3月9日のニュース:JDTはユベントスと提携へ向けて協議、サニックス杯出場のU19代表選出、

JDTはユベントスと提携へ向けて協議
ジョホール・ダルル・タクジムJDTのフェイスブックによると、JDTのオーナー、ジョホール州皇太子TMJことトゥンク・イブラヒム殿下は、(自家用機で)イタリアへ飛び、イタリアセリエAのユベントスFCのアンドレア・アニェッリ会長と会談し、JDTとユベントスが今後の業務提携へ向けて話を進めていくことになったとしています。
 会談後にはユベントスFCの練習施設を見学し、さらにアニェィリ会長の招きでユベントス対ウディネーゼ戦を観戦するなど、セリエAで34度の優勝を誇るクラブのエッセンスをJDTにも注入したいとしています。
 マレーシアのクラブとしてはACL本選初出場を果たしたJDTですが、そんなレベルでは満足しないイブラヒム殿下。今のマレーシアサッカー界にはこういった強烈なリーダーシップが必要です。(写真は左上からイブラヒム殿下とアニェィリ会長の会談、ユベントスFC練習施設見学、ユベントス対ウディネーゼ戦観戦の様子)

サニックス杯出場のU19代表選出
マレーシアサッカー協会FAMは、3月14日から17日まで福岡県宗像市で開催されるサニックス杯国際ユースサッカー大会2019に参加するマレーシアU19代表22名を発表しました。マレーシア代表は、昨年のこの大会の優勝チームで、全国高校サッカー選手権優勝チームでもある青森山田高校、大津高校(滋賀)、サガン鳥栖ユースと予選グループ同組となっています。
 U19代表は3月10日にマレーシアを経ち、サニックス杯終了後には大阪へ移動し、セレッソ大阪(のU18?)と練習試合をこなした後、帰国する予定です。

サニックス杯出場U19代表
GKシク・イザン・ナズレル・シク・アズマン
DFアリ・イムラン・スカリ
DFアーマド・ジカリ・モハマド・カリリ
DFムハマド・ハリス・マンソル
MFハリス・ハイカル・アダム・アフカル
MFムハマド・フィルダウス・カイロニサム
FWロクマン・ハキム・シャムスディン(以上マレーシアパハンスポーツスクールSSMP:ここはFAMが運営するアカデミーがある学校です)
DFムハマド・アイディル・アズアン
MFサラヴァナン・ティルムルガン
FWムハマド・ハジム・アブ・ザイド(以上マラッカFA)
DFムハマド・フィルダウス・アブドル・ラザク
MFムハマド・ファリス・カマルディン(以上スランゴールFA)
GKフィルダウス・イルマン・モハマド・ファジル
MFムハマド・ムカイリ・アジマル・マハディ(以上PKNP FC)
MFムハマド・アザム・アズミ・ムラド(トレンガヌFA)
DFニック・ウマル・ニック・アジズ(PKNS FC)
MFアリフ・アイマン・モハマド・ハナピ(JDT)
DFムハマド・ワジフ・ナザライル(フェルダ・ユナイテッド)
MFモハマド・アイマン・アフィフ・モハマド・アフィズル(クダFA)
DFムハマド・アイクマル・ロスラン(ヌグリ・スンビランFA)
MFアクマル・ハジム・イスマイル(ペラFA)
DFムハマド・イマン・ラファエイ・アブドル・ラジク(ペナンFA)

FAMのホームページより


3月8日のニュース:FAMが未払い給料を肩代わり、スワラッドは待望の初代表入り、代表のネパール戦は延期

FAMが未払い給料を肩代わり
マレーシアサッカー協会FAMがマレーシアフットボールリーグMFLに所属する5つのクラブの未払い給料約118万マレーシアリンギ(約3200万円)を肩代わりして選手に支払ったことを発表しています。各クラブからの供託金などから支払われたこと発表したスチュアート・ラマリンガムFAM事務局長は、PDRM FC(2部プレミアリーグ所属)、フェルクラFC(既に解散)、MOF FC(マレーシア財務省のクラブ、2019年はMFLでの活動なし)、DBKL FC(クアラルンプール市役所のクラブ、2019年はMFLでの活動なし)、トレンガヌ・シティFC(1部スーパーリーグのトレンガヌFCの下部クラブ、2019年はMFLでの活動なし)の5クラブの未払い給料は既に各選手及びスタッフの口座に払い込まれており、フェルダ・ユナイテッド(1部スーパーリーグ)、ハネランFC、マルセラFC(いずれも既に解散)の選手、スタ風への未払い給料約134万マレーシアリンギ(約3650万円)については、数週間の内に払い込みが完了するとしています。また、ラマリンガム事務局長は、今回の支払いはFAMへの供託金などを使って支払ったものであり、全額が払われたわけではな各選手、スタッフへの残りの未払い給料については、各クラブの責任であることも強調しています。

スワラッドは待望の初代表入り
MFL1部スーパーリーグに所属するPKNS FCのDFニコラス・スワラッドが、3月20日と23日に行われるエアマリンカップに出場するのマレーシア代表選手に選ばれました。イギリス人の父親とマレーシア人の母親を持つマンチェスター出身の28歳は、2016年シーズン前にJDT IIと契約し、翌年途中ににはマラッカ・ユナイテッドへ期限付き移籍し、今年からPKNS FCでプレーしている帰化選手の一人で、マレーシアへやってきてから4年目で待望の代表入りです。彼が所属するPKNS FCは、今シーズンここまで5位と検討していますが、その理由は5試合で2失点という盤石な守備陣で、その中心にいるのがスワラッド選手です。このスワラッド選手は、豊富な運動量で知られており、PKNS FC守備陣をコントロールするだけでなく、今シーズン既に2得点を決める攻撃力も兼ね備えています。
 今回のエアマリンカップのマレーシア代表には、帰化選手としてはこのスワラッド選手のほか、オーストラリア生まれながら母親がサバ州出身のDFマシュー・デイヴィーズ(24歳、パハンFA)とマレーシアに5年住んだことで国籍を取得したガンビア出身のMFムハマドゥ・スマレ(25歳、パハンFA)も選ばれています。

代表のネパール戦は延期
上記のエアマリンカップ後の3月26日にブキ・ジャリルスタジアムで開催予定だったマレーシア代表対ネパール代表の国際Aマッチが延期になりました。FIFAカレンダーの国際マッチ期間中は、国際Aマッチは2試合まで行うことができますが、マレーシアは既にエアマリンカップで2試合行うことになっており、ネパール代表戦が3試合目となるため、FIFAが許可しなかったということです。会見でラマリンガムFAM事務局長は、アジアサッカー連盟AFCからは許可が出たものの、国際サッカー連盟FIFAからは許可が出なかったとしています。
 マレーシアは今年6月から始まるFIFAワールドカップ予選の1回戦シードとなるために、FIFAランキングを上げるのに必至なようですが、そもそも今回のエアマリンカップに出場予定だったソロモン諸島が同じ理由で出場辞退をしたはずだったにも関わらず、なぜマレーシアは3試合ができると思ったのか、正直なところ理解に苦しみます。

3月7日のニュース:今週末は「クラン・ヴァリーダービー」、エアマリンカップではコーズ・ウェイダービーも

今週末は「クラン・ヴァリーダービー」
マレーシアフットボールリーグMFLは今週が第6節。今節注目のカードの1つが「クラン・ヴァリーダービー(Klang Valley Derby)」と称されるスランゴールFA対クアラルンプールFAの対戦です。
 マレー語では「ドロの交わる場所」という意味のクアラルンプール(KL)は、19世紀にクラン川を上ってきたスランゴールの王族が、クラン川とゴンバク川が合流する地域に豊富な埋蔵量の錫(すず)鉱床を発見したことにより、その歴史が始まります。その後は錫の集散地として、現在もKL市内を流れるクラン川沿いに発展を続けました。1957年のマラヤ連邦(当時)が1957年にイギリスから独立した際には、KLはマラヤ連邦の首都となり、スランゴール州の州都でもありました。しかし1969年の下院選挙の際、スランゴール州で野党が圧勝し、下院でも与党の議席が三分の二を割る事態が起こると、当時の政権は1974年に野党勢力が優勢であったクアラルンプールを連邦直轄区としてスランゴール州から分離させて、野党勢力の弱体化と政権保持を図りました。そういった経緯もあり、スランゴールとKLは強烈なライバル関係にあります。
 クラン川沿いに発展してきたスランゴールとKLは、サッカーでもその対戦が「クラン・ヴァリーダービー」と呼ばれるライバル関係にあります。しかし残念ながら近年は両チームともタイトルを手にする機会はなく、スランゴールFAは2015年のマレーシアカップ、KLFAに至っては1999年のFAカップ優勝以降、大きなタイトルを獲得していません。しかも今シーズンのMFL第6節に組まれたこの試合で、スランゴールFA、KLFAともまだ勝ち星なしで対戦するとは思いもよりませんでしたが、それでも熱くなるのがダービーマッチですよね。

エアマリンカップではコーズウェイダービーも
研究社の英和中辞典によれば、コーズウェイ(Causeway)とは「(低湿地に土を盛り上げた)土手道、(敷石などによる昔の)舗装道路」とありますが、ジョホール海峡によって隔てられたマレー半島とシンガポール島の間も、1923年に当時この地域を支配していたイギリスによって建設されたコーズウェイによって陸路で繋がり、車や列車が行き来できるようになっています。
 これにちなんでマレーシアとシンガポールがスポーツで対戦する際には「コーズウェイダービー」という名称が使われます。1963年のマレーシア建国の際には、シンガポールもマレーシアの一部でしたが、「(マレー人だけでなく華人やインド系住民なども含めた)マレーシア人のためのマレーシア」を標榜した当時のシンガポール与党のリーダーで、後のシンガポール首相リー・クアンユーと、「マレー人のためのマレーシア」を唱えるマレーシアの初代首相トゥンク・アブドル・ラーマン率いるマレー半島側の与党UMNOの間の対立から、1965年にはシンガポールはマレーシアから独立させられてしまった経緯もあり、このコーズウェイダービーは、国と国とのプライドのぶつかり合いでもあります。
 前置きが長くなりましたが、3月20日にクアラルンプールのブキ・ジャリルスタジアムで開催されるエアマリンカップの準決勝では、抽選の結果、このコーズウェイダービーが実現することになりました。FIFAカレンダーの国際Aマッチとなるこのエアマリンカップは、マレーシア代表にとってはただの国際試合ではありません。今年の6月に行われるFIFAワールドカップ2020年大会の予選1回戦では、AFCランキングで34位以上のチームはシードされ、9月の予選2回戦からの参加となるため、現在35位のマレーシアはこのエアマリンカップで好成績を収めて、何としてもAFCランキング34位に入らねばなりません。しかも現在AFCランキング34位にいるのが今回対戦するシンガポール。2016年10月7日にシンガポールのカラン国立競技場での引き分け以来の対戦となるダービーマッチは従来以上に盛り上がること間違いなしです。

3月6日のニュース:AFC U23選手権予選とエアマリンカップ出場の代表候補選手発表

AFC U23選手権予選とエアマリンカップ出場の代表候補選手発表
3月22日から26日までクアラルンプール郊外のシャー・アラムスタジアムを会場に開催されるアジアサッカー連盟AFCのU23選手権予選兼東京オリンピック予選に出場するU22代表候補合宿への参加選手27名が、マレーシアサッカー協会FAMより発表になりました。昨日のAFCチャンピオンズリーグACL、JDT対鹿島アントラーズ戦にも出場したFWサファウィ・ラシド、FWアクヤ・ラシド、MFシャマル・クティ・アッバの3選手や昨年末のアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップでゴールも決めているDFシャミ・サファリ(スランゴールFA)など、現時点で考えられる最強布陣となりそうな選手27名が招集されています。なお、この予選ではマレーシアは、中国、フィリピン、ラオスと同組のグループJとなっています。
 AFC U23選手権へは、2018年に初めて出場したマレーシアはタイで行われる本選への連続出場を目指して代表候補合宿を行いますが、JDT以外の選手は3月11日までに、3月12日にホームでACL第2線となる慶南FCUを戦うJDTの選手は3月13日までに合流予定となっています。候補選手は7日間の合宿を経て23名に絞られ、3月17日にはU22オーストラリア代表との練習試合を行った後、予選に臨みます。
 上記のJDTの3選手、スランゴールFAのシャミ・サファリらは、2月のアセアンサッカー連盟AFFのU22選手権では所属チームが代表チームへの招集を拒否していたため参加せず、チームもグループステージで敗退となっていました。

AFC U23選手権予選の代表候補選手(カッコ内は年齢と所属)
<ゴールキーパー>
*ムハマド・ハジック・ナズリ(21 JDT)
*ムハマド・アズリ・アブドル・ガニ(20 フェルダ・ユナイテッド)
*ダミエン・リム・チェン・カイ(22 ケランタンFA)
<ディフェンダー>
*ドミニク・タン・ジュン・ジン(22 JDT)
*モハマド・ハリス・カマルディン(22 JDT II)
*ムハマド・シャルル・ニザム・ロス・ハスニ(21 ケランタンFA)
*ニック・アズリ・ニック・アリアス(22 ケランタンFA)
R・ディネシュ(21 パハンFA)
*アーマド・タスニム・フィトリ・モハマド・ナシル(20 フェルダ・ユナイテッド)
*アリフ・アル=ラシド・アリフィン(21 PKNS FC)
*エヴァン・ウェンスレイ・ウエンセスラウス(21 サバFA)
*アリアスディアス・ジャイス(21 サバFA)
*ムハマド・アミルル・アシュラフ・アリフィン(21 UITM FC)
*ムハマド・ナジルル・アフィフ・イブラヒム(22 ペラTBG)
*ムハマド・シャミ・サファリ(21 スランゴールFA)
<ミッドフィルダー>
シャマー・クティ・アッバ(22 JDT)
*ニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マット(20 ケランタンFA)
*ムハマド・ダニアル・ハキム・ドラマン(21 ケランタンFA)
ムハマド・ダニアル・アミエル・ノーヒシャム(20 フェルダ・ユナイテッド)
*K・シヴァンダラン(20 PJシティFC)
*ムハマド・イザン・シャミ・ムスタパ(22 トレンガヌFC II)
<フォワード>
ムハマド・アクヤ・アブドル・ラシド(20 JDT)
ムハマド・サファウィ・ラシド(22 JDT)
*コギレスワラン・ラジ(21 パハンFA)
モハマド・ファイザル・アブドル・ハリム(21 パハンFA)
*ムハマド・ジャフリ・ムハマド・フィルダウス・チュウ(22 PKNS FC)
*ムハマド・ハディ・ファイヤッド・アブドル・ラザク(19 ファジアーノ岡山)
*は2019年AFF U22選手権の代表選手

エアマリンカップ出場候補選手も発表になっています。
FAMは、3月20日と23日の日程でクアラルンプールのブキ・ジャリルスタジアムを会場に開催される国際サッカー連盟FIFAカレンダーの国際招待大会エアマリンカップに出場するマレーシア代表候補選手25名も発表しています。選手たちは3月12日から始まる強化合宿を経て、オマーン、アフガニスタン、シンガポールが参加する招待大会へ臨みます。
 今回の代表には、昨年末のAFF選手権スズキカップ準優勝のメンバーから13名に加えて、今回新たに招集された選手12名が選ばれています。マレーシア代表は3月20日にシンガポール代表と対戦し、勝てばオマーン対アフガニスタン戦の勝者と優勝を賭けて激突し、負ければこの試合の敗者と3位を争います。決勝及び3位決定戦は3月23日に行われます。なお、この代表チームは3月26日にはネパール代表とも練習試合を行う予定です。
 

エアマリンカップ出場の代表候補選手
<ゴールキーパー>
*ハフィズル・ハキム・カイルル・ニザム・ジョティ(26 ペラTBG)
イフワット・アクマル・チェック・カシム(23 クダFA)
*カイルル・ファミ・チェ・マット(30 マラッカ・ユナイテッド)
<ディフェンダー>
*シャルル・サアド(26 ペラTBG)
*ナジルル・ナイム・チェ・ハシム(26 ペラTBG)
マシュー・デイヴィーズ(24 パハンFA)
アブドル・ラティフ・スハイミ(30 スランゴールFA)
リザル・ガザリ(27 クダFA)
#ニコラス・スワラッド(28 PKNS FC)
*シャズワン・アンディック・イシャク(23 JDT)
*イプファン・ザカリア(24 KLFA)
<ミッドフィルダー>
*ケニー・パルラジ(26 ペラTBG)
#フィルダウス・サイヤディ(26 ペラTBG)
*ムハマドゥ・スマレ(25 パハンFA)
ノー・アザム・アブドル・アジー(24 パハンFA)
*シャズワン・ザイノン(30 スランゴールFA)
#ファイズ・ナシル(27 スランゴールFA)
#アブドル・ハリム・サアリ(25 スランゴールFA)
*アクラム・マヒナン(26 PKNS FC)
#ハフィズ・ラムダン(26 PKNP FC)
ハディン・アズマン(フェルダ・ユナイテッド)
<フォワード>
*ノーシャルル・イドラン・タラハ(33 パハンFA)
*ザクワン・アドハ・アブドル・ラザク(32 クダFA)
*アーマド・ハズワン・バクリ(28 JDT)
S・クマーラン(23 JDT)
*は2018年スズキカップの代表選手、#はタン・チェンホー監督が初めて招集した選手です。

3月5日のニュース(2):JDTのACLデビュー戦は鹿島に敗戦

JDTのACLデビュー戦は鹿島に敗戦
本日、カシマスタジアムで行われたアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLでACLデビューとなったジョホール・ダルル・タクジムJDTは、鹿島アントラーズに2−1と破れました
 開始早々の3分、マレーシア代表のGKでもあるファリザル・マーリアスがゴールエリア内にも見えた微妙なところで鹿島のFW金森健志を倒してしまうミスもPKとならず命拾いをしたJDTでしたが、同じファリザル選手が14分にはゴールエリア内で手痛いミスを犯してしまいます。鹿島のFW山口一真のシュートを防いだところまでは良かったのですが、そのこぼれ球に詰めていたMFセルジーニョを倒してPKを与えてしまいます。倒されたセルジーニョ選手が自らPKを蹴るも、ファリザル選手がこれを止めてピンチを凌ぎました。このプレー以降、JDTの選手に自信が出てきたのか動きが徐々に良くなり始めました。このまま前半を0−0で折り返せるかと思った43分、左サイドからMF平戸太貴が蹴ったクロスがそのまま誰に触れることもなく直接ゴールインして鹿島が先制しました。
 後半に入ると、俄然動きの良くなった鹿島は56分には、JDTのDFラヴェル・コービン=オングの不用意なパスを奪ったセルジーニョ選手がゴールエリアの外から美しいロングシュートを決めて鹿島が2−0とリードを広げました。ファリザル選手が何もできない、文字通りトップコーナーに突き刺さる素晴らしいシュートでした。
 JDTは79分に19歳のMFアクヤ・ラシッドを投入すると、早速、このアクヤ選手が右サイドでPKを獲得。MFナズミ・ファイズのPKをJDTキャプテンのMFハリス・ハルンがゴール前へ、これを胸でトラップしたFWジオゴがシュートを決めて、JDTがACL初得点!しかし最後はアクヤ選手のシュートがゴールを外れ、試合終了。中継では気温9℃と言っていましたが、現在、熱波に見舞われているマレーシアは気温が40℃近くあり、気温差30℃での試合も言わばACLの洗礼と言えるでしょうか。なおJリーグのマッチレポートはこちら、AFCのマッチレポート(英語)はこちらです。
 ACLデビュー戦としては、JDTは健闘しましたが、MFLでは許されるミスが致命的になるのがACLであることを実感できた試合だったのではないでしょうか。JDTは1週間後の3月12日に慶南FCをホームに迎えて、ACL第2戦を戦います。(写真はすべてJDTのFacebookより。JDTオーナーのジョホール州皇太子、TMJことトゥンク・イスマイル殿下は自家用機で日本へ行ったようですね。)
<3月6日追記と訂正>
報道によると、下の写真にあるトゥンク・イスマイル殿下の自家用機が向かった先は、ACL観戦ではなく、JDTとユベントスとの提携についての会談が行われるイタリアだったようです。今年が最後という噂もあったTMJでしたが、今後もマレーシアサッカー発展のために尽力していただけそうです。

3月5日のニュース(1):JDTは鹿島と本日対戦!

JDTは鹿島と本日対戦!
ジョホール・ダルル・タクジムJDTは、本日3月5日午後6時(マレーシア時間)より、カシマスタジアムでのAFCチャンピオンズリーグACL鹿島アントラーズ戦に臨みます。マレーシアのクラブとしては初となるACL本戦出場を果たしたJDTは、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグを5連覇中で、マレーシアではNo. 1のクラブです。
 JDTが属するグループDには、昨シーズンのACLチャンピオン鹿島の他に国内リーグ3位の山東魯能(中国)、Kリーグ2位の慶南FC(韓国)がいる厳しいグループですが、昨シーズンのタイ1部リーグの得点王ジオゴをブリーラム・ユナイテッドから獲得するなど、このACLに向けて攻撃陣の補強はできているJDT。その一方で国内リーグでは開幕からの5試合で4勝1分0敗と好調なものの、完封勝ちは1度と守備陣には不安が残ります。特に3月1日に行われたMFL第5節のスランゴールFA戦では今シーズンここまでフル出場してきたDFモハマド・アズリフ・ナスルルハクとDFマウリシオがケガのため途中交代しており、彼らの回復状況が気になります。
 なお試合前の記者会見の映像をJDTがFacebookにアップしています。インタビューに答えているのはJDTのキャプテンでシンガポール代表のハリス・ハルン(写真下右)とメキシコ人コーチのベンジャミン・モラ(写真下左)です。

3月4日のニュース:JDTはACL鹿島戦に向け日本へ出発、不振のスランゴールFAには監督交代の噂

JDTはACL鹿島戦に向け日本へ出発
明日3月5日の午後6時(マレーシア時間)に行われるアセアンサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACL、鹿島アントラーズ戦に向けて、JDTが日本へ向かいました。(JDTのFacebookに掲載された移動の様子はこちら
 現在のマレーシアフットボールリーグMFLでは1部スーパーリーグを5連覇中で、2015年にはAFCカップ優勝経験もある、マレーシアでダントツの力を持つJDTが昨年のアジア王者とどのような試合をしてくれるのか楽しみです。

鹿島アントラーズ戦を告知するJDTのFacebook

不振のスランゴールFAには監督交代の噂
第5節を終わって0勝3分2敗、勝点3の8位に低迷する名門スランゴールFA。スランゴールFA(クラブ)を運営するスランゴール州サッカー連盟は、B・サティアナタン監督を支持し、続投を明言していますが、ソーシャルメディア上では、早くもサティアナタン監督が更迭された後の後任探しが始まっています。かつてはケランタンFAとJDTでリーグ戦優勝の経験もあるボジャン・ホダックもその候補の一人ですが、2017年からマレーシアU19代表を指揮するホダック監督のもと、2018年にはアセアンサッカー連盟AFFのU19選手権で優勝するなど、マレーシアサッカー協会FAMが手放しそうになく、またホダック監督自身も現在の職務を途中で投げ出すつもりはないとしています。また2015年、2016年とJDTをスーパーリーグ連覇に導きながら、当時のFAM会長だったTMJことトゥンク・イスマイル殿下の逆鱗に触れ、決まっていたマレーシア代表監督の職を解かれたマリオ・ゴメス元JDT監督、2018年のシーズンでクダFAを率いたラモン・マルコテ元クダFA監督の名前が上がっています。

MFL第5節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFL第5節の結果
1部スーパーリーグ
トレンガヌFC(1勝3分1敗)1-1ペラTBG(0勝3分1敗)
得点者:トレンガヌFC-リー・タック(90分、PK)、ペラTBG-ワンダー・ルイス(72分)
トレンガヌFCは、90分にリー・タックがペナルティーエリア内で倒されて得たPKを自分で決めて同点に追いつきました。ペラTBGは掴みかけていた今シーズン初勝利を手にすることはできませんでした。

スランゴールFA(0勝3分2敗)2−4JDT(4勝1分0敗)
得点者:レアンドロ・ヴァラスケス(7分、67分)、ジオゴ(13分)、ゴンザロ・カブレラ(41分)、スランゴールFA-エンドリック・サントス(32分)、ルフィノ・セゴヴィア(45分)
前半だけで5点が入った派手な試合は、JDTのレアンドロ・ヴァラスケスがこの日2点目となるゴールを決め、スランゴールFAを突き放しました。この日が34歳の誕生だったルフィノ・セゴヴィアのゴールも実らず、スランゴールFAの今シーズン初勝利はまたもお預けとなりました。

フェルダ・ユナイテッド(1勝3分1敗)1-0プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC(1勝1分3敗)
得点者:池田圭(30分、PK)
ゴールエリア内でS・チャントゥルが倒されて得たPKをフェルダ・ユナイテッドの10番、池田圭がゴール。そのまま逃げ切り、フェルダ・ユナイテッドは今シーズン初勝利を挙げました。フェルダ・ユナイテッドのニズマン・ジャミル監督がチームへの貢献を称賛する池田選手、渡邉将基選手はともにスタメンでフル出場しました。

クダFA(3勝2分0敗)0−0PKNS FC(2勝2分1敗)
得点者:なし
両チーム合わせて9枚のカードが出された荒れた試合は、シュート数がクダFA14本に対して、攻撃の要となるFWクパ・シャーマンが第4節のPKNP FCでのレッドカードによる出場停止となっているPKNS FCはわずか2本でしたが、PKNS FCにとってはアウェイでの貴重な勝点1となりました。一方クダFAにとっては、この試合で勝点3を獲得すれば首位の可能性もありましたが、試合終了直前の87分にはクダFAのDFレナン・アルヴェスがボールとは関係ないところで、PKNS FCのFWファイザット・ガザリに頭突きを食らわせ一発退場となりました。MFLの規定では、通常のレッドカードは1試合出場停止が課せられますが、暴力行為に対するレッドカードは最低でも3試合以上の出場停止処分となります。
 第5節を終えて3位のクダFAは、次節の第6節は2位のパハンFAと、第7節は首位のJDTとの対戦が控えているだけに、アルヴェス選手の不用意なレッドカードがクダFAの今シーズンの行方に影響を及ぼす可能性があります。

PKNP FC(0勝1分3敗)0−3パハンFA(3勝2分0敗)
得点者:パハンFA-ゼ・ラヴ(2分)、ディクソン・ヌワカエメ(50分)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(73分)
ここ2試合で2引き分けのパハンFAは、前節でレッドカードをもらったDFエラルド・グロンと、イエローカード累積3枚となったDFサフワン・バハルディンが出場停止、さらにはDFムスリム・アーマドが前節のスランゴールFA戦でのケガからの回復が遅れてベンチから外れるなど、前節まで先発してきたディフェンスのレギュラー3名を欠く苦しい試合でしたが、今シーズンまだ勝ち星のないPKNP FC相手に勝点3を獲得し、クダFAを抜いて2位に浮上しています。

マラッカ・ユナイテッド(4勝0分1敗)2−0クアラルンプール(KL)FA(0勝0分4敗)
得点者:マラッカ・ユナイテッド−ダルコ・マルコヴィッチ(14分)、ナズリン・ナウイ(16分)
今シーズン開幕から3連敗中のKLFAは、この試合も前半の早い時間帯に2点を奪われ、FWギリェルメ・デ・パウラをケガで欠く攻撃陣が反撃できないまま試合終了。開幕から泥沼の4連敗となり、MFLでの唯一、勝点0のチームとなっています。
KLFAの苅部隆太郎選手はスタメンでフル出場しています。

2部プレミアリーグ
ペナンFA1(1勝1分2敗)1-2UITM FC(3勝0分け1敗)
得点者:ペナンFA−ザルコ・コラチ、UITM FC-ロベルト・メンディ(39分、85分)

スランゴール・ユナイテッド(3勝1分1敗)0−0ヌグリ・スンビランFA(1勝3分1敗)
得点者:なし
ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

サバFA(3勝1分1敗)3−1PDRM FC(0勝1分4敗)
得点者:サバFA-ルイス・ジュニオール(4分、48分)、ロドリュブ・ パウノヴィッチ(43分)、PDRM FC-アルグジム・レゾヴィッチ(53分)

UKM FC(1勝1分2敗)4-0サラワクFA(1勝0分4敗)
得点者:UKM FC-ミカエル・イジェジー(9分、PK)、マテオ・ロスカム(85分、PK)、ハリス・ファズリン(90分)、アクマル・ザヒル(90分)

JDT II(4勝0分0敗)2-0ケランタンFA(1勝1分2敗)
得点者:JDT II-ロザイミ・ラーマン(40分)、カイルラ・アブドルハリム(59分)

3月3日のニュース:サニックス杯に向けてU19代表候補合宿開始

サニックス杯に向けてU19代表候補合宿開始
マレーシアサッカー協会FAMは、福岡で開催されるサニックス杯国際ユースサッカー大会へ出場するU19代表の候補選手29名を発表しています。この中から強化合宿を経て選ばれた22名が3月10日に日本へ経ち、3月14日から17日まで福岡県宗像市のグローバルアリーナで開催される大会に参加します。大会公式ページではマレーシアU17代表となっていますが、マレーシアからはU19代表が出場します。
 代表候補メンバーは、FAMのサッカーアカデミーがあるマレーシアパハンスポーツスクール(MPSS)から7名、マラッカFAとスランゴールFA、PKNP FCからそれぞれ3名、トレンガヌFAとPKNS FCからはそれぞれ2名、JDT、フェルダ・ユナイテッド、クアラルンプールFA、クダFA、ケランタンFA、ヌグリ・スンビランFA、ペラFA、ペナンFA、サラワクFAから各1名となっています。
 U19代表のボジャン・ホダック監督は、このサニックス杯を今年7月のアセアンサッカー連盟AFFのU19選手権、そしてアジアサッカー連盟AFCのU19選手権予選のための準備に使いたいとしています。昨年2018年のAFF U19選手権では、このホダック監督が指揮したU19代表が準決勝でインドネシア、決勝ではミャンマーを破り初の優勝を遂げていますが、AFC U19選手権ではグループステージ敗退となっています。

 マレーシアは、昨年もこのサニックス杯に出場しており、一回戦(グループステージ)では同組となった前橋育英高校に2−1で勝利(ダイジェスト映像はこちら)したものの、FC東京ユースには0−3、大津高校には0-2と敗れ、グループ3位となり、順位決定戦では東福岡高校とは0−0(PK戦4−3)、台湾の清水(QING SHUI)高校を6−0、そして13/14位決定戦ではロシアのイジョレツ・インコンユースを3−1で破り、最終順位は参加16チーム中13位でした。
 このチームには今シーズン、J2ファジアーノ岡山に加入したハディ・ファイヤッドが10番を着けキャプテンとして出場し、イジョレツ・インコン戦でのハットトリックを含む4得点を挙げています。

13/14位決定戦イジョレツ・インコン戦のスタメン。後列右端の10番がハディ・ファイヤッド選手

3月2日のニュース:エアマリンカップにはソロモン諸島に代わりアフガニスタンが出場

エアマリンカップにはソロモン諸島に代わりアフガニスタンが出場
3月20日から23日までクアラルンプールで開催されることになったエアマリンカップの出場国が、ソロモン諸島からアフガニスタンへと変更になったことが発表されました。最初に参加国が発表になった際には、そもそも「『ソロモン諸島』って…」などという反応がありましたが、それでもソロモン諸島は国際サッカー連盟FIFAランキングでは143位で、マレーシアの167位よりも上のチームです。当初はこの枠にニュージーランドが入る予定でしたが、結局、ニュージランドは招待を辞退、その代りとして同じオセアニア地区ではニュージーランドに続く高ランクチームとしてソロモン諸島が参加することになった経緯があります。
 しかし、このソロモン諸島代表は3月24日に台湾代表とも国際Aマッチを予定しており、3月18日から26日の国際試合カレンダー期間中の代表同士の試合は最大2試合というFIFAの規定があることから、台湾代表との試合を優先し(エアマリンカップは準決勝、3位決定戦、決勝とどの参加チームも2試合を行うことになっています)、エアマリンカップの出場辞退を決めてと報道されています。中国の圧力により、これまで外交関係のあった国々からている台湾にとって、ソロモン諸島は2019年3月現在、台湾と外交関係のある17国の内の1つですので、この背景には政治的な意図などもあるのかも知れません。
 そしてソロモン諸島に代わって出場することになったのが、これまたビミョーなアフガニスタン代表です。大会まで1ヶ月を切っての参加チーム探しは大変だったとは思いますが、それでもアフガニスタンのFIFAランキングは147位で、こちらもマレーシアよりも高いランキングのチームです。内戦のイメージが強いアフガニスタンよりランクが低いマレーシアって一体どれだけ弱いんだ…。ちなみにマレーシアフットボールリーグMFL2部のクランタンFAには、アフガニスタン代表でもプレーするMFムスタファ・ザザイが在籍しています。
 このエアマリンカップは、このアフガニスタン代表の他、オマーン(FIFAランキング90位)、シンガポール(同165位)といずれもマレーシアよりFIFAランキング上位のチームが参加します。今年後半から始まる2022年のFIFAワールドカップ予選では、アジアサッカー連盟AFC34位以上のチームは1回戦が免除になるため、AFCランキング35位にいるマレーシアにとっては経験を積むだけではなく、勝ってFIFAランキングを上げねばならない大会です。

ソロモン諸島に変わりアフガニスタンがエアマリンカップに出場することを知らせるマレーシアサッカー連盟FAMの告知(FAMのホームページより)