8月24日のニュース:Mリーグ再開に向けて1部スーパーリーグ展望Part1

Mリーグ1部スーパーリーグ展望Part1
 英字紙ニューストレイトタイムズはアジトパル・シン記者の署名記事で、8月26日から再開されるMリーグ1部スーパーリーグの展望を掲載していますので、今回はその記事の内容に便乗し、さらにボラセパマレーシアJP視点の(=素人感丸出しの)コメントをつけたものをお届けします。
 新型コロナウィルスの影響によって3月16日に中断して以来、およそ5ヶ月ぶりに再開されるMリーグ。今季2020年シーズンは従来のホームアンドアウェイ方式から1回戦総当たりとなり、無観客試合を条件に8月26日より再開されます。
 観衆がいないことによりホームチーム有利の常識は覆されるのか、リーグ6連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTの牙城を崩すチームは現れるのか、などシーズンは短縮されたとは言え興味は尽きません。それでは、シン記者の展望を見ていきましょう。なお順番はリーグ中断となった3月16日の第4節終了時の順位です。

1位 ジョホール・ダルル・タジムJDT(3勝1分0敗-勝点10)

<残り試合>*Aはアウェイ、Hはホーム
パハンFA(A)、ペラTBG(H)、トレンガヌFC(A)、スランゴールFC(H)、PJシティFC(A)、サバFA(H)、マラッカ・ユナイテッド(A)
<シン記者評>
 リーグ随一のスター軍団が、万が一7連覇を達成できなければ大きな失望となるが、その一方で一回戦総当たり方式とサポーターの不在がチームに影響を与える可能性もある。また、ここまで無敗できているものの、パハンFA、ペラTBG、トレンガヌFC、スランゴールFCなどリーグ上位との対戦が残っている。
 AFCチャンピオンズリーグを控えるJDTは、ベンヤミン・モラ監督が主力選手を中心にいわゆる「ローテーション」を導入して選手を入れ替える可能性もあるが、リーグ連覇のためには選手起用の失敗は許されない。
 Mリーグ自体よりもその価値が大きくなったJDTは国内リーグよりもACLのようなより大きな大会に集中すべきである。
<シン記者の今季順位予測>
 リーグ優勝
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 個人的に気になるのは、チーム練習に再開していないハリス・ハルン主将の状況です。膝の手術を受けた後、現在は母国のシンガポールで回復を待ち、チーム合流はリーグ再開直前になるということです。シンガポール代表の主将で、吉田達磨監督も全幅の信頼を寄せているというハリス選手はJDTでもチームの支柱であり、彼の回復が間に合わない場合、その穴はスター軍団といえ埋めるのは容易ではないでしょう。
 また、ここまで3勝1分の結果とは言え、相手は今季1部昇格組のUITM FCやPDRM FC、そして対戦時は明らかになってはいなかったものの、後に選手への給料が未払いであった(その結果モチベーションが低い可能性があった)クダFAにいずれも僅差で勝利しているだけで、リーグ5位のフェルダ・ユナイテッドとは引き分けるなど圧倒的な強さを見せつけたわけではありません。ACL前にチームが消耗しないように気を使いながらの選手起用を行う場合、残り7試合では1つでも取りこぼせば、それを挽回する余裕もないため、気の抜けない試合が続くことになりそうです。

2位 ペラTBG(2勝2分0敗-勝点8)

<残り試合>
マラッカ・ユナイテッド(H)、JDT(A)、UITM FC(H)、PDRM FC(A)、フェルダ・ユナイテッド(H)、パハンFA(A)、クダFA(H)
<シン記者評>
 ここまで無敗のペラTBGは、再開後もその調子を維持できれば打倒JDTの一番手になりうる。メフメト・ドゥラコビッチ監督はリーグが一回戦総当たりとなったことで、JDTの独壇場から各チームが同じ土俵に乗ったと考えており、二人合わせて5ゴールと攻撃陣を引っ張るシャレル・フィクリとギリェルメ・デ・パウラを筆頭に各ポジションに好選手が揃っており、第6節9月4日のJDTとの対戦に注目が集まる。
<シン記者の今季順位予想>
3位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 主力選手のMFブレンダン・ガンとFWノー・ハキム・ハッサンが共にスランゴールへ移籍した一方で、今季からMリーグの他のクラブから加入した外国籍選手のFWデ・パウラとMFチエリー・チャンタ・ビンが機能し、戦力ダウンを感じさせないメンバーで戦えているペラTBG。やはり注目はシン記者が指摘する9月4日のJDT戦です。リーグ中堅どころとの試合はすでに終えているペラTBGが、もしこの試合でJDTに勝利することがあれば、17年ぶりのリーグ優勝も見えてきます。

3位 トレンガヌFC(2勝1分1敗-勝点7)


<残り試合>
サバFA (H)、マラッカ・ユナイテッド (A)、JDT (H)、UITM FC (A)、PDRM FC (H)、フェルダ・ユナイテッド (A)、パハンFA (H)
<シン記者評>
 トレンガヌFCは過去4試合でリーグ最多の10失点と、守備陣の底上げがリーグ再開時の課題となる。攻撃陣は過去4試合で10ゴールを決めており、攻守のバランスが取れれば、今季注目のチームとなりうる。
<シン記者の今季順位予想>
4位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 8月22日のPJシティFC戦に勝利し、3位に浮上したトレンガヌFC。シン記者の指摘通り、得点も失点も多いこのチームは今季ここまで10得点と9失点で得失差+1ですが、過去の記録を見ても1部に昇格した2018年シーズンは得失差+1(32得点、31失点)で5位、2019年は同-2(35得点、37失点)で7位となっています。現在、6ゴールでリーグの得点王のFWドミニク・ダ・シルヴァ、FWリー・タック、MFサンジャル・シャアフメドフの外国籍選手を中心とした攻撃陣による得点は計算できるので、上位を狙うには守備陣が奮起し、このノーガードの打ち合いのような試合をどれだけ減らせるかが鍵になりそうです。 

4位 パハンFA(4試合-2勝0分2敗-勝点6)

<残り試合>
JDT (H), UITM FC (A), PDRM FC (H), フェルダ・ユナイテッド (A), クダFA (H), ペラTBG (H), トレンガヌFC (A)
<シン記者評>
 パハンFAの状況は謎に満ちている。チームは経営状況が厳しく、リーグ再開が決まった際には、今季の残りを辞退するという噂も出たほどで、今季終了後には多くの選手が放出されるという噂もある。選手の給料は支払われたということだが、チーム内のムードは決して良好とは言えず、ドラー・サレー監督がどれだけチームのやる気を引き出せるかがリーグ再開時の課題となる。
 今季の残り日程を見ると、PDRM FC戦以外は苦しい試合になることが予想される。
 Mリーグで最強のストライカーだったディクソン・ヌワカエメはかつての輝きを失っており、イヴァン・カルロスがその代役を務めることが期待される。
<シン記者の今季順位予想>
6位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 過去3シーズンは2位、4位、2位と安定した力を示す一方で、これまでJDTのタイトル争いを脅かすことがなかったパハンFA。モハマドゥ・スマレ、アザム・アジーと代表のレギュラーMF2人を抱えるなど、各ポジションに人材が揃っていますが、このチームは少ない得点を全員で守り切って勝つスタイルなので、リーグ再開後は守備陣の活躍に注目です。
 シン記者が指摘している通り、スマレ選手には来季、JDT移籍の噂もあり、クラブ経営が苦しいのであれば、中途半端に上位を目指さず来季以降を目標にして、思い切った若手の登用に舵を切るのも面白いかも知れません。

Mリーグ再開!第5節前の未消化試合 1部スーパーリーグ第4節1試合結果および2部プレミアリーグ第2節1試合結果

 3月16日より中断していたMリーグが再開しました。本日8月22日(土)の試合は、3月15日(日)に予定されていながら順延されていた1部スーパーリーグ第4節のPJシティFC対トレンガヌFC戦と、3月7日(土)に試合直後に雷雨のため順延となった2部スーパーリーグ第2節のUKM FC対ケランタンFAの2試合が行われました。以下結果です。
(ホームチームが左側です。)

8月22日(土)
MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 0-2 トレンガヌFC
得点者:トレンガヌ-ドミニク・ダ・シルヴァ2(30分、72分)
 リーグ中断前までの3試合で4ゴールを挙げ、得点王争いのトップに立っていたドミニク・ダ・シルヴァがこの試合でも2ゴールを挙げ、トレンガヌFCが快勝しています。
 この結果、トレンガヌFCは2勝1分1敗の勝点7で8位から3位に浮上、一方のPJシティFCは1勝1分2敗の勝点4となり10位のままです。

MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
UKM FC 1-5 ケランタンFA
得点者:UKM-アカニ・サンデイ(45分+2分PK)、ケランタン-ハキム・アブドラ3(27分、53分、89分)、フェリックス・チディ2(66分、80分)
 報道によると厳しい財政状況により、本拠地のケランタン州コタバルから8時間かけてバスで移動してきたというケランタンFAが、ハキム・アブドラのハットトリックを含む5ゴールでUKM FCに圧勝し、2勝1分1敗の勝点4(ケランタンFAは、未払い給料問題により勝点3を剥奪されています。)10位から7位と一気に順位を上げています。4月から選手への給料が未払いとなっていることが報じられているケランタンFAは、ケガで主将のナズリ・ナフィを欠き、遠征メンバーも19人ながら、闘争心は失っていないことを結果で示しました。
 また、この試合でハットトリックを達成したハキム・アブドラは本来はプレジデントカップ(U21)チームの選手ということですが、今季のプレジデントカップは新型コロナの影響で中止になっており、災い転じて福となす、と言ったところでしょうか。
 一方のUKM FCは7位から順位を一つ下げて8位となっています。
 なおケランタンFAのDF渡邉将基選手は、スタメンでフル出場していますが、74分にイエローカードを出されています。
(写真はケランタンFAの公式Facebookより。写真一番左側がハットトリックを決めたハキム・アブドラ選手)