4月2日のニュース:FAMは契約書に「不可抗力」条項の導入を検討、元U19代表監督は小規模クラブの将来を憂慮、AFCは2027年アジアカップ開催希望の申請受付を3ヶ月延長

FAMは契約書に「不可抗力」条項の導入を検討
 隣国インドネシアでは新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため、5月29日まで国内リーグ中断が確定していますが、これに伴い、インドネシアサッカー協会PSSIは、3月から6月までの期間に限り、国内リーグの各クラブに対して給料の25パーセントを上限として支払うことを認める特別措置を取っています。そしてPSSIがこの措置の根拠として挙げているが、国内リーグの中断は”Force majeure「不可抗力」”によるものであるという考え方です。
 手元にあるスーパー大辞林によれば「不可抗力」とは「 通常,必要と認められる注意や予防方法を尽くしても,なお損害を防ぎきれないこと。債務不履行・不法行為の責任を免れる」となっており、今回のPSSIの場合で言えば、「契約書通りの給料を払う義務を免除される」という解釈でしょう。
 これに倣ってかどうかはわかりませんが、マレーシアサッカー協会FAMが「不可抗力」条項を契約書に盛り込むことを検討中であることを、マレー語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。この記事では、この条項を契約書に盛り込むことにより、現在、マレーシアの国内リーグを揺るがせているリーグ中断に伴う給料削減問題のような事態に対処することが容易になるとしています。
 この「不可抗力」条項導入について、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、今回の新型コロナウィルスによるリーグ中断はFAMにとっても全く未知の経験であるとし、今後このような状況に直面した際には選手との契約を見直す必要があるとして、各クラブやマレーシアプロサッカー選手会PFAMを含めた関係者と一緒に検討していきたいと話しています。
 その一方で、この「不可抗力」は様々な解釈が可能であり、ヘイズ(煙霧-マレーシアやインドネシアで行われている焼畑が原因とされ、健康被害なども引き起こす大気汚染公害:筆者注)や豪雨なども含めるのかなどマレーシアでの適用条件やその目的などを包括的に検討する必要性があることや、マレーシアフットボールリーグMFLで使われている契約書は国際サッカー連盟FIFAが作成した定型書式を採用していることから内容の変更にはFIFAの承認が必要であることなどを指摘した上で、ラマリンガム事務局長は選手、クラブの双方はもちろん、サッカーファンにとっても公平となるようなものとしたいと話しています。

元U19代表監督は小規模クラブの将来を憂慮
 クロアチア人のボヤン・ホダック氏は、現在マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグ7連覇中のジョホール・ダルル・タジムが連覇をスタートした2014年に監督を努めた他、2012年にはケランタンFAを率いてスーパーリーグ、FAカップ、マレーシアカップの三冠を達成した名将です。その後2017年から昨年2019年まではマレーシアU19代表の監督を務め、2018年には東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権優勝、さらにはアジアサッカー連盟AFC U19選手権本選に14年振りにマレーシアを出場させています。しかし、マレーシアでこれだけの実績がありながら、葉に絹着せぬ発言で知られるホダック氏はU19代表監督の契約を更新されず、現在はインドネシア1部リーグのPSSマカッサルの監督を務めています。
 インドネシアの国内リーグが中断中ということで、クアラルンプールに滞在しているホダック氏は英字紙ニューストレイトタイムズ電子版のインタビューに答え、MFLの多くのクラブが州政府や政府機関を大口スポンサーとしており、現在の新型コロナウィルス感染が拡大する状況では、そう言った州政府や政府機関が充当していたクラブ運営資金が新型コロナウィルス感染対策に使われている可能性があるという持論を展開し、他のスポンサーを持たないクラブ、多くの入場料収入が期待できないクラブは生き残りが困難になり、そのツケは選手にも回ってくるだろうと話しています。
 「年間予算1000万リンギ(およそ2億4600万円)程度のクラブが試合をせずにどのくらい持ちこたえることができるだろうか」と話すホダック氏は、州政府や政府機関といったクラブのスポンサーが既に年間支援額全額を支給していれば良いが、毎月、あるいは四半期ごとに支援が行われるクラブであれば持ちこたえるのが困難になるだろうと述べ、既に負債を抱えているクラブ(=給料未払い問題を抱えているクラブ)では選手が苦しむことになるのではないかと危惧していると語っています。
 さらに中国、韓国、日本といった国のクラブは資金的に余裕があり、リーグを運営する組織から支援も期待できるが、国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFL自身が十分なスポンサーを獲得できていないマレーシアはもとより、似たような状況に置かれている東南アジア各国のクラブが心配であるとしています。
 また上の記事でも取り上げたインドネシアリーグの給料削減問題についても、報道されている内容とは異なり、選手会との交渉なしに決定されたと話すホダック氏は、アジアを含めた世界のサッカークラブの9割以上を占める小規模クラブの多くは、リーグ中断期間が3ヶ月以上に及べば破産しかねないのではと予測しています。

AFCは2027年アジアカップ開催希望の申請受付を3ヶ月延長
 4年ごとに開催されるアジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ。昨年2019年にアラブ首長国連邦で開催された第17回大会では、カタールが日本を3-1で破って優勝しています。2023年開催予定の第18回大会は中国での開催が既に決まっていますが、その次の大会となる2027年の第19回大会について、AFCは開催希望国から出される申請の締め切りを3月31日から6月30日に延長したと、英国の通信社ロイターが報じています。
 AFCは、十分な準備期間を与えられるように開催地をできるだけ早く確定したかったようですが、新型コロナウィルスの感染拡大により各国のサッカー協会がその対応に追われている現状を考慮した結果の決定であるとしています。
 2027年大会については、過去3回の優勝実績を誇りながら、自国開催の経験がないサウジアラビアが開催に立候補している唯一の国となっています。

3月31日のニュース:JDTの選手らが33パーセントの給料カットに同意、FAMは他のクラブもJDTに倣うことを期待 、その一方で選手は協会とリーグの役員報酬削減を要求

マレーシアでは明日4月1日より、現在発令中の活動制限令MCOがより強化され、これまで通常営業が許されていたスーパーマーケット、食料品店、飲食店などが全て午前8時から午後8時までの営業となります。フードデリバリーなども同様の営業時間となり、この時間帯以外に妥当な理由なき外出をすれば警察に逮捕される、いわば夜間外出禁止状態となります。このような状況下では、読んでいて楽しいニュースはなかなかないのですが、数日ぶりのブログを書いてみました。

JDTの選手らが33パーセントの給料カットに同意
 ジョホール・ダルル・タジムJDTは公式Facebookページにて、選手、コーチ、スタッフが33パーセントの給料削減に同意したと発表しています。3月28日のこのブログでは、選手が給料の一部を本拠地があるジョホール州の災害基金に寄付した事を取り上げましたが、この寄付が削減された33パーセントの一部から拠出されたものなのか、残りの給料64パーセントから選手が寄付したものかは、発表された内容を読む限りでは明らかではありません。
 JDTはこれまでも、2017年にはペナン州で起こった洪水被害者への支援、昨年2019年には元フランス代表のロベール・ピレスやダヴィド・トレセゲ、ルイ・サハ、元オランダ代表のエドガー・ダーヴィッツ、元イタリア代表のマルコ・マテラッツィなど豪華メンバーをそろえて開催したチャリティーマッチで68万リンギ(およそ1700万円)を国立がん協会へ寄付するなど、社会活動に熱心なクラブです。
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 MFLのクラブとしては初めて給料削減を公表したJDTですが、この給料削減と寄付行為は、マレーシアサッカー協会FAMやマレーシアサッカーリーグMFLの公式サイトで取り上げられた他、アジアサッカー連盟AFCのウィンザー・ジョン事務局長(マレーシア人)からも称賛されています。

FAMは他のクラブもJDTに倣うことを期待
 JDTが選手、コーチ、スタッフと給料削減について同意したことで、マレーシアサッカー協会FAMは、他のMFLクラブもJDT同様に選手と交渉することを期待していると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 現在、マレーシアフットボールリーグMFLは暫定的に4月30日までの中断が決まっていますが、マレーシア国内に発令中の活動制限令MCOは今後も延長される可能性があり、実際には国内リーグ再開の目処は立っていません。
 試合が開催できない状況下で入場料収入が途絶えたMFLクラブが窮状を訴えていることは、何度かこのブログでも取り上げましたが、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、クラブが選手・スタッフと真摯に交渉を行い、選手・スタッフもある程度の歩み寄りを見せることで、妥協点を見つけるよう努力を求めています。

その一方で選手は協会とリーグの役員報酬削減を要求
 同じニューストレイトタイムズ電子版では、選手やスタッフに給料削減への理解を求めるのであれば、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアサッカーリーグMFLの役員がまずは報酬削減を表明するべきではないか、という選手の声を取り上げています。
 FAMとMFLは、クラブと選手・スタッフとの間で給料削減の交渉を行うべきと提案していることは上で取り上げましたが、MFl1部スーパーリーグのクラブに所属する匿名の選手は、FAMとMFLの役員が率先して報酬を削減すれば、選手やスタッフもそれに続くだろうと話す一方で、そもそも給料削減が議論になる根拠がないとして、給料全額が払われるべきだとしています。
 この選手はインタビューの中で、ユベントスやバルセロナの選手も給料削減に同意している事を指摘されると、リーグも違えば給料の額も違うとして比較の対象にはならないと反論しています。
 4月30日までリーグ中断が続けば、給料削減についての話し合いに応じる可能性があると話すこの選手は、ここまで2週間の中断で給料削減の話が出ること自体、多くのクラブが経営状況に問題がある証であると指摘し、この程度で経営が難しくなるクラブが多いのであれば、MFLは今季のリーグを中止すれば、簡単な話だと過激なことも発言しています。
 またインドネシアサッカー協会PSSIがリーグ中断期間中は各クラブが選手に支払う金額を実際の給料の25パーセントまでで良いとする措置をとった事をAFCが評価していますが(詳しくは下をご覧下さい)、これについては、PSSIがインドネシアのプロサッカー選手会への相談なしで行われたことから、インドネシアの選手は非常に腹を立てていると話し、マレーシアのプロサッカー選手会PFAMには、選手の福利が守られるよう頑張ってもらいたいと話しています。
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 インドネシアサッカー協会PSSIは、3月28日に国内リーグを5月29日まで中断することを発表し、さらに3月から6月までの期間は「不可抗力(force majure)」を理由に、各クラブが選手、コーチ、スタッフに支払う給料を、契約した金額の25パーセントを上限として良いとする決定をしています。PSSIの発表はこちらです。
 例えばオーストラリアサッカー協会FFAは職員の70パーセントを削減しており、「痛み」を共有するのであれば、マレーシアでも協会やリーグ運営組織でも職員の給与削減、あるいは役員報酬の削減が話題になっても良いはずですが、この記事の選手が指摘しているようにマレーシアサッカー協会FAMやマレーシアフットボールリーグMFLからはそういった話は残念ながら全く聞こえてきません。

3月27日のニュース:FAMとMFLはクラブにメディアではなく選手との対話を求める、PDRM FCの現役警官14名は最前線に立つ「フロントライナー」 、アセアンクラブ選手権は来年に延期へ

FAMとMFLはクラブにメディアではなく選手との対話を求める
 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLはそれぞれの公式サイトで、リーグ中断による収入減に苦しむ各クラブに対し、選手やスタッフと直接、話し合いの席につく機会を設けて、契約内容などについての話を行なうべきであると訴えています。
 さらにFAMとMFLは、各クラブがメディアに窮状を訴えている現在のやり方は適切でなく、まずは選手との対話をすべきとしています。この対話を通して、関係者全員が互いに協調し、現在の状況下で国内サッカー健全に維持するためにも、問題の平和的な解決を求めることを求めています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、ここでいう対話とは、クラブが選手側に対して一方的に給料削減に同意することを求めるものを指すのではないとしながらも、現在の状況はクラブの過失によるものではないとして、選手やスタッフに理解を求めています。
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 このブログでも過去数日にわたって、リーグ中断期間中のMFLの複数のクラブの状況を取り上げましたが、各クラブ任せだった協会とリーグが交渉を容認した形になります。ただし、協会あるいはリーグによる具体的な支援の話は出ておらず、実際には未だクラブ任せの状況なので、この訴えにどれだけ効果があるのかは疑問で、結局は各クラブの懐状況次第ということでしょう。

PDRM FCの現役警官14名は最前線に立つ「フロントライナー」
 MFLは第4節を最後に中断中で、ほとんどの選手は自宅で自主トレ、或いはチームから与えられた練習メニューをこなしていると思いますが、MFL1部のPDRM  FCの選手の中には、活動制限令MCO発令中の現在も仕事に勤しんでいるようです。
 PDRM FCはマレーシア王立警察PDRMが運営するクラブで、多くの選手が現役の警察官であることから、3月18日に発令されたMCO下では、クラブ所属の14名が通常の勤務についていると、英字紙スターが伝えています。
 FWカイルル・イズアン・アブドラはKL市内をパトロールする一方で、GKウィルフレッド・ジャブンは他のチームメイトとともに、要請に即応する部隊に配備されていると紹介しています。
 カイルル選手は現在の勤務状況では、個人的なトレーニングをする時間が十分取れないことを認める一方で、警察官として常に任務につく用意をしておかなければならないと話しています。またウィルフレッド選手は自分は普段はサッカーしているものの、警察官が自分の仕事であり、任務に就いた場合には国家の助けになれることを名誉と感じていると話しています。
 リーグ戦4試合では0勝1分3敗、しかも給料未払い問題があったことから開幕前に勝点3を剥奪(はくだつ)されたPDRM FCですが、イシャク・クンジュ・モハマド監督は、MFL1部で4試合をプレーし経験を積みつつあるチームについて、1部でプレーするために必要な事を学びつつあるとし、プロには引けを取らない事を見せたいと記事の中で語っています。

アセアンクラブ選手権は来年に延期へ
 アセアン(東南アジア諸国連合)サッカー連盟AFFの公式サイトでは、今年2020年から開催予定であったアセアンクラブ選手権ACCの2021年への延期、そして今後4ヶ月に開催が予定されているAFF主催大会の日程変更を発表しています。
 AFFのキエフ・サメト会長は、ACC延期の理由を新型コロナウィルスの感染拡大から参加する選手守るためとしながらも、10試合を5ヶ月間にわたって行なう日程のACCは、アセアン各国で中断中の国内リーグやアジアサッカー連盟AFCの大会の日程が未確定であることから、来年への延期が適切であると判断したと話しています。
 この他、AFF主催大会としては、5月にフィリピンで開催が予定されていたAFF女子選手権、いずれもインドネシアで開催予定だった6月のU18女子選手権、7月のU19選手権(男子)、8月のU16選手権(男子)もそれぞれ、後日発表される日程へと変更になりました。
 一方9月にインドネシアで開催予定のU15選手権、いずれもタイで開催予定のAFFフットサル選手権、フットサルクラブ選手権、ビーチサッカー選手権については現時点で予定通りの開催としています。
 また隔年開催で今年2020年が開催年となっているAFF選手権スズキカップも予定通り11月より開催となっています。

3月24日のニュース:エリートアカデミーに何が起こっているのか、U21とU19チームの給料未払いをケランタン州協会会長が認める、ミャンマー代表監督がマレーシアとの試合を拒否した理由とは

エリートアカデミーに何が起こっているのか
 マレーシアフットボールリーグMFL所属クラブのU19チームが対戦するユースリーグには、マレーシア国内から選手が選抜されている国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中核をなすエリートアカデミーのモクター・ダハリアカデミーAMDのU16チームも参加していますが、このAMD U16が出場した試合で撮られた写真が様々な憶測を生んでいます。
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版によれば、ロゴが外された古いユニフォームを着た選手たちが写った写真についてコメントしたのはKJことカイリー・ジャマルディン科学・テクノロジー・イノベーション相です。2013年から2018年の総選挙で下野するまでNFDPを統括する青年スポーツ相を務め、在任中はマレーシア人として初めてヨーロッパでプレーし、当時バイエルン・ミュンヘンU19チームのアシスタントコーチを務めていたたリム・テオンキム氏をNFDPへ招聘しました。今年2月末に起こった政権交代により再入閣を果たしたカイリー大臣は、停滞していたユース育成プログラム改善に尽力したこともあり、この「異変」に敏感に反応し、NFDPの公式インスタグラムに「2019年の予算として配分された4500万リンギ(およそ11億2000万円)はどこへいったのか」とこの状況に疑問を呈するコメントを残しました。
(胸部分にあったロゴが外されたユニフォーム-NFPD公式インスタグラムより)

 しかしカイリー大臣のコメントはその後なぜか削除され、その後NFPDがインスタグラムに削除を求めたこと、またその理由としてコメントがAMDの評判を貶めるものであることがその理由であることが公表されました。
 ユニフォームの問題以外にも、各地のNFDP参加のトレーニングセンターの閉鎖、トレーニング用具の供給の遅れ、コーチの給与削減なども起こっているようで、ここ数年間の政治の不安定によってサッカー界の将来を担う貴重なプロジェクトが個人の利益を目論む輩につけ込まれていると記事は結んでいます。

ケランタンFAU21の

U21とU19チームの給料未払いをケランタン州協会会長が認める
 ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAがリーグ中断による入場料収入減から所属選手の給料削減を検討している事はこのブログでも取り上げましたが、プレジデントカップに出場するU21チームにも給料未払い問題があることをKAFAのフシン・デラマン事務局長が認めたことをマレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 U21チームの29名とU19の22名の合計51名の選手に対し、昨季2019年シーズンの給料4ヶ月分に加えて今季は全く給料が支払われていない他、トレーニングにかかる費用等も選手負担で、過去7ヶ月間に渡ってこの状態が放置されているということです。
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 このような状況が過去数ヶ月にわたって起こっていることを把握できないまま、ケランタンFAの今季リーグ参加を承認したマレーシアサッカー協会FAMやリーグ主催者のマレーシアフットボールリーグMFLの調査能力の低さ(あるいは問題意識の希薄さ)によって、あらゆるサッカー活動が止まり、収入減に苦しむクラブが出てくることが予想される今後も同様の問題が露呈する可能性が高まってきました。

ミャンマー代表監督がマレーシアとの試合を拒否した理由とは
 新型コロナウィルス感染者が増加する状況下では世界各地でサッカー活動が止まっていますが、今月3月に予定されていたマレーシア代表とミャンマー代表の国際親善試合を中止されています。
 マレーシアサッカー協会FAMがミャンマー代表を招待する形で行われる予定だった試合は、新型コロナウィルスの影響により中止になっていますが、ミャンマーの英字紙ミャンマータイムズ電子版によれば、ミャンマー代表の監督を務めるドイツ人のアントワーヌ・ヘイ氏が直近のFIFAランキングで136位のミャンマーが同154位のマレーシアに敗れた場合、FIFAランキングが下がってしまうことを恐れたことも中止の理由の一つであるというミャンマーサッカー協会MFFのウ・コ・コ・テイン事務局長のコメントを伝えています。
 2018年にミャンマー代表とU23代表の両チームの監督に就任しながら、同年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでの敗退で一旦解任されながら、昨季から再びミャンマー代表監督に復帰したヘイ監督は、ミャンマーよりがFIFAランキングが高い国との試合を希望しているというウ・コ・コ・テインMFF事務局長のコメントも記事には併せて掲載されています。

3月17日のニュース:協会はリーグ中断中の給与未払に監視を強化、開幕からの4試合で3勝1分のJDT監督の進退問題?、東南アジア選手権2020年大会もスズキ自動車が冠スポンサーに

協会はリーグ中断中の給与未払いに監視を強化 
 新型コロナウィルスの影響を受け、3月16日から中断期間に入ったマレーシアフットボールリーグMFLですが、この中断期間に給与未払いが発生しないよう、マレーシアサッカー協会FAMは注意の目を光らせるつもりであると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガムCEOは、選手やスタッフはいずれもクラブと正式に契約を交わしていること、また各クラブともリーグ開幕前にMFLが行った審査で11月までの予算が確保されていることになっているので、財政問題による給料未払いが発生しないと信じていると話しています。同時にFAMは、今後の状況を詳しく監視し、もし給料を支払われない選手やスタッフからFAMに対して報告がされた場合には、それに応じて該当クラブに処分を行うとしています。
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 このブログでも数え切れないほど取り上げた給料未払い問題。特に問題がない場合でも給料未払い問題が普通に発生するマレーシアサッカー界では、今回の新型コロナウィルスによるリーグ中断は、経営者側による給料未払いの良い口実となりかねません。 
 スペインのラリガを参考に、MFLが今季開幕前に新たに導入したECP(経済コントロールプログラム)によって、各クラブの財務状況はMFLが審査済みのはずなので、もしクラブが今回の中断による救済措置などを求めるようであれば、MFLの審査そのものに問題ありとなり、非難がMFLへ向かう可能性もあります。

開幕からの4試合で3勝1分のJDT監督の進退問題?
 ジョホール・ダルル・タジムJDTはマレーシアフットボールリーグMFL1部で6連覇中ですが、今季は開幕戦で昨季FAカップチャンピオンのクダFAに1-0と勝利したものの、その後はいずれも今季1部に昇格したばかりのUITM FCに2-1、PDRM FCに1-0と辛勝、そして4戦目のフェルダ・ユナイテッドとは1-1と引き分けたことから、今季も圧倒的な勝利を予想するメディアの中にはモラ監督の進退について取り上げる新聞も出てきました。
 マレー語紙ブリタハリアンでは、MFLの各クラブがモラ監督の戦術に慣れた現状では、新たな戦術導入が必要とし、このままではモラ監督交代もありうるというマラ工科大学UITMのスポーツ科学科のモハマド・サデック・ムスタファ准教授のコメントを掲載しました。
 これに対し、JDTは公式Facebook上でテクニカル・ディレクターを務めるアリスター・エドワーズ氏が、開幕からの4試合で3勝1分の勝点10でリーグトップであること、他のクラブに比べるとAFCチャンピオンズリーグACLの試合を余分に戦って疲労がたまていることなどを挙げつつ、コーチでも元選手でもないサッカーとは無関係の学識経験者からのコメントを掲載したブリタハリアンに対して、単に現状を扇情的に扱っていると非難し、公平で正確な報道を求めるとしています。
(JDT公式FBに掲載されたエドワーズTDのコメント)

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 UITM FCやPDRM FCとの1点差勝利、そして昨季は最終節まで2部降格の可能性があったフェルダ・ユナイテッドと引き分けたことで、ソーシャルメディア上でも「今季のJDTは大丈夫か」のようなコメントは散見されました。
 「引分は負けに等しく、負けを大惨事のようにみなすサポーターの気持ちは理解できる一方で、良い日もあれば悪い日もあり、それがサッカーだと理解する必要がある」とJDTのオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下もモラ監督率いるチームを支持するコメントを出しています。
 4試合を消化して、3勝1分で勝点10を獲得しながら進退問題が話題になる監督は世界中を見回してもそうはいないでしょうが、言い換えれば、JDTに対するマレーシアサッカーファンの期待がどれだけ高いかを示しているとも言えるでしょう。
(JDT公式FBに掲載されたオーナーのトゥンク・イスマイル殿下のコメント)

東南アジア選手権2020年大会もスズキ自動車が冠スポンサーに
 東南アジアチャンピオンを決めるアセアンサッカー連盟AFF選手権は2年ごとに開催され、前回大会の2018年大会ではベトナムが通算スコア3-2でマレーシアを破って優勝しています。
 今年開催予定の第13回大会も予定通りであれば、今年半ばに予選のグループ分けが決定し、10月から11月にかけてグループステージが始まりますが、今年の大会もスズキ自動車がAFF選手権の冠スポンサーに就任したことをGoal. comが伝えています。
 タイガービールが冠スポンサーとして1996年に始まったことから当初はタイガーカップと呼ばれていたAFF選手権は、2004年のタイガービール撤退により単にAFF選手権と呼ばれていた時期を経て、スズキ自動車が冠スポンサーとなった2008年大会からはスズキカップと呼ばれています。
 また試合の開催方法も年とともに変わってきており、2016年の前々回大会までは、それぞれ4カ国が2つのホストカントリーに分かれてグループステージを行う形式でしたが、前回2018年大会からは2つのグループに分けられた5カ国が、ホーム2試合、アウェイ2試合を戦受け意識に変わりました。グループの上位2カ国が準決勝に進出し、またホームアンドアウェイで対戦、さらに決勝もホームアンドアウェイの通算成績で優勝が決まる形式は引き継がれたものの、この2018年大会は75万人を超える観衆を集める大会になりました。
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 今年、操業100周年、そして東南アジア進出90年を迎えるスズキ自動車の冠スポンサー継続は喜ばしいことですが、気になるのはやはり新型コロナウィルスの影響です。現在、国内リーグ中断中のマレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、また開幕を延期したフィリピンなどが、今後、国内リーグを再開し、さらに予定されている日程全てを消化しようとすれば、その試合日程が10月あるいは11月までずれ込む可能性があり、そうなるとスズキカップのグループステージが予定されている時期と重なる可能性があります。

3月4日のニュース:またマウリシオが決めた!-JDTが今季ACL初勝利、前トレンガヌFCの選手が給料未払いを告発、タイ3部リーグの元U19代表は先発出場

JDTが今季ACL初勝利
 AFCチャンピオンズリーグACLのジョホール・ダルル・タジムJDT対水原三星の試合がJDTのホームであるスルタン・イブラヒムスタジアムで昨日3月3日に行われ、JDTが水原三星を2-1と破り、ACLの今季初勝利、通算2勝目を挙げました。
 この結果、JDTは通算成績を1勝1敗の勝点3としてグループGの2位に浮上し、昨季の韓国FAカップチャンピオンとしてACLに出場している水原三星は、ヴィッセル神戸にも敗れており通算成績を0勝2敗としています。
 試合は13分にナズミ・ファイズからのスルーパスを受けたジオゴがペナルティーエリア付近の際どいところで水原三星DFに倒されました。主審のアリレザ・ファガニー(イラン)はこのプレーにPKを与え、このPKをゴンザロ・カブレラが決めてJDTが先制、前半はこのままJDTが1ー0のリードで終了しました。
 一方、水原三星は後半開始とともに出場したテリー・アントニスがJDTのペナルティーエリア手前でフリーとなった51分、GKファリザル・マーリアスのポジショニングを見計ったようにシュートを決め同点に追いつきました。
 その後は目まぐるしく攻守が入れ替わる中、追いつかれたJDTは73分に水原三星DF陣の不十分なクリアを奪ったナズミ・ファイズがゴール前にクロスボールを上げ、これをマウリシオが決めてJDTが再びリードを奪いました。
 水原三星の猛攻をしのいだJDTは逃げ切ってACL今季勝利を挙げ、マウリシオはMFL開幕戦となったクダFA戦に続く2試合連続の決勝ゴールを決め、勝利の立役者になっています。なおこの試合のAFCのマッチリポートはこちらです。
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 新本拠地のスルタン・イブラヒムスタジアムでACL初勝利を挙げたJDTですが、この日はレアンドロ・ヴァレスケス、マシュー・デイヴィーズ、ハリス・ハルン、アイディル・ザフアンといった主力がベンチ入りすらしませんでした。(ただし、レアンドロ選手は外国籍選手の登録制限、デイヴィーズ選手はJDT加入がACL選手登録締め切り後だったためです。)
 しかし代わって先発出場したナズミ・ファイズやアフィック・ファザイル、ファドリ・シャスそして、ケガから復帰のナチョ・インサ、そして途中出場のシャマー・クティ・アッバらが十分に仕事をしたことから、今後のACLやMFLでの選手起用においてJDTのモラ監督は嬉しい悲鳴をあげることになりそうです。特にこの試合で2つのアシストを決めてナズミ・ファイズは、このまま使い続けられれば、JDTはおろか、中盤に人材が不足している代表のレギュラーも狙えそうです。
 一方の水原三星は一部報道では韓国からマレーシアまで移動するの18時間もかかたいうことですので、この試合の結果は国内リーグ延期による実戦不足に加えて移動の疲労などの影響があるかもしれません。

前トレンガヌFCの選手が給料未払いを告発
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、昨季はトレンガヌFCに所属し、今季はサバFAでプレーするワン・アズライ・ワン・テーが昨季の給料未払いについてトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTと何の合意にも至らないまま、給料が支払われていない状況が続いていると報じています。
 GKのワン・アズライ選手は、この状況が続けば、マレーシアプロサッカー選手協会PFAMに報告せざるを得ないとして、PBSNTに早急の対応を求めています。
 PFAMのイズハム・イスマイルCEOはトレンガヌFCからはこれまで2名の選手が給料未払いをPFAMに報告しており、いずれの選手も未払いとなっていた給料の一部は受け取っており、残りも今月末までに受け取ることになっていると話しています。
 トレンガヌFCについては、明るみに出ていないものの給料未払い問題が存在するという噂はこれまでもありましたが、ワン・アズライ選手の告発によって、単なる噂ではなかったことになります。
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 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLは、今季開幕前に各クラブに給料未払い問題の解決を求めており、期限までに解決できなければ勝点剥奪(はくだつ)処分を科すと明言しています。実際にPDRM FCは既に勝点3を剥奪されており、FAMとMFLの調査次第でもトレンガヌFCにも同様の処分が科せられる可能性があります。

タイ3部リーグの元U19代表は先発して勝利に貢献
 3月1日に行われたタイ3部リーグ第2節では、アーントーンFCに所属する元マレーシアU19代表のザフアン・アゼマンが第1節に続いて先発出場しています。
 ザフアン選手は前節同様、前半終了と同時に交代していますが、前節にチャチューンサオFCに0-4と完敗だったアーントーンFCは、ホームのアーントーン県スタジアムで開催されたワットボットシティFC戦に3-0と快勝し、今季初勝利を挙げています。

3月2日のニュース:PJシティFCも本拠地使用不許可に、ケランタンFAは外国籍選手を入れ替え、タイ1部リーグ第3節-マットヨーはベンチ入りせず

PJシティFCも本拠地使用不許可に
 マレーシアフットボールリーグMFLは公式サイトにて、PJシティFCの本拠地MBPJスタジアムの改修工事が終わっていないことから、次節第2節に予定されているPJシティFC対ペラTBGのMBPJスタジアムでの開催中止、おより代替会場を確保して試合を行うようPJシティに命じています。
 スランゴール州プタリンジャヤ市が管理するMBPJスタジアムでは、2月25日にMFLによる設備検査が行われ、更衣室及びピッチの状況がMFLの公式戦には適さないと判断されています。
 なおMFLのアブドル・ガニCEOは、改修工事が完了するまではMBPJスタジアムの使用許可は出せないとして、工事が完了しなければPJシティFCには第2節以降も代替会場でのホームゲーム開催を示唆しています。

ケランタンFAは外国籍選手を入れ替え
 2019年シーズンには、母国リベリアの1部リーグでMVPと最多ゴールを記録したことからケランタンFAに加入した23歳のFWクリストファー・ジャクソンには大きな期待がかけられていましたが、MFL2部プレミアリーグ第1節のクアラルンプールFA戦では、フィールドどころかベンチにもジャクソン選手の姿はありませんでした。
 この謎について、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが、ジャクソン選手はケガによる離脱だと報じています。ケランタンFA関係者の話として、ジャクソン選手は加入前の身体検査では何も問題が見つからなかったものの、PJシティFCと対戦したプレシーズンマッチ中に右膝の外側半月板を痛め長期離脱が確定したということです。
 長期離脱が確定したことにより、ケランタンFAはジャクソン選手との契約を解除し、昨季はパハンFAでプレーしたナミビア出身のFWラザラス・カイムビと契約したことも記事では報じられています。なお、パハンFAでプレーする前の2018年にはケランタンFAでのプレー経験もあるカイムビ選手は、代わって出場したクアラルンプールFAとの試合で先制ゴールを挙げています。

タイ1部リーグ第4節-マットヨーはベンチ入りせず
 タイ1部リーグ第4節が行われ、BGパトゥム・ユナイテッドのマットヨーことノーシャルル・イドラン・タラハは、この日はベンチ入りしませんでした。
 ノーシャルル選手は、第1節と第2節ではいずれも先発出場でしたが、前節はベンチ入りするも出場がなく、今節はベンチ入りなしとなり、ケガなのかそれとも他の要因でベンチ入りしなかったのかが気になります。なおはBGパトゥム・ユナイテッドはタラートFCに1-0と勝利し4試合で3勝1分となっています。
 またポリス・テロFCのドミニク・タンはサムットプラーカーン・シティFC戦に68分から途中出場し、1-0の勝利に貢献しています。
 なおタイリーグは1部から4部までが新型コロナウィルスの影響で3月中の公式戦を中止することを決定しています。

2月28日のニュース(3):タイ1部リーグ第3節の「マレーシアダービー」は意外な結末に、日本遠征中のU17代表は予定を切り上げて帰国

タイ1部リーグ第3節の「マレーシアダービー」は意外な結果に
 2月26日に行われたタイ1部リーグのBGパトゥナム・ユナイテッド対ポリス・テロFCの試合は、共に今季1部に昇格したクラブ同士の戦いですが、マレーシア視点では、フル代表の選手が所属するクラブ同士のいわば「マレーシアダービー」でした。
 BGパトゥム・ユナイテッドにはノーシャルル・イドラン・タラハが、ポリス・テロFCにはドミニク・タンが所属しており、FWノーシャルル選手は過去2試合は先発出場し、DFタン選手は途中交代で出場しています。この両クラブが対戦すれば、ポジション的にも2人が直接対決することがあるかも、と期待していたのですが、意外な結末が待っていました。
 結果自体はホームのBGパトゥム・ユナイテッドがポリス・テロFCを3ー0で破って3連勝を飾り、ポリス・テロは連勝が2でストップしたのですが、期待したノーシャルル選手もタン選手も何とこの日は終始ベンチを温めただけで、試合出場がありませんでした…。残念!
 次節第4節にはノーシャルル選手のBGパトゥム・ユナイテッドはトラートFCと、タン選手のポリス・テロFCはサムットプラーカーン・シティFCとそれぞれ3月1日に試合を行います。

日本遠征中のU17代表は予定を早めに切り上げて帰国
 現在、鹿児島県指宿市で開催中のJENESYS青少年サッカー交流大会に出場中のマレーシアU17代表チームは、大会後に予定されていた予定を全て中止し、明日2月29日の最終戦終了後にマレーシアへ帰国することになったと、マレーシアサッカー協会FAMのFacebookで告知されています。
 日本の外務省などが推進するプログラムの一環として開催されているこの大会には、ASEAN(アセアン)東南アジア諸国連合のU17マレーシア代表、U18ミャンマー代表、U19ラオス代表、U19カンボジアおよびU19東ティモール代表(注:東ティモールはASEANのメンバー国ではありません)と、U17日本代表、鹿児島県選抜U18、鹿児島ユナイテッドFCU18が出場してます。
 当初の予定では、ASEANと東ティモールの選手たちは大会終了後、東京へ移動して3月4日までプログラムを続ける予定でしたが、新型コロナウィルス拡大を心配する日本政府の意向を受けた外務省と日本サッカー協会JFAの判断により、2月29日の順位決定戦でプログラムを終了することになりました。なお、帰国に際しては東京などを経由しない直行便も用意されるようです。
 なお2月26日から始まっている大会では、マレーシアU17代表は初戦のラオスU19戦をフルタイム1-1(PK戦2−3)、翌日27日の鹿児島県選抜U18戦もフルタイム2-2(PK戦2-4)と2敗を喫し、本日2月28日にはグループステージ最終戦となるU17日本代表が控えています。

2月17日のニュース:タイリーグが開幕-代表コンビは揃って勝利に貢献、クラスニキのWC予選出場が可能に、スランゴールFCはMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性も

タイリーグが開幕-代表コンビは揃って勝利に貢献
 マレーシアフットボールリーグMFLは今季は2月28日に開幕しますが、隣国タイのリーグは一足早く先週末に開幕しました。ボラセパマレーシアJP的に注目したいのは、今季、タイ1部リーグへ移籍した代表コンビの動向です。
 昨季は2部で優勝し、今季は1部に昇格したBGパトゥム・ユナイテッドには、MFLパハンFAからノーシャルル・イドラン・タラハが、また昨季2部準優勝でやはり今季1部に昇格したポリス・テロFCにはJDTからドミニク・タンが加入しました。
 ノーシャルル選手は、昨季5位のムアントン・ユナイテッド戦に先発しました。ちなみにBGパトゥム・ユナイテッドのFacebookでは、先発メンバーを告知するページにタイ語、英語に加えてマレーシア語の表記も登場するなど、マレーシア人サポーターにも親切な作りになっていました。なお、タイ代表の西野朗監督も視察に訪れたこの試合では、背番号99番のノーシャルル選手は前半終了と同時に交代しています。(写真はBGパトゥム・ユナイテッドのFacebookより)

 一方、タン選手が所属するポリス・テロFCは昨季2位のブリーラム・ユナイテッドと対戦、タン選手はチームが1−0とリードした74分に交代出場し、そのまま試合終了まで出場しました。(写真はポリス・テロFCのFacdbookより)

この他、タイ3部上部(北側)リーグのアーントーンFCにもやはりマレーシア人のMFザフアン・アゼマンが在籍していますが、背番号9のザフアン選手もチャチューンサオFCとの試合に先発出場し、前半終了と同時に交代しています。なおこの試合ではアーントーンFCは0−4と敗れています。(写真はアーントーンFCのFacebookより)

クラスニキのWC予選出場が可能に
 今季、MFLのジョホール・ダルル・タジムに加入したコソボ出身のリリドン・クラスニキはマレーシアサッカー協会FAMによる帰化プログラムを経て、マレーシア国籍を取得しました。これによって、国内リーグMFLではマレーシア人選手としての登録が可能となりましたが、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、国際サッカー連盟FIFAからもマレーシア代表として試合に出場する許可が出たようです。
 FAMの帰化プログラム委員会の委員長を務めるダト・モハマド・ユソフ・マハディFAM副会長によれば、クラスニキ選手のマレーシア代表選手としての登録を許可する旨の連絡をFIFAより受け取ったとのことで、来月3月26日に予定されているFIFAワールドカップアジア二次予選のアラブ首長国連邦UAE戦に代表選手として出場するかどうかはタン・チェンホー監督に委ねると話しています。
 またもう一人の帰化選手候補であるペラTBGのギリェルメ・デ・パウラ(ブラジル)については、まずマレーシア国籍を取得した上で、FIFAの判断を仰ぐとしています。
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 クラスニキ選手がMFLで初めてプレーしたクダFAの当時の監督が、現在のタン・チェンホー代表監督ということもあり、一部では「問題児」とも言われているクラスニキ選手ですが、ケガや体調不良などの問題がなければ、フル代表に招集されるでしょう。
 3月26日対戦するUAEもFWセバスティアン・ルーカス・タグリアブエ(アルゼンチン)、FWカイオ・カネド・コレア、MFファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマ(いずれもブラジル)と3人の帰化選手を擁するチームですので、クラスニキ選手の加入は大きな補強になりそうです。

スランゴールFCはMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性も
 スランゴールFCのホームは8万人収容のシャー・アラムスタジアムですが、MFLの今季開幕前の施設検査で改修が必要との判断が出されています。英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、予定されているMFLによる2度目の施設検査でシャー・アラムスタジアムのMFLでの使用許可が下りない場合には、同じスランゴール州のクラナジャヤにあるMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性が浮上しています。
 1994年開場のシャー・アラムスタジアムは、施設検査後にピッチや更衣室の状況がMFLの規定する条件に合わない上、観客席を覆う屋根の部分についても改修を求める要望が出ていました。
 これについてスランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、改修作業が行われている原序を踏まえ、2度目の施設検査で使用許可は下りるだろうと述べています。
 なおスランゴールFCの今季最初のホームゲームはMFL第2節の3月7日にペラTBGとの試合が予定されています。
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 この記事では観客席を覆う屋根の部分についての言及がありませんでしたが、この改修についてはハミドンFAS事務局長はすぐには対処できないことを明言しており、ここが使用許可の争点になれば、今季のシャー・アラムスタジアムの使用は難しいとされています。
 個人的には家から近いMBPJスタジアムでスランゴールFCの試合が観戦できるようになると嬉しいのですが、こちらは収容人数が2万5000人程度で、スランゴールFCにとっては入場料収入などで大きな損失を負う可能性もあります。

2月12日のニュース:ソーシャルメディアのフォロワー数トップの東南アジアのクラブはプルシブ・バンドン、MFLが今季の公式試合球を発表、東南アジアクラブ選手権出場チーム発表-マレーシアからは出場なし

ソーシャルメディアのフォロワー数トップの東南アジアのクラブはプルシブ・バンドン
 サポーター獲得の重要な手段として活用されるソーシャルメディアは、東南アジアはもとより世界中のサッカークラブが活用していますが、スポーツ関連のデジタルコミュニケーションとマーケティングを扱うドイツのリザルトスポーツ社のサイトでは、世界のクラブのソーシャルメディアなど電子媒体上での存在感の大きさの指標を示す「2020年版グローバルデジタルフットボールベンチマーク」なるものを公表しています。その内容はFacebook、インスタグラム、Twitter、Youtube、Sina Weiboとその他のソーシャルメディアにおける合計フォロワー数をもとにランクづけしたもので、そのトップ3は、1位がバルセロナFC(スペイン)で2億6000万フォロワー、2位がレアルマドリー(スペイン)で2億5800万、3位がマンチェスター・ユナイテッド(英国)の1億4200万となっています。
(以下はリザルトスポーツのサイトより。)

 また、大陸ごとで見ると南北アメリカの1位はフラメンゴ(ブラジル、全体では16位)、アフリカ大陸1位はアル・アハリ(エジプト、同18位)、アジア1位はプルシブ・バンドン(インドネシア、同22位)となっています。

 ここから東南アジアの上位10クラブを取り出したのが以下の表です。表は左から東南アジアでの順位(世界での順位)、クラブ名、所属リーグのある国名、フォロワー数(人)、となっています。

1位(22位)プルシブ・バンドンインドネシア1700万
2位(50位)プルシジャ・ジャカルタインドネシア600万
3位(81位)ムアントン・ユナイテッドタイ300万
4位(87位)ジョホール・ダルル・タジムマレーシア300万
5位(97位)アレマFCインドネシア200万
6位(103位)ブリーラム・ユナイテッドタイ200万
7位(120位)プルスバヤ・スラバヤインドネシア200万
8位(137位)バリ・ユナイテッドインドネシア100万
9位(146位)スリウィジャヤFCインドネシア100万
10位(194位)チョンブリFCタイ 100万

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 東南アジアでは上位10クラブ中6クラブがインドネシアのクラブですが、このブログでも以前取り上げたマレーシアとインドネシアの両国でクラブ監督の経験があるプルシブ・バンドンのロバート・アルバーツ監督や、マレーシア人ながらインドネシアで多くのクラブを指導してきたラジャ・イサ氏のコメントにあったように、インドネシア国内でのサッカー人気は、近隣諸国と比べてもその熱狂度が遥かに高いことがこの数字からも実証されているようです。例えばプルシブ・バンドンの1700万フォロワーという数字は、その数字の正確さ自体はともかく、マレーシアの総人口の半分にあたるフォロワーがいる計算になります。

MFLが今季の公式試合球を発表
 マレーシアフットボールリーグMFLはTwitterで今季2020年シーズンに使用される公式試合球を発表しています。昨季の公式試合球「マーリン」の後継モデル「マーリンII」が今季の試合球で、ナイキ社製のボールは5年連続でMFLに採用されています。
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 ちなみにこの「マーリンII」はイタリアセリエAの2019/2020シーズンや北中米カリブ海サッカー連盟CONCACAF選手権ゴールドカップの試合球にもなっています。ちなみにGoogleで検索してみたところ、そのお値段は115英国ポンド(およそ16400円)でした。MFLのロゴなど入れると価格はもっと跳ね上がるのでしょうね。

東南アジアクラブ選手権出場チーム発表-マレーシアからは出場なし
 東南アジアサッカー連盟AFFが主催し、東南アジア各国の1部リーグ優勝クラブややカップ戦優勝チームなどが出場する東南アジア(ASEAN)クラブ選手権ACCの出場クラブが確定しました。
 このACCは2003年、2005年と既に2回開催されていますが、2003年大会はインドネシア、2005年大会はブルネイに各クラブが集まり、10日から2週間で完結する大会でした。しかし今年2020年から開催される大会は、3月から11月までの間にホームアンドアウェイ形式で行われる方式に変更になっています。
 なお、ACC2020年大会に参加するのは以下のクラブです。
・チェンライ・ユナイテッド(2019年タイリーグ優勝)
・プラチュワップFC(2019年タイリーグカップ優勝)
・バリ・ユナイテッド(2019年インドネシアリーグ1優勝)
・プルスバヤ・スラバヤ(2019年インドネシアリーグ1準優勝)
・ハノイFC(2019年ベトナムVリーグ優勝)
・ホーチミンシティーFC(2019年ベトナムVリーグ準優勝)
・シャン・ユナイテッド(2019年ミャンマーナショナルリーグ優勝)
・タンピネス・ローヴァーズ(2019年シンガポールプレミアリーグ優勝)
 以上8クラブは既にACC本戦出場が決まっていますが、この8クラブに加えてプレーオフを勝ち上がった2クラブが加わり、全部で10クラブがACCに出場します。なお、プレーオフに出場するのは以下の4クラブで、この中から2クラブが本戦に出場します。
・スヴェイ・リエンFC(2019年メットフォンカンボジアリーグ優勝)
・ラオ・トヨタFC(2019年ラオスプレミアリーグ優勝)
・セレス・ネグロスFC(2019年フィリピンフットボールリーグ優勝)
・インドラFC(2019年ブルネイスーパーリーグ4位)
 見出しにも書きましたがACC2020年大会にはマレーシアのクラブは出場しませんが、これはマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が既に明言していたので、特に驚くことではありません。FAMは当初からマレーシアからクラブを出場させる条件として、ACCがアジアサッカー連盟AFCによって公式に承認されることを求めていた他、2020年大会については国内リーグとの日程調整の難しさ、さらにはフル代表のワールドカップ予選前合宿などとの兼ね合いなどを理由に出場見送りを決めていました。
 FAMは、MFLの上位クラブをAFF主催の大会よりもAFC主催のAFCチャンピオンズリーグACLやAFCカップに出場させたい方針で、ACCがMFL3位のクラブにまで出場資格を広げるのであれば、出場を検討するとしていました。