12月19日のニュース:撤退表明のエアアジアが一転して来季Mリーグスポンサーに、代表合宿の1月開催が決定、JDTとユニセフが子供たちの人道支援で協力、サファウィの来季JDT復帰は既定路線

撤退表明のエアアジアが一転して来季Mリーグスポンサーに
 マレーシアの通信社ブルナマは、今季限りでスポンサーから撤退することを発表していた格安航空会社のエアアジアが、一転して来季のMリーグのスポンサーとなることを発表したと報じています。
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのハミディン・アミン会長の話として伝えられており、最近、行われたエアアジアグループのトニー・フェルナンデスCEOとの会談の席上でトニーCEOから伝えられたということです。
 ハミディン会長は、MFLは来季2021年シーズンに向けてより多くのスポンサー獲得に奔走しているということで、エアアジア同様に撤退を表明したマレーシアの金融グループのCIMBグループもスポンサー復帰の可能性があると明かしています。
 エアアジアは昨季2019年と今季2020年シーズンのMリーグの公式エアラインとして、またCIMBグループは今季のMリーグ1部スーパーリーグの冠スポンサーとなっていましたが、今期終了後、いずれも契約を更新しないことを発表していました。
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 エアアジア・ジャパンは事業を廃止し、またエアアジアグループの中・長距離路線を運行しているエアアジアXは発行済み資本を99.9%減らし、減資で発生した資金を負債返済に充当することを発表するなど、新型コロナウィルスの影響を大きく受けたエアアジアのスポンサー撤退はやむを得ないのかと思いましたが、この発表は意外でした。 

代表合宿の1月開催が決定
 ブルナマは代表合宿が1月15日から26日までの日程で開催されると報じています。
 現在中断されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選件AFC選手権アジアカップ2023年大会予選が3月開催予定の中、当初は3月の大会直前とされていた日程が早まった格好です。
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はによれば、タン・チェンホー監督はこの合宿には30名程度を招集する予定で、これまで予選に出場した選手に加え、初招集となる選手も数名いるということです。
 また今後の代表の予定については、3月初旬にバーレーンとアウェイで練習試合を行った後、そのまま3月25日のアブダビでのアラブ首長国(UAE)戦に臨むとスチュアート事務局長は話しています。FIFAの公式サイトによればUAE戦の後は、3月30日のホームでのベトナム戦、そして最終戦は6月15日のアウェイでのタイ戦が組まれています。
 W杯アジア二次予選でG組のマレーシアはここまでの5試合を3勝2敗の勝点9で現在はベトナムに次ぐ2位につけています。

JDTとユニセフが子供たちの人道支援で協力
 こちらもブルナマからですが、Mリーグ1部7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTは東南アジア初のユニセフ(国連児童基金)公式パートナーとなり、子供たちの人道支援を行うことことが報じられています。
 ジョホール州皇太子でJDTのオーナーでもあるトゥンク・イスマイル殿下は今回の協力関係について、JDTブランドの国際化をさらに進めるための一環であると話しています。「子供たちのための人道支援はJDTが当初から行なっていることであり、ユニセフとの協力関係はJDTの目的とも一致している。ユニセフは200カ国以上にネットワークを持っているので、今回の協力関係を通じて、世界がJDTのことを知るようになるだろう。」
 トゥンク・イスマイル殿下はJDTが単なるサッカークラブではなく、社会に貢献する組織であると話し、1年間と発表されたパートナーシップについて、その後も延長する可能性を否定していないということです。
 またトゥンク・イスマイル殿下は来季のユニフォームの胸にユニセフのロゴが載る可能性があるとも話したということです。

サファウィの来季JDT復帰は既定路線
 ポルトガル1部のポルティモネンセSCに期限付きで移籍中のサファウィ・ラシドについて、所属先JDTのオーナーでジョホール皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、来季2021年シーズンには100%の確率でJDTに復帰すると語っています。
 マレーシア語紙ハリアン・メトロによれば、出演したテレビ番組「ボラ@ママック」の中でトゥンク・イスマイル殿下が明らかにしたもので、2月末に開幕となる2021年シーズンに間に合う様に帰国させると語ったということです。
 2018年、2019年とマレーシアサッカー協会FAMの年間最優秀選手賞を受賞している23歳のサファウイ選手は、これまでベンチ入りして入るもののリーグ戦出場はなく、U23リーグの1試合に出場したのみとなっています。
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 異国でのサッカーにも生活にも慣れてきたであろう時期の帰国をサファウィ選手自身が望んでいるかどうかはわかりませんが、今後のサッカー選手としての成長と23歳という年齢を考えるとあと数年は我慢して残してもと良いと思いますが、JDTオーナーは別の考えなのでしょう。まさか1年で目に見える結果が出ると思ってはいなかったでしょうが、マレーシアのNo.1選手の海外挑戦としては、あっけなかった印象です。

12月15日のニュース:前エリートアカデミーTDは育成チームのMリーグ2部出場に反対、スランゴールFCとトレンガヌFCの来季本拠地は未定、ケランタンUの東山新監督は来季トップ4入りを目指す

前エリートアカデミーTDは育成チームのMリーグ2部出場に反対
 国家サッカー選手養成プログラムNFDPの卒業生を中心に編成されるU20「育成チーム」が、来季のMリーグ2部に参戦することが決まりましたが、サッカー専門サイトのヴォケットFCは、このNFDPや、その中核となるエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーでかつてテクニカルディレクターを務めたリム・ティオンキム氏がこの計画について猛反対していると報じています。
 NFDPを監督するマレーシア政府青年スポーツ省参加の国家スポーツ評議会MSNとマレーシアサッカー協会が共同で運営する「育成チーム」のMリーグ2部参加について、リム氏は「才能がある若い選手の育成という観点から、FAMが下した最も愚かな決断の一つである。」と一刀両断にし、「18歳の選手がプロと対戦することでどれほど有意義な経験を積めるのか。」と疑問視しています。
 ドイツリーグでのプレー経験もあり、また元バイエルンミュンヘンのユースチームのコーチ経験もあるリム氏は「この『育成チーム』に参加する選手全員が現時点で必ずしも高いレベルにあるわけでなく、そのレベルに達していない選手には育成に適した環境が必要である。そういった選手には時間が必要で、現在の自分のレベルにあったリーグでプレーするべきであり、Mリーグ2部はそのレベルではない。」と述べています。
 「この『育成チーム』の核となるのはNFDPの卒業生のトップレベルの選手をスランゴールFCやJDTが獲得した後の残りの選手たちであることを考えると、そういった選手を2部リーグでプレーさせて不必要なプレッシャーを与えるよりは、U21チームのリーグであるプレジデントカップやU19のリーグであるユースカップでプレーさせる方が遥かに良い。確かにU21やU19のリーグ参加は「育成チーム」がプレーする環境としては理想的ではないかもしれないが、FAMはそれ以外のリーグを用意することができない現状ではやむを得ない。」
 「NFPD卒業生全員が(NFPD出身でベルギーリーグに移籍した)ルクマン・ハキムや、(同じくNFPD出身でJDTに加入した)ウマル・ハキームではないので、成長するための時間を与えてあげる必要がある。「育成チーム」内でも選手のレベルは異なるが、そのレベルの違いを理解し、選手はそれぞれにあった時間を与えて育成されるべきだが、FAMはそれがわかっていない。」
 「マレーシアの選手の問題点はプレッシャーをかけられると冷静に組織だったプレーができないと言われるが、Mリーグ2部でプレーしてもそれを学ぶことはできない。マレーシアの多くのサッカーファンは代表チームがワールドカップに出場することを夢見ているが、育成の仕組みが正しくなければ、実現は難しいだろう。」などと話しています。

スランゴールFCとトレンガヌFCの来季本拠地は未定
 英字紙ニュースストレイトタイムズは、Mリーグ1部のスランゴールFCとトレンガヌFCの来季の本拠地が未定であると報じています。
 従来の本拠地であるシャーアラムスタジアムが今後2年ほどは改修工事中で使用できないスランゴールFCは、今季は1試合をブキジャリル国立競技場で行ったものの、その他のホームゲームはスランゴール州シャーアラムにあるUITM FCの本拠地UITM FCを使用しました。
 来季はやはりスランゴール州にあるPJシティFCの本拠地MBPJスタジアムを間借りすることが発表されていますが、クアラルンプール市内のムルデカスタジアムの使用も検討しているとされています。
 スランゴールFC(当時はスランゴールFA)が最後にムルデカスタジアムを本拠地として使用したのは1994年で、翌年の1995年に新たに完成したシャーアラムスタジアムへと本拠地を移しました。
 またトレンガヌFCも本拠地のスルタン・ザイナル・アビディンスタジアムの改修工事を今季開幕前に行いましたが、現在も照明を含めた施設に問題があり、新たな本拠地を探しているということです。
 来季はAFCカップにも出場するトレンガヌFCは、早急に新たな本拠地を見つける必要がありますが、Mリーグを運営するMFLは来季開幕前に各クラブの本拠地となるスタジアムの状況を調べるために視察を行うとしてますが、現時点では、トレンガヌFCからの本拠地変更の届出は提出されていないということです。

ケランタンUの東山新監督は来季トップ4入りを目指す
 Mリーグ2部のクチンシティFC(来季から、今季まではクチンFA)の監督を辞職し、来季は同じ2部のケランタン・ユナイテッドFCの指揮を取る東山晃新監督は、来季の目標にトップ4入りを挙げています。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、この目標は今季2部で8位となったケランタン・ユナイテッドFCのパフォーマンスをもとに立てた目標だということです。
 31歳の東山監督は新たな選手の獲得も含め、経営陣と協議中ということですが、トップ4入という目標達成には現場とフロントの協力が欠かせないとも述べています。
 「他のクラブに対抗する実力があると信じているので、目標のトップ4入りにも自信がある。練習開始後は練習試合なども組み、来季開幕前までにチームを強化したい。」と話す東山監督率いる新チームは来季に向けて、今月28日に指導するということです。
 今季初めて2部に昇格したケランタン・ユナイテッドFCですが、クラブ創設3年目にもかかわらずマレーシアカップへの出場権を獲得しています。

12月14日のニュース:スランゴールFCはドイツ出身DFと契約、ペナンFCはタジキスタン出身FW獲得、サラワクUにはマットヨーと前スランゴールFC主将が加入か、クアラルンプールUのCEOにMリーグ中継のコメンテーターが就任

スランゴールFCはドイツ出身DFと契約
 Mリーグ1部のスランゴールFCは公式Facebook上で、ドイツ出身のティム・ホイバッハの加入を正式発表しています。
 32歳のホイバッハ選手は身長192cmのDFで、イスラエル1部リーグのマッカビ・ネタニヤFCからの加入となっています。2017年にマッカビ・ネタニヤFCへ移籍する前にはドイツリーグのボルシア・メンヒェングラートバッハや1.FCカイザースラウテルンのリザーブチームなどでのプレー経験もあるということです。
 2017年からプレーするマッカビ・ネタニヤFCでは過去4シーズンで82試合に出場しています。
 「アジアではこれまでプレーしたことがないが、新たな挑戦の場としたい。」と話すホイバッハ選手はに、ドイツ出身で来季からスランゴールFCの指揮を取るカルステン・ナイチェル新監督とすでにドイツ国内で面会を済ませていることも明かしています。
 「ナイチェル監督の元でプレーしたことはないが、かつては敵味方に分かれて試合をしたことはある。面会した際にはナイチェル監督の考えや自分に期待していることなどを聞くことができた。」と話すホイバッハ選手は、スランゴールFCの試合はYoutubeなどで観戦済みということで、ナイチェル新監督とともにスランゴールFCでの新たな挑戦を楽しみにしていると話しています。
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 この記事とは別に、昨年の東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場するU23代表に招集されながら、書類不備で参加できなかったアメリカ在住でアメリカ1部MLSのスポーティングカンザスシティに所属するワン・クザイン・ワン・カマルが最近、クラブから放出されており、スランゴールFCが彼を獲得するのではという噂が実しやかに流れています。

ペナンFCはタジキスタン出身FW獲得
 今季はMリーグ2部で優勝し、来季1部へ昇格するペナンFCは、公式インスタグラムでタジキスタン出身のシェリディン・ボボエフの加入を発表しています。
 21歳のボボエフ選手は182cmのセンターフォワードで、タジキスタン1部リーグで7連覇中のイスティクロル・ドゥシャンベから加入します。トランスファマルクトの記録では今季2020年シーズンは16試合に出場し、10ゴールを挙げているようです。
 ペナンFCは今季もプレーしたカサグランデ、エンドリック・サントス、ラファエル・ヴィトールのブラジルトリオは残留することが決まっている他、インドネシア1部のプルシジャ・ジャカルタよりリュウジ・ウトモが期限付き移籍で加入しており、外国籍選手のアジア枠を埋めるボボエフ選手の加入で、外国籍選手枠は全て埋まりました。
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 ペナンFCのアジア枠には日本人選手も候補に上がっているという報道もありましたが、実現しなかったようです。

サラワクUにはマットヨーと前スランゴールFC主将が加入か
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、今月いっぱいでタイ1部BGパトゥム・ユナイテッドを退団する代表FWのマットヨーことノーシャルル・イドラン・タラハと今季はスランゴールFCで主将を務めたオーストラリア出身のDFテイラー・リガンが、Mリーグ2部のサラワク・ユナイテッドFCに加入すると報じています。
 ノーシャルル選手のMリーグ復帰を明かした代理人のワン・モハマド・アンワリ氏は、サラワク州サッカー協会が運営するサラワク・ユナイテッドFCがかつての栄光を取り戻したいという目標に対し、BGパトゥム・ユナイテッドで出場機会がなかった代表FWノーシャルル選手がタイからの移籍に合意した結果であると話しています。
 またスポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、今季スランゴールFCで主将を務めたテイラー・リガンも同じサラワク・ユナイテッドFCへ加入すると報じています。
 2016年にヌグリスンビランFAでプレーした後、一旦は母国オーストラリアの1部リーグのアデレード・ユナイテッドに復帰しましたが、2019年にスランゴールFCに加入し、今季まで2年間プレーしています。
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 同じサラワク州内に拠点を持つクチンシティFCは今季2部で4位に躍進し、大きく差をつけられた格好のサラワク・ユナイテッドFCですが、この大型補強で巻き返しとなるのでしょうか。

KLユナイテッドFCのCEOにMリーグ中継のコメンテーターが就任
 今季Mリーグ2部で3位となり来季は1部に昇格するクアラルンプール・ユナイテッド(来季から、今季まではクアラルンプールFA)を運営するKLユナイテッドFC社は、新CEOとしてスタンリー・ベルナルド・ステファン・サミュエル氏の就任を発表しています。
 スタンリー氏は、現在はMリーグ中継やサッカー関連番組のコメンテーターとして知られていますが、現役晩年はクアラルンプールFAでプレーした他、インドI(アイ)リーグのスポルティング・クルーベ・デ・ゴアでプレーし、インドリーグでプレーした初めてのマレーシア人でもあります。また代表でのプレー経験もあります。

12月12日のニュース:前ケランタンFC監督の選手起用法は「育成チーム」向き、「育成チーム」にはMリーグクラブ所属選手も参加可能、選手会はMリーグ各クラブに新たな統一契約書を使用するよう忠告

前ケランタンFC監督の選手起用法は「育成チーム」向き
 マレーシアサッカー協会FAMと国家スポーツ評議会NSCによる「育成チーム」が来季のMリーグ2部に参戦すること、そしてそのチームの監督には今季ケランタンFCの監督を務めたユスリ・チェ・ラー氏が就任することは、昨日のこのブログで取り上げましたが、その詳細が明らかになってきました。
 前U23代表監督でもあるオン・キムスイFAMアシスタントテクニカルディレクター(ATD)は、若い選手により多くの機会を与えるユスリ監督の選手起用法が「育成チーム」監督招聘の理由の一つであるとしています。さらにユスリ監督の起用は暫定的措置ではなく、様々な検討の結果であると話し、現役時代は代表チームでプレーし、その後は様々なクラブでの指導経験があり、多くの若手選手を育てたユスリ監督は「育成チーム」の指導者としては適任であると述べています。
 1997年から2002年まで代表でプレーしキャップ数42のユスリ監督は、2007年の引退後は今季監督を務めたケランタンFCのほか、クアラルンプールFAなどでも監督の経験があります。
 マレーシアの通信社ブルナマは、この「育成チーム」(英語表記ではFAM-NSCプロジェクトチーム)にユスリ監督以下、アシスタントコーチにノー・ザイディ・ローマット、GKコーチにハムサニ・アフマド、コンディショニングコーチにノー・イクマル・マダルサの各氏が加わることも報じています。

育成チームにはMリーグクラブ所属選手も参加可能
 また英字紙ニューストレイトタイムズは、このチームがU20の選手およそ30名で構成されると報じ、パハン州にある国立のエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDでトライアウトを行う他、トレンガヌ州、マラッカ州、クアラルンプール、そしてクダ州でも第一次のトライアウトが行われ、最終選考は来年1月7日から9日にかけてNSCがあるクアラルンプールのブキジャリルで行われるということです。
 NFDPプログラム卒業生で、既にMリーグクラブと契約済みの選手の参加もトライアウトに参加可能ということですが、その際には所属クラブからの了承が必要となるということです。
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 Mリーグにはかつてマレーシア語名「ハリマオ・ムダ」、英語名は「ヤングタイガーズ」と呼ばれたU22代表チームがプレーしていた時期がありました。2007年からMリーグ2部プレミアリーグに参加したチームは、その後U22とU21、さらにU19の複数チームに分裂するなどした後、2015年に解散しています。その間、U23代表は2009年と2011年には東南アジア競技大会通称シーゲームズで連覇を果たし、2010年にはフル代表も東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップで優勝するなど結果を出しています。

選手会はMリーグ各クラブに新たな統一契約書を使用するよう忠告
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMはMリーグの各クラブに対し、今年11月19日より有効となった新たな統一契約書に基づいて契約を行うよう忠告しています。
 ブルナマによれば、新たな統一契約書には、契約期間中にクラブと選手の双方の利益を守るための修正事項が含まれており、その一つが2ヶ月以上給料が支払われなかった場合の契約解除の手順を定めた条項ということです。今季途中には給料未払いを理由にムハマドゥ・スマレがパハンFAを離脱するという事態が発生しましたが、この条項によって契約解除時の混乱を避けることができると、PFAMのイズハム・イスマイルCEOは述べています。
 またイズハムCEOは各クラブに対し、ケガや不調を理由に契約を解除することは出来なこと、さらに統一契約書の各項目と相反する追加条項をクラブの裁量で契約内容に付け加えることもできないことも強調しています。
 この他、選手側に対しては自身の利益保護のためにもFAMの登録済みの正規の代理人を使うべきであると述べ、その理由として不測の事態が発生した場合、FAMは正規の代理人以外とは交渉を行わないことを挙げています。


12月11日のニュース:ケランタンFC退団のニック・アキフらはトレンガヌFC加入、来季の2部リーグには国立アカデミー卒業生らの育成チームが参戦、FAMはコーチ教育部門他で新たな責任者就任を発表 

ケランタンFC退団のニック・アキフらはトレンガヌFC加入
 昨日のこのブログではMリーグ2部ケランタンFCの主力選手5名が補償不要で契約解除となったことを取り上げましたが、その内、MFニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マットとDFシャールル・ニザム・ロス・ハスニは早速、Mリーグ1部のトレンガヌFCに加入しています。
 クラブの公式Facebookで正式加入が発表された22歳のニジェイことシャールル・ニザム選手とと21歳のニック・アキフ選手はいずれも2年契約を結んだということです。
 なおトレンガヌFCは既にパハンFAを退団した22歳のFWファイザル・アブドル・ハリムとも2年契約を交わしています。
 来季のAFCカップ出場を控えながら、主将のリー・タックの他、リーグ3位の7ゴールを挙げたドミニク・ダ・シルヴァら外国籍選手5名全員と契約を更新しなかったトレンガヌFCですが、ファイザル選手を含めたU23代表トリオの加入によって、若手中心でアジアの強豪と対峙することになりそうです。
(下はトレンガヌFCに加入したU23代表トリオ-トレンガヌFCのFacebookより)

来季の2部リーグには国立アカデミー卒業生らの育成チームが参戦
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、国立サッカー選手養成プログラムNFDPの卒業生で構成される育成チームが、来季のMリーグ2部プレミアリーグに参戦することを発表しています。
 マレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会NSCと共同で運営されるこのチームには、国立エリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDを卒業した17歳の選手たちの他、各クラブのプレジデントカップチーム(U21)やユースカップチーム(U17)、さらに各州のスポーツ専門学校などから集まる30名で構成されるということです。
 来季のMリーグ2部は、同1部から降格予定だったフェルダ・ユナイテッドFCがリーグ脱退を表明し、また運営の主体であったマレーシア国立大学UKMが支援を打ち切ったUKM FCもリーグ参加が不可能となったことから、従来より2チーム少ない10チームが参加する予定でしたが、この育成チームが11番目のチームとなります。
 また監督には、今季2部のケランタンFA(今季まで、来季はケランタンFC)の監督を務めたユスリ・チェ・ラー氏が就任するということです。
 青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣は、「NFDP卒業生の将来の進路は、国内サッカーが発展していく上で非常に重要であり、能力の高い選手は早い段階でMリーグクラブが注目されるが、遅咲きの選手については、この育成チームでプレーすることで、再度Mリーグクラブが注目する機会をもうけることができるだろう。」とFAM本部で開かれた記者会見の席上で話しています。
 このチームに参加する選手はNSCの施設で練習を行い、宿泊や食事、医療面でのサポートを受ける他、金銭的な手当も支給され、さらに希望者には大学で教育を受ける機会も与えられるということです。

FAMはコーチ教育部門他で新たな責任者就任を発表 
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebook上で、技術指導部門と育成部門の新たなスタッフ3名の就任を発表しています。
 元テクニカルディレクターTDのリム・キムチョン氏が、これまでオーストラリア出身のディヴィッド・アベラ氏が務めていたFAMのコーチ教育部門の責任者に就任しています。前NFDP責任者のリム・ティオンキム氏の兄でもあるリム氏は65歳で、プロコーチングライセンスを持ち、FIFAやアジアサッカー連盟AFCのコンサルタントなども務めるコーチ教育の専門家ということです。
 この他、クアラルンプールFAやパハンFAの監督経験もあるラジプ・イスマイル氏がユース部門の責任者に就任しています。この部署は前U23代表監督のオン・キムスイ氏がFAMのアシスタントTDに就任したため、空席になっていました。
 またキャメロン・レオン・ン氏がサミュエル・シュウ氏に代わり草の根サッカー指導部門の責任者に就任しています。

12月9日のニュース:卒業生獲得のクラブから国立アカデミーへの金銭補償なし、Mリーグ自身の給料未払い問題が明るみに、ケランタンFCは主力が流出

卒業生獲得のクラブから国立エリートアカデミーへの金銭補償なし
 マレーシア語紙ブリタハリアンは「JDTやスランゴールFCは幸せ者だ」という見出しの記事を掲載しています。
 国立のエリートサッカーアカデミーであるモクタル・ダハリアカデミーAMDの第2期卒業生40名の内、主力選手12名がMリーグ1部チャンピオンのジョホール・ダルル・タジムJDTとやはり1部のスランゴールFCと契約した話は、先日このブログでも取り上げました。
 ブリタハリアンによれば、マレーシア政府青年スポーツ省とFAMが共同で運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中核となるモクタル・ダハリ・アカデミーAMDの卒業生を獲得するクラブは、AMDに対して選手獲得への金銭補償を支払う必要がないということで、同紙は国内でもトップクラスの才能がある17歳の選手をタダで入手できることから「幸せ者」という表現を使っています。
 青年スポーツ省傘下の行政組織でAMDを監督する国立スポーツ評議会NSCは、今年2020年よりAMDから選手を獲得希望するクラブに対して補償を求める予定でいましたが、かつてAMDの責任者を務め、バイエルンミュンヘンのユースチームでのコーチ経験もあるたリム・ティオンキム氏をはじめ多方面から反対意見が続出しました。具体的にはAMDでトレーニングする選手たちとNSCの間に契約関係がないことなどから、NSCが監督することをのみ根拠としてAMD卒業選手の「価格」をNSCが設定することの正当性が問われた結果、この補償を求める計画が頓挫した経緯があります。

Mリーグ自身の給料未払い問題が明るみに
 今季のMリーグは第4節以降は全試合が無観客試合となりましたが、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、Mリーグ1部の全試合でテレビ中継すると同時にYoutubeの公式チャンネルを通じて無料でストリーム配信も行い、国内の多くのサッカーファンがその恩恵を受けることができました。
 中継された試合はいずれもマレーシア語あるいは英語による実況解説を行うコメンテーターが配置されていましたが、このコメンテーターに対しMFLが給料を支払っていないことが明らかになりました。
 英字紙ニューストレイトタイムズは9名のコメンテーターが昨年からすでに給料を全額支払われておらず、今年に至っては全く給料を受け取っていないと報じています。
 今季中継されたのはMリーグ1部の121試合と1回戦終了後に中止が決まったマレーシアカップの7試合の合計128試合ということです。
 Mリーグ中継のコメンテーターには1試合あたり550リンギから800リンギ(およそ1万4000円から2万500円)が払われるということですが、MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは昨年は一部のみが支払われ、今年は給料が未払いとなっていることを認めた上で、現在は未払い分の支払いを行う準備を進めているとしています。

ケランタンFCは主力が流出
 Mリーグ2部のケランタンFC(来季より、今季まではケランタンFA)の主力選手が流出です。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、ケランタンFCは各選手に補償不要となる契約破棄用の書式を配布し、希望する選手が自由に契約を破棄できるようにした結果、MFニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マット、FWナズリン・ナウィ、DFシャールル・ニザム・ロス・ハスニ、そしてMFダニアル・アシュラフ・アブドラの5選手がこれを提出して、退団したということです。
 今回退団した選手は、今季やはり退団したユスリ・チェ・ラー監督の不在がこの5選手が退団を選んだ大きな理由であるとスタジアムアストロは報じています。
 ナズリン選手は「新たに提示された契約内容はこれまでのものとは大きく異なっており、その内容に同意できないので放出を希望した。」と語り、新オーナーの元、クラブの目指す方向が明らかでないことを退団の理由に挙げています。
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 退団した5選手の中でも21歳のニック・アキフの補償なし放出には正直驚きました。地元ケランタン州出身でU19、U23と年代別代表でもプレーし、今季も全試合に出場、ケランタンFCでは将来が期待されている選手の一人だと思っていましたが、それをこうも簡単に放出するとは…。
 以前このブログでも100万リンギ(およそ2520万円)の契約解除違約金がニック・アキフに設定されていることを紹介しましたが、それが無くなればMリーグの多くのクラブが獲得に動くことは明らかですが、現在はMリーグ1部のトレンガヌFCとの契約が間近という噂です。

12月8日のニュース:ケランタンUに東山監督就任-谷川選手も加入、クチンシティFCは来季の外国籍枠4名が決定、スランゴールFCがシャーレル・フィクリの加入を発表、スズキカップが2021年12月に順延

ケランタンUに東山監督就任-谷川選手も加入
 マレーシアの通信社ブルナマは「ケランタン・ユナイテッドFCは日本から来た若い監督に期待」という見出しで東山晃監督の就任を伝えています。
 今季Mリーグ2部プレミアリーグに昇格し、後半失速して4勝0分け7敗の8位となったケランタン・ユナイテッドFCに、同じ今季昇格組ながらMリーグ2部で4位となったライバルのクチンシティFC(来季から、今季までの名称はクチンFA)で監督を務めた東山晃氏と、同じく今季はクチンシティFCでプレーしたDF谷川由来選手が加入しています。
 ケランタン・ユナイテッドFCのチェ・アブドラ・マット・ナウィ会長は新監督就任記者会見の席上で、31歳の東山監督と1年契約を結んだ理由として今季のクチンFAの躍進を挙げています。
 「東山監督は確かに若いが、クチンFAに劇的な変化をもたらし、チームは素晴らしいパフォーマンスを見せた。特に全権を与えられた今季の最終戦ではクチンFAを勝利に導いただけでなく、クラブ史上初となるマレーシアカップの出場権まで獲得した。」とその手腕に期待を示しています。
 日本人は仕事熱心で真面目で信頼できるという点も東山監督獲得の理由と述べるチェ・アブドラ会長は、アセアン東南アジア枠を含め残る3つの外国籍選手枠についても東山監督と相談しながら獲得するとし、新チームは12月21日から練習開始の予定であると話しています。
 また同じ席上では、今季クチンFAでMリーグデビューというかプロデビューを果たしたDF谷川由来選手の入団も併せて発表されており、来季はDFではなくMFとして起用されることを報じるメディアもあります。
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 2019年シーズンは共にMリーグ3部のM3リーグに所属し、26試合で21勝3分2敗、しかも2位のクチンFAに勝点差7をつけて2部に昇格したケランタン・ユナイテッドFCと、2部最下位のサラワクFA(現在のサラワク・ユナイテッドFC)とのプレーオフに僅差で勝利し、昇格を勝ち取ったクチンFAという力関係がいつの間にか逆転した格好です。ケランタン・ユナイテッドFCは新型コロナウィルスによって中断されたリーグが再開した8月以降は1勝6敗となり監督交代劇などもありましたが、一方のクチンFAは同じ時期に5勝2敗、特にリーグ最終戦まで5連勝で今季を終えています。

東山監督退任のクチンシティFCは来季の外国籍枠4名が決定
 マレーシア語紙スアラサラワク電子版は上で取り上げた東山氏が退任したMリーグ2部のクチンシティFCは外国籍枠4名が決定したと報じています。
 来季は3シーズン目となる日本人MF鈴木雄太選手に加え、今季2020年シーズンも在籍したFWハドソン・ディアス(ブラジル)とFWブライアン・ジョーンズ(ブラジル)に加え、谷川由来選手の退団によって空いた外国籍枠には今季開幕直後に深刻な右膝のケガで契約解除となったFWレオナルド・アルヴェス(ブラジル)がクラブに復帰するということです。
 クチンシティFCのファズルディン・アブドラ・ラーマン会長はアルヴェス選手の復帰により攻撃陣の強化ができたと話し、さらにマレー半島部からマレーシア人FWの獲得を行うかどうかは、新たに就任した前トレンガヌFC監督のイルファン・バクティ監督次第であると話しています。

スランゴールFCがシャーレル・フィクリの加入を発表
 スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会(スランゴール州FA)は、今季のMリーグ1部でマレーシア人選手として最多ゴールを挙げたシャーレル・フィクリの加入を発表しています。
 今季はペラTBGでプレーしたシャーレル選手は出場した10試合で合計10ゴールを挙げており、シャーレル選手の加入により、スランゴールFCは今季12ゴールを挙げリーグ得点王となったイフェダヨ・オルセグン、Mリーグ2部でマレーシア人選手として最多の7ゴールを挙げたダニアル・アサリ(スランゴール2)と、来季は3名の「得点王」が揃うことになります。
 「エキィ」の愛称で知られる27歳のシャーレル選手は昨季、ペラTBGからスランゴールFCに移籍したブレンダン・ガンやノー・ハキム・ハサンに加わることになります。
 シャーレル選手はペラTBGのサポーターや関係者に感謝の気持ちを表した後、スランゴールFCに加入できることにワクワクしており、スランゴールFCのサポーターに対しては自分を暖かく迎えて欲しい、というメッセージを挙げています。

スズキカップが来年2021年12月に順延
 アセアン東南アジアサッカー連盟AFFは、公式サイト上でAFF選手権スズキカップが来年2021年12月に順延となったことを発表しています。
 AFFは今回の順延について、関係者の健康と安全を考慮した上で、各国サッカー協会や選手、スポンサー、サッカーファンになどに対して確実に大会を開催できる時期を選んだ結果であるとしています。
 当初の予定はちょうど今頃、大会が行われている最中でしたが、新型コロナウィルスにより来年4月から5月にかけての開催へと順延となっており、今回で2度目の開催時期変更となりました。
 AFFのKhiev Sameth会長は、延期となった試合で混雑する日程となる2021年のサッカー界のカレンダーを考えると、12月開催が望ましいとして、新たな日程は12月5日に開幕し、2022年1月1日に決勝が予定されている他、当初は短縮した日程で行われる予定だった大会を、従来通りにグループステージからホームアンドアウェイ形式で開催することなどを発表しています。

12月5日のニュース:ペナンFCにトマス・トルチャ新監督就任、代表の新ユニフォーム発表、マラッカ・ユナイテッドFCはザイナル監督続投も元代表主将とは契約せず、パハン州FAにまた給料未払い問題か

ペナンFCはトマス・トルチャ新監督の就任を発表
 今季Mリーグ2部で優勝し、来季は1部へ昇格するペナンFC(来季から、今季まではペナンFA)は、公式Facebook上でチェコ出身のトマス・トルチャ新監督就任を報じています。
 なおトルチャ監督就任に伴い、今季のチームを率いたマンズール・アズウィラ監督はチームに残り、アシスタントヘッドコーチに就任するということです。
 マンズール監督は、マレーシアサッカー協会がMリーグ1部の監督就任の条件としているAFCプロディプロマを保持していないことから、ペナンFCはFAMに対し、新型コロナウィルスによるAFCディプロマ取得コースが延期となったことを理由に特例を求めていましたが、FAMはこれを却下したという経緯があります。
 49歳のトルチャ監督は、25歳から指導者の道を歩み始め、ヨーロッパやアフリカのクラブでの指導経験がある他、チェコU16代表のアシスタントコーチを務めた経験もあるということです。
 ペナンFCの公式Facebookでは「トルチャ新監督とマンズールコーチのコンビはチームや来季の試合に良い効果を生み出すと信じている。」という声明を発表しています。
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 昨日のこのブログでも紹介しましたが、インドネシア1部のプルシジャ・ジャカルタからリュウジ・ウトモを期限付き移籍で獲得するなど、来季は4年ぶりとなる1部リーグへ向けて着々と準備を進めています。残るアジア枠の外国籍選手候補には、今季PDRM FCでプレーしたトルクメニスタン出身のDFセルダール・ゲルディエフの名前の他、日本人選手の可能性なども噂されています。

代表の新ユニフォーム発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトと公式Facebook上で、2020年から2022年まで着用する新たな代表のユニフォームを発表しています。
 今回のデザインの特徴は、2007年にナイキ社製を採用以来、ホーム用ユニが初の襟(えり)付きとなっていること(アウェイ用は2014年に襟付きモデルがありました)、そしてアウェイ用についてはここ数年の定番だった国旗を模した赤、白、青の組み合わせからホーム用で伝統的に使われてきた黄色と黒の組み合わせが使われており、チームの愛称「マラヤの虎」をより強調したものになっている点です。
 新型コロナウィルスの新規感染者が連日1000人前後となっているマレーシアは、州を跨いだ移動などを制限する条件付き活動制限令CMCOがクアラルンプールやスランゴールなどの首都圏を含め国内の多くの地域で施行されていることから、今回の新ユニフォーム発表はオンラインで行われています。
 この新しいユニフォームに袖を通したアイディル・ザフアンは「ホーム用とアウェイ用の両方に黄色と黒色が使われているのが今回の特徴で、試合でこれを着ることでこれまでよりも「マラヤの虎」のイメージを持てる。」と話し「我々選手の役目は、このユニフォームを着た『マラヤの虎』がより獰猛に見えるようにプレーすることである。」とも述べています。
 この新しいユニフォームは今月12月11日よりホーム用、アウェイ用とも299リンギ(およそ7660円)でナイキ社の店舗や同社のオンラインストアなどで販売されるということです。
 写真下は、左から代表ユニフォームを着る左からラヴェル・コービン=オング、シャミ・サファリ、ノー・アザム・アジー、アイディル・ザフアン、ファリザル・マーリアス、タン・チェンホー監督、シャフィク・アフマド、シャーレル・フィクリ、ブレンダン・ガン、シャルル・サアド、シャマー・クティ・アッバの各選手(FAMのFacebookより)

マラッカ・ユナイテッドFCはザイナル監督続投も元代表主将とは契約せず
 昨日、このブログで取り上げたMリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドFCの監督問題が決着したようです。
 マラッカ・ユナイテッドFCを運営するマラッカ州サッカー協会(マラッカ州FA)は、公式Facebook上でザイナル監督の来季の続投を発表しています。なおザイナル監督は来季でマラッカ・ユナイテッド監督3年目となります。
 またマレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、来季に向けてマラッカ・ユナイテッドFCは今季のチームのメンバーのおよそ4割程度と契約を更新した一方、かつては代表の主将も務めたMFサフィク・ラヒムは契約を更新しなかったということです。33歳のサフィク選手は今季は7試合の先発を含む9試合に出場していました。

パハン州FAにまた給料未払い問題か
 今季途中でパハン州サッカー協会(パハン州FA)が運営するMリーグ1部のパハンFAを離れ、タイ1部のポリス・テロFCに移籍したモハマドゥ・スマレは給料未払いを理由にしていましたが、スマレ選手に続いて新たに給料未払いを訴えている選手がいるとブリタハリアンが報じています。
 今季パハンFAでプレーしたイヴァン・カルロスは、パハン州FAによる未払い給料があるとして、契約通りの給料支払いを求めているとしています。
 自身のソーシャルメディア上でこの訴えを行なったカルロス選手は、「パハン州FAは契約した選手に対して給料を支払うことを忘れないで欲しい。今季は終了したが、給料が未払いになっている。サポーターもこのクラブで実際に何が起こったかは知らないだろう。」と意味深なメッセージを投稿しているということです。

12月4日のニュース:ペナンFCはアセアン枠にリュウジ・ウトモを獲得、マラッカUはザイナル監督続投か、ケランタンUは日本人選手を複数名獲得へ

ペナンFCはアセアン枠にリュウジ・ウトモを獲得
 今季はMリーグ2部で優勝し、2017年シーズン以来4季ぶりの1部昇格を果たしたペナンFC(来季から、今季まではペナンFA)は、アセアン東南アジア枠外国籍選手として、インドネシア1部リーグのプルシジャ・ジャカルタからDFリュウジ・ウトモを獲得したと英字紙スター電子版が報じています。
 日本人の母親とインドネシア人の父親を持つリュウジ選手は、アル・ナジマSC(バーレーン)やPTTラヨーンFC(タイ)などでもプレー経験があり、185cmの身長を生かしたDFで、ペナンFCへは1年間の期限付き移籍での加入ということです。
 ペナンFCは、今季は11試合で24ゴールを挙げた攻撃陣の主力でリーグ得点王FWカサグランデや同2位のFWエンドリック、さらにリーグ最小失点のチームを支えた190cm越えのDFラファエル・ヴィクトーのブラジルトリオの残留の可能性が濃厚なことから、リュウジ選手に加え、MFリ・チャンフン(韓国)の退団で空いたアジア枠でもう一人の外国籍選手獲得を目指すことになりそうです。ちなみにこのアジア枠にはレバノン代表FWモハマド・ジャラル・カドフの名前が挙がっています。
 ペナンFCについてはこの他、Mリーグ1部で監督を務める際に必要なAFCプロディプロマを保持していないマンズール・アズウィラ監督に代わる新監督を国外から招聘する予定であるとペナンFCのアマル・プリトパル・アブドラ会長が明かしています。
(以下はインドネシア国内のKompasTVで紹介されたリュウジ選手のペナンFC移籍のニュース映像です。)

マラッカ・ユナイテッドFCはザイナル監督続投か
 マラッカ州サッカー協会(マラッカ州FA)は、運営するMリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドFCのザイナル・アビディン・ハサン監督から来季も監督続投の意思があるかどうかの返事を待っている状況であると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 マラッカ州FAは当初は、来季の監督として韓国出身のイ・ウリョン氏の採用を画策していたとされますが、その後、経営上の理由から方針を変更して、マレーシア人を対象に監督候補を絞り込みました。しかし候補となっていた今季Mリーグ1部のPJシティFC監督を務めたデヴァン・クップサミーはヌグリスンビランFAの監督に就任が決まったことから、ここでまた方向転換し、過去2季に渡りマラッカ・ユナイテッドFCを率いたザイナル監督に続投の意思があるかどうかを問うているということです。
 マラッカ州FAのモハマド・サイフル・マット・サプリ名誉財務部長は「ザイナル監督には、マラッカ州FAが設けた予算の範囲内での来季のチームと練習に関する計画書の提出を求めている。もし来季続投となっても1年契約となる。」と話しています。
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 昨季は6位、今季は9位という成績のマラッカ・ユナイテッドFCですが、昨季、今季ともシーズン中に給料未払いが発覚し、昨季はマレーシアカップ開催期間中に当時、主将を務めていたシュコル・アダン(現クアラルンプールFA)が試合出場を拒否してチームを離脱、また今季は未払い給料を理由に勝点3を剥奪されています。
 今季は勝点を剥奪されていなければ、単純計算では順位は7位タイまで上昇します。しかも他のクラブの中にも同様の問題を抱えながら、マラッカ・ユナイテッドFCは勝点剥奪処分を受けるほど長期に渡って給料未払いが続いていたことも明らかになっていますので、それがなければもっと上位となった可能性すらあります。

ケランタンUは日本人選手を複数名獲得へ
 今季Mリーグ2部で8位に終わったケランタン・ユナイテッドFCの公式Facebook上で、来季はチームに日本人選手が2名加入することを発表しています。
 ケランタン・ユナイテッドFCのチェ・アブドラ・マット・ナウィ会長は、ヤクルトマレーシア社とのパートナーシップ及びスポンサーシップにより、一人はJリーグでもプレー経験のある「レジェンド」、もう一人はMリーグの複数のクラブでのプレー経験がある選手ということです。
 チェ・アブドラ会長はヤクルトマレーシア社への感謝の言葉とともに、この関係が長く続くことを望んでいると話しています。「今回の協力関係はケランタン・ユナイテッドFCが成功する潜在的能力を秘めていることの証明でもあり、ヤクルトマレーシア社とともにマレーシアサッカーの発展と、特にケランタン州のサッカーの発展を成し遂げる夢を追い続けたい。」と述べています。
 またヤクルトマレーシア社以外にも、別の日本企業とも戦略的パートナーシップを結び、日本のスポーツにおける先端技術を取り込みたいとも話していますが、詳細についてはまた後日に明らかになるとしています。
(以下はケランタン・ユナイテッドFCの公式発表ととともにFacebookに掲載された写真です。)

12月2日のニュース:クチンシティFCにイルファン新監督就任、ヌグリスンビランFAは前PJシティ監督のデヴァン氏が新監督就任、ラジャゴパル元代表監督がブルネイ代表監督に就任、AFCカップのグループステージは集中開催方式に変更

クチンシティFCにイルファン新監督就任
 3昇格後初のMリーグ2部で今季は4位と検討したクチンシティFC(来季より、今季はクチンFA)は前トレンガヌFC監督のイルファン・バクティ・アブ・サリム新監督の就任を発表しています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によれば、クチンシティFCのファズルディン・アブドル・ラーマン会長は、クラブからの契約延長オファーを断って辞任した東山晃監督に代わって就任するイルファン新監督にはその豊富な経験でクラブにより良い成績をもたらしてくれることを期待していると話しています。
 さらにファズルディン会長はワン・ジャマク・ワン・ハサン元代表監督をテクニカルディレクターTCとして招聘する予定も明らかにしています。
 「ワン・ジャマク氏には自身の経験と専門性をクチンシティFCだけでなくサラワク州全体のサッカー発展のために活用してもらいたい。またワン・ジャマク氏はコーチライセンス取得のためのコースを開催する指導者資格も保持しているので、マレーシアサッカー協会FAMと協力しながら、サラワク州内でコーチライセンス取得のためのコースを開催したい。」とも話し、サラワク州内の指導者のコース受講が簡単になるようにしたいとファズルディン会長は話しています。

ヌグリスンビランFAは前PJシティ監督のデヴァン氏が新監督就任
 今季Mリーグ2部で11位と低迷したヌグリスンビランFAは、今季Mリーグ1部PJシティFCの監督を務めたディヴァン・クップサミー氏の監督就任を発表しています。
 ヌグリスンビラン州出身で、現役時代もヌグリスンビランFAでプレーしたデヴァン氏は、これまで2003年から2006年、そして2015年シーズンもヌグリスンビランFAで監督を務めており、今回は3度目の監督就任となります。
 ブリタハリアンとのインタビューで、ヌグリスンビランサッカー協会PBNSの会長でもあるヌグリスンビラン王族のラズマン・アル・カドリ殿下は、地元出身でもあり、これまのヌグリスンビランFAを指導した監督の中で最も多くのトロフィーを獲得していること、さらに今季は1部でPJシティFCを7位の成績に導いたことなどがデヴァン監督採用の理由であると明かしています。その上で、2022年シーズンにはヌグリスンビランFAが1部でプレーできるよう、PBNSはデヴァン監督に来季2021年シーズンでの1部昇格を求めていると話しています。
 なおデヴァン監督はかつてヌグリスンビランFAで監督を務めた際には、2003年にFAカップ優勝を、2005-2006年シーズン(このシーズンは2005年12月開幕、2006年5月閉幕)には1部スーパーリーグ優勝を果たしています。

ラジャゴバル元代表監督がブルネイ代表監督に就任
 ブルネイサッカー協会NFABDが元マレーシア代表監督のラジャゴバル・クリシュナサミ氏のブルネイ代表監督就任を発表したとブリタハリアンが報じています。
 NFABDのマトゥシン会長は、公募した代表監督職にはドイツやセルビアなどからも応募があったと話し、ラジャゴパル監督採用までには様々な議論が行われたとしています。その上で、2009年の東南アジア大会優勝や2010年の東南アジア選手権スズキカップ優勝などの実績に加え、ラジャゴバル氏がかつてブルネイも参加してたマレーシア国内リーグでのクラブ監督の経験もあることから、ブルネイの選手の状況も理解しており、代表チーム強化にはその理解も利点となるとなると判断したということです。なおラジャゴバル監督との契約期間は2年間ということです。

AFCカップのグループステージは集中開催方式に変更
 来年2021年のアジアサッカー連盟AFCカップでは、これまでのホームアンドアウェイ方式で開催されていたグループステージが集中開催方式へと変更されると、ブリタハリアンが報じています。
 この結果、来年5月から6月かけての開催が予定されているアセアン東南アジアゾーンのグループステージでは、各チームが7日間で3試合を行うことになるということです。
 AFCのウィンザー・ポール事務局長は、グループステージの開催地についてはまだ決まっていないと話している他、AFCチャンピオンズリーグについての変更については、まだ何も決まっていないと話すにとどまっています。
 2021年のAFCカップはマレーシアからは今季2位のクダFAと3位のトレンガヌFCの本戦出場が決まっています。