2月7日のニュース:シャミ・サファリはAFF U22選手権不参加か、プルリスFA給料未払い関連続報

シャミ・サファリはAFF U22選手権不参加か。
今月カンボジアのプノンペンで開催されるアセアンサッカー連盟AFFのU22選手権大会については、先日、最終候補合宿の開催とそのメンバー発表がありましたが、そのメンバーに選ばれているシャミ・サファリ選手について、所属先のスランゴールFAが招集に応じないことを発表しました。開幕戦のフェルダ・ユナイテッド戦では途中出場でしたが、2018年末のスズキカップ準優勝メンバーでもあるシャミ・サファリ選手はスランゴールFAでも主力選手です。この件に関してスランゴールFAのB・サティアナタン監督は「2019年シーズン開幕間もないチームにとって大事な時期に、FIFAカレンダーの中に含まれていないAFFのU22選手権のための招集には応じられない」とコメントしています。シャミ・サファリ選手以外に、2月1日に開幕したスーパーリーグあるいはプレミア・リーグの第1節に出場したのは、ムハマド・ザーリル・アズリ・ザブリ(フェルダ・ユナイテッド)、ハジック・ナズリ・ドミニク・タン・ジュンジン(以上JDT II)、ニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マット(ケランタンFA)など他にもいますので、これらの選手たちも辞退となるとU22代表の最終メンバー選考に大きな影響が出るだけでなく、このAFF U22選手権を今年3月にクアラルンプールで開催される2020年アジアサッカー連盟AFC U23選手権予選兼東京オリンピック予選への準備に使うとしているオン・キムスイU22/23監督のプランにも影響が及びそうです。オン監督は、各チームの状況を理解した上で、対話を重ねながら落とし所を見つけていくとしています。

プルリスFA給料未払い問題関連続報
何度かこのブログでも取り上げているプルリスFAの給料未払い問題。2019年シーズンよりプルリスFAに加入した元マレーシア代表DFアミリズワン・タジ・タジュディンが、契約までの経緯をメディアに語っています。ATM(マレーシア国軍チーム、かつてはスーパーリーグ所属、現在は3部FAMカップ所属)やケランタンFAでプレーした際にも給料未払い問題を経験しているアミリズワン選手は、プルリスFAのダト・アミザル・シャイフィット・アーマド・ラフィ会長から、マレーシアフットボールリーグMFLに向けて1500万マレーシアリンギ(日本円でおよそ4億円)の予算があるという話を聞いたとしています。この話を信じてプルリスFAと契約することにしたというアミリズワン選手は、1,500万マレーシアリンギは2019年のプルリスFAチームの予算だとし、2月の時点で予算を使い果たしているはずがないので、だとしたら自分は嘘をつかれたのだろうともコメントしています。
 給料未払い問題についてプロ選手協会に支援を求めたサフィー・サリと2018年はPKNS FCでプレーし、2019年からプルリスFAでプレーするシャリル・サアリは、既にケランタンFAと契約交渉のための話し合いを行ったと一部で報道されており、これを伝える記事では、2018年4月に起こったクアンタンFA選手による試合放棄(予定されていたプレミア・リーグのPDRM FCとの試合にクアンタンFAの選手が会場に現れず、試合放棄となりました。3ヶ月分の給料が未払いであることに選手が抗議しての行動で、この結果、クアンタンFAはプレミア・リーグから出場停止になりました。)のようなことが繰り返されないよう、プルリスFAに迅速に問題に対処することを求めています。とは言え、選手たちは2月7日(今日!)まではプルリスFAに時間を与えるとしていますが、それまでに回答がない場合には、最悪の事態も起こる可能性があります。
 今回のプルリスFAの給料未払い問題については、実はプレミア・リーグ昇格の時点から問題がありました。プルリスFAは、2018年シーズンは3部にあたるFAMカップでプレーしていましたが、2部プレミア・リーグで2位だったフェルクラFCがチームを解散したことでできた空白を埋める形で3部から昇格しました。当初はクチンFA、ATM、プルリスFAの3チームが昇格候補となり、MFL理事会がサポーターの支持や運営状況などを精査(!)した結果、3チームの中で最も成績が悪かったプルリスFAが選ばれました。しかもこの時点で、既に18名の選手に給料未払いがあることがわかっており、2018年12月28日から60日以内の未払い給料問題を解決するという条件付きで昇格を認められたことから、たびたび「裏口」昇格であるという批判がプルリスFAだけでなくMFL経も批判が出ていました。
 この給料未払い問題については、JDTのオーナーでもあり、MFLチェアマンでもあるTMJことジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がツイッターを更新し、MFLの多くのチームが給料未払い問題を抱えていること、そしてそういったチームには選手、スタッフに対して迅速に未払い給料の支払いを求め、それが実行されない場合には厳罰に処されることを示唆しています。また、ジョホールバルで行われたMFL各チーム代表者とのミーティングの際に、スランゴールFAから8ヶ月の猶予を提案された際には、各チームがそういった猶予が与えられていても期限を守らないこれまでの事例から、被害者となる選手やスタッフのためにそのような有用は与えられることはないと明言しています。

MFLが厳格であれば、各チームはMFLを非難し、MFLが厳格でなければ、選手やスタッフが未払い給料問題の被害者となることから、各チームは責任を持つべき、と訴えるMFLチェアマンのトゥンク・イスマイル殿下(JDTのFacebookより)


2月6日のニュース:プルリス給料未払い問題の行方

プルリスFAの給料未払い問題の続報です。
2019年シーズン開幕戦ではUKM FCに1-2と破れたプルリスFA。開幕前から給料未払い問題で揺れていましたが、結局開幕戦前には解決していなかったようです。連日の報道にプルリスFAのマンズール・アズウィラ・アブドル・ワヒド監督は、UKM FCとの開幕戦ではチーム全体が集中できていなかったことを認めています。その上でファンやメディアにはこの問題が解決できるようプルリスFAに干渉せずにいて欲しいと訴えています。現場を預かる監督の本音かも知れませんが、メディアに向けて現場の人間にこんなことを言わせてしまうプルリスFAの経営陣こそが問題の現況であることが自覚できていない気がします。

現在のプルリスFAのダト・アミザル・シャフィト・アーマド・ラフィ会長自身も給料未払い問題は解決していないことを認めた上で、近い将来の問題解決が期待できるとしています。また、ソーシャルメディア等で流布している内容とは異なり、チームは結束していることを強調し、ファンに対して問題解決の猶予を求めています。3ヶ月前に就任し、全経営陣の作った給料未払い問題を引き受ける形になった、言わば火中の栗を拾ったとも言えるダト・アミザル会長ですが、この問題が大きく報道されることにより新たなスポンサー獲得も難しくなっているとして、当初の予定が大きく狂っているとも話しています。その結果が自らが会長となった後に契約した選手に対しての給料未払い問題なのだと思います。

契約前には不安を感じながらも、34歳と若いダト・アミザル会長の熱意に押されたとしてプルリスFAと契約した元代表FWのサフィー・サリが先日、プロ選手会に今後の対応について相談したことや、ベテラン選手数名が練習に参加していないことなどネガティブな報道が続いており、このままではシーズン途中でプレミアリーグ撤退という最悪の事態も予想されます。

左からサフィー・サリー選手、ダト・アミザル プルリスFA会長、マンズール・アズウィラ プルリスFA監督

ちなみに給料未払い問題の渦中にいるプルリスFAの選手たちの内、2012年にケランタンFAがスーパーリーグ、マレーシアカップ、FAカップの三冠を達成した際のキャプテンだったピヤことモハマド・バドリ・モハマド・ラジ選手は2015、2016、そして2018年の給料もケランタンFAより未払いになっており、公表されてはいないもののその金額は20万マレーシアリンギ(日本円で540万円ほど)とされています。2019年シーズンから加わったプルリスFAでも同じような問題に悩まされるとは、泣きっ面に蜂とはこのことでしょう。このピヤ選手を含めた他の選手たちも次のプレミアリーグ戦(2月8日のUITM FC戦)の前日、2月7日までプルリスFAに時間を与えることで合意しているようですので、リーグ開幕後に撤退という事態が避けられるようプルリスFA経営陣の努力に期待したいと思います。