3月15日のニュース(2)
キム新監督の代表合宿初日は招集メンバー30名中25名が参加

キム新監督の代表合宿初日は招集メンバー30名中25名が参加

3月14日から始まった代表合宿の初日の練習には招集されたメンバー30名中、25名が参加したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

キム・パンゴン監督就任以来初の合宿がクアラルンプールにある代表の本拠地、ブキ・ジャリル国立競技場で始まっています。FIFAの国際マッチデー期間に行われるキム監督初の試合となるシンガポール戦とフィリピン戦に向けての合宿ですが、30名のメンバーの内、カイリ・ジョーンズ(ヌグリスンビラン)は新型コロナ検査で陽性となったことから隔離中で、サファウィ・ラシド(JDT)は家庭の事情、ダレン・ロック(PJシティ)は体調不良でそれぞれ参加していません。また代表初招集となったナタニエル・シオ(JDT)はブキ・ジャリル国立競技場には来たものの、膝の腫れなどから練習には参加しなかったということです。

また海外組のリリドン・クラスニキ(インドスーパーリーグ、オディシャFC)とディオン・クールズ(ベルギー1部SVズルテ・ワレヘム)は、シンガポールでチームに直接、合流する予定になっています。

なお当初招集されていたシャーミ・サファリ(JDT)は、生まれたばかりの三子の子どもと過ごすことを決めて代表を辞退し、予備招集メンバーから同じDFのリザル・ガザリ(サバ)を招集しようとしたところリザル選手も辞退したことから、やはりDFのクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)が招集されています。。

初日の連取を終えて会見したキム監督は、この日の練習目的を連戦となる試合のためのコンディショニングが中心であるとし、本日3月15日の練習から戦術面の練習に入ると述べた他、チームに対して1時間以上に及ぶミーティングを行ったことも明らかにしています。また自身の監督就任後、初の練習ということで代表チームの印象を問われたキム監督は、選手一人一人の質は高い一方で、自信を持ってプレーできていない印象があると話し、合宿中には練習を通して自分たちのサッカーに自信を持たせるようにしたいとしています。

マレーシア代表は今回の合宿を3月21日まで行った後、翌3月22日にシンガポール入りし、23日にはシンガポールと、26日にはフィリピンと国際Aマッチを行なった後、28日にはシンガポール1部で今季は李忠成選手が加入したアルビレックス新潟シンガポールとも練習試合を行う予定になっています。


3月15日のニュース
ダニエル・ティンとKLシティの契約解除はティンのワクチン接種拒否が理由
政敵同士の争いによるKLシティ選手への未払い給料は今週中にも支払いへ

ダニエル・ティンとKLシティの契約解除はティンのワクチン接種拒否が理由

昨季2021年シーズンは昇格1年目ながらMリーグ1部スーパーリーグで6位、そしてマレーシアカップでは32年ぶりの優勝を果たしたKLシティ。その原動力の1人がDFダニエル・ティンでした。英国生まれながら父親がマレーシア人のティン選手は、Mリーグではマレーシア人選手として登録され、KLシティのリーグ戦とマレーシアカップの全試合33試合に出場(うち先発32試合)するなど3季ぶりの復帰となったスーパーリーグで活躍しました。昨年末のスズキカップ2020に出場したマレーシア代表には招集されなかったものの、今季2022年シーズンは代表でのプレーも期待されていました。

しかし昨季終了後、ティン選手は契約を1年残しながら、KLシティと合意の上で契約を解除し、退団、その後は母国の英国へ帰国しました。ティン選手の退団の理由が不明なままだったこともあり、同じスーパーリーグのスランゴールへの移籍なども噂されるなど、さまざまな憶測を読んでいましたが、その真相をKLシティを運営するクアラルンプールサッカー協会のクアラルンプールサッカー協会のカリド・サマド会長が明らかにしています。カリド会長はティン選手との契約解除の理由が今季開幕前にMリーグ全選手が対象となった、新型コロナウィルスのワクチン接種を拒否したことであると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

ティン選手の退団に加え、昨季のチーム得点王のFWロメル・モラレスも第2節まで終了した今季スーパーリーグには出場しておらず、それがKLシティの1分1敗という成績になって現れているとも言えます。カリド会長はモラレス選手の欠場についてはケガを理由に挙げ、現在はFIFA国際マッチデー前の中断期間となっているスーパーリーグが再開する4月6日の第3節JDT戦で復帰する予定だと述べています。

政敵同士の争いによるKLシティ選手への未払い給料は今週中にも支払いへ

先日のこのブログでも伝えたKLシティの選手への給料未払い問題が解決に動きそうだとニューストレイトタイムズが報じています。

選手や監督、コーチに対して今年1月と2月分の給料未払いが明らかになっているKLシティですが、クアラルンプールサッカー協会のカリド・サマド会長は、クアラルンプールを含めた連邦直轄地を管理するシャヒダン・カシム連邦直轄地相とこの給料未払い問題解決のための会談を行う予定であることを明かしています。

連邦直轄地省傘下のクアラルンプール市役所の年間予算に計上されているKLシティの運営費用500万リンギ(およそ1億4100万円)が未だ支払われていないことが未払い給料の原因であると述べたカリド会長は、この500万リンギのクラブへの支払いについて、現職のシャヒダン・カシム現連邦直轄地相が承認していなことがその理由であると述べています。なおシャヒダン現連邦直轄地相は国内最大与党の議員であり、カリド会長は元連邦直轄地相でもあり野党の議員であることから、この問題の背景には政治的な思惑があるとされています。具体的には与党議員のシャヒダン連邦直轄地相は、現職就任とともにクアラルンプールサッカー協会会長に選出されることを期待していたところ、野党議員のカリド氏が現在も会長であることへの不満から、この500万リンギの支払いを自身の権限を利用して拒んでいるというのがカリド会長の説明です。

カリド会長は自身は会長職をシャヒダン連邦直轄地相に明け渡す用意があると話す一方で、KLシティやクアラルンプールサッカー協会とその会長色の肩書きが政治目的で使われることのないことを祈っていると話しています。

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マレー系マレーシア人には絶大な人気を誇るサッカーとそれを利用する政治家という図式はマレーシアサッカーの病巣とも言える問題です。この記事の続報では、カリド会長とKLシティのCEOでもあるスタンリー・バーナードの両氏が、クラブの存続を理由に会長職及びクラブ内の権限を求めるシャヒダン連邦直轄地相とその取り巻きの要求に沿って辞任する可能性があることも報じられています。