ケランタン州サッカー協会は来季へ向けて1000万リンギが必要
マレーシアの通信社ベルナマのポータルサイトは、ケランタン州サッカー協会KAFAは、KAFAが統括するレッドウォリアーズことケランタンFAの来季2020年のマレーシアフットボールリーグMFL参加に向けて、1000万リンギ(およそ2億5900万円)が不足していると報じています。
今年7月の会長選で当選したワン・アブドゥル・ラヒム・ワン・アブドラ会長のもと、来季はフロントも一新して臨むことになっているKAFAですが、退任したビビ・ラムジャニ・イリアス・カーン前会長のもとでMFLに参戦した今季は、資金不足による選手への給料未払い問題や、全ての在籍外国籍選手のシーズン途中での解雇などによって、戦力ダウンを強いられ、ケランタンFAは今季MFL2部11チーム中10位となっています。
その状況からMFL上位進出を目指すための戦力補強、さらにはMFL以外のカップ戦参戦の費用なども含めると、来季に向けて必要な資金として1000万リンギという金額になっているようです。
KAFAのフセイン・デラマン事務局長は、マレーシアサッカー協会による来季のクラブライセンス交付が決定すれば支援の意思表示をしているスポンサーがあるとして、クラブライセンス獲得に向けて問題解決に取り組んでいるとしています。
しかし同じベルナマのポータルサイトでは、数日前に54万リンギ(およそ1400万円)の給料未払いでKAFAを告発したかつての在籍選手モルガロ・ゴミス(セネガル)と未払い給料の支払いで交渉中と伝えられ、さらには複数のマレーシア人選手およびスタッフの所得税、従業員積立金EPF(マレーシアの年金にあたる)、従業員社会保障SOCSOなどの支払いをKAFAが今月末までに終える予定であると報道していますが、こういった問題が解決しなければ、各クラブが身の丈に合った経営を行うために来季2020年から導入される経済コントロールプログラムECPの規定に抵触する可能性があり、KAFAにはクラブライセンスを交付されない可能性があります。
ラーキンでの記憶に残る5試合
マレーシア版Goal. comでは、「ラーキンでの記憶に残る5試合」と題した記事を掲載しています。このラーキンとは、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグ6連覇中のジョホール・ダルル・タクジムJDTが2013年から今季2019年まで本拠地としていたタン・スリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム、通称ラーキンスタジアムのことです。なおJDTは来季2020年のシーズン前に建設完了予定のスルタン・イブラヒムスタジアムにホームを移し、ラーキンスタジアムはJDTのBチームでMFL2部プレミアリーグに所属するJDT IIの本拠地となります。
JDTの現オーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が2013年初頭にオーナーに就任した際には、酷い状況だったとされるラーキンスタジアムはその後の改修を経て、マレーシアでもトップクラスのスタジアムとなっています。そんなラーキンでは国内リーグやカップ戦だけでなく、アジアサッカー連盟AFCカップやチャンピオンズリーグなども開催されており、Goal. comはそういった試合の中から5試合を厳選しています。
2013年1月11日 JDT1-0ペラTBG
前身のジョホールFCからリブランディングされたJDTとして初めてラーキンスタジアムで行われたのがこの試合でした。試合は現在もJDTに在籍するアイディル・ザフアンのゴールで記念すべきホーム初勝利を飾っています。
当時のクラブにはサフィク・ラヒム(現在はマラッカ・ユナイテッド所属)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(同パハンFA)、サフィー・サリー(同プタリンジャヤシティーFC)、ザクアン・アドハ(同クダFA)、アイディル・ザフアンらが在籍し、今に劣らないスター軍団で、このチームを率いたのはシンガポールの英雄ファンディ・アーマド監督(現シンガポールU22監督)でした。
JDTとなって初めて迎えたこのシーズンでは、リーグ戦は3位、FAカップでは決勝進出という結果を残しました。
2014年6月20日 JDT3-0ケランタンFA
この試合は、この年のJDTのホーム最終戦でした。MFL首位のJDTは2位のスランゴールFAに勝点1差まで迫られていましたが、この試合をアミルハディ・ザイナル(現在はJDT II所属)、ナズリン・ナウィ(同マラッカ・ユナイテッド)、そして現在はJDTのマネージャーを務めるルシアーノ・フィゲロアのゴールで勝利し、同じ日にサラワクFAを破ったスランゴールFAとの勝点差を守りました。
最終節となった次戦アウェイのサラワクFA戦でも勝利し、MFL優勝の初タイトルを獲得したJDTは、これがリーグ6連覇の始まりとなりました。
2015年8月2日 JDT1-1サウスチャイナFC(香港)
JDTとなってから初めての出場となったAFCカップの準々決勝第1戦は、ルシアーノ・フィゲロアがPKを決めて先制するも、追いつかれて引き分けに終わった試合でした。しかしアウェイとなった準々決勝第2戦に3-1と快勝して、JDTは準決勝にコマを進めました。
しかし同年10月に政府の干渉があったとして、クウェートサッカー協会が国際サッカー連盟FIFAによる資格停止処分を受けたことから、同国のアル・カーディシーヤSCとの準決勝はJDTの不戦勝となり、JDTはAFCカップの決勝に進出しました。そしてイスティクロル・ドゥシャンベ(タジキスタン)との決勝戦ではレアンドロ・ベラスケスの決勝ゴールで1-0と勝利し、AFCカップ初優勝を飾っています。
余談ですが、この年限りでJDTを退団したレアンドロ・ベラスケスは、今季2019 年にJDTに復帰しています。
2017年10月21日 JDT3-0ペラTBG
前年までで既にリーグ3連覇を果たし、2016年にはFAカップにも優勝していたJDTにとって、マレーシアカップだけが手にできていない国内タイトルでした。第1戦を敵地で1-1と引き分けてむかえたマレーシアカップ準決勝第2戦のこの試合は、ゴンザロ・カブレラの2ゴールとガブリエル・ゲラ(現在はPKNS FC所属)のゴールでペラTBGを破り、決勝に進出しました。
決勝ではクダFAを2-0で破り、マレーシアカップ初優勝を遂げています。
2019年5月8日 JDT1−0鹿島アントラーズ
今季2019年、初めてAFCチャンピオンズリーグACL本選からの出場を果たしてJDT。ラーキンスタジアムでのACL初開催となった3月12日の慶南FC(韓国)戦では1-1の引き分けでACL初の勝点1を挙げました。続く4月24日の山東魯能泰山FC(中国)戦は0ー1で敗れ、迎えたホーム第3戦のこの試合でJDTは前年のACL王者、鹿島アントラーズを現在のフル代表のエースと言っても過言ではないシャフィク・アーマドのゴールで破って嬉しいACL初勝利を記録しています。
ACL初出場で予選グループGでは1勝1分4敗という結果に終わったJDTですが、サザンタイガーズ(南の虎)の愛称通り、ACLに爪痕は残せたと思います。来季2020年はアウェイでの勝点獲得を目標に頑張ってもらいたいです。