11月19日のニュース
クラブライセンス不交付で来季トップリーグ不参加のマラッカ・ユナイテッドFCはマラッカFCと名称変更して3部リーグに参戦
マレーシアカップ決勝会場がブキ・ジャリル国立競技場に決定-最高のVIP席チケットは6200円
マレーシア代表の2022-2024年用新ユニフォーム発表

今日11月19日は独立以来第15回となるマレーシアの国政選挙投票日。昨日は急遽、国民の祝日となり、週末を兼ねて実家へ戻って投票する人の帰省ラッシュで、多くの幹線道路は渋滞したようです。

また複数の州では州議会選挙が同時に行われますが、ここで州政府内の政権交代が起これば、Mリーグクラブの将来にも影響が出る可能性があります。Mリーグのクラブは大半が各州のサッカー協会(州FA)がその運営に関与しているだけでなく、州FA会長を州首相(州の知事)が兼任し、クラブの運営費用を州政府からの公金に依存しているケースが少なくありません。政権交代が起これば、州知事は交代、つまり州FA会長が交代することになります。この政権交代により州FAによるクラブ運営方針が変わるだけでなく、予算配分などにも影響があります。その良い例が昨季のペラFCです。2020年に州議会内で議員の鞍替えによる与野党逆転が起こった結果、ペラFCに多額の資金支援を認めていた州首相が失職し、同時に州FA会長を退任すると、新たな州首相が州FA会長に就任した途端、クラブへの支援を削減しました。その結果、給料未払いが起こり、2020年シーズン終了後、外国籍選手を含めた主力選手の大半が退団しただけでなく外国籍監督とも契約を解除、その結果、2020年は1部スーパーリーグで4位だったクラブは昨季2021年シーズンは11位にとなり2部プレミアリーグに降格しています。

こういった政治とサッカーの結びつきを断ち切ろうと、マレーシアサッカー協会FAMが取り組んでいるのがクラブの民営化です。クラブの運営を州FAからクラブ運営会社に移すことで、上記のような政権交代などによるクラブへの政治的影響を無くそうという目的ですが、大半の資金を州政府から受け取ってきたクラブの体質改善は難しく、完全な民営化ができているのはジョホール・ダルル・タジムJDTやクランタンFCしかありません。他のクラブもクラブ運営会社を立ち上げたものの、クラブの資金源となるスポンサーは州政府が運営する企業が大半で、結局のところ、州政府から直接支援を受けるのではなく、州政府系企業経由と見た目が変わっただけに過ぎません。

ここ数年は新型コロナ対策やインフレ対策などにより、州政府の財政にも以前ほどの余裕がなくなっていることから、政権交代をきっかけにMリーグクラブへの支援が見直される可能性があり、これによりMリーグの勢力分布が変わってしまう可能性もあります。

クラブライセンス不交付で来季トップリーグ不参加のマラッカ・ユナイテッドFCはマラッカFCと名称変更して来季の3部リーグに参戦

来季のクラブライセンスが交付されず、Mリーグ1部スーパーリーグへの参加ができなくなったマラッカ・ユナイテッドFCが、クラブ名をマラッカFCと変更して、来季はMリーグ3部に当たるM3リーグに参加することを発表しています。

今季のスーパーリーグで10位に終わったマラッカ・ユナイテッドFCは、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLが設定した期限までに給料未払い問題が解決しなかったことから、国内のクラブライセンス交付機関である第一審期間FIBがクラブライセンスを交付しませんでした。これにより来季のスーパーリーグ参加が不可能となったマラッカ・ユナイテッドFCを運営するマラッカ・ユナイテッドサッカー協会MUSAは、協会名をマラッカ州サッカー協会MAFAと変更するとともに、クラブの名称もマラッカFC取りブランディングすることを発表しています。

マラッカ州首相でもあったスライマン・モハマド・アMUSA会長に代わり、新たに会長に就寝したヌル・アズミ・アフマッド氏は、マラッカ州サッカー協会の名称をMUSAからMAFAとすることについて、これまで結果を伴わなかったMUSAはクラブの再生にそぐわないとしてMAFAとすることにしたと説明しています。

また新生マラッカFCは、既に来季2月開幕のM3リーグに向けて練習を開始していることを明らかにしたヌル・アズミMAFA会長は、来季のFAカップ参戦、そして2024年のスーパーリーグ復帰がクラブの目標となると述べ、未払い給料問題の解決を最優先とするとともに、今後同様の問題が起こらないような運営を行うことも約束しています。

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今季のスーパーリーグとMリーグ2部のプレミアリーグが統合され、来季は新たに14チーム編成となる「新」スーパーリーグの発足に伴い、来季はプレミアリーグが開催されないことが決まっています。このためマラッカFCはアマチュアリーグのM3リーグ参戦を余儀なくされています。これにより、今季の主力選手の多くが退団することが予想され、既にGKブライアン・シーはペラFCへ、DFファドリ・シャスはヌグリスンビランFCへの加入などが発表されています。

なお同様の給料未払い問題により今季スーパーリーグ11位のサラワク・ユナイテッドFCもクラブライセンス不交付により、来季のスーパーリーグ参戦ができなくなっていますが、こちらについては来季の方針などは未だ発表になっていません。

マレーシアカップ決勝の会場がブキ・ジャリル国立競技場に決定-最高のVIP席チケットは6200円

現在準決勝まで進んでいるマレーシアカップは今年が第96回大会。今大会は11月26日に決勝が予定されていますが、その試合会場がクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場に決定したことを、マレーシアカップを主催するマレーシアンフットボールリーグMFLが公式サイトで発表しています。一時は地方開催の可能性も報じられていた決勝戦ですが、MFLはピッチの状況、観客収容能力、サポーターのアクセスのしやすさなど様々な点から.ブキ・ジャリル国立競技場に決定したと説明しています。

またMFLはこのマレーシアカップ決勝のチケット価格も発表しています。今季のFAカップ決勝と同様で最も高額なメインスタンドVIP席は200マレーシアリンギ(およそ6200円)、最も安価な一般席は50マレーシアリンギ(およそ1500円)となっています。Jリーグと比べれば驚くような価格ではないかもしれませんが、Mリーグ1部スーパーリーグの公式戦の場合、チケットの価格帯は20マレーシアリンギ(およそ620円)から50マレーシアリンギであることを考えると、VIP席はなかなかいいお値段です。

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今年9月に8万4000人の観衆を集めた今季のFAカップの決勝を既に開催しているブキ・ジャリル国立競技場は、各クラブの本拠地と比べれば明らかにピッチの手入れ状況なども良く、昨季に続きマレーシアカップの決勝戦会場となったのは当然と言えます。国内のスタジアムではジョホール・ダルル・タジムJDTの本拠地、スルタン・イブラヒムスタジアムもピッチの管理が良いことで知られていますが、この決勝戦にはJDTが勝ち上がる可能性もあり、公正と中立を期すれば、スルタン・イブラヒムスタジアムでの開催は難しいのが現実です。

マレーシア代表の2022-2024年用新ユニフォーム発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、2022年から2024年までマレーシア代表が着用する新たなユニフォームを発表しています。

ハリマウ・マラヤ「マレーの虎」の愛称持つマレーシア代表のユニフォームは、虎の黄色時に黒の縞模様にちなんで、黄色と黒が基調になることが多いですが、今回はホームがほぼ全面が黄色で丸首の部分だけが黒で、アウェイは胴で濃淡の差はあるもののほぼ全面が袖と黒という配色になり、デザイン的にはこれまでのユニフォームよりもシンプルになっています。マレーシアがタイ、インドネシア、ベトナムと共催した2007年のAFC選手権アジアカップから代表ユニフォームを提供するナイキ社による今回のユニフォームのデザインのテーマは「胸のバッジのために」となっており、国のために戦う闘争心を象徴しているということです。

この新ユニフォームは今年12月20日に開幕する東南アジアサッカー連盟選手権、三菱電機カップの前に行われる12月9日の国際親善試合カンボジア戦から使用され、女子代表や年代別代表、フットサルやビーチサッカー代表もこのユニフォームを使用するということです。

ちなみにお値段はホーム、アウェイユニフォームとも299マレーシアリンギ(およそ9200円)で11月24日から国内スポーツショップのアル=イクサンの店舗とオンラインストア、そしてナイキ・マレーシアのオンラインストアで購入可能ということです。
(下の写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより。)

マレーシアカップ2022
準決勝1STレグ結果とハイライト映像

マレーシアサッカーの今季最後を飾るマレーシアカップはいよいよ準決勝。11月15日と16日にそれぞれ1試合ずつ行われています。各州の対抗戦として始まったマレーシアのサッカーの歴史を受け継ぐマレーシアカップは、リーグ戦とは違う「熱さ」をもっています。この準決勝2試合はいずれも観衆が1万4000人を超え、特にスランゴール対トレンガヌ戦は今季初めてチケットが売り切れるなど、サポーターが退去押し掛ければ、それに呼応するようにピッチ上でも選手が激しくぶつかりあいました。準決勝ファーストレグを見る限りでは、決勝進出がかかるセカンドレグはさらに「暑い」試合になりそうです。なお準決勝セカンドレグは11月20日にJDT対サバが、同21日にトレンガヌ対スランゴールがそれぞれ行われます。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 0-1 JDT
⚽️JDT:アリフ・アイマン(34分)
🟨サバ(7):バドルル・アフェンディ、ファルハン・ロスラン、アムリ・ヤハヤ、ドミニク・タン、ジェラルド・ガディト、ハナフィ・トウキョウ、オン・キムスイ監督
🟨JDT(4):アリフ・アイマン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェロズ・バハルディン、レアンドロ・ヴァレスケス
🟥JDT(1):フェロズ・バハルディン(🟨x2)
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 マレーシアカップに優勝し悲願のAFCカップ出場権獲得を目指す今季リーグ2位のサバと、リーグ、FAカップに続き年間三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTの対戦は、両チーム合わせてイエローカード11枚、レッドカード1枚が出されるほどともに激しい闘志をむき出しにした試合となりました。
 試合はJDTが試合開始から好機を作るものの、マレーシアカップでは連戦、攻守を見せるサバGKデミアン・リムの活躍もあり得点にならない展開が続きました。しかしついに34分、若きエース、アリフ・アイマンがペナルティエリアの外からディフェンダーを交わしてシュート。これが決まってJDTが先制します。そしてここからがJDTの本領が発揮されます。ベルグソン・ダ・シルヴァを中心とした攻撃力が注目されるJDTですが、今季リーグ戦22試合で12失点とその守備力も今季未だ国内無敗を支える原動力でもあります。73分にはフェロズ・バハルディンが2枚目のイエローカード(これは素人目には先にボールに触っているようにも見えましたが)で退場となり10人となるも、この1点を守り切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 トレンガヌ
⚽️スランゴール:リッチモンド・アンクラ(37分)、カイオン(43分)、シャルル・ナジーム(57分)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(19分)
🟨スランゴール(1):ムカイリ・アジマル
🟨トレンガヌ(2):クパー・シャーマン、アザルル・ナザリス
MOM:リッチモンド・アンクラ(スランゴール)
 リーグ5位とはいえタン・チェンホー監督就任以来、リーグ戦からマレーシアカップにかけて8戦無敗と好調が続くスランゴールと、ここ3ヶ月ではFAカップ決勝でJDTに敗れたのが唯一の敗戦と、こちらもやはり好調なリーグ2位トレンガヌの対戦となったこの試合は、スランゴールが3つのゴールを決め、リーグ戦では2敗していたトレンガヌに雪辱を果たしています。
 試合はキャプテン、チェチェ・キプレのフリーキックで19分にトレンガヌが先制しましたが、スランゴールは37分、ムカイリ・アジマルからのコーナーキックをリッチモンド・アンクラが190cmの長身を生かしたヘディングで同点ゴール。さらに43分位は同じムカイリ・アジマルからのコーナーキックにエースのカイオンがダイビングヘッドでゴールを決め逆転します。さらに57分には再びムカイリ・アジマルのコーナーキックにシャルル・ナジームがやはり頭で合わせゴール!全く同じような3つのゴールでスランゴールが快勝し、リーグ最多となる34回目のマレーシアカップ優勝に向けて近づきました。
 一方のトレンガヌは、この日の敗戦で、リーグ戦からマレーシアカップへと続いた連勝が8でストップしています。さらにこの試合前日には、クラブとの関係が悪化したナフジ・ザイン監督がマレーシアカップ後に退任することが発表されましたが、選手の動きを見る限りでは、チームのモラルは低下しておらず、ホームに戻ってのセカンドレグではこのナフジ監督の花道を飾るべく、決勝を目指す戦いが見られそうです。

マレーシアサッカーの今季最後を飾るマレーシアカップはいよいよ準決勝。11月15日と16日にそれぞれ1試合ずつ行われています。各州の対抗戦として始まったマレーシアのサッカーの歴史を受け継ぐマレーシアカップは、リーグ戦とは違う「熱さ」をもっています。この準決勝2試合はいずれも観衆が1万4000人を超え、特にスランゴール対トレンガヌ戦は今季初めてチケットが売り切れるなど、サポーターが退去押し掛ければ、それに呼応するようにピッチ上でも選手が激しくぶつかりあいました。準決勝ファーストレグを見る限りでは、決勝進出がかかるセカンドレグはさらに「暑い」試合になりそうです。なお準決勝セカンドレグは11月20日にJDT対サバが、同21日にトレンガヌ対スランゴールがそれぞれ行われます。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 0-1 JDT
⚽️JDT:アリフ・アイマン(34分)
🟨サバ(7):バドルル・アフェンディ、ファルハン・ロスラン、アムリ・ヤハヤ、ドミニク・タン、ジェラルド・ガディト、ハナフィ・トウキョウ、オン・キムスイ監督
🟨JDT(4):アリフ・アイマン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、フェロズ・バハルディン、レアンドロ・ヴァレスケス
🟥JDT(1):フェロズ・バハルディン(🟨x2)
MOM:ダミエン・リム(サバ)
 マレーシアカップに優勝し悲願のAFCカップ出場権獲得を目指す今季リーグ2位のサバと、リーグ、FAカップに続き年間三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTの対戦は、両チーム合わせてイエローカード11枚、レッドカード1枚が出されるほどともに激しい闘志をむき出しにした試合となりました。
 試合はJDTが試合開始から好機を作るものの、マレーシアカップでは連戦、攻守を見せるサバGKデミアン・リムの活躍もあり得点にならない展開が続きました。しかしついに34分、若きエース、アリフ・アイマンがペナルティエリアの外からディフェンダーを交わしてシュート。これが決まってJDTが先制します。そしてここからがJDTの本領が発揮されます。ベルグソン・ダ・シルヴァを中心とした攻撃力が注目されるJDTですが、今季リーグ戦22試合で12失点とその守備力も今季未だ国内無敗を支える原動力でもあります。73分にはフェロズ・バハルディンが2枚目のイエローカード(これは素人目には先にボールに触っているようにも見えましたが)で退場となり10人となるも、この1点を守り切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準決勝 1STレグ
2022年11月16日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 トレンガヌ
⚽️スランゴール:リッチモンド・アンクラ(37分)、カイオン(43分)、シャルル・ナジーム(57分)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ(19分)
🟨スランゴール(1):ムカイリ・アジマル
🟨トレンガヌ(2):クパー・シャーマン、アザルル・ナザリス
MOM:リッチモンド・アンクラ(スランゴール)
 リーグ5位とはいえタン・チェンホー監督就任以来、リーグ戦からマレーシアカップにかけて8戦無敗と好調が続くスランゴールと、ここ3ヶ月ではFAカップ決勝でJDTに敗れたのが唯一の敗戦と、こちらもやはり好調なリーグ2位トレンガヌの対戦となったこの試合は、スランゴールが3つのゴールを決め、リーグ戦では2敗していたトレンガヌに雪辱を果たしています。
 試合はキャプテン、チェチェ・キプレのフリーキックで19分にトレンガヌが先制しましたが、スランゴールは37分、ムカイリ・アジマルからのコーナーキックをリッチモンド・アンクラが190cmの長身を生かしたヘディングで同点ゴール。さらに43分位は同じムカイリ・アジマルからのコーナーキックにエースのカイオンがダイビングヘッドでゴールを決め逆転します。さらに57分には再びムカイリ・アジマルのコーナーキックにシャルル・ナジームがやはり頭で合わせゴール!全く同じような3つのゴールでスランゴールが快勝し、リーグ最多となる34回目のマレーシアカップ優勝に向けて近づきました。
 一方のトレンガヌは、この日の敗戦で、リーグ戦からマレーシアカップへと続いた連勝が8でストップしています。さらにこの試合前日には、クラブとの関係が悪化したナフジ・ザイン監督がマレーシアカップ後に退任することが発表されましたが、選手の動きを見る限りでは、チームのモラルは低下しておらず、ホームに戻ってのセカンドレグではこのナフジ監督の花道を飾るべく、決勝を目指す戦いが見られそうです。

11月16日のニュース
トレンガヌFCのナフジ監督の退任が確定
スーパーリーグクラブのコーチの月給は30万円!?
来季からフットサルリーグ参加のJDTが今季リーグ王者から7選手を獲得-フットサルでもいきなり無双を狙う

トレンガヌFCのナフジ監督の退任が確定

Mリーグ1部スーパーリーグのトレンガヌFCはナフジ・ザイン監督が来季の監督契約更新オファーを断ったことを発表しています。これにより、ナフジ監督は現在開催中のマレーシアカップ終了をもって退任することが決定しました。

トレンガヌFCを運営するTFC社のアブドル・ラシド・ジュソCEOは、昨日11月15日に記者会見を開き、ナフジ監督から契約更新を希望しない旨の返信を受け取ったことを明らかにしています。またその席上で、ナフジ監督はマレーシアカップ終了までは指揮を取ることも発表しています。またアブドル・ラシドCEOは、退任するナフジ監督への感謝の言葉を述べるとともに、来季2023年シーズンに指揮を取る新監督の候補者にはナフジ監督と同等かそれ以上の実績を求めるとしています。

ナフジ監督は2016年にTチームFC(現トレンガヌII)のU21チームの監督に就任し、翌2017年にはトレンガヌFCのコーチとなりました。2019年に当時のイルファン・バクティ監督(現クチンシティ監督)がチームの成績不振を理由にシーズン途中で辞任すると、コーチから監督代行に昇格しました。2019年はリーグ7位に終わったものの、正式に監督に就任した2020年は3位、2021年は4位、そして今季2022年は2位と、安定した成績を収めています。

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チームがマレーシアカップ準決勝を今日に控える中、その前日に発表となったナフジ監督退任のニュースですが、ナフジ監督がクラブの対応に対する批判をメディアにぶちまけた段階で、両者の関係の修復は不可能でした。上でも書いたように過去3シーズンを3位、4位、2位という成績を収めた監督に対して来季の方針や選手獲得などの相談も全く行わずに1年契約を提示したクラブは、リーグ優勝を目指して監督をサポートする姿勢が感じられないと非難されてもしょうがない対応でした。なお、ナフジ監督は来季は同じスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCの監督就任が噂されています。そのクダも過去2シーズンで連続2位になりながら、今季は外国籍選手を総入れ替えし、さらに主力を放出するなどアイディル・シャリン監督をクラブがサポートせず、その結果、今季8位と低迷し、アイディル監督はマレーシアカップ前に退任する事態になっています。

スーパーリーグクラブのコーチの月給は30万円!?

Mリーグの監督、コーチはの前途は暗いと、マレーシアサッカー指導者協会(PJBM)の会長が語っていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

Mリーグを主催するマレーシアンフットボールMFLは、来季から監督だけでなくコーチにもプロAライセンスの保持を義務付けることになりましたが、前サラワク・ユナイテッドFCのテクニカルディレクターでもあるB・サティアナタンPJBM会長は、今季は1部と2部合わせて22チームあったMリーグが、来季のリーグ再編成により15チームとチーム数が大幅に減少した点を挙げて、最大でも30名のマレーシア人指導者しか仕事につけず、マレーシア人のプロ指導者の供給過多が起きていると説明しています。

そしてこの供給過多により、買い手有利となったMリーグクラブはマレーシア人コーチに対して、従来より安い給料を提示するようになっているということです。

サティアナタンPJBM会長は、現在、国内にはプロAライセンスの保持者がおよそ50名おり、彼らはプロAライセンス取得のために7万マレーシアリンギ(およそ220万円)を支払ってコースを受講する一方で、Mリーグクラブの中にはそういったプロAライセンス保持者に対して月給1万マレーシアリンギ(およそ31万円)の契約を提示するクラブもあると話しています。

国内トップリーグのクラブのコーチに対してそのような給料が提示されていることに失望していると話すサティアナタンPJBM会長は、仕事が欲しいコーチの中にはそのような定額の契約であっても受け入れる者いる一方で、そういった低額で契約しながら、結果を残せず解雇された場合、再びトップリーグの指導者に復帰することは難しくなると述べて、低額での契約は自身の将来を危うくすることになると指摘しています。

またコーチを買い叩くような姿勢を見せるMリーグのクラブに対しては、MFLの基準にそうことだけを考え、この国のサッカーの将来を考えていないと批判しています。「この国のサッカーのレベルを上げるには、レベルアップしたいと考える選手と、その選手が目的を果たせるように指導する資格を持ったコーチの両方が必要であるが、Mリーグクラブは経営が苦しいとはいえ、そういった点を無視して、マレーシア人コーチを搾取している。」と非難するとともに、国内のプロ指導者に対しては威信と自尊心を持って欲しいと話しています。

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サティアナタンPJBM会長は、トレンガヌFCとナフジ・ザイン監督との問題についても言及し、トレンガヌFCは外国籍の監督、コーチであれば、決してこのような対応はしないだろうと述べ、マレーシア人指導者に対する不敬を批判するとともに、このような対応は直ちに改めるべきだとも述べています。

来季からフットサルリーグ参加のJDTが今季リーグ王者から7選手を獲得-フットサルでもいきなり無双を狙う?

今季のMリーグ1部スーパーリーグで9連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムJDTは、来季から国内フットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLへの参加を発表していますが、早速、選手獲得で話題を振りまいています。

このJDTが今季MPFLとマレーシアカップの二冠優勝のスランゴールMACから大量7選手を獲得するという噂がSNSで話題となり、その後スランゴールMACが公式インスタグラムでこの主力7選手が退団することを発表しています。この7選手とはハディ・トーフィク、アズリ・ラーマン、エクマル・シャリン、サアド・サニ、アズワン・イスマイル、ダニアル・アブドル・ダイン、そしてフィルダウス・アムビアです。この内、ハディ・トーフィク、アズワン・イスマイルの両選手は今年ベトナムで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズにマレーシア代表選手として参加しています。また他の選手もダニアル・ダインを除いてそれ以前にいずれも代表経験がある選手です。

JDTフットサルチームはこの他にもMPFLの強豪、パハンレンジャーズからも代表クラスの選手を獲得しようとしているという噂もあり、サッカー専門サイトのスムアニャボラは、スーパーリーグ9連覇中のJDTがそれまでのジョホールFCからチーム名をJDTと変更した2013年によく似ていると指摘しています。

JDTとなった2013年には、チームオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が主どする形で当時のマレーシア代表の主力選手を片っぱしから獲得しています。ちなみにこの2013年にJDTに加入した代表選手はサフィク・ラヒム(スランゴールから加入)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(クランタンから加入)、サフィ・サリー(インドネシア1部プリタ・ジャヤ、現マドゥラ・ユナイテッドから加入)、ザクアン・アドハ、アイディル・ザフアン(いずれもヌグリスンビランから加入)らがおり、JDTは翌2014年から今季に至るまでのスーパーリーグ9連覇の礎を作っています。

11月15日のニュース
トレンガヌ監督の契約更新問題は泥試合に発展
UITMも新スーパーリーグの規定が満たせずリーグ離脱か

トレンガヌ監督の契約更新問題は泥試合に発展-ナフジ監督はクラブのプロ意識の欠如を批判

今季のMリーグ1部スーパーリーグで2位、FAカップでは決勝に敗れて準優勝、そして現在開催中のマレーシアカップでは準決勝に駒を進めているトレンガヌFC。チームを率いるナフジ・ザイン監督とクラブの契約は今月11月末までとなっています。今季、これだけの好成績を収めながら、これまでなかなか契約更新が報じられず、ナフジ監督は今季限りか、といった噂も出回る中で爆弾発言が飛び出しました。

11月12日に行われたマレーシアカップ準々決勝セカンドレグのKLシティ戦後の記者会見で、ナフジ監督は、10月27日付の契約更新のオファーレターをその2日後の10月29日に受け取ったこと、来季、チームが求めるKPI(重要業績評価指標)や来季の給料についての事前の話し合いが全く持たれなかったこと、そして極め付けはそのオファーレターを経営陣からではなく、チームの練習中にクラブのキットマン経由で手渡されたことを暴露しました。

ナフジ監督は、2017年にトレンガヌのコーチに就任し、2019年に当時のイルファン・バクティ監督(現クチンシティ監督)がチームの成績不振を理由にシーズン途中で辞任すると、コーチから監督代行に昇格しました。2019年はリーグ7位に終わったものの、正式に監督に就任した2020年は3位、2021年は4位、そして今季2022年は2位と、安定した成績を収めています。

クラブに対する自身の貢献が評価されていないと述べたナフジ監督は、自身の雇用主であるトレンガヌFCは契約内容について決定する権利があることは理解しているとしながらも、クラブの対応はプロ意識も、監督である自身に対する敬意も欠如しているとして、失望をあらわにするとともに、クラブが自分を必要としているのか疑問であるとも話しています。

「契約更新前に、来季、クラブが目指す方向性やその準備について、監督と経営陣の考える計画を互いに理解することが望ましいと思っていたが、そういった機会は全くなかった。」と述べたナフジ監督は、昨季同様、KPIを示されて、それに同意することが条件の契約オファーであったことも明らかにしています。

クラブ側はナフジ監督の発言はクラブとの信頼関係を損なう上、事前に他のクラブと監督就任交渉を行っていたと批判

ナフジ監督が契約更新に関するクラブの対応をメディアに明らかにした翌日、トレンガヌFCを運営するTFC社が、ナフジ監督のメディアに対する発言に驚くとともに失望し、その発言はクラブのイメージ低下を招くだけでなく、クラブとナフジ監督の関係を損なうものであるという声明をクラブ公式Facebookで発表しています。

契約更新のオファーレターは契約が切れる30日前までに出すことが求められており、10月27日付のレターは同29日にナフジ監督に届けられており、ナフジ監督との契約が切れる11月30日まで30日以上あったことから、声明ではこれが問題視されるべきではないとしています。(ただしTFC社からではなく、レターがキットマンから手渡されたことには触れていません。)

さらにナフジ監督はレターを受け取ってから14日以内に契約を更新するか否か、あるいは契約内容の再交渉を求めるかを回答することになっているにもかかわらず、それをしないまま、メディアに対して契約更新についての不満を明らかにしたことは遺憾であると声明ではナフジ監督を批判しています。

さらにTFC社は今年8月にナフジ監督がトレンガヌFCとの契約期間中にもかかわらず、スーパーリーグの他のクラブと事前に交渉し、来季はそのクラブの監督に就任することにも同意しているという情報を掴んでおり、これが明らかな契約違反およびクラブのイメージを失墜させるものであるとも述べ、ナフジ監督に対する処分を検討中であるとも述べています。

UITMも新スーパーリーグの規定が満たせずリーグ離脱か

来季から改編されるMリーグ1部の「新」スーパーリーグは、当初予定されていた18チームから15チームに縮小していますが、さらにUITM FCも撤退して14チーム編成となる可能性があると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

18チームでスタートする予定だった来季のスーパーリーグが躓いたのは、給料未払い問題が解決していないことから、来季の国内クラブライセンスが交付されなかったマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCが参加不可となったことがその始まりでした。さらに来季のスーパーリーグでは外国籍選手枠が現在の5名から9名(ただしベンチ入りは最大6名)となることから、昨季、今季と外国籍選手不在でリーグに参加していたPJシティFCがこの新規定のもとではリーグ参加は困難であるととして撤退を発表し、来季のスーパーリーグは15チームとなることが決まっています。

そして今回、UITM FCがやはり新規定として導入された「リザーブリーグに出場するセカンドチームの設立」が困難であるとして、リーグ撤退の可能性があるとニューストレイトタイムズが報じています。UITM FCのサザリ・シャヒビ会長は、トップチーム、プレジデントカップ(U21)チーム、ユースカップ(U19)チームといった従来の編成に加えて、U23チームに当たるセカンドチームを新たに設立することで、クラブの年間予算が600万マレーシアリンギ(およそ1億8300万円)が必要となると話しています。UITM FCは、過去2シーズンのクラブ予算は400万マレーシアリンギ(およそ1億2200万円)前後だった一方で、セカンドチームの設立に加え、チーム数増に伴う試合数増もあり、新たに200万マレーシアリンギが必要になるということです。

前述のPJシティFC同様、今季は外国籍選手不在で2部プレミアリーグに参加し、7位となったUITM FCですが、来季に向けては予算不足に加えて、選手全員がUITM(マラ工科大学)の学生であり戦力不足も否めず、セカンドチームは他大学の学生を集めて編成せざるを得ない可能性もあり、こういった点からも、来季のスーパーリーグ参加は未だ確定していません。

マレーシアカップ2022
準々決勝2ndレグ結果とハイライト映像

 TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のセカンドレグが11月12日と13日に行われ・いよいよベスト4が決定しています。準決勝進出を決めたのは、リーグ優勝、FAカップ優勝に続く三冠を目指すジョホール・ダルル・タジムJDT、リーグ2位のトレンガヌ、リーグ3位のサバ、そしてリーグ5位のスランゴールの4チームで、準決勝のカードはJDT対サバ、トレンガヌ対スランゴールと決まりました。なお、マレーシアカップの優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられますが、スーパーリーグ1位として既にACL出場を決めているJDT、そしてスーパーリーグ2位となったことでAFCカップ出場権を獲得しているトレンガヌが優勝した場合には、スーパーリーグ3位のサバがAFCカップ出場権を獲得することが決まっています。
 なお準決勝ファーストレグは11月20日と21日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 1-1 クチンシティ(通算スコア:サバ 2-1 クチンシティ)
⚽️サバ:加賀山泰毅(94分)
⚽️クチンシティ:ウマレン・バチョク(83分OG)
🟨サバ(1):イルファン・ファザイル、アルト・リナス、ハナフィ・トウキョウ
🟨クチンシティ(1):アリフ・ハサン
MOM:加賀山泰毅(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」は、ファーストレグではMリーグ1部スーパーリーグ3位のサバが2部プレミアリーグ3位のクチンシティに1-0で勝利していますが、内容はほぼ互角で、セカンドレグでも接戦が予想されました。サバには加賀山泰毅、クチンシティには1回戦のペナン戦ではMOMにも選ばれている谷川由来選手が在籍しており、日本人選手対決ともなったこの試合は、豪雨で試合開始が30分遅れた上、ピッチに水が浮く最悪のコンディションの中で始まりました。
 試合はアウェイのクチンシティが試合開始からホームのサバを圧倒しましたが、クチンシティのシュートがゴールの枠を捉えることができず、また枠内に飛んだシュートには絶好調のサバGKダミエン・リムが立ちはだかり、得点を挙げることができません。またクチンシティのGKシャイフル・ワジジもこうセーブを見せ、前半は0-0で終了します。
 後半に入っても、クチンシティはサバゴールを破ることができないまま試合が進み、このままサバが逃げ切るかと思われた83分、クチンシティのコーナーキックは直接、シュートにはつながらなかったものの、ゴール前の混戦からサバのウマレン・バチョクに当たったボールがそのままゴールイン!土壇場でクチンシティが通算スコア1-1に追いつきます。
 90分内で決着をつけたいクチンシティはその後も好機を作りますが、またもやGKダミエン・リムの攻守に阻まれ、試合は延長に入ります。そして延長戦開始直後の94分、右サイドからのサディル・ラムダニのクロスに加賀山泰毅が頭で合わせゴール!通算スコア2-1とサバが再び、リードを奪います。クチンシティはその後もジョセフ・カラン・ティー、アイルトン・フェレイラが好機を生かせず、試合はこのまま終了し、加賀山選手の今季通算4ゴール目となるマレーシアカップ初ゴールが決勝点となり、サバが準決勝を決めています。
 クラブ史上初のベスト4進出を逃したクチンシティですが、スーパーリーグ12位のペナンを破り、同3位のサバとも接戦を繰り広げ、来季昇格するスーパーリーグでも堂々と渡り合えることを証明しました。今季限りで退任を発表していたイルファン・バクティ監督は、来季も指揮を取るという報道も出ており、来季のスーパーリーグでのクチンシティの活躍が楽しみです。
  クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月11日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 5-0 クランタン(通算スコア:JDT 8-0 クランタン)
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(12分、34分、37分)、シャーミ・サファリ(40分)、ナズミ・ファイズ(45+1分)
🟨JDT(1):ナチョ・インサ
🟨クランタン(3):ムハイミン・イズディン・アスリ、シャフィク・アル=ハフィズ、ズルファーミ・アブドル・ハディ
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ファストレグでは、スーパーリーグ覇者のJDTがプレミアリーグ2位のクランタンを3-0で破っており、このセカンドレグではクランタンがホームのJDTを相手に、意地を見せられるかどうかだけが注目でした。
 JDTのエクトル・ビドリオ監督は、マレーシアカップ1回戦のPJシティ戦、そしてクランタンとの準々決勝ファーストレグと1度として同じ先発XIを起用していませんが、この試合でも過去3試合とは異なる先発XIを起用、しかも、この試合も含め4試合全てに先発した選手は1人もいません。しかし誰が先発しても今季のJDTは強い!この試合もJDTのエース、ベルグソン・ダ・シルヴァが前半だけでハットトリックを達成。ちなみにベルグソン選手はリーグ戦で29ゴール、FAカップで4ゴール、また今季のACLで6ゴールを挙げており、マレーシアカップはここまで5ゴールと今季通算44ゴール挙げ、準決2試合、そして決勝まで進めば年間50ゴールも見えてきます。JDTはさらにシャーミ・サファリ、ファイズ・ナズミもゴールを決めており、前半で5-0としたJDTが、後半は今季出場機会が少なかった選手を起用する余裕を見せ、通算スコア8-0でクランタンを粉砕しています。
 クランタンのリザル・ザムベリ・ヤハヤ監督にとっては、屈辱的な結果となりましたが、ノリザム・トゥキマン オーナーは、来季昇格するスーパーリーグに向けて、新監督を起用することを既に明らかにしており、まだ2年契約が残るリザル・ザムベリ監督は来季もコーチとして残るのかは未定です。
 クランタンの原健太選手は後半から出場して、試合終了までプレーしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 2NDレグ
2022年11月12日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-2 スランゴール
⚽️ヌグリスンビラン:マテウス・アウヴェス(25分)、ザクアン・アドハ(45+1分)
⚽️スランゴール:カイオン(10分)、ヤザン・アル=アラブ(45分)
🟨ヌグリスンビラン(2):マテウス・アウヴェス、クザイミ・ピー、
🟨スランゴール(1):バハー・アブドッラフマーン
🟥ヌグリスンビラン(1):ズカイリ・ズルキプリ
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ4位のヌグリスンビランが、同5位のスランゴールをホームに迎えたセカンドレグは2-2の引き分けに終わったものの、ファーストレグで2-0と勝利していたスランゴールが通算スコアを4-2として、準決勝進出を決めています。
 試合はスランゴールがカイオンのゴールで先制するものの、ヌグリスンビランも相手ペナルティエリア内でザムリ・ラムリが倒されていたPKをマテウス・アウヴェスが決めて、すぐさま同点に追いつきます。その後、スランゴールも45分にゴール前の混戦から出たクリアボールをヤザン・アル=アラブが巧みなボレーシュートでゴールを決めて、再びリードを奪います。しかし、ヌグリスンビランも、サクアン・アドハが前半ロスタイムにゴールを決め、前半は2-2で終了します。
 その後は両チームともゴールがなく、試合は2-2で引き分けに終わり、ファーストレグのとの通算成績を4-2としたスランゴールが準決勝進出を決めています。
 ヌグリスンビランにとって痛かったのは、センターバックとしての守備だけでなく、コーナーキックやゴール付近でのセットプレーではその長身を生かした攻撃参加が脅威となるエロルド・グロンが、ファーストレグで出されたレッドカードによりこの試合は出場停止となっていたこと。ヌグリスンビランのK・デヴァン監督は、点を取らなければならなかったこともあり、ファーストレグの5-3-2から、この試合では3-4-3にシステム変更するなど、苦肉の策でこの試合に臨みました。また、試合終盤の81分にズカイリ・ズルキプリがダニアル・アスリを踏みつけて一発レッドで退場なったことも痛かった!10人になったヌグリスンビランにはスランゴール相手にゴールを挙げる力は残っておらず、ベスト8で敗退しています。またスランゴールはタン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を8に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月12日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 3-1 KLシティ(通算スコア:トレンガヌ 4-1 KLシティ)
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(22分)、チェチェ・キプレ(63分)、クパー・シャーマン(89分)
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム・ロスリ(45+1分)
🟨トレンガヌ(0)
🟨KLシティ(4):ジャンカルロ・ガリフオコ、アクラム・マヒナン、パウロ・ジョズエ
MOM:ファイサル・ハリム(トレンガヌ)
 ファーストレグを1-0で勝利していたスーパーリーグ2位のトレンガヌが、セカンドレグでも同5位で昨季のマレーシアカップ覇者、KLシティを破り、準決勝進出を決めています。
 マヌエル・オットのゴールで先制を許したKLシティは、前半終了間際に体調不良のロメル・モラレスに代わって先発したハキミ・アジム・ロスリのゴールで通算スコアを再び1点差とします。
 しかし、後半に入ると攻撃力の差が明らかになり、エース不在のKLシティに対して、63分にはtyチェ・キプレが、そして89分にはクパー・シャーマンがマレーシアカップ4試合で7ゴール目となるゴールを決めて、KLシティを突き放しています。がホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 準決勝進出を決めたトレンガヌですが、この試合後の記者会見では、今月末に契約が切れるナフジ・ザイン監督が契約延長のオファーレターをクラブの経営陣からではなく、練習の際にキットマン経由で受け取ったことを認めています。クラブが設定した今季のKPI(重要業績評価指標)を達成したにもかかわらず、来季の契約内容についての話し合いの席も持たれなかったことも明らかにし、クラブには契約延長の可否を決める権利も、その伝達方法の選択の権利もあるとしながらも、過去3年間の自身の貢献が評価されているとは感じられないと述べたナフジ監督は、契約延長を受けるかどうかの返答は、近々クラブに対して行うと述べています。なお、ナフジ監督には来季のクダ監督就任の噂も出ており、リーグ2位監督が移籍すれば、スーパーリーグの勢力図が大きく変わる可能性があります。

11月12日のニュース
PJシティがMリーグ撤退を正式に発表、来季の1部リーグは15チーム編成に

PJシティがMリーグ撤退を正式に発表、来季の1部リーグは15チーム編成に

Mリーグ1部スーパーリーグで今季9位のPJシティFCが、来季のスーパーリーグからの撤退を正式に発表しています。このブログでも、SNSだけでなく現地メディアまでもがその撤退の噂を報じていることについて取り上げましたが、いよいよ実現してしまったようです。

マレーシアの通信社ブルナマは、「Mリーグ撤退は、クラブの財政上の問題によるものではなく、来季から改編されるMリーグが目指す方向性が「PJシティが目指す方向性と合致しない」ことが理由である、というPJシティFCのスバハン・カマル会長の発言を伝えています。具体的には(リーグ撤退は)来季からスーパーリーグでは各チームの外国籍選手枠の上限が現在の5名から9名に増えること(ただしフィールド上はこれまで通り5名)が主な理由であると説明し、昨季から外国籍選手を起用せず、マレーシア人選手だけでチームを編成してリーグに参加してきたPJシティFCにとっては、来季のスーパーリーグでは他のチームとの競合が困難になると説明しています。

その一方でスバハン会長は、現在のオーナーであるQI(キューアイ)グループが、来季のスーパーリーグに参加する国内クラブライセンスが交付されているチームを売却する用意があると説明しています。「PJシティFCのリーグ撤退は財政上の問題によるものでなく、新たなオーナーは負債を負うこともなく、新たなチームを手に入れることができる。」と述べて、クラブの売却先候補企業にアピールしています。

さらにスバハン会長は、マレーシアでサッカークラブを運営することは収益性の高いビジネスではないと述べ、この国では州政府からの資金援助を得られるクラブが、サポーターだけでなく、(クラブに関わる州の)政治家の利益を満たすことによって生き残れるとも発言しています。

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最後は恨み節にも近い発言で、リーグ撤退発表の記者会見を締めくくったスバハン会長ですが、そこには真理も含まれています。かつてはインド系マレーシア人サッカー協会MIFAが運営し、2014年に当時の3部リーグにあたるFAMカップからスタートしたこのクラブは2017年に2部プレミアリーグに昇格、そして2019年にはスーパーリーグに昇格するとPJシティFCとクラブ名を変更して現在に至ります。伝統的に州政府傘下の州サッカー協会や警察、国軍、公立大学などがプロクラブを運営してきたマレーシアサッカー界で、PJシティは州政府や公的機関の後ろ盾を持たない現存する唯一のプロクラブチーム。言い換えればPJシティFCを「おらがチーム」と呼ぶサポーターが生まれにくいクラブでした。昨季からは”Yakin Lokal”「ローカル(=マレーシア人選手)を信じろ」というチームスローガンの元、マレーシア人選手100%のチーム編成でトップリーグを戦い、GKカラムラー・アル=ハフィズ、MFのV・ルヴェンティラン、FWダレン・ロック、コギレスワラン・ラジらを代表に送り込むなど、マレーシア人選手のみで構成されたチームとして、代表チーム強化に貢献してきましたが、その一方で、ホームの試合を観戦に行けば、いつもアウェイサポーターの方が多く、リーグ戦でも観客が1000名を切ることが珍しくないクラブがトップリーグで4シーズンも生き残ることができたことの方が奇跡なのかもしれません。クラブの愛称であるフェニックス「不死鳥」のように、新たなオーナーを得て復活するのか、それともこのまま消滅してしまうのか。年内にはクラブの運命が明らかになりそうです。

またリーグ撤退表明の記者会見でスバハン会長は、クラブ買収企業に対して、PJシティFCの名前を残すことを売却の条件としています。実はこれより前にいずれも今季1部スーパーリーグでプレーしたサラワク・ユナイテッドFCとマラッカ・ユナイテッドFCが選手へのキュ量未払いなどを理由に国内クラブライセンスが交付されず。来季のスーパーリーグ参加が不可能になっています。マラッカ・ユナイテッドはチームの名称をハリマウ・マラッカFCと変更し、来季はアマチュアリーグの3部でプレーする可能性が出ていますが、サラワク・ユナイテッドについては、来季の方針が発表されておらず、一部ではサラワク・ユナイテッドを運営に関わるサラワク州サッカー協会がPJシティを買収して、サラワク・ユナイテッドに代わるチームとしてスーパーリーグ参加を目論むのでは、という噂が広まっています。

実際、2019年には、サラワク州サッカー協会が運営していた2部プレミアリーグ所属のサラワクFAは、3部M3リーグ所属のクチンFA(現クチンシティFC)に入れ替え戦で敗れて3部降格となったものの、2部プレミアリーグで資金繰りに苦しんでいたスランゴール・ユナイテッドFCを買収し、本拠地をスランゴール州からサラワク週に移してサラワク・ユナイテッドFCと名称を変えて2部に残留するという「力技」を使った過去もあり、今回も1部スーパーリーグ残留のためにPJシティFCを買収するのではという話がまことしやかに流布しています。しかし、PJシティFCがクラブ名称の維持を条件とすれば、サラワク州サッカー協会が買収する利点がなくなってしまいます。

11月10日のニュース
MFLのCEOはPJシティとUITMの来季リーグ撤退の噂を否定も、その可能性は「五分五分」と明かす
マレーシアカップ記念切手をポス・マレーシアが発売-クチンシティの谷川由来選手も登場
松村亮選手所属のプルシス・ソロがJDTと合同練習と練習試合開催

MFLのCEOはPJシティとUITMの来季リーグ撤退の噂を否定も、その可能性は「五分五分」と明かす

来季のMリーグ1部スーパーリーグは、今季のスーパーリーグ所属12クラブと2部プレミアリーグ所属の6クラブを統合し、新たに18クラブによるリーグとなることが発表されたのが、今年7月のことでした。その後、給料未払い問題未解決などを理由に来季の国内クラブライセンスが交付されなかったマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドがリーグ参加を認められず、16クラブ編成となることが明らかになっています。

しかし、この「新スーパーリーグ」からさらにPJシティとUITMが撤退し、結局のところ1部リーグは14クラブとなるのでは、といった話がSNS上で流布され、さらに地元紙など一部メディアもこれを取り上げるなど、その噂の信憑性が高まっています。

これについて、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、PJシティ、UITM両クラブとの会談を持ったことを明らかにし、いずれも来季の新スーパーリーグに参加する意思表示がなされたと述べています。

マレーシアの通信社ブルナマの取材に対してスチュアートCEOは、噂に上がっている両クラブからリーグ撤退に関する連絡をもらっていないと述べていないと説明しています。その一方で両クラブの経営陣と会談を持った際に、先方から来季スーパーリーグ参加の可能性は「五分五分」であるとも伝えられていることも明らかにし、来月12月末までには最終的な回答が得られるだろうと述べています。

マレーシアカップ記念切手をポス・マレーシアが発売-クチンシティの谷川由来選手も登場

今大会で創設101周年となるマレーシアカップは、すでに準々決勝の1STレグが終了しましたが、このマレーシアカップを記念した記念切手の販売を、マレーシアの郵便局ポス・マレーシアが発表しています。なおポス・マレーシアはMリーグを運営するMFLの公式ロジスティックパートナーになっています。

クアラルンプール中央郵便局で行われた記者会見では、今季のマレーシアカップ2022に出場する16クラブがデザインされたシートも公開されおり、各クラブの切手にはチームカラーを背景にした主力選手が描かれています。例えばジョホール・ダルル・タジムJDTは今季得点王のベルグソン・ダ・シルヴァと若きエース、アリフ・アイマン、トレンガヌは今季急成長のファイサル・ハリムとマレーシアカップでゴール量産中のクパー・シャーマン、スランゴールはブレンダン・ガンとムカイリ・アジマル、そしてクチンシティを代表する選手としては谷川由来選手がシャフィジ・イクマル選手とともに描かれています。

1800セット限定で、1セットが45マレーシアリンギ(およそ1390円)となっており、購入はポス・マレーシアの公式サイト およびクアラルンプール中央郵便局で11月9日から可能になっています。また国内の主要13郵便局では11月14日より購入可能です。


松村亮選手所属のプルシス・ソロがJDTと合同練習と練習試合開催

インドネシア1部リガ1のプルシス・ソロが、Mリーグ王者ジョホール・ダルル・タジムJDTと合同練習を行なっています。

JDTが招待する形で行われる今回の合同練習では、中部ジャワの都市スラカルタを本拠地とするプルシス・ソロが11月9日から18日までの予定で、JDTの本拠地があるジョホール州に滞在し、今週末の11月12日にはJDTとの練習試合も行うということです。

なお今回の合同練習にはプルシス・ソロからは松村亮選手を含む26名の選手と、今月6日に就任が発表されたばかりのレオナルド・メディナ監督以下コーチ陣が参加します。

またプルシス・ソロは、ジョコ・ウィドド大統領の三男で実業家のカエサン・パンガレプ氏がクラブのCEOを務めていますが、その経営陣は今回、クラブの運営や施設、アカデミーなどJDTの事業を見学する予定だということです。

10月1日に起こったいわゆる「カンジュンハンの悲劇」により、現在も中断されているインドネシアリーグは、再開の目処が立っていません。そんな中でも今回の合同練習の誘いは、メディナ新監督が過去3年間、JDTでコーチを務めていたことと無縁ではないでしょう。

11月9日のニュース
FAMが年末から来年にかけての各年代チームの活動予定を発表
来季カップ戦でVARの試験的導入とプロ審判採用をFAMが発表
女子代表はヨルダンから監督を招聘
フットサルリーグは外国籍選手枠1増と新たなカップ戦創設を発表

FAMが年末から来年にかけての各年代チームの活動予定を発表

マレーシアサッカー協会FAMは11月7日に定例理事会を開催し、各年代チームの今年年末から来年の活動予定を発表しています。

U16/17代表
オスメラ・オマロ監督率いるU16代表は、先月10月に行われたAFC U17アジアカップ2023年大会予選でアラブ首長国連邦やインドネシアを破り、予選B組1位で本戦出場を決めています。2018年大会依頼5年ぶり6回目の出場となる来年5月の本戦を前に、FAMは大会開催地となるカタールのドーハで来年2月からおよそ1ヶ月の事前合宿を計画しており、現在、カタールサッカー協会と詳細を調整中ということです。

U23代表
2023年には、東南アジアサッカー連盟AFFU23選手権(日程未定)と東南アジア競技大会通称シーゲームズ(カンボジア、5月5日から17日)、AFC U23アジアカップ2024年大会予選(開催地未定、9月4日から12日)が予定されています。

A代表
年末に東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022が控えるA代表は、大会前に国際新全試合2試合を予定しています。

国際親善試合
12月9日(金)マレーシア対カンボジア@ブキ・ジャリル国立競技場(午後9時キックオフ)
12月14日(水)マレーシア対モルジブ@KLフットボールスタジアム(午後9時キックオフ)
*これらの試合の入場料は大人30マレーシアリンギ(およそ930円)、子ども(11歳以下)5リンギとなることも発表されています。

東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022
グループステージ
12月21日(水)ミャンマー対マレーシア(詳細未定)
12月24日(土)マレーシア対ラオス@ブキ・ジャリル国立競技場(午後9時キックオフ) 
12月27日(火)ベトナム対マレーシア(詳細未定) 
2023年1月3日(火)マレーシア対シンガポール@ブキ・ジャリル国立競技場(午後9時キックオフ)
*グループステージの入場料はメインスタンド100マレーシアリンギ(およそ3090円)から子ども(11歳以下)10リンギとなることも発表されています。
準決勝(ホームの試合)
2023年1月7日(土)(グループステージ2位で進出の場合)@ブキ・ジャリル国立競技場
2023年1月9日(月)(グループステージ1位で進出の場合)@ブキ・ジャリル国立競技場
*準決勝の入場料はメインスタンド120マレーシアリンギ(およそ3790円)から子ども(11歳以下)10リンギとなることも発表されています。
決勝(ホームの試合)
2023年1月13日(金)(グループステージ1位で進出の場合、会場未定)
2023年1月16日(月)(グループステージ2位で進出の場合、会場未定)
*決勝の入場料は現時点で未定です。

女子代表はヨルダンから監督を招聘

マレーシアサッカー協会FAMは、11月7日に行われた定例理事会で女子代表の監督にソリーン・アル=ゾウビ氏が就任することを発表しています。ソリーン氏は2014年からヨルダンサッカー協会の女子部門のトップを務めている他、アシスタントTD(テクニカルディレクター)も務めています。なおソリーン氏との契約は来月12月からということです。

女子U16/17代表
2024年にはインドネシアでAFC U17女子アジアカップが開催されますが、来年4月にはタイでこの大会の予選が開催されます。予選A組に入った女子U16/17代表は、4月26日に北マリアナ諸島、同28日にインドネシア、同30日にタイとの対戦が決まっています。

女子U19/20代表
2024年にウズベキスタンで開催されるAFC U20女子アジアカップの予選ではG組となっているマレーシアは来年3月にカンボジアで開催される予選に出場します。日程は3月8日にパキスタン、同10日にカンボジア、そして同12日にミャンマーとの試合が組まれています。

フットサルリーグは外国籍選手枠1増と新たなカップ戦創設を発表

マレーシアンプレミアフットボールリーグ男女
マレーシアサッカー協会FAMが運営するマレーシアンプレミアフットサルリーグMPFLの2023年シーズンは2月に開幕しますが、来季から外国籍選手枠が1つ増えることが発表されています。2月から7月にかけて行われる来季のMPFL男子では、従来の無条件の外国籍選手枠1名に加えて、アジア枠1名が追加されるということです。また5月に開幕する来季のMPFL女子も新たに無条件の外国籍選手枠1名が採用されることも併せて発表になっています。

また新たにマレーシアフットサルカップが創設されています。MPFL終了後に開催されるこのマレーシアフットサルカップは、MPFLの上位8チームが参加して行われるカップ戦です。

来季カップ戦でVARの試験的導入とプロ審判採用をFAMが発表

マレーシアサッカー協会FAMは、11月7日に開かれた理事会で、ビデオアシスタントレフリーVARの導入について、来季のFAカップとマレーシアカップでの試験的導入の予定があることを明らかにしています。

FAMのS・シヴァサンドラム審判委員会委員長は、現在、VARのシステムを提供するホークアイ社とメディアプロ社の2社と協議中であることを明かしています。シヴァサンドラム委員長は、国内でのVARの導入については最大の障壁となるのがその費用面であり、年間300試合でVARを採用すると想定した場合の費用は400から500万リンギ(およそ1億2400万から1億5500万円)がかかるとし、さらに「この費用は企業へ支払う金額であり、機器の設置や移動、担当審判の手当、インターネット環境の整備などは含まれておらず、実際にはこれ以上の費用がかかる。」とも述べています。また、VAR担当審判を養成コースに派遣するなど6ヶ月から8ヶ月の準備期間が必要となることも説明したシヴァサンドラム委員長は、FIFAやAFCの協力を得ながら、来季のカップ戦の準決勝や決勝戦での試験運用を目指したいとしています。

この他、ここ数年のFAM理事会での議題となりながら実現していない審判の「プロ化」については、来年、2名のプロ審判が誕生する予定であることも明らかにしています。審判のプロ化については、FAMは2年前にプロ審判候補6名を選出し、今年2022年には6名から8名のプロ審判がMリーグで笛を吹く計画を立てていましたが、コロナ禍により頓挫しており、その後は何も議論が行われていませんでした。

11月8日のニュース
今季のナショナルフットボールアウォーズ候補選手をMFLが発表

昨日11月7日には、今季のJリーグアウォーズ(年間表彰式)が開催され、横浜FマリノスのDF岩田智輝選手が、DFとしては田中マルクス闘莉王(当時浦和)以来16年ぶりの年間MVP(最優秀選手賞)を受賞していますが、こちらマレーシアでもナショナルフットボールアウォーズの各部門とその候補選手が発表になっています。なお、ナショナルフットボールアウォーズの表彰式はマレーシアカップ終了後の12月にオンラインで開催されます。

今季のナショナルフットボールアウォードの各部門とその候補選手をMFLが発表

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、2022年ナショナルフットボールアウォード(通称ABK22)の各部門とその候補選手を公式サイトで発表しています。

受賞対象となるのは以下の16部門です。(カッコ内は既に受賞決定している選手)
1部スーパーリーグ得点王
(ベルグソン・ダ・シルヴァ-JDT:29ゴール)
1部スーパーリーグ得点王-マレーシア人選手対象
(ダレン・ロック-PJシティ:10ゴール)
2部プレミアリーグ得点王
(アブ・カマラ-クチンシティ:11ゴール)
2部プレミアリーグ得点王-マレーシア人選手対象
(ヌルシャミル・アブドル・ガニ-クランタン:9ゴール)
最優秀ゴールキーパー賞
最優秀ディフェンダー賞
最優秀ミッドフィルダー賞
最優秀フォワード賞
最優秀監督賞
最優秀若手選手賞
最優秀外国籍選手賞
最優秀チーム賞
フェアプレー賞
ファン投票によるベストXI
ファン投票によるベストゴール(今季から採用の新部門)
リーグ最優秀選手賞

また、各ポジションの最優秀選手賞候補は、今季スーパーリーグとプレミアリーグに出場した全667選手が、試合出場時間などを元にまず386名まで絞り込まれ、さらにそこからABK22選考委員会が各ポジションごとに10名を選出しています。なおこのABK22選出委員会は、今季スーパーリーグとプレミアリーグでプレーした22チームの監督と各チームのチームマネージャー、そして22名のメディア関係者で構成されています。

最優秀ゴールキーパー賞候補
シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
ファリザル・マーリアス(JDT)
フィクリ・チェ・ソー(クランタン・ユナイテッド)
イズハム・タミジ(JDT II)
カラムラー・アル=ハフィズ(PJシティ)
カイルル・ファーミ(サバ)
ニック・アミン・アフマド(クランタン)
ラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)
サミュエル・サマヴィル(スランゴール)
スハイミ・フシン(トレンガヌ)


最優秀ディフェンダー賞候補
クザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)
アザム・アズミ(トレンガヌ)
ドミニク・タン(サバ)
イルファン・ザカリア(KLシティ)
カマル・アジジ(KLシティ)
ラヴェル・コービン=オング(JDT)
マシュー・デイヴィーズ(JDT)
ナスルラー・ハニフ(ヌグリスンビラン)
シャールル・ニザム(トレンガヌ)
シャールル・サアド(JDT)


最優秀ミッドフィルダー賞候補
アクラム・マヒナン(KLシティ)
アフィク・ファザイル(JDT)
バドロル・バクティアル(サバ)
ブレンダン・ガン(スランゴール)
デヴィッド・ローリー(スリ・パハン)
ムカイリ・アジマル(スランゴール)
ナチョ・インサ(JDT)
ノー・アザム・アジー(スリ・パハン)
ライアン・ランバート(KLシティ)
ザフリ・ヤハヤ(KLシティ)


最優秀フォワード賞候補
アリフ・アイマン(JDT)
ダレン・ロック(PJシティ)
ファイサル・ハリム(トレンガヌ)
J・パルティバン(KLシティ)
ノル・ハキム・ハサン(スランゴール)
ヌル・シャミ・イスズアン・アミン(サラワク・ユナイテッド)
ヌルシャミル・アブドル・ガニ(クランタン)
S・クマーラン(PJシティ)
シャフィク・アフマド(JDT)
ワン・ファズリ・ワン・ガザリ(トレンガヌII)


最優秀若手選手
アリフ・アイマン(JDT)
アイサル・ハディ・シャプリ(JDT II)
アザム・アズミ(トレンガヌ)
ダリル・シャム(JDT II)
ハキミ・アジム・ロスリ(KLシティ)
ムカイリ・アジマル(スランゴール)
ラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)
ルヴェンティラン(PJシティ)
シャヒル・バシャー(スランゴール)
T・サラヴァナン(ペナン)


最優秀監督
バドルル・アフザン・ラザリ(トレンガヌII)
ボヤン・ホダック(KLシティ)
ドラー・サレー(スリ・パハン)
オン・キムスイ(サバ)
エクトル・ビダリオ(JDT)
K・デヴァン(ヌグリスンビラン)
マリアノ・エチェヴェリア(JDT II)
ナフジ・ザイン(トレンガヌ)
P・マニアム(PJシティ)
リザル・ザムベリ・ヤハヤ(クランタン)

最優秀外国籍選手
ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
カイオン(スランゴール)
フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)
グスタヴォ(ヌグリスンビラン)
エロルド・グロン(ヌグリスンビラン)
ケヴィン・レイ・メンドーザ(KLシティ)
マヌエル・イダルゴ(スリ・パハン)
パク・タエス(サバ)
パウロ・ジョズエ(KLシティ)
チェチェ・キプレ(トレンガヌ)

なお最優秀チームはMFLの技術委員会が、フェアプレー賞はマレーシアサッカー協会FAMが選出する他、いずれもファン投票によるベストXIとベストゴールへの投票は来週から可能となるということです。またリーグ最優秀選手は、最優秀ゴールキーパー、最優秀ディフェンダー、最優秀ミッドフィルダー、最優秀フォワードに選ばれた4選手の中から、マレーシア代表のキム・パンゴン監督によって選出されるということです。

マレーシアカップ2022
準々決勝1STレグ結果とハイライト映像

TMマレーシアカップ2022の準々決勝4試合のファーストレグが11月5日と6日に行われています。行われた4試合は、いずれも今季リーグ戦での成績上位チームが勝利する順当な結果ととなりましたが、4試合中3試合でレッドカードが出されるなど、今季最後のタイトルを目指す各チームの試合は激しさを増してきています。なお準々決勝セカンドレグは11月11日と12日に予定されています。
*試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月5日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 0-1 サバ
⚽️サバ:バドロル・バクティアル(69分)
🟨クチンシティ(1):アダム・シリーン
🟨サバ(2):リザル・ガザリ、イルファン・ファザイル
MOM:ダミアン・チェン(サバ)
 いずれも東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」となったこのカードは、1回戦でMリーグ1部スーパーリーグ12位のペナンを破って準々決勝に進出した2部プレミアリーグ3位のクチンシティが、スーパーリーグ3位のサバをホームに迎えて対戦しました。クラブ史上初となるマレーシアカップ準々決勝進出を祝い、この試合を主催するクチンシティは、この試合が入場無料となることを事前に発表し、公式発表では今季最多の2万154人の観衆がサラワク州立スタジアムに集まりました。
 試合はホームのクチンシティが前半を優勢に進めるものの、マレーシアカップでは先発で起用されているサバのGKダミエン・チェンが相手のセットプレーからのシュートを好セーブし、またクチンシティのGKシャイフル・ワジジも加賀山泰毅選手のロングシュートを止めるなど、前半は0-0で終了しました。後半に入っても両GKの頑張りでしまった試合になりましたが、69分にサバが決勝点を挙げます。クチンシティGKのシャイフル・ワジジがサバのファルハン・ロスランのシュートを反応よく防いだものの、そこに詰めていたキャプテンのバドロル・バクティアルがそのこぼれ球をゴール!サバがついにクチンシティのゴールをこじ開けました。その後クチンシティも反撃しますが、この試合のMOMにも選ばれたダミエン・チェンがサバゴールに立ちはだかり、この1点を守り切って勝利しています。
 クチンシティの谷川由来選手、サバの加賀山泰毅選手はいずれも先発して、フル出場しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月5日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 0-3 JDT
⚽️JDT:ベルグソン・ダ・シルヴァ(29分)、シャフィク・アフマド(37分)、レアンドロ・ヴァレスケス(74分)
🟨クランタン(3):アリプ・アミルディン、ジャスミル・メハト、イクワン・ヤゼク
🟨JDT(0):アフィク・ファザイル、レアンドロ・バレスケス、シャールル・サアド、ナサニエル・シオ
🟥クランタン(1):ジャスミル・メハト(試合終了後)
🟥JDT(1):アフィク・ファザイル(🟨x2)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 互いに特徴的なオーナーの両チームの対戦は、今季スーパーリーグ9連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムJDTが、エースのベルグソン・ダ・シルヴァのゴールなどで、プレミアリーグ2位のクランタンに快勝しています。
 マレーシアでも有数のサッカーどころでもあるクランタンは、10年前の2012年にはスーパーリーグ、FAカップ、マレーシアカップの三冠も達成する強豪チームを擁していましたが、2013年のFAカップ優勝を最後にタイトルから遠ざかっています。当時チームを運営していたクランタン州サッカー協会KAFAのミスマネージメントもあり、2019年からは2部プレミアリーグでプレーしています。そんなクラブを実業家のノリザム・トゥキマン氏が2020年9月に買収し、そこからかつての栄華を目指して復活の道を進んできているクランタンが、今季既に二冠を獲得し、このマレーシアカップ優勝で三冠達成をもくろむJDTと対戦しました。
 試合は代表GKファリザル・マーリアスらをベンチスタートさせる余裕を見せたJDTの一方的な試合となり、後半76分にはJDTのアフィク・ファザイルがこの試合2枚目のイエローで退場となるものの、試合の大勢には影響がなく、ホームのクランタンが無得点で敗れています。
 クランタンの原健太選手は先発して、前半終了後に交代しています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 2-0 ヌグリスンビラン
⚽️スランゴール:カイオン(56分PK)、アリフ・ハイカル(90+1分)
🟨スランゴール(1):カイオン
🟨ヌグリスンビラン(1):ハリズ・カマルディン
🟥ヌグリスンビラン(1):エロルド・グロン
MOM:シーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)
 スーパーリーグ5位のスランゴールが、同4位のヌグリスンビランをホームに迎えた試合は、スランゴールが好機に次ぐ好機を得ながらも、攻撃陣の精度の低さやヌグリスンビランGKのシーハン・ハズミのスーパーセーブもあり、前半は0-0で終わります。
 後半に入っても、好機を得るものの、それを活かせないスランゴールにとっては、嫌な流れのまま進んだ試合は56分に動きました。ヌグリスンビランのペナルティエリアでエロルド・グロンがシャルル・ナジームを倒してPKを与えてしまいます。(実際にはボールに行っているクリーンなタックルにも見えますが)、しかもこの判定に執拗に抗議を続けるグロン選手に対して主審がレッドカードを示し、ヌグリスンビランは10人になってしまいます。
 数的有利を生かしたスランゴールは終了間際にアリフ・アイカルが数少ないDFをかわしてダメ押しのゴールを決めて勝利し、タン・チェンホー監督就任以来の無敗記録を7に伸ばしています。

マレーシアカップ2022準々決勝 1STレグ
2022年11月6日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 0-1 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:クパー・シャーマン(15分)
🟨KLシティ(3):パウロ・ジョズエ、デクラン・ランバート、アリフ・シャキリン
🟨トレンガヌ(4):クパー・シャーマン、アディブ・ザイヌディン、ハビブ・ハルーン、シャミルザ・ユソフ
🟥トレンガヌ(1):スハイミ・フシン
MOM:シャミルザ・ユソフ(トレンガヌ)
 スーパーリーグ2位のトレンガヌを同5位のKLシティがホームに迎えた試合は、1回戦2試合で5ゴールを挙げたトレンガヌのクパー・シャーマンがゴールを決め、トレンガヌが1-0で勝利しています。
 AFCカップで他のクラブよりも試合数が多いKLシティは、この試合でも疲労蓄積が心配されましたが、前年の覇者として臨むマレーシアカップでは、そのモチベーションは切れておらず、試合開始からパウロ・ジョズエがトレンガヌゴールに迫るなど、試合を優位に運びます。しかし、好調のクパー・シャーマンが、相手ゴール前の混戦からそのこぼれ球を押し込んで、トレンガヌが開始15分でリードを奪います。
 試合はそのまま、一進一退の攻防を繰り返しながら進み、問題の62分を迎えます。自陣からパウロ・ジョズエのロングボールに反応したKLシティのロメル・モラレスが抜け出そうとしたところを、トレンガヌのGKスハイミ・フシンがペナルティエリアのすぐ外で倒し、スハイミ選手は一発レッドで退場、KLシティはFKを得ます。しかし、スハイミ選手に代わって入ったGKシャミルザ・ユソフがパウロ・ジョズエのこのFKを止めると、さらにゴール前に詰めていたロメル・モラレスのシュートも再び止める大活躍で失点を防ぎます。今季トップチーム初出場となったチームの第3GKが勝負どころで大仕事を成し遂げたトレンガヌが準決勝に一歩近づいています。