1月9日のニュース
アジアカップ2023-大会前最後の試合でマレーシアはシリアと2-2の引き分け
​サッカー協会会長は「帰化選手プロジェクト」の失敗を認める

昨季2023年シーズンのマレーシアスーパーリーグの「サプライズ」の一つだったPDRM FCはFW鈴木・ブルーノ選手との契約を延長したことを発表しています。大方の予想に反して8位に終わったPDRM FCのチーム得点王となった鈴木選手の残留で、既にクチンシティFCの契約を延長している谷川由来選手とともに、今季もスーパーリーグでは少なくとも2名の日本人選手がプレーすることが決まっています。

アジアカップ2023-大会前最後の試合でマレーシアはシリアと2-2の引き分け

開幕まで3日となったAFCアジアカップ2023に出場するマレーシア代表は、大会前の最後の試合となるシリア代表との国際親善試合に臨み、若きエースFWアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)のゴールで引き分けに持ち込んでいます。

当初予定されていたサウジアラビア代表との対戦が、大会ではベスト16で対戦する可能性があることを嫌ったロベルト・マンチーニ監督の希望で試合直前で中止となったことから、マレーシア代表にとってはこの試合が大会前の唯一の実戦となりました。

FIFAランキングではマレーシアが130位なのに対してシリアは91位と格上の相手ながら、昨年9月にも顔を合わせている両チームは、9月の試合では0-2からマレーシア代表がアキヤ・ラシド(ジョホール・ダルル・タジムFC)とダレン・ロック(サバFC)のゴールで2-2に追いついて引き分けています。

カタールのドーハにあるグランド・ハマド・スタジアムで行われたこの強化試合は非公開無観客で行われ、前半39分にFWアリフ・アイマンのゴールで先制したマレーシア代表は、このリードを守って前半1-0で折り返します。しかしエクトル・クーペル監督率いるシリア代表は、後半70分にパブロ・サブバッグ、その4分後にはイブラヒム・ヘサールが立て続けにゴールを決めて逆転します。しかしマレーシア代表も78分にブラジル出身の帰化選手MFパウロ・ジョズエが同点ゴールを決めて同点に追いつくと、試合はそのまま終了しています。報道によるとこの試合でマレーシア代表キム・パンゴン監督は、GKを除くすべてのフィールドプレーヤーを起用したということです。

試合後にマレーシアメディアとの会見に応じたキム監督は、各選手が出場時間を確保できるよう、多くの選手交代を行なった一方で、出場したすべての選手が個々の能力を十分示したことから、どの選手も先発XIに選ばれる可能性があると話しています。またこの試合で、グループステージでは同組のヨルダンやバーレーンといった中東のチームとも戦えることが証明できたという見解を示し、大会に臨む準備ができていると語ったということです。

国際親善試合
2024年1月8日@グランド・ハマド・スタジアム(ドーハ、カタール-非公開)
シリア 2-2 マレーシア
⚽️シリア:パブロ・サブバッグ(70分)、イブラヒム・ヘサール(74分)
⚽️マレーシア:アリフ・アイマン(39分)、パウロ・ジョズエ(78分)

​サッカー協会会長は「帰化選手プロジェクト」の失敗を認める

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、FAMが主導していた選手帰化プロジェクトが失敗に終わったことを認める発言をしています。

FAMは代表チーム強化を目的に、外国生まれの選手のマレーシア国籍取得を支援する帰化選手プロジェクを進め、2020年にコソボ出身のリリドン・クラスニキ、2021年にブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラがマレーシア代表入りをしています。 しかし、代表入り後にはW杯2022年大会アジア予選などで両選手は期待されたほどの活躍を見せることができなかったどころか、マレーシア人選手の出場機会を奪うものだとして逆にマレーシア代表サポーターから激しいバッシングを受けてしまいます。またこのプログラムを主導したFAMには強い批判が集まったことから、FAMは帰化選手プロジェクトの一時中止を発表せざるをなくなりました。(その後は最終的に中止を発表。)

出演した番組中でこの帰化選手プログラムについて問われたハミディン会長は、「2018年に私がFAM会長専に立候補した際のマニフェストの1つは、一定の時期まで帰化選手プログラムをを導入することであった。 その当時、(FIFAが帰化選手の条件と認める)国内で5年連続でプレーする条件を満たしていたのはクラスニキとデ・ポーラだけだった。 代表チーム強化は私の目標の1つであり、帰化選手プログラムががあればその目標達成は早まると思っていたが、現在ではそれは失敗と言え流。」と述べています。

また「FAM主導の帰化選手ブログラムに対してファンが異議を唱えていることは知っていたが、FIFAの規則でそれが認められているので、私は試してみただけだった」とも述べたハミディン会長は、 スペイン、フランス、アジアではカタール、UAE(アラブ首長国連邦)、中国といった国々はいずれも帰化した外国生まれの選手を代表入りさせている点を指摘した上で、 「ファンに言いたいのは、私たちのサッカーは大きく遅れており、進化のスピードを上げたいと何度も言ってきた。 クラスニキとデ・ポーラが何らかの理由で失敗したとき、私たちは批判されていることは分かっていたので、その意見を受け入れた。 そしてFAMは最終的に帰化選手プロジェクトを終了する決定を下した。」と説明しています。

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またハミディン会長は、クラブレベルでは所属選手を選手を帰化させる権利が各クラブにあり、それについてはFAMは何も干渉しない、とハミディン会長は述べていますが、実は現在成功している帰化選手はクラブ主導で国籍取得をした選手たちです。今回のアジアカップ2023に出場するマレーシア代表でもMFモハマドゥ・スマレ(ガンビア出身)、MFエンドリック・ドス・サントス、FWパウロ・ジョズエ(いずれもブラジル出身)、FWロメル・モラレス(コロンビア出身)の4名の帰化選手がいますが、前述のクラスニキ選手こそ現在もスーパーリーグでプレーしていますが、デ・パウラ選手は3部のクラブでプレーしています。