MFLがペラの追加の勝点剥奪処分を発表
Mリーグを運営するMFLは公式サイト上で、給料未払い問題の解決が遅れている2部プレミアリーグのペラに対して、勝点6が剥奪処分を科されたことを発表しています。
この発表によると、クラブライセンス交付を行う第一審期間FIBの決定を伝える形で、昨年11月の時点で申告されたトップチーム及びセカンドチームの首脳陣および選手の未払い給料が現在に至るまで支払われていないことに加え、今季契約している首脳陣および選手に対する未払い給料も支払われていないことによる処分ということです。
第1回目の支払い期限となっていた3月31日までに未払い給料が支払われなかったことから、ペラは既に今季リーグ戦の勝点3剥奪の処分を受けており、今回の処分を加えると合計で勝点9を剥奪されるという前代未聞の処分を受けています。
FIBのシーク・モハマド・ナシル委員長は、次の猶予として4月21日までに未払い給料の支払いが行われない場合には、FIBとMFL理事会でさらなる処分が課される可能性があると話しています。
ヴィダコヴィッチ監督退任のマラッカの新監督にタン前代表監督の名前が浮上
Mリーグ1部プレミアリーグのマラッカは、開幕から4試合で0勝1分3敗と勝ち星がなく、メディアに未払い給料問題についての不満を口にしたリスト・ヴィダコヴィッチ前監督がそれを咎められたことからチームを去ったことは、このブログでも紹介しました。
空席となったマラッカの後任監督候補にタン・チェンホー前代表監督の名前が上がっていると、マレーシア語紙のウトゥサン・マレーシアが報じています。
タン前監督は前任のデイヴ・ミッチェル氏が開幕直後に更迭された2014年4月から代表チームのコーチに就任した2017年4月まではクダFA(当時、現クダ・ダルル・アマンFC)で監督を務めています。2015年にはクラブを2部プレミアリーグで優勝させて1部昇格を果たし、翌2016年には昇格初年度で3位となるとともに同年のマレーシアカップで優勝を果たすなど、Mリーグでの実績も十分な人材であるのは確かです。
昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020での惨敗の印象が強いですが、就任以来7試合で1勝も挙げられなかったネロ・ヴィンガダ氏の代表監督辞任により、2018年12月にコーチから昇格したタン前監督は、その年のスズキカップでマレーシア代表を2大会ぶりとなる決勝進出に導き、さらに2019年のFIFAワールドカップ2022年大会予選でもインドネシアを破り、タイと引き分け、アラブ首長国連邦とは接戦を繰り広げるなど、マレーシア人監督としてトップクラスの評価を受けていました。
マラッカのオーナーで、中華系マレーシア人のジャスティン・リム氏はウトゥサン・マレーシアの取材に対して「Mリーグを熟知している経験豊富な指導者」をすでにリストアップしていると述べていることから、ウトゥサン・マレーシアはタン前代表監督がマラッカの新監督の最有力候補であると記事を結んでいます。
ジュニオール・エルドストールにJDT復帰の噂
タイ1部リーグのチョンブリーFCでプレーするDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)にJDT復帰の噂があると、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。
東マレーシアのサバ州出身の母親とスウェーデン人の父親を持つエルドストール選手は、スウェーデンと英国で育ちましたが、マレーシア国籍を取得し、マレーシア人選手登録で2013年にMリーグのサラワクFA(当時)に加入、2シーズンプレーしました。2015年にはJDTに移籍して2018年までプレーし、在籍3シーズンでリーグ優勝3回(2015年から2017年)、マレーシアカップ優勝1回(2016年)、FAカップ優勝1回(2017年)、そしてJDT初のアジアタイトルとなったAFCカップ優勝(2015年)も経験しています。
2017年シーズン終了後は背筋痛などを理由にJDTを退団し、引退していましたが、2019年に英国のアマチュアクラブで現役復帰すると、昨年2021年2月にはチョンブリーFCに加入し、センターバックとしてレギュラーポジションを獲得、さらに同年6月には3年振りにマレーシア代表にも招集され、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選にも出場していますが、初戦のアラブ首長国戦でアキレス腱を痛め(当時は腹部のケガと発表)、残るベトナム戦、タイ戦には出場できませんでした。
なおエルドストール選手は、今季タイ1部リーグでは2月10日の第21節スパンブリーFC戦以降はベンチ入りもしていません。
MリーグへのVAR導入は時期尚早-元FAM審判委員長
今季のMリーグはまだ第4節までしか終了していませんが、マレーシアサッカー協会FAMが認めたものも含めて多くの誤審がクラブやファンから失望や怒りを勝っています。この状況を改善するために、MリーグはVARを導入するべきだという声も大きくなっています。
マレーシア語紙シナルハリアンの取材に答えた元FAMの審判委員長のスブヒディン・サレー氏は「いくつかの誤審は審判の位置どりが悪いことが理由で起こっており、そういった場合にはVARにより異なる角度からプレーを検証することで正しい判定を下すことが可能になる。しかしそれ以外のケースについてはVARを導入したからといって誤審がなくなるものではない。」と説明し、そもそもMリーグはVAR導入の用意ができていないとコメントしてます。
FIFAワールドカップやU20W杯で主審を務めた経験もあるスブヒディン氏は、VARを導入すれば誤審がなくなるというのは全く誤った考えである、と前置きした上で、VARを使いこなすためには技術、経験、知識などを含め審判自身のレベルが一定以上であることが必要であると述べています。その上で正確な判定ができない審判がVARの映像を見ても、現在と同様の解釈、同様の判定しか望めず、同様の誤審は起こるだろうと述べています。
その上でスブヒディン氏は「(VARの画像として利用される)Mリーグのテレビ中継の映像はVARに採用するレベルに達していないが、それよりも前にまず、現在の審判の質の向上が最優先されるべきであり、技術的に十分なレベルに達するまで育成し続けていくことが必要だ。」と述べています。
今季のMリーグでは1部スーパーリーグでいずれもスリ・パハンが、クダ戦では同点ゴールをオフサイド判定で取り消され、またPJシティ戦では線審がオフサイドとしながら主審がこの判定を覆してPJシティの同点ゴールを認め、どちらの裁定もマレーシアサッカー協会FAMの審判委員会が試合後の検証の結果、誤審を認めています。
Mリーグでは審判の質については毎シーズン議論の対象になり、VARの即時導入が叫ばれており、隣国タイでは既に国内リーグでVARが導入され、インドネシア国内リーグも2022/2023年シーズンからの導入が検討されています。
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上記のスブヒディン氏がマレーシアサッカー協会FAMの審判委員長だった際には、審判のプロ化が計画され、20名ほどがリストアップされていましたが、新型コロナの感染が拡大するとそれを理由にプロ化計画の中断を発表しました。それ以降は何の進展もないようですので、スブヒディン氏が主張するようにプロ化も含めた審判の技術向上のための取り組みがVAR導入に優先されるべきことのように思います。