11月18日のニュース:来季のMリーグは2月26日開幕、Mリーグの移籍期間は11月21日から、スランゴールFCが元浦和ACのナイチェル新監督就任を正式発表、スランゴールFCは来季のチーム作りへ向けての精力的に活動、シャキル・ハムザとファリス・ラムリのシンガポールコンビはいずれも退団

来季のMリーグは2月26日開幕
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、来季2021年シーズンの開幕日を発表しています。
 これによると、来季は2月26日のMリーグ1部優勝のJDTと2位クダFAが激突するスルタン・ハジ・アーマド・シャーカップで開幕します。このカップ戦は本来ならMリーグ1部優勝クラブとFAカップの優勝クラブが対戦する、日本で言えばゼロックススーパーカップ的なものです。ちなみに今季も同じカードとなりましたが、その試合は独立したカップ戦としてではなく、Mリーグ1部の公式戦として開催されました。
 Mリーグ1部と2部は2月27日と28日第1節が開催され、最終節となる第22節は8月20日と21日開催と発表になっています。
 また今季は中止となったFAカップは3月2日開幕で9月21日決勝、またやはり中止となったマレーシアカップは9月17日開幕で11月27日決勝となることも発表されています。この他、マレーシアカップに出場できないMリーグ1部と2部のクラブが出場するチャレンジカップは9月3日に開幕し、ホームアンドアウェイで行われる決勝は第1戦が11月6日または7日、第2線が11月13日または14日となっています。

Mリーグの移籍期間は11月21日から
 またMFLの公式Facebookでは、Mリーグの移籍期間として今月11月21日から来年2月14日までの12週間を1度目のトランスファーウィンドウ期間、来年7月12日から8月4日までの4週間を2度目のトランスファーウィンドウ期間とすることも発表されています。

スランゴールFCが元浦和ACのナイチェル新監督就任を正式発表
 スランゴール州サッカー協会(スランゴール州FA)は、公式サイト上でカルステン・ナイチェル新監督就任を成績に発表しています。
 この発表によるとナイチェル新監督は10月半ばには既にマレーシアに入国しており、マレーシア政府が渡航者全員に義務付けている14日間の隔離検疫期間も終了しているということです。
 52歳のナイチェル新監督はドイツ1部のSCフライブルグで選手としてプレーし、現役引退後は同クラブでアシスタントコーチを務めた経験があります。その後はドイツ4部のロートヴァイス・エッセン、ETBシュヴァルツ=ヴァイス・エッセン、同2部のVfLボーフムやホルシュタイン・キールで監督を務め、2009年から2010年まではJリーグ浦和レッズのアシスタントコーチも務めています。
 スランゴール州FAのマイケル・ファイヒテンバイナーTD(テクニカルダイレクター)は、かつて自分が指揮をしたチームの選手でもあったナイチェル新監督は「(ナイチェル新監督は)性格も良く仕事熱心な上、アジアで自分の力量を示したいと常に思っており、スランゴールFCで指揮を取ることに大変な意欲を見せている。」と話し、さらなる高みを目指すスランゴールFCにとって適任の人物だと述べています。
 「ナイチェル新監督は、失敗を恐れがちな若い選手でも、才能があると見れば少々の失敗には目を瞑り積極的に起用できる「勇気がある」指導者でもあり、クラブの新戦力を育てる能力もあると考えている。」とも話すファイヒテンバイナーTCは、素晴らしい選手を外部から獲得することはできないかも知れないが、育成プログラムや戦術、戦略などを駆使するなど独自の方法で、スランゴールFCがマレーシアのトップのクラブとなることを目指していると話しています。
 またナイチェル新監督自身も就任後最初の仕事は「レッドジャイアンツ」の愛称で知られるスランゴールFCサポーターのクラブに対する信頼を回復することにあると話しています。「試合に勝つことがサポーターの信頼を回復する最善の方法であり、(自分が観戦した)シーズン終盤の数試合ではトップチームは質の高さを示し、良い結果も残し、好印象を残したと思う。」
 また「セカンドチーム(スランゴール2)の試合も観戦したが、潜在能力が高い若手選手が多いので、過度のプレッシャーを与えないようにしながら、他の主力選手たちと同様に支援していくつもりである。」とも述べたナイチェル新監督は最後にサポーターに向けて「サポーター同様、自分自身も勝利を渇望し、すべての試合に勝ちたいと思っているが、そのためには段階を踏んでいく必要がある。現在はプレーのスタイルを改善する必要があり、多くの細かな点を修正する必要がある。なぜならそう言った細かな点が大きな違いを生み出すからだ。サポーターにはその点を理解してもらい、クラブを応援して欲しい。」と言ったメッセージをサポーターに送っています。

スランゴールFCは来季のチーム作りへ向けての精力的に活動
 新型コロナウィルスの影響によりマレーシアカップは1回戦終了後に中止となり、今季のサッカー活動はすべて終了しましたが、これにより選手や監督、コーチの移籍市場が開幕したことを意味し、メディア上ではさまざまな噂が飛び交い始めました。
 Mリーグの選手は今月11月30日までが今季の契約となっていることから、来季の所属についてクラブが既に公式発表していたり、選手自身がソーシャルメディアで発信しているケースもあります。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、そんな中で現在、最も活発な動きを見せているのが今季のMリーグ1部で5位に終わったスランゴールFCで、今季、主将を務めたオーストラリア出身のDFテイラー・リガンやスペイン出身で2018年の得点王FWルフィノ・セゴヴィアといった外国籍選手の他、FWシャズワン・ザイノン、MFノー・ハキム・ハサン、MFサルクナン・クリシュナサミーら主力選手が退団と報じられる一方で、今季のMリーグでマレーシア人最多ゴールを挙げたペラTBGのFWシャーレル・フィクリとの契約がほぼ決定と報道しています。また、リガン選手に変わる外国籍アジア枠にはウズベキスタン1部FCパフタコール・タシュケント所属で、ウズベキスタン代表でもプレーするFWドストンベク・ハムダモフの獲得が濃厚とされている他、クダFAのFWクパ・シャーマンにも接触してるとされています。

シャキル・ハムザとファリス・ラムリのシンガポールコンビはいずれも退団
 今季、Mリーグ1部で2位となったクダFAに所属するシンガポール出身のDFシャキル・ハムザが自身の2年契約が満了となる今季で退団することを明らかにする一方、複数のMリーグのクラブが来季に向けて獲得に動いているとマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 この記事によれば、ペラTBG、パハンFA、そして来季1部に昇格するクアラルンプールFAがアセアン(東南アジア)枠での獲得を検討しているということです。
 また同じシンガポール出身でMリーグ1部で今季3位となったトレンガヌFCに所属するMFファリス・ラムリも自身のソーシャルメディアで退団することを明らかにしたと、ハリアンメトロは報じています。
 ファリス選手は2018年には現在は消滅してしまったMリーグ1部のPKNS FCでプレーし、翌2019年はやはりMリーグ2部のプルリスFAへ移籍しましたが、このプルリスFAが給料未払い問題で昨季開幕直後にリーグ出場停止となり、シンガポール1部リーグのホウガン・ユナイテッドFCへ移籍しました。そして昨季はシンガポール人選手最多ゴールと最優秀選手賞を獲得し、今季からトレンガヌFCに加入しましたが、1年での退団となっています。
 ファリス選手は新型コロナウィルスによるリーグ中断時にシンガポールへ帰国し、その後は両国間の渡航が許可されなかったことからリーグ再開後もチームへの合流が遅れ、リーグ再開後の7試合で先発出場は3試合のみ、今季通算では’は3ゴールでした。

11月17日のニュース:マレーシアカップ中止を理由とした給料削減を行わないようPFAMが各クラブに警告、FAMは年内の代表合宿中止を決定、Mリーグ試合配信のYoutubeチャンネルはのべ2900万人が視聴

マレーシアカップ中止を理由とした給料削減を行わないようPFAMが各クラブに警告
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、マレーシアカップが中止となったことを理由にして、クラブが選手に対して契約内容通りの給料を支払うことを拒否することがないようにと警告しています。
 マレーシア語紙ブリタハリアンはPFAMによる声明を取り上げていますが、それによると、PFAMは現在も未払い給料問題を抱えているクラブがあるとして、これらのクラブに対して、来季2021年シーズン開幕前までには完済するように警告を行っています。
 マレーシアカップ中止は残念だとしながらも、Mリーグの選手の契約は11月末までとなっており、マレーシアカップが12月まで延期されれば、選手の契約問題が発生することは明らかだったことから、PFAMは大会主催者であるマレーシアフットボールリーグMFLによる中止決定は妥当なものであると生命の中で述べています。
 また、来季以降もマレーシアサッカー界を持続させていくためには、今季、マレーシアサッカー界が経験したことを関係者全員が教訓とする必要があり、来季のMリーグやマレーシアカップはいわゆる「ニューノーマル」に基づいた形で開催されることをPFAMは望んでいるとしています。

FAMは年内の代表合宿中止を決定
 マレーシアサッカー協会FAMは、マレーシアカップ終了直後に予定されていた代表合宿について、年内には行う予定がないと発表しています。
 英字紙ニューストレイトタイムズは、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長の話として、現在2つの案が検討されていると報じています。
 アジアサッカー連盟AFCは、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選およびAFC選手権アジアカップ2023年大会予選の新たな日程を発表しており、これによると来年3月に予選が再開されることになっています。
 「現在の新型コロナウィルスの感染状況では、国内での代表合宿は難しい。このためタン・チェンホー監督と相談した上で、1月の代表合宿開催、あるいは3月から再開するアジア二次予選の直前の数日間の合宿開催を検討中である。」とスチュアート事務局長は話しています。しかしその一方で、1月はMリーグ開幕直前であるだけでなく、FIFAの国際マッチデー期間でないことから各クラブは選手が招集されることに難色を示す可能性があるとし、Mリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLが来季の日程を確定した時点で、代表合宿の日程を決定したいとスチュアート事務局長は述べています。
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 ジョホール・ダルル・タジムJDTが国民の海外渡航を禁じているマレーシア政府の指示に従って、カタールで開催されるAFCチャンピオンズリーグへの出場を辞退しましたが、新型コロナウィルスの状況が改善されず、マレーシア政府が方針を変えない場合、来年3月から再開するW杯アジア二次予選の際には代表が国外の代表選に出場できない可能性、さらには国外からの渡航者に2週間の隔離検疫期間を義務付けていることから国内での代表選開催にも支障が出る可能性があります。

Mリーグ試合配信のYoutubeチャンネルはのべ2900万人が視聴
 新型コロナウィルス感染拡大により、今季のMリーグはそれぞれ12クラブが所属する1部、2部とも1回戦総当たりの第11節までとシーズンが短縮される結果になり、しかも3月中旬の第4節以降は全試合が無観客で行われました。これにより国内サッカー人気の停滞が心配される中、Youtubeにより配信されたMリーグの試合はのべ2900万人が視聴したと、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 さらに1回戦終了後中止となったマレーシアカップの視聴者数は7試合でのべ660万人となっているということです。
 Mリーグ1部で最も視聴されたのは9月19日のジョホール・ダルル・タジムJDT対スランゴールFC戦で138万人が視聴、2部(2部はYoutube配信が行われていないので、Mycujooによる配信のデータと思われます-筆者注)は8月22日のUKM FC対ケランタンFA戦で3万5000人が視聴したということです。
 またマレーシアカップ1回戦ではクダFA対パハンFAをのべ220万人が視聴、最大視聴者数を記録しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、これだけ多くの視聴者がいることは新型コロナウィルス禍の中、国内サッカーが下火になるどころかより活気付いていることを証明していると話しています。
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 ここで取り上げられている数字の根拠は不明ですが、MFLの公式Youtubeチャンネルではマレーシアカップ1回戦のクダFA対パハンFAの視聴回数は75万回となっています。それを考えるとこの記事の数字はスポンサーを意識した上での「盛った」数字かも知れませんが、それでもインターネットに接続できれば無料(本来はYoutubeでの無料配信はなく、テレビあるいストリーム配信視聴は年間で100から120リンギ(およそ2540から3050円)のパッケージ契約が必要)で1部リーグ全試合が観戦できたことは、視聴者数の押上には役立ったことは確かでしょう。