1月18日のニュース
クランタンFCは今季のスーパーリーグ出場資格消失
ペナンFCが新体制を発表-アクマル監督代行が正式に監督就任、レジェンド外国籍選手はTD
ルクマン・ハキムがJ3のYSCC横浜に期限付きで移籍

AFCアジアカップ2023では、同じ東南アジアから出場しているインドネシアやベトナムがそれぞれイラクや日本に善戦し、またタイは格上のキルギスに勝利を挙げる中、ヨルダン相手の初戦で惨敗を喫したマレーシア。16年ぶりの出場となった今大会は、当初目標としていたベスト16進出どころか、勝点0でグループステージ敗退の目も見えてきました。そんな中でキルギス戦で2ゴールを挙げてタイの勝利に貢献したFWスパチャイ・ジャディードがマレーシアと国境を接するパタニ県出身で、マレー系の血を引くイスラム教徒であることから、彼こそマレーシアに帰化させるべき選手だったのではといった記事が全国紙に掲載されています。今大会出場のマレーシア代表23名中、国外生まれながらマレーシア人の親を持つことでマレーシア国籍を取得した「ハイブリッド」帰化選手と、国内で5年以上プレーしたことでマレーシア国籍を取得したブラジルやコロンビア出身の帰化選手合わせて14名を抱えるチームにとっては強烈な皮肉になっています。

クランタンFCは今季のスーパーリーグ出場資格消失

マレーシア1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)のクラブライセンス控訴委員会が会合を開き、今季2024/25シーズンのスーパーリーグ出場に必要となる国内クラブライセンス申請が却下されていたクランタンFCによる控訴を検討した結果、これを却下する決定したことを発表しています。

この決定はクランタンFCに公式に通知され、クランタンFCの今季のスーパーリーグ出場資格が消失しています。これにより20234/25シーズンのスーパーリーグは13チームが出場することになりました。

クランタンFCは給料未払い問題により、今年1月1日に国内クラブライセンスの発給を行う第一審機関(FIB)によってライセンス申請を却下されており、この決定を不服として控訴していました。

クランタン州の州旗の色からレッドウォリアーズ「赤い戦士」の愛称で呼ばれるクランタンFCは、全身のクランタンFA時代の2012年にはリーグ、FAカップ、マレーシアカップを全て制して国内三冠を達成した他、2011年から13年にかけてはリーグ、FAカップ、マレーシアカップを合わせて6回という古豪です。しかし2018年にスーパーリーグで11位となり2部プレミアリーグに降格、それまでの放漫経営の結果、毎年給料未払い問題を起こすクラブとなっていました。2020年シーズン終了後には未払い給料などの負債を背負う形で実業家のノリザム・トゥキマン氏が新たなオーナーになったものの、「金も出すが口も出す」タイプのノリザム氏が昨季2023年シーズンだけで3名の監督の首を飛ばすなど運営が混乱しました。さらに再び発生した給料未払い問題によりMFLからはトランスファーウィンドウ期間の新規選手獲得禁止処分を受け、また外国籍選手を含む主力選手をシーズン途中で契約解除したこともあり、昨季は26試合で2勝2分22敗の最下位となっただけでなく、リーグ新記録となる121失点を記録するなど散々でした。

ペナンFCが新体制を発表-アクマル監督代行が正式に監督就任、レジェンド外国籍選手はTDに

昨季2023年シーズンのスーパーリーグでは6勝6分14敗の10位に終わったペナンFCが今季2024/25シーズンの新体制を発表し、昨季2023年シーズンの終盤に「休養」したチョン・イーファット監督に代わり、シーズン終了までの3試合を1勝1分1敗の成績で監督代行を務めたアクマル・リザル氏が正式に監督に就任しています。

スーパーリーグで監督就任の条件となるAFCプロライセンスを取得したばかりのアクマル新監督は42歳、現役時代はマレーシア代表でFWとして24試合に出場しています。なお監督代行として指揮を取った昨季の3試合の成績は1勝1分1敗でした。

ペナンFCはこの他、アクマル新監督とともにAFCプロライセンスを取得した47歳のマンズール・アズウィラ コーチが今季はU23チームのペナンFC IIの監督に、かつてペナンFCの前身ペナンFAでプレーし1996年から3年連続で最優秀外国籍選手賞をを受賞した経験があるモロッコ出身の「グレート・メルツ」ことメルザグア・アブデラザク氏がテクニカルディレクターに就任したことも公式SNSを通じて発表しています。

ルクマン・ハキムがJ3のYSCC横浜に期限付きで移籍

マレーシアU23代表でもプレーするFWルクマン・ハキム・シャムスディンがJ3の横浜YSCCへ期限付き移籍することがクラブ公式サイトで発表されています。移籍期間は2025年1月1日までということで、公式サイトで始まっている今季のユニフォーム販売ページでは背番号が13となることも確認できます。

ちなみにルクマン選手加入を報じたゲキサカの記事では「YS横浜がベルギー1部クラブから21歳FWを獲得」という見出しで、ルクマン選手がマレーシア人選手であることには一切触れられていませんでした。

2018年にマレーシアで開催されたAFC U16選手権(当時、現AFC U17アジアカップ)ではU16マレーシア代表でプレーし、チームはグループステージで敗退したものの、優勝したU16日本代表の唐山翔自選手(当時はガンバ大阪ユース)らと共に5得点を挙げて得点王を獲得しています。

その後はマレーシア国内リーグのスランゴールFCのセカンドチームを経て、マレーシア人実業家ヴィンセント・タン氏がオーナーのベルギー1部KVコルトレイクと2019年に5年契約を結び渡欧しますが、出場機会に恵まれず、2023年シーズンは出場機会を求めてアイスランド2部のニャルズビークへ期限付き移籍していましたが、ここでも十分な出場機会を得ることはできないまま移籍期間を終えています。

U16代表以降も、ルクマン選手はU18代表として出場した2019年の東南アジアサッカー連盟AFF U18選手権でオーストラリアに決勝で敗れたもののチームの準優勝に貢献した他、既にA代表でもプレー経験がある選手です。また現在は今年4月に開幕するAFC U23選手権に出場するマレーシアU23代表候補でもあります。今季のJ3リーグは2月下旬に開幕することが発表されており、U23アジアカップ前のマレーシアU23代表合宿に参加する場合には開幕直後からチームを離脱するも考えられ、その結果、横浜YSCCでも十分な出場機会を得られない懸念もあります。

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Jリーグでプレーするマレーシア人選手は、2019年から22年までJ2ファジアーノ岡山やJ3アスルクラロ沼津に在籍したハディ・ファイヤッド(現マレーシア1部ペラFC)以来となります。ハディ選手は膝前十字靭帯損傷などの大ケガもあり、満足のいく成績を残せないままマレーシアに戻りましたが、ルクマン選手にはマレーシア人選手の評価を上げるためにも活躍を期待したいです。

アジアカップ2023-グループステージE組
16年ぶり出場のマレーシアは初戦を4失点大敗
韓国は逆転でバーレーンを破る

1月12日に開幕したAFCアジアカップ2023。マレーシアが属するE組も1月16日に第1節が行われ、16年ぶり(予選突破による出場は43年ぶり)にアジアカップ出場のマレーシアはヨルダンに0-4で完敗しています。

2022年1月の就任以来、マレーシアのFIFAランキングを154位から130位まで引き上げた手腕が評価されているキム・パンゴン監督。このキム監督率いるマレーシアはこのアジアカップ2023では、グループステージE組では韓国(FIFAランキング23位)、バーレーン(同86位)、ヨルダン(同87位)と格上のチームと同組になっています。

今大会の目標にベスト16進出を挙げているマレーシアは、大会初戦となるこのヨルダン戦が非常に重要ですが、キム監督は先発XIにかなり攻撃的な布陣を採用しています。(以下は両チームの先発XI。AFCアジアカップ2023公式Facebookページより)


昨年12月にマレーシア国籍を取得したばかりのコロンビア出身ロメル・モラレス(KLシティ)をこの試合で代表デビューさせたキム監督は、従来の3-4-3のシステムを採用し、このモラレスとファイサル・ハリム(スランゴール)を左右に、中央にはダレン・ロック(サバ)を前線に配置しています。また中盤はラベル・コービン=オングとアリフ・アイマン(いずれもジョホール)を左右両サイドハーフに、アフィク・ファザイル(ジョホール)とスチュアート・ウィルキン(サバ)がインサイドハーフ、最終ラインは左からディオン・コールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)、ジュニオール・エルドストール(インドネシア1部デワ・ユナイテッド)、そしてこの試合ではキャプテンマークをつけたマシュー・ディヴィーズ(ジョホール)とい11月21日のFIFAワールドカップアジア2次予選台湾戦と全く同じ布陣です。

またこの試合では、試合前からケガの回復が遅れていることが報じられていたエンドリック・ドス・サントスとナチョ・インサ(いずれもジョホール)がベンチ外となった他、クザイミ・ピー(スランゴール)もベンチ外となっています。

一方のヨルダン代表は、DFヤザン・アル=アラブ(前スランゴール)、MFノー・アル=ラワブデ(スランゴール)、MFマフムード・アル=マルディ(前クダ)のマレーシアリーグ経験者3名が先発XIに名を連ねた他、ベンチにはMFファディ・アワド(PDRM)も控えています。

攻撃的な布陣を選んだマレーシアはキックオフと同時に積極的にプレーし、これに伴ってディフェンスラインも高い位置に取りますが、その裏を取られて逆に攻め込まれる場面が試合当初から度々見られるなど浮き足立つマレーシアでしたがそんな中、12分にヨルダンが先制します。

人数をかけてペナルティエリアを守るマレーシアに対しヨルダンFWヤザン・アル=ナイマト(カタール1部アル・アハリ)は、そこを崩せないと見ると左サイドにいたマフムード・アル=マルディへバックヒールでパス。これをマフムード選手がペナルティエリアの外から絶妙にカーブをかけたシュートを放つと、マレーシアGKシーハン・ハズミが伸ばした指先をかすめてゴールに吸い込まれ、ヨルダンが1-0とリードします。

さらに18分にはDFマシュー・ディヴィーズが自陣ペナルティエリア内にボールを持ち込もうとしたヤザン・アル=ナイマト選手と接触。VARの介入の結果、これがPKとなり。これをFWムーサ・アル=タマリ(フランス1部モンペリエ)が決めてヨルダンが2-0とします。また24分にはやはりムーサ選手が豪快なシュートを放つも、再びVARが介入した結果、これはオフサイドとなりマレーシアは命拾いをします。

しかしその後もマレーシアは頑なに最終ラインを高い位置に保持し、ヨルダンがその裏を狙ったロングパスを使いながらも、マレーシア3バックの連携が悪いと見ると両サイドからの突破を試みるなど、試合は完全にヨルダンペースで進み、32分には右サイドからヤザン選手に持ち込まれると、最後はマイナスのパスがゴール前のマフムード選手へ。これを押し込まれて、ヨルダンに3点目を許し、前半はヨルダンが3-0とリードして終了します。

前半はシュート2本(枠内0本)と攻撃的布陣が機能しなかったマレーシアは、後半に入るとFWロック選手に代えてDFシャールル・サアド(ジョホール)を投入して試合を落ち着かせようとしますが、ヨルダンに向いた流れを変えることはできず、85分には再び最終ライン裏へのロングパスを受けたムーサ選手を止めることができずにゴールを許し、マレーシアは0-4でヨルダンに敗れています。

試合前には活躍が期待されていたアリフ・アイマンも厳しいマークを受けて何もできず、FW陣も前を向いてパスを受ける場面がほとんどないなど、この試合では良いところが見られなかったマレーシア。試合後には多くの選手がミックスゾーンでメディアの問いかけを無視してバスに乗り込んだことが報じられる中、ファイサル・ハリムとスチュアート・ウィルキンがメディア対応をしたとのことですが、この両選手はヨルダン相手に前を向いてプレーし続けた数少ない選手でもありました。

残念な結果にはなりましたが、途中交代のサファウィ・ラシドやアキヤ・ラシドを起用し、彼らが試合の雰囲気に慣れることができたことで、次戦となる1月20日のバーレーン戦(ジャシム・ビン・ハマド・スタジアム)では落ち着いて戦えることを期待したいところです。

この試合のハイライト映像。スタジアムアストロのYouTubeチャンネルより。

AFCアジアカップ2023 グループステージE組第1節
22024年1月15日@アル・ジャヌーブ・スタジアム(アル=ワクラ、カタール)
マレーシア 0-4 ヨルダン
⚽️ヨルダン:マフムード・アル=マルディ2(12分、38分)、ムーサ・アル=タマリ2(18分、85分)
🟨マレーシア(0)
🟨ヨルダン(1):ニザル・アル=ラシダン

またこの試合の前に行われたE組のもう一試合、韓国対バーレーン戦は両チーム合わせてイエローカード7枚が出される乱戦となりました。韓国はMFファン・インボム(黄仁範、セルビア1部レッドスター・ベルグラード)のゴールで先制しますが、一時はアブドゥラー・アル=ハシャシ(バーレーン1部アル・アハリ)のゴールで追いつかれ、その後イ・ガンイン(李康仁、フランス1部パリ・サンジェルマン)が逆転ゴールを含む2発を決めて、初戦勝利を挙げています。

2024年1月15日@ジャシム・ビン・ハマド・スタジアム(アル=ヤラン、カタール)
韓国 3-1 バーレーン
⚽️韓国:ファン・インボム(38分)、イ・ガンイン2(56分、68分)
⚽️バーレーン:アブドゥラー・アル=ハシャシ(51分)
🟨韓国(5):パク・ヨンウ(朴鎔宇)、キム・ミンジェ(金玟哉)、イ・キジェ(李記帝)、チョ・ギュソン(曺圭成)、ソン・フンミン(孫興民)
🟨バーレーン(2):アリ・マダン、モセス・アテデ

韓国対バーレーン戦のハイライト映像。スタジアム・アストロのYouTubeチャンネルより

AFCアジアカップ2023 グループステージE組順位(第1節終了

勝点
1ヨルダン11004043
2韓国11003123
3バーレーン100113-20
4マレーシア100104-40

1月10日のニュース
アジアカップ2023-1クラブあたり最多となる3カ国15名の代表選手がジョホールから大会出場
国内スタジアムのピッチ状況改善の資金をマレーシア政府とジョホールオーナーが提供
24/25シーズンの試合日程をリーグと各クラブが協議
トレンガヌのレゾビッチの帰化手続きは未だ完了せず

アジアカップ2023-1クラブあたり最多となる3カ国15名の代表選手がジョホールから大会出場

開幕まであと2日と迫ったAFCアジアカップ2023。マレーシア代表は大会直前の最終調整となるシリア戦を終え、開幕を待つばかりですが、ニュース的にはネタが尽きてきたので、今回はどうでもいい話(!)をご紹介します。

アジアカップ2023には世界中の様々なクラブでプレーする選手が出場しますが、マレーシアスーパーリーグで昨季リーグ10連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムからは、1クラブからは大会最多となる15名の選手が3つの代表チームから出場します。

その内訳ですが、国内リーグで圧倒的な力を見せるジョホールからは、マレーシア代表のメンバー26名中、13名が選ばれています。
<マレーシア代表(13名)>
GK1名
シーハン・ハズミ
DF4名
マシュー・デイヴィーズ、ラヴェル・コービン=オング、シャールル・サアド、シャーミ・サファリ
MF4名
エンドリック・ドス・サントス、アフィク・ファザイル、ナチョ・インサ、シャマー・クティ
FW4名
アリフ・アイマン、サファウィ・ラシド、アキヤ・ラシド、モハマドゥ・スマレ
またこの他、
<インドネシア代表(1名)>
DF1名:ジョルディ・アマト
<シリア代表(1名)>
DF1名:ジャリル・エリアス
と全員で15名のジョホール所属選手がアジアカップ2023に出場します。

国内スタジアムのピッチ状況改善の資金をマレーシア政府とジョホールオーナーが提供

ジョホール州イスカンダル・プトリでマレーシアフットボールリーグ(MFL)運営会議とスタジアムおよび会場管理説明会が行われ、国内スタジアムのピッチの改善に向けて。MFLとマレーシア政府青少年スポーツ省はスタジアムを運営する各州政府とサッカー協会に対して高麗芝の一種であるゼオン・ゾイシア芝を採用するよう改めて求めています。

昨年も青少年スポーツ省は、マレーシア全州政府とサッカー協会に対して、州内のスタジアムを一つ選び、そのピッチを現在普及しているカウグラス(アカツメクサ)からゼオン・ゾイシアに張り替えるための補助金100万リンギ(およそ3000万円)を提供するとしていましたが、張り替え後の維持費が高騰するなどの問題から、この補助金を申請したのは現在、スーパーリーグの14クラブの本拠地があるマレーシア11州と連邦直轄地クアラ・ルンプールのうち、クダ州、ペラ州などにわずか数州のみでした。(14チーム中、クランタンFCとクランタン・ユナイテッドFCはクランタン州を、スランゴールFCとPDRM FCはスランゴール州を本拠地としています。)

しかしMFLは秋春制への移行を発表し、これまでは試合がなかった12月から2月までの期間も試合が組まれることとなり、この時期はマレー半島東海岸やサバ、サラワクのある東マレーシアの雨季とも重なるため、水捌けの悪いカウグラスから水捌けの良いゼオン・ゾイシア芝への張り替えが改めて求められた形になっています。

同氏は記者会見で、マレーシアリーグ(Mリーグ)会長のダトゥク・アブ・ガニ・ハッサン氏のスピーチについて詳しく説明し、「だからこそ、我々は連邦準州を含む13の州にこの補助金を提供している」と述べた。 MFL最高経営責任者ダトゥク・スチュアート・ラマリンガム氏も同行した。

スタジアムおよび会場管理説明会では、各州政府に50万リンギの補助金が提供されることが発表され、その内訳は、30万リンギがピッチの排水設備の改善を目的とし、20万リンギはゼオン・ゾイシア芝の植栽が目的となっており、今季のマレーシアスーパーリーグが開幕する今年5月までに完了する必要があるとしています。

また、このMFLの会議には、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)のオーナーのトゥンク・イスマイル殿下がゲストとして出席し、ピッチ張り替え後から15ヶ月間の維持費をイスマイル殿下が個人的に援助することを提案し、11州と連邦直轄地クアラ・ルンプール政府に対してそれぞれ30万リンギ(合計420万リンギ)を提供することを明らかにしています。

24/25シーズンの試合日程をリーグと各クラブが協議

ジョホール州イスカンダル・プトリで行われたマレーシアフットボールリーグ(MFL)運営会議が終了し、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOが各クラブとの間で話し合われた概要をメディアに公表しています。

2026年の春秋制導入までの移行期間として、今季2024/25シーズンは5月開幕、来年4月閉幕とマレーシアリーグでは初となる12ヶ月開催となることから、今季の試合日程について、各クラブの要望を聞いたことを話したスチュアートCEOは、多くのクラブが試合間隔を十分に開けること、そして週末により多くの試合が組まれることを求めていたと述べています。また、東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つサバFCとクチンシティFCからは、東マレーシアとマレーシア半島部との頻繁な移動を避けるために、半島部では2〜3試合を続けての開催を求められたことも明らかにしています。

またスチュアートCEOは、今年は5月半ばからイスラム教の断食月が始まり、リーグ開幕直後から変則日程となる可能性があることや、これまでは開幕戦として行われていたピアラ・スンバンシー(英国の「コミュニティーシールド」を模して行われる前年度リーグ覇者とマレーシアカップ覇者との試合、Jリーグで言えばスーパーカップに当たります)が、6月半ばにある断食明けの祝祭ハリラヤ・アイディルフィトリ後に行われることなど、例年とは日程が変わっている今季日程の概要についても説明しています。

トレンガヌのレゾビッチの帰化手続きは未だ完了せず

続々を帰化選手が誕生するマレーシアリーグですが、昨年末にはKLシティでプレーするコロンビア出身のロメル・モラレスが昨年末にマレーシア国籍を取得すると、早速、アジアカップ2023に出場するマレーシア代表にも選ばれています。しかしその一方で、このモラレス選手と同時期に帰化申請を行なっていたとされるトレンガヌFCでプレーするモンテネグロ出身のDFアルグジム・レゾヴィッチは未だに内務省の回答待ちだと、スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロが報じています。

トレンガヌFCのモフド・サブリ・アバスCEOは、スタジアム・アストロの取材に対し、申請を行なってからかなりの時間が立っているにもかかわらず、内務省からの回答がないことに以失望していると話しています。

身長190cmと長身のセンターバックのレゾビッチ選手は2018年にPDRM FCに加入後、翌年はトレンガヌFCのセカンドチーム、トレンガヌFC IIに移籍し、その後はトップチームのトレンガヌFCでプレーしています。

32歳のレゾビッチ選手は、既にマレーシアリーグで5年連続でプレーしており、FIFAの帰化選手の規定条件をクリアしているだけでなく、マレーシア人女性と結婚しているイスラム教徒でもあることから、マレーシア国籍の取得は時間の問題とされており、帰化手続きが昨年内に終われば今回のアジアカップ2023にマレーシア代表として出場する可能性が取り沙汰されていました。

1月9日のニュース
アジアカップ2023-大会前最後の試合でマレーシアはシリアと2-2の引き分け
​サッカー協会会長は「帰化選手プロジェクト」の失敗を認める

昨季2023年シーズンのマレーシアスーパーリーグの「サプライズ」の一つだったPDRM FCはFW鈴木・ブルーノ選手との契約を延長したことを発表しています。大方の予想に反して8位に終わったPDRM FCのチーム得点王となった鈴木選手の残留で、既にクチンシティFCの契約を延長している谷川由来選手とともに、今季もスーパーリーグでは少なくとも2名の日本人選手がプレーすることが決まっています。

アジアカップ2023-大会前最後の試合でマレーシアはシリアと2-2の引き分け

開幕まで3日となったAFCアジアカップ2023に出場するマレーシア代表は、大会前の最後の試合となるシリア代表との国際親善試合に臨み、若きエースFWアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)のゴールで引き分けに持ち込んでいます。

当初予定されていたサウジアラビア代表との対戦が、大会ではベスト16で対戦する可能性があることを嫌ったロベルト・マンチーニ監督の希望で試合直前で中止となったことから、マレーシア代表にとってはこの試合が大会前の唯一の実戦となりました。

FIFAランキングではマレーシアが130位なのに対してシリアは91位と格上の相手ながら、昨年9月にも顔を合わせている両チームは、9月の試合では0-2からマレーシア代表がアキヤ・ラシド(ジョホール・ダルル・タジムFC)とダレン・ロック(サバFC)のゴールで2-2に追いついて引き分けています。

カタールのドーハにあるグランド・ハマド・スタジアムで行われたこの強化試合は非公開無観客で行われ、前半39分にFWアリフ・アイマンのゴールで先制したマレーシア代表は、このリードを守って前半1-0で折り返します。しかしエクトル・クーペル監督率いるシリア代表は、後半70分にパブロ・サブバッグ、その4分後にはイブラヒム・ヘサールが立て続けにゴールを決めて逆転します。しかしマレーシア代表も78分にブラジル出身の帰化選手MFパウロ・ジョズエが同点ゴールを決めて同点に追いつくと、試合はそのまま終了しています。報道によるとこの試合でマレーシア代表キム・パンゴン監督は、GKを除くすべてのフィールドプレーヤーを起用したということです。

試合後にマレーシアメディアとの会見に応じたキム監督は、各選手が出場時間を確保できるよう、多くの選手交代を行なった一方で、出場したすべての選手が個々の能力を十分示したことから、どの選手も先発XIに選ばれる可能性があると話しています。またこの試合で、グループステージでは同組のヨルダンやバーレーンといった中東のチームとも戦えることが証明できたという見解を示し、大会に臨む準備ができていると語ったということです。

国際親善試合
2024年1月8日@グランド・ハマド・スタジアム(ドーハ、カタール-非公開)
シリア 2-2 マレーシア
⚽️シリア:パブロ・サブバッグ(70分)、イブラヒム・ヘサール(74分)
⚽️マレーシア:アリフ・アイマン(39分)、パウロ・ジョズエ(78分)

​サッカー協会会長は「帰化選手プロジェクト」の失敗を認める

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、FAMが主導していた選手帰化プロジェクトが失敗に終わったことを認める発言をしています。

FAMは代表チーム強化を目的に、外国生まれの選手のマレーシア国籍取得を支援する帰化選手プロジェクを進め、2020年にコソボ出身のリリドン・クラスニキ、2021年にブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラがマレーシア代表入りをしています。 しかし、代表入り後にはW杯2022年大会アジア予選などで両選手は期待されたほどの活躍を見せることができなかったどころか、マレーシア人選手の出場機会を奪うものだとして逆にマレーシア代表サポーターから激しいバッシングを受けてしまいます。またこのプログラムを主導したFAMには強い批判が集まったことから、FAMは帰化選手プロジェクトの一時中止を発表せざるをなくなりました。(その後は最終的に中止を発表。)

出演した番組中でこの帰化選手プログラムについて問われたハミディン会長は、「2018年に私がFAM会長専に立候補した際のマニフェストの1つは、一定の時期まで帰化選手プログラムをを導入することであった。 その当時、(FIFAが帰化選手の条件と認める)国内で5年連続でプレーする条件を満たしていたのはクラスニキとデ・ポーラだけだった。 代表チーム強化は私の目標の1つであり、帰化選手プログラムががあればその目標達成は早まると思っていたが、現在ではそれは失敗と言え流。」と述べています。

また「FAM主導の帰化選手ブログラムに対してファンが異議を唱えていることは知っていたが、FIFAの規則でそれが認められているので、私は試してみただけだった」とも述べたハミディン会長は、 スペイン、フランス、アジアではカタール、UAE(アラブ首長国連邦)、中国といった国々はいずれも帰化した外国生まれの選手を代表入りさせている点を指摘した上で、 「ファンに言いたいのは、私たちのサッカーは大きく遅れており、進化のスピードを上げたいと何度も言ってきた。 クラスニキとデ・ポーラが何らかの理由で失敗したとき、私たちは批判されていることは分かっていたので、その意見を受け入れた。 そしてFAMは最終的に帰化選手プロジェクトを終了する決定を下した。」と説明しています。

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またハミディン会長は、クラブレベルでは所属選手を選手を帰化させる権利が各クラブにあり、それについてはFAMは何も干渉しない、とハミディン会長は述べていますが、実は現在成功している帰化選手はクラブ主導で国籍取得をした選手たちです。今回のアジアカップ2023に出場するマレーシア代表でもMFモハマドゥ・スマレ(ガンビア出身)、MFエンドリック・ドス・サントス、FWパウロ・ジョズエ(いずれもブラジル出身)、FWロメル・モラレス(コロンビア出身)の4名の帰化選手がいますが、前述のクラスニキ選手こそ現在もスーパーリーグでプレーしていますが、デ・パウラ選手は3部のクラブでプレーしています。

1月8日のニュース
アジアカップ2023-ブキ・ジャリル国立競技場で代表戦パブリックビューイング実施
アジアカップ2023-アジア大会2018での韓国戦勝利の再現なるか
ジョホールは2シーズンで47ゴールのフォレスティエリとの契約を更新せず
収賄疑惑で勾留のクダ州サッカー協会CEOが保釈

アジアカップ2023-ブキ・ジャリル国立競技場で代表戦パブリックビューイング実施

開幕まであと1週間を切ったAFCアジアカップ2023ですが、マレーシア政府の青年スポーツ省は、17年ぶりの出場となったマレーシア代表の全試合をブキ・ジャリル国立競技場の電光掲示板を使って観戦するパブリックビューイングを行うことを発表しています。

ハンナ・ヨー青年スポーツ相は、マレーシア代表の初戦となるヨルダン戦(マレーシア時間1月16日午前1時30分キックオフ)、2戦目となるバーレーン戦(同1月20日午後10時30分キックオフ)、そしてグループステージ最終戦となる韓国戦(同1月25日午後7時30分キックオフ)のすべての試合についてパブリックビューイングを行うことを明らかにしています。

今大会が4度目の出場となるマレーシアですが、タイ、ベトナム、インドネシアとの共同開催となった2007年大会は開催国枠で出場しており、予選を突破しての出場は1980年大会以来43年ぶりです。2022年1月にキム・パンゴン監督を迎えてからのマレーシア代表はFIFAランキングが154位から130位へ躍進したこともあり、これまで毎回グループステージ敗退に終わっていたアジアカップですが、今大会ではマレーシア代表のベスト16進出を期待する声も高まり、それを受けて青国営通信社ブルナマもアジアカップ2023特別サイトを開設するなど国を挙げての盛り上がりを見せています。

アジアカップ2023-アジア大会2018での韓国戦勝利の再現なるか

アジアカップ2023ではマレーシアは韓国と同組になっています。順当に行けば、おそらく韓国が勝利するでしょうが、実はソン・フンミン率いる韓国U23を2018年8月のアジア競技大会ではマレーシアU23が撃破しています。

奇しくも今回のアジアカップ2023と同じE組に入ったマレーシアU23と韓国U23は、グループステージ第2節で対戦しています。初戦のキルギス戦に3-1と勝利したマレーシアと、やはり初戦のバーレーン戦に6-0と圧勝していた韓国の対戦は、マレーシアが開始4分に先制しました。今アジアカップでも代表に選ばれているFWサファウィ・ラシド(ジョホール・ダルル・タジム)が、韓国GKソン・ボムグン(現湘南ベルマーレ)がペナルティエリア内で味方DFと交錯して溢れたボールを奪いそのままシュート。これが決まってマレーシアがまさかのリードを奪います。さらに韓国の猛攻に耐えた前半終了間際のロスタイムには再びサファウィ選手が韓国DFを振り切ってペナルティエリアの手前から得意の左足を振り抜いてゴール!マレーシアが2-0で前半を折り返します。

後半に入るとベンチスタートだったオーバーエイジ枠のFWソン・フンミン(現トットナム)が出場しますが、結局、韓国の反撃はFWファン・ウィジョ(現英国2部ノリッジ・シティ)の1ゴールのみ、マレーシアが逃げ切って大金星を挙げるとともに、このE組を1位で突破してベスト16に進みました。ベスト16では日本U23と対戦し、こちらは90分に上田綺世(現オランダ1部フェイノールト)がゴールを決めて、マレーシアは0-1で敗れています。(この試合については「どこでこんなに差がついた?上田綺世とサファウィ・ラシド」という記事を以前書いていますので興味があればご覧ください。)

なお、韓国U23を撃破したマレーシアU23のメンバーのうち、サファウィ・ラシドの他、FWアキヤ・ラシド、DFシャーミ・サファリ(いずれもジョホール・ダルル・タジム)、DFドミニク・タン(サバ)、そしてこの試合では出場がなかったFWファイサル・ハリム(スランゴール)が今回のアジアカップ2023に出場するマレーシア代表に選ばれています。U23とは言え、韓国戦勝利という貴重な経験を持つ選手たちにアジア競技大会2018の再現を期待したいところです。

またこの世代は、同年1月に行われたAFC U23選手権(現U23アジアカップ)2018では、グループステージではヨルダンと1-1で引き分け、サウジアラビアには1-0とこちらも金星を上げて、ベスト16に進んでいます。このベスト16では韓国に1-2で敗れており、U23選手権の雪辱をアジア競技大会で晴らした形にもなっています。なおこのAFCU23選手権出場メンバーからには、アジア競技大会で韓国を撃破した4選手に加えてGKシーハン・ハズミ、DFマシュー・ディビーズ、MFシャマー・クティ・アバ(いずれもジョホール・ダルル・タジム)がアジアカップ2023に出場します。

AFC U23選手権、アジア競技大会の両大会でU23代表の監督を務めたオン・キムスイ現サバFC監督は、アジアの強豪との対戦を重ねたこの選手たちの経験が今回のアジアカップ2023では生きるだろうと話し、A代表でもレギュラーとなっているGKシーハン、DFタン、DFディビーズ、FWアキヤらの選手が重要な役割を果たすと予想しています。

ジョホールは2シーズンで47ゴールのフォレスティエリとの契約を更新せず

チームの財政再建中のジョホール・ダルル・タジムは、クラブ公式SNSでアルゼンチン出身のFWフェルナンド・フォレスティエリとの契約を更新しないことを発表しています。33歳のフォレスティエリ選手はセリエAのウディネーゼや英国2部のシェフィールド・ウェンズデイなどでのプレーを経て、2022年にジョホールに加入すると、過去2シーズンで69試合に出場し、47ゴール21アシストを記録し、チームの2季連続の国内三冠達成に大いに貢献しています。

2023年シーズン終了後に、30-40%の資金削減と財政再建を行うことを発表したジョホールは、リーグ優勝監督のエステバン・ソラリ監督が退任し、外国籍選手ではレアンドロ・ヴァレスケスやジオゴが、またマレーシア人選手ではいずれも代表経験があるアイディル・ザフアン、S・クラナラン、ハズワン・バクリ、アダム・ノー・アズリンらとの契約を更新しなかった他、複数の主力選手がスーパーリーグの他のクラブへ期限付き移籍すると言われています。

収賄疑惑で勾留のクダ州サッカー協会CEOが保釈

クダ州サッカー協会(KFA)は、マレーシア汚職摘発委員会MACCが勾留していズルキフリ・チェ・ハロンCEOが保釈されたことを発表しています。

ズルキフリCEOは別のKFA関係者1名やコンサルタント会社関係者2名とともに、2020年に600万リンギ(およそ1億8000万円)を超える収賄があった容疑で1月4日にMACCが勾留していました。なおこの600万リンギ超の金額はKFAの口座に振り込まれていたことをMACCが発表していました。

KFAのイブラヒム・イスマイル広報部長は、2020年から現職のズルキフリCEOはMACCの捜査の参考人として呼ばれており、MACCの事情聴取に答えた後、他の3名とともに保釈金を支払った上で、1月6日に釈放されたことも明らかにしています。またイブラヒム広報部長は、KFAはクダ州政府が行うプロジェクトや企業の寄付などによる州政府の収入とは無関係であり、収賄疑惑を善明的に否定すると述べています。

今回の収賄事件は、クダ州内にある5つの貯水池の維持管理と運営などの契約をクダ州政府から請け負うことを望んだ企業から支払われた成功報酬との疑いがかかっています。

1月5日のニュース
アジアカップ2023-マレーシア国内ではライブ中継を地上波で放映
アジアカップ2023-初戦で対戦のヨルダン代表にはマレーシアリーグ経験者4名
ジョホールがジャリル・エリアスの加入発表-いきなりリーグ史上最高額選手に

アジアカップ2023-マレーシア国内ではライブ中継を地上波で放映

開幕まであと1週間に迫ったAFCアジアカップ2023。マレーシア代表の初戦は、マレーシア時間では1月16日の午前1時30分にキックオフとなりますが、この試合を含めた複数の試合が地上波で放映されるようです。

アジアカップ2023の国内放映について問われたマレーシア政府のファーミ・ファズリ通信相は、マレーシア国営放送(RTM)でライブ中継されることを明らかにしています。

具体的な中継日程はまだ明らかにされていませんが、ファーミ通信相は、大会初日となる1月12日(マレーシア時間では13日)から中継が始まること、またマレーシア代表の試合以外も中継されることも明言しています。

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日本ではグループステージ3試合の内、初戦のベトナム戦と最終戦のインドネシア戦は地上波での放送がなく、2戦目のイラク戦のみが地上波で中継されるようですが、ベスト16以降も試合が続くであろう日本代表に対して、マレーシア代表はグループステージの3試合で大会が終了してしまう可能性がありますので、グループステージのヨルダン戦、バーレーン戦、そして韓国戦は全て放送して欲しいところです。

アジアカップ2023-初戦で対戦のヨルダン代表にはマレーシアリーグ経験者4名

1月12日(現地時間)に開幕するAFCアジアカップ2023で、グループステージE組のマレーシア代表はマレーシア時間では1月16日午前1時30分キックオフの試合でヨルダン代表と対戦します。

過去3回出場のアジアカップでは、グループステージ突破の経験がないマレーシア代表にとっては、あわよくばE組2位、そうでなければ各組3位チーム野中の成績上位4チームに入って、ベスト16進出を狙いところです。しかし、E組では韓国(FIFAランキング24位)、バーレーン(同86位)、ヨルダン(同87位)に対してマレーシアのFIFAランキングは130位と容易ではありません。

このため、ノックアウトステージ進出には初戦で、マレーシアを除く3チームでは最もランキングの低いヨルダン代表戦が重要となります。英字紙ニューストレイトタイムズによると、昨年6月に就任したモロッコ出身のフセイン・アムムータ監督率いるヨルダン代表は現在6連敗中と、マレーシア代表にとっては期待をもたせてくれるようなニュースがある反面、既に発表されてるヨルダン代表26名の中にマレーシアスーパーリーグでプレー経験がある選手4名がいることから、主力選手の特徴が知られているという懸念があるようです。

スーパーリーグでプレー経験があるのは、DFヤザン・アル=アラブ、MFノール・アル=ラワブデ、MFファイデ・アワド、MFマフムード・アル=マルディの4名です。ヤザン、ノールの両選手は2022年と昨季2023年の2シーズンに渡りスランゴールFCでプレーし、昨季のリーグ2位という成績に貢献しています。しかしヤザン選手は昨季途中、試合後に判定に不服の審判を蹴ったことからリーグ出場無期限停止処分を受け、その後スランゴールFCはヤザン選手との契約を解除、ヤザン選手は現在イラク1部のアル・ショルタSCでプレーしています。

またファディ選手は、昨季2023年はPDRM FCで出場した21試合全てに先発し、大方の予想を覆してチームを8位に引き上げる原動力となっています。またマフムード選手は2022年シーズン途中にクダ・ダルル・アマンFCに移籍し12試合に出場して5ゴール7アシストを記録、またAFCカップではビサカFC(カンボジア)相手にハットトリックを達成するなどの活躍をし、2022年シーズン終了後に退団しています。

いずれもマレーシアリーグでは活躍した4名が持つ「内部情報」がヨルダン代表に役立つようなことがあれば、マレーシア代表は初戦から厳しい戦いになりそうです。

ジョホールがジャリル・エリアスの加入発表-いきなりリーグ史上最高額選手に

2023年シーズンにはリーグ10連覇と2季連続の国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジムFCは、クラブ公式SNSでアルゼンチン出身の守備的MFジャリル・エリアスの加入を発表しています。

ニューウェルズ・オールドボーイズやサン・ロレンソなどでプレー経験がある28歳のエリアス選手は、トランスファルマルクトでは300万ポンド(およそ5億5100万円)の価値があるとされており、マレーシアリーグ史上最高額の選手となっています。

昨季までの3シーズンはサン・ロレンソに所属したエリアス選手は、この在籍期間中には117試合に出場し5ゴールを挙げています。

シリアの国籍も持つエリアス選手は、AFCアジアカップ2023に出場するシリア代表にも召集されていますが、同じくこの大会に出場するマレーシア代表と1月8日に国際親善試合が組まれており、そこでチームメートとなるジョホールの選手を含めたマレーシア代表の選手たちに強烈な印象を残すのかどうかが注目で、特にジョホールではポジションを争うことになる可能性があるMFナチョ・インサとの対戦があれば、そちらも関心を集めそうです。

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2024/25シーズンに向けて運営資金の30-40%を削減することを発表、今季国内参観を果たしたエステバン・ソラリ監督とも契約を解除、さらにMFレアンドロ・ヴェラスケスをはじめとする多くの選手との契約も更新しないなど、クラブの財政再構築に動いているジョホールですが、使うところはしっかり使っていく方針は変わらないようです。

1月4日のニュース
アジアカップ出場のマレーシア代表26名が発表に

AKB48のご当地版となる「KLP48」の発足が発表されたマレーシアのクアラ・ルンプールより明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。東南アジアではタイ(バンコク、チェンマイ)、インドネシア(ジャカルタ)、フィリピン(マニラ)に続くAKB48の海外姉妹グループが、近年イスラム教保守派の声が大きくなっているこの国で成功するのかは個人的に興味があるところですが、その話はまた別の機会に。今回が2024年第1回の投稿です。

タイ、ベトナム、インドネシアとの共催となった2007年大会以来14年ぶり、予選突破での出場は1980年大会以来43年ぶりのAFCアジアカップ出場となったマレーシアですが、マレーシアサッカー協会(FAM)は、1月15日に初戦を迎えるマレーシア代表26名を公式サイトで発表しています。

AFCアジアカップ2023年大会出場のマレーシア代表メンバー

P氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ28JDT
アズリ・アブドル・ガニ25KLC
シーク・イズハン22NSE
DFマシュー・デイヴィーズ29JDT
ラヴェル・コービン=オング33JDT
シャールル・サアド31JDT
シャーミ・サファリ26JDT
クザイミ・ピー   30SEL
ドミンク・タン27SAB
ダニエル・ティン32SAB
ディオン・コールズ28BRU
ジュニオール・エルドスートル33DWU
MFエンドリック・ドス・サントス29JDT
アフィク・ファザイル30JDT
シャマー・クティ・アッバ27JDT
ナチョ・インサ38JDT
ブレンダン・ガン36SEL
スチュアート・ウィルキン26SAB
FWアリフ・アイマン24JDT
アキヤ・ラシド25JDT
サファウィ・ラシド27JDT
ムハマドゥ・スマレ30JDT
ファイサル・ハリム25SEL
ダレン・ロック34SAB
パウロ・ジョズエ35KLC
ロメル・モラレス27KLC
所属:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SEL-スランゴールFC、SAB-サバFC、KLC-KLシティFC、NSE-ヌグリスンビランFC、BRU-ブリーラム・ユナイテッド(タイ1部)、DWU-デワ・ユナイテッド(インドネシア1部)

今回のメンバーは、12月26日から始まっていた代表候補合宿に参加したメンバーから顔ぶれは変わらない26名が選ばれています。マレーシア代表は1月1日にカタール入りしており、1月8日には大会前の最終調整となるシリアとの国際親善試合を行います。なお、マレーシアは当初、1月4日にサウジアラビアとの国際親善試合も予定していましたが、サウジアラビア側からドタキャンされています。これは昨年、イタリア代表監督を辞してサウジアラビア代表監督に就任したロベルト・マンチーニが、今回のアジアカップで勝ち上がればベスト16で対戦する可能性があるマレーシアとの対戦を嫌ったことが理由とされています。

アジアカップではE組に入っているマレーシアは、1月15日にアル=ワクラにあるアル・ジャヌーブ・スタジアムでヨルダンとの初戦を迎えます。その後は1月20日にドーハにあるジャシム・ビン・ハマド・スタジアムでバーレーンと、そしてE組の最終戦は1月25日に初戦と同じアル・ジャヌーブ・スタジアムで韓国との対戦が控えています。なお直近のFIFAランキングでは、E組のトップは23位の韓国で、以下バーレーン(86位)、ヨルダン(87位)、そしてマレーシア(130位)と続きます。

今回のアジアカップではグループステージA組からF組から各組の上位2チームと、各組3位チームの中の上位4チームがベスト16に出場します。(ちなみにマレーシアがE組の2位、サウジアラビアがF組首位となると、マンチーニ監督が心配した通り、ベスト16で両チームが対戦することになります。)また、ベスト8は2月2日と3日に、準決勝は2月6日と7日に、そして決勝は2月10日に昨年のW杯決勝が行われたカタールのルサイル・スタジアムで行われる予定になっています。

今回が4回目のアジアカップ出場となるマレーシアですが、前述した通り、東南アジア4ヵ国による共催となった2007年は開催国枠で出場しましたが、グループステージでは中国、イラン、ウズベキスタンと同組で3戦3敗。得点は昨季はクランタン・ユナイテッドFCでプレーしたインドラ・プトラ・マハユディンが中国相手に決めた1点のみ、失点は12と惨敗でした。また予選を突破しての出場は1980年、そしてその前回大会の1976年大会まで遡らならず、この両大会でもグループステージで敗退しています。

12月31日のニュース
2023年のマレーシアサッカーを振り返る重大ニュース

2023年も残り数時間となりましたが、今年最後の投稿としてボラセパマレーシアJP的視点で2023年の重大ニュースを選んでみました。なお、各項目に振った数字は順位などではありません。

1. 代表のFIFAランキングが145位から130位に

2021年の東南アジア選手権で準決勝進出を逃して辞任したマレーシア人のタン・チェンホー前監督(現スランゴールFC監督)に代わり、2022年1月に就任したのが韓国出身のキム・パンゴン監督です。昨年はマレーシア代表を43年ぶりに予選突破に導いてAFCアジアカップ出場を決めるなどの実績を積み上げたキム監督は、今年は1月の段階で145位だったマレーシアのFIFAランキングを直近の12月には130位まで引き上げています。特に今年はインドやキルギスといった格上に勝利しただけでなく、中国やシリアとは引き分けるなど、終わってみればFIFAランキングを20位上げたパナマ、19位上げたモルドバに続き、世界では今季3位となる15位のランクアップを成し遂げています。

2. 3名の新たな帰化代表選手が誕生

躍進したマレーシア代表の原動力の一つに帰化選手の増加があります。今年だけでもパウロ・ジョズエ(KLシティFC)とエンドリック・ドス・サントス(ジョホール・ダルル・タジムFC)の両ブラジル出身MFが2月にマレーシア国籍を取得すると早速、代表選手としてプレーしています。昨年はアルゼンチン出身のMFエゼキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)と英国出身のMFリー・タック(クダ・ダルル・アマンFCを退団)が同様に国籍を取得しており、今月にはコロンビア出身のFWロメル・モラレス(KLシティFC)もマレーシア国籍を取得すると、今月の代表候補合宿には早速、招集されています。彼らはいずれも国内リーグで5年以上プレーを続けた結果、マレーシア人選手としてプレーする資格を得、所属するクラブなどの支援を受けながら国籍を取得しています。マレーシア代表にはこの他、国外生まれながら親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を得るハイブリッド帰化選手も多くおり、現在行われている代表合宿の参加者25名中、マレーシア国内で生まれ育った選手は半数以下の12名となっています。

3. ジョホールがリーグ10連覇と2季連続の国内三冠達成

2位のスランゴールに勝点差15をつけ、第21節で優勝を決めた今季のジョホール・ダルル・タジムFC。リーグはこれで10連覇となり、マレーシアカップ、FAカップと合わせた国内三冠も2年連続で達成しています。今季の成績は25勝1分0敗、得点100失点7と国内では今季負けなし。国内では既に敵なしのチームの今季の目標は、昨季に続きACLでノックアウトステージへ進むことでした。昨季と同じ、川崎フロンターレ、蔚山現代と同組となったグループステージでは、川崎に2敗、蔚山には1勝1敗という結果で3位となり敗退しています。しかし、今季が終了して間もなく、27歳のMFジャリル・エリアスをアルゼンチン1部サン・ロレンソを獲得、さらにマレーシア国籍を取得したコロンビア出身のFWロメル・モラレス(KLシティ)やクダでプレーする元シェフィールド・ウエンズデーU21のMFマヌエル・イダルゴの獲得に動いているという噂もあり、来季からは参戦するAFCチャンピオンズリーグ・エリートへの準備も怠りありません。

と、書きましたが年末にかけて、クラブは年間の運営費用を30-40%カットすることを発表すると同時に、今季国内三冠に導いたエステバン・ソラリ監督とそのコーチングスタッフの退任を発表しています。新監督には2022年シーズン途中から指揮を取り、今季はテクニカル・ディレクターを務めていたエクトル・ビドリオ氏が復帰する他、チームでは主力から外れている複数の高額年棒選手を期限付きで移籍させる方針も合わせて発表されています。この中には2024年1月のアジアカップに出場するマレーシア代表でもプレーするサファウィ・ラシドや、代表戦では今季3ゴールを挙げているアキヤ・ラシドといった選手も含まれています。

4. クランタンがシーズン新記録の121失点

リーグ覇者ジョホールとは好対照だったの最下位のクランタンFC。2勝2分22敗、得点29失点121の成績は、リーグのシーズン最多失点記録を30点近く更新する不明な新記録を打ち立てています。さらに給料未払いからシーズン途中に外国籍選手が次々に退団し、マレーシア人選手も大半はU23の経験が少ない選手たちと、トップチームにで1シーズンを送るには心許ない布陣だったことが今季の悲惨な記録に繋がっています。ただし、これだけの成績ながら、下部リーグに当たるM3リーグのクラブにはいずれも来季の国内クラブライセンスが発給されておらず、入れ替え戦が行われる心配はありません。しかし2012年には国内三冠制覇の経験もあるクランタンFCですが、未払い給料問題は未だに解決しておらず、最悪の場合、来季は成績理由ではなく未払い給料に対する罰則処分としてセミプロリーグの3部M3リーグへ降格となる可能性もあります。

5. 複数のクラブで給料未払いが発覚

マレーシアリーグでは、未払い給料問題は今に始まったことではありませんが、今季も半数近い6クラブで給料未払いが封じられています。このブログでも何度も取り上げているように、マレーシアサッカー協会(FAM)とリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)によりクラブの「民営化」が押し進められたことにより、従来の資金源だった州政府からの支援という公金に頼っていた各クラブの中には、十分なスポンサーを見つけることができず、その結果、シーズン途中に資金繰りが苦しくなり、選手への給料の遅配や未払いが発生するという慣例が続いています。今季はクランタンFC、クダ・ダルル・アマンFC、ペナンFC、KLシティFC、ヌグリスンビランFCといったチームの他、2023/24シーズンのAFCカップで東南アジア地区準決勝に進出しているサバFCなどでも給料未払いが封じられています。

6. AFC大会に3クラブが出場

昨季のリーグ覇者としてACLに出場したジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、昨季に続き今季のACLグループステージでも川崎フロンターレ、蔚山現代と同組になりました。コロナ禍の影響により、昨季はJDTの本拠地、ジョホール州が集中開催地となったこともあり、地の利を生かしたJDTが川崎や蔚山現代を抑えてまさかのグループ1位突破を果たし、クラブ史上初となるノックアウトステージに進出しました。その再現をと臨んだ今季のACLでしたが、川崎には2敗、蔚山現代には1勝1敗、また同じグループのBGパトゥムには2勝したものの今季はグループ3位となり、ノックアウトステージ進出を逃しています。

またAFCカップには昨季2位のトレンガヌFCと同3位のサバFCが出場し、トレンガヌFCは3勝3分とグループステージ無敗ながら、グループ1位のセントラル・コースト・マリナーズFC(オーストラリア)に勝点差1で及ばずにグループステージで敗退しています。一方のサバは既に順位が確定してた最終戦で敗れたものの、来年2月に行われるグループ首位で東南アジア地区準決勝進出を決めています。しかしサバFCは、前述した通り給料未払い問題を抱えており、この記事を書いている12月31日の時点も未払いの精算が完了していないことが報じられています。1995年のAFCカップウィナーズカップ(当時)以来28年ぶりにアジアの舞台に戻ったサバFCですが、ノックアウトステージを勝ち上がった際のメンバーとは大きく顔ぶれが変わってしまう可能性や、給料未払いが解決せずモチベーションが上がらないまま準決勝を迎える可能性などもあります。

なお来季2024/25シーズンから大きく変更されるACLですが、現行のACLに該当し、アジア東地区は12チームで争われるACLエリート(ACLE)へのジョホール・ダルル・タジムFCの出場が決まっています。またAFCカップが発展解消する形のAFC 2へは、今季リーグ2位のスランゴールFCが出場します。

7. 審判への低い評価は変わらず-来季はいよいよVAR導入

基準が不明瞭な判定により、今季も複数の審判が無期限審判停止処分を受けたマレーシアリーグ。国際大会に派遣される審判もおり、全員の評価が低いわけではないですが、一般的にマレーシアサッカーファンは審判への信頼は非常に低くなっています。この状況を改善するためにサポーターだけでなく選手や監督らもVAR導入を求めてきましたが、来季のマレーシアスーパーリーグにはついにVARが導入されることが決まりました。VARを運営する審判のトレーニングは今年半ばから始まっており、スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、試合ごとに会場へ機材を持ち込むトラックでの移動式VAR設備も複数台購入済みであることも明らかにしている他、サバFCの本拠地があるボルネオ島には機材を飛行機で持ち込む案なども発表しています。

8. 国立競技場改修もコンサートでピッチは台無しに

マレーシア代表はクアラ・ルンプールにあるブキ・ジャリル国立競技場を本拠地として使っていますが、建設から25年が経った施設は今年1月から大規模な改修工事とピッチの張り替えが行われました。この間、代表戦はマレー半島東北部のトレンガヌ州や南部のジョホール州などで行われ、改修工事終了後の柿落としとして開催されたのが10月半ばのムルデカ大会でした。しかし、この大会では張り替えた高麗芝系のゼオン・ゾイシア芝が十分に根付いておらず、試合中にピッチの表面がごっそり剥がれるなど散々で、対戦したインドやタジキスタンだけでなく、マレーシアの選手からも不評を買いました。スタジアムを管理するマレーシア・スタジアム社(PSM社)も、およそ1ヶ月後に控えていたW杯2026年大会アジア2次予選に向けて補修を行うことを約束しました。

が、11月22日に英国のロックバンド、コールドプレイがブキ・ジャリル国立競技場で7万5000人を集めるコンサートを行った翌日、ピッチは複数箇所で土がむき出しになるなど無残な状態となり、PSM社は12月8日に予定されていた今季国内日程の最終戦となるマレーシアカップ決勝までには、ピッチを90%回復させると約束したものの、試合当日は土が剥き出しの部分も残り、相変わらず表面の芝が剥がれ、マレーシアU23代表選手でもあるトレンガヌのウバイドラー・サムスルがそれに足を取られてケガをし(、退場を余儀なくされるなど事故も起こりPSM社への非難が集まりました。

9. 来季の開幕が5月となることが発表される

今季の重大ニュースと言えるかどうかはわかりませんが、これも今月発表されるとすぐに話題となりました。Jリーグ同様、秋春制への移行を行うマレーシアリーグは、2024/25と2025/26の2シーズンをかけて秋春制への移行を完了する予定を発表しています。1月あるいは2月に開幕するのが通例だったマレーシアリーグですが、2024年は1月にはマレーシア代表が予選を突破して43年ぶりに出場するAFCアジアカップがあり、代表選手がいるチームはプレシーズンに十分な時間が取れないことから、今季の開幕は当初は4月とされていました。しかしU23代表が出場するAFC U23アジアカップが4月にあるなどの理由から、結局開幕は5月3日、そして終了は2025年4月20日と12ヶ月という長さのシーズンとなることが発表されました。また2024年1度目のトランスファーウィンドウは2月3日から4月26日までの12週間となることも明らかになっています。

これまでは2月開幕11月閉幕で、各クラブは1月からの11ヶ月分あるいは2月からの10ヶ月分の給料を支払うのが一般的でしたが、開幕が5月となったことで、リーグが開幕していない期間、つまり入場料収入が期待できない時期が長くなったことで、給料未払い問題がシーズンの早い時期に起こる可能性なども取り沙汰されている他、資金が潤沢にあるクラブとそうでないクラブの格差がさらに広がる懸念もあります。

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以上が今季のマレーシアサッカー重大ニュースとなります。2023年はこの投稿がボラセパマレーシアJPの最後の投稿となります。本年も拙いブログを読んでいただきありがとうございます。皆様も良いお年をお迎えください。

12月24日のニュース(2)国際親善試合-マレーシアU23代表が中国U23代表をロスタイムのゴールで破る

中国遠征中のマレーシアU23代表は、12月23日に上海の金山スポーツセンターで中国U23代表と対戦し、DFハリス・ハイカル(スランゴール)がロスタイムにゴールを決め、1-0で辛勝しています。

11月にコーチから昇格したフアン・トーレス監督にとっては初の対外試合となったこの試合の先発XIは以下の通りです。前任のE・エラヴァラサン監督は先発で使うことがあまりなかったFWファーガス・ティエニーとMFナジムディン・アクマル(いずれもジョホールII)とMFムカイリ・アジマル(スランゴール)の3名が揃って先発しています。


試合開始から中国U23の猛攻を、この試合のヒーローとも言えるGKアジム・アミン(KLシティ)が好セーブを連発して防ぐと、マレーシアU23も徐々にペースを掴み、FWファーガス・ティエニーを中心に相手ゴールを狙いますが、両チーム共に譲らず前半を0-0で折り返します。

後半に入るとマレーシアU23のファン・トーレス監督は6名の交代選手を投入してゴールを目指しますが、試合は0-0のままロスタイムに入ります。このままスコアレスドローかと思われた90+5分にマレーシアU23がコーナーキックを得ると、FWダリル・シャム(ジョホール)の右コーナーキックにハリス選手が合わせてゴールを決め、マレーシアが土壇場のゴールで勝利を挙げています。なおマレーシアU23は、12月26日にも中国U23との対戦が組まれています。

今回の中国遠征は来年4月に開催されるAFC U23アジアカップへの準備の一環として行われています。マレーシアU23は、U23アジアカップではウズベキスタン、ベトナム、クウェートと同組となっています。

この試合のハイライト映像。Balrztvの公式YouTubeチャンネルより

12月24日のニュース
秋春制以降期間となる来季日程をMFLが発表-5月開幕、翌年4月閉幕の長丁場12ヶ月シーズンに
マレーシアはFIFAランキング130位で今年を終える-ランキング上げ幅は今季世界3位
今季最下位のクランタンFC監督が辞任し、インドネシアのクラブ監督就任へ
リーグ10連覇達成のジョホールがチケット売上益9000万円をパレスチナ支援などに寄付

秋春制以降期間となる来季日程をMFLが発表-5月開幕、翌年4月閉幕の長丁場12ヶ月シーズンに

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は公式サイト上で来季日程を発表しています。スーパーリーグはJリーグ同様に秋春制へ移行を進めていますが、移行は2026年まで2シーズンかけて行うことを発表しており、来季2024/25シーズンは、従来とは異なる5月開幕、翌年4月閉幕の12ヶ月となるようです。

2024年の年明け早々にはカタールでAFCアジアカップ2023年大会が開幕し、マレーシア代表は43戦ぶりにこの大会に出場します。また、3月にはFIFAワールドカップ2026アジア2次予選がある他、4月中旬にはマレーシアU23代表も出場するAFC U23アジアカップ2024年大会が開催されるなど、年初から代表戦やU23代表の試合が続きます。

さらにクラブレベルでは、AFCカップの東南アジアゾーングループステージを勝ち上がったサバFCは2月13日または14日に準決勝が予定されており、MFLは当初は来季開幕を4月中旬と発表していましたが、今回、2週間ほど遅らせた5月3日から5日とすることを改めて発表しています。

さらにイスラム教の断食月ラマダンも今回の日程作成を難しくしています。2024年は3月10日から4月9日がこのラマダンにあたり、この期間中、イスラム教徒は日の出から日没まで食事はおろか、水分の補給もできないことから、イスラム教徒のマレー人選手が大半を占める各クラブからはこのラマダンが開幕前の重要な時期と重なることに懸念する声も出ていたことも今回の日程変更と関連している可能性があります。

今回の新たな日程発表に併せて2024/25シーズンの第1回のトランスファーウィンドウは2月3日から4月26日となることも発表されています。

マレーシアはFIFAランキング130位で今年を終える-ランキング上げ幅は今季世界3位

最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回11月と同じ130位で2023年を終えています。今年1月には145位だったマレーシアはランキングを15上げていますが、これは20上げたパナマ(FIFAランキング41位)、19上げたモルドバ(同155位)に次ぐ、今季世界3位の上げ幅となっています。

1993年には75位だったマレーシアですが、2018年に178位まで落ちると、そこからは低迷期が続いていましたが、2022年1月に韓国出身のキム・パンゴン(金判坤)監督が就任して以来、当時154位だったランキングは順調に改善され、今年10月にはフィリピンを抜いて東南アジア3位となっています。

とはいえ東南アジアでは84位のベトナムと113位のタイの両国には相変わらずには遅れをとっています。なお今回の発表での東南アジア各国のランキングはフィリピンが140位、インドネシア146位、シンガポール156位、ミャンマー162位、カンボジア179位、ラオス189位、ブルネイ194位、そして東ティモール200位となっています。

クランタンFC監督が辞任し、インドネシアのクラブ監督就任へ

今季は2勝2分22敗、リーグ新記録となる121失点で最下位に終わったクランタンFCの アンヘル・アルフレッド・ヴェラ監督が辞任を表明した上で、現在はインドネシアのクラブと監督就任ついて交渉中だと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

アルゼンチン出身で51歳のヴェラ監督は、Jリーグ大分でプレー経験があるチェ・ムンシク(崔文植)監督、リザル・ザンベリ・ヤハヤ監督代行、フランク・バーンハート監督に続く今季4人目の監督としてシーズン後半からクランタンの指揮を取り、リーグ戦は1勝1分13敗、マレーシアカップ0勝2敗という記録を残しています。

2013年からインドネシアリーグの複数のクラブで監督経験を持ち、インドネシア語を流暢に話すヴェラ氏は、今後は家族が現在も住むインドネシアに戻る予定だということで、既に現地のクラブと監督就任について交渉中だということです。

リーグ10連覇達成のジョホールがチケット売上益9000万円をパレスチナ支援などに寄付

マレーシアスーパーリーグ10連覇と2季連続の国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジムFCは、今季のチケット売り上げ収益とリーグ優勝賞金などを合わせた290万リンギ(およそ9000万円)をパレスチナへの人道支援と地元の社会奉仕プログラムに寄付することを発表しています。

クラブ公式SNSに投稿された記事によると、11月と12月の本拠地開催の6試合のチケット売り上げ収益101万700リンギ(およそ3100万円)はパレスチナの人道支援に、またリーグ優勝の賞金190万リンギ(およそ5900万円)は、クラブが設置した基金を通じて地元ジョホール州の社会奉仕プログラムに寄付されるということです。

ジョホールは2013年にジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が設立して以来、クラブが獲得した賞金は全て寄付してきたことも、このSNS投稿では説明されています。