出場機会不足に不満を述べた選手へのJDTオーナーの反応に多くのサポーターが同意
「チームメートがサッカーをしているのを見るのは楽しいな。」と間接的に自身の出場機会がないことをツイートしたJDTのFWシャフィク・アフマドが、オーナーからクラブは仲良しグループではなく、不満があるなら他のクラブへ移籍することを止めない、と反応されたニュースは先日このブログでも取り上げましたが、このトゥンク・イスマイル ジョホール州皇太子の反応については様々な意見が出ていることを、マレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。
このイスマイル殿下によるクラブ公式Facebookへの投稿にはこの執筆時点で1万7000件の「いいね」と2900件近いコメントがついていますが、その多くがイスマイル殿下に同意すると同時に、JDTでは出場機会が得られないシャフィク選手に移籍を勧める内容です。「JDTヘ移籍する前にプレーしていたクダ・ダルル・アマンFC(当時はクダFA)に戻るべき」といったものから「シャフィク選手自身は努力はしているのだろうが、これまでにリーグ2位の20ゴール(17試合)を挙げているブラジル出身のFWベルグソン・ダ・シルヴァにポジション争いで勝つのは難しい。」、「スランゴールFCに来い。JDTを除けばスランゴールFCは給料もいいぞ。」まであり、さらには「(高給とされるJDTでプレーすることで)銀行口座に金がたくさんあるなら、それで十分ではないか。出場機会が少ないことなど気にするな。」といった皮肉混じりのものもあります。
そんな中で「我々マレーシアサポーターはシャフィク選手が代表でプレーするところを見たいが、JDTに残り控えのままでは次の代表に招集されることも難しくなる。6月のW杯予選では役立たずだったギリェルメ・デ・パウラが代表に招集されたのも彼がペラFCの主力選手だったからだ。」といった意見に代表されるように、FWに人材不足の現在の代表には、新型コロナ禍による中断前に行われた一昨年のW杯予選でアラブ首長国連邦やインドネシア相手にゴールを挙げたシャフィク選手は必要な選手なのは明らかです。
なおイスマイル殿下は既にシャフィク選手と直接話し、JDTでは試合出場の用意ができているとチームが判断すれば試合に出ることができ、シャフィク選手も同様であると伝えたことを明かすとともにこの件に関してはこれで解決したとも述べています。
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ボラセパマレーシアJPでは、今季開幕前にJDTの注目選手としてこのシャフィク選手を取り上げました。U23代表から順調に成長し26歳となる今年は同じJDTのサファウィ・ラシドとともに代表を引っ張る存在として期待したからでした。しかし、今季はトップチームでの先発出場どころかベンチ入りしたのがわずか3試合、試合出場は1試合でそれも90分からの出場でした。また、7月24日から始まった後半戦ではこれまで1試合もベンチ入りしていません。昨年2020年12月には自らが運転していた自動車の事故で生後1年未満の息子を失うなど悲惨な出来事も経験したシャフィク選手が、イスマイル殿下が指摘しているようにその事故を境に別人になってしまったのかどうかは外部からはわかりませんが、自身の選手としてのキャリア、特に代表選手としてのキャリアを考えるのであれば、国外も含めて他のクラブへ移籍を考えてみるのも悪くないのでは、とファンの一人として思ってしまいます。
JDTオーナーが退任をほのめかす?
JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が退任をほのめかすような投稿を自身のインスタグラムに行ったと、マレーシア語紙のブリタハリアンが報じています。
イスマイル殿下がオーナーを務めるJDTは昨季までMリーグ7連覇を達成し、今季も次節に勝利すれば8連覇が決まる状況ですが、そんな中で以下のような投稿を行なっています。
「これまでJDTがピッチ内外で成功を収めるよう尽力してきた結果、JDTは立派なブランドになった。最高の設備のもと、過去8年間でトップチームはリーグ戦やカップ戦などで18回の優勝を、ユースレベルでは10回の優勝を達成した。」という投稿はさておき、多くのサポーターに衝撃を与えたのは、その投稿の最後に書かれた「これが私からクラブへの最後の贈り物だ。」という部分でした。10月から建設が始まる本拠地スルタン・イブラヒムスタジアムに隣接する巨大なトレーニング施設の写真が添えられたこの投稿に対し、多くのサポーターやメディアはイスマイル殿下がJDTオーナーを退任するのではと色めき立っています。
イスマイル殿下の真意は現時点では不明ですが、今週末の第20節にもJDTのリーグ8連覇が決まる可能性があり、その後には何か重大な発表があるかも知れません。
代表は10月に国内合宿と海外遠征を開催か
マレーシアサッカー協会FAMが10月に代表合宿と練習試合を企画しているとマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
代表チームは今年12月には昨年から延期された東南アジア(アセアン)サッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会が、そして来年2月にはアジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選が控えていますが、FIFAの国際マッチカレンダー期間の今月8月30日から9月7日までは、新型コロナ禍により終了が遅れたリーグ戦中期間である上、マレーシア政府が全ての渡航者に求めている14日間の検疫隔離期間によって、代表チームは他国の代表チームを招いて練習試合を行うことも、他国へ遠征に行くこともできず予定されていた代表合宿が中止に追い込まれています。
Mリーグを運営するMFLの新たなCEO就任が決まったマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、代表チームの予定として10月には国内での代表合宿と国外での練習試合開催を検討中であることをハリアンメトロによる取材で明らかにしています。
ペラFCが未払いとなっていた7月分の給料を支給
給料未払いが明らかになり主力選手が大量退団した結果、Mリーグ1部で11位と低迷するペラFCの選手らに対し、今週末に予定されているMリーグ第20節の前に未払いとなっている7月分の給料が支払われることをウトゥサンマレーシアが報じています。
今季は残り3試合となり、現在11位と2部降格危機にある中で、未払い給料を支払うことで選手の士気を高めたいとペラFCのアズマン・ノーGM(ゼネラルマネージャー)は話しています。
8月1日付で就任したアズマンGMは、2部降格を食い止めるため最終戦までできる限りの泥苦を続けたいとも話し、ペラFCのサポーターにも12番目の選手として最後までチームへの応援を続けて欲しいと訴えています。
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このように未払い給料支払いをメディアに公表しながら、その裏では全額ではなく一部のみを支払っていた、といった他のクラブの事例もあるので、ここは選手らには支払いを事前に伝えても、メディアには支払ってからそれを公表すれば良いのではないか、とも思ったりもします。今回のメディアへの公表はアズマンGMによる自チームのサポーターを含めた対外的なアピールなのかもしれませんが、アズマンGM就任以降のペラFCは3試合で最下位のUITM FCでの敗戦も含め0勝3敗、3得点10失点と、いまさら未払い給料を支払っても焼け石に水といった印象です。