FIFAアセアン杯-マレーシアは10人のインドネシア相手に痛恨の引き分け

FIFAアセアン杯は9月29日に第2節が終了し、B組ではFIFAランキングで東南アジア1位のタイが2位のベトナムを2-0で破り、早々と決勝進出を決めています。その前日に行われたA組の第2節ではともに連勝を狙うマレーシアと大会ホストのインドネシアが対戦。数々の名勝負を産んできたヌサンタラダービーの名に恥じない熱戦を繰り広げました。


9月29日に行われたマレーシア対インドネシアの両チームの先発XIは以下の通りです。ちなみにマレーシアがジャカルタでインドネシアと対戦するのは2019年9月のW杯2022大会予選以来7年ぶりで、このときはマレーシアがインドネシアを3−2で破っています。(このときのシャフィク・アフマドはカッコよかったんだよなぁ。)


マレーシアは3-0と快勝した初戦のバングラデシュ戦からは、GKがハジク・ナズリ(クチンシティ)からシーハン・ハズミ(ジョホール)に代わった以外は変更なし。一方のインドネシアは、アメリカのセミプロリーグでプレーする身長196センチの大型FWミッチェル・ベイカーに代わり、MFトム・ハイェ(インドネシア1部プルシブ・バンドン)を起用、初戦のシンガポール戦に比べるとやや守備的な布陣です。

マラッカ海峡を挟んで隣り合う現在のインドネシアとマレーシアがある地域は、13世紀から16世紀にかけて栄えた最後の非イスラム王朝のマジャパヒト王国の影響下にありました。そこからこの辺りの「島しょ部」を表す語「ヌサンタラ」を引用して「ヌサンタラダービー」と呼ばれる両国の対戦は、両国に取って負けられない対戦です。

過去10試合の対戦成績はマレーシアの4勝1分5敗とほぼ互角です。直近のヌサンタラダービーは2021年12月の東南アジア選手権でしたが、これはインドネシアが本格的に帰化選手によるチーム強化を始める前の話。今日の試合がオール帰化選手によるガルーダ(インドネシア代表の愛称)との初の対戦となります。なおインドネシアの帰化選手が注目されますが、この試合のマレーシアの先発XIのうち、マレーシア生まれはファイサル・ハリム(スランゴール)、アリフ・アイマン、シーハン・ハズミ(いずれもジョホール)の3選手のみで、8名はやはり帰化選手(マレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手6名、マレーシアリーグで5年以上プレーした帰化選手2名-ブラジル出身のベルグソンとアルゼンチン出身のマヌエル・イダルゴ)です。


試合前の予想では、初戦のシンガポール戦でシュート数11対3、コーナーキック数11対0と圧倒的な攻撃力を見せたインドネシアをマレーシアの守備陣がどう抑えるか、が焦点とされていましたが、その予想通り、開始4分で前C大阪のジャスティン・ハブナーがゴール。しかしこれはマレーシアCBブラッド・タップへのファウルがあったとして認められませんでした。

そして34分にはアリフ・アイマンへのファウルでコ・ヒョンジン主審からトム・ハイェにイエローが出ますが、ここにVARが介入。結局、イエローがレッドとなりハイェ選手は1発退場となりました。5万6000人を超える大観衆の前で負けられないインドネシアのジョー・ハードマン監督はここで、シンガポール戦でゴールを挙げていたMFラグナー・オラットマンゲン(プルシブ・バンドン)に代えて、MFイヴァル・ジェナー(インドネシア1部デワ・ユナイテッド)へより守備的な布陣へとシフトします。

それでも前半終了間際には、前回の対戦でもゴールを決めているエルカン・バゴット(英国2部ミルウォール)のヘディングシュートがゴールポストに当たって外れるなど、マレーシアには運も味方しました。

後半に入っても、インドネシアはGKマールテン・パエス(オランダ1部アヤックス)が好セーブを連発、またバゴットを中心にDF陣もゴール前を固めて、ベルグソン(ジョホール)やファーガス・ティアニー(キプロス1部PACオモニア29M)らマレーシアの怒涛の攻撃をことごとく防ぎます。

結局、マレーシアはインドネシアの固い守備を最後までこじ開けることができず、両チームとも無得点で試合。千載一遇とも言える機会を逃した結果、マレーシアとインドネシアはともに勝点4で並びましたが、得失差でマレーシアが1位、インドネシアが2位、以下シンガポール、バングラデシュがA組の成績となっています。

マレーシアはバンドンへ移動し、明日10月1日にシンガポールとの「コーズウェイダービー」が控えています。またインドネシアはジャカルタに残り、ここまで未勝利のバングラデシュと対戦します。

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ちなみにこの試合終了後、サポーターの一部がシン・テヨン前監督の名を連呼する場面がありました。W杯アジア3次予選に進出するなど好成績を収めていた韓国出身のシン監督を、2025年1月にインドネシアサッカー協会(PSSI)が突然、更迭を発表しました。後任には、アヤックスやバルセロナで活躍した元オランダ代表のスター、パトリック・クライファート氏が2年契約で就任しました。PSSIは、同国代表にオランダ系の帰化選手が増えていたことから、円滑なコミュニケーションを期待しての抜擢であると説明しました。

クライファート監督の元、インドネシア代表はW杯アジア4次予選(プレーオフ)に進みましたが、サウジアラビア、イラクに敗れて敗退。この結果、2025年10月にクライファート監督も契約解除(解任)になっています。前体制のシン監督を評価していたファンからは、クライファート氏の就任後も「シン監督を戻すべきだ」という声が根強く上がっていましたが、この試合の引き分けで、それが再燃しかねない雰囲気でした。

これに反応したのがインドネシア代表のキャプテン、ケビン・ディクス(ドイツ1部ボルシアMG)でした。一部のサポーターがシン前監督氏の名前を連呼した行為に対し、「これは間違っている」と語り、サポーターのこの行為に失望し、残念だと試合後に語ったということです。

現在はインドネシアに戻り1部のプルシジャ・ジャカルタの監督を務めているシン監督ですが、代表監督して結果を残している中での解任劇だっただけに、一部のサポーターは、あのままシン監督が続投していればW杯出場が叶ったのでは、と考えているのかも知れません。

FIFAアセアン杯2026 プレミアディビジョンA組第2節
2026年9月28日@ゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム(ジャカルタ、インドネシア)
マレーシア 0-0 インドネシア

A組のもう一試合は、シンガポールがバングラデシュを1−0の僅差で破り、今大会初勝利を挙げています。

FIFAアセアン杯2026 プレミアディビジョンA組第2節
2026年9月28日@ゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム(ジャカルタ、インドネシア)
シンガポール 1-0 バングラデシュ
⚽️シンガポール:ハーヒーズ・スチュワート(35分)
シンガポールの仲村京雅選手は先発して86分に交代しています。

FIFAアセアン杯2026 プレミアディビジョンA組順位表(第2節終了

順位チーム試勝分負得失得失差勝点
1マレーシア21103034
2インドネシア21102024
3シンガポール210112-13
4バングラデシュ200204-40

プレミアディビジョンB組は、エースのグエン・スアン・ソンを欠いたベトナムとの全勝対決を制したタイが決勝進出を決めています。B組のもう一試合は、フィリピンがパキスタンとまさかの引き分け。この結果、タイが次戦のフィリピンとの試合に敗れて、ベトナムがパキスタンに勝利すると、タイとベトナムは勝点で並びます。今大会規定では、直接対決での勝点が多い方が上位となるため、この日の試合に勝利したタイが決勝進出となります。

FIFAアセアン杯2026 プレミアディビジョンB組第2節
2026年9月29日@シ・ジャラク・ハルパット・スタジアム(バンドン、インドネシア)フィリピン 2-2 パキスタン
⚽️フィリピン:サンドロ・レイエス(24分)、ビョルン・クリステンセン(32分PK)
⚽️パキスタン:アリ・アクバル・カーン(47分)、アブドル・シャーザド(62分)
フィリピンのポールとジェファーソンのタビナス兄弟はいずれも先発してフル出場しています。

FIFAアセアン杯2026 プレミアディビジョンB組第2節
2026年9月29日@シ・ジャラク・ハルパット・スタジアム(バンドン、インドネシア)
タイ 2-0 ベトナム
⚽️タイ:サーラット・ユーイェン(10分)、チャイヤポン・オットン(90+3分)

FIFAアセアン杯2026 プレミアディビジョンB組順位表(第2節終了

順位チーム試勝分負得失得失差勝点
1タイ22006066
2ベトナム210112-13
3フィリピン201123-11
4パキスタン201126-40