スズキカップ敗因分析に基づくFAMへの提言-FAM独立委員会報告
スズキカップ2020の敗因分析のために設立された独立委員会は、前述のスズキカップ敗因分析に基づく代表チームへの提言も合わせて行っています。将来の代表運営関係者や代表チームに向けて、チーム強化のために改善されるべき点も指摘されている10の提言は以下の通りです。
- 最低限の準備期間の確保
年に数回開催される代表合宿期間はFAMが作成する代表チームの年間予定の中に前もって含まれるべきであり、国際大会に出場する前の合宿については最低でも14日間は確保し、最低でも練習試合は2試合行うべきである。
- 現場での支援体制の強化
代表チームを支える支援スタッフには技術委員、スポーツ科学及び医療の専門家、さらに専属のパフォーマンス分析担当者を含めるべきである。 - 代表チームマネージャー職の廃止
FAMの理事あるいは職員を代表チームマネージャーに任命する慣例を廃止し、代表監督にチームマネージャーとしての権限も与えるべきである。必要に応じて代表チームの「団長」職を設ける場合でもその職はあくまでも儀礼的なものとし、それ以上の代表チームの運営には関与するべきではない。 - 代表チーム運営委員会の委員構成
FAMの代表チーム運営委員会の委員は高いレベルで指導経験あるいはプレー経験を持つ者が就任するべきで、十分な技術的な観点を持たない者は委員となるべきではない。 - 技術委員会と育成委員会
FAMの技術委員会と育成委員会は、代表チームの技術面を詳細に研究し、その観点に基づき、定期的に代表チームに助言を行うべきである。 - 代表選手選考
代表選手のMリーグでのパフォーマンスを分析し、一貫性を持った選手選考を行うためのデータベース作成が必要である。このデータベースにより、代表監督は「印象」ではなく実際の試合出場時間やパフォーマンスの内容に基づいて選手を専攻することができる。またデータベースの項目などは随時見直しを行うべきであり、より多くの選手の中から代表選手選考を行うために、すべてのクラブの選手がこのデータベースに登録されるべきである
また選手選考の際の代表監督と選手、および選手の所属チームとのコミュニケーションは改善されるべきである。これには代表候補選手選考に対する外部からの干渉を防ぐことも含まれる。 - MFLとの協力体制の強化
FAMはMリーグを運営するMFLと協力関係を強化し、代表チーム強化を優先するような年間日程の作成を行うべきである。Mリーグのスポンサーや放映権についても、MFLには代表チーム強化という観点に基づいた配慮を求めるべきである。 - 新型コロナ対策
新型コロナ対策についても、FAMは後手に回らないことに加え、様々な観点から対処方法を考える必要がある。代表チーム強化が継続的に行えるように、代表合宿を国外で行うなど柔軟な思考も持つべきである。 - 2022年の目標設定
FAMは2022年に開催される国際大会について、その優先順位を明確にするべきである。個々の大会での目標を設定したとしても代表チームが出場する全ての大会でそれを達成するのは容易ではない。 - 現場からの報告書式の統一化
年代別代表も含めたすべての代表チームの監督、コーチがFAMに報告をあげる際の書式のテンプレートをFAMが作成するべきである。共通の書式を使用することで、各大会後のパフォーマンス評価や、次の大会へ向けてのフィードバックや提言などがより容易になる。
AFF U23選手権出場のU23代表候補選手発表
マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に向けた代表候補合宿の参加選手30名と予備候補選手5名を発表しています。このAFF U23選手権は来月2月14日から26日までカンボジアのプノンペンで開催されます。
昨年10月に開催され、グループ首位で本戦出場を決めたAFC U23アジアカップ(旧U23選手権)の予選のメンバー23名からは9名が残り、その他は初招集組やU23アジアカップ予選出場の最終候補に残れなかった選手が招集されています。U23代表候補30名と予備候補5名のリストはこちらです。
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AFC U23アジアカップ予選ではタイ、ラオス、モンゴルと同組なったマレーシアは3試合を2勝1分0敗の勝点7でグループをトップ通過しましたが、この3試合で失点を全く許さなかった守備陣で3バックを構成したジクリ・カリリ、ハリス・ハイカル、アズリン・アフィク(いずれもスランゴール2)や守護神GKアズリ・アブドル・ガニ(KLシティ)はいずれも選ばれておらず、A代表でもプレーするDFクエンティン・チャンやMFムカイリ・アジマル(スランゴール)も今回は選ばれていません。その一方でアメリカ育ちながらマレーシア人の両親を持つワン・クズリ(米国アクロン大学)を呼ぶなど、今年5月の東南アジア競技大会通称シーゲームズや6月のAFC U23選手権に向けて主力以外の選手選考を意図したメンバーにも見えます。インドネシア、ミャンマー・ラオスと同じB組に入ったマレーシアですが、C組でベトナム、シンガポールと同組のタイはこの大会にU19代表を派遣する事を発表しており、シーゲームズ、AFC U23アジアカップ、そして9月のアジア競技大会とU23代表の試合が続く2022年は、上の独立委員会が指摘しているように、どの大会に優先順位を置くのかにより、各大会の代表選手の顔ぶれも変わることになりそうです。