2月18日のニュース:TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か、ディヴィーズはやはりJDTへ、FAカップ1回戦の組み合わせ決定

TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か
 先月1月31日までに未払い給料問題の解決、あるいは支払い方法を選手やスタッフと同意することをMFLが求め、それを遂行できなかったPDRM FCは今季開幕前にもかかわらず既に勝点3を剥奪(はくだつ)されていますが、トレンガヌFC(TFC)でも同様の問題が発生しているとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 記事によるとトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTは、選手やスタッフと同意していた今月2月10日に支払い予定の未払い給料を支払われず、それについての連絡が何もないということです。なおこの未払い給料は2018年シーズンと昨季2019年分の一部で、アーマド・シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッドへ移籍)、アディブ・アイズディン・アブドル・ラティフ、カイルル・アズリン・カザリ(ペナンFAへ移籍)や前監督のイルファン・バクティ・アブ・サリム氏らが未払いとなっている他、外国籍選手の中にはこの事態を国際サッカー連盟FIFAへ報告した者もいるということで、トレンガヌFCはこの公約違反により、PDRM FC同様、開幕前に勝点3を剥奪される可能性が出てきました。
 この件に関して、ブリタハリアンがPBSNTに問い合わせを行ったようですが、返事がもらえていないということも併せて報道されています。
 またスポーツ専門サイトのスタジアムアストロでは、給料の支払いを受けていない選手の中で現在もトレンガヌFCに在籍している選手はこの問題をあえて口にしていないということです。
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 MFLの根深い問題である給料未払い問題が、開幕まで2週間を切ったこの時期にまた頭をもたげてきました。今季のMFLでジョホール・ダルル・タジムJDT優位を脅かす可能性があるクラブの一つとして挙げられていたトレンガヌFCですが、いきなり勝点3の剥奪となれば、優勝争いどころか上位進出すら怪しくなります。

ディヴィーズはやはりJDTへ
 JDTのFacebookでは、パハンFAを電撃退団したDFマシュー・デイヴィーズと3年契約を結んだことが発表されています。
 2015年、20歳のときにオーストラリアのパース・グローリーU23からパハンFAに加入したデイヴィーズ選手は、オーストラリアで生まれ育つもマレーシアのサバ州出身の母親を持つことからマレーシア代表としてプレーする資格があり、マレーシアU23代表、フル代表とキャリアアップし、昨季は代表戦12試合に出場しています。
 昨季は主将を務めたパハンFAとの契約はあと1年残っていたことから、JDTへの移籍は来季ではないかとされていましたが、JDTがヴィッセル神戸に1ー5と大敗したことから、守備陣強化の要として急遽、JDTが獲得に動いたとされています。なお一部では移籍金が1600万リンギ(およそ4億2400万円)という報道もありますが、デイヴィーズ選手自身はこれを否定しており、実際には100万から200万リンギとされています。
(写真は入団記者会見でベンヤミン・モラ監督(左)、チームマネージャーのルシアーノ・フィゲロア氏と写真に収まるデイヴィーズ選手-JDTのFacebookより)

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 デイヴィーズ選手の加入で代表の4バックのうち3名がJDTの選手となりましたが、これより気になるのは、JDTのオーナーでTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が昨年のクリスマスにツイートした以下の内容です。

@jjmi_kei_と@rodriguez9roは、それぞれ今季からJDTのBチームJDT IIでプレーする新加入のMF廣瀬慧(前インドネシアリーグ1部プルセラ・ラモンガン)と昨季のMFL1部の得点王FWフェルナンド・ロドリゲス(前クダFA)のこと。また@matttdaviesは今回加入のデイヴィーズ選手のことなので、残るのはデイヴィーズ選手と同僚だったパハンFAの帰化選手モハマドゥ・スマレ(@sumareh_inr26)とスランゴールFCから今季はペナンFAに移籍したエンドリック(@endricksantos14)となるのですが、果たして残る二人もJDT入りとなるのでしょうか。

FAカップ1回戦の組み合わせ決定
 先週末にMFL3部と4部にあたるM3リーグとM4リーグのクラブが出場した予選ラウンドが終了し、FAカップはいよいよ1回戦が始まりますが、この1回戦の組み合わせ抽選が昨日2月17日に行われ、2月22日と23日に行われる1回戦24試合のカードが決まっています。(以下はMFLのFacebookより)

1回戦注目のカードは、予選ラウンドを6-1と大勝したサラワク・ユナイテッドII(M3)対M3のムラワティFCを破ったリアル・チュカイFC(M4)、かつてはMFL1部スーパーリーグに所属していたこともあるマレーシア国軍のクラブAFFC(M3)対SAユナイテッドFC(M4)、デービー・クロード・アンガン(MFL1部マラッカ・ユナイテッドより加入)、セルヒオ・アグエロ(MFL2部ペナンFAから加入)とMFLでプレー経験のある外国籍選手を揃えたクアラルンプール・ローバーズ(M3)対M3のマンジュンシティFCを破ったサザンFC(M4)などがあります。
 その中でも最も注目されるのは、M3同士の戦いとなるハリニKSFC対ノーザンライオンズFCマーサです。昨季は同じM3のプロタップFCの監督を務め、今季はハリニKSFCの指揮を取るドゥサン・モムチロヴィッチ監督がMFアジダン・サルディン、代表経験もあるFWアブドゥル・マナフ・ママト、MFファクルラジ・ムサなど経験豊富な選手を揃える一方で、アザムリ・アリ監督率いるノーザンライオンズFCマーサには、国際サッカー連盟FIFAの2016年プシュカス賞を受賞したFWファイズ・サブリがおり、2回戦へ向けて白熱した試合が期待されています。

2月17日のニュース:タイリーグが開幕-代表コンビは揃って勝利に貢献、クラスニキのWC予選出場が可能に、スランゴールFCはMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性も

タイリーグが開幕-代表コンビは揃って勝利に貢献
 マレーシアフットボールリーグMFLは今季は2月28日に開幕しますが、隣国タイのリーグは一足早く先週末に開幕しました。ボラセパマレーシアJP的に注目したいのは、今季、タイ1部リーグへ移籍した代表コンビの動向です。
 昨季は2部で優勝し、今季は1部に昇格したBGパトゥム・ユナイテッドには、MFLパハンFAからノーシャルル・イドラン・タラハが、また昨季2部準優勝でやはり今季1部に昇格したポリス・テロFCにはJDTからドミニク・タンが加入しました。
 ノーシャルル選手は、昨季5位のムアントン・ユナイテッド戦に先発しました。ちなみにBGパトゥム・ユナイテッドのFacebookでは、先発メンバーを告知するページにタイ語、英語に加えてマレーシア語の表記も登場するなど、マレーシア人サポーターにも親切な作りになっていました。なお、タイ代表の西野朗監督も視察に訪れたこの試合では、背番号99番のノーシャルル選手は前半終了と同時に交代しています。(写真はBGパトゥム・ユナイテッドのFacebookより)

 一方、タン選手が所属するポリス・テロFCは昨季2位のブリーラム・ユナイテッドと対戦、タン選手はチームが1−0とリードした74分に交代出場し、そのまま試合終了まで出場しました。(写真はポリス・テロFCのFacdbookより)

この他、タイ3部上部(北側)リーグのアーントーンFCにもやはりマレーシア人のMFザフアン・アゼマンが在籍していますが、背番号9のザフアン選手もチャチューンサオFCとの試合に先発出場し、前半終了と同時に交代しています。なおこの試合ではアーントーンFCは0−4と敗れています。(写真はアーントーンFCのFacebookより)

クラスニキのWC予選出場が可能に
 今季、MFLのジョホール・ダルル・タジムに加入したコソボ出身のリリドン・クラスニキはマレーシアサッカー協会FAMによる帰化プログラムを経て、マレーシア国籍を取得しました。これによって、国内リーグMFLではマレーシア人選手としての登録が可能となりましたが、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、国際サッカー連盟FIFAからもマレーシア代表として試合に出場する許可が出たようです。
 FAMの帰化プログラム委員会の委員長を務めるダト・モハマド・ユソフ・マハディFAM副会長によれば、クラスニキ選手のマレーシア代表選手としての登録を許可する旨の連絡をFIFAより受け取ったとのことで、来月3月26日に予定されているFIFAワールドカップアジア二次予選のアラブ首長国連邦UAE戦に代表選手として出場するかどうかはタン・チェンホー監督に委ねると話しています。
 またもう一人の帰化選手候補であるペラTBGのギリェルメ・デ・パウラ(ブラジル)については、まずマレーシア国籍を取得した上で、FIFAの判断を仰ぐとしています。
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 クラスニキ選手がMFLで初めてプレーしたクダFAの当時の監督が、現在のタン・チェンホー代表監督ということもあり、一部では「問題児」とも言われているクラスニキ選手ですが、ケガや体調不良などの問題がなければ、フル代表に招集されるでしょう。
 3月26日対戦するUAEもFWセバスティアン・ルーカス・タグリアブエ(アルゼンチン)、FWカイオ・カネド・コレア、MFファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマ(いずれもブラジル)と3人の帰化選手を擁するチームですので、クラスニキ選手の加入は大きな補強になりそうです。

スランゴールFCはMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性も
 スランゴールFCのホームは8万人収容のシャー・アラムスタジアムですが、MFLの今季開幕前の施設検査で改修が必要との判断が出されています。英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、予定されているMFLによる2度目の施設検査でシャー・アラムスタジアムのMFLでの使用許可が下りない場合には、同じスランゴール州のクラナジャヤにあるMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性が浮上しています。
 1994年開場のシャー・アラムスタジアムは、施設検査後にピッチや更衣室の状況がMFLの規定する条件に合わない上、観客席を覆う屋根の部分についても改修を求める要望が出ていました。
 これについてスランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、改修作業が行われている原序を踏まえ、2度目の施設検査で使用許可は下りるだろうと述べています。
 なおスランゴールFCの今季最初のホームゲームはMFL第2節の3月7日にペラTBGとの試合が予定されています。
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 この記事では観客席を覆う屋根の部分についての言及がありませんでしたが、この改修についてはハミドンFAS事務局長はすぐには対処できないことを明言しており、ここが使用許可の争点になれば、今季のシャー・アラムスタジアムの使用は難しいとされています。
 個人的には家から近いMBPJスタジアムでスランゴールFCの試合が観戦できるようになると嬉しいのですが、こちらは収容人数が2万5000人程度で、スランゴールFCにとっては入場料収入などで大きな損失を負う可能性もあります。

2月16日のニュース:パハンFAの外国籍選手5名が確定も主力の流出は続く、FAカップ予選ラウンド結果

パハンFAの外国籍選手5名が確定も主力の流出は続く
 マレーシアフットボールリーグMFL1部に所属するパハンFAの今季の外国籍選手5名が確定したことを英字紙スター電子版が報じています。
 昨季はMFL2位ながら他のMFLクラブに比べやや出遅れ感がありましたが、2月28日に迫ったMFL開幕を前にようやく布陣が整ったようです。
 昨季もパハンFAでプレーしたDFエラルド・グロン(フランス)は契約を2021年まで延長して残留、そして今季新加入のFWイヴァン・カルロス・フランサ・コエーリョ(ブラジル)とMFアダム・マイケル・リード(フィリピン)がこれまで確定していた外国籍選手でしたが、さらに昨季のアジアサッカー連盟AFCカップで4.25体育団(北朝鮮)を破って優勝したアル・アヘドFC(レバノン)から期限付き移籍で加入するレバノン代表DFカリル・カミス(レバノン)と、今年1月から水面下で残留交渉が行われていたというFWディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)の二人が加わりました。
 25歳のカリル選手は190cmと長身のDFですが、レバノンリーグではその体躯だけでなくボール使いの上手い選手として知られているそうです。また33歳のヌワカエメ選手は、パハンFAに4年ぶりに復帰した昨季は鼠蹊(そけい)部のケガなどで18試合で10ゴールという成績に終わりましたが、パハンFAに前回所属した2014年と2015年の2シーズンは69試合で100ゴールという実績があります。
 新戦力獲得のニュースの一方で、マレーシア代表でもプレーするDFマシュー・デイヴィーズの退団が本人のツイッターで告知されています。今月初めからJDT移籍の噂は出ていましたが、これを執筆している時点では移籍先は不明です。なおパハンFAは、MFL2位となった昨季のメンバーから代表でもプレーするFWノーシャルル・イドラン・タラハ(タイ1部リーグBGパトゥム・ユナイテッドへ移籍)、インドネシア代表のMFサディル・ラマダニ(インドネシア1部リーグのバヤンカラFCへ移籍)、シンガポール代表MFサフアン・バハルディン(スランゴールFCへ移籍)ら主力選手を既に失っています。

FAカップ予選ラウンド結果
 マレーシア最大のカップ戦であるFAカップの予選ラウンドが2月15日と16日に行われ、以下のような結果になっています。この予選ラウンドは今季MFL3部と4部にそれぞれあたるM3リーグとM4リーグのクラブが出場します。
*(3)はMFL3部、(4)はMFL4部所属のクラブです。
<2月15日の結果>
サラワク・ユナイテッドII(元サラワクFA)(3)6-1レッドスペイド・ユナイテッドFC(4)
小ネタ:サラワクFA時代の1992年にはFAカップ優勝経験があるサラワク・ユナイテッドIIは、ウガンダ人のサム・ティムべ監督が就任したばかりですが、この試合ではアズリザン・アーマドが4ゴールを決めています。
マラッカ・ユナイテッドFC(3)2-1イクラム・ヤングFC(3)
KTローバーズ(元BTK FC)(3)3-0アルティメイトFC(3)

小ネタ:アルティメイトFCは元代表のアズマン・アドナンがプレーイングマネジャーです。
リアル・チュカイFC(4)1-0ムラワティFC(元DDM FC)(3)
ランカウィ・シティFC(元ランカウィ・グローリー・ユナイテッドFC)(3)1-0パンダン・ユナイテッドFC(4)
プロタップFC(3)4-1KBイスマ・シャーアラム(4)
SAユナイテッドFC(4)2-2(PK10-9)アンダーソニアンFC(4)
マークレスST(4)2-1スピリトFC(4)

<2月16日の結果>
KLローバーズ3-0クラシコFC
ノーザンライオンズFCマーサ(3)2-0クルテーFC(4)
AFFC (前ATM FC)(3)3-1デリマ・ウォリアーズFC(4)

小ネタ:AFFCはマレーシア国軍のクラブチームで、イギリス人のケヴィン・クーパー監督が2019年から指揮を取る、外国籍選手不在のクラブです。
ハリニFC(元バトゥ・ドゥアFC)(3)5-2クアラプルリスFC(4)
サザンFC(4)1-1(PK3-2)マンジュンシティFC(前プチョンフェルザFC)(3)
ゲームストップFC(4)1-0セマラクFC(3)
SSFC(4)3-0PIB FC(3)

小ネタ:この試合はPIB FCの選手登録が試合までに完了しなかったことから、SSFCの不戦勝、PIB FCの不戦敗、記録上はSSFC 3-0PIB FCとなります。
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予選ラウンドで勝利した15のクラブとこの予選ラウンドはくじ引きにより予選ラウンドが免除となった残りのM3/M4所属の7クラブの合計22クラブが1回戦へ進出しましていす。なお1回戦の組み合わせは後日発表となります。
 昨季はMFL4部にあたるM4リーグのアマチュアクラブ、ジェラントゥトFAが3回戦まで進出する快進撃をみせましたが、今季もジャイアントキリングは起こるのでしょうか。

2月15日のニュース:JENESYS杯に参加するU17代表候補発表、クチンFAがプレシーズンマッチで半島部へ遠征

JENESYS杯に参加するU17代表候補発表
 マレーシアサッカー協会FAMは、2月24日から3月4日まで鹿児島県で開催されるJENESYS杯に参加するU17代表の候補合宿参加者18名を公式サイトで発表しています。
 FAMとマレーシア政府青年スポーツ省が運営し、プロサッカー選手を目指すエリート選手養成機関のモクタ・ダハリラ・アカデミーAMDに所属するこの18名は、ラジャ・アズラン・シャー・ラジャ・ショイブ監督のもと、スランゴール州クラナジャヤにあるFAMのトレーニング施設で2月19日からの合宿に参加します。参加者の名簿はこちらです。
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 FAMのサイトで「JENESYS杯」とされているのは、外務省による対日理解促進交流プログラム「21世紀東アジア青少年第交流計画」、別称JENESYSプログラムの一環として鹿児島県で行われる大会のことを指しているようです。
 この大会は、日本サッカー協会JFAのサイトによると「ASEAN地域の10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネ シア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム) 及び、東ティモールと日本 代表の年代別代表が交流を図る大会」として「アジア貢献・国際交流事業」として位置付けられています。

クチンFAがプレシーズンマッチで半島部へ遠征
 マレーシアはマレー半島部とボルネオ島(東マレーシア)で構成されていますが、ボルネオ島にあるサラワク州の州都クチンを拠点とするクチンFAがマレー半島部へ遠征し、プレシーズンマッチを行なっています。
 今季2020年シーズンはマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグに昇格したクチンFAは、1月11日にMFL1部スーパーリーグ6連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTの新しいホームとなるスルタン・イブラヒムスタジアムのこけら落としとなる試合でJDTに0-4と敗れて以降、MFLクラブとの練習試合の情報がありませんでした。(写真はJDTのFacebookより)

 そして昨日2月14日、半島部遠征の初戦としてスランゴール州シャーアラムで今季はMFL1部に昇格したUITM FCと対戦し、前半を2−0とリードして折り返したものの後半の3失点で2-3と逆転で敗れています。
 今季開幕を前に、クチンFAは外国籍選手を含めた新戦力についてのニュースが乏しかったのですが、この試合には4人の外国籍選手が出場していました。昨季からクチンFAでプレーする鈴木雄太、昨季はサラワクFAでプレーしたブラジル人のFWハドソン・ジェズス、昨季はサウジアラビア2部リーグのアル・サファFCに在籍した「レオ」ことFWレオナルド・パッソス・アルベス、そしてDFタニガワユウキ選手がその4人ですが、おそらく彼らが開幕時点で外国籍選手として登録されるようです。DFのタニガワ選手については、情報が乏しいのですが(カタカナ表記になっているのはそういった理由です)、関係者の話では大学を卒業したばかりの選手ということです(この試合は私も観戦しましたが、大学卒業から即プロ入りと考えると試合中の落ち着いた様子が非常に印象的でした。)。
 なお、クチンFAは明日2月16日にMFL1部のPDRM FCとの練習試合が予定されています。

2月13日のニュース:Jの壁は高かった-JDTがACLで5失点の完敗

Jの壁は高かった-JDTがACLで5失点の完敗
 ゴールを決めた古橋亨梧もドウグラスでも、またハットトリックを決めた小川慶治朗でもなく、アンドレス・イニエスタ1人にやられた感のある試合はジョホール・ダルル・タジムの完敗でした。
 13分の1点目につながった、自陣ハーフから出されたイニエスタ選手の浮き球のパスを受けた小川選手がJDTのGKファイザル・マーリアスと一対一になった段階で勝負有りでしたが、小川選手がこのボールをノートラップで絶妙なコースにシュートし神戸が先制しました。
 27分にはトーマス・フェルメーレンのハンドの反則で得たPKをサファウイ・ラシドが決めて同点とし、ここから反撃か、と思われたその1分後、今度は古橋選手のノートラップシュートで神戸に勝ち越しを許してしまいました。
 試合開始直後から、神戸が高い位置からプレスをかけ続け、JDTはバックラインから攻撃を組み立てる自分たちのサッカーをさせてもらえませんでした。前方へのフィードも精度が低く、前線にいるエースのジオゴまでボールが渡わらず、ジオゴのポジションがどうしても下がり気味になり、そこからなんとかゴール前まで運んでもサポートがおらず、なかなかシュートまで持っていくことができませんでした。そうするうちに2−1と神戸のリードで前半が終了しました。
 後半に入り、58分にはイニエスタ選手から酒井高徳とつないだボールを小川選手がゴールし、神戸がリードを2点に広げ、65分にはアイディル・ザフアンが上がってきたドゥグラスにあっさり振り切られた上にそのままシュートを決められ4−1、そして72分には「魔術師」というニックネームが伊達ではないことを示すような美しく精度の高いループパスをイニエスタ選手がJDTの守備陣の裏、ファーポストへ上げ、小川選手はフリーヘッダーでゴールを決め、ハットトリックを達成しました。
ACL第1節
JDT 1-5ヴィッセル神戸
得点者:神戸-小川慶治朗3(13分、58分、72分)、古橋亨梧(28分)、ドゥグラス(65分)、JDT-サファウィ・ラシド(27分PK)
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 素人目で見ても、守備ラインの裏にいとも簡単にパスを出すイニエスタ選手は別格でした。正直なところ、JDTはよく5失点で済んだなという印象でした。鹿島と接戦だった昨季のACLは何だったのでしょう…。
 試合の結果は別として、この日のJDTは、昨季の主力メンバーからシャフィク・アーマドに代わりナズミ・ファイズが、アダム・ノー・アズリンに代わりアフィク・ファザイルが先発しました。ナズミ・ファイズはドバイでのプレシーズンマッチでも先発出場を続けていたようですので、JDTのベンヤミン・モラ監督はこの試合を見越してテストしていたのかも知れません。ACLでは、ジオゴ、ゴンザロ・カブレラ、マウリシオの3人が外国籍選手枠を占めることになるでしょうから、MFレアンドロ・ヴァレスケスの代わりとしてこのナズミ・ファイズが今後もスタメンとなる可能性が高いです。
 個人的には、昨季は絶好調だったシャフィク・アーマドの出番が少なかったのが残念ですが、今後のACLに期待したいと思います。
(以下はこの日の試合のダイジェスト-AFCのYoutubeチャンネルより)

2月12日のニュース:ソーシャルメディアのフォロワー数トップの東南アジアのクラブはプルシブ・バンドン、MFLが今季の公式試合球を発表、東南アジアクラブ選手権出場チーム発表-マレーシアからは出場なし

ソーシャルメディアのフォロワー数トップの東南アジアのクラブはプルシブ・バンドン
 サポーター獲得の重要な手段として活用されるソーシャルメディアは、東南アジアはもとより世界中のサッカークラブが活用していますが、スポーツ関連のデジタルコミュニケーションとマーケティングを扱うドイツのリザルトスポーツ社のサイトでは、世界のクラブのソーシャルメディアなど電子媒体上での存在感の大きさの指標を示す「2020年版グローバルデジタルフットボールベンチマーク」なるものを公表しています。その内容はFacebook、インスタグラム、Twitter、Youtube、Sina Weiboとその他のソーシャルメディアにおける合計フォロワー数をもとにランクづけしたもので、そのトップ3は、1位がバルセロナFC(スペイン)で2億6000万フォロワー、2位がレアルマドリー(スペイン)で2億5800万、3位がマンチェスター・ユナイテッド(英国)の1億4200万となっています。
(以下はリザルトスポーツのサイトより。)

 また、大陸ごとで見ると南北アメリカの1位はフラメンゴ(ブラジル、全体では16位)、アフリカ大陸1位はアル・アハリ(エジプト、同18位)、アジア1位はプルシブ・バンドン(インドネシア、同22位)となっています。

 ここから東南アジアの上位10クラブを取り出したのが以下の表です。表は左から東南アジアでの順位(世界での順位)、クラブ名、所属リーグのある国名、フォロワー数(人)、となっています。

1位(22位)プルシブ・バンドンインドネシア1700万
2位(50位)プルシジャ・ジャカルタインドネシア600万
3位(81位)ムアントン・ユナイテッドタイ300万
4位(87位)ジョホール・ダルル・タジムマレーシア300万
5位(97位)アレマFCインドネシア200万
6位(103位)ブリーラム・ユナイテッドタイ200万
7位(120位)プルスバヤ・スラバヤインドネシア200万
8位(137位)バリ・ユナイテッドインドネシア100万
9位(146位)スリウィジャヤFCインドネシア100万
10位(194位)チョンブリFCタイ 100万

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 東南アジアでは上位10クラブ中6クラブがインドネシアのクラブですが、このブログでも以前取り上げたマレーシアとインドネシアの両国でクラブ監督の経験があるプルシブ・バンドンのロバート・アルバーツ監督や、マレーシア人ながらインドネシアで多くのクラブを指導してきたラジャ・イサ氏のコメントにあったように、インドネシア国内でのサッカー人気は、近隣諸国と比べてもその熱狂度が遥かに高いことがこの数字からも実証されているようです。例えばプルシブ・バンドンの1700万フォロワーという数字は、その数字の正確さ自体はともかく、マレーシアの総人口の半分にあたるフォロワーがいる計算になります。

MFLが今季の公式試合球を発表
 マレーシアフットボールリーグMFLはTwitterで今季2020年シーズンに使用される公式試合球を発表しています。昨季の公式試合球「マーリン」の後継モデル「マーリンII」が今季の試合球で、ナイキ社製のボールは5年連続でMFLに採用されています。
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 ちなみにこの「マーリンII」はイタリアセリエAの2019/2020シーズンや北中米カリブ海サッカー連盟CONCACAF選手権ゴールドカップの試合球にもなっています。ちなみにGoogleで検索してみたところ、そのお値段は115英国ポンド(およそ16400円)でした。MFLのロゴなど入れると価格はもっと跳ね上がるのでしょうね。

東南アジアクラブ選手権出場チーム発表-マレーシアからは出場なし
 東南アジアサッカー連盟AFFが主催し、東南アジア各国の1部リーグ優勝クラブややカップ戦優勝チームなどが出場する東南アジア(ASEAN)クラブ選手権ACCの出場クラブが確定しました。
 このACCは2003年、2005年と既に2回開催されていますが、2003年大会はインドネシア、2005年大会はブルネイに各クラブが集まり、10日から2週間で完結する大会でした。しかし今年2020年から開催される大会は、3月から11月までの間にホームアンドアウェイ形式で行われる方式に変更になっています。
 なお、ACC2020年大会に参加するのは以下のクラブです。
・チェンライ・ユナイテッド(2019年タイリーグ優勝)
・プラチュワップFC(2019年タイリーグカップ優勝)
・バリ・ユナイテッド(2019年インドネシアリーグ1優勝)
・プルスバヤ・スラバヤ(2019年インドネシアリーグ1準優勝)
・ハノイFC(2019年ベトナムVリーグ優勝)
・ホーチミンシティーFC(2019年ベトナムVリーグ準優勝)
・シャン・ユナイテッド(2019年ミャンマーナショナルリーグ優勝)
・タンピネス・ローヴァーズ(2019年シンガポールプレミアリーグ優勝)
 以上8クラブは既にACC本戦出場が決まっていますが、この8クラブに加えてプレーオフを勝ち上がった2クラブが加わり、全部で10クラブがACCに出場します。なお、プレーオフに出場するのは以下の4クラブで、この中から2クラブが本戦に出場します。
・スヴェイ・リエンFC(2019年メットフォンカンボジアリーグ優勝)
・ラオ・トヨタFC(2019年ラオスプレミアリーグ優勝)
・セレス・ネグロスFC(2019年フィリピンフットボールリーグ優勝)
・インドラFC(2019年ブルネイスーパーリーグ4位)
 見出しにも書きましたがACC2020年大会にはマレーシアのクラブは出場しませんが、これはマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が既に明言していたので、特に驚くことではありません。FAMは当初からマレーシアからクラブを出場させる条件として、ACCがアジアサッカー連盟AFCによって公式に承認されることを求めていた他、2020年大会については国内リーグとの日程調整の難しさ、さらにはフル代表のワールドカップ予選前合宿などとの兼ね合いなどを理由に出場見送りを決めていました。
 FAMは、MFLの上位クラブをAFF主催の大会よりもAFC主催のAFCチャンピオンズリーグACLやAFCカップに出場させたい方針で、ACCがMFL3位のクラブにまで出場資格を広げるのであれば、出場を検討するとしていました。

2月11日のニュース:マラッカUはタイ人DFを獲得して外国籍選手枠が埋まる、JDTはいよいよ明日ACL初戦

マラッカUはタイ人DFを獲得して外国籍選手枠が埋まる
 マラッカ・ユナイテッドは5人目の外国籍選手としてナルポン・ワイルド・プッソーンの加入を発表しています。なおナルポン選手は東南アジア(アセアン)出身選手枠での契約となったいます。
 「ナザ」の愛称で呼ばれていると言うナルポン選手は、31歳でセンターバックあるいは守備的ミッドフィルダーでプレーする選手ということです。
 昨季はタイ1部リーグのナコーンラーチャシーマーFCでプレーしたナルポン選手ですが、2013年にプロ生活をスタートさせたのはバンコク・ユナイテッドFCで、その後はタイリーグの複数のクラブに所属しています。
 ナルポン選手は、先日行われたトレンガヌFC IIとのプレシーズンマッチに出場したものの、公式発表がなかったことから、サポーターの間で「謎の選手」とされていましたが、今回晴れてお披露目となりました。
(ナルポン選手入団を発表するマラッカ・ユナイテッドのFacebookより)

JDTはいよいよ明日ACL初戦
 マレーシアフットボールリーグの今季開幕は2月28日ですが、それに先駆けて、ジョホール・ダルル・タジムは、明日2月12日にアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLの初戦を迎えます。
 初戦の相手は昨季の天皇杯覇者ヴィッセル神戸で、敵地の御崎公園球技場(なぜかAFCチャンピオンズリーグの試合では、ノエビアスタジアム神戸の名称は「御崎公園球技場」となるそうです)での対戦です。
 試合前ということで今回は映像中心、文字少なめにしてみました。
(ヴィッセル神戸の公式サイトより)

昨季のJDTは、ACLグループステージでは鹿島アントラーズと同じグループに入り、1勝1敗と健闘しています。
下はJDTが鹿島を1-0で破ったホームの試合のダイジェスト(AFCの公式Youtubeチャンネルより)

こちらは鹿島に1-2と敗れたアウェイの試合のダイジェストです。(AFCの公式Youtubeチャンネルより)

こちらはヴィッセル神戸の試合前日記者会見映像(ヴィッセル神戸のFacebookより)

JDTは映像がないので記者会見と前日練習の写真だけです。(いずれもJDTのFacebookより)

2020.02.12追記-JDTのFacebookにも試合前練習と記者会見の様子がアップされているの、こちらも載せておきます。

2月10日のニュース:国内第2の金融グループがMFL1部の冠スポンサーに、スランゴールFCのホームに今季使用不可の可能性が浮上

国内第2の金融グループがMFL1部の冠スポンサーに
 
マレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトでは、マレーシア第2の金融グループCIMB社がMFL1部スーパーリーグの冠スポンサーとなることを発表しています。これにより今季2020年シーズンのMFL1部の名称はCIMBスーパーリーグとなります。
 MFLはマレーシア最大のマルチメディア企業テレコム・マレーシア社(TM社)と3年間にわたるスポンサー契約を結んだことを発表したばかりですが、今回の契約はそれに続く有名企業との契約となります。なおCIMB社はMFL開幕戦として開催される昨季2019年シーズンのスーパーリーグ覇者ジョホール・ダルル・タジムJDT対昨季のFAカップで優勝したクダFAが激突するスンバンシーカップの冠スポンサーになることも決定しています。
 CIMB社は、2016年のリオオリンピックのケイリン競技のメダリストでもある「ポケット・ロケットマン」ことアジズル・ハスニ・アウァンや、アジア人としてスカッシュの世界ランキング1位になったニコル・デイヴィッドなどマレーシア人アスリートを支援してきた他、自社のNPOであるCIMB基金を通じて様々なスポーツの草の根活動にも支援を行なっており、今季クダFAでプレーするハディン・アワンやPJシティーのコギレスワラン・ラジ、パハンFAのデニシュ・ラジャシンガムなど、MFLでプレーする選手の中にもこのCIMB基金の支援を受けたアカデミーの出身者がいます。
 この他、CIMB社の運営するCIMB銀行発行のクレジットカード利用者は、MFLの試合のチケットが割引になることも発表されています。。
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 他のメディアの報道によれば、MFLとCIMB社のスポンサー契約は2年のようですが、TM社に続きCIMB社のスポンサー額は公表されませんでした…
 また、TM社とCIMB社がそれぞれ冠スポンサーとなったTMマレーシアカップ、CIMBスーパーリーグ、CIMBスンバンシーカップと出そろったところで、気になるのがMFL2部プレミアリーグのスポンサー契約です。2016年から2018年まではスポーツドリンクの100プラスがスポンサーでしたが、今季はMFLが冠スポンサーとして政府系企業と交渉中という噂が出ています。
(下はCIMB社とのスポンサー契約を伝えるMFL公式サイトの告知)

スランゴールFCのホームに今季使用不可の可能性が浮上
 今季は2月28日に開幕するMFLに向けて、各クラブは最終調整に余念がありませんが、MFLも開幕に向けて各クラブの本拠地がリーグが規定する条件に適応しているかどうかの検査を行なっています。そんな中、スランゴールFCのホーム、シャーアラムスタジアムがMFLによる検査で不適合と評価されていることがわかりました。
 マレーシアの通信社ブルナマによると、シャーアラムスタジアムの観客席を覆っている屋根部分の一部が剥がれ落ちており、MFLのシャズリ・シャイク・モハマドCOOがスランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASに対して、リーグ開幕前までにこの状況の改善を要望したということです。
 シャズリCOOは、MFLの試合で使用される全てのスタジアムはリーグ開幕日の2月28日から最低でも1週間前までには試合開催の認可を受ける必要があり、シャーアラムスタジアムについては、後日、再度検査を行うと話す一方、この要望後も改善が見られなければ今季中のMFLの試合開催許可は出せないとしています。
 同じ記事の中ではFASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長へもインタビューが行われており、シャーアラムスタジアムの損傷については把握しているものの、その修理についてはFASの管轄ではない上、その予算もないとしています。
 シャーアラムスタジアムを管理するダルル・エーサン施設管理社(DEFM社)は数ヶ月前に屋根を修理する業者選定のための入札を行ったことは知っていると言うジョハン事務局長ですが、MFLによる査察とその状況改善の要望については承知していないと話しています。また万が一、シャーアラムスタジアムの使用許可が出ない場合には、スランゴールFCはMFLに協力して、他のスタジアムでホームゲームを開催するとしています。
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 先月1月に開催されたスランゴールアジアチャレンジ(SAC)では、観戦中に降り始めた雨が破れた屋根のすき間から吹き込んできたため、屋根の下にいるのに濡れてしまうという経験を私もしました。1994年完成のシャーアラムスタジアムは大掛かりな補修などはこれまでも行われていません。
 シャーアラムスタジアムが使えなくなる、と言う最悪の事態は避けたいところですが、万が一そうなった場合には、PJシティーFCのホームであるMBPJスタジアム、昨季までスランゴール・ユナイテッドがホームとしていたスラヤン市営スタジアム、UITM FCのホームであるUITMスタジアムなどが候補に上がっていますが、どれも満員になれば8万人収容となるシャーアラムスタジアムの代わりにはならず、上記のどのスタジアムで試合を行っても、スランゴールFCにとって収入面では大きなマイナスです。


 

2月9日のニュース:(速報)JDTがAFCカップ過去10年のベストクラブに選出、クラスニキは3月のWC予選出場が可能に、

(速報)JDTがAFCカップ過去10年のベストクラブに選出
 アジアサッカー連盟AFCが公式サイトで行っていたAFCカップ過去10年のベストクラブ投票に、マレーシアフットボールリーグMFLのジョホール・ダルル・タジムJDTが選ばれました!
 AFCの公式サイトで紹介されている投票結果では、総投票数81,192の内、JDTは総投票数の80%を占めてダントツの1位、以下アル・クウワ・アル・ジャウウィーヤ(イラク)が同12%、アル・カーディシーヤ・クウェート(クウェート)が同6%、以下アル・クウェートSCが同2%、アル・アヘド(レバノン)が1%となっています。
 JDTの選手やスタッフ、フロントの皆さん、おめでとうございます!
(下の写真はAFCのFacebookより、またJDTが優勝した2015年AFCカップ決勝の映像はAFCのYoutubeより)

クラスニキは3月のWC予選出場が可能に
 帰化選手になったばかりのリリドン・クラスニキ(JDT)は3月に再開する国際サッカー連盟FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に出場することが可能になった、英字紙スター電子版が伝えています。
 マレーシアサッカー協会FAM副会長で、フル代表のチームマネージャーを務めるモハマド・ユソフ・マハディ氏によると、3月26日に敵地で対戦するアラブ首長国連邦が、選手登録締め切り日の3月20日を前に、アルゼンチン出身のFWセバスティアン・ルーカス・タグリアブエ、ブラジル出身のFWカイオ・カネド・コレアとMFファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマの3名を出場選手登録したことから、FAMもクラスニキ選手を出場選手登録したようです。クラスニキ選手はこのUAE戦以外にもその後に予定されているヴェトナム戦(3月31日)、タイ戦(6月9日)にも出場が可能となります。(もちろんフル代表のタン・チェンホー監督がクラスニキ選手を招集すればの話ですが)
 試合当日にベンチ入りする選手の登録は、UAE戦の場合、前日の3月25日ですが、この日はクラスニキ選手がマレーシア滞在5年目が終了する日でもあることから、FAMはFIFAとの間でクラスニキ選手の登録を協議しているとしています。

2月8日のニュース:TMが正式にMFLのスポンサーに-試合のストリーミング配信も実施、マレーシアよりインドネシアで有名なマレーシア人コーチ、Jクラブへお勧めのCB3名

TMが正式にMFLのスポンサーに-試合のストリーミング配信も実施
 マレーシア最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア(TM社)は子会社のTMマルチメディア社TMMを通じて、マレーシアフットボールリーグMFLのメインスポンサーとなったことを、MFLの公式サイトが公表しています。
 今回のスポンサー契約期間は3年間で、TM社はマレーシアカップの冠スポンサーとなり、今季2020年シーズンからその名称がTMマレーシアカップとなることも併せて発表されています
 さらにTM社のインターネット接続事業部門Unifi(ユニファイ)のストリーミングチャンネルUnifi TVが、MFL1部スーパーリーグとマレーシアカップは全試合を、またFAカップは一部の試合をストリーム配信することも併せて発表されています。(MFL2部プレミアリーグのストリーム配信はないようです。)
 なお配信を観戦するには、Unifiと契約すればテレビはもちろん、携帯のアプリなどでも感染が可能なようです。またUnifiと契約しなくとも、試合観戦パックを購入することも可能で、価格は以下の通りとなっています。
・1試合観戦パス – 3リンギ(およそ80円)
・1ヶ月観戦パス – 15リンギ
・スーパーリーグ年間パス – 100リンギ
・FAカップ年間パス – 100リンギ
・マレーシアカップ年間パス – 50リンギ
・チームVVIPチームマレーシアパス – 120リンギ
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 最後の「チームVVIPチームマレーシアパス」の内容がどのようになっているのかは記事からはわかりませんが、スタジアムに足を運べば入場料が最低でも15リンギはするので、多くの試合を見たいサポーターにはお得な価格設定だと言えるでしょう。
 ちなみに昨季はNetflixの廉価版ともいえるiFlixがスーパーリーグやマレーシアカップの試合を無料で配信していたのですが、MFLの発表では「独占」放映権という表現も見られたので、今季の配信は行われない可能性が高そうです。
 なお別のメディアの報道では、TM社とのスポンサー契約発表会見に集まった報道陣からスポンサー金額についての質問が出た際、MFLのダト・ハミディン・モハマド・アミン会長はその金額についてMFL1部と2部の各クラブには伝えると話す一方で、メディアに伝える必要はないと公表を拒否したとのことです。以前このブログでも取り上げたTM社とMFLの大型スポンサー契約が頓挫(とんざ)したことから、MFLは少々神経質になっているのかも知れません。(ネット上では3年間で3000万リンギ(およそ8億円)といった噂もみられます。)
 またTM社に加えて、マレーシア第2の銀行グループCIMB社がカップ戦スポンサーに参入する噂も出ていますので、こちらも確定次第、取り上げたいと思います。

マレーシアよりインドネシアで有名なマレーシア人コーチ
 フル代表監督としてアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップで優勝経験もある元PKNS FC監督のラヤゴパル・クリシュナサミ氏が海外での指導を希望している、という話を取り上げた際、既に海外で指導しているマレーシア人コーチとして紹介したラジャ・イサ・ラジャ・アクラム氏を、サッカー専門サイトヴォケットFCがちょうど取り上げています。
 ラジャ・イサ氏がインドネシアへ来たきっかけは、前回も書いた通り元トレンガヌFCのイルファン・バクティ・アブ・サリム氏がインドネシアのパプア州にあるプルシプラ・ジャヤプラ監督として招聘(しょうへい)された際のアシスタントコーチを務めたことでした。
 ヴォケットFCのインタビューでは、2007年、プルシプラ・ジャヤプラは当時の監督だったブルガリア人のイヴァン・コレフがインドネシア代表監督に就任したことによって監督不在となり、招聘されたラジャ・イサ氏が自分の代わりにイルファン・バクティ氏を推薦し、自分がアシスタントコーチになったと話しています。
 「当時、自分はペルシス・ソロ(中央ジャワにあるクラブ)の監督に就任するつもりだったが、イルファン・バクティ氏に招かれて、共にプルシプラ・ジャヤプラを指導することになった」と話すラジャ・イサ氏ですが、イルファン・バクティ氏がマレーシアのプルリスFAの監督に就任することとなり、その半年後には、プルシプラ・ジャヤプラの監督に就任し、2007年のコパインドネシア(当時、現インドネシアンカップ)では、当時絶頂期だったスリウィジャヤFCにPK戦で敗れるも準優勝を果たします。
 その後は下のインフォグラフィックにもある通り、その後もラジャ・イサ氏は2015年から2016年までUITM FCの監督を務めた以外は、インドネシア1部から3部リーグまでの様々なクラブで指導を続けてきました。(インフォグラジックはヴォケットFCのサイトより)

 そんなラジャ・イサ氏によると、サッカーに対する関心はマレーシアとは比較にならないほど高いようで、例え3部リーグの試合であっても数千人の熱狂的なサポーターが集まるということで、毎試合スタジアムが満員になるクラブが数えるほどしかないマレーシアリーグと比べると、観客動員という点では、インドネシアに軍配が上がるようです。しかしその一方で練習施設や競技場といったインフラの面ではマレーシアに遅れをとっているということです。
 54歳のラジャ・イサ氏は、将来は代表チームの監督を目指したいと話しており、実際に2010年には東ティモール代表の監督就任の話もあったようですが、そのときは残念ながら実現しなかったようです。

Jクラブへお勧めのCB3名
 昨日取り上げた、日本のクラブがマレーシア人センターバックを探している、という記事を掲載したサッカー専門サイトのヴォケットFCが続報として、Jクラブへお勧めのセンターバック3選手を紹介する記事を掲載しています。
 東南アジアの選手にとって日本でプレーすることは競技レベルの高い環境でプレーできることだけでなく、ヨーロッパでプレーする飛び石にもなる、という書き出しで書かれた記事で紹介されているのは以下の3選手です。
1. アダム・ノー・アズリン(JDT、24歳)
 昨年の東南アジア競技大会シーゲームズでは、オーバーエイジ選手としてU22代表にも加わったアダム選手は、代表でも完全なセンターバックというよりも守備的ミッドフィールダーです。フル代表では準レギュラーと言った位置付けですが、JDTでは主力選手として活躍し、AFCチャンピオンズリーグACLで対戦したアウェイの鹿島戦でもフル出場し、日本のサッカーを体験している選手です。
2. シャルル・サアド(ペラTBG、26歳)
 現代表のセンターバックを務めるシャルル選手は、準優勝した2018年のスズキカップでも活躍し、今回のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選全てに出場しています。
3. ハリス・ハイカル(スランゴールFC II、18歳)
 マレーシアサッカー協会FAMが運営するエリート選手アカデミーのAMDを卒業し、スランゴールFCのBチーム、スランゴールFC IIに加入したばかりのハリス選手は、昨年2019年のAFF U18選手権準優勝に貢献しただけでなく、飛び級でU22代表に招集され東南アジア競技大会にも参加するなど最も期待されているディフェンダーで、守備だけでなく積極的な攻撃参加も魅力的な選手です。
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 日本のクラブ(探しているのはJ2のクラブらしいです)が求めるのが即戦力なのか、育成枠扱いなのかにもよりますが、個人的にはハリス選手にチャンスが巡ってくると良いですね。この年代は東南アジアでは良い成績を残している年代なので、高みを目指してほしいです。そしてフル代表になったときに、国内ではなく日本のクラブから招集される、なんてことになるとフル代表も強くなりそうです。