5月11日のニュース:W杯アジア2次予選へ向けて代表候補25名発表、JDTのハリス主将が退団、JDT得点王のベルグソンの去就に注目が集まる、PJシティはトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手獲得の意思なし

W杯アジア2次予選へ向けて代表候補25名が発表
 マレーシアサッカー協会はFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場する代表候補25名を発表しています。この25名は5月16日から行われる合宿を経て、6月3日のアラブ首長国戦を皮切りに、6月11日はベトナムと、6月15日にはタイと集中開催地となっているアラブ首長国のドバイで対戦します。25名中19名が3月に行われた代表候補合宿に引き続き召集されています。
 3月の合宿に召集されたメンバーからはシャーレル・フィクリ(スランゴール)とシャルル・サアド(JDT)がケガのため外れた一方で、サミュエル・サマーヴィル(ペナン)、帰化選手のリリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)、アリフ・アイマン(JDT)の3名が初招集となった他、3月の合宿にはケガのため参加できなかったサファウィ・ラシド(JDT)や国外でプレーするドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)、ジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリFC)の3名が代表復帰を復帰しています。
 代表チームは5月16日から19日までブキジャリル国立競技場で合宿を行った後、ドバイ入りし5月23日にはクウェート代表と、そして5月28日にはバーレーンのマナマでバーレン代表との練習試合を行う予定です。
 なおマレーシア国外でプレーするクラスニキ、タン、エルドストール各選手とルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)はいずれも滞在国から直接、ドバイ入りし、現地で代表チームに合流するということです。
 マレーシアはアジア2次予選G組でこれまで5試合を戦い3勝0分2敗の勝点8で、グループ首位のベトナム(勝点11)に次ぐ2位となっており、3位タイ(勝点8)、4位UAE(勝点6)、5位インドネシア(勝点0)と続いています。
 なお今回の予選のマレーシアの試合日程は以下の通りです。
6月3日(木)UAE戦@ザビールスタジアム、ドバイ
6月11日(金)ベトナム戦@アール・マクトゥーム・スタジアム、ドバイ
6月15日(火)タイ戦@アール・マクトゥーム・スタジアム、ドバイ
*試合開始はいずれもマレーシア時間深夜12時45分(現地時間午後8時45分)

マレーシア代表候補合宿(5月16日〜)参加メンバー

氏名年齢所属
GKファリザル・マーリアス35JDT
カイルルアズハン・カリド32SEL
サミュエル・サマーヴィル27PNG
DFマシュー・デイヴィーズ26JDT
アイディル・ザフアン34JDT
アダム・ノー・アズリン25JDT
ラヴェル・コービン=オング30JDT
シャマー・クティ・アバ24JDT
シャミー・サファリ23SEL
イルファン・ザカリア26KL
リザル・ガザリ29KDA
ジュニオール・エルドストール30CHO
ドミニク・タン24POL
MFナズミ・ファイズ・マンソル27JDT
モハマドゥ・スマレ27JDT
ブレンダン・ガン33SEL
ノー・アザム・アジー26PHG
リリドン・クラスニキ29NCJ
FWアキヤ・ラシド22JDT
シャフィク・アフマド26JDT
サファウィ・ラシド24JDT
アリフ・アイマン19JDT
ギリェルメ・デ・パウラ35JDT
ルクマン・ハキム19KOR
ノーシャルル・イドラン35SU
所属クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PEN-ペナン、KL-KLシティ、SU-サラワク・ユナイテッド、CHO-チョンブリーFC(タイ)、POL-ポリス・テロFC(タイ)、NCJ-ニューカッスルジェッツ(オーストラリア)、KOR-KVコルトレイク(ベルギー)

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 JDTからは13名が選ばれていますが、リリドン・クラスニキはニューカッスルジェッツへJDTのセカンドチームJDT IIから期限付き移籍しており、クラスニキ選手を含めれば25名中14名がJDTとなります。現在リーグ2位のトレンガヌからは1名も召集されず、3位のクダ・ダルル・アマンと4位のペナンからそれぞれ1名ずつの召集となった一方で、今季はMリーグでのプレー時間が少ないアキヤ・ラシドやシャフィク・アフマド、また国外でプレーしながら十分な出場機会が得られていないルクマン・ハキムやリリドン・クラスニキらも召集したのは、かつて日本が「海外組」を偏重した風潮とも重なりますが、果たしてこのメンバーでどこまでいけるのか。W杯最終予選進出は現実的ではありませんが、アジアカップ出場に少しでも近づけるようグループ3位が目標でしょうか。

JDTのハリス・ハルン主将が退団
 Mリーグ1部スーパーリーグで首位のJDTは公式Facebook上で、主将でシンガポール出身のハリス・ハルンの退団を発表しています。
 シンガポール代表でも史上最年少の16歳で代表デビューしたハリス選手は、2012年からMリーグに参加したシンガポールサッカー協会FASが運営したシンガポールXIIでプレーし、2013年にMリーグで優勝を果たすとその年の11月にはJDTと契約、2014年シーズンのデビュー以来7年間JDT一筋でプレーし、JDTが昨季2020年に成し遂げたMリーグ1部スーパーリーグ7連覇の中心選手として活躍し、2015年のAFCカップ優勝も経験しています。
 守備的MFとして、JDT在籍7年間で197試合出場(試合出場時間は1万5367分)、12ゴール5アシストを記録したハリス選手は、新型コロナウィルス影響もあり家族と時間を過ごすためにシンガポールへ戻ることを退団の理由としています。
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 ハリス選手の退団に際して、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は戻ってくるため喉はいつでも空いている、と述べていますが、ハリス選手の前任者でもあるJDT元主将のサフィク・ラヒムが退団する際にも同じことを述べ、今季そのサフィク選手が33歳でJDTに3年ぶりに復帰していることから、コロナ禍が下火になれば現在30歳のハリス選手の復帰も十分に有り得ます。
(下はJDTの公式Facebookに掲載されたハリス・ハルン首相の獲得トロフィー

JDT得点王のベルグソンの去就に注目が集まる
 今季途中からJDTに加入したもののここまで8ゴールとリーグ2位の得点を挙げているFWベルグソン・ダ・シルヴァの期限付き契約が今月5月末に切れることからその去就に注目が集まっています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、JDTは4ヶ月間の期限付きで移籍してきたベルグソン選手との契約延長についてはまだ何も決定していないと報じる一方、ベンヤミン・モラ監督がなんとしても残留して欲しいと話しているとも報じています。
 「チームの得点王としてほぼ全ての試合でゴールを決めているベルグソン選手はチームにとっても、監督を務める自分にとっても重要だ。彼にはチームに残って欲しいが、その決定権は私ではなく、チームのスポーツダイレクターとオーナーにある。」と述べたモラ監督は、チームにとって貴重な財産であり、残留を希望することを強く望んでいると話しています。

PJシティはトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手獲得の意思なし
 スーパーリーグは第13節を終えましたが、外国籍選手が一人もいないPJシティは現在2位のトレンガヌや4位のペナンに引き分けるなど上位相手とも引き分けるなど、3勝6分4敗の8位と開幕前の下馬評を覆す善戦を繰り広げています。
 PJシティのP・マニアム監督は現在のチームノパファーマンスに満足していると話し、7月初旬まで5月3日から始まっているトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手を獲得する予定はないと話す一方で、ケガから復帰の目処が立っていないエースのダレン・ロックに代わるマレーシア人ストライカーを物色中と話しています。

Mリーグ1部スーパーリーグ第13節結果

 新型コロナ感染者が再び増加しているマレーシア。1日あたりの新規感染者が4000人前後で高止まりする日が続き、国内各地では活動制限令MCOや条件付き活動制限令CMCOが施行され、Mリーグの試合は無観客で開催されています。
 Mリーグに目を向けると5月3日から開いている今年2度目のトランスファーウィンドウ期間に加入した選手たちが今節の試合に出場し、中には早速ゴールを決めるなど活躍する選手も出ています。
 なおスーパーリーグは今節終了後、5月16日から始まる代表候補合宿、そして6月3日から始まるW杯アジア2次予選、さらにアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグやAFCカップが続くことから、2ヶ月の中断期間に入り、次節第14節は7月9日から再開します。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年5月8日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 0-1 クダ・ダルル・アマン
得点者:サバ-、クダ-クパー・シャーマン(79分)
 激しい雨のため1時間近く中断した試合は再開後もボールが水たまりで止まってしまうような状況でしたが、それでも双方が激しくせめぎ合う中、サバ守備陣のミスをついてクパー・シャーマンが貴重なゴールを決めて勝利しています。
 サバは新加入のFWヨシプ・イヴァンチッチを起用するなど本拠地4連勝を目指しましたが、反撃も及びませんでした。

2021年5月8日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM 1-1 KLシティ
得点者:UITM-クォン・ヨンヒョン(84分)、KL-シュコル・アダン(90+4分)
 今季ここまで未勝利のUTIMは終盤に新加入のFWクォン・ヨンヒョンのゴールで先制し、このまま逃げ切ると思われたロスタイムに失点を喫し、今季初勝利を逃しています。
 しかしこのシュコル・アダンの同点ゴールは映像で見るとヘディングに跳びながら手を高く挙げてゴールを決めた「神の手」ゴールに見え(写真下、写真はUITM FCの公式Facebookより、中央で手を挙げているのがシュコル選手)、UTTMの選手もこれに激しく抗議しましたが、主審はそれを認めませんでした。とここまでは手に触れていることを見逃した主審のミスということになりますが、FAMが発表した公式記録でもシュコル選手を得点者としていることから、Mリーグはシュコル選手の手を使ったゴールを認めたことになります。ちなみに41歳のシュコール選手はこのゴールで先日、サバFCのアムリ・ヤハヤ選手が作ったMリーグ最年長ゴール記録を更新しています。

2021年5月8日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 0-3 JDT
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(15分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(43分)、モハマドゥ・スマレ(51分)
 リーグ首位を快走するJDTは前節第12節で脳震盪(のうしんとう)を起こして退場したゴンザロ・カブレラに代わりセカンドチームからフェルナンド・ロドリゲスを昇格させ、またサファウィ・ラシドとアリフ・アイマンを初めてともに先発させるなど布陣を変えて臨んだ試合でしたが、ペナンを一蹴しています。
 DFリュウジ・ウトモをケガで欠くペナンFCはこれまで起用していたDFムハンマド・ファディル・イドリスに代えてベテランのDFアズミ・ムスリムを先発させるなどJDT対策を立てながらの完敗でした。また自身のゴールが認められなかったことに抗議してイエローカードをもらっていたエースのカサグランデがその後の反則で2枚目のイエローで退場、これに抗議したトマス・トゥルチャ監督も退場となるなどペナンFCにとっては後味の悪い敗戦となりました。

2021年5月9日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 0-0 PJシティ
得点者:なし
 本拠地では3連敗中のマラッカが終始、優勢に試合を進めるもPJシティのGKカラムラー・アルハフィズの好セーブなどもあり無得点。スーパーリーグで唯一、外国籍選手がいないPJシティと引き分けています。

2021年5月9日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 2-3 スリ・パハン
得点者:ペラ-レアンドロ・ドス・サントス(68分PK)、カレッカ(90+5分)、パハン-アウン・カウン・マン (35分)、ケニー・アティウ2(58分、88分)
 トランスファーウィンドウ期間中の新加入組の内、検疫隔離により合流が遅れていたミャンマーU22代表のアウン・カウン・マンが先発しデビュー戦で早速ゴールを決めています。また同じ新加入組ののケニー・アティウも2ゴールを決めるなど、新戦力の活躍でパハンが連勝しています。前節に1ゴール1アシストで勝利に講演したマヌエル・イダルゴとともに新戦力の加入で全く別のチームになったパハンは、リーグ再開後の台風の目となりそうです。
 一方のペラは給料未払い問題により退団が噂されているブラジル出身コンビがゴールを決めましたが、これは獲得を狙う他チームへの良いアピールとなったのではないでしょうか。またこの他にも退団の可能性が報道されたケニー・パッラジ・ダバラギやパルティバン・ジャナセカランの両主力選手はこの大事な試合にベンチ入りせず、移籍の可能性が濃厚です。

2021年5月9日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-2 トレンガヌ
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン(50分PK)、トレンガヌ-エンク・ヌル・シャキル(73分)、カルリ・デ・ムルガ(87分)
 トレンガヌが敵地で逆転勝ちし、JDTとの勝点差を3として再び2位に浮上しています。
 引き分けを挟んで3連勝のスランゴールは前節のスリ・パハン戦に続き、終盤にゴールを許すなど勝ちきれない試合が続き、トップ3とは徐々に勝点の差が開き始めました。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第13節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT139312862230
2TFC138322012827
3KDA138232113826
4PEN136431814422
5SEL135442220219
6KL134541714317
7SBH134451717016
8PJ133641014-415
9PHG133371622-612
10PRK133371421-712
10MU133551519-4*11
12UITM130211430-262
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第13節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)11
3クパー・シャーマン(KDH)9
4カサグランデ(PEN)7
パウロ・ジョズエ(KL)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ