12月28日のニュース:FAMはスズキカップ早期敗退によるタン代表監督解任説を否定、代表FWシャフィクが古巣のクダ🔰へ期限付き移籍、FIFAによる資格停止処分を受けたプルリス州サッカー協会が活動再開

FAMはスズキカップ早期敗退によるタン代表監督解任説を否定

 マレーシアサッカー協会FAMは東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020でグループステージ敗退となったマレーシア代表のタン・チェンホー監督を解任する予定はないようです。
 前回2018年大会では準優勝したマレーシア代表ですが、現在シンガポールで開催中の2020年大会ではグループステージで2勝2敗でインドネシア、ベトナムに次ぐグループ3位となり準決勝進出を逃しており、前回大会に引き続きマレーシア代表の指揮を取ったタン監督の責任を指摘する声も出ており、FAMは大会敗退後、公式サイトで早期敗退の責任はタン監督ではなくFAMにあると表明するほどでした。それでもタン監督解任論は収まらず、このブログでも取り上げたようにKLシティFCのボジャン・ホダック監督の名前などもその後任として上がっています。
 そんな中、FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は英字紙ニューストレイトタイムズの取材に対してタン監督の解任についてはFAM内で議論すらされていないと述べています。
 「あらゆる対外試合の後で代表チームのパフォーマンスに対する評価を行うことは、代表チーム運営委員会の標準作業手順であり、代表監督と代表チームマネージャからの報告を参考にしながら、代表チーム運営委員会の委員長でFAMのハミディン・アミン会長のもと話し合いを行い、その結果をFAM理事会で発表する手順は従来通りである。スズキカップで起こった問題点などを洗い出し、その反省点を6月のAFC選手権アジアカップ2023年大会最終予選に生かしたい。」と述べたサイフディン事務局長は、2022年末までの契約となっているタン監督を契約途中で解任することは考えていない話しています。
 サイフディン事務局長はこの時期に新監督を採用しても来年6月に迫ったアジアカップ予選までにチームをゼロから作る十分な時間がないこと、さらに新監督が必ずしも望むような結果をもたらすとは限らないことなどを挙げて、今は監督交代について議論する時期ではないとも述べ、タン監督の元でアジアカップ予選を戦うための環境を整えることが優先であるとしています。

🔰代表FWシャフィクが古巣のクダへ期限付き移籍

 Mリーグ1部スーパーリーグで2季連続で2位となったクダ・ダルル・アマンFCは、スズキカップ2020にも出場したマレーシア代表FWのシャフィク・アフマドがJDTから1年間の期限付きで移籍することをクラブ公式Facebookで発表しています。
 ペナン州出身で26歳のシャフィク選手ですが、2013年の高校卒業後に18歳でクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)のU21チームに入るとそこで頭角を表し、20歳のときにトップチームデビューを果たしています。2018年にJDTへ移籍するとチームのタイトル獲得にも貢献した他、U23代表、そしてA代表でもプレーするようになり、タン・チェンホー監督の元では主力選手となり、新型コロナ禍前に行われた2019年のW杯予選ではアラブ首長国連邦戦など2試合でゴールを決めるなど活躍していました。
 5季ぶりのクダ復帰となるシャフィク選手ですが、今季は選手層が厚いJDTではほとんど出場機会がなく、試合出場時間の不足から代表戦でもかつてほどの輝きを見せておらず、出場機会を求めて今回の移籍になりました。
 クダ・ダルル・アマンFCにとっても今季のチーム得点王FWクパー・シャーマンと同2位のチェチェ・キプレが揃って同じスーパーリーグへ移籍したことでストライカーのポジションが空席なため、この移籍は文字通り両者がウィンウィンとなる移籍となりました。
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 ちなみにこの記事の見出しに使われているのはご存知の初心者マーク(若葉マーク)です。マレーシアではこのようなマークは使わないのですが、クダ・ダルル・アマンFCのチームカラーが緑色と黄色(チームの相性もマレーシア語で緑色と黄色を表すHijau Kuningです)なことから、なぜかこのアイコンがクラブ公式サイトで使われています。

FIFAによる資格停止処分を受けたプルリス州サッカー協会が活動再開

 今季2021年シーズンのMリーグは1部スーパーリーグに12チーム、2部プレミアリーグには11チームが所属していましたが、この中にはマレー半島北端にあるプルリス州を本拠地とするクラブが一つもありません。マレーシアには13の州がありますが、Mリーグ1部と2部にクラブがないのはプルリス州だけです。
 プルリス州のサッカー活動の中心となるプルリス州サッカー協会は、かつてプルリスFA(名前がややこしいですがこちらはクラブの名称です)というクラブを運営していました。プルリスFAは2005年にはスーパーリーグで優勝し、2004年と2006年にはマレーシアカップも制覇したクラブでしたが、2010年に入ると2部プレミアリーグと当時の3部リーグに当たるFAMリーグの間で昇格と降格を繰り返すクラブになっていました。
 そんな中、2018年にプルリス州FAの会長に就任したアフマド・アミザル・シャイフィット氏は、高額の給料で元代表選手ら国内の有力選手、さらにはシンガポールや日本出身の選手を文字通りかき集めてプルリスFAの強化を図りましたが、2019年シーズン開幕前には未払い給料問題が発覚し、その後は給料を支払う財源がなく、未払い給料返済の目処が全く立たなかったことから、プルリスFAを運営していたプルリス州サッカー協会はFIFAにより2年間の活動停止処分を受けました。FAMもプルリスFAをMリーグから除名し、プルリス州サッカー協会のアフマド・アミザルプルリス会長には国内のあらゆるサッカー活動に関わる資格を生涯停止する処分を言い渡しました。
 そんな「黒歴史」を持つプルリス州サッカー協会ですが、現在の会長を務めるザムリ・イブラヒム会長は、プルリス・ユナイテッドFCが来季2年ぶりに開催されるMリーグ3部に当たるM3リーグへの参加を認められたと、マレーシアの通信社ブルナマの取材に応えています。
 M3リーグ以下を運営するアマチュアフットボールリーグAFLから2022年シーズンのリーグ参加を認められたと話すアフマド会長は、マレーシアサッカー協会FAMが運営するU21リーグのプレジデントカップ、U19のユースカップへの参加も同時に認められたことも明らかにしています。
 アフマド会長はプルリス・ユナイテッドFCがM3リーグへの参加がプルリス州のサッカー復興に役立つと信じていると話し、プルリス州スポーツ評議会と協力して州内リーグを来年2021年から再開し、プレジデントカップとユースカップチームでプレーする選手を21歳以下の選手を選抜したいとも述べています。