審判を突いたカブレラの処分遅れに批判が集まる
Mリーグ1部スーパーリーグ第9節のスリ・パハン戦で判定への不満から主審を小突いたものの何らお咎めなしとなっているゴンザロ・カブレラ(JDT)に対して沈黙を守っているFAMの対応に不満の声が高まっています。
前節第8節にはクダ・ダルル・アマンのMFファズルル・ダネルがトレンガヌ戦で同じく判定への不服から主審を押したことによりレッドカードを出されて一発で退場となっていることから、判定基準が一定ではないことに批判が集まっています。
この件についてマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はマレーシア語紙シナルハリアン電子版の取材に対し、自分は審判の専門家ではないと前置きをした上で「審判を『押す』という行為が起こった場合、その行為には様々な種類があり、意図的に「押す」場合もあれば、呼び止めるために「押す」場合もある。このため、(カブレラ選手による)「押した」行為がどのような目的で行われたかと確認する必要がある。」と語り、数日のうちに最終的な判断がFAM審判委員会によって下されるだろうと話しています。
ペラは来月のトランスファーウィンドウ期間に新外国選手獲得か
Mリーグの今年2度目のトランスファーウィンドウ期間は5月3日から始まりますが、下位に沈むMリーグクラブが外国籍選手の入れ替えや新たな戦力補強を行うのではないかという記事がちらほらと出始めました。Mリーグ1部スーパーリーグで現在2勝3分4敗の9位と低迷するペラのそのうちの一つで、マレーシア語紙のウトゥサン・マレーシア電子版はストライカーとディフェンダーをそれぞれ1人づつ補強するだろうという記事を掲載しています。
ペラFCのリザル・アリ・ナイザリCEOによると、その名前は明かさなかったものの、既に2名の選手がリストアップされているということです。なおペラには現在、DFシャキール・ハムザ(シンガポール、東南アジア枠)、守備的MFレアンドロ・ドス・サントス、攻撃的MFカレッカ、FWギリェルメ・デ・パウラ(以上ブラジル)の4名の外国籍選手がいますが、この内、デ・パウラ選手はマレーシア国内でのプレー期間が5年を超えたことで帰化申請を行い、今季からは帰化選手(=マレーシア人選手)として登録されています。Mリーグ1部スーパーリーグは、東南アジア枠1名、アジア枠1名を含めて5人の外国籍選手の出場が可能であることから、リザルCEOは言及していないものの、ウトゥサン・マレーシアは不足しているストライカーとディフェンダーを獲得するのではないかと予測しています。
またリザルCEOは一部ソーシャルメディアで噂されているチョン・イーファット監督更迭と新監督採用については、先日行われた経営会議でも議題に上がらなかったとして、これを真っ向から否定しています。
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このままいけば、ペラは今季は降格争いに加わる可能性もあり、戦力補強が急務なことは理解できますが、その一方でこのブログでも既報の通り、ペラでは選手や監督、コーチへの給料未払いが起こっているとされています。そんな経営状況のクラブが新たに選手を獲得し、そういった選手の登録を認めてしまうのであれば、リーグ運営者としてマレーシアンフットボールリーグMFLの監督責任が問われることにもなりそうです。
FAMテクニカルディレクター今季未勝利のFAM-MSNプロジェクトは今後もMリーグ2部でプレー
Mリーグ2部プレミアリーグ第9節を終えて最下位となっているFAM-MSNプロジェクトは、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNが運営する国立エリートサッカーアカデミー卒業生を中心とする平均年齢17.23歳のチームです。
このチームについては、元バイエルン・ミュンエヘンU19チームのアシスタントコーチで前国立エリートサッカーアカデミー責任者でもあったリム・ティオンキム氏が、他のチームとはあまりにも力が違いすぎるリーグへの参加を疑問視するなど開幕前から話題になっていましたが、その予想通り第9節を終えて得点7失点32の1分8敗という成績となったことから、リム氏の意見に賛同する声が大きくなってきています。
さらにリム氏は選手の自信を喪失させないためにもプレミアリーグでではなくユースカップ(U19リーグ)やプレジデントカップ(U21リーグ)など選手の年齢層が近いチームと対戦させるべきと主張していますが、FAMのオン・キムスイ テクニカルディレクターはこのFAM-MSNプロジェクトの解散を否定し、育成を目的として結成されたチームは今後もリーグに残ると、マレーシアの通信社ブルナマに話しています。
その一方でオン テクニカルディレクターは、このFAM-MSNプロジェクトには適切な計画性と方向性を持たせ、運営にかかる費用を無駄にしないようにする必要があると述べています。「このプロジェクトチームを今季のみリーグに参加させ、その後は解散させるのでは育成プログラムとして意味がない。FAMとしてはこのチームは2024年オリンピック予選まで存続させ、このチームの中から2、3人がオリンピック予選に出場する代表チームに選抜されれば十分と考えている。」と述べた上で、国内のサッカーファンに対し、このチームの目標は長期的なものであることから、その成長を我慢強く見守って欲しいと話しています。
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このFAM-MSNプロジェクトの中心選手と同年代のトップ層はエリートアカデミー卒業後にMリーグクラブと契約しており、このチームの主力は卒業時にMリーグとの契約に至らなかった二番手、三番手の選手たちです。トップ層の選手と比べて不足している部分を補うことが育成に当たると思いますが、前述のキム氏が危惧しているのは、プレミアリーグの各チームとはスピード、体力などの差がありすぎて、FAM-MSNプロジェクトの選手は試合中にボールに触れる時間があまりにも少なすぎるという点です。結果としてボールにさわれず、試合中はボールを追いかけて走り回ることに終始しているのであれば、技術的な向上は期待できず、結果として2024年パリオリンピック予選に出場するU22/23代表にはこのFAM-MSNプロジェクト出身者が1人もいないという可能性があります。