10月9日にアジア杯2027年大会3次予選F組第3節が行われ、グループ首位でFIFAランキング123位のマレーシアはアウェイで同185位のラオスと対戦しています。
9月26日にFIFAが発表した国籍偽装疑惑による出場停止処分により主力のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ選手)7名を欠くマレーシアは、前節のベトナム戦からは大幅なメンバー変更を余儀なくされています。(左は今年6月のベトナム戦の先発XI、右はこの試合の先発XI)11年ぶりに勝利を挙げたベトナム戦の先発XIの内、この日のラオス戦にも先発しているのはGKシーハン・ハズミ、MFアリフ・アイマン、DFラヴェル・コービン=オング(いずれもジョホール・ダルル・タジム)、MFノーア・ライネ(スランゴール)、DFディオン・クールズ(セレッソ大阪)の5名です。


特にベトナム戦で代表デビューし、いきなり先制ゴールを挙げたジョアン・フィゲイレド(ジョホール・ダルル・タジム)、そしてやはりこの試合が初の代表戦ながら2点目を挙げたロドリゴ・オルガド(コロンビア1部アメリカ・デ・カリ)のFW2名を欠くこの日の布陣は火力不足となることが予想されました。
ピーター・クラモフスキー監督は、出場停止となっているオルガドに代えてロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジム)を起用、ジョホールではチームメートのアリフ・アイマンとともに2トップとし適用しています。中盤は出場停止となっているフィゲイレドに代わりにMFを一人増やし、出場停止のエクトル・へヴェルに代えてナズミ・ファイズ、アフィク・ファザイル(いずれもジョホール・ダルル・タジム)とライネの3選手が先発し、両SHはベトナム戦と同じコービン=オングとキャプテンのクールズを左右に配置しています。DF陣はこれまた出場停止のファクンド・ガルセス(スペイン1部アウベス)とジョン・イラザバル(ジョホール・ダルル・タジム)、そしてケガで離脱中のマシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジム)とベトナム戦の3バック全員が不在のため、シャールル・サアド(ジョホール・ダルル・タジム)、U23キャプテンのウバイドラー・シャムスル(トレンガヌ)、ハリス・ハイカル(スランゴール)の3選手が先発しています。
またこの試合はクラモフスキー監督にとっては今年加入した7名のヘリテイジ帰化選手不在で指揮を取る最初の試合でもありました。そしてこの7名の不在は予想通り攻撃面で明らかに影響が出ており、試合開始からマレーシアが圧倒的なボール保持率を維持しながらも、映像で見るからに劣悪なピッチ状況もあり、ラオスのゴールを破ることができないまま試合が進みます。
11分にはロメル・モラレスとのパス交換からアリフ・アイマンがこの試合初のシュートを放ちますが枠を捉えられません。さらにベトナム戦では全く出番がなかったモラレス自身も16分にヘディングシュートを試みますがやはり枠内に飛ばず、さらにその後も優勢に試合を進めるマレーシアに対して、ラオスはGKコップ・ロクパティップを中心に文字通り身体を張ってゴールを防ぎ、結局、前半は0−0で終了します。
試合が動いたのは後半の54分、そしてこの苦境を救ったのはやはりあの選手でした。ペナルティエリア前でラオスDF数人を得意のドリブルでかわしたアリフ・アイマンが左足を一閃するとそのボールはラオスゴールへ。GKコップ・ロクパティップが伸ばしたて指先を掠めるようにゴールインし、マレーシアに待望の先制点が入ります。
ストリーム配信では何度も映像が中断され、はっきりとは移りませんでしたが、68分にキャプテンのディオン・クールズが2点目を、そしてアディショナルタイムには途中出場のファイサル・ハリム(スランゴール)が3点目を決め、ボール支配率71パーセント対29パーセント、シュート数26本(枠内11本)対4本(枠内2本)と数字的にはラオスを圧倒したマレーシアがこの予選3連勝を飾り、首位を守っています。
AFCアジア杯2027年大会3次予選F組第3節
2025年10月9日@ラオス新国立競技場(ヴィエンチャン、ラオス)
ラオス 0-3 マレーシア
⚽️マレーシア:アリフ・アイマン(54分)、ディオン・クールズ(68分)、ファイサル・ハリム(90+8分)
またF組のもう一試合は、ベトナムがネパールに一度は追いつかれるも、ネパールが前半終了間際に退場者を出すと、後半に2ゴールを挙げて勝利し、マレーシアとの勝点差3のまま追随しています。
AFCアジア杯2027年大会3次予選F組第3節
2025年10月9日@ビンズオン・スタジアム(ビンズオン、ベトナム)
ベトナム 3-1 ネパール
⚽️ベトナム:グエン・ティエン・リン(7分)、ファム・スアン・マイン(67分)、グエン・ヴァン・ヴィ(72分)
⚽️ネパール:サニッシュ・シュレスタ(17分)
アジア杯2027年大会3次予選F組順位(第3節終了)
| 順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | マレーシア | 3 | 3 | 0 | 0 | 9 | 0 | 9 | 9 |
| 2 | ベトナム | 3 | 2 | 0 | 1 | 8 | 5 | 3 | 6 |
| 3 | ラオス | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 9 | -7 | 3 |
| 4 | ネパール | 3 | 0 | 0 | 3 | 2 | 7 | -5 | 0 |
試合後の会見では、ピーター・クラモフスキー監督がマレーシアサッカー協会(FAM)を批判しています。FAMは12ヶ月間の出場停止処分を受けている7名のヘリテイジ帰化選手についてFIFAへ出場資格申請を行う際に「軽微なミス」があったことを認めています。
クラモフスキー監督は「ピッチ外が喧騒に包まれている中で、我々自身がコントールできることをコントールできた。(ヘリテイジ帰化選手による代表チーム強化の中心人物であるジョホール州摂政の)トゥンク・イスマイル殿下には多くの否定的な意見が出ているが、それは公平ではなく、根拠がないものだ。殿下は先見の明があるリーダーであり、殿下がいなければ、マレーシアサッカーはとうの昔にだめになっていただろう。」と述べています。
「マレーシアの首相から資金提供を引き出したり、政府からの支援を引き出したの一体誰なのか。イスマイル殿下その人であり、マレーシアサッカー協会ではない。国内サッカーのレベルを上げてきたのは誰なのか、代表戦のためにチャーター便で快適に移動できるような仕組みを持ち込んだのは誰なのか。それもイスマイル殿下である。殿下の支援により、代表チームは最善の環境が提供され、代表チームはプロの集団によって機能するようになっている。これは全て殿下の功績である。」
「FIFAとの間で生じている全ての混乱の原因はマレーシアサッカー協会であり、イスマイル殿下ではない。私はマレーシア国民に明確なメッセージを送りたい。殿下なしではこの国のサッカーは『終わってしまう』。この件についてはこれ以上言うことはない。」
またクラモフスキー監督は、「今日の勝利をマレーシア国民に捧げたい。代表チームのプレーが皆に希望と励みを与え、我々は特別なことを成し遂げるだけの力があることが示したいと思っていた。そしてそれを成し遂げた選手たちを誇りに思う。」とも述べています。
またこの試合で先制ゴールを決めたアリフ・アイマンはこの日の勝利はチーム全員の力を合わせた結果がであることを強調しています。
「今日の試合は決して楽な試合ではなかった。ラオスは果敢に立ち向かってきたので、我々も勝つためには全力を尽くさねばならなかった。プレーシア選手全員に今日の勝利をおめでとうと言いたい。そして出場停止処分を受けた7名のヘリテイジ帰化選手のことも忘れてはいけない。彼らは皆、マレーシア代表選手であり、マレーシア国民だ。我々は彼らのために祈りを捧げる。そして代表チームの最大の支援者であるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下にも感謝したい。」
