5月24日のニュース:FAMはFAと各クラブの分離を目指す、MFLはプロ審判の今季導入を見送る

FAMはFAと各クラブの分離を目指す
マレーシアサッカー協会FAMは、各州のサッカー協会(FA)とそれぞれのFAが運営するクラブとが分離して運営されるような仕組みを2021年までに周知したいとしていると、マレー語紙ハリアン・メトロのオンライン版が伝えています。
 FAとクラブの分離、と言うとよくわからないかも知れませんが、これはマレーシアのプロサッカーチームのほぼ全てが各州のFAによって運営されている、と言う特殊な事情と関連しています。このブログでは、マレーシアフットボールリーグMFLの試合結果を伝える際、スランゴールFA対パハンFA、と言った表現を使っています。それはそれぞれのプロチームの運営母体がスランゴール州サッカー協会であったり、パハン州サッカー協会であるからです。しかも、多くの州サッカー協会のトップは各州の州知事が会長を務めています。例えて言えば、東京都の小池百合子都知事が東京都サッカー協会の会長を務め、東京都サッカー協会がFC東京を運営しているようなものと言えばわかりやすいでしょうか。
 州名プラスFAという名称のMFL参加クラブ、これは上記のスランゴールFA、パハンFAの他に、プルリスFA(現在は城名処分中ですが)、クダFA、ペナンFA、ケランタンFA、KLFA、ヌグリ・スンビランFA、サバFA、サラワクFAがありますが、これらは全てが各州のFAにより運営されているチームです。またペラTBG、トレンガヌFC(およびトレンガヌFC II)、マラッカ・ユナイテッドの各クラブはFAの名前はついていませんが、それでもこれらのチームのペラ州、トレンガヌ州、マラッカ州のFAから運営資金が出ています。
 ついでに言えば、PKNS FC、PKNP FC、PDRM FC、フェルダ・ユナイテッドはそれぞれスランゴール州開発公社、ペラ州開発公社、マレーシア王立警察、マレーシア連邦土地開発庁といった官公庁が運営するクラブ、UTIM FCとUKM FCはそれぞれ大学が運営するクラブ、スランゴール・ユナイテッドはスランゴール州マレー人サッカー連盟、プタリン・ジャヤ(PJ)シティFCはマレーシアインド人サッカー連盟が運営しています。
 MFLの中では、ジョホール・ダルル・タクジム(JDT)とJDT IIのみが、州のサッカー協会(ジョホール州サッカー協会)から全く独立した形で運営されている唯一のクラブです。(ちなみにJDTのオーナーはジョホール州の皇太子トゥンク・イスマイル・スルタン・イブラヒム殿下です。)そんなJDTが他のチームを差し置いてMFL5連覇を果たしているのも、こういった面も大いに関係しているのではないでしょうか。
 州FAがクラブを運営することの問題は、ジュニアやユースの育成や、州内リーグの運営、審判や指導者育成などに使われるべきFAMからの助成金が、各州FAが運営するクラブに所属する有力選手や外国人選手の給料に当てられてしまう点にあります。このブログでは複数のクラブの給料未払い問題を何度か取り上げましたが、この運営方法では、州FAが資金不足になれば選手だけでなく州全体のサッカーの発展にも影響が出てしまいます。またサッカー素人の州知事やその取りまきが、州FAの会長や関係者としてクラブの運営に介入するなど他の問題も起こっています。
 FAMのモハマド・フィルダウス・モハメド執行委員は、プロクラブライセンスプロジェクトチームを発足させ、各州FAを回って各クラブをFAの管理下から分離するよう、FAMの計画を説明していきたいとしています。

MFLはプロ審判の今季導入を見送る
同じマレー語紙ハリアン・メトロのオンライン版によると、MFLはプロ審判導入について、予算の都合上、導入見送りを決めたことを、MFLの会長を務めるTMJことジョホール皇太子トゥンク・イスマイル・スルタン・イブラヒム殿下が発表しています。
 殿下はこの決定は、3月のテレコムマレーシアTMによるスポンサー契約破棄の影響を受けているとしています。「TMによる契約破棄により、あらゆる計画が影響を受けており、イングランドFAや英国プレミアリーグ審判などとも話し合いを続けてきたものの、一時的には見送らざるを得ないとし、予算不足の問題が解決すれば、日本からも審判を小へすることも含めた計画を再開するとしています。
 TMとの8年間総額4億8000万マレーシアリンギ(約130億円)の大型スポンサー契約はわずか1年ほどの今年3月で契約破棄となりましたが、これは昨年5月の総選挙で1957年のイギリスから独立以来、政権を担っていた国民戦線が政権を失い、その結果、多くの政府系企業(GLC)で人事や経営方針の見直しが行われました。その影響を受けた企業の中にはこのTMも含まれており、契約破棄は政治的な要素もあるとされています。
 またTMのスポンサー契約破棄は、MFL格クラブへの助成金交付の遅れにもつながっていますが、先日これについてクダFAの会長でクダ州知事でもあるムクリズ・マハティール氏(名前から分かる通り、マハティール・モハマド現マレーシア首相の長男です)が、この遅れには何か別の意図があるのでは、と言った発言をしたところ、過去30年間、各チームは情勢機などもらってこなかったにも関わらず、今回数ヶ月の遅れを問題にすることこそ別の意図があるのではとTMJが反論しています。スルタンの権力を縮小しようとしてきたマハティール首相と物言う皇太子TMJは犬猿の仲であることはマレーシアでは周知の事実ですが、TMの契約破棄には現政権の意向を反映しているとされており、それに不満のTMJと父親に代わってスルタンの既得権益縮小を目指す息子の対決、と言った図式も見え隠れします。

5月22日のニュース:JDTは今日ACLの最終戦、背番号を変えてスーパーリーグに臨む新外国人選手

JDTは今日ACLの最終戦
今シーズン初めてアジアサッカー連盟AFCチャンピンズリーグACL本戦に出場したジョホール・ダルル・タクジム(JDT)が、今日、韓国の慶南FCのホームでACLグループステージ最終戦を戦います。
 前節5月8日に行われたホームでの対鹿島アントラーズ戦では、歴史に残るACL初勝利を挙げたJDTですが、グループEでの順位は1位山東魯能泰山(3勝2分0敗-勝点11)、2位鹿島アントラーズ(2勝1分2敗-勝点7)、3位慶南FC(1勝2分2敗-勝点5)に続く4位(1勝1分3敗-勝点4)となっています。1位の山東魯能泰山はすでにグループスタージ突破が確定していますが、最下位のJDTを含めた残り3チーム全てに2位になる可能性があり、各グループの上位2チームが進むノックアウトステージ進出の可能性が残っています。
 ノックアウトステージへJDTが進むためには、まず慶南FCに勝ち、さらに鹿島が山東魯能泰山に敗れることが条件です。ACLは勝ち点で並んだ場合の順位決定規定として、
1. 当該チーム同士の対戦における勝ち点の多少(JDTと鹿島の対戦結果は1勝1敗)
2. 当該チーム同士の対戦における得失点差(両チームとも得点2、失点2で得失点差±0)
3. 当該チーム同士の対戦における、ゴール数の多少(両チームとも得点2)
4. 当該チーム同士の対戦における、アウェーゴール数の多少(JDT1、鹿島0)
となっており、JDTが勝ち、鹿島が負ければそのスコアに関わらず、規定4)により、JDTがグループEの2位でノックアウトステージに進みます。
 グループスタージ突破が確定している山東魯能泰山が、アウェイとなる鹿島戦に主力を投入してくるかどうかは疑問ですが、JDTはとにかく目の前の試合に勝って、少しでも可能性を残しておきたいところです。
 マレーシアのメディアの中には、突破の可能性が限りなく低いことから、この日曜日5月26日におこなわれるマレーシアフットボールリーグMFL第15節、3位のクダFA戦にベストメンバーで臨めるよう、主力選手をベンチに置く布陣を進める最初から敗者の発想のなんとも情けない記事を掲載するオンライン版メディアもありますが、大方の予想を覆す勝利を見せてもらいたいものです。

背番号を変えてスーパーリーグに臨む新外国人選手
5月2日から始まっているトランスファーウィンドウ期間中に、シンガポールリーグのタンピネスローバーズからMFL1部スーパーリーグのフェルダ・ユナイテッドへ移籍してきたシンガポール代表のカイルル・アムリ・カマル。3月にクアラルンプールで開催された親善大会エアマリンカップでは、マレーシア代表を倒したシンガポール代表のメンバーでもありました。
 移籍直後のマレーシアFAカップ準々決勝、対クアラルンプール(KL)FA戦に先発スタメン出場したものの、試合中に肩を痛め24分に途中交代しています。その後、ケガの回復が遅れスーパーリーグの試合も2試合に欠場、その間チームはマラッカ・ユナイテッドに0-6と大敗、その翌節もトレンガヌFCと1−1と引き分け、順位は最下位に低迷しています。
 このカイルル選手が背番号を変更したいとしていると、マレーシア語紙ハリアン・メトロのオンライン版が伝えています。
 カイルル選手は2010年にインドネシアリーグのプルシバ・バリクパパンへ移籍した経験があり、その際にはデビュー戦でのゴールを含めて、23試合で9ゴールを挙げるなど活躍しましたが、シーズン中に足の一部筋肉断裂により、7ヶ月ほど試合に出場できない状況が続いた結果、契約期間を終了しないままシーズン途中での対談となりました。そしてプルシバ・バリクパパン時代につけていた背番号が9でした。そして今回フェルダ・ユナイテッドでもKLFAとのデビュー戦では背番号9をつけて出場したカイルル選手は、やはりケガでその後の試合を欠場することになったことから、背番号を9から他の番号へ変えることを決めています。
 なお本人の希望は19だったようですが、これはすでにチームメイトのクリスティ・ジャヤセランがつけているため、まだ新背番号は決まっていないようですが、今週末のMFLでは、新たな背番号をつけてカイルル選手が見られそうです。