6月21日のニュース:FAMはアジアカップ3次予選抽選前に国際Aマッチを検討、元代表監督がW杯予選の結果と今後の代表の計画について発言、AFC事務局長はAFCカップ中止は最後の選択肢と話すも今週中には何らかの発表か

FAMはアジアカップ3次予選抽選前に国際Aマッチを検討
 先日のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選では、ワールドカップアジア3次予選出場はならなかったものの、アジアカップ3次予選出場権を得たマレーシア。アジアカップ3次予選の組み合わせ抽選は今年2021年10月に予定されていますが、マレーシアのFIFAランキングを上げて「より良い組み合わせ」が得られるよう、マレーシアサッカー協会FAMはこの組み合わせ抽選前に国際Aマッチを複数行う予定があると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 当初は今年12月5日から始まる東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップを利用してFIFAランキングを上げようとしていましたが、アジアカップ3次予選の組み合わせ抽選が10月となったことで、この計画の変更を迫られていました。
 2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組で3位となったマレーシアですが、最新のFIFAランキングでは153位で、このFIFAランキングを元に行われる組み合わせ抽選ではイエメン(同145位)、クウェート(同148位)、アフガニスタン(同149位)、モルディブ(同155位)、シンガポール(同159位)とともにポット3に回ることが濃厚です。一方、ポット2に回る可能性があるのはタイ(同106位)、タジキスタン(同121位)、フィリピン(125位)、トルクメニスタン(同130位)、ミャンマー(同130位)、香港(同144位)の6カ国で、マレーシアがこのポット2に回るためには、この6か国中最下位ランクの香港との差(ランキング9位、ポイントで言えば32.02ポイント)を詰める必要があります。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、新型コロナ禍の中、8月30日から9月7日、そして10月4日から12日までとなっているFIFA国際マッチデー期間の練習試合開催は容易ではないとした上で、他国のサッカー協会と連絡を取りながら、タン・チェンホー代表監督から出ている練習試合4試合のマッチメイクを行いたいと話しています。
 来年2022年2月に予定されているアジアカップ3次予選では、参加24カ国が6組に分かれて戦い、各組の1位に加えて、各組2位の内上位5チームが、2023年に中国で開催される本戦出場権を獲得します。

元代表監督がW杯予選の結果と今後の代表の計画について発言
 Mリーグ2部サラワク・ユナイテッドFCのB・サティアナタン テクニカルディレクターTDは、予選G組で3位となったFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選について、英字紙ニューストレイトタイムズに感想を述べています。
 今回の予選では3位となり、W杯3次予選出場を逃した代表チームについて、マレーシアサッカー協会FAMは、タン・チェンホー監督とユソフ・マハディ代表チームマネージャーによる総括を元に、練習試合のマッチメイクや新たな代表候補選手招集などを行うことになるだろうと述べています。また、上の記事でも取り上げたFIFAランキングを上げるための国際Aマッチ開催もそのうちの選択肢となりうると述べる一方で、国際Aマッチはアジアカップ3次予選に向けてチーム強化を目的とすることが最優先であるべきで、FIFAランキングを上げることだけを目的としたマッチメイクはするべきではないとも話してています。
 「監督の立場なら、(強い相手と試合した結果)負け続けるチームを改善するよりも、選手をに様々な戦術や戦略を試させる場が必要になる。ランキングを上げるためにランキング上位のチームと4試合全てを戦って負ければ、選手のモチベーションにも影響し、重要な大会前のチームの仕上げ方としては良い方法とは言えない。」と話しています。
 またサティアナタンTDは、Mリーグ1部JDTのオーナーであるトゥンク・イスマイル ジョホール州皇太子がFAMに対して行った、自身を代表チームのチームマネージャーにするべきという提案に対して、イスマイル殿下は思いつきだけで発言したのではないだろうとし、JDTでの成功例を見てもわかるように、チームマネージャーとしては適任の人物の一人であると述べる一方で、最終的にはFAMが判断するべきだとしています。

AFC事務局長はAFCカップ中止は最後の選択肢と話すも今週中には何らかの発表か
 昨季2020年シーズンの優勝チームとしてJDTが出場するアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ予選G組は明日6月22日よりタイのバンコクで始まり、JDTは初戦で名古屋グランパスと対戦します。
 一方、昨季2位のクダ・ダルル・アマンFCと3位のトレンガヌFCが出場予定のAFCカップのアセアン(東南アジア)地区は、集中開催地のシンガポールが新型コロナウィルスの感染状況悪化を理由に開催を辞退して以降、新たな開催地は決まっておらず、開催そのものが危うくなっています。
 これについてAFCのウインザー・ポール事務局長は、今季のAFCカップのアセアン地区開催を諦めていないと話す一方で、最終的な決定は今週中にも発表されるだろうと話しています。
 クダとトレンガヌが所属する予選H組とI組は当初はいずれもシンガポールでの集中開催となることが発表されていましたが、シンガポールの開催辞退表明後は、大会に出場するクラブが所属する東南アジア各国のサッカー協会、またそれ以外の中立国のサッカー協会ともに開催に名乗りをあげる国が現れていません。この2組に残るG組を加えたアセアン地区予選3組全てで現在も開催地は決まっておらず、これについてAFCのウインザー・ジョン事務局長はAFCカップアセアン地区の今季中止はあくまでも最後の選択肢だと述べる一方で、運営委員会には今週中に最終決定を行うよう依頼したことを明らかにしています。
(6/21-一部記事を修正しました。)

6月19日のニュース:FAM会長-JDTオーナーによる自身の代表チームマネージャー就任提案は慎重に検討、サファウィ・ラシドがタイ戦ゴール後のパフォーマンスについて謝罪、JDTがACL登録メンバーを発表

FAM会長-JDTオーナーによる自身の代表チームマネージャー就任提案は慎重に検討
 Mリーグ1部JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が自身をマレーシア代表チームのマネージャーとするよう提案した件について、マレーシアサッカー協会FAMが正式に声明を発表しタコとを、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 FAMのハミディン・アミン会長は前FAM会長でもあるイスマイル殿下の提案については、FAMの内規に沿って検討したいという声明を発表しています。イスマイル殿下は代表チームに最善の練習環境と最善のコーチングスタッフをできるとして、自身を代表チームのマネージャーにするよう、ハミディンFAM会長に宛てたメッセージを6月14日に自身のインスタグラムに投稿しています。
 またハミディン会長は、今回のW杯予選で不振を極め各方面から批判的な意見が出ている帰化選手について、FAM内の帰化選手プログラム委員会、技術委員会、そしてテクニカルディレクターのオン・キムスイ氏の間で帰化選手プログラムの効果についての検証を行うよう、事務局長に指示を出したことも明らかにしています。
 ハミディン会長はこの他、代表チーム運営委員会に今回のW杯予選に関する最終報告書と既に出場が決定しているAFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選への準備計画が提出されるのを待って、その詳細をFAMの理事会で検討する予定であると述べています。

サファウィ・ラシドがタイ戦ゴール後のパフォーマンスについて謝罪
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ20223年大会予選G組最終戦となったタイ戦で決勝ゴールを決めたサファウィ・ラシド(JDT)が得点後のパフォーマンスついて謝罪していると、ブルナマが報じています。
 タイを破り予選G組でマレーシアの3位とアジアカップ3次予選進出を確定させたこのゴールの後、サファウィ選手はやはりこの予選でゴールを決めていたギリェルメ・デ・パウラと喜びを爆発させた後、キーボードを打つようなジェスチャーの後に口に人差し指を当てて黙るようなポーズをスタンドに向かってしていました。
 予選通算3得点を挙げたサファウィ選手ですが、アラブ首長国連邦でのW杯予選では不調を極めたことから、一部ファンからはこのパフォーマンスについて「やり過ぎ」という声が上がっていました。
 サファウィ選手は自身のゴールパフォーマンスを不快に思ったサポーター対して、同じようなことは2度と繰り返さないようにすると謝罪しています。
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 今回のW杯アジア2次予選中、この試合で初めて先発を外れたサファウィ選手は、デ・パウラ選手とともに主力選手として期待されていた分だけ、その期待以下のプレーによって他の選手以上に連日、激しい批判にさらされていました。そんなストレスがかかる中でのこの試合でのゴールは喜びも大きかったと思いますし、ゴールパフォーマンスも個人的には理解できます。時には理不尽とも言えるような批判を受けてもで常に結果を出すことがサファウィ選手には求められていくと思いますが、それに応えていけるようになれば名実ともに代表のエースとなれると思います。

JDTがACL登録メンバーを発表
 6月22日からタイのバンコクで開催されるAFCチャンピオンズリーグ予選に出場するMリーグ1部JDTが登録メンバー30名を公式Facebookで発表しています。
 Mリーグ1部は5名の外国籍選手(内1名はAFC枠、1名はアセアン東南アジア枠)が登録可能ですが、ACLでは外国籍選手の登録は4名であることから、守備を強化するためにFWゴンザロ・カブレラが外れたことを、JDTのベンヤミン・モラ監督が別の投稿で説明しています。
 今回のACLでJDTは外国籍選手として現在リーグ得点王でブラジル出身のFWベルグソン・ダ・シルヴァ、同じブラジル出身のDFマウリシオ、アルゼンチン出身のMFレアンドロ・ヴァレスケス、そして新たに獲得したオーストラリア出身のDFシェイン・ローリーの4名を登録しています。またマレーシア人選手では、先日終了したW杯予選に参加したサファウィ・ラシド、ギリェルメ・デ・パウラ、モハマドゥ・スマレ、アキヤ・ラシド、シャフィク・アフマド、アリフ・アイマンのFW陣、シャマー・クティ・アッバ、ナズミ・ファイズのMF陣、そしてラヴェル・コービン=オング、マシュー・デイヴィーズ、アダム・ノー・アズリン、アイディル・ザフアンのDF陣、そしてGKファリザル・マーリアスの13名がアラブ首長国連邦のドバイから直接、バンコク入りした他、に加え、JDT IIからMFチア・ルオハン(20)、DFフィルダウス・ラムリ(19)、DFフェロズ・バハルディン(21)の若手選手も登録されています。
 JDTは予選G組で、名古屋グランパス、浦項スティーラーズ(韓国)、ラーチャブリー・ミトポンFC (タイ)と対戦します。
(以下はJDTのACL登録メンバー-JDTのFacebookより)

6月18日のニュース:代表チームが「マラヤの虎」チャーター便で帰国、FAMはJDTオーナーの代表チームマネージャー就任希望に未だ回答せず

代表チームが「マラヤの虎」チャーター便で帰国
 アラブ首長国連邦UAEで開催されたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場したマレーシア代表は、昨日の午後に無事マレーシアへ帰国したとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 5月20日にマレーシアを出国して以来、ほぼ1ヶ月ぶりの帰国となった代表チームは、出国時と同様にマレーシア航空特別機で帰国しました。
 帰国途中にはバンコクを経由し、タイで6月22日から開催されるAFCチャンピオンズリーグに出場するJDTの選手13名を降ろし、マレーシアに帰国した選手は8名のみとで、マレーシア国外でプレーするディオン・コールズ(デンマーク1部FCミッティラン)、ルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、リリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)、ジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリーFC)、ドミニク・タン(タイ1部ポリステロFC)の各選手は既に別途帰途についたということです。
 今回予選G組では首位UAE(勝点18)、2位ベトナム(同17)に次ぐ3位(同12)となったマレーシアは、来年2022年2月あるいは3月に行われる予定のアジアカップ3次予選出場権を獲得しています。
 (代表カラーに塗装された特別機に登場する代表チーム-FAMのFacebookより)

FAMはJDTオーナーの代表チームマネージャー就任希望に未だ回答せず
 W杯予選G組最終戦のタイ戦を前に、Mリーグ1部JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がマレーシアサッカー協会FAMに対し、代表チームのマネージャー就任を希望していると自身のインスタグラムに投稿しましたが、これに対してFAMは回答を保留していると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。。
 イスマイル殿下は、ハミディン・アミンFAM会長に宛てて「代表チームに対して最高の練習環境と最高のコーチングスタッフを提供することを約束し、代表チームを強化するためには自分をチームマネージャに就任させて欲しい。短期間での成功は約束できないが、現実的な目標を一つ一つ達成し、必ずチームを改善する」と述べる一方で、「一部の選手は代表チームへの招集を夏休みのように考えているようだ。また今後は簡単に帰化選手を生み出すべきではない。」と述べ、代表のプレースタイルにあった選手だけを帰化させるためにその分析を行う技術委員会が管理するべきだとも述べています。
 これは今回のW杯予選に出場したマレーシア代表にはモハマドゥ・スマレ(JDT-ガンビア出身)、ギリェルメ・デ・パウラ(JDT-ブラジル出身)、リリドン・クラスニキ(JDTから期限付き移籍でAリーグのニューカッスルジェッツ-コソボ)の3名の帰化選手がいましたが、3名が3名とも不調であったことから、国内サポーターだけでなく国内サッカー界からも帰化選手と帰化選手プログラムを推し進めるFAM双方に対する批判が高まっています。
 イスマイル殿下は、JDTがMリーグ7連覇を含む多くのトロフィーを獲得している秘訣は、選手をメデイアなど外部から遮断し、ソーシャルメディアの使用も管理した上でサッカーという仕事に集中できる環境を提供している自身のリーダーシップによるものだと話しています。
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 ジョホール州皇太子の略称TMJの愛称でも呼ばれるイスマイル殿下ですが、自身の代表チームマネージャー就任希望を投稿したのは予選G組の最終戦タイ戦の前でしたが、正直なぜこのタイミングで?というのが最初の印象でした。FAM会長はじめとする役員の尻に火をつけるためのなのか、はたまた代表に13名いるJDTの選手に気合いを入れるためなのか。いずれにせよ、大事な最終戦前にマイナスに作用することはあってもプラスには採用しないのでは、というタイミングでした。(もちろんこのハッパが効いて、タイに勝利したのであればそれはそれで効果的だったとも言えますが…。)
 2017年から2018年までは自身がFAMの会長を務めたイスマイル殿下ですが、退任後のFAMはそれまではとは違い、王族も中央政府の政治家もいない組織として機能しており、また代表チームも2019年末まではタイを破り、UAEと接戦を繰り広げるなどここ数年来、最も期待できるチームでした。しかし新型コロナ蔓延後は他国も条件は同じとはいえ、代表合宿は行えず、強豪との練習試合も組めず、正確な日数は調べていないのでわかりませんが、移動制限令が連発されたマレーシアは、2020年以降で見ればおそらく代表合宿開催日数は予選G組では最低ではないかと思います。コロナ禍が落ち着けば、2019年のように代表の強化ができれば、アジアカップ本戦出場も夢ではないような気がします。
 そんな中でのイスマイル殿下の投稿は、Mリーグの優秀な選手を片っ端からJDTが獲得している手腕と合わせた上でうがった見方をすれば、自身の手中に代表チームを納めたいのという思惑があるようにすら思えてしまいます。FAMによる代表強化が手ぬるいから、と言われてしまえばそれまででしょうが、FAMがイスマイル殿下に「預けて」しまった後は、批判的な意見が出にくくなる恐ればあり、また万が一、その強化が失敗と判明した場合に誰が殿下を解任できるのか、という最大の問題が残ります。

  • BERNAMA

6月17日のニュース:W杯アジア2次予選G組-タイに辛勝のマレーシアは3位確保、UAEがベトナムに勝利し1位通過、上位2チームはW杯3次予選、3位と4位はアジアカップ3次予選へ、5位はアジアカッププレーオフへそれぞれ進出

 勝利の余韻を楽しんでいたら1日以上経ってしまいました、一昨日の試合について戦い方が云々、選手の出来が云々とサポーターの皆さんには言いたいことがあるでしょうが、この試合は勝利という結果のみが重要でした。そしてその結果を出したマラヤの虎を今日1日くらいは讃え、明日からはアジアカップ3次予選に向けて山積みとなった宿題を一つ一つ片付けてもらうことに期待しましょう。

W杯アジア2次予選G組-タイに辛勝のマレーシアは3位確保
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組の最終戦が行われ、勝点9で並んでいたマレーシアとタイが対戦し、マレーシアがタイを2-1で破りG組3位となり、アジアカップ3次予選進出を決めています。
 集中開催地のアラブ首長国連邦UAE入り後は練習試合2試合で連敗、そしてこの予選でもUAEに0-3、ベトナムに1-2で敗れていたマレーシアは3試合目にして初勝利となりました。
 前戦の先発メンバー3選手が累積警告により出場停止となったマレーシアは、攻守のキーマン、DFラヴェル・コービン=オング(JDT)に代わってUAE入り後初先発のDFシャミ・サファリ(スランゴールFC)を左サイドバックに、またGKファリザル・マーリアスに代わりこちらも初先発のGKカイルルアズハン・カリド(スランゴールFC)を起用するなど、前戦のベトナム戦の先発メンバーから6選手を入れ替えてタイ戦に臨みました。
 試合開始直後からやはり初先発となったFWアキヤ・ラシド(JDT)がタイ守備陣の裏に入りチャンスを作る一方で、タイは21歳のMFタナワット・スエンチッタウォン(英国1部レスターシティU21)、18歳のFWスファナット・ムエアンタ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)がマレーシアゴールに襲いかかる展開となりましたが、タン・チェンホー監督の起用が当たりGKカイルルアズハン・カリドが好セーブを連発、前半は0-0で折り返します。
 こう着状態を打開するためタン監督はこの予選で初めて先発を外れたFWサファウィ・ラシド(JDT)をMFブレンダン・ガン(スランゴールFC)と、またFWシャフィク・アフマド(JDT)をFWアリフ・アイマン(JDT)と交代で投入します。するとこの交代が功を奏し、52分にはタイDFエルネストがサファウィ・ラシドをペナルティエリアで倒し、マレーシアはPKを得ます。サファウィ・ラシド自身がこのPKを決め、1-0とついにマレーシアが先制します。追う展開となったタイもその直後にMFティティパン・プアンチャン(タイ1部BGパトゥム・ユナイテッド)がヘディングでゴールを狙いますが、惜しくもゴールポストに阻まれます。
 試合はその後も両チームが一進一退を繰り返すも得点には至らず1-0のスコアのまま終了。マレーシアはUAEでの予選初勝利、またタイは未勝利のままUAEを去ることになりました。

UAEがベトナムに勝利し1位通過
 G組のもう1試合はグループ1位のベトナムと2位アラブ首長国連邦UAEが対戦。試合開始からベトナムが積極的に攻めますが、相手守備陣を先に崩したのはUAEでした。52分アブドラ・ラーマンがベトナム守備ラインの裏へドンピシャの浮き玉パスを通し、これをアリー・サルミーンが決めてUAEが先制しました。40分にはやはりアブドル・ラーマンがベトナム最終ラインの裏へスルーパス。これに反応したモハメド・ジュマ・エイドをベトナムGKブイ・タン・チュオンが倒してUAEがPKを獲得し、エースのアリー・マブフートが決めてUAEがリードを広げます。ちなみにこのPKはアリー・マブフートにとってこの予選で11点目となるゴールでした。
 前半を2-0で折り返すと50分にはバンダル・アル・アフバビからのクロスにファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマが頭で合わせるもベトナムGKがセーブ。しかしそのこぼれ球に詰めていたマフムード・ハミースが押し込んでこれがUAEの3点目となりました。ベトナムも85分にチャン・ミン・ヴォンのパスを受けたグエン・ティエン・リンがゴールを決め1-3、そして90分過ぎにはGKアリ・ハシーフのパスミスからチャン・ミン・ヴォンがゴールを決め2-3と追いすがりますが、ベトナムの反撃もここまででした。

G組上位2チームはW杯3次予選へ、3位と4位はアジアカップ3次予選へ、5位はアジアカッププレーオフへそれぞれ進出
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年予選全日程が終了し、G組1位のUAEはアジア3次予選進出を決めています。また2位のベトナムは予選各組の2位チームのうち上位5チームに入ったことで、唯一の東南アジアチームとしてアジア3次予選進出を決めています。また3位のマレーシアは24チームが参加するアジアカップ3次予選進出、また4位のタイも同じくアジアカップ3次予選へ進出が決まりましたが、5位のインドネシアはアジアカップ3次予選の出場2枠をかけたプレーオフをカンボジア、台湾、グアムと対戦することになりました。

FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組
2021年6月15日@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
タイ0-1マレーシア
得点者:マレーシア-サファウィ・ラシド(52分)

2021年6月15日@ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
ベトナム 2-3 アラブ首長国連邦
得点者:ベトナム-グエン・ティエン・リン(85分)、チャン・ミン・ヴォン(90分)、アラブ首長国連邦-アリー・サルミーン(32分)、アリー・マブフート(40分PK)、マフムード・ハミース(50分)

FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選
兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組最終順位表(2021年6月15日現在)

TeamPWDLGFGAGDPTS
1UAE86022371618
2ベトナム8521135817
3マレーシア84041012-212
4タイ82339909
5インドネシア8017522-171

P-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、PTS-勝点

6月15日のニュース:今晩はG組最終戦のタイ戦-出場停止3選手を欠くマラヤの虎は正念場をどう戦うか、スランゴールFC2に3人目のガーナ出身選手が加入、スタジアム観戦にワクチン接種義務化は国内のワクチン接種促進にも貢献

 6月4日に始まったFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組はマレーシア時間の今晩0時45分に最終戦となるタイ-マレーシア戦、アラブ首長国UAE-ベトナム戦が行われます。
 予選開催国UAE入り後は練習試合での2試合も含め4連敗となったのマレーシア代表は、新型コロナの影響で対外試合が全くできず、当初は試合勘が不足している印象でしたが、敗れたとは言えベトナム戦ではチームとして機能し始めた印象もあり、また短期決戦ではその見極めが重要な使える選手、使えない選手も明らかになってきました。この予選の集大成ともなるタイ戦はアジアカップ3次予選出場がかかる重要な試合でもある一方で、ここで敗れてしまうとアジアカップ3次予選出場をかけたプレーオフに回るだけでなく、ここ数年の好調で高まってきた代表チームへ期待が一気に失望に代わる可能性があり、文字通り正念場の試合です。

今晩はG組最終戦のタイ戦-出場停止3選手を欠くマラヤの虎は正念場をどう戦うか
 ベトナム戦は5枚のイエローカードがマレーシアに出されましたが、これによりDFラヴェル・コービン=オング(JDT)、MFシャマー・クティ・アッバ(JDT)、FWモハマドゥ・スマレ(JDT)の3選手が累積警告によりタイ戦は出場停止となっています。
 この主力選手の出場停止について、タン・チェンホー監督は代わりの選手が臨機応変に対応してくれることを期待していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 中でも左サイドバックのコービン=オングの欠場は守備面での影響が大きいことを認めた上で、これまで先発機会のなかった選手も全力を尽くしてくれると信じていると話すはタン監督はコーチ陣と相談して布陣を決めたいとしています。
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 プレッシャーのかかる1戦なのは事実ですが、タイもFWティーラシン・デーンダー(BGパトゥム・ユナイテッド、前清水)、MFチャナティップ・ソングラシン(札幌)、DFテーラトン・ブンマタン(横浜F・マリノス)ら主力選手を欠いており、マレーシアにとってはFIFAランキングで47位離れているタイを倒す絶好の機会でもあります。このW杯予選でマレーシアは2019年11月14日にホームでタイに2-1と勝利しており、2018年スズキカップ準決勝も合わせれば直近の3試合では1勝2分となっており、ここでタイを叩いてまずはベトナムに続く東南アジアNo.2を目指したいところです。一方のタイは、W杯予選ではベトナムと引き分けた後、インドネシアとUAEを破りながら、このマレーシア戦敗戦以降は未勝利で、タイ国内では結果が出ていない西野監督への批判も高まっているという報道もあり、マレーシア戦には当然勝利を目論んで臨んでくるでしょう。しかしそんなタイを破ってこそ、マレーシアはワールドカップ最終予選出場云々を語る資格が得られるようになると思います。

スランゴールFC2に3人目のガーナ出身選手が加入
 Mリーグ1部のスランゴールFCは、セカンドチームでMリーグ2部のスランゴール2にガーナ出身で20歳のMFアレックス・アグヤルクワがガーナ2部リーグのアクラ・ライオンズFCから期限付き移籍で加入することを公式サイトで発表しています。
 スランゴールFCにはこのアクラ・ライオンズFCからいずれも20歳のDFジョーダン・アイムビラ、FWジョージ・アトラムが加入しており、アイムビラ選手はスランゴールFCで、アトラム選手はスランゴール FC2で今季はここまでプレーしていますが、アトラム選手はスランゴールFCの練習に参加しており、現在中断中のMリーグ再開後はスランゴールFCへ昇格するとも噂されています。
 獲得に関わってスランゴールFCのマイケル・ファイヒテンバイナー スポーツディレクターSDによると、アイムビラ、アトラム両選手のMリーグでの活躍を見て、さらにアクラ・ライオンズFCへオファーを出した結果、今季のガーナ2部リーグでは13試合中8試合でMOMを受賞したアグヤルクワ選手の獲得につながったということです。
 ファイテンバイナーSDは、来週マレーシアに到着するアグヤルクワ選手について、スランゴールFC2で「スランゴールサッカーのDNA」に慣れた後は、トップチームのスランゴールFC昇格も考えていると話しています。

スタジアム観戦にワクチン接種義務化は国内全体のワクチン接種促進にも貢献
 スタジアム観戦者に新型コロナウィルスワクチン接種を義務付けることは、スタジアム内での感染リスクを軽減するだけでなく、国内全体のワクチン接種促進に寄与する可能性があるとMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLが公式サイトで報じています。
 MFLはMリーグの7月再開に向けて新型コロナ観戦拡大防止のため、Mリーグ各クラブのサポータークラブに向けて、ワクチン接種をスタジアムでの観戦に義務付けたいという提案を行なっていました。
 これに対してスランゴールFCのサポータークラブ会長のモハマド・ファイザル・ワヒド氏は、他国のリーグが実施しているように、ワクチン接種を義務付けた上でスタジアム観戦が許可されれば、多くのサポーターがスタジアムへ足を運ぶだろうと述べて、この提案を歓迎した上で、「ワクチン接種に懐疑的、あるいは消極的な場合でも、スタジアム観戦ではワクチン接種が義務付けられれば、考えを変えて接種を受けるサポーターも出てくるだろう。その結果として、マレーシア政府が目指すできるだけ多くのマレーシア人へのワクチン接種という方針にも貢献できる。」とも話しています。
 またスリ・パハンFCのサポータークラブのモハマド・ファウジ・アブドル・マナフ氏も、このMFLの提案に同意した上で、ワクチン接種が進んでいない現状を考慮して、接種者の数が一定数に達した段階でこの方針を実施して欲しいと述べています。「現時点ではワクチン接種者はまだ少ないが、数ヶ月もすれば集団免疫が達成できると期待している。そうすればスタジアムも他の場所と同じように足を運んでも安全な場所になるだろう。」
 現在中断中のMリーグは7月3日から2部プレミアリーグが、7月24日から1部スーパーリーグがそれぞれ再開予定ですが、MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、新型コロナ観戦拡大後から再び無観客試合で行われてきたMリーグについてスタジアム観戦の許可を求めてマレーシア政府と交渉する用意があると話しており、その条件としてスタジアムでの観戦者にはワクチン接種を義務付けたい意向を表明していました。

6月12日のニュース:W杯予選G組-マレーシアはベトナムに敗れる、UAEはインドネシアに圧勝

W杯予選G組-マレーシアはベトナムに敗れる、UAEはインドネシアに圧勝
 マレーシア時間の6月12日早朝にFIFAワールドカップ2022年アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会が行われ、G組1位のベトナムと対戦したマレーシアは1-2で敗れています。
 試合開始8時間前に父親の訃報が届いたタン・チェンホー代表監督は、前戦のアラブ首長国UAE戦で批判を浴びたFWギリェルメ・デ・パウラ(JDT)をこの試合でも先発起用、また前戦では出場停止となっていたMFブレンダン・ガンも先発に戻り、現時点でのベスト布陣を揃えて試合に臨みました。
 スピードで勝るベトナムは試合開始直後からマレーシアを圧倒し、何度か好機を逃した後、27分にコーナーキックから折り返したボールをFWグエン・ティエン・リンがヘディングで決めてベトナムが先制します。一方、マレーシアも38分にDFマシュー・デイヴィーズ(JDT)のクロスにFWシャフィク・アフマッド(JDT)が頭で合わせますが、ベトナムGKブイ・タン・チュオンの好セーブに阻まれ得点に至らず、44分にはFWサファウィ・ラシド(JDT)がフリーキックでゴール狙いますが、これもブイ・タン・チュオンに弾かれ、さらにギレェルメ・デ・パウラのシュートもDFドゥオン・バン・ハオがコースに入って防ぐなどし、前半はベトナムリードのまま1-0で折り返します。
 後半に入るとタン監督はシャフィク・アフマッドに代わりMFナズミ・ファイズ(JDT)を、サファウィ・ラシドに代えてFWアキヤ・ラシド(JDT)を、さらに19歳のFWアリフ・アイマン(JDT)を精彩を欠くFWモハマドゥ・スマレ(JDT)に代えて投入すると、この交代が功を奏し、72分にはナズミ・ファイズからのゴール前へのクロスに合わせようとしたギリェルメ・デ・パウラにドゥオン・バン・ハオに乗りかかるようにファウルをし、佐藤隆治主審はマレーシアにPKを与えます。これをデ・パウラ自身が決めてマレーシアは同点に追いつきます。しかし83分にはブレンダン・ガンがベトナムFWグエン・バン・トアンを倒し、佐藤主審はベトナムにPKを与えます。シミュレーションのようにも見えるプレーでしたが、これをDFクエ・ゴック・ハイが決めてベトナムがリードし、試合はそのまま終了。この結果、ベトナムが勝点3を獲得して合計勝点17としてG組首位をキープ。最終戦となる次戦UAEで引き分け以上でG組1位突破が決まります。一方のマレーシアは勝点9で3位のタイと並んだものの得失差(タイ+1に対しマレーシア-3)で4位のままです。
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 マレーシアのメディアは第3次予選出場が消え去った、といった論調の記事を掲載していますが、イエローカード5枚が示すように、スピードで上回るベトナムをマレーシアはファウルでしか止められなかった場面が何度もあり、全く順当な結果に思えます。またこの試合では相手DF陣を何度もドリブルで突破したアリフ・アイマンや、DF陣の空いたスペースに入り込んだアキヤ・ラシドに使える目処がたったことも大きな収穫でした。新型コロナウィルスにより高いレベルでの試合不足だった代表自体もエンジンが温まってきたので、次のタイ戦こそ真価が問われる試合になりそうです。2019年末のスズキカップ準優勝以来、盛り上がってきたマレーシア代表へ声援がここで終わってしまうのか、それとも2023年アジアカップへ続くのか、タイ戦こそがDo-or-Dieの試合と言えそうです。

FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組
2021年6月12日@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
マレーシア 1-2 ベトナム
得点者:マレーシア-ギリェルメ・デ・パウラ(72分PK)、ベトナム-グエン・ティエン・リン(27分)、クエ・ゴック・ハイ(83分PK)
(写真はマレーシアとベトナムの先発XI、マレーシア、ベトナム両サッカー協会のFacebookより)

2021年6月12日@ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
アラブ首長国連邦UAE 5-0 インドネシア
得点者:UAE-アリー・マブフート2(23分、49分PK)、ファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマ2(28分、55分)、セバスティアン・ルーカス・タグリアブエ(86分)

FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選
兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組順位表(2021年6月12日現在)

TeamPWDLGFGAGDPTS
1ベトナム7520112917
2UAE75022051515
3タイ72329819
4マレーシア7304912-39
5インドネシア8017522-171

P-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、PTS-勝点

予選G組今後の日程(時間は現地時間、試合はいずれも午後8時45分キックオフ)
6月15日(火)
ベトナム-アラブ首長国連邦ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
タイ-マレーシア@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ

6月11日のニュース:今夜はベトナム戦-試合前の代表の様子、ベトナム戦は中盤の勝負で長身選手起用が効果的-元Vリーグ選手がアドバイス、消滅クラブのコーチへも未払い給料の支援を求める- 指導者協会

 現在、アラブ首長国連邦UAEのドバイで開催中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組は、現地時間の6月11日に2試合が予定されています。
 6月2日のUAE戦では0-4と完敗したマレーシアは、タン・チェンホー監督就任以来の対戦成績が4試合で0勝1分3敗のベトナムと対戦します。UAE入り後、インドネシアと引き分け、UAEに敗れたタイと同様、3次予選進出の可能性が限り無く低くなったマレーシアですが、現実的な目標はW杯ではなくアジアカップ2023年大会出場。現在勝点9でタイと並びながら得失差でG組4位のマレーシアは、今夜のベトナム戦で万が一勝利すればタイ戦で引き分けても3位がとなりますが、今夜負ければタイ戦での勝利が必須となります。FIFAランキング153位のマレーシアが同92位のベトナムと同106位のタイを天秤に掛ければ、素人目ではここはタイ戦勝利のためにベトナム戦をどう戦うかという発想も必要かと思います。
 UAE入り後の練習試合と先日のUAE戦を合わせた3試合でマレーシアは1得点10失点と攻守とも不安材料満載ですが、前述したようにタイもこの予選では1分1敗(3得点5失点)と結果を出せておらず、タイと2-2で引き分けたインドネシアを4-1で一蹴したベトナムと比べれば、少なくともタイは与し易い相手に見えます。となれば、毎試合勝利が期待されている代表チームですが、今夜のベトナム戦、次戦のタイ戦の2試合合わせて勝点3獲得を目指す戦略があっても良いと思うのですがどうでしょうか。

今夜はベトナム戦-試合前の代表の様子
 UAEに4-1で敗れてから今夜のベトナム戦まで試合のない期間が8日間続いたマレーシア代表チーム。選手は十分な休養が取れ、首脳陣は次戦に向けて戦術や戦略を用意する時間が確保できる一方で、タン・チェンホー監督は空き過ぎた時間のせいで必要以上に不安や緊張を感じることがあることから、選手を鼓舞し、対話を続け、練習を通じて自信を植えつけることに精を出していたようです。
 UAE戦敗戦の原因を分析し、それを修正するための練習を続けてきたと話すタン監督は、選手が敗戦を引きずらずにベトナム戦に臨む用意ができていると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版に語っています。
 対戦相手のベトナムについて問われたタン監督は、FIFA U20ワールドカップ2017年大会出場選手を核とするチーム内の連携が良く取れており、相互理解と強い精神力を持ったチームだと称えた上で、前試合のUAE戦から連日の練習で攻守共に改善されたマレーシアにとって今夜の試合はベトナム戦連敗を止める好機だとして、最後まで集中力を切らさずに戦いたいと記者会見で話しています。

ベトナム戦は中盤の勝負で長身選手起用が効果的-元Vリーグ選手がアドバイス
 Mリーグ1部UITM FCの主将でフランス出身のヴィクトル・ニレノルドはベトナム1部VリーグのダナンFCでプレー経験があることから、今夜のW杯予選でベトナムと対戦するマレーシアに対して、自身の経験からアドバイスがあると英字紙スター電子版が報じています。
 「ベトナムの強さは中盤にあり、Mリーグで言えばJDTのように短いパスをつなぐサッカーを展開するので、そこで競り負けないことが第一。一方、攻撃に比べると守備には脆さもあり、マレーシアはギリェルメ・デ・パウラ、リリドン・クラスニキ、ディオン・コールズそしてラヴェル・コービン=オングといった長身選手をセットプレーで活用するべきだ。」と話すニレノルド選手は、マレーシアが注意するべき選手としてプレーメーカーのMFグエン・クアン・ハイ(ただしマレーシア戦は警告累積により出場停止)、FWグエン・バン・トアンを挙げています。

消滅クラブのコーチへも未払い給料の支援を求める- 指導者協会
 先日のこのブログでは、FIFAが国際プロサッカー選手会FIFProが共同で設立したFIFAサッカー選手基金(FIFA FPF)を通じ、かつてMリーグにありながら消滅してしまった5クラブによって給料未払い問題を被っている147選手に対して、一人当たりおよそ1230米ドルから9230米ドル(およそ13万5000円から101万円)が支払われるというニュースを取り上げました。これについて同じ5クラブからの給料がやはり未払いとなっている監督、コーチについての支援がないことから、マレーシアサッカー指導者協会FCAMはFIFAが監督、コーチの窮状を無視していると非難しています。
 プルリスFA、ハネランFC、マルセラ・ユナイテッドFC、クアンタンFA、トレンガヌシティFCの5クラブはかつてMリーグに所属しながら、運営資金不足などを理由にリーグから撤退し、クラブは消滅しています。
 FCAMのB・サティアナタン会長はFIFAが選手のみを支援し、監督、コーチを支援しない理由が理解できないとして、給料未払いとなっている5クラブの監督、コーチを代表してFCAMがFIFAに対し、問題喚起の手紙を送る予定だとニューストレイトタイムズの取材に対して明らかにしています。
 「国際プロサッカー選手会がFIFAサッカー基金創設で重要な役割を果たし、選手の福利を図るという目的を達成できているのは良いことだが、その一方でプロ指導者を統括する国際プロサッカー選手会のような世界的な組織はなく、権利のために戦う環境が整っていないのは残念だ。」
 数年前にFCAMの代表者としてヨーロッパサッカー指導者協会の定款に署名をしたと話すサティアナタン会長は、このヨーロッパサッカー指導者協会がプロ指導者の権利を守る唯一の国際的組織であり、世界各国が指導者協会を設けることを望んでいること、アジア諸国では指導者協会がほとんどなく、現在はインドと日本の指導者協会が中心となり、各国に協会設立を働きかけている最中であることなども述べています。
 最後にサティアナタン会長は、選手の声を代弁し、資金的にも裕福な国際プロサッカー選手会に倣って、FCAMはインドや日本の指導者協会と協力して、選手同様にサッカーに貢献しているプロ指導者の権利を守り、その代弁者となるような組織を設立したいと話しています。

6月5日のニュース:タン監督は不振のデ・パウラを擁護、代表チームへの帰化選手不要論が賑やかに、帰化選手プロジェクトに期待を懸け過ぎた

タン監督は不振のデ・パウラを擁護
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の再開後第1戦では、マレーシアはアラブ首長国連邦UAEに0-4と良いところなく敗れました。
 試合に負けてしまったので当然と言えば当然ですが、ソーシャルメディア上では不振の選手、特に帰化選手への風当たりが強く、その中でもマレーシアサッカー史上3人目の帰化選手となったブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラは敗戦の責任を一人で背負わされるような非難の嵐の中にいます。
 UAEとの試合では、MFノー・アザム・アジー(スリ・パハンFC)やFWサファウィ・ラシド(JDT)といった主力選手が機能していないとわかると躊躇なく交代を命じたタン・チェンホー代表監督ですが、デ・パウラ選手だけは最後まで使い続けたことで、ソーシャルメディア上ではタン監督の起用方法にも疑問の声が多く挙がっています。
 これについてマレーシアの通信社ブルナマはタン監督の「首脳陣はデ・パウラ選手の体躯と得点能力に期待し、(0-1とUAEにリードされた後も)同点ゴールを期待して起用し続けた。」というコメントを紹介しています。しかしメディアとのオンライン会見に応じたタン監督は、次戦以降(6月11日のベトナム戦、6月15日のタイ戦)もデ・パウラ選手が先発メンバーに入るのかどうかを問われると、「敗戦は一人や二人の選手のせいではなく、どの選手もベストのプレーができなかったチーム全体のせいであり、2週間しか準備期間がなかったマレーシア代表に対してUAEは準備という点でははるかに優っていた。」と述べています。
 またタン監督はUAE戦についてディフェンスの最終ラインの健闘をたたえ、特に3日前に合流したディオン・コールズについては短期間で守備陣の一員となったことを賞賛しています。
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 ディオン・コールズが高いレベルでプレーしてきた選手であることは理解しますが、大事な試合の3日前に代表に合流させる意味が果たしてあったのかは正直、疑問です。準備期間が2週間と短かったと述べているタン監督ですが、だとすればここまでの練習試合2試合で起用し、国内での合宿からチームに馴染んでいるイルファン・ザカリアを起用する、あるいは練習試合でのイルファン選手のミスが気になるなら、少なくともUAE合宿初日から合流しているジュニオール・エルドストールでスタートし、途中からコールズという起用もあったのではないかという気もします。(実際にエルドストール選手はアイディル・ザフアンと交代で途中出場しています。)

代表チームへの帰化選手不要論が賑やかに
 可愛さ余って憎さ百倍、というわけではないでしょうが期待通りのパフォーマンスを見せることができていない帰化選手に対して、マレーシア人選手やOBから帰化選手の器用に疑問の声が上がっています。
 W杯予選前に行われたクウェート、バーレーンとの練習試合に連敗した代表に向けて、まず声を挙げたのは幻のモスクワオリンピックで代表選手だった「レジェンド」のサントク・シン氏でした。この練習試合ではクウェート戦でギリェルメ・デ・パウラがゴール挙げましたが、他のマレーシア人選手と比べても圧倒的に活躍したわけでもないことから、Mリーグでの活躍が評価されて帰化選手となり、代表に招集されたものの国際舞台では力が発揮できないのであれば帰化選手(ここでの帰化選手はマレーシア人の血を引かない外国出身選手)はそもそも代表には必要ない、と言い切っています
 この発言の根拠の一つとして挙げている、ボイコットによって幻となったモスクワオリンピックの出場を懸けた予選ではマレーシア人選手だけで勝ち抜き出場を勝ち取ったという発言は、当時と現在の状況が違いすぎるため話半分で聞くとしても、期待通りの活躍を見せられていない帰化選手に対する厳しい意見は、このシン氏だけではなくサポーターの間からも聞こえてきます。
 デ・パウラ選手についてはやはり「レジェンド」のカリド・アリ氏が、ワントップとして前線で孤立してしまう機会が多かったとして、デ・パウラ選手が問題なのではなく、そこへボールを供給できなかったサファウィ・ラシドらがむしろ問題だったという指摘もありますが、自体を冷静に見られているのは招集はのようです。
 帰化選手が増えれば、マレーシア人選手の機会が奪われることも指摘しているシン氏ですが、それも結果を出していれば、そのような意見もファンの声援にかき消されてしまうでしょう。マレーシア人選手と同じレベルの活躍では不十分なことはマレーシア代表の3名の帰化選手も当然理解しているはず。次戦のベトナム戦では意地を見せて欲しいです。

帰化選手プロジェクトに期待を懸け過ぎ
 2010年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでマレーシアが初優勝した際には得点王となった元代表のエース、サフィ・サリー(KLシティFC)は、マレーシアサッカー協会FAMが進めようとしている帰化選手プロジェクトを非難する投稿を自身のFacebookに投稿しています。
 今後もさらに帰化選手を生み出そうとするプロジェクトは「詐欺」だとして、マレーシア人選手が責任感と信用を与えられれば、代表チームは良い結果を生み出すことができると、サフィ選手は述べています。
 「我々は代表チームと帰化選手プロジェクトに騙されていたと言わざるを得ない。」と投稿したるサフィ選手は、残る2試合(ベトナム戦とタイ戦)にマレーシア人選手が責任感と信用をを与えられれば、期待されている結果を出すことができるとして、帰化選手の出場を暗に否定する発言をしています。
 中東のチームと相手のホームで対戦するのは易しいことではないが、帰化選手に懸けた期待が大きすぎたため、その分の失望も大きくなったと述べるサフィ選手は、直ちに気持ちを切り替えて最大の勝点を獲得して欲しいと、マレーシア人選手に奮起を促しています。

6月1日のニュース:W杯予選-初戦出場停止のガンはチームの集中力に期待、MFL-ロックダウン中のMリーグクラブの練習は可能、KLシティFCにナイジェリア出身ストライカーが加入

 マレーシア政府は6月1日より6月14日までの2週間について、いわゆる「ロックダウン」を実施することを発表しました。生活に必要なビジネスのみが午前8時から午後8時までに限って営業が許可され、市民生活については生活必需品の買い物も含めて移動は自宅から半径10km以内、1台の車で外出できるのは1家族2名までなど昨年2020年3月に実施されたロックダウンとほぼ同様の内容ですが、現時点で累計感染者数およそ57万人も累計死亡者数およそ2800人と当時とは異なり、より深刻な状況下での実施となっています。

W杯予選-初戦出場停止のガンはチームの集中力に期待
 6月3日から始まるFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に向けて、初戦のアラブ首長国UAE戦は出場停止となっているブレンダン・ガンはチームに対して相手のことを気にかけるのではなく自分たちのプレーに集中すべきと述べています。
 いわゆるボックストゥボックスプレーヤーとしてしられるガン選手自身が出場できないことで、チームには穴が空いてしまいますが、ガン選手は予選G組の各チームはW杯予選中断前の2019年の時点より強くなっていると話す一方で、マレーシア代表も帰化選手のFWギリェルメ・デ・パウラ(JDT)、MFリリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)が新たに加わり、またDFジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリーFC)が2016年6月以来となる代表に復帰したことで確実に強くなっていると話しています。
 初戦で対戦するUAEはFIFAランキングでは73位とマレーシア(同153位)より明らかに格上で、さらに2019年の対戦時以降はMFファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマ、FWカイオ・カネド(いずれもブラジル出身)、FWセバスティアン・ルーカス・タグリアブエ(アルゼンチン出身)ら帰化選手が新たにチームに加わっています。
 それでもガン選手は相手ではなく自分たちのプレーに集中すればチャンスがあると話し、むしろUAEの方がプレッシャーを感じていると指摘しています。「UAEはこの12ヶ月間で4人の監督が就任し、(2019年にマレーシアと対戦した際の)ベルト・ファン・マルワイク監督を解任しながら、その後任2名を解任すると再びファン・マルワイク監督を就任させている。まだ代表チームの選手の選考も混乱しているようだ。」と述べています。
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 ガン選手の指摘通り、UAEは2019年12月にベルト・ファン・マルワイク監督(オランダ)を任期わずか9ヶ月で解任し、その後任にはイヴァン・ヨヴァノヴィッチ監督(セルビア)が就任するも新型コロナ禍の中、1試合も指揮をとることなく解任し、さらにその後任のホルヘ・ルイス・ピント(ポルトガル)監督も昨年2020年11月に解任すると、2020年12月からはファン・マルワイク監督を再登板させています。
 またホームのブキジャリル国立競技場(クアラルンプール)での試合とはいえ、2019年9月10日のW杯予選ではマレーシアはUAEをギリギリまで追い詰めたのは事実なので、6月3日の試合がガン選手が期待するように同じような接戦になるのかどうかに注目です。

MFL-ロックダウン中のMリーグクラブの練習は可能
 前述したようにマレーシア政府は6月1日より6月14日までの2週間はいわゆる「ロックダウン」を実施することを発表しましたが、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、ロックダウン期間中であっても合宿形式であればチーム練習は可能であるという声明を発表しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOによれば、新型コロナウィルス対策を決定するマレーシア政府の国家安全保障委員会、保健省、そして国内のスポーツを監督する青年スポーツ省より了承を得たことで、ロックダウン期間中であってもMリーグ各クラブは合宿形式での実施を条件に練習が可能になったとしています。
 この練習許可は今月6月下旬に予定されているAFCチャンピオンズリーグに出場するJDTや*AFCカップに出場するクダ・ダルル・アマンFC、トレンガヌFCにとっては朗報だと話すアブドル・ガニCEOは、この練習許可はあくまでも合宿形式でのチーム練習を行うこと、さらには厳格な標準作業手順SOPを遵守することが条件であると強調した上で、MFLはこれまでにJDT、クダ、トレンガヌに加えて、1部ではUITM FC、2部ではトレンガヌFC IIとPDRM FCに対してチーム練習を許可したことも明らかにしています。
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 *AFCカップはクダ、トレンガヌが所属する予選H組とI組の集中開催地となっていたシンガポールが新型コロナ感染拡大を理由に開催権を返上したため、実際には6月下旬の開催となるかどうかは確定していません。

KLシティFCにナイジェリア出身ストライカーが加入
 Mリーグ1部のKLシティFCは公式Facebookでナイジェリア出身のFWキリアン・ヌワブエズの加入を発表しています。
 アルバニア1部のKFラチから加入する28歳のヌワブエズ選手は2019/2020年シーズンには36試合で23ゴールを挙げてリーグの得点王に輝いている他、このシーズンに出場したUEFAヨーロッパリーグ予選ではハポエル・ベエルシェバFC(イスラエル)相手にゴールも決めています。
 このヌワブエズ選手を取り上げたスポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、KLのボジャン・ホダック監督からかつてパハンに所属していた同じナイジェリア出身のディクソン・ヌワカエメの映像を見るようにとアドバイスされたこと、さらにKLのスタンリー・バーナードCEOとの面談がKL加入の決め手となったことなどヌワブエズ選手のコメントを紹介しています。
 KLはトレンガヌFCから加入したドミニク・ダ・シルヴァ(モーリタニア)が第6節(4月3日)のサバFCとの試合で負ったケガで今季の出場は絶望となっており、ヌワブエズ選手はダ・シルヴァ選手欠場で空いた攻撃陣の穴を埋めることが期待されています。
 またKLはこのブログでも以前取り上げた、地元KL出身でオーストラリア育ちのMFライアン・ランバート(22)の加入も併せて発表しています。昨季はオランダ2部リーグのFCデン・ボスのU21チームでプレーしていました。ライアン選手は英国やオーストラリアに加えてマレーシア代表としてプレーする資格もあります。

5月31日のニュース:マレーシア代表モデルのG-SHOCK販売開始-その人気に乗じた便乗商法も、選手流出が止まらないペラFCは新たな外国籍選手獲得か、ペラFC IIのマネージャーが退団

マレーシア代表モデルのG-SHOCK販売開始もその人気に乗じた便乗商法も
 マレーシアサッカー協会FAM公認のマレーシア代表モデルG-SHOCK限定版の人気に乗じた便乗商法をオンラインメディアのマレーシアンガゼットが報じています。
 マレーシア代表のニックネーム「ハリマウ・マラヤ(マラヤの虎)」モデルと名付けられたこの限定モデルは代表のチームカラーである黄色と黒を基調にしたデザインで今年3月に発表されました。そして特製Tシャツとリストバンド付きで価格はRM579(およそ1万5400円)、数量は限定999個、しかもシリアルナンバー入りで6月1日より実店舗とオンラインの両方で販売が始まることが発表されました。
 しかし5月28日になると突然、FAMの公式Facebook上では翌日5月29日にこのハリマウ・マラヤモデルの販売開始が発表され、そこから24時間も経たないうちに今度は国内のG-SHOCK代理店が声明を発表し、北部クダ州アロースターのG-SHOCK専門店G-Factory、マレー半島東海岸のパハン州クアンタンのG-Factory、そして東マレーシアのサラワク州クチンのG-Factoryの3店舗を除き、G-SHOCKハリマウ・マラヤモデルは既に売り切れとなっていることを明らかにしています。
 明日6月1日にはオンライン通販サイトShopeeのG-SHOCK公式ストアで当初の予定通り販売開始となるようですが、マレーシアンアゼットはこれに先んじてこのShopeeのサイトにはこのハリマオ・マラヤモデルを3倍以上の1889リンギ(およそ5万500円)で出品する輩も現れていることも報じています。
 なおこのハリマウ・マラヤモデルのG-SHOCKは6月3日から始まるFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選にむけてアラブ首長国連邦で合宿中の代表選手全員にも既に支給されているということです。
(下はFAM公式Facebookで告知されたG-SHOCKハリマウ・マラヤモデル販売開始の告知)

選手流出が止まらないペラFCは新たな外国籍選手獲得か
 給料未払い問題で選手の退団が止まらないMリーグ1部のペラFCは、期限が今日までとなったトランスファーウィンドウ期間中の戦力補強を進めているようですが、サッカー専門サイトのヴォケットFCによると、レバノン出身の選手が候補に挙がっているということです。
 当初、ペラFCはレバノン1部のアル・アンサールSCでプレーするセンターバックのフセイン・エル・ドーの獲得を目論んでいたということですが、両者間での合意に至らず、現在は同じレバノン出身でバーレーン1部アル・アハリ・ドバイFCでプレーする同じセンターバックのジャド・ヌールディンとの交渉が進んでいるということです。なおフセイン・エル・ドーは2019年に、ジャド・ヌールディンは2018年にそれぞれ当時のペラFAでプレー経験があり、ジャド選手はペラFCの2018年マレーシアカップ優勝にも貢献しています。
 この他、ペラFCはブルガリア生まれながらレバノン代表のMFサミル・アヤス、英国出身で昨季はシンガポール1部のホウガン・ユナイテッドFCでプレーしたMFチャーリー・マシェルとの契約合意も近いということです。
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 ペラFCのチョン・イーファット監督は、今回開幕から退団が噂されているブラジル出身のカレッカとレアンドロ・ドス・サントスは残留すると述べていますが、この記事を見る限りでは、ブラジルコンビの退団は確定的のようです。
 って言うか、給料未払い問題を抱えているクラブが新たな選手獲得はそもそも可能なのかどうか、それをFAMがゆるすのかどうかがとても気になります。

ペラFC IIのマネージャーが退団
 Mリーグ2部プレミアリーグのペラFC IIのチームマネージャーが退団すると、マレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。
 Mリーグ1部スーパーリーグのペラFCのセカンドチームであるペラFCのチームマネージャーを務めるアザン・ノー氏は、今季Mリーグ3部のM3リーグのマンジュンシティFCのチームマネージャーに就任しますが、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは複数のクラブでの要職の兼務を禁じていることから、ペラFC IIのチームマネージャーの職を辞するということです。
 ペラ州マンジュン地区サッカー協会の会長でもあるアザム氏は5月1日にペラFC IIのチームマネージャーに就任したばかりで、1ヶ月も経たない内での辞職となります。
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 一つ前の記事でも取り上げたようにペラFC IIのトップチームであるペラFCからは、給料未払いを理由に主力選手が続々と退団しています。ペラFCのチョン・イーファット監督は、主力選手の退団によってできた穴はセカンドチームのペラFC IIの選手を使って埋めたいと話しており、その通りペラFC IIの主力選手がペラFCへ昇格すれば、現在プレミアリーグで11チーム中10位に沈んでいるペラFC IIは来季は3部降格のせいもあります。