6月10日のニュース(2)
JDTオーナーのジョホール皇太子が職権縮小を発表
プノンペン・クラウンは1分2敗でマレーシア遠征終了

JDTオーナーのジョホール皇太子が職権縮小を発表

Mリーグ1部スーパーリーグのJDTはクラブ公式サイト上で、クラブオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が職権を縮小し、日常業務からは手を引くことを発表しています。

その理由として、ジョホール州皇太子として担う他の職務に専念するためと明かしたイスマイル殿下は、JDTとクラブの関係者に対して幸運を祈るというメッセージを送っています。

2012年にジョホール州サッカー協会の会長に就任したイスマイル殿下は、ジョホール州に本拠地を持つ2つのMリーグクラブを統合し、2013年シーズンからはJDTの前身ダルル・タジムFCとしてMリーグに参加させました。その後2015年にジョホール州サッカー協会の会長職を辞したイスマイル殿下は、2016年1月、まさにこの年のシーズン前日にJDTのオーナーに就任するとともに、JDTがジョホール州サッカー協会から完全に独立したプロクラブとなることも発表。クラブオーナーとして辣腕を振るった結果が、昨季2021年シーズンまでのスーパーリーグ8連覇という偉業につながっています。

イスマイル殿下の職権縮小はまさに青天の霹靂で、これが発表されたJDTのクラブ公式Facebookには2万5000件を超える反応と1300件を超える書き込みがなされるなど、マレーシアサッカー界にとっては「大事件」でしたが、その反響の大きさに応えるかのように、その後、クラブのテクニカルディレクターを務めるアリスター・エドワーズ氏名義で投稿が行われ、イスマイル殿下は今後もJDTの最大の株主として残り、選手獲得や契約などに関わらなくなるものの、施設や営業、財務などには関わると説明し、これまでのようにクラブの練習や試合に常に顔を見せることはなくなるものの、時間の許す限り練習場やスタジアムに足を運ぶだろうとしています。

プノンペン・クラウンは1分2敗でマレーシア遠征終了

マレーシア遠征中の昨季のカンボジアリーグ覇者プノンペン・クラウンFCは、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティとの練習試合を行い、1-5で敗れています。

プノンペン・クラウンFCは、同じスーパーリーグのトレンガヌとも6月4日と6日の両日に2試合の練習試合を行なっており、初戦は1-1、第2戦は1−3の1分1敗でした。

国際親善試合
6月8日(水)
KLシティ 5-1 プノンペン・クラウンFC
⚽️KL:パウロ・ジョズエ2、ケヴィン・クベンバ2、ロメル・モラレス
⚽️プノンペン:大瀬貴己
(下はプノンペン・クラウンFCの先発XI)

6月6日(月)@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 3-1 プノンペン・クラウンFC
⚽️トレンガヌ:エンク・シャキル、リズアン・ラザリ、ニック・シャリフ
⚽️プノンペン:サス・ロザク
(下は両チームの先発XIと試合のハイライト映像。映像はトレンガヌのクラブ公式YouTubeより。)

なお6月4日の試合のハイライト映像などはこちらです。

6月10日のニュース:
両代表に明暗 A代表はトルクメニスタンに勝利もU23代表は勝点0でアジアカップ敗退

A代表は格上トルクメニスタン相手に快勝

昨日6月8日にAFC選手権アジアカップ2023年大会最終第3次予選E組がクアラ・ルンプールで開幕し、FIFAランキング154位のマレーシアが同134位のトルクメニスタンを相手に3-1と快勝し、幸先の良いスタートを切っています。

マレーシアはこの予選前のウォームアップとなったブルネイ、香港と国際親善試合に連勝しており、共同開催となった2007年以来となるアジアカップ出場へ期待が高まる中、地元開催ということもあり、公式発表2万1951名の観衆がブキ・ジャリル国立競技場を埋めました。

ブルネイ、香港と試行錯誤しながら選手を起用したキム監督は、マレーシア監督代表就任後初の公式戦となったこの試合で以下の先発XIを起用しました。

GKファリザル・マーリアス(JDT)
DFマシュー・デイヴィーズ(JDT)
DFディオン・クールズ(ベルギー1部SVズルテ・ワレヘム)
DFシャールル・サアド(JDT)
DFラヴェル・コービン=オン
MFアザム・アジー(スリ・パハン)
MFシャマー・クッティ・アバ(JDT)
MFサファウィ・ラシド(JDT)
FWアリフ・アイマン(JDT)
FWダレン・ロック(PJシティ)
FWファイサル・ハリム(トレンガヌ)

所属するJDTでは、今をときめく右ウイングのアリフ・アイマンとポジションが被ることが以前ほどの出場機会を得られていないサファウィ・ラシドですが、キム監督はこの試合で、ダレン・ロックの後ろに控えるセカンドストライカーとして起用しましたが、マレーシアの1点目はまさにこの起用がが功を奏しました。11分には相手バスをカットしたサファウィ選手が右サイドを上がり、そこからアリフ・アイマンに預けると自身はゴール前へ。アリフ選手のクロスに走り込んだダレン・ロックには合わなかったものの、相手GKが弾いたボールを詰めていたサファウィ選手がゴール!代表チーム歴代最多タイとなる12ヵ国目を相手のゴールでマレーシアが先制します。

このゴールで押せ押せとなったマレーシアはさらに16分、相手ゴール前でDFの緩慢な動きからボールを奪ったアリフ選手が流したボールにファイサル・ハリムが反応、これを落ち着いて蹴り込んでマレーシアが2-0とリードを広げます。

しかしその直後からなぜか明らかにペースダウンしたマレーシアに対し、トルクメニスタンはDFシャルル・サアドの不用意なミスからボールを奪い、アルティムラト・アンナドゥルディエフが37分にゴールし1点差に迫ります。

このまま前半終了かと思われた45+2分には、自陣ペナルティーエリアの外でボールを奪ったラヴェル・コービン=オンが中央を長躯ドリブルで持ち上がりし、そのままペナルティエリアまで持ち込みシュート!これがDFが死角になった相手GKの反応が遅れ、そのままゴールイン。コービン=オン選手にとっては、2019年6月の東ティモール戦以来となる代表2ゴール目で再びリードを広げで前半を折り返します。

後半はDFラインの裏を撮られる場面が何度かあったものの、トルクメニスタンを無失点に抑えたマレーシアが勝点3を獲得しています。次戦の6月11日のバーレーン戦に向けて好発進となったマレーシアですが、前半途中からのペースダウンやチャンスを決めきれなかったダレン・ロックなど、課題も見えたマレーシア。ここまでの盛り上がりもバーレーンに敗れれば萎んでしまいかねませんが、そこは選手の奮起とキム監督の手腕に期待です。

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組@ブキ・ジャリル国立競技場
マレーシア 3-1 トルクメニスタン
⚽️マレーシア:サファウィ・ラシド(11分)、ファイサル・ハリム(16分)、ラヴェル・コービン=オン(45+2分)
⚽️トルクメニスタン:アルティムラト・アンナドゥルディエフ(37分)
🟨マレーシア(2):ダレン・ロック、モハマドゥ・スマレ
🟨トルクメニスタン(4):レスル ・ホジャエフ、アルティムラト・アンナドゥルディエフ、アブディ・バシモフ、グイチミラト・アンナグリエフ
🟥トルクメニスタン(1):アブディ・バシモフ(イエロー2枚目)

(下はマレーシアの先発XIと試合のハイライト映像。映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより)

最終第3次予選E組のもう1試合は、FIFAランキング89位とこのE組で最も高いランキングを持つバーレーンが同188位のバングラデシュを下しています。

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組@ブキ・ジャリル国立競技場
バーレーン 2-0 バングラデシュ
⚽️バーレーン:アリ・ハラム(34分)、カーミル・アル・アスワド(42分)
🟨バーレーン(2):アミーヌ・ベナディ、マハディ・アブドルラティフ
🟨バングラディシュ(2):ラキブ・ホサイン、ビシュワナス・ゴーシュ

AFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選E組順位(第1節終了時)

順位チーム得失差勝点
1マレーシア11003123
2バーレーン11002023
3トルクメニスタン100113-20
4バングラデシュ100102-20
U23代表は不可解な選手起用でグループステージ3連敗し敗退

韓国、タイに連敗し、すでにグループステージ敗退が決まっているマレーシアU23代表は最終戦となるベトナムU23代表との試合望み、0-2で敗れています。

ここまで2引分けで勝点2のベトナムは、勝点4の1位韓国、2位タイを上回るには、この試合で勝利あるのみでした、そんなベトナムに対してブラッド・マロニー監督は、今大会初スタメンとなるGKフィルダウス・イルマン(PDRM)を起用、さらに今大会初出場となるアイマン・アフィフ(クダ)とシャフィ・アズスワド(JDT II)を含めた7名をタイ戦から入れ替える大幅な選手変更を行なっています。

全力で勝ちにくるベトナムを相手に、一見するとまるで勝ちを放棄するかのような、全く意味不明な先発XIです。しかし17分には早くも選手交代を行いながら、結局、選手交代を3回しか行わなかったところを見ると、今大会中タイやベトナムも悩まされたという報道があった食中毒でベストメンバーを組めなかったのかも知れません

いずれにせよ、ベストメンバーでないマレーシアにとってはベトナムの壁は厚く、28分に先制を許したものの、採算のピンチをフィルダウス選手が好セーブで凌ぎました。しかし、前半終了間際には17分に交代出場したハイリー・ハキム(トレンガヌ)がペナルティーエリア内でハンドを取られて退場。10人となったマレーシアは何もできず、0-2で敗れています。

この結果、マレーシアは0勝3敗、得点1失点9勝点0の成績で2度目となったU23アジアカップを終えています。コロナ前の2019年のAFC U19選手権では、マレーシアはグループステージを0勝1分2敗で敗退、また自国開催となった2018年のAFC U16選手権もグループステージで1勝0分2敗と敗れておいます。この年代の主力はマレーシアサッカー協会FAMが共同運営する国内エリートアカデミー出身ですが、国内トップの選手で構成されるチームがここまでアジアどころか東南アジアの壁に跳ね返され続けており、A代表の強化を帰化選手頼りにしてきたFAMの責任が問われそうです。

AFC U23アジアカップ2022年大会
グループステージC組@ロコモティフ・スタジアム 
ベトナム 2-0 マレーシア
⚽️ベトナム:マン・ドゥン・ニャム(28分)、ブイ・ホアン・ヴィエット・アイン(45+8分)
🟨ベトナム(0)
🟨マレーシア(0)
🟥マレーシア(1):ハイリー・ハキム

C組のもう1試合は、韓国が接戦をものにして、タイを1−0で破りグループ首位で突破。敗れたタイはグループステージ敗退となっています。

AFC U23アジアカップ2022年大会
グループステージC組@ロコモティフ・スタジアム 
韓国 1-0 タイ
⚽️韓国:マン・ドゥン・ニャム(28分)
🟨韓国(1):ゴ・ヨンジュン
🟨タイ(0)

U23アジアカップ2022 グループステージC組最終順位表

順位チーム得点失点得失差勝点
*1韓国32106247
*2ベトナム31205325
2タイ31105324
4マレーシア300319-80
1位韓国と2位ベトナムがベスト8に進出