1月18日のニュース(2)
マレーシア政府によるサッカー協会向け予算2億7000万円に疑問の声も
FAMによる代表新監督候補は韓国人に絞られた?

マレーシア政府によるサッカー協会向け予算2億7000万円に疑問の声も

マレーシア政府はマレーシアサッカー協会FAMに対し、サッカー振興の目的で1000万リンギ(およそ2億7000万円)の政府支援を発表しています。マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、この支援は国内サッカーの発展に対して政府が真剣に関わっていく姿勢を示すものだと述べ、既に閣議での承認燃えているとし話しています。

連邦直轄地プトラジャヤに建設されるFAMの新たな本部の起工式の席上で正式に発表されたこの支援ですが、FAMのハミディン・アミン会長は新型コロナで影響を受けた「産業」としてのサッカーにとっては大きな支援であると政府に感謝の意を表していますが、その一方で2週間ほど前にはマレーシア政府が資金不足を理由にオリンピックや国際大会でメダル獲得を目指す各種スポーツ選手144名へのトレーニング資金支援のための予算打ち切りを発表されていただけに、新型コロナの影響を受けたのはあらゆるスポーツにも関わらず、サッカーだけでに集中した今回の政府支援については疑問の声も上がっています。

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マレーシア各州のサッカー協会会長は州首相が、協会役員も州会議員が就任するケースが多く、その肩書きが自身に箔をつけるため、あるいは人気取りといった自身の政治的な目的で使われることも少なくなく、今回の1000万リンギの大盤振る舞いはサッカーだけでなくサッカーファンへ向けての現政権のアピール的な色合いもあります。イスマイル・サブリ首相は草の根支援の資金として使われることを望むと述べていますが、新型コロナの影響を最も大きく受けているのはFAM自体や州協会そのものであることから、草の根育成にまで資金が回るのかどうかは正直疑問です。また物価高騰などで市民の生活が圧迫されている中で巨額を投じてプトラジャヤに建設されるFAMの新本部と練習グラウンドなどの施設についても、既に計画されていたものとは言え、政治に近いサッカーというスポーツという恩恵を得ているように思えます。

FAMによる代表新監督候補は韓国人に絞られた?

サッカー専門サイトのスモアニャボラは現在、空席となっているマレーシア代表監督の候補者としてマレーシアサッカー協会FAMは韓国人指導者4名をリストアップしていると伝えています。スポーツサイトのスタジアムアストロの記事を引用しているこの記事では、キム・パンゴン(金判坤)元香港代表監督、キム・ハクボム(金學範)前韓国U23代表監督、パク・ジンサブ(朴珍燮)現全北現代モータース(韓国1部リーグ)セカンドチーム監督、そしてキム・ビュンスー(金炳秀)前江原FC(韓国1部リーグ)監督の名前を挙げ、その中でも代表あるいは年代別代表を率いた経験から、キム・パンゴン氏あるいはキム・ハクボム氏を推しています。

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東南アジアサッカーの「韓流ブーム」にマレーシアも便乗しようということでしょうか。昨年末のスズキカップでは、準決勝進出4ヶ国代表中、ベトナムとインドネシアが韓国人、シンガポールは先日Jリーグの甲府監督に就任した吉田達磨氏が指揮を取っていました。マレーシア代表は、これまでの歴史を見てもマレーシア人監督を除けば、アジア人が監督を務めたことはありません。イギリスの植民地だった経緯もあるのか、サッカーに関してはアジアよりはヨーロッパ好きといった傾向の強いマレーシアでアジア人がどのように監督を務めるのかはそれがどこの国出身であれ見てみたい気がします。

1月18日のニュース(1)
ACL-JDTは川崎フロンターレや広州FCと同組に
AFCカップ-クダとKLシティは日本人所属クラブとの対戦も

ACL-JDTは川崎フロンターレや広州FCと同組に

アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLの今季2022年グループステージの組み合わせ抽選がクアラルンプールのAFCハウスで行われ、マレーシアから出場するMリーグ覇者のジョホール・ダルル・タジムJDTは、タイ代表のチャナティップ・ソンクラシンが加入した昨季のJリーグ覇者川崎フロンターレ、2013年と2015年のACL覇者広州FCと同じI組に入っています。なおI組のもう1チームは蔚山現代FC(韓国)とポートFC(タイ)が対戦するプレーオフの勝者となります。なお集中開催で行われるACLグループステージI組は4月15日から始まります。

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マレーシア国内では圧倒的な強さを誇るJDTですが、アジアの壁に跳ね返されて続けています。悲願となるグループステージ突破を目指すには、今季も厳しいグループに入ってしまいました。(まぁACLでは厳しくないグループなどそもそもないですが)4季連続グループステージ出場となるJDTは、昨季2021年は名古屋グランパス、浦項スティーラーズに敗れグループ3位、その前年2020年はヴィッセル神戸、広州恒大(当時、現広州FC)、水原三星(韓国)と同じ組になり水原三星戦では勝利を挙げたものの、新型コロナウィルス感染拡大による中断を挟んで集中開催地カタールで再開したグループステージは、マレーシア政府が不要不急の渡航を禁止したことから出場辞退しています。

AFCカップ-クダとKLシティは日本人所属クラブとの対戦も

またAFCはACLの下位大会に当たるAFCカップのグループステージ組み合わせ抽選を行い、マレーシアから出場するクダ(昨季スーパーリーグ2位)とKLシティ(昨季マレーシアカップ優勝)の両クラブの対戦相手も決まっています。

H組に入ったKLシティは、帰化選手となりシンガポール代表入りを目指すMF仲村京雅、DF山下柊哉の両選手を擁するタンピネス・ローヴァーズ(シンガポール、昨季国内リーグ4位)、PSMマカッサル(インドネシア、2019年国内カップ優勝)、そしてミャンマーのシャン・ユナイテッド(2020年国内リーグ1位)とエーヤワディー・ユナイテッド(2020年国内リーグ3位)の間で行われるプレーオフの勝者と同組になっています。

またG組のクダは、スズキカップ2020のマレーシア代表戦でゴールを決めたFWイルファン・ジャヤや、やはりマレーシア戦に出場したインドネシア代表正GKナデオ・アルガウィナタが所属するバリ・ユナイテッド(インドネシア、2019年国内リーグ1位)、DF大村真也、MF藤井亮、FW堀越大蔵の3選手が所属し、昨季2021年シーズンにはACLに出場しているカヤFC-イロイロ(フィリピン、2021年国内カップ戦優勝)、そしてMリーグのトレンガヌやペラでプレーしたDFチエリー・チャンタ・ビンが所属するビサカFC(カンボジア、2021年国内カップ戦優勝)とDF川上典洋が所属するヤングエレファンツ(カンボジア、2020年国内リーグ3位)が対戦するプレーオフの勝者と同組になっています。

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レベルの高いACLも面白いですが、東南アジアのクラブ同士の対戦が多いAFCカップも拮抗した試合が多く魅力的です。特にクダとKLシティにはこのAFCカップで好成績を上げて、クラブランキングの上昇、そしてマレーシアからのACLの出場枠を現在の1枠からプレーオフ出場を含めた1+1枠、そして将来的にはグループステージ2枠が獲得できるように頑張ってもらいたいです。