4月9日のニュース<br>クダ州首相は州政府予算でクダFCの未払い給料支払いの補填を使わないと明言

クダ州首相は州政府予算を選手の未払い給料支払いに使わないと明言

昨季の給料未払い問題が未だ解決せず、5月の今季開幕前にも関わらず既に勝点3の剥奪処分を科せられているクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)。マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は今月20日までに未払い給料の完済方針が明確にならない場合には、今季のスーパーリーグ参加に必要なクラブライセンスの取り消し処分もありうるとしています。そんな中でクダ州のムハマド・サヌシ州首相は、民営化されたクダFCに対してクダ州政府の予算から未払い給料の補填などを行うことはないことを改めて明言しています。

これを報じた英字紙ニューストレイツタイムズによると、クダ州サッカー協会の会長でもあるサヌシ州首相は、クダ州サッカー協会が運営していたクダFCが民営化されて以来、州政府は既に1600万リンギ(およそ5億1000万円)を支援していると述べて、一部のサポーターから出ている「州政府の支援が不十分だ」という批判を一蹴しています。

「クダ州政府にとってこの1600万リンギはかなりの金額である。(州政府として)この金額をクダFCの支援か、貧困家庭の支援か、どちらに使うのが良かったのかを考えてみれば、それは当然、貧困家庭の支援に使うべきなのは明らかだった。」と述べたサヌシ州首相は、クダFCの支援に必要な資金は他で探すべきと述べて、州政府の予算を倒産しそうなので民間企業の給料支払いに使われること無いのと同様に、サッカー選手の給料を支払うために使われるべきでないという主張を繰り返しています。

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「イスラム国家の樹立」を目標に掲げる超保守系政党で国政野党の汎マレーシア党(通称PAS)出身のサヌシ首相は、国政与党系政党が政権を担当するスランゴール州のスルタン、さらにアンワル・イブラヒムマレーシア首相を非難するなどの扇動罪容疑で逮捕された経験を持つ他、連邦憲法を改正して隣接する、やはり国政与党系政党が政権を担当するペナン州をクダ州帰属の州であると記載すべきだと述べなど、政府与党やイスラム教徒のマレー系と他民族間の対立を煽るような問題発言をたびたび行うことで有名です。今回のクダFC支援拒否も、元はと言えば前クダ州首相兼クダ州サッカー協会会長が国政与党出身で、その前政権が作った負債の責任を負うことを拒んでいることが原因ではあるものの、州政府の公金を使ってプロサッカークラブを雲煙するというこれまでの習わしを断ち切ろうという姿勢は間違っていないように感じます。(とは言え、そのカリスマ性からPAS指導部の中でも重要な政治家であるサヌシ氏が、批判者からは一般的に「マレーシアのトランプ」と呼ばれている点も忘れてはいけませんが。)

このブログでも何度か来ましたが、州代表同士の対抗戦という形で始まったマレーシアのサッカーは、州政府と州を代表するクラブチームを運営する州サッカー協会の関係が強く、上で取り上げたサヌシ氏のようにこれまでは州首相が州サッカー協会を兼ねることが珍しくありませんでした。このため国内リーグの各クラブは真剣にスポンサー探しを行わなくとも、州政府から提供される資金で運営が可能でした。これは州議会多数による指名制で決定する州首相にとっても公的資金を注ぎ込んでの州を代表するクラブチームを強化すれば集票につながるとして、この仕組みは常態化していました。

しかし2019年にFIFAの指導を受けたMFLが州政府からの公的資金に頼らず民間企業をスポンサーとする「クラブの民営化」方針(州サッカー協会「州FA』所有から民営化された「フットボールクラブ(FC)」とすることを「FAからFCへ」方針とも呼ばれました。)を打ち出したことで状況は一変します。公的資金が投入されなくなった各クラブは、それまでの州サッカー協会による運営から、新たなオーナー企業探しに奔走することになります。ちなみに古い記録を見ると現在のスランゴールFCがスランゴールFAと書かれているのは、この「FAからFCへ」方針による変更です。

公的資金による支援を徐々に減らし完全民営化に移行する「FAからFCへ」の方針は間違えてはいなかったものの、実施したタイミングは最悪でした。翌2020年初頭には新型コロナが猛威を振るい始め、3月には国内全土に活動制限令が発令され、州を跨いでの移動が全面禁止となり、2月末に開幕していた国内リーグは数節を終えたところで中断されます。9月に再開したものの1回戦総当たりで1部スーパーリーグは各クラブがわずか11試合しかできませんでした。大幅な試合数減に加え、このシーズンはリーグが再開した9月以降は無観客試合で行われた結果、各クラブの入場料収入に大きなダメージがありました。さらにコロナ対策で各州政府が当初の予算にはなかった支出を強いられたことで、クラブチーム支援のために組まれていた公的資金もコロナ対策に振り分けられた結果、各クラブの財政が逼迫し、給料の遅配、そして未払いという流れができてしまいました。さらにこの流れはさらに2021年も続き、その年の運営資金で前年の未払い給料を支払うという自転車操業でやりくりするクラブの中から、2023年シーズンにはマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCが、そして今季2024/25シーズンにはクランタンFCが、いずれも給料未払い問題未解決を理由にクラブライセンスが発給されず、スーパーリーグに出場することが認められませんでした。

クダFCと同様に未払い給料問題を抱えていたKLシティFCは、本拠地のある連邦直轄地クアラルンプール市役所からの「広告費」という限りなく公金投入に近い支援や、「後援者」であるファーミ・ファジル通信相の尽力などにより、問題を解決して、スーパーリーグ残留を決めていますが、「クラブ経営に困ったら政治家に頼めばなんとかなる」という図式が解消されなかった悪例とも言えるでしょう。

なお今季のスーパーリーグはクランタンFCの不参加により13チームと奇数の編成となっています。各節で試合のないチームが必ず1つできてしまうことを考えると、自ら資金調達ができないクラブはまずはそこから再建してもらい、12チーム編成とするのもマレーシアのサッカーの未来のためには決して悪いことではないと思いますが、果たしてどうなるでしょうか。

4月7日のニュース<br>マレーシア人祖母を持つイーサン・ウィートリーがマンUのトップチームの練習に参加<br>年代別オランダ代表の経験があるフェルディ・ドゥルイフはマレーシア代表入りへ向けて帰化申請準備<br>W杯2次予選最終戦までブキ・ジャリル国立競技場で開催のコンサートに制限<br>域内最大のECプラットフォームのショッピーが東南アジアクラブ選手権の冠スポンサーに

マレーシア人祖母を持つイーサン・ウィートリーがマンUのトップチームの練習に参加

英字紙ニューストレイツタイムズは、英国1部プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドU18でプレーするFWイーサン・ウィートリーがトップチームの練習に参加していると報じています。ウィートリー選手は祖母がスランゴール州出身で、マレーシア代表でもプレーする資格を持つ選手です。

この記事によると昨季のU18プレミアリーグでは5ゴール(出場6試合)を決めるなど将来が有望視されているウィートリー選手は、エリック・テン・ハフ監督の目に留まり、今回の練習参加がきまったということです。なお、今年18歳になったばかりのウィートリー選手はマンUのトップチームでの試合出場はまだありません。

マンチェスター南東のストックポートで生まれ育ったウィートリー選手ですが、祖母の影響もあり、幼い頃には家族とともにクアラ・ルンプールへ旅行をしたことが何度もあると話しているようです。

年代別オランダ代表の経験があるフェルディ・ドゥルイフはマレーシア代表入りへ向けて帰化申請準備

また同じニューストレイツタイムズは、オランダU17、U18、U20の各代表でプレー経験があるフェルディ・ドゥルイフがマレーシア代表入りを希望していると報じています。

前述のウィートリー選手同様、祖母がマレーシア生まれというドゥルイフ選手は190cmのストライカーで、オーストリア1部SKラピード・ウィーンから今季はオランダ1部PECズヴォレへ期限付きで移籍しています。今季は出場15試合(先発11試合)で5ゴール2アシストを記録していますが、今年の1月以降は膝のケガにより14試合で出場がありません。

26歳のドゥルイフ選手はマレーシア代表でプレーすることを熱望していると述べていますが、現在は祖母がマレーシア生まれであることを証明するための書類を用意している最中だということです。

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3月のW杯予選でオマーンに2連敗したマレーシアも、このハイブリッド帰化選手が10名含まれていましたが、国外組はタイ1部でプレーするDFディオン・コールズだけでした。ヨーロッパなどレベルの高いリーグでプレーしているハイブリッド帰化選手がいるわけではないマレーシアがW杯予選でオマーンに2連敗したのとは対照的に、好成績を収めているのがインドネシアです。

自国にルーツを持つハイブリッド帰化選手の大量加入により、これまで2勝しかしていなかったアジアカップでは初のベスト16入りインドネシア。先月の2026年W杯アジア2次予選の対ベトナム2連戦では、スペインの年代別代表の経験があるDFジョルディ・アマト(ジョホール・ダルル・タジムFC)やオランダU20代表経験を持つ20歳のDFジャスティン・ハブナー(セレッソ大阪)など9名のハイブリッド帰化選手を招集してベトナムに連勝しています。

今回のW杯予選ではアマト、ハブナー両選手の他、MFジェイ・イツェス(イタリア2部ヴェネツィアFC)、DFネイサン・チョエ・ア・オン(オランダ1部SCヘーレンフェーン)、DFサンディ・ウォルシュ(ベルギー1部KVメヘレン)、MFイヴァル・ジェナー(オランダ1部ユトレヒトU21)、MFトム・ハイェ(オランダ1部SCヘーレンフェーン)、FWラファエル・ストライク(オランダ2部ADOデン・ハーグ)、FWラグナル・オラトマンゴエン(オランダ1部フォルトゥナ・シッタート)といったハイブリッド帰化選手を揃えたインドネシアですが、この他にもアジアカップ2023ベスト16のオーストラリア戦に先発してフル出場した198cmのCBエルカン・バゴット(英国3部ブリストル・ローヴァーズFC)もおり、こういったハイブリッド帰化選手の加入によりインドネシアは直近のFIFAランキングでも8位上がって134位となり、順位を6つ下げて138位となったマレーシアに代わって東南アジア3位となっています。

かつてはセリエAのインテルやメジャーリーグサッカー(MSL)のD. C. ユナイテッドのオーナーでもあったインドネシア人実業家エリック・トヒル氏が2023年にインドネシアサッカー協会(PSSI)会長に就任したことで、インドネシアのかつての宗主国オランダを中心にヨーロッパへ移住したインドネシア人の血を引くハイブリッド帰化選手獲得が加速しています。またインドネシアが二重国籍を認めていないこともあり、若い選手や下部リーグでプレーする選手に接触して帰化を勧める戦略も功を奏していると言えそうです。

W杯2次予選最終戦までブキ・ジャリル国立競技場で開催のコンサートに制限

マレーシア代表のホーム、ブキ・ジャリル国立競技場を運営するマレーシア・スタジアム社(PSM社)は、2026年W杯アジア2次予選最終戦となる台湾戦が開催される6月11日までは、ピッチ上にコンサート用施設の建設を行わないことを発表しています。

この措置は台湾戦に向けてピッチの状態を最善にすることが目的であると発表したPSM社は、5月25日にブキ・ジャリル国立競技場で予定されているインド人音楽家ハリス・ジャヤラジのコンサートについてはフィールドエリアは使用せず、トラックエリアで開催されるとしています。

また4月27日に予定されているマンチェスター・ユナイテッドFCとリヴァプールFCのレジェンドが対戦するただのOB戦「バトルオブザレッズ」は、予定通り行われるものの、それ以外の興行は何も行われないということです。

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昨年のマレーシアカップ決勝、そして今年のW杯予選と注目を集める試合で酷い状態のピッチしか用意できなかったPSM社はその維持管理能力が批判され続けており、これ以上の批判を避けるための措置と言えそうです。とは言え、以前もこのブログでも取り上げましたが、同様のコンサートを開催しながら素晴らしいピッチを維持できているタイのラジャマンガラ競技場もあり、年に数試合しか行われない代表戦のために何もイベントが開けない国利競技場となるのであれば、それはそれで運営に問題があると言わざるを得ません。

域内最大のECプラットフォームのショッピーが東南アジアクラブ選手権の冠スポンサーに

2005年開催されていなかった東南アジアクラブ選手権が、シンガポールに本社を持つ東南アジア最大の電子商取引(EC)プラットフォームである「ショッピー」が電子商取引(EC)プラットフォームである「ショッピー」が冠スポンサーとなり「ショッピーカップ」として開催されることが、東南アジアサッカー連盟(AFF)の公式サイトで発表されています。

2005年の第2回大会でタンピネス・ローヴァーズFC(シンガポール)が優勝して以来、2022年、そして昨年2023年と開催の話が出たものの立ち消えになっていたこの大会ですが、AFFの公式サイトによるとこのショッピーカップについて、東南アジア初の公式クラブ選手権としていることから、過去2回の大会は無かったことになっているようです…。

AFFの公式サイトによると、ショッピーカップにはベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアからは各2クラブが、シンガポールとフィリピンからは1クラブがそれぞれが出場、またミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイ各国の代表クラブは残る2つの出場枠をプレーオフで争います。そしてこの2クラブを含めた全12クラブが7月17日から始まるグループステージでは2つのグループに分かれて1回戦総当たりを行い、各グループの上位2チームがそれぞれ準決勝に進みます。なお準決勝と決勝はいずれもホームアンドアウェイ方式で行われということです。なおグループステージの組み合わせ抽選は、来月5月に予定されています。

なおマレーシアからは昨季マレーシアカップ準優勝のトレンガヌFCとFAカップ準優勝のKLシティFCが出場することをマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が既に発表しています。(マレーシアカップ、FAカップとも昨季のリーグチャンピオン、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が優勝していますが、JDTはACLエリートに出場するため、この大会には出場しません。)

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私も日頃からお世話になっているShopee(ショッピー)は、マレーシアやシンガポールでは、競合するラザダ(Lazada)などを抑えて人気No.1のECプラットフォームです。タイやインドネシアでもTVCMなどを見たことがあるので、おそらく同様の知名度だと思います。この大会が近づくにつれて、各国を代表するクラブのユニフォームなどをまとめて販売する特設サイトなどができるといいなぁ。

4月6日のニュース<br>アジア杯出場のU23代表は練習試合で中国U23代表に1-2で敗れる<br>クダFCは開幕前に勝点3剥奪-今後次第では今季リーグ出場停止処分の可能性も<br>サッカー協会は中傷目的のメールについて警察に告発せず<br>今季のリーグ公式球はプーマのオービタMFL1に決定

アジア杯出場のU23代表は練習試合で中国U23代表に1-2で敗れる

今月15日にカタールで開幕するAFC U23アジアカップ2024に出場するマレーシアU23代表は、カタールで中国U23代表と練習試合を行い、1-2で敗れています。なおこの両チームは昨年12月、マレーシアU23代表の監督がE・エラヴァラサン氏からフアン・トーレス氏に交代した直後に行なった上海遠征で2度対戦しています。初戦はマレーシアU23代表がハリス・ハイカル(スランゴールFC)のロスタイムのゴールで1-0で勝利、2戦目はアリフ・イズワン(スランゴールFC)がゴールを決めたものの1-2で敗れて1勝1敗となっていました。

カタール大学のフィールドで非公開で行われた4月4日の試合は、鹿島アントラーズの下部組織在籍経験を持つウィグル族のAifeierding Aisikaer(中国1部武漢三鎮FC)がこれを決めて中国U23が先制すると、前半はそのまま中国U23が0-1とリードして前半を終了します。

後半に入ると、ジョホール・ダルル・タジムFC U23のFWファーガス・ティエニーが61分にゴールを決めてマレーシアが追いつきますが、85分に再び中国U23代表がPKを得ると、Aifeierding Aisikaerがこの試合2点目のゴールを決めて、中国U23代表が逆転すると、そのまま試合は終了し中国U23代表がマレーシアU23代表を破っています。

マレーシアU23代表はU23アジアカップ2024では、ウズベキスタン、ベトナム、クウェートとともにD組に入っており、4月17日にウズベキスタンU23と、4月20日にベトナムU23と、そしてグループステージ最終戦となるクウェートとは3月23日に対戦します。

注)この記事を書く際、中国サッカーに詳しいZZさんが書かれたNOTE「U20アジアカップ 中国U20代表紹介」と「翻訳記事:U20中国代表のウイグル族選手たち」を参考にさせていただいています。ZZさんにはこの場を借りてお礼を申し上げます。

クダFCは今季開幕前にもかかわらず勝点3剥奪-今後次第では今季リーグ出場停止処分の可能性も

5月の開幕まであと1ヶ月を切ったマレーシアスーパーリーグですが、昨季から続く給料未払い問題の対応が不十分だとして、クダ・ダルル・アマンFC(クダFC)に対してシーズン開幕前にもかかわらず勝点剥奪処分が科されることが発表されています。’

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は公式サイトで、第一審機関(FIB)のシーク・モハマド・ナシル委員長名の声明を掲載し、3月30日までに未払い給料完済までの方針を明らかにすることができなかったとして、クダFCに対して勝点3剥奪処分と罰金5万リンギ(およそ160万円)を科すと発表しています。

またシーク・モハマド委員長は、今月20日の午後5時までに未払い給料完済の方針について選手側と合意できない場合には、今季のスーパーリーグ参加に必要なクラブライセンスを無効とすることも発表しています。

またシーク・モハマド委員長はクダFCと同様に未払い給料問題を抱えていたKLシティFCについて、期限となっていた3月30日までに完済の方針について選手側と同意ができたことを発表しています。この結果、KLシティFCは今季のスーパーリーグ参加が確定しています。

サッカー協会は中傷目的のメールについて警察に告発せず

マレーシアサッカー協会(FAM)は、3月31日の年次総会前に国内メディアや監督官庁である青年スポーツ省などに送られた匿名の中傷目的のメールについて、警察に告発しない方針を決めたと、英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

この記事によるとFAMは警察に告発する代わりに、独立した調査委員会を設置して調査を行うということです。年次総会後の記者会見でFAMのハミディン・アミン会長は事務局長の職権濫用や代表チームへの不十分な支援、ナショナルトレーニングセンター建設の不透明な入札手続きなどを糾弾する内容のメールについて、警察に告発することを検討中と話していましたが、痛い腹を探られたくないのか方針を転換したようです。

FAMのユソフ・マハディ副会長は、すべての職員から聞き取り調査を行い、一人一人の考えや不満を聞き出したいとしています。またナショナルトレーニングセンターの不透明な入札に関して国民に否定的な印象を持たれることがFAMがもっと懸念していることだと述べる一方で、ユソフ副会長はマレーシア腐敗防止委員会(MACC)からの聞き取りがあったかどうかを問われると、自身は事務方ではないのでその件は何も承知していないと話しています。

今季のリーグ公式球はプーマのオービタMFL1に決定

マレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、今季2024/25シーズンのスーパーリーグ公式球としてプーマ社のオービタMFL1が採用されることを公式サイトで発表しています。

2022年のアクセラレート21.1プロ採用から3年連続でプーマ社のボールが公式中となったスーパーリーグですが、今季はマレーシアカップ100周年記念に当たることもあり、マレーシア国旗でも採用されている赤色、黄色、白色、青色が組み合わされたデザインのオービタMFL1は、プーマ社の統治代理店アクティブスポーツの店舗でも購入可能で、価格は599リンギ(およそ1万9000円)ということです。

4月5日のニュース<br>FAM年次総会関連-中傷目的のメール送信者を告発へ・会長はキム監督の辞任および解任はないことを言明・会長がキム監督からの要望に答えられなかった理由を説明・会長は自身の給与について個人的な問題と批判を一蹴<br>最新FIFAランキングでマレーシアは順位を6位下げて138位

FAM年次総会-中傷目的のメール送信者を告発へ

3月31日に行われたマレーシアサッカー協会(FAM)の第60回年次総会を前に、FAMの幹部と運営を中傷する目的の電子メールが国内メディアや青年スポーツ省などに送られた件について、FAMのハミディン・アミン会長はマレーシア通信マルチメディア委員会 (MCMC)と協力して、そのメールの発信者を特定した上で警察に告発する可能性を示唆しています。

ハミディン会長は「このような(中傷目的の)メールが毎日送られれば、我々も疲弊してしまう。そこでMCMCの強力で発信者を特定したいと考えており、されに理事会は警察への告発にも同意している。メールの内容に疑わしい点があれば、(FAM内の)公正委員会委員長に提起したい。」と年次総会後の記者会見で述べています。

また問題のメールで指摘されたナショナルトレーニングセンター建設の入札の過程が不透明であるという指摘についても、「FAMは自身の設けたSOP(標準業務手順)だけでなく、アジアサッカー連盟AFCのSOPにも沿っており、会計に関することは全て該当する(FAM内部の)委員会の承認を得て行なっている。」と説明しています。

さらにハミディン会長はこの匿名のメールの申し立てには根拠がなく、FAMの評判を失墜させようとする悪意のある個人攻撃であると非難するとともに、こう言ったメールが送られたことに失望しているとも話し、FAM内部での聞き取り調査を行うことを検討していることも明かしています。その上で、FAM内部にこの匿名のメールに関わる人物がいた場合には適切な処分も行うとしています。

またこのメールでその職権濫用を名指しで非難されたノー・アズマン・ラーマンFAM事務局長は、批判された内容については何も答えるつもりがないとした上で、自身を非難した人物を糾弾するのではなく、許したいと話しています。

問題のメールでは、ノー・アズマン事務局長の職権濫用の他、職員の給与と手当決定の不透明な仕組み、FAMによる代表チームに対する不十分な支援、ナショナルトレーニングセンター建設計画入札過程の不透明さの4点についてFAMに内在する問題を指摘していました。

FAM年次総会-会長はキム監督の辞任および解任はないことを言明

この年次総会の数日前には、キム・パンゴン代表監督とコーチ陣がFAMに対して自分たちが必要とされていない場合には辞任の用意があるという内容の手紙が送られたと封じられた件について、マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、そう言った内容の手紙をキム監督から受け取った事実はないと話し、キム監督が辞任をする予定も、FAMがキム監督を解任する予定もないと明言しています。

ハミディン会長は、SNSを中心に流布した噂は2026年W杯アジア2次予選でオマーン代表に連敗したマレーシア代表についての議論を引き起こそうという意図があったと指摘し、キム監督自身がそのような意図はないと否定し、W杯アジア3次予選進出と2027年アジアカップ出場権獲得という当初の目標を目指していると説明しています。

また3月26日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で行われたW杯アジア2次予選第4節オマーン代表戦にポー・マルティコーチがベンチ入りしていなかった件については、第3節のオマーンで行われた試合の後、体調を崩して入院していたことが理由であり、ポー・マルティコーチが代表チームのコーチングスタッフから外れたという一部で噂されていたことを否定しています。

FAM年次総会-会長がキム監督からの要望に答えられなかった理由を説明

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、当地メディアや関係各所に送られた中傷目的の電子メールで、W杯予選に臨む代表チームに対してFAMが十分な支援を行なっていないという指摘について「避けられない技術的問題」があったとして反論しています。

ハミディン・アミンFAM会長は、代表チームがW杯予選に臨む準備としては「最適なものではなかった」ことは認めながらも、予選前の準備期間がFIFA国際マッチカレンダー外だったことから選手を代表チームに招集できなかったことが問題の根元にあると述べ、その結果として当初予定していたアラブ首長国連邦(UAE)での合宿と練習試合が実現しなかったと説明しています。「キム監督は3月のW杯予選再開を前にUAEや他の国での合宿と最低でも2試合の練習試合実施を要望し、FAMもその実現に尽力したが、(国内リーグの)Mリーグの複数のクラブが選手の代表合宿参加を拒否したことで、合宿を行えるほどの選手の確保ができなかった。またFIFAカレンダー外だったため、他国の代表との練習試合も行えず、止むを得ず(W杯予選の対戦国)オマーン入りを早めた。」と説明しています。

またキム監督が求めていた5月に予定されている2024/25シーズンのMリーグ開幕を早める件についても、リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が行っていた準備を遅らせるとして受け入れることができなかったと述べています。

FAM年次総会-会長は自身の給与について個人的な問題と批判を一蹴

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、当地メディアや関係各所に送られた中傷目的の電子メールで、職員の給与と手当決定の仕組みが不透明という指摘について、具体的な金額は私事だと述べて

このメールの中で自身の給与が9万リンギ(およそ280万円)とされたハミディン会長は、総会後の記者会見でこれに関する質問が出ると、2018年から会長についていることで、様々な手当を受け取っていると述べる一方で、給与の額は私事であり、明らかにするつもりはなく、そこまで質問するのはやりすぎだと怒気を含んだ声で回答したということです。

前会長のジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下(現ジョホール・ダルル・タジムFCオーナー)が王室の人間がFAMに関与するべきではないと意見が出た後、辞意を表すと、FAMは日本や韓国、タイやベトナム同様に常勤の会長を持つべきだと提言し、後任に2013年からFAM事務局長を務めていた自分を推挙したと説明したハミディン会長は、さらにイスマイル殿下が同時に幾つかの手当についても提案し、FAM総会で承認さレたことで、現在の会長職についたと述べています。

最新FIFAランキングでマレーシアは順位を6位下げて138位

最新のFIFAランキングが発表され、先月3月の2026年W杯アジア2次予選でオマーンに連敗したマレーシアは15.63ポイントを失い、総ポイント数が1,094.54となった結果、前回発表の2月の132位からランキングを6位下げて138位となっています。

ちょうど1年前の4月のFIFAランキング発表でも138位だったマレーシアは、国際Aマッチとして行われた昨年9月の中国戦やシリア戦に引き分け、11年ぶりに開催されたムルデカ大会では、やはり格上のインドを破っています。また昨年11月のW杯予選でも格上のキルギスを破り、昨年12月のFIFAランキング発表では130位まで順位を上げており、2001年以来23年ぶりの120位代入りが見えていました。

しかし年が明けた1月のアジアカップ2023では、ヨルダンとバーレーンに敗れると、韓国とは引き分けたものの、2月のランキング発表では132位となっていました。そして先月3月のオマーン戦連敗で今回138位となり、1年間で元の位置に戻った格好になります。

東南アジア内では、前回のFIFAランキング発表でベトナムに代わって1位となったタイがアジア101位でトップを堅持し、ベトナム(アジア115位)がこれに続いています。そしてアジアカップ2023ではベスト16進出、W杯予選ではトルシエ監督率いるベトナム相手に2連勝するなど好調のインドネシアが3位(アジア134位)に浮上しています。ちなみにマレーシアがインドネシアにFIFAランキングで負けるのはおよそ5年ぶりです。なお東南アジア5位以下はフィリピン(アジア141位)、シンガポール(同155位)、ミャンマー(同163位)、カンボジア(同179位)、ラオス(同190位)、ブルネイ(同194位)、東ティモール(同198位)と続きます。

4月2日のニュース
スランゴール退団のブレンダン・ガンはKLシティ加入が決定
スランゴールのガーナ出身CBはペナンへ期限付き移籍
PDRMにはカザフスタンリーグのチームメート2名が加入

中傷的な手紙がメディアに投下されるなど、開会前から話題が多かった昨日のマレーシアサッカー協会(FAM)年次総会の内容を取り上げたかったのですが、今日の午後になってもまだ記事が次々と出ており、今日中に読み終わりそうにないので、こちらは明日以降に取り上げ、今日は遺跡に関するニュースです。

スランゴール退団のブレンダン・ガンはKLシティ加入が決定

昨季はスランゴールFCでキャプテンを務めながら、シーズン終了後に退団していたブレンダン・ガンがKLシティFCに加入することがクラブ公式SNSで発表されています。代表でもプレーするガン選手は、アジアカップ2023から先日の2026年W杯アジア2次予選にも所属クラブなしの状態で出場していました。なお、ガン選手については、これまでスリ・パハンFC入りが濃厚と封じられていましたが、家族の性格なども考慮してクラン・バリー(クアラルンプールを中心とした首都圏)に残ることを決め、さらにその決断にはさほど時間がかからなかったと述べています。

36歳のガン選手は、昨季末に退団しジョホール・ダルル・タジムFCに加入したものの、今季は期限付きでKLシティFCに移籍したデクラン、ラインのランバート兄弟、タイでもプレー経験があるニック・スウィラッド(スリ・パハンFCから加入)、昨季はクダ・ダルル・アマンFCでプレーし、やはり2シーズンぶりの復帰となるK・パルディバンらとともに新戦力として、今季のスーパーリーグに臨みます。

この他、KLシティFCは元代表GKハフィズル・ハキムが3部リーグのハリニ・スランゴールFTから加入したことを発表しています。代表戦8試合に出場経験があるハフィズル選手は30歳で、スーパーリーグのペラFCやペナンFCなどでもプレーし、昨季は3部M3リーグのハリニ・スランゴールFTでリーグ戦24試合中22試合に先発して全てフル出場しています。KLシティには代表GKのアズリ・ガニがいますが、控えとなっていたU23代表GKアジム・アル=アルミンをスランゴールFCに放出しており、経験豊富なハフィズル選手の獲得で選手層は暑くなりそうです。

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2020年に加入したスランゴールでは4シーズンで79試合に出場し、13ゴール15アシストという記録を残しており、昨季もキャプテンを務めたガン選手の退団はサッカーファンを驚かせました。これについてガン選手は、KLシティFC加入が決まるとその真相を明らかにしています。「2023シーズン終了後、2024年シーズンの成功を継続するために、自分の将来についてスランゴールFCと話し合う機会が与えられることを楽しみにしていたが、残念ながら、スランゴールFCの経営陣は私がチームに残るために話し合ったり、交渉したりする余地を与えてくれなかった。」と投稿し、退団が不本意なものだったことを明らかにしています。

ともに首都圏に本拠地を持つKLシティFCとスランゴールFCの対戦は「クラン・バリー・ダービー」と呼ばれ、昨季もサポーターが衝突してケガ人が出るなど激しいライバル関係で有名なカードです。近年は2021年マレーシアカップ優勝から3季続けてカップ戦の決勝に進んでいるKLシティFCに対して、タイトル争いに絡むことがないスランゴールFCという図式になっていました。今回のガン選手の移籍は遺恨とは言わないまでも、ガン選手のSNS投稿を見る限りではモヤモヤが残る移籍のようですので、今季のクラン・バリー・ダービーの良いアクセントになりそうです。

スランゴールのガーナ出身CBはペナンへ期限付き移籍

スランゴールFCはガーナ出身のDFリッチモンド・アンクラがペナンFCへ期限付きで移籍することを発表しています。2022年5月にガーナ1部のアクラ・ライオンズFCからスランゴールFCのU23チーム、スランゴールFCIIに移籍したリッチモンド選手は24歳で、190cmと長身が魅力のCBです。昨季はトップチームのスランゴールFCで4試合、U23チームのスランゴールFC IIで6試合にいずれも先発してフル出場しています。

なおペナンFCはキャプテンのCBラファエル・ヴィトール(ブラジル)が昨季から残留し、新加入でベトナムリーグでのプレー経験があるFWロドリゴ・ディアス(ブラジル)と2名の外国籍選手がおり、リッチモンド選手が3人目の外国籍選手となります。昨季はヌグリスンビランFCでプレーしたU23代表GKシーク・イズハンもスランゴールFCからペナンFCに期限付き移籍しています。

PDRMにはカザフスタンリーグのチームメート2名が加入

昨季は11勝6分11敗で8位に終わったPDRM FCは、ナイジェリア出身のDFフェイス・フライデー・オビロルとMFチディ・オスチュクウの加入を発表しています。33歳のオビロル選手は189cmの長身CB、一方オスチュクウ選手は30歳のMFで両選手とも昨季はカザフスタン1部のFKアクスでプレーしており、このFKアクスでは昨季は帯ロル選手は26試合に、オスチュクワ選手は22試合に出場しているということです。

昨季のPDRMには24試合に出場したやはりナイジェリア出身の長身のCBジェイムズ・オクウォサがいましたが、今季は同じスーパーリーグのクチンシティFCと契約しており、オビロル選手の獲得でその穴が埋まっています。またオスチュクワ選手はU20W杯にも出場経験があり、今季の指令塔として期待されています。

PDRM FCの外国籍選手は、昨季は11ゴールを挙げてチーム得点王となったFW鈴木ブルーノ、ヨルダン代表MFファディ・アワド、ミャンマー代表DFチョー・ミン・ウーの3名が残留しています。

4月1日のニュース
キム代表監督の去就に関する報道を国営メディアが行うも本人が即時否定
本日のサッカー協会年次総会を前に協会を中傷するメールがメディアや関係各所に送信される

マレーシア代表、そしてマレーシアサッカー協会を揺るがすニュースが先週末からマレーシアサッカー界隈を賑わせています。いったい誰が何をしようとしているのでしょう。

キム代表監督の去就に関する報道を国営メディアが行うも本人が即時否定

一連の報道のきっかけとなったのは、「キム・パンゴン監督とコーチ陣が、現在の代表チームのの状況に失望し、退任する準備ができている」とSNS上で流れていた噂レベルの話をマレーシアの通信社ブルナマが3月30日に正式に報じたことでした。この記事によると『代表チームに近い情報筋』からの話として、キム監督とコーチ陣がマレーシアサッカー協会(FAM)に対し、自分たちの貢献がこれ以上必要ない場合、補償金を受け取れば、契約解除に応じる用意があることを書面で知らせてきた、というものです。なおFAMとキム監督およびコーチ陣との現在の契約は2025年1月までとなっています。

さらにブルナマは、「私に伝えられたのは、キム監督とコーチ陣が書面で、もし(契約の解除が)すぐに行われるなら、自分たちそのは準備ができており、補償金として3ヶ月分の給料を要求している」という『情報筋』の話とともに、キム監督とコーチ陣による今回の申し出が、代表チームに起こったいくつかの問題に対する失望と不満から生じた可能性があるという『情報筋』による発言を報じました。。

1月のアジアカップ2023では1分2敗でグループステージ敗退、3月の2026年W杯アジア2次予選ではオマーンに2連敗するなど、今年に入り0勝1分4敗とチームの勢いが明らかに衰えていることから、この報道は真実性を帯びて他のメディアにも拡散しました。

しかしその翌日になると同じブルナマが今度は、キム監督はこの記事内容を完全に否定していると報じています。そして、「ニュース報道を読んだ後、私はすぐにFAM会長のハミディン・モハメド・アミン氏に連絡し、その件について説明しました。」というキム監督の発言をしょうかいしています。

さらにキム監督はFAMの公式SNSに「私はハミディン会長に対して、自分のマレーシア代表での使命はまだ終わっていないことを個人的に保証しました。私はこのチームを簡単に去るつもりはありません」という声明を投稿。さらに2025年末の契約終了までチームを指導し続け、2026年W杯アジア3次予選への進出と、2027年アジアカップ出場権獲得という使命に専念すると述べています。

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今年に入って未勝利とは言え、2026年W杯アジア2次予選突破の可能性が十分に残っているこの時期に出た国営メディアの報道には恣意や悪意すら感じます。元香港代表監督や韓国サッカー協会代表チームディレクターをなども務めた経験を持つキム監督は2022年1月の就任以来、マレーシア代表を42年ぶりのアジアカップに導いただけでなく、FIFAランキングを就任時の154位から一時は130位まで引き上げるなど、その功績は小さくありません。

また今回の噂が広まった理由の一つに、3月26日のW杯予選オマーン戦の際にブキ・ジャリル国立競技場で代表チームのポー・マルティ・ヴィンセント コーチがベンチ入りせず、またその姿がどこにも見られなかったことがあります。元バルセロナU19チームのコーチだったポー・マルティ氏はキム代表監督の片腕としてチームを支えてきたことから、W杯予選という重要な試合にその姿が見られなかったことから、首脳陣の中の離脱者第1号では、という憶測がSNS上にも多数見られました。しかしスポーツメディアのスタジアム・アストロが、ポー・マルティ氏は3月21日のW杯予選オマーン戦(アウェイ)から帰国すると体調を崩しそのまま入院し、退院したのはホームでのオマーン戦後の3月28日だったと報じ、ポー・マルティ氏が代表チームを去ったわけではないことを明らかにしています。

本日のサッカー協会年次総会を前に協会を中傷するメールがメディアや関係各所に送信される

本日4月1日に予定されているマレーシアサッカー協会(FAM)の年次総会を前に、FAMを抽象する内容のメールがメディアおよび青年スポーツ省などの関係各所に送られていることを複数のメディアが報じています。

FAMの第60回年次総会を前に、「FAMの職員の有志からなる『FAMウルトラス』」の署名で送られた電子メールには、「これまで長きにわたり自分たちの意見を公にしなかったのは、FAMのトップが状況を変えてくれることを信じていたからだが、近年、状況はむしろ悪化しており、制御できない危機に陥っている」とした上で、「ノー・アズマン・ラーマンFAM事務局長に関する問題」「職員に関する問題」「代表チームに関わる問題」「ナショナルトレーニングセンターに関わる問題」などについて言及されています。

ノー・アズマン・ラーマンFAM事務局長については「事務局長としての仕事を全うしていない。自身の職務よりも政治的な活動に傾倒しており、媚びるのが上手い人物や、自身に媚びる人物を取り立てて昇進させたり、自身とともに特別な会合に参加させたりしている。この結果、過去3ヶ月間に12名のFAMの職員が辞任しており、その中には歴代の会長の元で勤務していた5名も含まれている。」とメールでは述べられています。

また職員への扱いについては、「FAMの元職員の中には窃盗の容疑により解雇された者がいるが、実際の窃盗を犯した人物を守るためにFAMは十分な調査も行わず、満足のいく証拠も示さないまま解雇した。また2026年W杯予選の放映権に関する贈収賄問題を告発しようとした一部職員への日常的に繰り返されるパワハラがある。特に聖なる断食月ラマダンにもかかわらず不正な買収工作に関わっているのはイスラム教として恥ずべき行為である。」としています。

この他、一部職員が身内贔屓や、不透明なまま理由のまま昇給している点や、代表戦で集客できているにも関わらず、FAMの資金が手薄となっている点を訴える一方で、代表チームに関しては、キム監督が求めたいくつかの要件をFAMが無視したことがW杯予選でオマーンに連敗した原因であるともしています。

さらにはFAMが代表サポーターグループの「ウルトラス・マラヤ」を買収し、キム代表監督を批判して代表監督を辞任するように仕向けていると言ったトンデモ系の主張なども含まれており、ここまでくると何が本当で何が嘘なのかがわからなくなります。


3月29日のニュース
W杯アジア2次予選D組-マレーシアはオマーンに連敗で3位のまま
ケガで途中交代のアザム・アズミはU23アジアカップ出場が危ぶまれる
ブキ・ジャリル国立競技場管理会社はピッチの事後検証予定発表も、ファンは社長の辞任を要求

オマーン戦から3日が経ち、ニュースというには鮮度が低いですが、私も現地で観戦した試合の振り返りなどを中心に記事にしました。ちなみにマレーシア国内メディアは、ベトナムに連勝したインドネシアが、オマーンに連敗したマレーシアを次のFIFAランキング発表では上回ることを報じています。フィリピンに代わって東南アジア3位となった後は、ベトナムとタイに追いつき追い越せと帰化選手を次々と生み出したマレーシアですが、その帰化選手がインドネシアの帰化選手と比べると圧倒的な戦力アップにつながっておらず、風当たりが強くなっているだけでなく、帰化選手不要論もちらほらと聞こえてきます。

W杯アジア2次予選D組-マレーシアはオマーンに連敗で3位のまま

2026年W杯アジア2次予選兼2027AFCアジアカップ予選の第4節が3月26日に行われ、D組のマレーシアはホームでオマーンと対戦し、いずれもロスタイムの失点で0-2で敗れています。この結果、2勝2敗となったマレーシアは勝点6で3位のまま、オマーンは勝点9でキルギスと並んだものの、総得点で上回るキルギスが1位、オマーンが2位となっています。また同じ第4節でキルギスに1-5で敗れた台湾はグループステージ敗退が決まりました。

3月21日の第3節ではアウェイでオマーンに敗れているマレーシアのキム・パンゴン監督は、この試合の先発メンバーを大きく入れ替えています。フォワードはロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジムFC-JDT)とダレン・ロック(サバFC)、中盤は左右両サイドににファイサル・ハリム(スランゴールFC)とアリフ・アイマン(JDT)、インサイドハーフにスチュアート・ウィルキン(サバFC)とシャミル・クティ(JDT)を起用しています。そして最終ラインは前節の5バックから、この試合は左右SBにラヴェル・コービン=オング(JDT)とアザム・アズミ(トレンガヌFC)、CBにドミニク・タン(サバFC)とディオン・コールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)と4バックに変更しています。(以下はこの試合の先発XI)

この試合の観客は26,499名と、試合会場となったブキ・ジャリル国立競技場の収容定員の4割弱でしたが、それでも代表の愛称「ハリマウ・マラヤ(マレーのトラ)」のサポーターを沸かせるプレーが試合開始から見られました。2トップのロメル・モラレス、ダレン・ロックに加え、両サイドのファイサル・ハリム、アリフ・アイマン両選手を含めたFW4人が高い位置からプレスをかけた開始1分には、アリフ選手が右サイドで相手ボールを奪うとそのままペナルティエリアへ持ち込み、シュートを放ちますがGKの足に当たりゴールならず。この場面、ファーサイドにはファイサル選手が完全にフリーだったので、アリフ選手にはDFを引きつけてからマイナスのパスという選択肢もありました。試合を振り返ると、実はこれがこの試合最高のチャンスでした。

マレーシアFW陣は依然、高い位置をとっているものの、厳しいプレスが開始15分程度で影を潜めると、今度は逆にオマーンが最終ラインを挙げて、前線にロングフィードを送るようになります。それを奪ってカウンターを仕掛けたいマレーシアでしたが、前半はドミニク・タンとディオン・コールのCBコンビが前方に直接ロングフィードする場面が多く、ボランチで入ったはずのシャミ・クティが全く機能していませんでした。

また前節のオマーン戦ではケガのマシュー・デイヴィーズ(JDT)に代わって起用されたダニエル・ティン(サバFC)が積極的なオーバーラップを見せることができなかったこともあり、キム監督は代わってアザム・アズミを右SBに起用しています。そのアザム選手は、豊富な運動量でアリフ選手を追い越す動きを何度も見せました。それに合わせてアリフ選手が中へ切り込むなど、前節からは攻撃のバリエーションが明らかに増え、ゴールへの期待が膨らみます。しかし26分にはそのアザム選手がオマーンの選手から酷いダックルを受け足を痛めると早々と交代してしまいます。代わりにティン選手が入り、最初はアザム選手のように右サイドを上がる動きを見せたものの、オマーンが同じサイドにボールを集めて押し込み始めると自陣でのプレー時間が長くなってしまいます。

頼みのアリフ選手は相手ゴールに背を向けてボールを受けることが多く、自慢のスピードを発揮する機会もなく、ゴール前へクロスを上げるの精一杯でした。しかしこのアリフ選手も含め浮き球のクロスはことごとくオマーンGKにキャッチされ、素人目に見ていてもゴール前にFWが何人もいる状況なら、混乱を期待して低く速いクロスでワンチャンを狙ってみても良いのでは、と思いましたが、結局、同じようなクロス挙げてはキャッチされる繰り返しで点が入りそうな気配が全くありませんでした。

それでも前半はオマーンの拙攻とGKシーハン・ハズミの好守で無失点で後半勝負に持ち込むのもありだと思いかけた前半ロスタイムにシーハン選手がムーセン・アル=ガッサニーを倒してPKを与えると、オマル・アル=マルキがこれを決めてオマーンが1-0で前半を折り返します。この場面、マレーシアDFの数が相手を上回っていながらもムーセン選手にドリブルを許した結果でした。

引き分けでも良いオマーンに対して、負けられないマレーシアは、後半開始とともにシャミ・クティ、ダレン・ロックに代わりブレンダン・ガン(前スランゴールFC)とエンドリック(JDT)を投入します。さらに77分にはこの試合で精彩を欠いていたスチュアート・ウィルキンに代わりパウロ・ジョズエ(KLシティFC)を起用して中盤からの攻撃を組み立てようとしますが、運動量が落ちてきたFW陣がスペースに走り込む場面もなく、チャンスらしいチャンスがないまま後半のロスタイムに入ります。そして前半同様、オマーンの攻撃に対してゴール前では数で上回りながら、簡単にマレーシアDFのマークを外したムハメド・アル=ガフリに近距離から押し込まれてゴール。マレーシアは0-2というスコア以上の完敗でオマーンに2連敗しています。

次節第5節は6月6日にキリギスとのアウェイマッチがキルギスの首都ビシュケクで、第6節は6月11日にホームのブキ・ジャリル国立競技場で台湾との対戦が残っていますが、3次予選進出には必勝が義務付けられるキルギス戦に向けて、5月開幕のスーパーリーグの様子を見ながら代表でプレーする選手の選考を一からやり直す必要がありそうです。

FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選D組第3節
2024年3月26日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
マレーシア 0-2 オマーン
⚽️オマーン:オマル・アル=マルキ(45+4分PK)、ムハメド・アル=ガフリ(90+4分)
🟨マレーシア(1):シーハン・ハズミ、
🟨オマーン(2):ムハメド・アル=ガフリ、ハリブ・アル=サアディ

またD組のもう1試合は台湾がウー・イェンシュウ(呉彦澍、中国2部瀋陽城市足球倶楽部)が今回の予選でチーム初となるゴールを挙げましたが、ガーナ生まれのFWジョエル・コジョ(ウズベキスタン1部PFCディナモ・サマルカンド)にハットトリックを許すなどキルギスに大敗しグループステージ敗退が決まっています。

FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選D組第3節
2024年2月26日@スパルタク・スタジアム(ビシュケク、キルギス)
キルギス 5-1 台湾
⚽️キルギス:ジョエル・コジョ3(17分、38分、45分)、クリスティヤン・ブローズマン(79分)、キミ・メルク(90+5分)
⚽️台湾:ウー・イェンシュウ(呉彦澍、87分)
🟨キルギス(0)
🟨台湾(1):ウー・イェンシュウ(呉彦澍)

W杯2026アジア2次予選予選D組順位表(第4節終了)

順位勝点
1キルギス430111569
2オマーン43017169
3マレーシア420257-26
4台湾4004111-100
ケガで途中交代のアザム・アズミはU23アジアカップ出場が危ぶまれる

オマーンとの試合でケガのため26分に途中交代となったアザム・アズミ(トレンガヌFC)について、試合後の会見でキム・パンゴン監督は左膝を痛めており、その怪我が深刻であることを明らかにしています。スタンドからは退場後も担架に乗せられたまま運ばれていく様子が見えていました。また試合後の映像では、ギプスで膝を固定して松葉杖をついて歩くなど、キム監督の言葉を裏付けるような映像も見られました。

アザム選手は4月15日にカタールで開幕するAFC U23アジアカップに出場するマレーシアU23代表の主力選手でもありますが、膝前十字靭帯の損傷も疑われている今回のケガですが、検査の結果次第ではこの大会出場も危ぶまれます。

ブキ・ジャリル国立競技場管理会社はピッチの事後検証予定発表も、ファンは社長の辞任を要求

ブキ・ジャリル国立競技場を管理するマレーシア・スタジアム社(MSC社)は、来週、ピッチの状況に関して事後検証を行うことを発表しています。業務請負業者やコンサルタントも加わって行われるこの事後検証の後には、その内容を公表するとともに今後もピッチの状態を改善していくと、同社の公式SNSで述べられています。

ブキ・ジャリル国立競技場のピッチは昨年1月から10月まで行われた改修工事の一環として張り替えが行われましたが、芝が十分に根付く前の11月には英国のロックバンド、コールドプレイのコンサート会場となります。その直後に行われたマレーシアカップの決勝が行われたピッチは、コンサート時にその上にステージが設置された上、その回復状況が悪く、一部は土がむき出しのままであったことから、MSC社の管理能力はサッカーファンから激しく非難されました。

そして今年2月にはやはりブキ・ジャリル国立競技場で英国のシンガーソングライター、エド・シーランのコンサートが行われると、やはりステージが設置された部分の芝は削られて土が剥き出しになりました。MSC社はピッチの状況を回復できると公言したものの、今回のオマーン戦についても連日の雨などで結局、マレーシア、オマーンの両チームが試合会場での前日練習をFIFAのマッチコミッショナーが禁止するほど悪いピッチの状態でした。

そして試合当日も、ピッチの一部はつぎはぎのように芝があるところと剥がれているところの違いが明らかで、MSC社が約束したような状態には回復されておらず、多くのファンがMSC社の社長で、俳優兼映画監督でもあるハンス・イサック氏の辞任を求める事態となっています。

3月26日のニュース
ヨー青年スポーツ相-ブキ・ジャリルでの前日練習禁止はFIFAのマッチコミッショナーの判断
Mリーグアウォーズ発表-22歳のアリフ・アイマンが3年連続MVP
新外国人監督就任予定のクランタン・ダルル・ナイムは今季はリーグ7位以上
元ギリシャU19代表がサバの練習に参加

いよいよ本日はW杯アジア2次予選のオマーン戦が開催されます。しかし試合会場となるブキ・ジャリル国立競技場のピッチ状態はあまり良くないようで、マレーシア、オマーンの両チームは試合会場での前日練習を禁止されてています。果たし、試合当日のピッチコンディションはどうなっているのでしょうか。試合に悪い影響が出ないと良いのですが…。

ヨー青年スポーツ相-ブキ・ジャリルでの前日練習禁止はFIFAのマッチコミッショナーの判断

本日3月26日午後10時(マレーシア時間)キックオフとなる2026年W杯アジア2次予選D組第4節のマレーシア対オマーン戦ですが、試合前の最後の練習日となった昨日の公式練習をマレーシア代表はマレーシアサッカー協会(FAM)の練習施設で、オマーン代表はスランゴールFCのホーム、MBPJスタジアムで練習を行っています。

昨日のこのブログでもブキ・ジャリル国立競技場のピッチが一部で土がむき出しになっているドローン撮影による写真が出回り、その状況がかなり悪いことが明らかになったを紹介しましたが、試合前記者会見の席上でオマーン代表のヤロスラフ・シルハヴィー監督は、雨が多い最近の天候を理由に、ブキ・ジャリル国立競技場のピッチの状況が良くないことから、試合会場での練習禁止が伝えられていたことを明らかにしています。できるだけ良い状態のピッチにするための練習禁止はやむを得ないと話したシルハヴィー監督は、オマーン代表は体力、メンタル、戦術の全てで試合に向けての準備ができていると話し、ピッチの状態に関わらず良いプレーを見せられるだろうと話しています。

そしてその試合前会見の翌日(本日)、ハンナ・ヨー青年スポーツ相は自身のSNSに投稿し、ブキ・ジャリル国立競技場での練習禁止を決定したのは、本日の試合のために任命されたマッチコミッショナー(MC)だったことを公表しています。ヨー青年スポーツ相は、連日の雨によりピッチの状況が悪いことを考慮したものだと説明する一方で、本日3月26日の試合実施についてはこのFIFA任命MCより開催許可が出されれていることも明らかにしています。その上で、マレーシア代表サポーターにブキ・ジャリル国立競技場に集結してほしいと呼びかけています。

Mリーグアウォーズ発表-22歳のアリフ・アイマンが3年連続MVP

わかっちゃいたけど、それでも凄い。
2023年シーズンのマレーシアリーグ(Mリーグ、1部スーパーリーグとU23リーグのMFLカップ)アウォーズ(ABK23)がMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式サイトで発表され、マレーシア代表とジョホール・ダルル・タジムFCで活躍するFWアリフ・アイマンが3年連続のMVPを獲得しています。シーズン終了から3日月近くが経ち、重要なW杯アジア予選前日と、この授賞式のタイミングはいかがなものかと思いますが、昨年12月のシーズン終了後は1月のアジアカップ2023、その後のオフシーズンなどもありこの時期になってしまったようです。

2021年に19歳で初のMVPを獲得して以来、3年連続のMVPとなったアリフ選手は、ノーシャルル・イドラン・タラハ(3部ハリニ・スランゴールFT)が2010年から2012年まで連続受賞して以来の3年連続MVPとなります。その他の受賞者は以下の通りです。(注:所属は2023年シーズンのもの。またMFLカップはU23チームのリーグ

最優秀GKシーハン・ハズミ(JDT)2年連続
最優秀DFアザム・アズミ(TRE)初
最優秀MFアフィク・ファザイル(JDT)2年連続
最優秀FWアリフ・アイマン(JDT)3年連続
最優秀若手選手アリフ・アイマン(JDT)
リーグ最多ゴール
(外国籍選手)
23 エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)初
リーグ最多ゴール
(マレーシア人選手)
12 アリフ・アイマン(JDT)
12 ファイサル・ハリム(SEL)
最優秀外国籍選手ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)2年連続
最優秀チームジョホール・ダルル・タジムFC
フェアプレー賞トレンガヌFC
最優秀監督タン・チェンホー(SEL)
2023ベストゴールアリフ・アイマン(JDT)
MFLカップウバイドラー・シャムスル(TRE II)
MFLカップ最多ゴール16 エベネゼル・アシフアー(KDAB)
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SEL-スランゴールFC、TRE-トレンガヌFC、TRE II-トレンガヌFC U23、KDAB-クダ・ダルル・アマンFC U23

今回のMリーグアウォーズは、スーパーリーグとU23リーグのMFLカップでプレーした全782名の選手から、出場時間数をもとに第一次選考で絞られた398名を対象に、マレーシア代表コーチのE・エラヴァラサン、マレーシアプロサッカー選手会のラズマン・ロスマン副会長、マレーシアプロコーチ協会委員のノー・ザイディ・ローマット、スポーツ記者協会理事のロザイディ・ズルキフリ、Mリーグ中継のアナウンサー代表S・キーシャーナンの各氏により、それぞれの部門で上位10位までが選ばれています。この上位10位について、スーパーリーグは所属する14チームの監督とキャプテンが、またMFLカップについては所属する15チームの監督とキャプテン、そしてメディア代表の29名が投票を行って決定されてます。

また最優秀チームはMFLの技術委員会が、フェアプレー賞はマレーシアサッカー協会(FAM)が選考しています。また2023ベストゴールはMFLの公式サイトからのサポーター投票により決定しています。

新外国人監督就任予定のクランタン・ダルル・ナイムは今季はリーグ7位以上が目標

5月開幕を前に未だ監督が決まっていないクランタン・ダルル・ナイムFC(クランタン・ユナイテッドFCから名称変更、KDNFC)は、昨季3試合を残して退任したアイルトン・シルヴァ監督に代わる新監督として外国人指導者をリストアップしていることを明らかにしています。KDNFCのロジ・ムハマド会長はイスラム教の断食月ハリラヤが終わる4月10日より前には新監督を明らかにすることができるだろうと、マレーシアの通信社ブルナマの取材で述べています。

「技術上の問題」から現時点では、新監督の名前は明らかにできないと述べたロジ会長は、この外国人指導者とチーム編成で既に話し合いを行なっているとも述べています。さらにロジ会長は、今季の運営予選として1200万リンギ(およそ3億8000万円)があると説明し、チームの今季の目標順位を5位から7位程度としたいと話しています。なお昨季のクランタン・ユナイテッドは4勝5分17敗で14チーム中12位でした。

元ギリシャU19代表がサバの練習に参加

ギリシャU19代表で2試合に出場経験があるオーストラリア出身のDFハリス・スタンブリディスがサバFCの練習に参加しているところが目撃されたと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。スタンブリディス選手はトライアウトを兼ねた練習に参加しており、サバFCのオン・キムスイ監督も、現在スタンブリディス選手の能力を見極めている最中だと、話しているということです。

トランスファーマルクトによると、27歳のスタンブリディス選手は昨年はギリシャ3部のヴェリアNFCとスペイン4部のレーシング・カルタヘナ・マル・メノールFC(というクラブでプレー していたDFあるいはDMFのようです。なおサバFCは、ストライカーのラモン・マチャド(ブラジル)、左ウィングのサディル・ラムダニ(インドネシア)、MFパク・テス(朴太洙、韓国)、MFミゲル・シフエンテス(スペイン)、MFテルモ・カスタニヘラ(ポルトガル)、CBのガブリエル・ペレス(ブラジル)、左SBのコ・クァンミン(高光民、韓国)が昨季から残留しています。

3月25日のニュース
明日のW杯予選を前にブキ・ジャリル国立競技場のピッチは土がむき出しの箇所も
2023年Mリーグアウォーズの候補者が発表
スランゴールの今季アウェイユニフォーム500枚が販売後即完

明日のW杯予選を前にブキ・ジャリル国立競技場のピッチは土がむき出しの箇所も

明日3月26日の2026年W杯アジア2次予選オマーン戦を前に、ブキ・ジャリル国立競技場のピッチを上空から移した写真が公表され、一部で土がむき出しになっていることなどが明らかになっています。

英字紙ニューストレイトタイムズがドローンを使って上空から撮影した写真が公開されると、明日の試合までに状況が回復するのかを疑問視する声がSNSに上がり、このピッチの状況であれば、代表戦を別の場所で行うべきとし、スランゴールFCのホームであるMBPJスタジアムやKLシティFCのホームであるKLフットボールスタジアムを使用するべきといった投稿など見られます。

この状況についてコメントを求められたハンナ・ヨー青年スポーツ相は、ピッチの写真は最新のものではないとして、試合当日までピッチ回復のための努力の時間を与えてほしいと呼びかける事態に及んでいます。青年スポーツ省は、ブキ・ジャリル国立競技場の管理をマレーシアスタジアム社(PSM社)に業務委託しています。

2月24日に英国のシンガーソングライター、エド・シーランのコンサートが行われた際にそのステージ施設建造などによりピッチが損傷したことから3月8日にマレーシアサッカー協会(FAM)がその状況を視察し、PSM社は3月26日のオマーン戦までにピッチの状況を回復することを約束していました。

昨年11月に同じ英国のロックバンド、コールドプレイのコンサート後に行われたマレーシアカップ決勝でも土がむき出しの部分が現れるなど、その管理方法が非難されたPSM社ですが、今回も同様の問題を引き起こしています。そして同様のコンサートを開催したタイ代表のホーム、ラジャマンガラ国立競技場のピッチが青々としている写真がSNSに挙がると、PSM社に対する非難は激しさを増しています。(下はニューストレイトタイムズに掲載されたブキ・ジャリル国立競技場のピッチの写真)

2023年Mリーグアウォーズの候補者が発表

昨季2023年シーズン終了からおよそ3ヶ月経った3月24日に、2023年Mリーグアウォーズの候補者発表と本日25日の表彰式開催がマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式サイトで発表されています。昨季終了後はアジアカップ2023があり、その後は各クラブがオフシーズンに入っていたこともあり、W杯予選の最中でもあるこの時期の開催となったようです。

2021年、2022年と連続でリーグMVPを受賞している22歳のアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFCーJDT)は2023年もMVPの最有力候補で、昨季は国内三冠達成したJDTの主力として12ゴールを挙げるなど成績も申し分ありません。なおMリーグMVPは6つある各賞の受賞者の中から選ばれるため、アリフ選手の対抗馬となりうる数少ない選手の一人、ファイサル・ハリム(スランゴールFC)は候補となっている最優秀FW賞を受賞する必要があります。

以下は各賞の候補者とボラセパマレーシアJPの受賞者予想です。
<最優秀GK>
・シーハン・ハズミ(ジョホール・ダルル・タジムFC)
・スハイミ・フシン(トレンガヌFC)
・ラマダン・アブドル・ハミド(PDRM FC)
ここは代表GKでもあるシーハン・ハズミが昨年に続く連続受賞で決定か。シーハン選手は昨季はクリーンシート19回とスハイミ選手の8回、ラマダン選手の7回を圧倒。

<最優秀DF>
・ラヴェル・コービン=オング(ジョホール・ダルル・タジムFC)
・フェロズ・バハルディン(ジョホール・ダルル・タジムFC)
・アザム・アズミ(ジョホール・ダルル・タジムFC)
左SBとして国内に競合相手がいない32歳のラヴェル・コービン=オングに、昨季レギュラーポジションを掴んCBフェロズ・バハルディン、次世代の右SBアザム・アズミの23歳コンビが挑む形だが、初受賞のかかるコービン=オングが有利か。個人的には代表入りも近い若い2人のどちらかに受賞して欲しい。

<最優秀MF>
・アフィク・ファザイル(ジョホール・ダルル・タジムFC)
・ホン・ワン(ジョホール・ダルル・タジムFC)
・パウロ・ジョズエ(KLシティFC)
リーグ全試合出場でシーズンを通して安定感を見せたホン・ワンが有力で、そこに昨年受賞のアフィク・ファザイルがどれだけ迫れるかだが、やはり代表入りが期待されるホン・ワンで決まりか。

<最優秀FW>
・アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)
・ファイサル・ハリム(スランゴールFC)
・ダレン・ロック(サバFC)
リーグ戦ではともにマレーシア人選手最多の12ゴールを挙げたアリフ・アイマンとファイサル・ハリムだが、リーグ最多アシストを記録し、マレーシアカップやFAカップまで加えると昨季は21ゴールを量産したアリフ選手に軍配か。今年、アリフ選手が受賞すれば3年連続の最優秀FW受賞となる。

<最優秀若手選手>
・アリフ・アイマン(FW、21歳、ジョホール・ダルル・タジムFC)
・ウバイドラー・シャムスル(MF、20歳、トレンガヌFC)
・シーク・イズハン(GK、22歳、ヌグリスンビランFC)
21歳とはいえ、過去2年連続受賞のアリフ・アイマンをこの賞の候補とするのはいかがなものか。アリフ選手以外では24試合に出場したシーク・イズハンにチャンスありだが、ここもアリフ選手で決まり。

<最優秀外国籍選手>
ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジムFC)
アイロン・デル・ヴァイエ(スランゴールFC)
イヴァン・マムート(トレンガヌFC)
11ゴールのイヴァン・マムートにはチャンスなしで、リーグ最多の23ゴールを挙げたアイロン・デル・ヴァイエと21ゴールのベルグソン・ダ・シルヴァの争い。マレーシアカップのゴール数も加えると、アイロン選手の25ゴールに対してベルグソン選手は32ゴールと逆転し、ベルグソン選手の2年連続授業が濃厚。

スランゴールの今季アウェイユニフォーム500枚が販売後即完

スランゴールFCが今季のアウェイユニフォームを発表しています。昨季に続きスペインのホマ(JOMA)社製で、2019年以来となる黄色を基調としたデザインに白色のパターンを盛り込み、襟や袖には青色があしらわれています。なおクラブ公式サイトでは、黄色はクラブの卓越と自信を、白色は新たな始まりを、そして青色はチームの団結を示しているということです。

またこれまでのユニフォームは選手仕様とファン仕様の2モデル展開でしたが、最上位「エリート」が加わり、これまでの選手仕様は「レプリカ」と名称が変更され、従来のファン仕様と合わせた3モデル展開となり、価格はエリートは249リンギ(およそ8,000円)、レプリカは149リンギ(およそ4,800円)となることも発表されました。

そしてこのアウェイユニフォームのエリートモデル500枚が販売開始直後に即完したことがスランゴールFCのクラブ公式SNSが伝えてます。スランゴールFCのトレーニング場に隣接するグッズショップで3月23日の午前10時に売り出されたエリートモデルですが、開始から3時間で完売したということです。なおレプリカモデルとファン仕様モデルの在庫はあるということです。

スランゴールFCの公式Facebookに掲載された売り切れの告知

3月24日のニュース
W杯予選のチケット販売数が頭打ちなのは断食の影響?
U23代表はアジアカップ前の練習試合でインドU23代表に勝利

W杯予選のチケット販売数が頭打ちなのは断食の影響?

2026年W杯アジア2次予選のD組第4節でマレーシアはオマーンをホームのブキ・ジャリル国立競技場に迎えますが、この試合のチケットの売上枚数が伸び悩んでいます。3月21日(現地時間)にオマーンのマスカットで行われた第3節でマレーシアはオマーンに0-2と敗れ、台湾を破ったキルギスとともに勝点6で並んだものの、得失差によりそれまでの首位から3位に転落しています。

そのオマーンとの対戦となる3月26日の試合のチケットですが、本日3月24日の午後にマレーシアサッカー協会(FAM)が発表した売上枚数は11,828枚となっています。なお今回の予選ではブキ・ジャリル国立競技場での開催はこれが2試合目となりますが、昨年11月に行われた初戦のキルギス戦の入場者数は17,142名でした。

同じアジア2次予選では、第3節の3月21日にジャカルタで開催されたインドネシア対ベトナム戦には57,000人を超えるサポーターが集まり、同日にシンガポールで行われたシンガポール対中国戦にも28,000人を超える観衆が押しかけています。また第4節にバンコクで行われるタイ対韓国戦は販売即売り切れとなり、第3節でタイが韓国と引き分けるとこの試合のチケット価格がネット上では10倍近く高騰しているという報道もあり、東南アジア各国のサポーターの熱気が伝わってきます。

勝てば3次予選突破も見えてくるホーム、ブキ・ジャリル国立競技場でのオマーン戦にもかかわらず、定員76,000人の2割にも満たないチケット売り上げとはどういうことか。それはおそらく午後10時という極端に遅いキックオフ時間が影響している可能性があります。3月26日の試合はが午後10時キックオフなのは、現在がイスラム教の断食月ラマダン中だからです。この断食月中は、夜明け(よく誤解されますが日の出からではありません)から日没までは食べ物はもちろん水も口にできません。この時期のマレーシアの日没は午後7時20分前後なので、そこから食事をして、体調を整えて、となると午後10時キックオフとする必要があるのかも知れません。ちなみにこのラマダン中に国内リーグがある場合は、多くの試合がやはり10時キックオフになります。

ではサポーターの視点からこれを見ると、10時キックオフなら午前0時終了として、それから帰って眠れば良いのでは、と考えますが、断食期間中のイスラム教徒は夜明け前にサフールという言わば日中分の食事をします。マレーシアのこの時期の夜明けは午前6時10分前後なので、断食中はその前に起きて食事を終えている必要があります。となると午前0時試合が終わると、帰宅後はサフールまで3、4時間程度しか寝られず、翌日はまた日没まで断食が続くので、仕事や学校に影響が出ることを心配し、その結果、スタジアムでの観戦を控えているサポーターがいるのかも知れません。

ちなみに世界最大のイスラム教徒を抱える隣国インドネシアでは、3月21日にジャカルタで開催したベトナム戦は、断食が明ける日没から2時間30分後、現地時間の午後8時30分キックオフでした。ちなみに先日、日本のU23代表と練習試合を行ったマリU23代表にもムスリムの選手がいたようですが、試合が行われた京都の日没が午後6時20分ごろで、そこから試合は午後7時20分キックオフでしたので、調整は大変だったことと思います。

話がちらかってしまいましたが、何事もギリギリにやるのがマレーシア人なので、W杯アジア3次戦進出に関わるこの重要な試合には多くのサポーターがブキ・ジャリル国立競技場に集まることを期待したいです。

U23代表はアジアカップ前の練習試合でインドU23代表に勝利

来月4月15日に開幕するAFC U23アジアカップ2024に出場するマレーシアU23代表は、3月22日にインドU23代表と練習試合を行い2-1で勝利しています。

A代表の愛称「ハリマウ・マラヤ(マレーの虎)」に対して「ハリマウ・ムダ(若虎)」のニックネームを持つU23代表は、クアラ・ルンプールのKLフットボールスタジアムで行われた試合で、T・サラヴァナン(スリ・パハンFC)が33分に先制ゴールを決めると、48分にはアリフ・ジクリ(ペラFC)のゴールでリードを広げ、インドの反撃を2ゴールを決め、インドの反撃を77分のチンガンバム・シヴァルド・シン(インド1部ベンガルールFC)に抑えて逃げ切っています。

ハリマウ・ムダはインドU23代表と3月25日にもう1試合の練習試合を行った後、U23アジアカップが開催されるカタールのドーハに入ります。現地では4月3日に中国U23代表、4月6日または7日にカタールU23代表とも練習試合を行った後、グループステージD組の初戦となるウズベキスタンU23代表(4月17日)との初戦に臨みます。

マレーシアはこのU23アジアカップ2024では、ウズベキスタンの他、ベトナム、クウェートともグループステージで対戦します。