が行われることから、11月22日の合宿初日にはマレーシアカップ準決勝に残る4チーム以外のチームに所属する選手のみが招集となります。
 また11月22日と26日にはホームアンドアウェイ形式で行われるマレーシアカップ準決勝が予定されており、ここで敗退したチームの選手は11月28日に、そして11月30日の決勝に出場したチームの選手は翌12月1日にそれぞれ合宿に合流するということです。
 また「海外組」については所属クラブが合流日を決定するということですが、タイ1部でプレーするドミニク・タン(ポリス・テロFC)とジュニオール・エルドストール(チョンブリーFC)はリーグ第15節が11月27日と28日に予定されていることからチーム合流はこれ以降になりそうです。またデンマーク1部のFCミッティランでプレーするディオン・クールズは、デンマークカップ準々決勝となる11月13日のブレンビーIF戦後にデンマーク国内リーグが冬季オフ期間に入ることから早期の合流が期待されています。またベルギー1部のKVコルトレイクでプレーするルクマン・ハキム・シャムスディンはFIFAマッチデー期間外に行われたAFC U23アジアカップ予選にも出場していたので、こちらも代表合流がギリギリになることはなさそうです。
 タン・チェンホー代表監督は30人登録、試合当日のベンチ入り18名となっている今回のスズキカップ2020年大会に24名で臨むと話しており、今回招集される28名をさらに24名に絞り込んだ後、12月3日に隣国シンガポール入りするということです。
 なおスズキカップ2020年大会ではB組に入っているマレーシアのグループステージの試合日程は以下の通りです。
12月6日(月)対カンボジア@ビシャンスタジアム(午後5時30分)
12月9日(木)対ラオス@ビシャンスタジアム(午後5時30分)
12月12日(日)対ベトナム@ビシャンスタジアム(午後8時30分)
12月19日(日)対インドネシア@シンガポール国立競技場(午後8時30分)
 また2試合ずつ行われる準決勝と決勝は準決勝第1戦が12月22日または23日、第2戦が12月25日または26日、決勝は第1戦が12月29日、第2戦が2022年1月1日にいずれもシンガポール国立競技場で開催される予定です。
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 得点力不足に苦しむ代表に2人のストライカーが戻ってきます。いずれもケガのため今季リーグ戦では出場試合数が少なく6月のW杯予選には出場できなかったダレン・ロック(PJシティFC)とシャーれる・フィクリ(スランゴールFC)の復帰は今年2021年の代表戦の総得点4(7試合)ととにかく点が取れない代表にとっては朗報です。また総失点21と崩壊した守備陣には人材難のセンターバックにシャールル・サアド(JDT)がケガから復帰します。6月のW杯予選には出場できなかったため、ディオン・クールズあるいはジュニオール・エルドストールらとは初めて組むことになりますが、アイディル・ザフアン(JDT)とイルファン・ザカリア(KLシティFC-ただし今回はケガのため招集されていません)のコンビよりは安定感がありそうです。
 またAFC U23アジアカップ2022年大会の出場権を獲得したU22代表からは既にA代表でプレーするルクマン・ハキムに加えてムカイリ・アジマル(スランゴールFC)、クェンティン・チェン(ペナンFC)、アズリ・アブドル・ガニ(ペラFC)が昇格している点も目を引きます。
 その一方でU22代表に招集されながらチームがこれを拒否したアリフ・アイマンを筆頭に、ラヴェル・コービン=オング、マシュー・デイヴィーズ、ナズミ・ファイズ、そしてファリザル・マーリアスらこれまで代表の常連だったJDTの選手が招集されていない点も少々気になります。

スズキカップ2020年大会代表候補

氏名年齢所属
1. アブドル・ラザク34JDT
2. シャールル・サアド28JDT
3. サファウィ・ラシド24JDT
4.アキヤ・ラシド22JDT
5.モハマドゥ・スマレ27JDT
6.シャフィク・アフマド26JDT
7. ギリェルメ・デ・パウラ35JDT
8. リザル・ガザリ29クダ
9.アリフ・ファルハン25クダ
10.バドロル・バクティアル33クダ
11.ファイヤド・ズルキフリ23クダ
12.カイルルアズハン・カリド32スランゴール
13.シャミ・サファリ23スランゴール
14. ムカイリ・アジマル20スランゴール
15. シャーレル・フィクリ27スランゴール
16.アクラム・マヒナン28KLシティ
17.ケニー・パッラジ28KLシティ
18. アリフ・ファジラー25トレンガヌ
19. ファイサル・ハリム23トレンガヌ
20.ダレン・ロック31PJシティ
21. コギレスワラン・ラジ23PJシティ
22.カイルル・ファミ・チェ・マット32マラッカ
23. クェンティン・チェン22ペナン
24.アズリ・アブドル・ガニ22ペラ
25.ジュニオール・エルドストール30チョンブリーFC
26.ドミニク・タン24ポリス・テロFC
27.ルクマン・ハキム・シャムスディン19KVコルトレイク
28.ディオン・クールズ25FCミッティラン

代替招集候補

氏名年齢PASUKAN
1.カラムラー・アル=ファイズ26PJシティ
2.ロドニー・ケルヴィン25クダ
3.ハキミ・アブドラ22トレンガヌ

11月12日のニュース:アジアカップ最終予選のマレーシア開催案を青年スポーツ省が承認、プロ選手会がサラワク・ユナイテッドFCの選手からの給料未払いの訴えを受理、U23アジアカップ予選から帰国のU22代表は検疫隔離期間が1週間延長に

アジアカップ予選のマレーシア開催案を青年スポーツ省が承認
 AFCアジアカップ2023年大会最終予選は来年6月に実施される予定ですが、最終予選に残った24チームを6つのグループに分けて開催されることが決まっています。AFCは最終予選開催国の立候補を募るとしており、多くのサポーターの声援を得て予選突破を目指すマレーシアサッカー協会FAMは集中開催地の一つとして立候補するため、政府の承認を待っていましたが、マレーシアの通信社ブルナマは国内スポーツを統括する青年スポーツ省がFAMの予選開催案を承認したと報じています。
 FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長が明らかにしたところによると、最終予選開催の立候補手続きは最終予選の組み合わせ抽選が行われれる来年2022年2月以降に始まり、抽選後に決定する予選組内でマレーシアが集中開催地として立候補する唯一の国となるのか、あるいは同じ予選組内で他の国も同様に立候補してくるのかどうか、という点が焦点になるということです。現在は試合会場や練習場、さらには宿泊施設などについて、新型コロナ感染予防のための標準作業手順SOPに従いながら、確保のための準備を進めているということです。
 またサイフディン事務局長はアジアカップ予選の費用は全てFAMが負担し、政府の公的支援を受けることはないことを改めて強調していますが、これは当初、FAMが予選開催希望を表明した際に青年スポーツ省のアフマド・ファイザル・アズム大臣が「新型コロナ後の経済復興が政府の最優先課題でありアジアカップ予選開催の費用を支援する余裕が政府にない」と述べたことを意識してのことです。サイフディンFAM事務局長はさらにアジアカップ予選開催により国外からの旅行者がマレーシア国内で宿泊や移動などにお金を落とせば、それはマレーシア経済を支援することにもなるとも述べて、アジアカップ予選の自国開催の利点も強調しています。
 マレーシアは東南アジアの他国と共同開催となった2007年大会以来のアジアカップ出場を目指していますが、この自国開催枠での出場を除くと、予選を突破して自力で本選に出場したのは1980年のクウェート大会まで遡らなければなりません。

プロ選手会がサラワク・ユナイテッドFCの選手からの給料未払いの訴えを受理
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMは公式ツイッター上で、マレーシアカップのグループステージを突破して準々決勝に進出したサラワク・ユナイテッドFCの選手から給料未払いに関する訴えを正式に受理し、選手に代わってサラワク・ユナイテッドFCに接触していることを明らかにしています。
 サラワク・ユナイテッドFCで給料未払いが怒っていることはこのブログでも何度か取り上げましたが、マレーシアサッカー協会FAM、そしてマレーシアプロサッカー選手会PFAMともにメディアに不満を話すのではなく、FAMあるいはPFAMに対して正式に訴え出るように選手や監督、コーチに求めており、今回それが実現したようです。
 この投稿の中でPFAMは、正式な形で問題を訴え出た選手の勇気を褒め称えるとともに、PFAMに加盟している他の選手に対してはサラワク・ユナイテッドFCの選手への支援を求めて、PFAMがこの問題の早期解決を目指していくことを表明しています。

U23アジアカップ予選から帰国のU22代表は検疫隔離期間が1週間延長に
 モンゴルで開催されたAFC U23アジアカップ(旧U23選手権)の予選J組で1位となり、来年2022年にウズベキスタンで開催される本戦への出場権を獲得したU22代表は11月2日に試合開催地のモンゴルから帰国し、マレーシア政府が全ての渡航者に義務付けている7日間の検疫隔離が11月9日に終える予定でしたが、11月5日行った検査の結果、モンゴルに遠征したチーム関係者の一人が陽性反応を示したことから、検疫隔離期間が1週間延長されたとブルナマが報じています。
 このことを明らかにしたFAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は、陽性となった関係者は滞在中の宿泊施設から医療施設えへと移送されたということですが、他の参加者には陽性反応は見つかっていないということで、サイフディン事務局長は心配するような状況にないことを強調しています。
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 この検疫隔離期間延長により、U22代表でプレーするMFムカイリ・アジマル(スランゴールFC)やFWハキミ・アブドラ(トレンガヌFC)らのチーム合流が遅れることになり、11月14日のマレーシアカップ準々決勝から彼らの復帰を期待していたチームにとっては痛手になりそうです。

スズキカップ直前の代表の練習試合実現は困難に
 東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会は12月5日開幕しますが、マレーシア代表はこの大会直前に東ティモールとの練習試合を企画していることが報じられましたが、マレーシアの通信社は大会前の過密日程により実現は難しいと報じています。
 国内サッカーの年内最大のイベントであるマレーシアカップの決勝が11月30日に開催され、この決勝戦後に代表メンバーが全員揃いますが、マレーシア代表のシンガポール入りが12月3日に予定されており、スズキカップ初戦のカンボジア戦が12月6日となっていることから、東ティモールとの練習試合の実現は難しいだろうと、代表チームのマネージャーを務めるFAMのモハマド・ユソフ・マハディ会長代行はブルナマの取材に対して答えています。
 ブルネイの出場事態によって東ティモールは12月1日に予定されていたプレーオフを経ずに本戦出場となったことに加え、代表は12月1日にシンガポール入りを予定していたことから練習試合実現の可能性が取り沙汰されていましたが、主催者である東南アジアサッカー連盟の12月3日のシンガポール入りを求めたことから、前回大会準優勝のマレーシア代表は全選手合流後、ぶっつけ本番でスズキカップに臨むことになります。
 11月26日のマレーシアカップ準決勝終了後には、決勝に出場しない選手のみを招集して代表合宿が開催される予定ですが、順当に行けば代表の主力選手の大半が所属するJDTは決勝進出が予想されることから、第1次合宿には全体の半数程度のメンバーのみが参加することになりそうです。
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 デンマーク1部のFCミッティランでプレーするDFディオン・クールズがデンマークカップ準々決勝となる11月13日のブレンビーIF戦後にデンマーク国内リーグが冬季オフ期間に入ることからスズキカップに出場する代表に合流することも発表されています。このクールズ選手を含め予想されるメンバーを見る限りでは前回の2018年大会よりも強い代表になっていますが、果たして今回の大会では東南アジアでは一強時代を築きつつあるグループリーグ同組のベトナム戦で、決勝で敗れた前回大会のリベンジができるのかどうかに注目が集まります。



11月10日のニュース:Mリーグでプレーする2選手がミャンマー代表に招集、今季3位のペナンFC監督は進退伺を提出か、ファンはスタジアムでの飲食解禁を求める

 東南アジアNo.1を決めるスズキカップまで1ヶ月を切ったことから、このスズキカップ関連のニュースが増えてきています。先日のブルネイ代表の大会辞退は残念なニュースでしたが、その一方で吉田達磨監督率いる開催国シンガポールはアラブ首長国連邦のドバイで、韓国出身のシン・テヨン(申台龍)率い、ペナンFCのリュウジ・ウトモやJDTのMFシャフリアン・アビマニュも代表に招集されているインドネシア、そしてこの後の記事でも取り上げるミャンマー代表はいずれもトルコでの代表合宿を既に開始しています。なお、シンガポールはキルギスやモロッコと、インドネシアはアフガニスタンやミャンマーと、そしてミャンマーはインドネシアの他にブルンジとの練習試合も予定しており、各国代表チームは大会に向けて着々と準備整えています。また東南アジア勢として唯一、FIFAワールドカップ2022年大会アジア最終予選に出場し、明日は日本戦、その後にはサウジアラビア戦を控えるベトナムは11月19日から国内合宿を予定しており、国内リーグを優先しているのはタイとマレーシアだけです。タイはリーグ戦が11月28日まで続き、マレーシアはカップ戦のマレーシアカップ決勝が11月30日に予定されており、12月5日開幕のスズキカップ直前まで試合が続く両国代表が、シンガポールでどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかが気になります。

Mリーグでプレーする2選手がミャンマー代表に招集
 東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会開幕まであと1ヶ月を切り、出場国の中には代表候補を発表する国も出てきています。そんな中、Mリーグでプレーする2名の選手がスズキカップに出場するミャンマー代表候補に招集されています。
 2019年10月に就任したドイツ出身のアントワーヌ・ヘイ監督が率いるミャンマー代表23名は既に先月10月下旬からトルコのアンタルヤで合宿中ですが、スリ・パハンFCでプレーするFWアウン・カウン・マン (23)とスランゴールFCでプレーするFWハイン・テット・アウン(20)の両選手がこの代表合宿に招集されたと、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。
 ヴォケットFCによれば、既にマレーシアカップグループステージ敗退が決まっているスリ・パハンFCのアウン・カウン・マン選手はグループステージ最終戦となる今日11月10日のKLシティFC戦終了後に、また準々決勝進出を決めているスランゴールFCのハイン・テット・アウン選手はチームの敗退後直ちに代表に合流するということです。なお、スランゴールFCは11月14日と18日にホームアンドアウェイ方式での準々決勝を戦います。

今季3位のペナンFC監督は進退伺を提出か
 今季2部から1部に昇格するといきなりリーグ3位となったペナンFCですが、マレーシアカップに入った途端にここまでの5試合で0勝1分4敗、得点2失点14と全く別のチームになってしまっていることは、このブログでも何度か取り上げましたが。このペナンFCを率いるチェコ出身のトマス・トルカ監督がクラブに対して進退伺を提出したとマレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。
 よく似た風貌からマレーシアの「ユルゲン・クロップ(現リバプールFC監督)」と呼ばれているトルカ監督ですが、リーグ戦時からあまりにも変わってしまったチームの状態を受け、クラブのサポーターからは批判が集まっています。11月7日のKLシティFC戦後の記者会見では、クラブとの契約は残っていることから来季に向けてさらにチームを強化したいと話したトルカ監督はその一方で、実際の状況の判断はチームに委ねているとも述べています。
 トルカ監督自身は2部リーグとはプレーのレベルが異なる1部リーグに昇格し、1シーズンを全うしたことで主力選手にケガが相次いだことがリーグ戦時から急落したチーム状況の原因であると説明しています。「マレーシアカップ前にも説明したように、リーグ戦では複数の選手はケガからの回復が不十分なまま試合に出続けた。その結果が3位だったが、その代償として7名の主力選手が現在、ケガで試合出場ができなくなっている。」と述べたトルカ監督は、残る最終戦も現状の戦力で戦うことになるが、自身は選手のパフォーマンスに満足していると話しています。
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 リーグ戦3位からマレーシアカップは5試合で0勝とまさに天国から地獄といった変貌を遂げているペナンFCですが、1部昇格初年度で3位という快挙が既に忘れられた上での批判のように思えます。11月7日のKLシティFC戦はスタジアムで観戦しましたが、この試合ではエースのカサグランデ、代表GKのサミュエル・サマーヴィル、U23代表戦に出場し帰国後の隔離期間中のクエンティン・チェンなど主力を欠きながらもKLシティFCと互角に渡り合ったペナンFCは賞賛されることはあっても、批判されることはなさそうに見えました。2001年に当時の1部リーグだったリガ・プルダナ優勝以来の好成績をあげた監督への批判は、個人的には贔屓の引き倒しにしか思えず、これでトルカ監督が退任したとしても、来季は1部で下位に低迷することになった際に現在、監督批判を繰り広げているサポーターは何と言うのでしょうか。
 外国籍のトルカ監督を排斥して、昨季は監督として1部昇格に貢献したマレーシア人のマンズール・アズウィラ コーチ(1部で監督を務めるためのAFCプロ指導者資格を保持していないことから今季はコーチとしてベンチ入り)を復帰させるために監督批判をしているサポーターもいるようですが、そうなるとサポーターって何?と言う感じです。

ファンはスタジアムでの飲食解禁を求める
 10月29日のマレーシアカップグループステージ第4節からは入場者数制限はあるもののスタジアムでの観戦が解禁になっていますが、2度のワクチン接種を終えていることを条件にチケット購入はオンラインのみ、しかもチケットには氏名と身分証明書番号が記載されて、入場時にはパスポートなどで本人確認が行われるなど観戦実現のために様々な標準作業手順SOPが導入されています。試合中は常にマスクをしていること、観客同志は1.5メートル以上の間隔を空けて着席すること、「密」を避けるためハームタイムでのトイレの使用禁止などのSOPに加えて、スタジアム内では飲食が禁止されています。先日のこのブログではマラッカ・ユナイテッドFCの関係者が飲食している様子がソーシャルメディア上に流出してマレーシアカップを主催するMFLが捜査に乗り出す事態となっていることを取り上げましたが、これは明らかにSOP違反でした。
 とは言え、夜間でも気温が30度近いこともあるマレーシアで観客には水を飲むことすら許されていないことからスタジアムでの飲食解禁を求める声が出ているとウトゥサンマレーシアが報じています。マレーシアでは新型コロナ対策のための規制が徐々に緩和されており、現在は店内飲食の際に複数の客が同じテーブルに座ることが許可されている他、9月には映画館が営業を再開し、映画鑑賞中の飲食も許可される一方でスタジアムでの飲食が現在も禁止されています。
 素人考えでは、店内での飲食が許可されている現状では、閉鎖的な空間である映画館よりも屋外のスタジアムの方があらゆる面で安全なようにも思えますが、新型コロナ対策を担う国家安全保障委員会NSCはそうは考えていないようで、マレーシアカップを主催するMFLはNSCに対してスタジアム内での飲食の許可を求めているようです。
 マレーシアカップ第5節からはワクチン接種を終えていれば18歳以下の子どももでスタジアム観戦が可能となるなど、11月14日から始まるノックアウトステージに向けて、徐々に観客が増えていく可能性がありますが、飲食禁止によりスタジアム内で熱中症になっては笑い話にもならないので、MFLには積極的に飲食解禁を政府に働きかけて欲しいものです。
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 と書きましたが、そこはマレーシア。現状は大っぴらで無ければ飲食は黙認されています。私が観戦に訪れたMBPJスタジアムとKLサッカースタジアムでは、ハーフタイムになると入場ゲート越しに飲み物、食べ物を購入することができ、周りの関係者や警察もそれを止める様子はありませんでした。流石にスタンドまで飲食物を持ち込んでいるファンはいませんでしたが、ハーフタイムの間にスタンド下で水分補給をしているファンが多く見受けられました。

10月28日のニュース:AFC U23アジアカップ予選-マレーシアが2連勝で首位堅守、スズキカップ前の代表合宿は11月25日から、アジアカップ3次予選開催に政府の金銭的支援は不要-マレーシアサッカー協会

AFC U23アジアカップ予選J組-マレーシアが2連勝
 AFC U23アジアカップ(旧U23選手権)予選J組に出場中のマレーシアU22代表の2試合目が本日10月28日に行われ、モンゴルを破って2連勝したマレーシアは予選J組の首位を守っています。

AFC U23アジアカップ予選J組
2021年10月28日@MFFスタジアム(モンゴル、ウランバートル)
マレーシア 1-0 モンゴル
得点者:マレーシア-アズファル・フィクリ(40分)
 予選突破のためには負けられないこの試合でマレーシアのブラッド・マロニー監督は、1-0で辛勝したラオス戦に途中出場し、試合の流れを変えたDFクェンティン・チェン、FWハキミ・アブドラ、DFハイリー・ハキムの3選手を先発に起用しました。試合は開始から拮抗した展開で進みましたが、初戦のラオス戦に続きアズファル・フィクリがコーナーキックからの折り返しを頭で押し込んで40分にマレーシアが先制しました。
 前半終了直前にはGKアズリ・アブドル・ガニとDFハリス・ハイカルのコミュニケーション不足からアズリ選手がペナルティエリアの外でボールを捕球してしまう不用意なミスでPKを与えるなど途中、緊張する場面もありましたが、モンゴル守備陣の運動量が落ちた試合終盤は敵陣でボールを保持して時計を進めることもでき、虎の子(Pun intended)の1点を守って2連勝を話しています。
 たびたび見られたモンゴルの挑発に乗ってイエローを出されながらも退場者を出さなかった選手たち、そして先発の起用に応えて豊富な運動量で攻守に貢献したクェンティン・チェンが勝因ではないでしょうか。
 最終戦の相手となるタイは本日午後にラオスと対戦しますが、そこでタイが大勝(No pun intended)しない限り、予選突破の可能性が高まったと言える勝利でした。(写真はこの試合のマレーシアU22代表の先発メンバー-FAMのFacebookより)

AFC U23アジアカップ予選J組 順位表(第2節第1試合終了時)

順位チーム試合得点失点得失差勝点
1マレーシア22002026
2タイ10101101
2モンゴル201112-11
4ラオス100101-10

スズキカップ前の代表合宿は11月25日から
 12月5日に開幕する東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会に向けてマレーシア代表は11月25日から代表合宿が始まることをマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 シンガポールで集中開催される今回のスズキカップでは、前回優勝のベトナム、インドネシア、カンボジア、ラオスと同じB組に入っているマレーシア代表は12月6日のカンボジア戦が開幕戦となります。
 マレーシアサッカー協会FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は、11月25日に予定されているマレーシアカップ準決勝終了後、11月30日の決勝に進出していないクラブの選手がまず合宿に参加し、決勝戦に出場する選手はその後に合流すると述べています。(*この記事では「11月25日のマレーシアカップ準決勝終了後」とありますが、準決勝はホームアンドアウェイ形式で行われ、11月26日が準決勝2試合目と発表されています。)
 また代表チームはシンガポール入国後の検疫隔離期間を考慮して、日程に余裕を持たせてシンガポール入りするとサイフディン事務局長は述べています。

アジアカップ3次予選開催に政府の金銭的支援は不要-マレーシアサッカー協会
 マレーシアサッカー協会FAMが来年6月に予定されているAFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選のマレーシア開催を検討したいと述べましたが、その後、国内のスポーツを統括する青年スポーツ省のアフマド・ファイザル・アズム大臣が政府は国際大会開催よりも、新型コロナによって打撃を受けた国内経済復興に支援を優先したいと述べたことで3次予選の開催が遠のいた、という記事を先日、このブログでも取り上げました。
 これに対してFAMのモハマド・ユソフ・マハディ会長代理は、自国開催はマレーシア代表が予選を突破し本戦出場権獲得に大きな影響を与えるとして、自国開催を諦めていないと発言しています。ユソフ会長代理は、FAMは青年スポーツ省と国内の新型コロナ対策を担う国家安全保障委員会からの予選開催許可のみを求めており、マレーシア政府には資金援助は求めないと述べています。
 「3次予選開催のための費用はAFCから得られる予定の開催支援金で賄うことができる。さらに自国開催となれば、多くのサポーターの声援が後押しとなり、マレーシア代表の本戦出場の可能性は高まるだろう。」と述べたユソフ会長代理は、予選参加国が落とす宿泊などの経費や予選開催に伴う関連ビジネスなどで、自国開催は国内経済にプラスの影響は与えられる一方で、マイナスの要素は何も思い当たらないとも述べて、今後も国家安全保障委員会にアジアカップ3次予選のマレーシアでの開催を求めていくとしています。
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 マハディFAM会長代理が自国開催にこだわる理由としてマレーシア代表の内弁慶ぶりがあります。新型コロナ感染拡大前の2019年9月から11月にかけて行われたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼アジアカップ2次予選では、代表の本拠地ブキジャリル国立競技場で多くのサポーターの応援を背に戦った試合では、マレーシアは格上のアラブ首長国連邦UAEに接戦の末1-2と敗れたものの、格上のタイには2-1で、インドネシアには2-0と2勝しています。

10月14日のニュース:来季のクラブライセンス交付の可否は今月下旬に決定、11月のFIFA国際マッチデー期間は代表戦なし、スタジアム観戦解禁後の入場者数の概要が発表、今季MリーグのYouTube視聴総数が7700万回越え

来季のクラブライセンス交付の可否は今月下旬に決定
 Mリーグを運営するMFLのスチュアート・リマリンガムCEOは今季2021年シーズンにプレーした1部スーパーリーグの12チームと2部プレミアムリーグの10チームが全てが、マレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンス交付第一審機関FIBに対して来季2022年シーズンのクラブライセンスの最終申請を行なったことを明らかにしています。
 英字紙ニューストレイトタイムズによると 各クラブは今年9月の第一次申請期限までに必要書類をFIBに提出しており、今回はその見直しなどを経た最終申請の提出となっています。FIBは今回の申請内容を精査した上で今月下旬にクラブライセンス交付の可否を決定します。
 昨季終了後のクラブライセンス申請では1部スーパーリーグで恵龍太郎選手が所属していたフェルダ・ユナイテッドFCと2部プレミアリーグのUKM FCが、FAMが進める民営化の条件を満たすことができなかったためクラブライセンスの交付が受けられずMリーグから撤退した他、未払い給料の分割による支払い期限を守らなかったことにより1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFCに対してFIBはリーグ戦での勝点3剥奪処分を下しています。
 第一次申請では新型コロナによるロックダウンが施行されたことで監査法人が休業し財務諸表の提出に問題があったクラブもあったことを明かしたスチュアートCEOは、全てのクラブが最終申請までには必要な書類を用意できたと話し、今後はFIBの最終判断を仰ぐことになるとしています。
 さらにスチュアートCEOは新型コロナの感染拡大予防のためMリーグ各クラブは外部との接触を断つために合宿形式での練習を強いられたことによる運営費用の増加に加え、無観客試合による入場料収入減やスポンサーの離脱による資金不足で経営状況が苦しいクラブが存在することを認めた上で、各クラブがクラブライセンスを交付されることを望む一方で、FIBが経営内容を問題視し、条件付きでのクラブライセンス交付となる可能性もあることを指摘しています。

11月のFIFA国際マッチデー期間は代表戦なし
 先日のヨルダン遠征ではヨルダンとウズベキスタンを相手に試合を行ったマレーシア代表ですが、次のFIFA国際マッチデー期間となる11月8日から16日にかけては代表戦を行われないとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 さらにスタジアムアストロの記事では、この期間中の11月9日と10日にはマレーシアカップのグループステージ最終節となる第6節が組まれており、大半の選手の契約が11月いっぱいとなっていることから日程の変更が難しいため、次の代表戦はこのマレーシアカップ決勝が行われる11月30日以降で、東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会の前に行われる可能性があるとしています。
 当初予定されていた2020年から順延されたスズキカップ2020年大会は12月5日からシンガポールで集中開催されますが、マレーシアの初戦は12月6日のカンボジア戦となっています。
 マレーシア代表のモハマド・ユソフ・マハディ チームマネージャは、マレーシア政府が渡航者に求めている2週間の検疫隔離のために国外からチームを招くのは難しいとしながらも、スズキカップに向けて遅くとも12月3日までには試合を組みたいと話しています。
 またタン・チェンホー監督はスズキカップ前の練習試合を代表のホームでもある首都クアラルンプールのブキジャリル国立競技場で開催したいと話しています。なおマレーシア代表がこのブキジャリル国立競技場で最後に試合を行ったのは、2019年11月19日のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選のインドネシア戦で、この試合でマレーシアはインドネシアを2-0で下しています。
 スズキカップ前にホームで試合を開催してサポーターから応援を受けることは代表チームにとっても大きな力になると話すタン代表監督は、スズキカップに出場する東南アジアのチームとの対戦を希望しているとも話しています。

スタジアム観戦解禁後の入場許可数の概要が発表
 10月29日から再開されるマレーシアカップはおよそ5ヶ月ぶりにスタジアムでの観戦が可能になることが発表されていますが、マレーシアカップを主催するMFLは入場できる観戦者数の概要を公式サイトで発表しています。
 これによると各スタジアムでの観戦可能な入場者数は、新型コロナ対策を司る国家安全保障委員会NSC、マレーシア政府保健省、そして国内スポーツを統括する青年スポーツ省による標準作業手順SOPを基準として、国家復興計画NRPの段階に合わせて以下のように発表されています。
NRP第2段階の州(クダ、ペナン、ケランタン、ペラ、サバ):スタジアム定員の20%または5,000人
NRP第3段階の州(スランゴール、クアラルンプール、マラッカ、トレンガヌ、ジョホール、サラワク):スタジアム定員の30%または10,000人
NRP第4段階の州(ヌグリスンビラン、パハン): スタジアム定員の50%または20,000人
*州名はMリーグクラブが本拠地を持つ州のみ
 なおスタジアムでの観戦に際しては、18歳以上でワクチン接種が完了している者という条件がついており、スタジアム内での飲食禁止や試合中のマスク着用も義務付けられています。
 またMFLはMリーグクラブに対して事前の申請を行うことを前提に、10月29日以前に行われれるMリーグクラブ同士の練習試合についても観客を入れて行うことを許可するとしています。

今季MリーグのYouTube視聴総数が7700万回越え
 Mリーグを運営するMFLは公式サイト上で、今季2021年シーズンのMリーグ1部スーパーリーグの試合がYouTubeで視聴された回数が7796万5339回に達したと発表しています。
 この再生回数は9月30日時点で1部スーパーリーグ132試合が視聴された回数です。なおリーグが短縮され、試合数が半減した昨季2020年シーズンはスーパーリーグ66試合が1622万3282回視聴されています。
 今季のスーパーリーグはリーグスポンサーでインターネット接続事業者のUnifi(ユニファイ)によるYouTubeでの無料ストリーミング配信の他、UnifiによるIPTVのUnifi TV、そして地上波チャンネルのRTMなどで視聴可能ですが、ライブ観戦に限定すると今季の総視聴回数は3589万1793回となるということです。なお、Unifiによるスーパーリーグの無料ライブストリーミングは、無観客試合での開催が決定した第5節から始まり、スーパーリーグ終了後も、マレーシアカップグループステージ第2節まで続いています。
 YouTubeで視聴総数が多かったクラブは今季スーパーリーグ8連覇を達成したJDTで2260万959回、2位がクダ・ダルル・アマンFCの1590万1863回、3位がペナンFCの1321万1869回となっており、視聴回数もリーグでの順位がそのまま反映された形になっています。(記録はいずれも9月20日現在)
 またYouTubeでの視聴回数が多かった試合のトップ3は全てJDTの試合で、3月7日のスランゴールFC戦が最多の171万79回、4月24日のトレンガヌFC戦が168万4922回、5月8日のペナンFC戦が163万76回と続いています。

10月5日のニュース:「イカ釣り」事件に新展開!代替召集される可能性を知っていたらそれを逃すようなことはしない-シャールル・ニザム、シャールル・ニザムは自身が代替召集選手候補であることを通達されていたはず-タン代表監督、シャールル・ニザムが代替召集される原因となったディオン・クールズがクラブの試合に出場

代替召集される可能性を知っていたらそれを逃すようなことはしない-シャールル・ニザム
 9月23日に発表されたヨルダン合宿と練習試合2試合に出場するマレーシア代表24名からケガ人が出たことにより代替召集されたシャールル・ニザム(トレンガヌFC)は10月1日の代表集合日に姿を見せず、その結果、ヨルダン合宿へ参加しませんでした。その時点では集合日に現れなかった理由やその背景も不明で、代表サポーターの間で様々な憶測を呼びましたが、昨日のこのコラムで取り上げたように、マレーシア代表のTM(チームマネージャー)で、マレーシアサッカー協会FAMの会長代理でもあるモハマド・ユソフ・マハディ氏がシャールル選手はイカ釣りで海に出ており、連絡が取れなかったと説明し、その真相が明らかになりました。
 しかしその後、様々な事実が明らかになり、その責任問題が複雑化しています。まず当のシャールル選手が自身の名が代替召集選手候補リストに載っていたことを知らされていなかったと説明していることをマレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。
 「9月29日の試合(マレーシアカップのスランゴールFC戦)後にチーム(トレンガヌFC)から5日間のオフを与えられ、特に予定もなかったのでケランタン州にある実家に戻った。実家は漁師をしているので、実家に戻れば自分も親を手伝って海に出ることもある。今回も漁に出たが、漁から戻ると自分が代表チームから召集を受けていたことを知らされて驚いた。」
 「しかも知らされた時には既に代表チームはヨルダンへ出発した後だった。代表チームに召集されたにも関わらず、集合日にチームに合流しなかったことは本当に申し訳ないと思っている。自分が召集されていたことを知った時は悲しみや失望などが入り混じり、さらにはやましい気持ちでいっぱいになった。『代表チームに敬意を示していない』『真剣にサッカーに取り組んでいない』といった誹謗中傷を受けたが、どんな選手でも代表チームでプレーすることが夢であり、もし自分が代替召集される可能性があることを知っていたら、自らその機会を逃すようなことはしない。」と述べて、自身がケガ人が出た場合の代替召集候補となっていたことを知らなかったとしています。
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 もしシャールル選手が真実を述べているとすれば、9月29日の試合後の段階ではシャールル選手も所属するトレンガヌFCもケガ人が出た場合には代替召集されるされることを知らなかったということになります。言い換えれば9月23日の代表メンバー発表の際には、この代替召集候補選手リストができていなかったということになりますが、次の記事を読むと、この前提が覆ってしまいます。


シャールル・ニザムは自身が代替召集選手候補であることを通達されていたはず-タン代表監督
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、シャールル・ニザムはケガ人が出た場合の代替召集選手候補であること、そしてそれに備えて待機しているべきであることを事前に通告されていたとタン・チェンホー監督が話していると報じています。
 15時間のフライトを経て合宿地であるヨルダンの首都アンマンに到着しているマレーシア代表は現在、検疫隔離期間中ということですが、スタジアムアストロの取材に答えたタン代表監督は「ヨルダン遠征のメンバーを発表した9月23日以前に、我々はシャールル選手に連絡を取り、代替召集選手候補であることを伝えているので、彼がそれを知らなかったはずはない。」と述べています。なおこの記事の中でタン代表監督は”I”ではなく”we”という表現を使っているので、タン代表監督がシャールル選手に直接、連絡を入れたわけではなさそうですが、それでも代表チームはシャールル選手が代替召集選手候補であることを通達していたことは事実のようです。
 なおタン代表監督は今回の召集はシャールル選手にとっても良い機会であったと述べる一方で、今後のプレーぶりを見ながら再び招集するかどうかを検討したいと述べています。
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 自身が召集される可能性があることを知らなかったと主張するシャールル選手と、既にその可能性を告知済みと述べたタン代表監督のどちらが本当のことを述べているのか、あるいは二人とも本当のことを述べていて、どこかでそれが正しく伝わらなかったのか。その真相は現在は不明ですが、最終的に誰も傷つかないようにする(=誰も責任を取らない)マレーシア的決着で真相追及が行われない可能性もあります。

シャールル・ニザムが代替召集される原因となったディオン・クールズがクラブの試合に出場
 9月23日に発表されたヨルダン遠征メンバー24名からケガによる辞退者が出たことで上の記事で取り上げたシャールル・ニザムが代替召集されましたが、そのケガによる辞退者の1人がデンマーク1部FCミィテッランに所属するDFディオン・クールズです。このクールズ選手の代表辞退とシャールル・ニザム選手の代替召集は9月30日にマレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookで発表されていますが、現地時間の10月1日にポルトガルのブラガにあるエスタディオ・ムニシパル・デ・ブラガで行われた欧州サッカー連盟UEFAヨーロッパリーグのFCミッティラン対SCブラガで、このクールズ選手がベンチ入りしていたことが判明し、マレーシア代表サポーターの間に波紋を広げました。
 さらにその2日後の10月3日にはダンマーク1部第11節のFCミィテッラン対オーフスFGでもクールズ選手は再びベンチ入りし、しかも79分には交代出場までしたことから、一旦は代表に招集されながら辞退した理由はFAMが発表したケガではなく、何か他の理由があるのではないかという疑惑が持ち上がりました。この件を取り上げたサッカー専門サイトのラ・ボラは、このヨルダン遠征がFIFA国際マッチデー期間にも関わらずクラブがコールズ選手の招集に否定的だった、ヨルダン遠征から帰国後の検疫期間の長さをクラブが嫌った、そして今年12月の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップがFIFA国際マッチデー期間外でクラブは選手の召集を拒否できることから、スズキカップでプレーできる選手だけを召集することにしたなどの理由を挙げていますが、実際の理由は何であれクールズ選手の辞退の理由を「ケガによるもの」とFAMが発表したことには疑問が残るとラ・ボラの記事は締めくくっています。
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 ここまでくるともう何が事実で何が嘘なのかはわからなくなりますが、それは置いておくとしても、クールズ選手がいない現在の代表に関して、個人的にはやはりタイ1部のチョンブリーFCでプレーするジュニオール・エルドストールが今回のヨルダン遠征メンバーに入らなかったことが疑問です。同じタイ1部でプレーするドミニク・タンは今季1度も試合に出場したいない一方で、エルドストール選手は全試合に先発フル出場しています。185cmのクールズ選手を欠く代表DF陣にとって身長が190cm近いエルドストール選手は有用ですし、昨季からタイリーグでプレーしていることでタイ代表のFW陣の特徴は把握できているはず。その一方でタン代表監督となってからは今年6月のW杯予選が初の召集で、代表召集自体も7年ぶりとなったエルドストール選手は今回の遠征と練習試合を通じてチームメートとの連携を強化するために呼ぶべきだった気がしてなりません。

10月1日のニュース:朗報!10月末のマレーシアカップ第3節からスタジアム観戦解禁、ディオン・クールズら3名がケガにより代表のヨルダン遠征を辞退

朗報!10月末のマレーシアカップ第3節からスタジアム観戦が解禁に
 Mリーグを運営するMFLは、10月29日と30日のマレーシアカップからスタジアム観戦が解禁されることを発表しています。
 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は10月1日付けで首都圏クランバリーとマラッカ州が国家復興計画NRPの第3段階に、北部のケダ州が同第2段階にそれぞれ移行すると発表しましたが、これにより最も厳しい移動制限措置が課せられる第1段階に指定されている州がなくなりました。さらに標準作業手順SOPについても変更が発表され、NRP第2段階から第4段階の地域では10月1日からワクチンを接種を完了した18歳以上に限り、マスク着用・飲食禁止の条件の下、スポーツの試合をスタジアム観戦できるようになります。
 これを受けてMFLは公式サイトで10月29日と30日に開催されるマレーシアカップグループステージ第3節よりサポーターによるスタジアム観戦を解禁すると発表しています。今年3月5日に開幕した今季2021年シーズンのMリーグは、新型コロナの感染拡大により5月9日以降は無観客で開催されたままシーズンが終了し、現在開催中のマレーシアカップグループステージも先週末の第1節と昨日、一昨日に行われた第2節は無観客での開催となっていました。
 なお10月4日から12日までのFIFA国際マッチデー期間に合わせて本日10月1日に招集されるマレーシア代表は明日からヨルダンでの代表合宿と現地でのヨルダン代表、ウズベキスタン代表との練習試合が予定されており、マレーシアカップグループステージはおよそ1ヶ月中断します。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサン会長はこのリーグ中断期間中にMFLとマレーシアカップに出場中のMリーグ各クラブがスタジアム観戦解禁に向けての準備を進めるとしています。またスタジアム観戦解禁後も、国家復興計画NRPの各段階により入場可能なサポーターの数が異なることから、その具体的な人数や、マレーシアカップ中断期間中に行われる各クラブの練習試合を有観客で開催可能かどうかなどについても国内スポーツを統括する青年スポーツ省からの指示を待っている段階であると言うことです。
 なお条件付き行動制限令CMCOが施行されていた時期はスタジアム定員の10%あるいは2000名が、復興に向けての行動制限令RMCO施行時には定員の25%あるいは8000名を上限としてサポーターの入場が許可されていました。

ディオン・クールズら3名がケガにより代表のヨルダン遠征を辞退
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebookで、ヨルダンで行われるマレーシア代表合宿と2試合の練習試合にデンマーク1部FCミッティランでプレーするDFディオン・クールズら3名が参加しないことを発表しています。
 FAMは今月9月23日にヨルダン代表、ウズベキスタン代表との練習試合を含むヨルダンでの代表合宿に参加する24名を発表していましたが、FAMの公式FacebookではDFディオン・クールズ、DFシャミ・サファリ(スランゴールFC)、FWアキヤ・ラシド(JDT)の3選手がいずれもケガのため代表合宿参加を辞退し、DFアリフ・ファルハン(クダ・ダルル・アマンFC)とDFシャールル・ニザム(トレンガヌFC)、FWファイヤド・ズルキフリ(クダ・ダルル・アマンFC)の3選手が代わって招集されたことを発表しています。
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 今回の代表合宿と練習試合は12月に開幕するアセアン東南アジアサッカー連盟選手権スズキカップに向けての色合いが強いものですが、このスズキカップ開催時期はFIFAの国際マッチカレンダー期間ではないことから、ディオン・コールズの招集は所属クラブのFCミッティランが拒否するだろうと当初から予想されており、来年2月のAFC選手権アジアカップ3次予選前に合流してくれえれば十分といったところでしょう。
 個人的に気になるのは今回の合宿にタイ1部チョンブリーFCでレギュラーのDFジュニオール・エルドストールが招集されなかったことです。今回の代表メンバーが発表になった時にエルドストール選手が含まれていなかったことに驚きましたが、ディオン・クールズが合宿に参加しなくなった今回もやはり招集されていないのは、タン・チェンホー監督の戦術に合わない選手なのかもしれません。ファリザル・マーリアス、サファウィ・ラシド、ラヴェル・コービン=オング、アリフ・アイマン(いずれもJDT)が招集されなかったのは、「新たな選手を試してみたい」と話すタン監督の方針だとしても、今年6月のFIFAワールドカップ予選でタン監督就任以来初の代表招集となったエルドストールは明らかに衰えが見えているアイディル・ザフアンの代わりとしても他の選手と連携を見てみても良いのではと思います。

9月29日のニュース:スズキカップの開催国がシンガポールに決定、スランゴールFCがU20代表召集で協会と対立か

スランゴールFCがU20代表召集で協会と対立か
 英字紙ニューストレイトタイムズは、Mリーグ1部スーパーリーグのスランゴールFCが、近々予定されているU20代表合宿へ選手を派遣することに消極的であると報じています。
 スランゴールFCのセカンドチームで2部プレミアリーグのスランゴールFC 2からは多くの選手がU20代表に召集される見通しですが、この中にはトップチームに昇格して現在開催中のマレーシアカップに出場する選手もいることから、クラブがそういった選手の代表召集には応じない可能性があると報じられています。
 マレーシアサッカー協会FAMは10月25日から31日までモンゴルのウランバートルで開催されるアジアサッカー連盟AFC U23アジアカップ予選J組に本来のU23代表ではなく、2024年パリオリンピック出場を目指すための長期強化プログラムの一環としてU20代表を派遣することを決めていますが、その中心選手となるのがスランゴールFC 2の選手たちです。
 今回の件についてスランゴールFCのジョハン・カマル・ハミドンCEOはニューストレイトタイムズの取材に対して多くを語らず、FAMに問い合わせるべきと答えたということですが、このAFC U23アジアカップ予選はFIFA国際マッチーデー期間外で開催されるため、クラブには選手の召集を拒否することが可能であることが問題を複雑にしているようです。
 スランゴールFCとFAMは今回のU20代表合宿での選手召集について既に話し合いを行なっており、FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は両者間の対立はなく、話し合いは実りあるものだったとしていますが、AFC U23アジアカップ予選まで既に1ヶ月を切った現在もU20代表の第2次合宿召集メンバーの発表はされていません。
 なおスランゴールFC からはシャルル・ナジーム(21)とムカイリ・アジマル(19)が10月1日から行われるフル代表の合宿とヨルダン遠征に召集されていますが、こちらはFIFA国際マッチーデー期間内に行われるため、問題は起きていません。

スズキカップの開催国がシンガポールに決定
 アセアン東南アジアサッカー連盟AFFは公式サイトで今年12月に開催予定のAFF選手権スズキカップ2020年大会をシンガポールで開催することを発表しています。
 12月5日に開幕するスズキカップは、当初は2020年末に予定されていましたが東南アジア各地で新型コロナの感染拡大により今年3月に延期され、その後も感染状況が改善されず、開催地として立候補する国もなかったことからさらに12月に延期されていました。
 またこれまではホーム&アウェー方式で行われたきたスズキカップですが、今大会は出場チームや関係者の安全を考慮し一カ国での集中開催方式となることが発表されており、9月27日にオンラインで行われたAFF理事会で今大会の開催地として立候補したタイとシンガポールからシンガポールが集中開催地と決定しています。
 なおスズキカップ2020年大会の組み合わせ抽選は既に終わっており、マレーシアは前回2018年大会の覇者ベトナム、インドネシア、カンボジア、ラオスと同じB組に入っており、初戦は12月6日のカンボジア戦となることが決まっています。グループステージ終了後にはA、B両組の上位2チームが準決勝に進み、準決勝以降は従来通りのホーム&アウェー形式で行われ、決勝は今年12月29日と2022年1月1日に予定されています。

9月23日のニュース:AFC女子アジアカップ予選-マレーシアはパレスチナに勝利、スズキカップ-初戦は12月6日カンボジア戦、ケランタンUのナズルラーワン監督に他のMFLクラブが関心

AFC女子アジアカップ予選-マレーシアはパレスチナに勝利
 パレスチナのエルサレムで開催中のアジアサッカー連盟AFC女子アジアカップ2022年大会予選のマレーシア(FIFAランキング92位)対ペレスチナ(同120位)が9月22日行われ、マレーシアがパレスチナに2-0で勝利し、予選初勝利を挙げています。
 FIFAランキング32位のタイとの初戦では0-4と良いところなく敗れたマレーシアはタイ戦で先発したDFジェシカ・マイル(21)、MFファイカ・サフィナ(20)、MFペドロリア・シカユン(29)に代えてDFファティン・ロザニ(18)、MFリヤナ・ソベリ(22)、MFダドリー・ソフィナス(31)を先発に起用し、初勝利を目指しました。
 この試合が予選H組初戦となったパレスチナ、そしてこの予選で初勝利を目指すマレーシアの双方が試合開始から積極的に相手ゴールを目指す展開となりましたが、両チームともシュートの精度を欠くなどして得点に至らず前半は0-0で終了しました。
 後半に入ると57分に相手DFのクリアミスをアンドレア・リー・シンイーが押し込みマレーシアが予選初ゴールで先制しました。さらに82分にはペナルティエリアの外で得たフリーキックを主将のステフィ・サルジ・シンが蹴るとカーブのかかったシュートはパレスチナGKの手をすり抜けるようにゴールに吸い込まれ、マレーシアは2-0とリードを広げます。その後も試合終盤のロスタイムのピンチも凌ぎ切ったマレーシアはパレスチナを完封して予選初勝利を挙げています。
 予選H組の最終戦はタイ対パレスチナ戦が9月25日に予定されています。

AFC女子アジアカップ2022年大会予選H組
2011年9月22日@ファイサル・フサイニー国際スタジアム(エルサレム、パレスチナ)
マレーシア 2- パレスチナ
得点者:マレーシア-アンドレア・リー・シンイー(57分)、ステフィ・サルジ・シン(82分)
(先発XIと試合結果の画像はマレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookページより、映像はマレーシアの衛星放送チャンネルスタジアムアストロ公式Youtubeページより)


スズキカップ-初戦は12月6日カンボジア戦
 先日組み合わせ抽選が行われたアセアン東南アジアサッカー連盟AFF選手権アジアカップ2020年大会の試合日程がマレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookで発表されています。
 2020年から順延され、また従来のホームアンドアウェイ方式から一箇所での集中開催方式へと変更になっている今回の大会は1回戦総当たりのグループステージの上位2チームが準決勝、決勝をそれぞれ2試合戦います。
 集中開催地は現在は発表になっておらず、今月中には決定するとされていますが、サッカー専門サイトのヴォケットFCはタイのサイアムスポーツの報道を引用して競技施設の状況に加えて医療施設が完備されている点を重視して現時点ではシンガポールが最有力候補とされている他、再来年2023年の東南アジア競技大会通称シーゲームズに向けて6万人収容の新たなスタジアムが完成したがカンボジアもスズキカップ開催を熱望していると伝えています。

ケランタンUのナズルラーワン監督に他のMFLクラブが関心
 Mリーグ2部プレミアリーグは最終節の第22節が終了しましたが、第21節の試合前の新型コロナ検査で陽性者が見つかったことにより検疫隔離となっていたケランタン・ユナイテッドFCは、順延されていたクチンシティFC戦を明日9月24日に行います。
 第22節では優勝の可能性もあったトレンガヌFC IIを1-0で破り、マレーシアカップ出場権獲得の可能性を残して最終戦を迎えるケランタン・ユナイテッドFCですが、先日の勝利で後半戦の通算成績が2勝1分5敗と苦しい試合が続いています。
 今季開幕から5勝1分5敗の4位で前半戦を折り返したケランタン・ユナイテッドFCでしたが、チームは後半戦開幕前に東山晃監督を突如、テクニカルディレクターへと配置転換し、さらにナズルラーワン・マクモルを就任させましたが、その結果が第22節を終えて2勝1分5敗で9位という成績です。明日のクチンシティFCとの試合に勝利すれば7位に浮上する可能性もありますが、外から見る限りではこの交代劇がチームに何も良い結果を齎してないように思います。
 そんな中、マレーシア語紙ブリタハリアンはこのナズルラーワン監督が他のプレミアリーグのクラブから来季の監督候補として関心を集めていると報じています。
 ブリタハリアンの取材に対して41歳のナズルラーワン監督は、マレーシアカップ出場権の懸かる試合を前に他のクラブと話し合いをする機会を持つことはできないと話す一方で、複数のクラブから監督就任のオファーを受けていることは認めています。
 「ケランタン・ユナイテッドFCの経営陣が来季も自分を必要してくれるのであれば、チームに残ることへの支障は何もない、しかしそうでなければプレミアリーグの他のクラブを指揮してみたいとも思っている。」と述べたナズルラーワン監督は魅力的な契約内容が提示されれば来季の監督継続を最終戦に検討すると話しています。

9月22日のニュース:Mリーグ2部優勝はヌグリスンビランFC、スズキカップ-マレーシアはベトナムと同組に

Mリーグ2部優勝はヌグリスンビランFC
 昨日9月21日にMリーグ2部プレミアリーグ最終節となる第22節が行われ、首位のヌグリスンビランFCが勝利し、リーグ優勝を果たしています。
 サラワク・ユナイテッドFC、トレンガヌFC Iiと三つ巴の優勝争いとなった最終節でしたが、勝利が条件だった2位サラワク・ユナイテッドFCはJDT IIと引き分け、3位のトレンガヌFC IIはケランタン・ユナイテッドFCに敗れたため、最後はあっけない幕切りとなりました。
 またこの第22節の結果、2部プレミアリーグからは来季1部に昇格するヌグリスンビランFCとサラワク・ユナイテッドFCに加えてクチンシティFCとケランタンFCもマレーシアカップ出場を決めています。プレミアリーグからマレーシアカップに出場する最後の5チーム目は、第22節でケランタン・ユナイテッドFCがトレンガヌFC IIを破ったことにより、順延されていた9月24日のクチンシティFC対ケランタン・ユナイテッドFCの結果次第となりました。この試合でケランタン・ユナイテッドFCが勝利するとケランタン・ユナイテッドFCが、また引き分け或いは負けの場合にはPDRM FCがマレーシアカップ出場権を獲得します。第22節の詳細はこちらからどうぞ。

スズキカップ-マレーシアはベトナムと同組に
 アセアン東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会のグループステージ組み合わせ抽選が9月21日にシンガポールで行われ、マレーシアベトナム、インドネシアなどと同じB組となっています。
 AFFとして初めてのオンライン組み合わせ抽選はYoutbueなどでストリーミングで公開され、予選を戦うブルネイと東ティモールの組み合わせが決定した後、本選の組み合わせ抽選となりました。ポッド1にはベトナムとタイ、ポッド2にはマレーシアとミャンマー、ポッド3にはインドネシアとフィリピン、ポッド4にはシンガポールとカンボジア、そしてポッド5にはラオスが入り、Pod5から順に、予選A組とB組への振り分けが行われました。
 前回2018年大会優勝のベトナムと準優勝のマレーシアはそろってB組となり、これにインドネシア、カンボジア、ラオスが加わり、A組はタイ、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、そしてブルネイと東ティモール戦の勝者がそのメンバーです。
 2020年に予定されていた今大会は新型コロナ感染拡大の影響を受け順延され、今年12月5日から来年1月1日の決勝までを、従来のホームアンドアウェイ方式ではなく、一国での集中開催方式で行われることが決まっています。