8月9日から10日のニュース:AFFU15選手権でマレーシアが優勝、クラブライセンス制度導入により問題のあるクラブは排除される(?)、不況と質の低下が観客減の原因、第二のハディ探しをヤクルトがサポート

AFFU15選手権でマレーシアが優勝
 タイのチョンブリで開催されていたアセアンサッカー連盟AFF U15選手権で、マレーシアは決勝でタイを2-1で破り、2013年以来2度目の優勝を飾っています。
 AFFのホームページによると、準決勝でベトナムを3−1で破ったマレーシアは、地元タイに1-0とリードを許して前半を折り返しました。後半に入るとタイ2名、マレーシア1名が退場となる荒れた試合になりましたが、69分にはMFムハマド・イズリン・イブラヒムが同点ゴールを、そして79分にはこの大会で5得点目となる決勝ゴールをMFムハマド・ナビル・カイユームが決めています。
 なお3位決定戦はインドネシアがベトナムをPK戦の末破っています。
決勝
マレーシア2-1タイ
3位決定戦
インドネシア0-0(PK3-2)ベトナム
(写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

クラブライセンス制度導入により問題のあるクラブは排除される(?)
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、マレーシアサッカー協会FAMのダト・ハミディン・アミン会長は、2021年から完全施行されるクラブライセンス制度によって、橋梁未払いなどの問題を抱えるクラブが一掃されるだろうと語っています。
 マレーシアフットボールリーグMFLに加盟するすべてのクラブチームは2020年末までにクラブライセンスを獲得することが、2021年シーズン参加のための義務となるため、このライセンス申請の過程でFAMが経営状況を精査し、問題のあるクラブに対して厳しく対処できるとしています。
 この発言はプロ選手協会PFAMが12クラブが給料未払い問題を抱え、その総額が640万リンギ(約1億6300万円)であるという発表に対して行われたものですが、これに対してハミディン会長は、PFAMの発表はFAMが国内サッカーを運営する組織として期待外れであるという印象を与えるものであるとし、給料未払い問題を抱えているのはほんのわずかのクラブとしています。その上で、ライセンス制度導入後は健全系のクラブだけが存在することになるだろうとと述べています。
 ここからは私見ですが、MFLの1部と2部を合わせた12クラブのうち、11クラブ(PFAMが指摘したクラブの1つは3部に所属するマレーシア国軍クラブ)が未払い給料を抱えている現状を「ほんのわずかのクラブ」としてしまっている時点で問題の深刻さを果たして理解しているのだろうかという気がしてしまいます。ライセンス発給についてもマレーシア特有の「寛容さ」が発揮されて、厳格な適用がされるかどうかも正直疑問です。

不況と質の低下が観客減の原因
 現在開催中のマレーシアカップ で、リーグチャンピオンのJDTの試合にわずか6000名弱の観客しか集まらなかったことは先日、このブログでも取り上げましたが、この状況についてマレー語紙ウトゥサン・マレーシア電子版が、かつてマレーシアサッカー界で活躍したレジェンドのコメントを掲載しています。
 1980年のモスクワオリンピック出場権を獲得したマレーシア代表(但しマレーシアは、前年1979年12月に起こったソビエト連邦のアフガニスタン侵攻に対し、同じイスラム教国として抗議のためボイコット)でプレーしたDFダト・ジャマル・ナシル・イスマイル氏は、マレーシア国内経済の不況のため、ファンは自分が応援するチームのすべての試合のチケットを購入する金銭的な余裕がなくなっているのではないかと述べています。特に家族そろって観戦するような場合、観戦の際の飲食なども含めると必然的に観戦する試合を選ぶことになっているのではないかと分析しています。代表通算キャップ数165のジャマル氏は、現在はグループステージのマレーシアカップ がベスト16や準々決勝に進む辺りからは観戦者数も増えていくのではないかと述べています。
 その一方でケランタンFA、そしてオーストラリアでもプレーしたオマル・ダリ氏はマレーシアサッカーの質の低下を指摘しています。例えて言えば日本プロ野球界のご意見番張本勲氏のような存在であるオマル氏は、観戦したいと思わない人々に観戦を強制することは無理なので、そういった人々がスタジアムに足を運ぶようになるためには、まずマレーシアサッカーの質を上げる必要があると述べています。

第二のハディ探しをヤクルトがサポート
 マレー語紙コスモ!電子版によると、ヤクルトの現地法人ヤクルトマレーシアの濱田浩志代表取締役社長は、Jリーグのセレッゾ大阪によるアセアンドリームプロジェクトに参加するマレーシアU15代表選手5名の日本行きをサポートし、この中からハディ・ファイヤッドに続くJリーガー誕生を願っていると語っています。
 ハディ・ファイヤッドとは、昨年末にジョホール・ダルル・タクジムJDTからJ2のファジアーノ岡山に移籍したマレーシアU23代表でもプレーする19歳のFWです。
 濱田社長とドリームプロジェクトに参加するラジャ・ハイカル・ラジャ・ザハリ、ダニアル・ハイカル・シャイポル(FAMが国家サッカー選手養成プロジェクトを運営するモクター・ダハリアカデミー出身)、アフィク・ノリザン(マラッカ州スポーツ専門学校)、ファリズディン・アドハム・バッチャ(スランゴール州スポーツ専門学校)、アナス・ナダウィ・シャハルディン(スランゴール州バンダル・バル・バンギ中等学校)の5名は日本到着後、岡山にハディ選手を訪ねたと報じています。

マレーシアカップ グループステージ第2節の結果まとめ

8月7日(水)と8日(木)に行われたマレーシアカップグループステージ第2節の結果です。

グループA
ヌグリ・スンビランFA1-2PKNS FC
得点者:ヌグリ・スンビランFA-イゴール・ルイス(90分)、PKNS FC-ガブリエル・ゲラ2(15分、31分)
 マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグのPKNS FCは、2部プレミアリーグのヌグリ・スンビランFAを破り、リーグ戦も含めて8試合ぶりの勝利となりました。
 ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

クダFA0-2トレンガヌFC
得点者:チェチェ・キプレ2(66分、87分)
 トレンガヌFCがFAカップ優勝チームのクダFAを敵地で破って2連勝です。

グループA順位試合得点失点得失差勝点
トレンガヌFC22005146
クダFA21o13303
PKNS FC210134-13
ヌグリ・スンビランFA200225-30

グループB
ジョホール・ダルル・タクジムJDT4-2プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(9分)、ジオゴ2(47分、72分)、ゴンザロ・カブレラ(81分)、PJシティFC-ワシントン・ブラダオ(59分)、バラスクマル・ラマルー(70分)

UITM FC0-2PKNP FC
得点者:PKNP FC-アマニ・アギナルド(45分)、ペドロ・サンドヴァル(85分)

グループB順位試合得点失点得失差勝点
JDT22007346
PKNP FC21013213
PJシティFC210145-33
UITM FC200215-40

グループC
ペナンFA2-1サバFA
得点者:ペナンFA-ジュリアン・ボッタロ(9分)、エヴァン・ウェンスレイ(73分OG)、サバFA-ロドリュブ・パウノヴィッチ(48分PK)

パハンFA3-0ペラTBG
得点者:エラルド・グロン(40分)、サディル・ラムダニ(68分)、ラザラス・カイムビ(82分)

グループC順位試合得点失点得失差勝点
パハンFA22006156
ペラTBG21013303
ペナンFA210134-13
サバFA200215-40

グループD
PDRM FC4-3フェルダ・ユナイテッド
得点者:PDRM FC-パトリック・ロナウジーニョ(37分)、ゴピナタン・ラマチャンドラ2(78分、88分)、アズミズ・アズミ(90分)、フェルダU-スピアー・チャントゥル(9分)、カイルル・アムリ2(18分、56分)
 今シーズンMFL1部10位のフェルダUが、54分にDFファリド・ラムリの退場で10人となったMFL2部3位のPDRM FCに逆転負け。フェルダUの渡邉将基選手、池田圭選手はともにベンチ入りしましたが、出場しませんでした。

マラッカ・ユナイテッド0-1スランゴールFA
得点者:スランゴールFA-エンドリック(61分)

グループD順位試合得点失点得失差勝点
スランゴールFA21103214
マラッカ・ユナイテッド21013213
PDRM FC210156-13
フェルダ・ユナイテッド201156-11

8月8日のニュース:FAMや州サッカー協会の反論に選手会がコメント、AFF U18選手権開幕、FAMはコーチを日本へ派遣

FAMや州サッカー協会の反論に選手会がコメント
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMのイズハム・イスマイルCEOが、現在マレーシアサッカーリーグMFL所属の12クラブが総額約640万リンギ(約1億6300万円)の未払い給料があることを発表したことに対して、ヌグリ・スンビラン州サッカー協会を貶めるものだとして事務局長が謝罪を要求したり、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が内容が不正確で無責任であると応酬した件で、PFAMのイズハムCEOが新たにコメントを発表したことをマレー語紙ウトゥサン・マレーシア電子版が伝えています。
  イズハムCEOは記事の中で、発表内容はFAMやMFLに向けたものではなく、給料未払い問題を抱えるクラブに対して、滞りなくその問題を解決することに意識を向けさせるためのものであるとした上で、給料未払い問題の速やかな解決を求めているFAMのラマリンガム事務局長自身が反論したことに驚いたとも述べています。
 さらに、給料未払い問題は全て解決済みであるとして、いわれのない抽象であるとして選手会に対して公式謝罪を求めたヌグリ・スンビランFAを統括するヌグリ・スンビラン州サッカー協会に対しては、昨シーズン中にパハンFAから期限付き移籍したブラジル人DFアレックス・モラエスの給料はパハンFAとヌグリ・スンビランFAが折半するとしたものの、両クラブとも支払い期限の今年7月31日までに給料を支払っておらず、実際に支払ったのはPFAMによる発表の2日後であったことを指摘し、マラッカ・ユナイテッドについては、MFLから補助金が支給済みにも関わらず、給料未払い状態が継続していること、ケランタンFAでは、一部の選手に対して5年間も給料未払い状態が続いていることを指摘しています。
 給料の未払い問題はプロリーグの根幹に関わる重要な問題であるにも関わらず、「無責任」「事実無根」といった厳しい言葉で反論し、選手会との断絶も示唆するような発言をしたラマリンガム事務局長に対しても失望していると、選手会のイズハムCEOは発言しています。
 この問題についてFAMのダト・ハミディン・モハマド・アミン会長も給料未払い問題が存在することは認識している一方で、給料未払い問題の影響はFAMが推し進める長期プランには影響はほとんどないだろうと、マレー語紙ブリタ・ハリアンに語り、選手会のイズハムCEOの発言は単なる人気取りが目的なのではないか語るなど、選手会側とFAMの間には認識に齟齬(そご)があることが見て取れます。

AFF U18選手権開幕
 U15選手権に続き、アセアンサッカー連盟AFF U18選手権がベトナムのホーチミンで開幕しました。東南アジア諸国連合ASEANの各国とオーストラリアの12カ国が参加するこの大会では、開催国ベトナム、マレーシア、オーストラリア、タイ、シンガポール、そして日本人の行徳浩二監督が率いるカンボジアがグループB、インドネシア、東ティモール、ラオス、ミャンマー、フィリピン、ブルネイがグループAに分かれて予選ラウンドを戦います。
 オーストラリア人のブラドレー・マローニー新監督が率いるマレーシアは、ディフェンディングチャンピオンとして大会に臨みますが、開幕戦でベトナムと対戦し、1−0で敗れています。

FAMはコーチを日本へ派遣
 英字紙スター電子版は、マレーシアサッカー協会FAMと日本サッカー協会JFAの間で今年4月に締結された基本合意書MOUに基づき、マレーシア人コーチが日本へ派遣されることになったと報じています。
 FAMの代表団は8月26日に日本へ向けて出発しますが、マレーシアサッカー指導者協会FCAMの会長で、マレーシアフットボールリーグMFL1部スランゴールFAのサティアナタン・バスカラン監督は、特に若手コーチがJFAとの協力関係をりようして様々な知識を学んで欲しいと語っています
 またこのような機会を設けたFAMに感謝の意を表すとともに、FAMの国内サッカー再生プロジェクトであるマレーシアフットボールDNAプロジェクトのためにFCAMも協会メンバーであるマレーシア人コーチを育てていきたいとしています。

8月7日のニュース:U15代表はAFF選手権準決勝進出、FAMやチームは選手会の発表に反論、デ・パウラは帰化選手として代表でプレーすることを希望

U15代表はAFF選手権準決勝進出
 タイのチョンブリで開催中のアセアンサッカー連盟AFFU15選手権で、マレーシアU15代表は、グループステージ最終戦でタイと1-1で引き分け、グループBの首位で準決勝へ進出を決めました。開幕から3試合連続の完封勝ちと好調だったマレーシアは、4試合目のラオス戦にも快勝して準決勝進出を決めるかと思いきや、80分を過ぎたアディショナルタイムに相手のオウンゴールで辛くも1-1の引き分け。しかも最終戦のタイ戦も同様にアディショナルタイムに相手のオウンゴールで2試合続けて1-1の引き分けでした。
 選手の資格問題なども含め、今大会台風の目となった東ティモールとの最終戦1-0で辛勝したベトナム(グループA2位)との準決勝に勝利すれば、もう1試合の準決勝インドネシア(グループA1位)対タイ(グループB2位)の勝者と決勝戦で対戦します。(以下はグループステージの結果-マレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

FAMやチームは選手会の発表に反論
 マレーシアフットボールリーグMFL所属の12クラブが総額およそ640万リンギ(約1億6300万円)の未払い給料を抱えていることをプロサッカー選手会PFAM(以下「選手会」)のイズハン・イスマイルCEOが行なった記者会見で明らかにしましたが、これに対して、マレーシアサッカー協会FAMや記者会見で具体的に名前を挙げらたクラブから反論が上がっていると、英字紙スター電子版が伝えています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はの発表は不正確であり、かつ職業倫理に反するものであると非難しています。ラマリンガム事務局長は反論の中で、ヌグリ・スンビランFAについては、係争中の未払い給料問題はFAM、国際サッカー連盟FIFAのいずれにも報告されていないとし、パハンFAについては同様の問題がFIFAに報告されていたもののの既に解決済みであるとしています。また、マラッカ・ユナイテッドは1件の給料未払い問題がFAMに、2件がFIFAに報告されているもののの資格委員会の最終的な判断を待っており、プルリスFAやケランタンFAは新たな経営陣が経営状況を安定させるために努力をしている状況下で、選手会による発表は問題解決の役に立たないどころか、状況を悪化させかねないと選手会を非難すらする逆ギレに近いコメントを出しています。
 さらに既に解散したクラブに関してはFAMの管轄外であると責任放棄の発言し、個々の選手に訴訟を起こすように促しています。
 また選手会に名前を挙げて非難されたヌグリ・スンビランFAのサトワント・シン事務局長は、先月末には未払い給料問題は解決したとし、選手会の発表を無責任な発表であると非難しています。
 とは言え、そもそもプロ選手に対して給料未払い問題が存在すること自体が問題であり、たかだか数週間前にやっと解決したくらいで選手会に謝罪を要求する州サッカー協会の姿勢や、そういった状態をこれまで放置してきながら、選手会との関係断絶をちらつかせるFAMの危機感のなさこそが、この問題の根源のように思えます。選手会のイズハンCEOの「選手は奴隷ではない。」という言葉の重みをどれだけのFAMやMFL、そして国内クラブの経営者が理解しているかは疑問です。

デ・パウラは帰化選手として代表でプレーすることを希望
 クアラ・ルンプール(KL)FAでプレーするブラジル出身のFWギリェルメ・デ・パウラは、マラッカ・ユナイテッドのコソボ出身MFリリドン・クラシニキとともに帰化選手としてマレーシア代表でプレーできるよう、FAMがマレーシア市民権取得申請書類を内務省に提出した最終候補です。
 マレー語紙ウトゥサン・マレーシア電子版の記事で、このデ・パウラ選手は今年9月から始まるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選までに帰化申請が完了し、代表に招集されることがあれば、最高のパフォーマンスを見せたいと語っています。母国ブラジルでは代表経験のない33歳のデ・パウラ選手は、マレーシア人となってマレーシア代表としてプレーすることができれば名誉なことだと語り、その可能性を与えてくれたFAMに感謝するとともに、代表のユニフォームを着られるように努力したいと述べています。
 今年11月31日にKLFAとの契約が切れるデ・パウロ選手について、FAMの帰化プログラム委員会のダト・モハマド・ユソフ・マハディ委員長は、デ・パウロ選手とクラシニキ選手は、まず市民権付与に値する選手であることを証明する必要があり、さらに帰化申請中のフィットネスレベルと試合でのパフォーマンスが代表招集の際の参考になるだろうと述べています。

8月5日から6日のニュース:強くてもスタジアムが埋まらないJDT、ペナンFAはスポーツ訴訟専門の弁護士に依頼してCSAへ仲裁申し立て、選手会が未払い給料問題が解決していないことを改めて発表

強くてもスタジアムが埋まらないJDT
 先週末から始まったマレーシアカップの開幕戦をホームのラーキンスタジアムで戦ったジョホール・ダルル・タクジムJDTですが、UITM FCとの試合の観衆はわずか5,860人でした。これについて主将のハリス・ハロンがJDTのFacebookにメッセージを寄せ、ファンにスタジアムに足を運んで応援して欲しい、と訴えています。
 メッセージの中でハリス選手は、2014年にJDTに移籍して以来、どこへ行ってもJDTの話題で持ちきりだったが、昨日の試合(8月3日のUITM FC戦)は、自分もチームメートも観衆が少なく悲しかったと述べています。リーグ戦6連覇を果たしたことでこれまで以上の声援をもらえるかと思ったがそうでなかったことが残念で、ファンの支持がなければチームは全力で試合に臨むことが難しいとも語っています。
 ハリス選手のポストには、900近く書き込みがあり、その中には「今年はAFCチャンピオンズリーグの試合も含めて試合が多すぎるのでファンも観戦する試合を選ぶ必要があり、マレーシアサッカーリーグMFL2部のUITM FCとの試合では多くのファンが観戦をパスしたのでは」などというコメントとともに、現在のベンジャミン・モラ監督のサッカーは魅力的でないとするコメントが目立ちます。(下はJDTのFacebookに掲載されたハリス・ハルンのポスト)

ペナンFAはスポーツ訴訟専門の弁護士に依頼してCSAへ仲裁申し立て
 今シーズン、マレーシアフットボールリーグMFL2部で3位となり、1部スーパーリーグ自動昇格の権利を得たペナンFAは、FIFAの裁定により勝点6を剥奪(はくだつ)され、その結果、順位が6位となり昇格権を失いました。ペナンFAチームを統括するペナン州サッカー協会FAPは、このFIFAの裁定に対してスポーツ仲裁裁判所CSAに仲裁申し立てを行うとして、そのためにスポーツ訴訟専門のブルガリア人弁護士ヴェッセル・ディミトロフ氏を指名したと、マレーシアの通信社ブルナマ電子版が伝えています。なお、FIFAによる裁定についてはこちらを参照して下さい。
 FAPのアマル・アブドラ会長は、ブルナマの取材に対して、来週にも必要書類をCASに提出できるよう、ディミトロフ弁護士と協議中であるとしています。また、仲裁申し立て費用が4万7000リンギ(約120万円)となる一方で、PFAの尊厳に関わる問題であるとし、CASによる精査と公平な判決を求めたいと述べています。FAPに資金援助を行っているペナン州政府のチョウ・コンヨウ州知事は、ペナンFAチームの今シーズン成績に満足しており、FAPによる仲裁申し立てを支持していると述べています。さらにFAPの新経営陣は、全経営陣の負の遺産を引き継ぎながら現場まで改善させていることを高く評価し、例え申し立てがFAPの望む結果にならずとも、今後もペナン州のために全力でプレーして欲しいと述べています。

選手会が未払い給料問題が解決していないことを改めて発表
 マレーシアプロサッカー選手会(PFAM)のイズハン・イスマイルCEOは、現時点でおよそ640万リンギ(約1億6300万円)の給料が未払いになっており、この金額も氷山の一角であるとブルナマ電子版の取材に答えています。イズハムCEOは、この状況はマレーシア国内のプロチームの運営が失敗していることを示しているとし、この状況が続けばマレーシアサッカー協会FAMが想定する「2030年までにマレーシアをアジアにおけるサッカーの上位5カ国入りする」ためのF:30プロジェクトや、MFLがアジアトップリーグとなるためのNEX 50プロジェクトの達成も難しくなるとしています。
 イズハンCEOは、この状況は将来、プロサッカー選手を目指す子どもたちの夢をくじくものだとして、責任転嫁を繰り返すことで問題解決を避けようとする各チームの姿勢を非難しています。具体的には、マレーシアフットボールリーグMFLから先月7月に支給された助成金がありながら何も行動を起こしていなチームとして具体的にマラッカ・ユナイテッド、ケランタンFA、ヌグリ・スンビランFA、パハンFAを、分割して未払い給料をしキュすると約束したもののそれが実行されていないチームとしてマレーシア国軍ATM(3部のM3所属)、PDRM FC、フェルダ・ユナイテッドを、そして現在は解散してしまったものの未払い給料があるチームとしてプルリスFA、トレンガヌ・シティFC、ハネランFA、クアンタンFA、マルセラ・ユナイテッドの名を挙げています。
 州のサッカー協会(州FA)が統括するチームに対しては、州政府が行動を起こすべきだとする一方で、解散してしまったチームからの未払い給料がある選手はいつその給料が支払われるかが全くわからない状況であるとも述べています。

マレーシアカップ グループステージ:第1節の結果まとめ

 マレーシアサッカー界2019年シーズン最後のイベント、マレーシアカップが開幕しました。11月2日(土)の決勝へ向けて、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグの今シーズン上位11チームと2部プレミアリーグの*上位5チームの計16チームが4つのグループに分かれて行うグループステージの第1節が、8月2日(金)から4日(日)にかけて開催されました。
 *MFL2部プレミアリーグで今シーズン2位となったジョホール・ダルル・タクジムIIと4位となったトレンガヌFC IIは、いずれもMFL1部スーパーリーグのJDTとトレンガヌFCのBチームであるため、マレーシアカップへの出場資格がありません。このためプレミアリーグ6位のヌグリ・スンビランFAと7位のペナンFAが両チームの代わりに繰り上がり出場します。

グループA
クダFA(1部スーパーリーグ4位)、トレンガヌFC(同7位)、PKNS FC(同9位)、ヌグリ・スンビランFA(2部プレミアリーグ6位)
(試合は左側がホーム)

ヌグリ・スンビランFA1-3クダFA
得点者:ヌグリ・スンビランFA-フェリス・ダニアル(78分)、クダFA-ジョナサン・ボーマン2(4分、83分PK)、シャキル・ハムザ(72分)
 ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

トレンガヌFC3-1PKNS FC
得点者:トレンガヌFC-サンジャル・シャアフメドフ2(6分、90分)、ナスルラ・ハニフ(38分)、PKNS FC-ジャフリ・フィルダウス・チュウ(30分)
 今季後半は完全に失速したPKNS FCは、この試合でも一旦、追いついたものの突き放されてしまい、マレーシアカップに入っても勢いを取り戻せていません。一方のトレンガヌFCは正GKのスフィアン・アブドル・ラーマンが8月1日(木)の練習中に心臓発作を発症し、欠場しています。

グループB
JDT(1部スーパーリーグ1位)、プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC(同8位)、PKNP FC(同11位)、UITM FC(2部プレミアリーグ5位)

JDT3-1UITM FC
得点者:JDT-ジオゴ2(16分、85分)、サファウィ・ラシド(65分PK)、UITM FC-ザルコ・コラチ(90分)
 MFL1部優勝チームのJDTがUITM FCをホームで一蹴しましたが、観客は5,860人と今季最小で、JDTのハリス・ハルン主将がFacebookにメッセージを出してファンにスタジアムに足を運ぶよう懇願する事態になりました。

PJシティFC2-1PKNP FC
得点者:PJシティFC-ペドロ・エンリケ(12分)、エリゼウ(82分)、PKNP FC-ペドロ・サンドヴァル(38分)
 MFL1部チーム同士の試合は、今季の順位どおりの結果でした。

グループC
パハンFA(1部スーパーリーグ2位)、ペラFA(同5位)、サバFA(2部プレミアリーグ1位)、ペナンFA(同7位)

パハンFA3-1ペナンFA
得点者:パハンFA-ディクソン・ヌワカエメ(59分)、モハマドゥ・スマレ(66分)、ムスリム・アーマド(84分)、ペナンFA-ジュリアン・ボッタロ(51分)
 今シーズン後半戦で快進撃を続けてきたペナンFAが先制しましたが、パハンFAがそこから逆転勝ち。

ペラFA3-0サバFA
得点者:ペラFA-ブレンダン・ガン(45分)、カレッカ(51分)、レアンドロ・ドス・サントス(90分)
 昨年2018年のマレーシアカップ優勝チームであるペラFAと、今シーズンのMFL2部優勝し来シーズンは1部に昇格するサバFAの対戦は、ペラFAが貫禄勝ちでした。

グループD
スランゴールFA(1部スーパーリーグ3位)、マラッカ・ユナイテッド(同6位)、フェルダ・ユナイテッド(同10位)、PDRM FC(2部プレミアリーグ3位)

スランゴールFA2−2フェルダ・ユナイテッド
得点者:スランゴールFA-シャズワン・ザイノン(34分)、イフェダヨ・オルセグン(40分)、フェルダ・ユナイテッド-クリスティ・ジャヤシレン(42分)、カイルル・アムリ(86分PK)
 第1節では、MFLで順位が上のチームが順当に勝利を収めましたが、唯一の例外がこの引き分けでした。スランゴールはMFL1部でも今季前半にフェルダUに敗戦したことで勢いに乗ることができなかったので、マレーシアカップでも今後が心配です。
 フェルダ・ユナイテッドの渡邉将基選手はベンチ入りしましたが出場せず、池田圭選手はベンチ入りしていません。

マラッカ・ユナイテッド3-1PDRM FC
得点者:マラッカ・ユナイテッド-ナズリン・ナウィ2(21分、62分)、パトリック・ライヒェルト(55分)、PDRM FC-リ・チャンホン(8分)
 MFL2部のPDRM FCが先制しましたが、MFL1部のマラッカUが逆転ガチしています。

8月3日のニュース:AFF選手権でU15代表が快進撃、FAMがFBポストについて謝罪、金メダルを獲得してOCMの期待に応えたい-U23監督

AFF選手権でU15代表が快進撃
 タイで開催中のアセアンサッカー連盟AFF U15選手権に出場中のマレーシアU15代表は、グループステージの3試合目となるオーストラリア戦に3−0と快勝し、初戦のブルネイ戦8-0)、第2戦のカンボジア戦2-0)から3連勝となりました。
 出場チーム中、ここまで唯一の無失点のマレーシア代表は勝点9となり、予選グループBのトップに躍り出ました。このグループでは同じ勝点9ながら得失差により2位のタイ、そしてオーストラリアが勝点6の3位となっています。
 AFFの公式サイトでも「サプライズ」と評されたオーストラリア戦の勝利で、マレーシアは準決勝進出に近づきました。残る試合はここまで1勝2敗と苦しむラオス戦、そしてグループステージ最終戦がタイ戦となっています。
 また予選グループAは4試合を終了し、東ティモール(3勝1分0敗)、インドネシア(3勝1分0敗、得失差により2位)、ベトナム(3勝0分1敗)という上位3チームになっています。

FAMがFBポストについて謝罪
 上記でも取り上げたU15代表のオーストラリア戦後にマレーシアサッカー協会FAMがFacebookに上げたポストに対し、多くの非難が集まったことからFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が謝罪と真意の説明を行う新たなポストを行うと同時に、問題となったポストが削除されています。
 削除されたポストでは、U15代表の快進撃を称える一方で、この成功はFAMによるマレーシアフットボールDNAプログラムによるものであるとも書かれていたため炎上してしまいました。マレーシアフットボールDNAプログラムとは、7月初旬に発表されたばかりの選手育成プログラムで、今回のU15代表の活躍の手柄をFAMが横取りしようとしていると、非難のコメントが集まっていました。
 特に今回のU15代表チームは、国家代表選手養成プログラムNFDPによって運営されているモクター・ダハリアカデミー出身の選手が大半を占めていますが、このNFDPは昨年、マレーシアで行われたAFCU16選手権ではグループリーグ敗退によって、このプログラムを統括する青年スポーツ省大臣から非難を浴び、当時のU16代表のリム・ティオンキム監督が解任されるなどの扱いを受けていたため、そういった経緯に触れずに新たなプログラムの成果を主張するポストを上げたFAMが火だるまになったわけです。なおFAMによる謝罪のポストに対するコメントの中には解任されたリム・ティオンキム前監督に感謝するコメントも多く見受けられます。

金メダルを獲得してOCMの期待に応えたい-U23監督
 今年12月にフィリピンで開催される東南アジア競技大会SEA games(シーゲームズ)は、オリンピックの東南アジア版とも言える大会で、オリンピック同様、サッカーでは各国のU23代表が出場してメダルを争います。東南アジア諸国連合ASEAN(アセアン)各国のフル代表がAFF選手権スズキカップの優勝を目指すとすれば、U23代表は2年に1度開催されるシーゲームズでの金メダル獲得が目標となります。
 このシーゲームズはオリンピックのミニ版なので、最終的な出場の判断などはマレーシアオリンピック委員会OCMが決定権を持っていますが、今年のシーゲームズでは、U23代表でもあるサッカー男子マレーシア代表は、カテゴリーAのチームとしてOCMが派遣することになったと英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。カテゴリーAとは、シーゲームズ出場費用をOCMが全額負担する待遇で、金メダルが有望な個人やチームに与えられるカテゴリーです。(ちなみにカテゴリーはCまであり、カテゴリーCになると、メダルが取れない場合にはOCMが負担した費用全額を返済しなければなりません。つまりメダルが取れないのに参加したいなら、全て自腹で行く覚悟をしろ、というカテゴリーです)
 これまでマレーシア男子サッカー代表は、カテゴリーA待遇を受けたことがなく、大会前にOCMとFAMの間でカテゴリーの決定で揉めることが何度もありました。今回のカテゴリーA待遇扱いについて、U23代表のオン・キムスイ監督は、OCMがマレーシア男子代表に金メダル獲得を期待していることを表すものなので、その期待には応えたいとしています。
 過去5大会を振り返ると過去3大会はタイが優勝(2017年、2015年、2013年)、その前の2大会はマレーシアが優勝(2009年,2011年)しています。なお前回2017年大会はマレーシアが開催国となりましたが、マレーシア代表は地元ファンの前でタイに1-0で敗れています。

8月1日から2日のニュース:FAカップ関連の話題3題、

 今日8月2日から始まるマレーシアカップ。国内が最も盛り上がるカップ戦を前に、各メディアとも話題が乏しいのか、先週末のFAカップ決勝関連の話題を今だに引っ張っています。

FAカップの関連の話題3題
1. 国内カップ戦の決勝戦を今後も外国人審判にする予定はない。
 マレー語紙ウトゥサン・マレーシア電子版によると、マレーシアサッカー協会MFL審判委員会のモハマド・ダリ・ワヒド委員長が今後も国内の試合で外国人審判を使うかどうかについては決まっていなと話しています。
 マレーシアFAカップ決勝で主審を務めた岡部拓人氏、副審を務めた八木あかね氏、野村修氏への評価は注目度の高い試合を適切にコントロールしたとして選手、ファンそしてメディアからも高く評価されており、ダリ委員長自身もそれを認める一方で、もう一つのカップ戦マレーシアカップの決勝も外国人審判に委ねるかどうかについては、審判委員会の議題に挙がっていないとし、マレーシア人審判に機会を与えたいと述べています。
 外国人審判を求める声が出たのは、実は昨年のマレーシアカップの決勝を担当したマレーシア人主審に対して現場、ファン、そしてMFLのチェアマンでもあるジョホール・ダルル・タクジムオーナーのトゥンク・マコタ・ジョホールTMJ(ジョホール皇太子)のトゥンク・イスマイル殿下からも非難が殺到したことによります。外国人審判として岡部氏が仕事を果たしただけに、今年のマレーシアカップの決勝で笛を吹く審判は、重圧がかかりそうです。

2. 評価が高かった岡部主審も過去には出場停止の経験がある。
 上でも書いたように岡部拓人氏の審判ぶりは、マレーシア国内では非常に良い評価でしたが、マレー語紙ブリタ・ハリアン電子版は「岡部氏はかつては論争の的になる審判だった」という見出しの記事を掲載しています。
 この記事の中では、岡部氏は2010年に広島対清水戦で規則適用を誤り、2試合の出場停止と研修を受けたことがある経歴や、2014年に日本サッカー協会JFAとオーストラリアのAリーグとの交流プログラムで主審を担当した試合の監督のコメント、さらに今年2019年の広島対横浜戦での疑惑の判定などをとりあげています。
 しかしこの記事はそれに止まらず、そういった技術的に劣っている部分があった岡部氏がマレーシアFAカップで評価の高い審判を行えるようになったことも取り上げ、そこにはJFAによる審判技術向上のサポートが十分にあったからだろうとしています。そしてFAMもマレーシア人審判に同様のサポートを与えていくことができれば、マレーシア人審判も岡部氏以上の審判になれるだろうととまとめています。

3. U23監督は活躍したクダFAの選手にセカンドチャンスを与えるか。
 FAカップ決勝で途中出場ながらクダFAのゴールを決めたMFファズルル・ダネル・モハマド・ニザムとMFファイアッド・ズルキフリは、東南アジア各国のU23代表同士が優勝を争う東南アジア競技大会SEA Games(シーゲームズ)への出場資格を持っていますが、U23代表のオン・キムスイ監督は、この二人も代表候補に上がる可能性があるとマレー語紙ブリタ・ハリアン電子版の取材に答えています。
 U23代表は、今年3月に行われたアジアサッカー連盟AFC U23選手権2020年大会兼東京オリンピックアジア予選では、勝点で並びながら得失差で中国に敗れ、本戦出場を逃しています。このU23代表の次の目標は、2年に一度開催されるオリンピックの東南アジア版にあたるシーゲームズでメダルを獲得することです。
 ダネル選手とファイアッド選手はいずれもAFC U23選手権予選の候補選手に名を連ねていましたが、ファイアッド選手は最終候補発表の際に落選し、ダネル選手は最終候補に入ったにも関わらず、召集日に代表合宿に無断で欠席したことで、代表から外されています。
 U23のオン監督は、状態の良い選手であればどの選手にも代表候補となる可能性があるとし、この二人のU23代表入りの可能性を示唆したということです。

7月30日から31日のニュース:マレーシアカップの日程が発表、MFL2部プレミアリーグの3チームがマレーシアカップで旋風を巻き起こすか

マレーシアカップの日程が発表
 マレーシアFAカップも終わり、2019年のマレーシアサッカー界では最後の大会となるマレーシアカップを残すのみとなりました。今年で第93回大会となるアジアで最も歴史のあるカップ戦の一つとされるマレーシアカップの予選ラウンドの日程がマレーシアフットボールリーグMFLのホームページで告知されています。。
 8月2日(金)から始まる予選ラウンドでは、MFL1部スーパーリーグの上位11チームと2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、それぞれ1部スーパーリーグ所属のジョホール・ダルル・タクジムJDTとトレンガヌFCのBチームであるJDT IIとトレンガヌFC IIは上位5位以内に入っていますが、出場できません)の計16チームが4つのグループに別れてホームアンドアウェイ形式で試合を行い、各グループの上位2チームがベスト16に進出します。
 またこのマレーシアカップに出場できないチームには、昨年2018年からチャレンジャーカップという大会が用意されており、スーパーリーグ最下位12位のクアラ・ルンプール(KL)FAとプレミアリーグのJDT II、トレンガヌFC IIと6位以下のチームが参加します。
 マレーシアカップの日程はこちら、チャレンジャーカップの日程はこちらです。

MFL2部プレミアリーグの3チームがマレーシアカップで旋風を巻き起こすか
1. PDRM FCはウレーとアグバに注目
 MFL2部プレミアリーグ最終節でペナンFAに敗れ、1部昇格を逃したかと思われたものの、FIFAによるペナンFAの勝点6剥奪(はくだつ)処分でいわば棚ぼたで昇格が転がり込んできたPDRM FC。今週から始まるマレーシアカップへ向けてリベリア人FWパトリック・ウレーとナイジェリア人FWウチェ・アグバが活躍を約束していると英字紙スター電子版が伝えています。
 マレーシア王立警察を母体とするPDRM FCは愛称コップス(Cops、ロボコップのコップ、「警官」の俗語です)と知られていますが、プレミアリーグの後半戦の好成績は1部昇格に十分値するものでした。後半戦10試合で7勝3敗の成績は、2部優勝のサバFAに続く好成績ですが、その牽引役がウレー選手とアグバ選手でした。
 シーズン前半はウレー選手はワントップのストライカーとしてプレーしましたが期待されたほどゴールは挙げられませんでしたが、今年2度目のトランスファーウィンドウ期間にアグバ選手が加入すると、二人のコンビが効果的に機能し、ウレー選手は19試合で6ゴール、アグバ選手は7試合で7ゴールと活躍し、1部昇格の立役者となっています。
 マレーシアカップでは、PDRM FCはフェルダ・ユナイテッド、マラッカ・ユナイテッド、スランゴールFAと同組ですが、ウエー選手は2016年に期限付き移籍で在籍したスランゴールFAとの対戦を楽しみだと語り、19試合で9ゴールを挙げたチームには今でも良い思い出が残っていると話しています。
 その一方で、チーム自体は初戦から厳しい試合になりそうです。初戦となるマラッカ・ユナイテッド(マラッカU)戦は、マラッカUから期限付き移籍となっているFWゴピナタン・ラマチャンドラは移籍元クラブのマラッカUとの試合には出場できない上、上記のアグバ選手の他、FWカイルル・イズアン・アブドラ、GKシャリル・サアリがが累積警告のため出場停止となっています。
 なおエラヴァラサン・エランゴワン監督は、このマレーシアカップを来シーズン昇格する1部スーパーリーグの準備と位置づけたいとしています。

MFL2部プレミアリーグの2チームがマレーシアカップで旋風を巻き起こすか
2. 失望から立ち上がったペナンFA
はジャイアントキリングを狙う
 マレーシアカップへの出場は4シーズンぶりとなるペナンFAは、同組となった1部スーパーリーグ2位のパハンFA、昨年のチャンピオンペラTBGとの対戦が、現在のチームの実力を知る良い機会になるだろうと、マンゾール・アズワラ・アブドル・ワヒドペナンFA監督が英字紙スター電子版に語っています。
 FIFAの裁定によって勝点6を剥奪され、1部スーパーリーグへの自動昇格圏を失ったペナンFAですが、リーグ戦については既に終わったこととして、現在は来年の1部昇格を目指してチームを立て直したいとしています。またマレーシアカップでは1部スーパーリーグのクラブから勝点1を奪う(つまり引き分ける)ことを目標にしながら、ジャイアンのキリングの機会を狙っていきたいともマンゾール監督は語っています。

MFL2部プレミアリーグの3チームがマレーシアカップで旋風を巻き起こすか
3. UITM FCはJDTとの対戦でプロから学びことを望む
 今シーズンの2部プレミアリーグでは台風の目となったUITM FC。シーズン中、一時はリーグ首位まで上り詰め、1部昇格まであと一歩と迫りながら、終盤は失速してわずか勝点1差で昇格を逃し、最終順位はリーグ5位でした。
 プロ選手中心のクラブを押しのけて5位に躍進したUITM FCは、チームの所属選手の90%がUITM(マラ工科大学)の学生です。イスマイル・ザカリアUITM FC監督は、チームに対して結果だけを求めることを重視せず、「楽しく」サッカーをするように選手に求めていると英字紙スター電信版に語っています。
 MFL2部プレミアリーグで今シーズン初めてプレーした選手もいたというチームは、マレーシアカップでは、ジョホール・ダルル・タクジムJDT、プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC、PKNP FCと1部スーパーリーグのチームと同組になっていますが、イスマイル監督は1部優勝チームのJDTと対戦し、UITM FCの選手たちに真のプロチームとはどういうものかを経験させたいとしています。
 UITM FCの中心となるのはモンテネグロ出身で今シーズン13ゴールを挙げているFWザルコ・コラチですが、ザカリア監督は、7ゴールを挙げながら怪我のためシーズン途中で契約解除となったロベルト・メンディを失ったことが後半戦不調の大きな要因とし、その代わりに獲得しながら期待に添うことができていないブラジル出身のMFマイコン・カリジュリがマレーシアカップでは調子を上げてくれることを望んでいると話しています。

7月29日のニュース:FAカップを終えての話題三つ

クダFA:昨年の失望から今年は頂点へ
 マレーシアFAカップ決勝で唯一のゴールを決めたクダFAのMFファズルル・ダネル・ニザムにとっては、失望に終わった昨年から一気に頂点を極めた年になったと英字紙スター電子版が報じています。
 21歳のファズルル選手は、昨年はサッカーはU23州代表同士が争うマレーシアの国体に当たるマレーシアスポーツ大会Sukma決勝でペラ州代表に敗れ、マレーシアフットボールリーグMFL1部と2部に所属するクラブのU21チームが争うプレジデントカップ決勝ではトレンガヌFCに敗れるなど、もう一歩というところで苦杯を舐めさせられていました。
 延長前半に投入され、アイディル・シャリン監督からボールを前に運んでペラTBGの中盤と守備陣にプレッシャをかけるようにという指示を受けていたというファズルル選手は、投入されるとファーストタッチが決勝ゴールとなる活躍でした。

クダFA:キャプテンと副キャプテンは同じチームで4度目のタイトル
 クダFAの主将を務めるバドロル・バクティアルと副将のカイルル・ヘルミ・ジョハリは、同一チームで4度のFAカップ優勝を経験した初の選手となりました。 

クダFA:監督就任から7ヶ月で初タイトル獲得
 シンガポール人のアイディル・シャリン監督が今年1月にクダFAにやってきたとき、主力選手のほぼ半数が退団した後でした。
 シンガポールリーグのホーム・ユナイテッドで監督を務めた後、ジョホール水道を渡ってマレーシアへやってきたアイディル監督はかつてGoal.comで「シンガポールのグアディオラ」と評されたこともあります。しかし、そんなアイディル監督も新天地でこんなに早く結果が出るとは思っていなかったと、英字紙スター電子版に語っています。
 アイディル監督自身は、チームが一丸となって戦った結果の勝利であり、選手が最後まで諦めずに戦ったおかげだとしていますが、スター紙は、アイディル監督が投入したFWアザムディン・アキルとMFファイアド・ズルキフリ・アミンが豊富な運動量で守備陣を翻弄し、上でも取り上げたファズルル・ダネル・ニザムが決勝点を挙げるなど効果的なカードを切った結果だとして、監督の手腕を評価しています。

ペラTBG:失意のGKはマレーシアカップ連覇を目指す
 勝者がいれば、当然敗者もいるわけですが、FAカップ決勝で敗れたペラTBGのGKハフィズル・ハキム・カイルル・ニザム・ジョスィは、ペラTBGのメフメト・ドゥラコビッチ監督が「マンオブザマッチ」であると称えるとも、優勝できなければそんな評価には意味がない、と英字紙スター電子版に語っています。
 ハフィズル選手は、フルタイムの終了間近にアミルル・アズハンが2枚目のイエローカードで退場となったところで、チームは集中力を欠いてしまったとし、次は昨年優勝しているマレーシアカップの連覇に目標を切り替えて、練習を開始したいとしています。