2月12日のニュース:ペラTBGのACL予選2回戦、AFF U22候補選手は5人が出場辞退、プルリスFA会長は選手の八百長関与を否定

ペラTBGがアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACL予選2回戦に登場
2019年シーズンは0勝1分1敗と期待はずれなスタートを切ったペラTBGですが、本日2月12日にホームのペラ・スタジアムに、昨シーズンの香港プレミアリーグのチャンピオンKitchee FC(傑志)を迎えて、ACLの予選2回戦を戦います。
 本来なら2018年FAカップの勝者であるパハンFAが出場する枠なのですが、2018年にAFCカップ(ACLの下のレベルのクラブ大会)への出場を拒否したため、マレーシアサッカー協会FAMによりパハンFAは2年間のAFC主催のクラブ大会への出場を禁止されているため、ペラFAにお鉢が回ってきた格好です。
 2011年にはオーストラリアのメルボルン・ビクトリーの監督としてACL出場経験もあるペラFAのメメト・デュラコヴィッチ監督は、MFフィルダウス・サイヤディ(22)やMFアーマド・カアイリル(23)といった若手の名前を挙げて、ACLのような大きなステージで経験を積んで欲しいとしています。
 この試合の勝者は、1週間後の2月19日にAFCチャンピオンズリーグ出場権を賭けたプレーオフで韓国の蔚山現代FCと対戦しますので、今日の試合に勝ったとしてもACL本選は簡単ではありません。それでもマレーシアのクラブチームがアジアのトップチームと対戦する機会はめったにないので、今日の試合に勝って、蔚山現代FCと対戦する機会が得られると良いですね。
 なおACLには、2018年のスーパーリーグチャンピオンJDTが本選から出場します。

AFF U22候補選手は5人が出場辞退
 
今回のAFF U22選手権は、FIFAカレンダーに含まれていないため、予想はされていましたが、今回の大会を今年3月にマレーシアのクアラルンプールで開催されるAFC U23選手権予選兼東京オリンピック予選のための選手選考の場として想定していたU22とU23の監督を兼ねるオン・キムスイ監督にとっては、頭が痛いところです。

プルリスFA会長は選手の八百長関与を否定
一昨日2月10日(日)に当地のマレー語新聞が、かつて2部プレミアリーグでプレーしていた選手のインタビューを掲載しましたが、その中で所属チームによる給料未払いで苦しんでいる際に、八百長を持ちかけられた事があると発言したことから、この選手が、現在、給料未払い問題で注目を浴びているプルリスFAの選手ではないかとソーシャルメディア上で反響を呼びました。
 これに対してプルリスFAのダト・アーマド・アミザル・シャイフィト・アーマド・ラフィ会長は、プルリスFAの選手が先月から給料を払われていないことを認めた上で、選手たちを信じており、違法行為に加担していることはないと発言しています。
 ブッキー(Bookie)と呼ばれる掛けの胴元が、給料未払いが発生しているチームの選手に八百長を持ちかける話は、マレーシアでは珍しい話ではなく、2018年シーズンにも現在のプタリン・ジャヤ(PJ)シティFC、当時のMISC-MIFA FCのアルゼンチン人やインドネシア人の外国人選手を含めた4名がマレーシア反汚職委員会に勾留され、そのうちマレーシア人選手2名が八百長で告発されています。ちなみにこのときのMISC-MIFAは1-7、3-6といったスコアの試合も含め、開幕からの9試合の内6試合で負けるなど、「疑惑の試合」が続いていました。
 マレーシアサッカー界の八百長と言えば、1994年の「大粛清」に触れない訳にはいかないでしょう。126名が事情聴取され、八百長に関わった選手とコーチ合わせて21名が追放となり、58名が出場停止になった歴史的事件でした。その後も2012年にはFAMが18名の若手選手を1年から5年の出場停止に、1名のコーチを永久追放、さらに2014年には、不自然な敗戦が続いたことからペラFAがチーム全員(!)に2週間の謹慎処分を与えるという事態も起こっています。
 しかしこれもプロである選手たちが約束された給料をもらっている上でならば、八百長を行った選手たちが罰せられるべきですが、給料未払いが続く状況であったならば、アマチュアなマネージメントを行う経営者にも責任はあり、選手ばかりを責める訳にはいかない気もします。


2月5日のニュース:AFFU22選手権代表候補メンバー発表

AFFU22選手権代表候補メンバー発表
アセアンサッカー連盟AFFのU22選手権は、2月17日から26日までカンボジアのプノンペンで開催されますが、その代表候補選手26名が発表になりました。1月中旬に行ったバンコク遠征のメンバー23名の内、15名が残り、新たに加わった11名ともにブキット・ジャリルのナショナルトレーニングセンターで2月10日から5日間の予定で行われる合宿に参加し、そこで代表となる23名が決定されます。U22代表のオン・キムスイ監督は、このAFFU22選手権を3月にマレーシアの首都クアラルンプールで開催されるアジアサッカー連盟AFCU23選手権予選兼2020年東京オリンピック予選に出場するU23代表選手選考の場とするとしています。なお、この年代の選手の内、2018年末のAFF選手権スズキカップで準優勝したフル代表でもプレーしたアクヤ・ラシド、サファウィ・ラシド、シャマー・クティ・アッバ(以上JDT)らは、このAFFU22選手権では招集せず、AFCU23選手権予選から参加させる予定であることを既に発表しています。

AFFU22選手権代表候補メンバー(年齢)
ムハマド・ダニアル・アミール・ノーヒシャムMF(22)
ムハマド・ザーリル・アズリ・ザブリMF(20)
*アーマド・タスニム・フィトリ・モハド・ナシルDF(20)
ムハマド・アズリ・アブ・ガニGK(20)以上フェルダ・ユナイテッド
ニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マットMF(20)
ムハマド・ダニアル・ハキム・ドラマンMF(21)
ムハマド・シャールル・ニザム・ロス・ハスニDF(21)
ニック・アズリ・ニック・アリアスMF(22)以上ケランタンFA
ダミエン・リム・チェンカイGK(22)
ムハマド・ジャフリ・ムハマド・フィルダウス・チュウFW(22)
*アリフ・アル=ラシド・アリフィンDF(21)以上PKNS FC
コジレスワラン・ラジMF(21)
*モハド・ファイサル・アブドル・ハリムMF(21)
*R・ディネシュDF(21)以上パハンFA
エヴァン・ウェンスレイ・ウェンセスラウスDF(21)
*アリウスディウス・ジャイスMF(21)以上サバFA
*ムハマド・ハジック・ナズリGK(21)
*ドミニク・タン・ジュンジンDF(22)以上JDT
モハマド・ハリズ・カマルディンDF(22)JDT II
*ムハマド・シャミ・サファリDF(21)スランゴールFA
ムハマド・アミルル・アシュラフ・アリフィンDF(21)UITM FC
モハド・ファズルル・ダネル・モハド・ニザムMF(21)クダFA
ムハマド・ナジルル・アフィフ・イブラヒムDF(22)ペラTBG
*ナビル・ハキム・ボカリDF(20)クアラルンプールFA
*ムハマド・イザン・シャミ・ムスタパFW(22)トレンガヌFC
*ムハマド・ハディ・フェイヤッド・アブドル・ラザクFW(19)ファジアーノ岡山
*は1月のバンコク遠征後に新たに招集された選手

今回新たに招集された11名の内、ムハマド・ハジック・ナズリ、
ドミニク・タン・ジュンジン(以上JDT)、モハド・ファイサル・アブドル・ハリム(パハンFA)、ムハマド・シャミ・サファリ(スランゴールFA)、ムハマド・ハディ・フェイヤッド・アブドル・ラザク(ファジアーノ岡山)の5選手は、グループステージで韓国代表を破りベスト16で日本代表に敗れた2018年アジア競技大会(インドネシア)の出場メンバーで、アリフ・アル=ラシド・アリフィン(PKNS FC)、アリウスディウス・ジャイス(サバFA)、ムハマド・イザン・シャミ・ムスタパ(トレンガヌFC)の3選手は前回1月の代表候補合宿に招集されましたが、ケガのためバンコク遠征には参加しませんでした。

U22代表は2月15日にプノンペンへ出発します。予選グループBのマレーシアは、カンボジア(2月18日)、インドネシア(2月20日)、ミャンマー(2月22日)とそれぞれ対戦し、ここから上位2チームが2月24日に予定されている準決勝に進出します。決勝は2月26日、会場はすべてプノンペンの国立競技場となっています。

今回が2度目の開催となるAFFU22選手権は、2005年にタイのバンコクで第1回大会が開催され、開催国タイがシンガポールを3-0で破って優勝しています。その後2011年に予定されていたインドネシアでの第2回大会は中止となっており、今回14年ぶりに第2回大会が開催されます。今大会はAFF加盟国では、ブルネイ、シンガポール、ラオスが出場しないため、予選A組がベトナムタイフィリピン、東ティモール、予選B組がカンボジア、マレーシア、インドネシア、ミャンマーとなっています。

マレーシア以外のチームについては、既にインドネシアU22代表が、フル代表でキャップ数5を獲得している20歳のサディル・ラムダニ(パハンFA)を招集しないことを発表しています。ラムダニ選手は2019年のスーパーリーグ開幕戦で今シーズン得点第1号となるゴールを決めていますが、この様に所属チームで主力選手となっている場合、AFFU22選手権は国際マッチデーではない時期の開催なので、チームが選手の招集に応じないケースもあります。各チームともチーム編成に苦労していることでしょう。

FAMのホームページより

マレーシア代表の2018年 (1) U23代表

2019年のアジアのサッカーはアジアカップとともに幕を開けましたが、マレーシアは予選で惨敗したため、残念ながら出場しません。それでもここ10年近く暗黒の時代を過ごしていたマレーシアのサッカーにとって、昨年2018年はフル代表を含めた各年代で良い結果を残すことができた年でした。そこで今回から数回に分けて、各年代ごとにその成績を見ていきます。まずは一年間を通して好調であったU23代表から始めましょう。

U23代表チームはAFC U23選手権に初出場を果たしただけでなく、ノックアウトステージまで進む快挙を果たしました。前年にタイで行われた予選ラウンドでは、インドネシアを3−0、モンゴルを2−0で勝利し、タイには0−3で破れたものの、タイがモンゴル、インドネシアとそれぞれ引き分けてくれた恩恵もあり、予選グループを1位で突破し、今年1月に中国で行われた本戦では、イラク、ヨルダン、サウジアラビアと行った強豪と同組となったグループステージをなんと突破したのです。イラクには1−4と完敗でしたが、ヨルダンとは1−1で引き分け、そしてなんとサウジアラビアには1−0と番狂わせを演じて快勝しました。グループステージを2位で通過し準々決勝に進出したマレーシアは韓国と対戦し、戦前の予想に反して、一時は同点に追いつく接戦でしたが最後は1−2で負けてしまいました。しかし2018年のマレーシア国内ベストヤングプレーヤー、ベストミッドフィルダー、そしてMVPにも選ばれたサファウィ・ラシドを筆頭に攻撃陣が頑張った結果が、初出場ながらベスト8という輝かしい結果となりました。

U23代表チームは、8月にジャカルタで開催されたアジア競技大会でも快進撃を続けました。韓国、バーレーン、キルギスタンと同組になったグループステージでは、初戦のキルギスタン戦を3−1で快勝した勢いに乗り、続く韓国も2−1で撃破するこれまた大番狂わせを見せました。プレミアリーグのトットナムでプレーするソン・フンミンを先発から外す余裕を見せた韓国ですが、今回はマレーシアがAFC U23選手権のリベンジに成功しました。ちなみにこの試合で2点を挙げたのが、前述したSafawi Rasidでした。この勝利でグループステージ突破を確定させたマレーシアは、先発8人を入れ替えて主力を休ませたバーレーン戦は2−3と破れましたが、予選グループ2位でノックアウトステージとなるベスト16へ進みました。ベスト8を賭けた試合の相手はU21代表を送り込んできた日本でした。予選グループを1位で突破していれば相手がイランでしたので、U21の日本のほうがベスト8進出のチャンスが有るかと思いましたが、89分にPK(このPKを与えたファウルの判定は個人的には微妙と思いましたが)を与えてしまい0-1でした日本のメディアでも「辛勝」「紙一重の勝利」などの見出しがつけられるほどの惜敗だっただけに残念!なお、Fox Sports Asiaと英字サッカー雑誌Four Four Twoのエディターによるこの大会のベスト11にSafawi Rasidが選出されました。

U23マレーシア代表 2018年戦績
<AFC U23選手権>
グループステージ
2018.01.10 1-4 イラク     得点者:サファウィ・ラシド
2018.01.13 1-1 ヨルダン    得点者:サファウィ・ラシド
2018.01.16 1-0 サウジアラビア 得点者:ダニアル・アミール
ノックアウトステージ(準々決勝)
2018.01.20 1-2 韓国      得点者:タナバラン
<アジア競技大会>
グループステージ
2018.08.15 3-1キルギスタン 得点者:サファウィ・ラシド, アクヤ・ラシド, シャフィック・アーマド
2018,08.17 2-1韓国     得点者:サファウィ・ラシド 2
2018.08.20 2-3バーレーン  得点者:シャミ・サファリ, サファウィ・ラシド
ノックアウトステージ(ベスト16)
2018.08.24 0−1日本     得点者:なし

中国で行われたAFC U23のメンバー(FAMホームページより)
ジャカルタアジア競技大会、2-1で勝利した韓国戦の1コマ(FAMホームページより)